説明

レンズおよび照明装置

【課題】拡散板における輝度ムラを抑制する。
【解決手段】レンズ23は、LED22の光出射方向側に窪んだ湾曲部31を備え、湾曲部31は、LED22の側方において基板21に対向する端面を有し、LED22の中心から上記端面の端部までの距離をa、当該端部から上記端面におけるLED22と反対側の端部までの距離をbとしたときに、a>bの関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射された光を屈折させて出射するレンズ、および上記レンズを備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と拡散板との間にレンズを配置し、上記光源から出射された光を上記レンズによって拡散させて上記拡散板に入射させることにより上記拡散板を面状に発光させる照明装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記のように拡散板を面状に発光させる照明装置であって、レンズの光源側の面における光源から出射される光の光軸方向の位置に光を散乱または拡散させる光学機能部を設ける技術が開示されている。これにより、特許文献1の技術では、光源から出射された光を光学機能部で散乱または拡散させ、拡散板における光源直上の領域(光軸上の領域)の輝度が他の領域に比べて高くなることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4479805号公報(公開日:平成21年8月27日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、レンズ内周面の両端側(光源が配置される基板との当接部の近傍)の領域に光源が配置される基板の基板面に平行な平面部が設けられている。このため、光源から上記平面部に入射した光が拡散板の一部の領域に集光されてしまい、拡散板において輝度ムラ(輝点あるいは輝線)が生じてしまう。
【0006】
図9は、上記の問題点を説明するための説明図である。この図に示す照明器具100は、基板101と、基板101上に設けられたLEDからなる光源102と、光源102から出射された光を拡散させるレンズ103と、レンズ103に対向するように配置された拡散板104とを備えている。レンズ103は湾曲部を有しており、この湾曲部によって基板101上に配置された光源を覆うように基板101に対向配置されている。また、レンズ103の内周面の両端側、すなわちレンズ103の内周面における基板101と対向する端部の近傍には、特許文献1の構成と同様、基板101の基板面に平行な平面部103aが設けられている。
【0007】
このような構成の照明器具100では、光源102から出射されて平面部103aに到達した光の進行方向は、平面部103aにおける屈折によって光源102の光軸方向(基板101の基板面法線方向)に近づく方向に変化する(破線で示した矢印参照)。また、平面部103aからレンズ103に入射し、レンズ外周面103bに到達した光の進行方向は、レンズ外周面103bにおける屈折によって光源102の光軸方向にさらに近づく方向に変化する(破線で示した矢印参照)。また、図9に示したように、平面部103aおよびレンズ外周面103bにおける屈折角はこれら各部に対する光の入射角によって異なる。このため、光源102から出射されて平面部103aに入射した光は拡散板104における一部の領域に集光され、輝度ムラ(輝点あるいは輝線)として視認されてしまう。
【0008】
特に、図9の構成では、光源102と平面部103aとの距離が近いため、光源102から出射した光のうち平面部に入射する光の割合が大きく、拡散板104において輝線が生じやすい。また、図9の構成では、レンズ103の取り付け誤差等によりレンズ103の位置が正規の取り付け位置よりも光源102の光軸方向に沿って基板101から遠ざかる方向にずれた場合、平面部103aに入射する光の割合がさらに大きくなり、拡散板104においてより顕著な輝線が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源から出射された光を屈折させるレンズを備えた照明装置において、上記レンズから出射される光による輝度ムラを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレンズは、上記の課題を解決するために、光源から入射される光を屈折させて出射するレンズであって、上記光源に対向するように配置され、上記光源の光出射方向側に窪んだ凹部を有する湾曲部を備え、上記湾曲部は、上記光源が装着される被装着部材の表面における上記光源の配置位置とは異なる位置に対向する端面を有し、上記光源の配置位置の中心から上記端面における上記光源側の端部までの距離をa、上記光源側の端部から上記光源と反対側の端部までの距離をbとしたときに、a>bの関係を満たすことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、光源と端面との距離が長く、端面の面積が小さいので、光源から出射されて端面に入射する光量を低減することができ、端面に入射した光が特定の領域に集光されることを防止し、輝度ムラが生じることを防止することができる。
【0012】
また、上記湾曲部における上記光源側の面である内周面は、上記光源の光軸方向を含む位置に配置される湾曲面と、上記端面と上記湾曲面との間に配置された、上記端面に対して傾斜した面である切欠面とからなる構成としてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、切欠面を有することにより、光源と端面との距離をより長くし、かつ端面の面積をより小さくすることができる。したがって、光源から側方に向けて出射され、端面に入射する光の光量をさらに低減できるので、光源から出射された光が特定の領域に集光されることをより適切に防止することができる。
【0014】
本発明の照明装置は、光源と、上記光源が装着される被装着部材と、上述したいずれかのレンズを備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、光源と端面との距離が長く、端面の面積が小さいので、光源から出射されて端面に入射する光量を低減することができ、端面に入射した光が特定の領域に集光されることを防止し、輝度ムラが生じることを防止することができる。
【0016】
また、上記レンズにおける上記光源側とは反対側の面に対向配置された拡散板を備え、上記光源から出射された光を上記レンズによって拡散させて上記拡散板に入射させることにより上記拡散板を面状に発光させる構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、光源から出射された光がレンズによって拡散板における特定の領域に集光されることを防止し、拡散板において輝度ムラが生じることを防止することができる。
【0018】
また、上記被装着部材と上記拡散板との間に、上記光源から当該光源の光軸方向に対して所定角度以上の傾斜角度で出射された光を上記拡散板に向けて反射させるための反射面を有する反射部材を備えている構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、拡散板に到達する光の光量を増加させることができるので、光の利用効率を高めることができる。
【0020】
また、上記反射面は、上記被装着部材における上記端面と対向する面に対して傾斜している構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、反射部材で反射した光が拡散板における特定の領域に集光されることを防止することができ、反射部材で反射した光によって輝度ムラが生じることを防止できる。
【0022】
また、上記レンズは、上記湾曲部における上記光源側の面である内周面が、上記光源の光軸を含む位置に配置される湾曲面と、上記端面と上記湾曲面との間に配置された、上記端面に対して傾斜した面である切欠面とからなり、かつ、上記湾曲部の外周面側に設けられた、上記被装着部材に対向するように上記端面から延設された面を有する平板部を備え、上記切欠面の上記端面に対する傾斜角度は、上記光源から出射されて当該切欠面から上記レンズ内に入射した光の一部が上記湾曲部の外周面から上記レンズの外部に出射され、上記光源から出射されて当該切欠面から上記レンズ内に入射した光の他の一部が上記平板部を介して上記レンズの外部に出射される角度であり、かつ、上記切欠面を介して上記湾曲部の外周面から上記レンズの外部に出射される光が上記拡散板の外縁部を含む所定範囲の領域に到達する角度であり、上記反射部材における上記反射面の形状は、上記切欠面を介して上記平板部から出射される光の上記拡散板に対する到達範囲の少なくとも一部が、上記拡散板における上記所定範囲の領域よりも上記光源の光軸方向側になるように上記切欠面を介して上記平板部から出射される光を反射させる形状である構成としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、切欠面を備えることにより、レンズの平板部に入射する光を低減することができるので、光源から出射された光がレンズによって拡散板における特定の領域に集光されることをより適切に防止することができる。また、切欠部に入射した光のうち湾曲部の外周面からレンズの外部に出射される光の拡散板に対する到達範囲と、平板部からレンズの外部に出射される光の拡散板に対する到達範囲とを異ならせることができるので、拡散板における特定の領域に光が集光することをより適切に防止することができる。
【0024】
また、上記光源は、光軸方向に対する傾斜角度に応じて出射光の色温度が変化する出射光特性を有している構成としてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、レンズから拡散板よりも基板側に出射された光、すなわち光軸方向に対する傾斜角度が大きい出射光を反射部材によって拡散板に向けて反射させることができる。これにより、光軸方向に対する傾斜角度が小さい出射光と光軸方向に対する傾斜角度が大きい出射光とを混色させることができ、拡散板において色ムラが生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明のレンズおよび照明装置によれば、光源から出射された光がレンズによって特定の領域に集光されることを抑制し、輝度ムラが生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態にかかる光源装置(照明装置)の断面図である。
【図2】図1に示した照明装置を備えた照明器具の斜視図である。
【図3】図2に示した照明器具の断面図である。
【図4】図1に示した光源装置(照明装置)の斜視図である。
【図5】図1に示した光源装置(照明装置)に備えられる光源の出射光の特性を示す説明図である。
【図6】図1に示した光源装置(照明装置)および比較例にかかる照明装置における、光源から出射されて拡散板に到達する光の一部の軌跡を示した説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる光源装置(照明装置)の断面図である。
【図8】図7に示した光源装置(照明装置)における、光源から出射されて拡散板に到達する光の一部の軌跡を示した説明図である。
【図9】従来技術の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明を天井に取り付けられる照明装置に適用する場合について説明するが、本発明の適用対象はこれに限るものではなく、拡散板を面状に発光させる構成の照明装置であれば適用できる。
【0029】
図2は、本実施形態にかかる照明器具10の外観を示す斜視図である。図2に示すように、この照明器具10は、一方向に延伸する矩形形状(長辺1255mm×短辺255mm)の天井取付面11と、床面側に設けられた2つの発光面12とを備えている。
【0030】
図3は、照明器具10における図2に示したA−A断面の断面図である。図3に示すように、照明器具10は、断面が略台形状である筐体13と、照明器具10の延伸方向に沿って延伸するように筐体13内の略中央部に設けられた配線収納部14と、照明器具10の延伸方向に沿って延伸するように配線収納部14の両側に設けられた2つの光源装置(照明装置)20とを備えている。
【0031】
筐体13の材質は特に限定されるものではないが、本実施形態ではアルミニウムからなる筐体を用いた。筐体13の天井取付面11には、照明器具10を天井に取り付けるため取付部、および天井側に設けられた電源配線と照明器具10内の配線とを接続するための配線接続部などが設けられている(いずれも図示せず)。
【0032】
配線収納部14には、天井側に配置された電源配線と光源装置20とを接続するための配線等(図示せず)が収納されている。
【0033】
図4は光源装置20の概略構成を示す斜視図(透過斜視図)であり、図1は光源装置20における図4に示したB−B断面の断面図である。なお、これら各図では、説明の便宜上、発光面側(照明器具10の床面側に配置される面)が図中の上側を向くように描いている。
【0034】
図1に示すように、光源装置20は、基板21、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)22、レンズ23、反射板24、および拡散板25を備えている。
【0035】
基板21は光源装置20の延伸方向に沿って延伸するように設けられた平板状の部材であり、基板21の基板面上には光源装置20の延伸方向に沿って複数のLED22が所定のピッチで配置されている。なお、基板21には、各LED22の点灯状態を制御するための制御回路が設けられており、この制御回路は配線収納部14に収納されている配線等を介して天井側の電源配線に接続されている。これにより、制御回路に各LED22を点灯させるための電力が供給される。なお、制御回路の一部または全部が、筐体13における光源装置20の外部(例えば配線収納部14)に設けられていてもよい。
【0036】
LED(光源)22は光源装置20に光源として備えられるものであり、上述したように光源装置20の延伸方向に沿って複数のLED22が所定のピッチで配置されている。なお、本実施形態では光源としてLEDを用いているが、これに限るものではなく、例えば、蛍光体、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、半導体光源等の他の光源を用いてもよい。
【0037】
本実施形態では、LED22として、青色の発光素子から出射される青色光と青色光で励起される黄色の蛍光との混色によって生成される白色光を出射するLEDを用いた。図5は、本実施形態で用いたLED22の出射光の色特性を示す説明図である。この図に示すように、LED22は、光軸Y(基板21の基板面法線方向)に対する光の出射角度(光源装置20の延伸方向に垂直、かつ光軸Yを含む平面の平面内角度)に応じて色温度が変化する特性を有している。具体的には、光軸Yに対する傾斜角度が小さくなるほど出射光の色温度が高くなり(白色に近くなり)、光軸Yに対する傾斜角度が大きくなるほど出射光の色温度が低くなる(黄色に近くなる)特性を有している。なお、図5に示したように、本実施形態で用いたLED22の出射光の色温度の範囲は、約4400°〜6000°である。
【0038】
レンズ23は、LED22から入射する光を屈折させて出射することにより拡散させるためのものである。このレンズ23は、光源装置20の延伸方向に沿って延伸しており、基板21上に設けられた複数のLED22を覆うように基板21に取り付けられている。
【0039】
なお、レンズ23は、一体的に成型された長尺のレンズによって上記の複数のLED(光源)22を覆う構成であってもよく、それぞれ別体に成型された複数のレンズによって上記の複数のLED22を覆う構成であってもよい。例えば、1個のLED(光源)22に対して1個のレンズを備える構成としてもよく、複数個のLED22毎に1個のレンズを備える構成としてもよい。
【0040】
具体的には、レンズ23は、図1に示したように、LED22を覆うようにLED22の光出射側に対向配置される湾曲部31と、湾曲部31におけるレンズ23の延伸方向に垂直な断面の両端からレンズ23の外側(LED22の光軸Yに直交し、かつLED22から遠ざかる方向)に向かって延設された、基板21の基板面に略平行な平板部32とを備えている。
【0041】
湾曲部31は、LED22の光出射方向側に窪んだ凹部(内周面34)を有している。また、レンズ23の延伸方向に垂直な断面における湾曲部31の両端の端面36は、基板21の基板面におけるLED22の側方の位置(LED22に対して光軸Yに略垂直な方向の位置)に対向するように配置されている。
【0042】
平板部32は、レンズ23をLED(光源)22が装着される被装着部材(本実施形態では基板21)に取り付けるための部材であり、湾曲部31の上記端面36からレンズ23の外側に延設するように湾曲部31と一体的に成型されている。なお、平板部32における基板21との対向面と、湾曲部31の端面36とは同一面に形成されている。また、平板部32にはネジ穴(図示せず)が設けられており、このネジ穴を用いてレンズ23が基板21にネジ止めされている。
【0043】
なお、平板部32は、レンズ23の長手方向の全域に設けられていてもよく、一部の領域にのみ設けられていてもよい。また、平板部32は必須の構成ではなく、省略してもよい。例えば、平板部32を設けず、湾曲部31の端面36を被装着部材に接着、溶着、嵌合、係合等により装着するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、湾曲部31の端面36をLED22が装着される基板(被装着部材)21に対向配置する構成について説明するが、これに限るものではない。例えば、湾曲部31の端面36の一部または全部を、LED(光源)22が直接または基板21等を介して間接的に装着される他の被装着部材(例えば光源装置20のヒートシンク、シャーシ等)に対向配置するようにしてもよい。同様に、平板部32についても、当該平板部32の一部または全部を、上記の他の被装着部材(例えば光源装置20のヒートシンク、シャーシ等)に対向配置するようにしてもよい。
【0045】
湾曲部31の外周面33の断面形状(光源装置22の延伸方向に垂直な断面の断面形状)は特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、双曲線形、あるいはその他の形状であってもよい。なお、湾曲部31の外周面33の断面形状は、LED22から出射されてレンズ23に入射した光を拡散板25の全域にわたって略均一に到達させるように出射できる形状であることが好ましい。
【0046】
湾曲部31の内周面34の断面形状(光源装置22の延伸方向に垂直な断面の断面形状)についても、LED22から出射されてレンズ23に入射した光を拡散板25の全域にわたって略均一に到達させるように出射できる形状であることが好ましい。
【0047】
本実施形態では、湾曲部31の内周面34の断面形状(光源装置22の延伸方向に垂直な断面の断面形状)を、LED22の光軸Y(LED22の出射光の主軸方向)を軸として線対称な曲線形状とし、内周面34によってLED22の光出射方向側に窪んだ凹部が形成される形状としている。また、湾曲部31の両端(光源装置22の延伸方向に垂直な断面の両端)には、基板21の基板面に対して略平行な端面36が形成されている。また、湾曲部31の内周面34と基板21との間に形成される内部空間の大きさが従来の一般的な照明装置に備えられるレンズに比べて大きくなるように設定している。具体的には、レンズ23は、LED22の上記断面における基板面内方向の中心(LED22の配置位置の中心)から端面36におけるLED22側の一方の端部までの距離をa、端面36における上記一方の端部から端面36におけるLED22と反対側の他方の端部までの距離をbとしたときに、a>bの関係を満たす形状を有している。
【0048】
より具体的には、レンズ23の延伸方向に垂直な断面において、LED22の光軸Y(LED22における基板21の基板面内方向の中心を通り基板21の基板面に垂直な軸)と湾曲部31の端面36におけるLED22側の端部(内周面34における基板21側の端部と端面36との接続部)との基板面内方向についての距離をa、上記端部と端面36におけるLED22から遠い側の端部(湾曲部31の外周面33における平板部32との接続部)との基板面内方向についての距離をbとすると、a>bの関係を満たすように湾曲部31の断面形状を設定している。
【0049】
また、湾曲部31の内周面34におけるLED22の光軸Y上の位置と平板部32における基板21側の表面との基板面法線方向(光軸方向)についての距離をcとすると、b<cの関係を満たすように湾曲部31の内周面の断面形状を設定している。
【0050】
また、レンズ23の延伸方向に垂直な断面において、内周面34の全域が曲面である形状としている。
【0051】
また、レンズ23の延伸方向に垂直な断面における内周面34の接線が、LED22の光軸Y上の位置を除いて常に基板21の基板面に対して傾斜している形状(内周面34の接線と基板21の基板面とのなす角度θが0°<θ<90°である形状)としている。換言すれば、レンズ23の延伸方向に垂直な断面における内周面34上の各位置と基板21の基板面との距離(光軸Y方向に沿った距離)が、光軸Yからの基板面内方向についての距離(光軸Yに垂直な方向の距離)が異なる位置同士では必ず異なり、かつLED22の光軸Yからの基板面内方向についての距離(光軸Yに垂直な方向の距離)が長くなるほど短くなる形状にしている。すなわち、レンズ23の内周面34における基板21側の端部近傍に、基板21の基板面に平行な平面部が設けられていない形状としている。
【0052】
より具体的には、本実施形態では、図1に示したように、上記距離aを5mm、上記距離bを3.7mm、上記距離cを7.1mmとした。また、本実施形態では、湾曲部31の外周面33におけるLED22の光軸上の位置と平板部32における基板21側の表面との基板面法線方向(光軸方向)についての距離dを9.2mmとした。また、平板部32における基板21の基板面内方向の幅(レンズ23の延伸方向に垂直な方向の幅)を7.55mmとした。また、平板部32の厚さ、すなわち平板部32における基板21の基板面法線方向の幅を1.3mmとした。
【0053】
反射板(反射部材)24は、レンズ23からLED22の側方に出射された光、すなわちLED22の光軸Yに対して所定角度以上の傾斜角度(光軸Yに直交する方向に近い出射角度)で出射された光を拡散板25へ向けて反射するためのものである。具体的には、反射板24は、拡散板25における光源装置20の延伸方向に垂直な方向の端部41と基板21における光源装置20の延伸方向に垂直な方向の端部42とを結ぶ領域である光源装置20の側面部に備えられる第1反射部24aと、基板21とレンズ23の底面(レンズ23における基板21との対向面、すなわち端面36および平板部32における基板21との対向面)とによって挟まれる領域であるレンズ取付部に備えられる第2反射部24bとを備えている。
【0054】
すなわち、レンズ23の底面(端面36および平板部32における基板21との対向面)は反射板24の第2反射部24bにおける一方の面に当接し、基板21の基板面は反射板24の第2反射部24bにおける他方の面に当接しており、レンズ23の底面(端面36および平板部32における基板21との対向面)と基板21とは反射板24の第2反射部24bを介して対向するように配置されている。
【0055】
また、第1反射部24aは、基板21における光源装置20の延伸方向に垂直な方向の端部42から拡散板25における光源装置20の延伸方向に垂直な方向の端部41に向かって、光軸Yから当該第1反射部24aまでの当該光軸Yに直交する方向についての距離が長くなるように配置されている。
【0056】
本実施形態では、図1に示すように、光源装置20の延伸方向に沿って延伸する平板状の反射板における上記延伸方向に垂直な断面の両端部をそれぞれ傾斜角36°でLED22の光軸に対して軸対称に拡散板25側に折り曲げることにより、上記断面においてレンズ23に対して一方の側に配置される第1反射部24aおよび第2反射部24b、および他方の側に配置される第1反射部24aおよび第2反射部24bを1枚の反射板で形成している。ただし、反射板(反射部材)24の構成はこれに限るものではない。例えば、上記断面においてレンズ23に対して一方の側に配置される第1反射部24aおよび第2反射部24bを1枚の反射板で形成し、他方の側に配置される第1反射部24aおよび第2反射部24bを他の1枚の反射板で形成するようにしてもよい。また、第1反射部24aと第2反射部24bとを別々の反射板で構成してもよい。また、第1反射部24aおよび第2反射部24bに加えて、基板21におけるレンズ23の湾曲部31との間に形成される内部空間に露出している領域のうち少なくともLED22を除く領域を覆う第3反射部(図示せず)を設けてもよい。また、この第3反射部は、第2反射部24bと一体的に形成されていてもよく、第2反射部24bとは別に形成されていてもよい。また、第1反射部24aは、板状の反射部材を用いる構成に限らず、レンズ23側の面に反射面を有する、断面形状が三角形、四角形、台形、あるいは他の形状からなる立体形状の反射部材を用いてもよい。
【0057】
反射板24の材質は特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム等の金属材料や、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂材料など、従来から反射部材として用いられている公知の材料を用いることができる。本実施形態では、厚さ0.1mmのPETからなる反射板を用いた。
【0058】
拡散板25は、照明器具10の発光面12としての機能を有しており、LED22から出射されて当該拡散板25に到達した光を拡散させて照明器具10の外部に出射する。拡散板25の材質は特に限定されるものではなく、例えば従来から拡散板として用いられている公知の材料を用いることができる。本実施形態では、厚さ1.5mmの乳白色のポリカーボネート樹脂からなる拡散板を用いた。
【0059】
図6は、本実施形態にかかる光源装置20、および比較例にかかる照明装置(図9に示した照明器具100)における、光源から出射されて拡散板に到達する光の一部の軌跡を示した説明図である。
【0060】
なお、図6の(a)は照明器具100においてレンズ103の取り付け位置が設計上の正常位置(デフォルト位置)である場合の例を示しており、図6の(b)はレンズ103の取り付け位置が光軸方向かつ拡散板側に0.5mmずれている場合の例を示しており、図6の(c)はレンズ103の取り付け位置が光軸方向かつ基板側に0.5mmずれている場合の例を示している。
【0061】
また、図6の(d)は光源装置20においてレンズ23の取り付け位置が設計上の正常位置(デフォルト位置)である場合の例を示しており、図6の(e)はレンズ23の取り付け位置が光軸方向かつ拡散板側に0.5mmずれている場合の例を示しており、図6の(f)はレンズ23の取り付け位置が光軸方向かつ基板側に0.5mmずれている場合の例を示している。
【0062】
図6の(a)に示したように、比較例にかかる照明器具100では、レンズ103の端面は、基板101の基板面に平行な平面部103aと平板部105に連接された平面部103cによって構成されている。また、レンズ103は、光源102の中心から上記端面における光源102側の一方の端部までの距離をa、上記端面における上記一方の端部から上記端面における光源102と反対側の他方の端部までの距離をbとしたときに、a<bの関係を満たす形状になっている。すなわち、本実施形態にかかるレンズ23のようにa>bの関係にはなっていない。このため、光源102と端面との距離が短く、しかも端面の面積が大きいので、光源102から側方に出射されて上記端面(平面部103aおよび103c)に入射する光の光量が大きくなっていた。このため、端面(平面部103aおよび103c)に入射した光が、当該端面およびレンズ外周面103bにおける屈折作用により、拡散板104における一部の領域に集光され、拡散板104において輝線が生じていた。また、光源102から側方に出射された光は上記端面およびレンズ外周面103bにおける屈折作用により拡散板104における外縁部(拡散板104における照明器具100の延伸方向に垂直な方向の両端部)よりも中央部に近い領域に集光されるので、拡散板104の外縁部に光が届きにくく、外縁部の輝度が低くなって暗部が発生していた。
【0063】
また、上記の輝線は、光源102から光軸方向に対する傾斜角度が比較的大きい方向に出射されて平面部103aに入射した光によって形成されることから、色温度が低く、黄色に視認されるため、色ムラの原因にもなっていた。
【0064】
また、図6の(b)に示したように、レンズ103の取り付け位置が拡散板104側にずれた場合、すなわちレンズ103と光源102とが光軸方向に離れる方向にずれた場合には、端面(平面部103aおよび103c)に入射する光の光量が増加することにより、拡散板104における特定の領域に集光される光の光量が増加して輝線の程度が顕著になるとともに、拡散板104の外縁部に到達する光の光量が低下して暗部が拡大していた。
【0065】
また、図6の(c)に示したように、レンズ103の取り付け位置が基板101側にずれた場合、すなわちレンズ103と光源102とが光軸方向に近づく方向にずれた場合には、端面(平面部103aおよび103c)に入射する光の光量が減少することにより、拡散板104の外縁部に到達する光の光量が増加して暗部がわずかに低減され、拡散板104における特定の領域に集光される光の光量が減少して輝線がわずかに低減されていた。
【0066】
これに対して、本実施形態にかかる光源装置20では、レンズ23の内周面34を上述したようにa>bの関係を満たす形状にすることにより、湾曲部31の端面36とLED22との距離が長いため、LED22から側方(光軸Yに対する傾斜角度(出射角度)が所定角度以上である方向)に出射されて端面26に入射する光の光量を上述した比較例の場合よりも減少させることができる。また、端面36の基板面内方向についての幅bが端面36とLED22との距離aに対して相対的に小さいため、すなわち端面36の面積が小さいため、端面36に入射する光量をさらに減少させることができる。その結果、図6の(d)に示したように、端面36に入射した光が拡散板25における特定の領域に集光されて輝線が生じたり、端面36に入射した光が拡散板25の中央部に集光して拡散板25の外縁部に到達する光が不足することで暗部が生じたりすることを防止し、拡散板25の全域にわたってほぼ均一な輝度を実現できる。
【0067】
また、本実施形態にかかる光源装置20では、レンズ23の内周面34を上述したようにb<cの関係を満たす形状にしている。b>cである場合、レンズ23の内周面(湾曲面)34に対するLED22からの出射光の入射角度が大きくなるので、レンズ23の内周面(湾曲面)34に入射した光はレンズ23における屈折により拡散板34における光軸Yに比較的近い領域に主に集光される。その結果、拡散板34の外縁部に到達する光の光量が低下して外縁部に暗部が発生する場合がある。これに対して、本実施形態のようにb<cにすることにより、レンズ23の内周面(湾曲面)34に対するLED22からの出射光の入射角度を小さくすることができる。その結果、上記のb>cの場合とaの値が一定であっても、レンズ23の内周面(湾曲面)34に入射した光を拡散板34におけるより広範囲な領域に拡散させることができる。これにより、拡散板34に到達する光の輝度分布をより均一にすることができる。
【0068】
また、レンズ23を上記形状にすることにより、図6の(e)に示したように、レンズ23の取り付け位置が拡散板25側に多少ずれた場合であっても、輝線および暗部の発生を防止し、拡散板25の全域にわたってほぼ均一な輝度を実現できる。
【0069】
また、図6の(d)に示したように、LED22から出射された光のうち、LED22の光軸方向に対する傾斜角度が比較的小さい方向に出射された光、すなわちLED22の光軸方向に比較的近い方向に出射された光はレンズ23によって拡散されて拡散板25の全域に分散して入射する。また、LED22の光軸方向に対する傾斜角度が比較的大きい方向に出射された光、すなわちLED22の側方に出射された光は、拡散板25の端部と基板21の端部とを結ぶ位置に基板21の基板面に対して所定角度(本実施形態では36°)で傾斜するように配置された反射板24によって拡散板25の方向へ反射する。また、反射板24の反射面は基板21の基板面に対して所定角度(本実施形態では36°)で傾斜するように配置されているので、反射板24に入射した光は拡散板25の外縁部に集光されることなく、拡散板25の中央部側に反射する。これにより、LED22の光軸方向に対する傾斜角度が比較的小さく色温度の高いLED22からの出射光と反射板24で反射した色温度の低いLED22からの出射光とを効果的に混色させることができ、色ムラの発生を防止することができる。
【0070】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
図7は、本実施形態にかかる光源装置(照明装置)20bにおける当該光源装置20bの延伸方向に垂直な断面の断面図である。この光源装置20bは、実施形態1に示した光源装置20に代えて照明器具10に備えられるものである。
【0072】
光源装置20bは、実施形態1に示した光源装置20におけるレンズ23に代えてレンズ23bを備えている点が光源装置20と異なっており、その他の点は光源装置20と同様の構成である。また、レンズ23bは、内周面における基板21側の両端部に切欠部(切欠面)35が設けられている点が実施形態1におけるレンズ23と異なっており、その他の点はレンズ23と同様の構成である。
【0073】
図7に示したように、切欠部35は、実施形態1で用いたレンズ23の内周面34の両端部を、当該端部から基板21の基板面法線方向に1.3mmの位置と基板21の基板面内方向に1.3mmの位置とを結ぶ平面で切除(面取り)した形状を有している。すなわち、切欠部35は、LED22の光軸方向を含む位置に配置された湾曲面と端面36との間に配置されており、基板21の基板面に対して45°の角度で傾斜した平面形状を有している。なお、光源装置20の延伸方向に垂直な断面において、切欠部35における光軸Yから遠い側の端部は、光軸Yから近い側の端部よりも基板21に近い位置に配置されている。
【0074】
したがって、レンズ23bの内周面34の断面形状(内周面34における光源装置22の延伸方向に垂直な断面の断面形状)は、LED22の光軸方向(LED22の出射光の主軸方向)を軸として線対称な曲線部(曲面部)と、曲線部の両端側に設けられた、基板21の基板面に対して45°の角度で傾斜した直線部(平面部)とによって構成されている。なお、切欠部35の基板面に対する傾斜角度は45°に限るものではなく、LED22から切欠部35に入射した光の一部が湾曲部31の外周面33からレンズ23bの外部に出射され、残りが平板部32内を伝搬するようにLED22から入射する光を屈折させることができる角度であればよい。また、切欠部35の基板面法線方向についての範囲についても特に限定されるものではないが、平板部32の厚さと同程度であることが好ましい。また、切欠部35の形状は、基板21の基板面に対して傾斜した形状であれば上記断面形状において直線部(平面部)となる形状に限定されず、曲線状(曲面状)であってもよい。
【0075】
具体的には、本実施形態では、図7に示したように、レンズ23bの延伸方向に垂直な断面において、LED22の光軸Y(LED22における基板21の基板面内方向の中心を通り基板21の基板面に垂直な軸)と湾曲部31の端面36におけるLED22側の端部(内周面34における基板21側の端部(切欠部35における基板21側の端部)と端面36との接続部)との基板21の基板面内方向についての距離をa、湾曲部31の端面36におけるLED22側の端部(切欠部35における基板21側の端部)と湾曲部31の端面36におけるLED22とは反対側の端部(湾曲部31の外周面33における平板部32との接続部)との基板21の基板面内方向についての距離をbとすると、a>bの関係を満たすように湾曲部31の断面形状を設定している。また、湾曲部31の内周面34におけるLED22の光軸上の位置と平板部32における基板21側の表面との基板面法線方向(光軸方向)についての距離をcとすると、b<cの関係を満たすように湾曲部31の内周面の断面形状を設定している。
【0076】
より具体的には、本実施形態では、図7に示したように、上記距離aを6.3mm、上記距離bを2.4mm、上記距離cを7.1mmとした。また、本実施形態では、湾曲部31の外周面33におけるLED22の光軸上の位置と平板部32における基板21側の表面との基板面法線方向(光軸方向)についての距離dを9.2mmとした。また、平板部32における基板21の基板面内方向の幅(レンズ23の延伸方向に垂直な方向の幅)を7.55mmとした。また、平板部32の厚さ、すなわち平板部32における基板21の基板面法線方向の幅を1.3mmとした。
【0077】
また、本実施形態では、レンズ23の内周面34におけるレンズ23の延伸方向に垂直な断面形状を、当該断面における内周面34(切欠部35を含む)の接線がLED22の光軸上の位置を除いて常に基板21の基板面に対して傾斜している形状(内周面34の接線と基板21の基板面とのなす角度θが0°<θ<90°である形状)としている。換言すれば、レンズ23の延伸方向に垂直な断面における内周面34(切欠部35を含む)上の各位置と基板21の基板面との距離(光軸Y方向に沿った距離)が、光軸Yからの基板面内方向についての距離(光軸Yに垂直な方向の距離)が異なる位置同士では必ず異なり、かつLED22の光軸Yからの基板面内方向についての距離が長くなるほど短くなる形状にしている。すなわち、また、レンズ23の内周面34の端部近傍に、基板21の基板面に平行な平面部が設けられていない形状としている。
【0078】
図8は、本実施形態にかかる光源装置20bにおける、LED22から出射されて拡散板25に到達する光の一部の軌跡を示した説明図である。
【0079】
図8に示したように、本実施形態にかかるレンズ23bは、切欠部35を備えているので、LED22の中心と端面36におけるLED22側の端部との距離aが実施形態1におけるレンズ23よりもさらに長く、端面36におけるLED22側の端部と端部36におけるLED22とは反対側の端部との距離(端面36の幅)bが実施形態1におけるレンズ23よりもさらに短い。すなわち、端面36とLED22との距離が実施形態1におけるレンズ23よりもさらに長く、端面36の面積が実施形態1におけるレンズ23よりもさらに小さい。これにより、LED22から出射されて端面36に入射する光を実施形態1よりもさらに減少させることができる。したがって、端面36に入射した光が拡散板25における特定の領域に集光されて輝線が生じたり、拡散板25の外縁部に到達する光が低減して暗部が生じたりすることを、より適切に防止することができる。
【0080】
また、図8に示したように、本実施形態にかかる光源装置20bでは、レンズ23bの内周面34の端部に基板21の基板面に対して所定角度で傾斜した切欠部35が設けられている。これにより、切欠部35が設けられていない場合に平板部32に入射していた光の一部が、切欠部35が備えられていることにより、切欠部35への入射時に光軸Yに近づく方向に屈折させられるため、平板部32に入射することなく湾曲部31の外周面33から出射される。
【0081】
このため、切欠部35が設けられていない場合には平板部32から反射板24に出射され、反射板24によって拡散板25における基板面内方向の中央部付近の一部の領域に集光されていた光の一部を、平板部32を介することなく拡散板25における基板面内方向の両端部(外縁部)付近へ到達させることができる。
【0082】
したがって、拡散板25における光源装置20の延伸方向に垂直な断面における中央部付近に輝線が生じることを防止するとともに、当該断面の端部付近の輝度が低下して暗部が生じることを防止することができ、輝度ムラをより効果的に防止できる。
【0083】
また、切欠部35が設けられていない場合にはLED22から光軸方向に対する傾斜角度が比較的大きい方向に出射される色温度の低い光が平板部32から反射板24に出射され、反射板24によって拡散板25における基板面内方向の中央部付近の一部の領域に集光される結果、色ムラが生じる場合があった。これに対して、上記の構成によれば、切欠部35が設けられていない場合に平板部32から反射板24に出射され、反射板24によって拡散板25における基板面内方向の中央部付近の一部の領域に集光されていた光の一部を、平板部32を介することなく拡散板25における基板面内方向の両端部付近へ到達させることができる。したがって、色温度の低い光が拡散板25における特定の領域に集光されることを防止し、色ムラが生じることをより効果的に防止できる。
【0084】
以上のように、上記各実施形態にかかる光源装置20は、レンズ23の延伸方向に垂直な断面における内周面34の形状が、LED22における基板21の基板面内方向の中心部と湾曲部31の内周面34における基板21側の端部との基板21の基板面内方向についての距離をa、湾曲部31の内周面34における基板21側の端部と湾曲部31の外周面33における平板部32との接続部との基板21の基板面内方向についての距離をbとすると、a>bの関係を満たすように設定されている。換言すれば、レンズ23は、LED(光源)22に対向するように配置され、LED22の光出射方向側に窪んだ凹部を有する湾曲部31を備えており、湾曲部31は、LED22が装着される基板(被装着部材)21の表面におけるLED22の配置位置とは異なる位置に対向する端面36を有している。そして、端面36は、LED22の配置位置の中心から当該端面36におけるLED22側の端部までの距離をa、当該端面36におけるLED22側の端部からLED22と反対側の端部までの距離をbとしたときに、a>bの関係を満たす形状になっている。
【0085】
これにより、拡散板25における特定の領域に光が集光されることを防止し、輝度ムラが生じることを防止できる。
【0086】
なお、上記各実施形態では、レンズ23,23bの内周面におけるLED22から出射される光の光軸上の位置が曲面形状である構成について説明したが、これに限るものではなく、少なくとも上述したa>bの関係を満たす構成であればよい。また、特許文献1と同様、レンズ23,23bの内周面におけるLED22から出射される光の光軸上の位置に、LED22から出射された光を散乱または拡散させる光学機能部を設けてもよい。上記光学機能部は、例えば、光拡散性を有する材料をレンズ23,23aの内周面に印刷することによって形成してもよく、レーザ加工等によりレンズ23,23aの内周面に加工処理(例えば粗し処理等)を施すことによって形成してもよい。
【0087】
また、上記各実施形態では、一方向に延伸する形状を有する光源装置20,20bについて説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではなく、例えば、光源の光軸方向に対して軸対称な形状を有する光源装置に適用できる。
【0088】
また、上記各実施形態では、本発明を天井に備えられる照明装置に適用する場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。例えば、壁面あるいは床面に備えられる照明装置、床面や卓上に配置されるスタンド型の照明装置、あるいは液晶表示装置に備えられるバックライト(照明装置)などに適用することもできる。
【0089】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、光源から出射された光を拡散させるレンズ、および上記レンズを備えた照明装置に適用できる。
【符号の説明】
【0091】
10 照明器具
20,20b 光源装置(照明装置)
21 基板
22 LED(光源)
23,23b レンズ
24 反射板(反射部材)
24a 第1反射部(反射部材)
24b 第2反射部
25 拡散板
31 湾曲部
32 平板部
33 外周面
34 内周面
35 切欠部(切欠面)
36 端部
Y 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射される光を屈折させて出射するレンズであって、
上記光源に対向するように配置され、上記光源の光出射方向側に窪んだ凹部を有する湾曲部を備え、
上記湾曲部は、上記光源が装着される被装着部材の表面における上記光源の配置位置とは異なる位置に対向する端面を有し、
上記光源の配置位置の中心から上記端面における上記光源側の端部までの距離をa、上記光源側の端部から上記光源と反対側の端部までの距離をbとしたときに、a>bの関係を満たすことを特徴とするレンズ。
【請求項2】
上記湾曲部における上記光源側の面である内周面は、上記光源の光軸方向を含む位置に配置される湾曲面と、上記端面と上記湾曲面との間に配置された、上記端面に対して傾斜した面である切欠面とからなることを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
光源と、上記光源が装着される被装着部材と、請求項1または2に記載のレンズとを備えていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
上記レンズにおける上記光源側とは反対側の面に対向配置された拡散板を備え、上記光源から出射された光を上記レンズによって拡散させて上記拡散板に入射させることにより上記拡散板を面状に発光させることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
上記被装着部材と上記拡散板との間に、上記光源から当該光源の光軸方向に対して所定角度以上の傾斜角度で出射された光を上記拡散板に向けて反射させるための反射面を有する反射部材を備えていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
上記反射面は、上記被装着部材における上記端面と対向する面に対して傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
上記レンズは、
上記湾曲部における上記光源側の面である内周面が、上記光源の光軸を含む位置に配置される湾曲面と、上記端面と上記湾曲面との間に配置された、上記端面に対して傾斜した面である切欠面とからなり、かつ、
上記湾曲部の外周面側に設けられた、上記被装着部材に対向するように上記端面から延設された面を有する平板部を備え、
上記切欠面の上記端面に対する傾斜角度は、上記光源から出射されて当該切欠面から上記レンズ内に入射した光の一部が上記湾曲部の外周面から上記レンズの外部に出射され、上記光源から出射されて当該切欠面から上記レンズ内に入射した光の他の一部が上記平板部を介して上記レンズの外部に出射される角度であり、かつ、上記切欠面を介して上記湾曲部の外周面から上記レンズの外部に出射される光が上記拡散板の外縁部を含む所定範囲の領域に到達する角度であり、
上記反射部材における上記反射面の形状は、上記切欠面を介して上記平板部から出射される光の上記拡散板に対する到達範囲の少なくとも一部が、上記拡散板における上記所定範囲の領域よりも上記光源の光軸方向側になるように上記切欠面を介して上記平板部から出射される光を反射させる形状であることを特徴とする請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
上記光源は、光軸方向に対する傾斜角度に応じて出射光の色温度が変化する出射光特性を有していることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−73847(P2013−73847A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213276(P2011−213276)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】