説明

レンズアクチュエータ

【課題】光ディスクドライブに搭載するレンズアクチュエータの生産性を向上させる。
【解決手段】門形の可動部10と、可動部10に装着した配線基板60と、可動部10を変位可能に支持するワイヤー50と、ワイヤー50を支持する固定部70と、制御コイルに対向配置された永久磁石81,82とを備える。配線基板60に1枚の片面基板66を用いる。片面基板66を可動部10の一方側の側板部14の内面に重なり状に接合する。ワイヤー50を片面基板66のランド部に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)といった円板状の光記録媒体を光学的に処理するための光ディスクドライブに搭載されるレンズアクチュエータに関する。さらに詳しくは、薄形化を阻害することなく部品点数及び部品コストの低減を図り、組立て作業性を改善するために、可動部に装備される配線基板の構成やその実装箇所に工夫を講じたレンズアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は上掲の3種類の光記録媒体を光学的に処理する機能を備えた光ピックアップについての光路図をレンズホルダーとしての可動部10と共に示した説明図であり、図6は可動部10と立ち上げミラー48,49との位置関係を示した概略縦断側面図である。また、図7は従来例としてのレンズアクチュエータの要部の分解斜視図、図8は同レンズアクチュエータの要部の概略斜視図である。
【0003】
図5及び図6に示したレンズホルダーとしての可動部10は、CD又はDVDに対応する対物レンズ20とBDに対応する対物レンズ30との2種類の対物レンズを備えている。そして、図7又は図8のように、上記可動部10は、2種類の対物レンズ20,30を保持している天板部12の前後両端のそれぞれに側板部13,14を備える門形に形成されている。また、可動部10の前後の側板部13,14のそれぞれの外面側に、制御コイルとしての1つのトラッキングコイル15及び2つのフォーカスコイル16,16が接着剤を用いて貼着保持されている。これらの制御コイルには、光学ベース(基台)に装着された永久磁石(不図示)が対向配置されていて、その永久磁石の磁力と制御コイルに付与される電磁力との共働作用によって、可動部10が、光記録媒体D(図5参照)に対するトラッキング方向及びフォーカス方向に変位制御される。
【0004】
図5に示した光学系には、受光素子40、光源としてのDVD/CD用及びBD用の各レーザダイオードでなる発光素子41,42、ハーフミラー43、ビームスプリッタ45、コリメートレンズ46、複合プリズム47、DVD/CD用及びBD用の各立上げミラー48,49といった各種の光学部品が含まれている。そして、これらの光学部品は、上記した光学ベースに装備されている。この光学系において、発光素子41,42から出た光の光路L1は、立上げミラー48,49や対物レンズ20,30などの光学部品を経て光記録媒体Dの記録面に至る。また、光記録媒体Dの記録面で反射した戻り光の光路L2は、対物レンズ20,30を経た後、立上げミラー48,49やハーフミラー43などの光学部品を経て受光素子40に至る。
【0005】
ところで、BD用などの光ディスクドライブにおいては、その光ディスクドライブ自体の薄形化を意図して、レンズアクチュエータを光学ベースに埋め込むような構成を採用することがある。このような埋め込み構成を採用した場合、具体的には図6に示したように上掲の立上げミラー48,49の一部が、可動部10の前後の側板部13,14の相互間の空間Sに相対変位可能に収容されるようになる。この埋め込み構成を採用すると、立ち上げミラー48,49を装備している光学ベースと対物レンズ20,30との相互間隔が狭まって当該レンズアクチュエータの薄形化を図りやすくなるという利点があり、ひいては、光ディスクドライブ自体の薄形化を促進することが可能になる。
【0006】
図7又は図8に示したように、レンズホルダーとしての可動部10は、弾性支持部材としての複数本のワイヤー50…によって上記したトラッキング方向及びフォーカス方向に変位可能に支持されている。これらのワイヤー50…には、可動部10を弾性的に支持する機能のほか、可動部10に装備されている制御コイルとしてのトラッキングコイル15やフォーカスコイル16に制御信号を供給するための電路形成部材としての機能が付与されている。そこで、それぞれのワイヤー50を所定のトラッキングコイル15やフォーカスコイル16に電気的に接続するための手段として配線基板60が採用され、その配線基板60が可動部10に装備されている。この種の配線基板60には、個々のワイヤー50の一端部が半田付けされるランド部61…と、上記した制御コイル(トラッキングコイル15やフォーカスコイル16)の末端部が半田付けされるランド部62…と、それらのランド部61,62同士を接続している配線パターン(不図示)とが形成されている。
【0007】
ところで、可動部10の天板部12と前後の側板部13,14とによって囲まれた空間Sは、立ち上げミラー48,49の一部が配置される箇所であり、場合によっては光学系の光路L1,L2が経由する箇所でもあるので、上記のように配線基板60を可動部10の左右方向の端部に装着するという対策を講じる場合には、その配線基板60が立ち上げミラー48,49と干渉することを回避する対策や、配線基板60が光路L1,L2を遮ることのないようにする対策を講じることが必要になる。
【0008】
そこで、従来より、配線基板60を門形の可動部10の側面形状に合わせたコ字形に形成し、そのようなコ字形の配線基板60を可動部10の側面に接着剤で貼着保持させるという対策が講じられている。
【0009】
しかしながら、配線基板60を門形の可動部10の側面形状に合わせたコ字形に形成すると、配線基板60のサイズを小さくせざるを得なくなってその板面に配線パターンを形成するためのスペースを十分に広く確保することができなくなる。そのため、従来例としてのレンズアクチュエータでは、図7又は図8のように、コ字形の2枚の配線基板60を使用し、それらの配線基板60を門形の可動部10の片側及び他側の両側面の両方に分けて貼着保持させると共に、それらの2枚のコ字形の配線基板60として、片面と他面との両方に配線パターンを形成した両面基板65を用いるということが行われていた。このように、配線基板60として2枚のコ字形の両面基板65,65を用いると、2枚の両面基板65,65によって配線パターンを形成するための広いスペースを確保することができるために、トラッキングコイル15及びフォーカスコイル16,16の末端部をその相手方である所定のワイヤー50に接続することが可能になり、しかも、両面基板65が立ち上げミラー48,49に干渉したり、光路L1,L2を遮ったりすることもなくなる。
【0010】
一方、先行例では、光ヘッド装置に関して、片面フレキシブル基板の同一面上に受光素子とキャパシタとを実装し、その片面フレキシブル基板を裏面側に折り曲げることによって、レイアウト上の制約を改善した提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0011】
また、光ピックアップ装置に関して、レーザ光源の出力調整を安全確実に行うための提案や、フレキシブル配線板に関して、不要輻射を抑制する効果を高めるための提案もなされている(たとえば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−5828号公報
【特許文献2】特開2009−151852号公報
【特許文献3】特開2007−250609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図7又は図8を参照して説明した従来例のように、コ字形の2枚の両面基板65,65を門形の可動部10の片側及び他側の両側面に分けて貼着保持させると、それぞれの両面基板65,65によって配線パターンを形成するための広いスペースを確保することができるだけでなく、両面基板65が立ち上げミラー48,49に干渉したり、光路L1,L2を遮ったりすることもなくなる。
【0014】
しかしながら、従来例では、配線基板60として2枚の両面基板65,65を用いる必要が生じるだけでなく、それらの両面基板65,65を門形の可動部10の片側及び他側の両側面に正確に位置合わせして貼着保持させる必要がある。そのため、必要な配線基板60の枚数が2枚になって部品自体のコスト増を来すだけでなく、両面基板65,65を門形の可動部10の両側面に正確に位置合わせして貼着保持させるという組立て作業に困難を伴うためにレンズアクチュエータの生産性の難易度が高くなるという問題がある。この問題は、上掲の特許文献1〜3によって提案されている技術によって解決されるものではない。
【0015】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたのものであり、可動部を変位可能に支持する弾性支持部材としてのワイヤーと可動部に装備された制御コイルとを電気的に接続するための配線基板として片面基板を用いることを基本とし、その片面基板を1枚だけ用いているにもかかわらず、その片面基板が立ち上げミラーに干渉したり光路を遮ったりすることなく、しかも、ワイヤーと制御コイルとを接続させるための配線パターンを片面基板の広いスペースに形成することのできるレンズアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るレンズアクチュエータは、対物レンズを装備した天板部の前後両端に制御コイルを装備した側板部が設けられてなる門形の可動部と、この可動部に装着された配線基板と、この配線基板のランド部に接続されて上記可動部を変位可能に支持する弾性支持部材としてのワイヤーと、このワイヤーを支持する固定部と、上記制御コイルに対向配置された永久磁石と、を備え、上記配線基板の板面に形成された配線パターンによって上記ワイヤーと上記制御コイルとが電気的に接続されている。そして、上記配線基板が、片側の板面だけに上記配線パターンを有する1枚の片面基板でなり、かつ、その片面基板が可動部の一方側の上記側板部の内面に重なり状に配置され、固定部から延び出た上記ワイヤーが、上記片面基板のランド部に接続されている。
【0017】
この構成であると、門形の可動部を変位可能に支持する弾性支持部材としてのワイヤーと上記可動部の側板部に装備された制御コイルとを接続する配線パターンを有する配線基板が片面基板でなり、しかもその片面基板が1枚だけ用いられているので、配線基板の必要枚数が図7や図8を参照して説明した従来例よりも削減される。しかも、その片面基板が、門形の可動部の一方側の側板部の内面に重なり状に配置される構成を採用しているので、片面基板のサイズを大きくして広いスペースに必要な配線パターンを形成したとしても、その片面基板が、門形の可動部の前後の側板部の相互間の空間に配置される立ち上げミラーと干渉したり、光路として利用される上記空間を塞ぐことがない。したがって、従来例に比べて配線基板の必要枚数を削減して部品コストを低減することが可能になるだけでなく、組立て作業が容易になって生産性の難易度を低減することが可能になる。また、片面基板を門形の可動部の一方側の側板部の内面に重なり状に配置してあることにより、その片面基板が可動部の剛性を高めることにも役立つという利点がある。
【0018】
本発明では、配線基板としての上記片面基板が、可動部の一方側の上記側板部の内面に接着剤で面接合されていることが望ましい。この構成であれば、面積の広い片面基板が可動部の側板部に密着することになるために、図7又は図8に示した両面基板65を用いる場合よりも可動部との接合面積が広くなり、それだけ可動部の剛性が高められることになる。
【0019】
本発明では、配線基板としての上記片面基板の横方向両端部が可動部の一方側の上記側板部の外側に張り出し、その片面基板の上記側板部からの一方側及び他方側の各張出し箇所に、複数本の各別の上記ワイヤーが接続されるランド部が縦方向に並設されている、という構成を採用することが可能である。この構成であれば、まっすぐなワイヤーによって可動部を無理なく弾性支持させることが可能になる。
【0020】
本発明では、配線基板としての上記片面基板が重なり状に配置されている可動部の一方側の上記側板部の肉厚が、他方側の側板部の肉厚よりも薄肉に形成されていて、一方側の上記側板部が上記片面基板によって補強されている、という構成を採用することが可能である。これによれば、配線基板としての片面基板の重量に見合う重量増が、可動部の側板部の肉厚を薄くすることによって少なくなるので、片面基板によって可動部の剛性が高められているにもかかわらず、片面基板を含む可動部の重量増を抑制しやすくなり、それだけ可動部が軽量化されて当該レンズアクチュエータの変位応答性が向上する。
【0021】
本発明では、上記制御コイルが、可動部の一方側及び他方側の各側板部の外面に各別に保持されたフォーカスコイル及びトラッキングコイルでなる、という構成を採用することが可能である。これによれば、図7又は図8を参照して説明した従来例のレンズアクチュエータのコ字形の両面基板65,65を、可動部の一方側の側板部の内面に重なり状に配置した1枚の片面基板に置き換えるだけで、本発明に係るレンズアクチュエータを得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、可動部を変位可能に支持する弾性支持部材としてのワイヤーと可動部に装備された制御コイルとを電気的に接続するための配線基板として片面基板を1枚だけ用いているにもかかわらず、その片面基板が立ち上げミラーに干渉したり光路を遮ったりすることなく、しかも、ワイヤーと制御コイルとを接続させるための配線パターンを片面基板の広いスペースに形成することができる。したがって、本発明によれば、光ディスクドライブの薄形化を阻害することなく、配線基板の必要枚数の削減によるコストダウン効果と、組立て作業性が向上することによる生産性の難易度の低減効果とが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズアクチュエータの概略斜視図である。
【図2】同レンズアクチュエータの概略側面図である。
【図3】同レンズアクチュエータの要部の概略平面図である。
【図4】配線基板としての片面基板を例示した正面図である。
【図5】光ピックアップについての光路図をレンズホルダーとしての可動部と共に示した説明図である。
【図6】可動部と立ち上げミラーとの位置関係を示した概略縦断側面図である。
【図7】従来例としてのレンズアクチュエータの要部の分解斜視図である。
【図8】従来例としてのレンズアクチュエータの要部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るレンズアクチュエータの概略斜視図、図2は同レンズアクチュエータの概略側面図である。また、図3は同レンズアクチュエータの要部の概略平面図、図4は配線基板60としての片面基板66を例示した正面図である。
【0025】
図1のように、実施形態によるレンズアクチュエータは、樹脂一体成形体でなる門形の可動部10と、この可動部10に装着された配線基板60と、光学ベース(不図示)に取り付けられた固定部70と、を備えている。そして、可動部10の天板部12に、CD又はDVDに対応する対物レンズ20とBDに対応する対物レンズ30との2種類の対物レンズを備えている。また、図3のように、可動部10の天板部12の前後両端に設けられた側板部13,14のそれぞれの外面側に、制御コイルとしての1つのトラッキングコイル15及び2つのフォーカスコイル16,16が熱硬化型接着剤などの接着剤を用いて貼着保持されている。これらの制御コイルには、上記光学ベースに装着された永久磁石81,82が対向配置されていて、その永久磁石の磁力と制御コイルに付与される電磁力との共働作用によって、可動部10が、光記録媒体D(図5参照)に対するトラッキング方向及びフォーカス方向に変位制御される。
【0026】
図4のように、配線基板60は、片側の板面だけに配線パターン(不図示)を有する横長矩形の片面基板66でなる。そして、図1のように、1枚の片面基板66が、可動部10の一方側の側板部(図例では後側の側板部)82の内面に重なり状に配置されている。また、固定部70から延び出た左右3本ずつのワイヤー50が、片面基板66のランド部(後述する)に接続されている。
【0027】
図4のように、配線基板60としての上記片面基板66は、左右方向(横方向)の両端部のそれぞれに、縦方向に並べられた3箇所のランド部67…を有している。また、その中央部分の適所に、上記したトラッキングコイル15及びフォーカスコイル16の末端部が半田付けされる所要数のランド部68…を有していて、それらの各ランド部68…が、その相手方である両端部の所定のランド部67…に図示していない配線パターンによって電気的に接続されている。そして、ランド部67…,68…及び配線パターンは片面基板66の同一面にすべて形成されている。したがって、片面基板66の他面は凹凸を有しない平坦面になっている。
【0028】
図1又は図3によって判るように、上記片面基板66は、その他面が、門形の可動部10の後側(一方側)の側板部14の内面に熱硬化型接着剤などの接着剤で強固に重なり状に接合されている。ここで、矩形の片面基板66の他面は上記したように凹凸を有しない平坦面になっているために、接着剤で可動部10の側板部14の内面に面接合すると、接合面積が広くなって大きな接合強度が容易に得られる。また、片面基板66が矩形であり、可動部10の天板部12と側板部14とが直角入隅状のコーナ部を形成していることにより、位置決め治具などを用いて片面基板66の一方の長辺をそのコーナ部に当接させるだけで、片面基板66を側板部14の内面に傾くことなく容易にかつ正確に接合することが可能である。
【0029】
また、片面基板66は、その横方向両端部のランド部67の形成箇所が可動部10の側板部14の外側に張り出した位置で位置合わせしてその側板部14に接合される。そして、固定部70から延び出た左右3本ずつのワイヤー50の端部が、左右3箇所ずつのランド部67の挿通孔69(図4参照)に各別に挿通されてランド部67に半田付けされている。したがって、可動部10が左右3本ずつのワイヤー50によって弾性的に支持されることになり、それらのワイヤー50の撓み変形を介して可動部10が光記録媒体D(図5参照)に対するトラッキング方向及びフォーカス方向に変位可能である。
【0030】
なお、制御コイルとしてのトラッキングコイル15及びフォーカスコイル16は、可動部10の前後の側板部13,14の外面に熱硬化型接着剤などの接着剤で強固に接合されている。そして、それらの各コイル15,16の末端部が可動部10の外面又は内面に沿って引き回されて、可動部10の後側の側板部14の内面に接合された片面基板66の所定のランド部68に半田付けされる。
【0031】
上記構成を備えたレンズアクチュエータに組み合わされる光学系には、図5を参照して説明した光学系を採用することが可能である。したがって、光学系には、受光素子40、光源としてのDVD/CD用及びBD用の各レーザダイオードでなる発光素子41,42、ハーフミラー43、ビームスプリッタ45、コリメートレンズ46、複合プリズム47、DVD/CD用及びBD用の各立上げミラー48,49といった各種の光学部品が含まれていて、それらの光学部品は光学ベースに装備されている。また、当該レンズアクチュエータを光学ベースに埋め込むような構成を採用することによって、光ディスクドライブ自体の薄形化を図ることができる。この埋め込み構成を採用した場合、具体的には図6を参照して説明したように、立上げミラー48,49の一部が、可動部10の前後の側板部13,14の相互間の空間Sに相対変位可能に収容される必要がある。したがって、この実施形態のレンズアクチュエータでは、門形の可動部10の前側の側板部13と後側の側板部14の内面に接合されている片面基板66との相互間の空間S(図2参照)を、立上げミラー48,49の一部を収容できる広さであって、可動部10が変位しても立上げミラー48,49に干渉しない程度の広さに定めてある。そして、構成を採用すると、上記空間Sを経由する光路が片面基板66によって遮られることがない。
【0032】
以上説明したレンズアクチュエータでは、ワイヤー50が、可動部10に対する弾性支持部材として機能すると共に、可動部10に装備されている制御コイルとしてのトラッキングコイル15やフォーカスコイル16に制御信号を供給するための電路形成部材としても機能する。
【0033】
この実施形態によると、可動部10の後側の側板部14の内面に片面基板66が接合されていることにより、その側板部14ひいては可動部10の剛性が片面基板66によって高められる。したがって、この実施形態では、可動部10の後側の側板部14の肉厚を前側の側板部13の肉厚よりも薄くしてあり、そうすることに伴う後側の側板部14の強度低下を、その側板部14の内面に重なり状に接合している片面基板66によって防止している。この構成を採用すると、片面基板66の重量に見合う重量増が、可動部10の後側の側板部14の肉厚を薄くすることによって少なくなるので、片面基板66によって可動部10の剛性が高められているにもかかわらず、片面基板66を含む可動部10の重量増を抑制しやすくなり、それだけ可動部10が軽量化されて当該レンズアクチュエータの変位応答性が向上するようになる。
【0034】
以上のように、この実施形態によると、可動部10に装着されている配線基板60が1枚の矩形の片面基板66だけであるので、配線基板の生産性が向上し、部品コスト面でも有利な結果が得られるという利点がある。
【0035】
上記した実施形態では、可動部10にCD又はDVDに対応する対物レンズ20とBDに対応する対物レンズ30との2種類の対物レンズを具備させ、光学系にはそれらの各対物レンズ20,30に対応する2個の立ち上げミラー48,49を具備させてあるけれども、この点は、上記したうちの1種類の対物レンズを可動部10に具備させ、かつ、光学系には1個の立ち上げミラーを具備させることも可能である。
【0036】
なお、図1〜図8においては、説明の便宜上、同一又は相応する要素に同一符号を付してある。
【符号の説明】
【0037】
10 可動部
12 天板部
13,14 側板部
15 トラッキングコイル(制御コイル)
16 フォーカスコイル(制御コイル)
20,30 対物レンズ
50 ワイヤー(弾性支持部材)
60 配線基板
66 片面基板
67 配線基板(片面基板)のランド部
68 片面基板のランド部
70 固定部
81,82 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを装備した天板部の前後両端に制御コイルを装備した側板部が設けられてなる門形の可動部と、この可動部に装着された配線基板と、この配線基板のランド部に接続されて上記可動部を変位可能に支持する弾性支持部材としてのワイヤーと、このワイヤーを支持する固定部と、上記制御コイルに対向配置された永久磁石と、を備え、上記配線基板の板面に形成された配線パターンによって上記ワイヤーと上記制御コイルとが電気的に接続されているレンズアクチュエータにおいて、
上記配線基板が、片側の板面だけに上記配線パターンを有する1枚の片面基板でなり、かつ、その片面基板が可動部の一方側の上記側板部の内面に重なり状に配置され、固定部から延び出た上記ワイヤーが、上記片面基板のランド部に接続されていることを特徴とするレンズアクチュエータ。
【請求項2】
配線基板としての上記片面基板が、可動部の一方側の上記側板部の内面に接着剤で面接合されている請求項1に記載したレンズアクチュエータ。
【請求項3】
配線基板としての上記片面基板の横方向両端部が可動部の一方側の上記側板部の外側に張り出し、その片面基板の上記側板部からの一方側及び他方側の各張出し箇所に、複数本の各別の上記ワイヤーが接続されるランド部が縦方向に並設されている請求項1又は請求項2に記載したレンズアクチュエータ。
【請求項4】
配線基板としての上記片面基板が重なり状に配置されている可動部の一方側の上記側板部の肉厚が、他方側の側板部の肉厚よりも薄肉に形成されていて、一方側の上記側板部が上記片面基板によって補強されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載したレンズアクチュエータ。
【請求項5】
上記制御コイルが、可動部の一方側及び他方側の各側板部の外面に各別に保持されたフォーカスコイル及びトラッキングコイルでなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載したレンズアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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