説明

レンズアレイ

【課題】ゴーストやフレアなどの発生を抑制して画質を向上させることのできるレンズアレイを提供する。
【解決手段】基板と、該基板に配列された複数の貫通孔のそれぞれを埋めて設けられた複数のレンズと、を備えるレンズアレイであって、前記貫通孔のそれぞれの内周面に、反射防止構造を有するレンズアレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして生産性が要請される。かかる要請に対して、複数の固体撮像素子が配列されたセンサアレイに、複数のレンズが配列された一以上のレンズアレイを順次積層し、得られた積層体を、それぞれに固体撮像素子及びレンズを含むように切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。そして、上記用途に用いられるレンズアレイとして、例えば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
【0004】
特許文献1、2に記載されたレンズアレイは、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを一括して形成している。また、特許文献3に記載されたレンズアレイは、シリコン基板に複数の貫通孔を形成し、別途形成した球体状のレンズ素材を貫通孔にそれぞれ配置し、これらのレンズ素材を基板に半田で接合した後に研磨して、複数のレンズを一括して形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3926380号公報
【特許文献2】国際公開第08/102648号
【特許文献3】米国特許第6426829号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されたレンズアレイでは、レンズは、硬化性樹脂材料からなる部分と、該硬化性樹脂材料とは光学特性の異なる基板材料からなる部分とを含み、それらの境界で反射を生じる。それにより、フレアやゴーストが発生して画像品質を悪化させるという光学性能上の不都合が起こり得る。
【0007】
また、特許文献3に記載されたレンズアレイでは、レンズは単一の材料からなり、レンズ内部に光学特性の異なる材料同士の境界は形成されないが、一方で、基板とレンズとで材料が異なり、基板の貫通孔の内周面と、この内周面と接するレンズの外周面との間に光学特性の異なる材料同士が接する境界が形成される。そして、この境界において反射が生じ、ゴーストやフレアなどが発生して、画質が低下する虞があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ゴーストやフレアなどの発生を抑制して画質を向上させることのできるレンズアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板と、該基板に配列された複数の貫通孔のそれぞれを埋めて設けられた複数のレンズと、を備えるレンズアレイであって、前記貫通孔のそれぞれの内周面に、反射防止構造を有するレンズアレイ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の貫通孔のそれぞれの内周面に反射防止構造を設けているので、貫通孔の内周面と、この内周面に接するレンズの外周面との間に形成される境界における反射が防止され、ゴーストやフレアなどの発生を抑制することができる。それにより、画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、撮像ユニットの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を説明するための、レンズアレイの一例を示す図である。
【図3】図2のレンズアレイをIII−III線断面で示す図である。
【図4】図4A〜図4Gは、図2のレンズアレイの変形例を示す図である。
【図5】図5A〜図5Dは、図2のレンズアレイに含む基板の製造方法の一例を示す図である。
【図6】図2のレンズアレイに含むレンズを成形する成形型の一例を示す図である。
【図7】図7A〜図7Cは、図6成形型を用いたレンズアレイの製造方法の一例を示す図である。
【図8】図7A〜図7Cに示すレンズアレイの製造方法の変形例を示す図である。
【図9】図4Fのレンズアレイに含むレンズを成形する成形型の一例を示す図である。
【図10】図10A及び図10Bは、図1の撮像ユニットの製造方法の一例を示す図である。
【図11】図11A〜図11Cは、図10A及び図10Bに示す撮像ユニットの製造方法の変形例を示す図である。
【図12】図12A及び図12Bは、図1の撮像ユニットの製造方法の他の例を示す図である。
【図13】図13A〜図13Cは、図12A及び図12Bに示す撮像ユニットの製造方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、撮像ユニットの一例を示す。
【0013】
図1に示すように、撮像ユニット1は、固体撮像素子22を含むセンサモジュール2と、固体撮像素子22の受光領域に被写体像を結像させるレンズ32を含むレンズモジュール3と、を備えている。
【0014】
センサモジュール2は、ウエハ片21を有している。ウエハ片21は、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されており、平面視略矩形状に形成されている。ウエハ片21の略中央部には固体撮像素子22が設けられている。固体撮像素子22は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどであり、ウエハ片21に対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程、等を繰り返し、ウエハ片21上に受光領域、電極、絶縁膜、配線、等を形成して構成されている。
【0015】
レンズモジュール3は、基板片31と、レンズ32とを有している。基板片31は、センサモジュール2のウエハ片21と略同一の平面視略矩形状に形成されている。基板片31の中央部には、基板片31を厚み方向に貫通する平面視略円形状の貫通孔34が形成されている。レンズ32は、貫通孔34を埋めて設けられ、基板片31に支持されている。レンズ32の光軸方向の両端にそれぞれ形成されるレンズ面33は、図示の例ではいずれも凸形状の球面であるが、用途に応じて、凸形状の球面、凹形状の球面、非球面、又は平面の種々の組み合わせを採り得る。
【0016】
貫通孔34の内周面には、反射防止構造が設けられている。それにより、貫通孔34の内周面と、この内周面に接するレンズ32の外周面との間に形成される境界における反射が防止され、ゴーストやフレアなどの発生が抑制される。この反射防止構造については、後述する。
【0017】
基板片31の一方の表面(図中、下側の表面)には、脚部35が突設されている。脚部35は、脚部35が設けられている基板片31の表面側に露呈したレンズ32の表面よりも高く基板片31の表面から突出している。レンズモジュール3は、基板片31の脚部35をセンサモジュール2のウエハ片21に接合されてセンサモジュール2に積層される。脚部35が設けられている基板片31の表面からの脚部35の高さHは、レンズ32がセンサモジュール2に接触しないように設定されている。即ち、基板片31の表面からのレンズ32の高さhに対し、基板片31の表面からの脚部35の高さHは、H>hとなっている。
【0018】
センサモジュール2上でレンズモジュール3が安定する限り、脚部35の形状は特に限定されないが、好ましくは、図示の例のように、レンズ32を包囲する枠状に形成される。脚部35を枠状とすれば、センサモジュール2のウエハ片21とレンズモジュール3の基板片31の間の空間を外より隔絶することができ、ウエハ片21と基板片31との間に塵などの異物が進入し、異物が固体撮像素子22やレンズ32に付着することを防止することができる。さらに、この場合に、例えば脚部35を可視光に対して不透明とすれば、ウエハ片21と基板片31との間から固体撮像素子22に入射する不要な光を脚部35によって遮ることができる。
【0019】
以上のように構成された撮像ユニット1は、典型的には携帯端末の回路基板にリフロー実装される。即ち、回路基板には、撮像ユニット1が実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニット1が載せられ、この撮像ユニット1を含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、それにより半田を溶かして撮像ユニット1は回路基板に実装される。
【0020】
なお、上述の撮像ユニット1は、センサモジュール2に積層されるレンズモジュール3が一つであるが、センサモジュール2に複数のレンズモジュール3が積層される場合もある。その場合に、レンズモジュール3の上に積層される上層のレンズモジュール3は、その脚部35を下層のレンズモジュール3の基板片31に接合されて積層され、上層のレンズモジュール3の脚部35の高さHは、そのレンズ32が下層のレンズモジュール3に接触しないように設定される。
【0021】
また、レンズモジュール3は、その基板片31に一体に形成された脚部35をセンサモジュール2や他のレンズモジュール3に接合されて、それらの上に積層されるものとして説明したが、脚部35に替えて、基板片31とは別体のスペーサを介して積層するようにしてもよい。
【0022】
図2及び図3は、レンズアレイの一例を示す。
【0023】
図2及び図3に示すレンズアレイ5は、基板30と、複数のレンズ32と、を備えている。上述のレンズモジュール3は、基板30を切断し、個々にレンズ32を含むようにレンズアレイ5を分割して得られる。換言すれば、レンズアレイ5は、上述のレンズモジュール3の集合体である。
【0024】
基板30は、ウエハ状(円形状)をなし、その厚み方向に貫通して複数の貫通孔34が形成されている。貫通孔34は、図示の例では行列状に配列されている。典型的には、基板30の直径は6インチ、8インチ、又は12インチとされ、そこに数千個の貫通孔34が配列される。なお、基板30は、ウエハ状のものに限られず、例えば矩形状のものであってもよい。また、貫通孔34の配列は、行列状に限られず、例えば放射状、同心の円環状、その他の2次元の配列であってもよく、また、1次元の配列であってもよい。
【0025】
貫通孔34の内周面には、上述の撮像ユニット1で説明した通り、反射防止構造が設けられている。反射防止構造としては、貫通孔34の内周面に形成された微細な凹凸や、貫通孔34の内周面を覆う反射防止膜などが例示できる。貫通孔34の内周面に微細な凹凸を形成する、換言すれば、貫通孔34を粗面とする方法としては、例えばブラスト加工、エッチング加工、高温酸化、研磨加工、レーザ加工等が挙げられる。また、貫通孔34の内周面に反射防止膜を形成する方法としては、黒色塗料を塗布する墨塗りを例示することができる。なお、貫通孔34の内周面を反射防止膜で覆う場合にも、貫通孔34の内周面と反射防止膜との密着性を向上させるため、貫通孔34の内周面を粗面としてもよい。
【0026】
レンズ32は、貫通孔34を埋めて設けられている。貫通孔34を埋めて設けられるレンズ32は、その全体を均質な材料で形成することができ、光学性能に優れる。即ち、レンズ32の光軸上に、屈折率等の光学特性が互いに異なる材料同士の境界は形成されず、境界における反射、それによるフレアやゴーストの発生といった光学性能上の不都合が回避される。
【0027】
レンズ32において、貫通孔34内に収容されている部分の外周面は、貫通孔34の内周面に密着している。それにより、レンズ32と基板30との接合強度が得られる。レンズ32と基板30との接合が確立されるので、例えば半田付けなどによりレンズ32を基板30に個々に接合する必要がなく、生産性に優れる。ここで、貫通孔34の内周面に設ける反射防止構造として、貫通孔34の内周面を粗面とする場合に、その面粗さは、好ましくは十点平均粗さ(Rz)で4μm以上25μm以下である。反射防止のためだけであれば1μm以上であればよいが、上記の面粗さの範囲とすることで、レンズ32の外周面と貫通孔34の内周面との密着によるレンズ32と基板30との接合強度を高めることができる。
【0028】
レンズ32の光軸方向の両端部はいずれも貫通孔32より突出しており、これらの端部には、基板30の表面における貫通孔34の周辺部分に重なる延在部36がそれぞれ設けられている。一対の延在部36によって基板30を挟むことにより、レンズ32と基板30とのさらなる接合強度が得られる。なお、レンズ32の光軸方向の両端部の一方の端部にのみ延在部36を設けた場合にも、延在部36と基板30の表面とに密着によって、レンズ32と基板30との接合強度が得られる。
【0029】
延在部36は、図示の例では、貫通孔34より突出したレンズ32の端部から全周に亘って広がって平面視略円形状に形成されているが、これに限られるものではない。延在部36は、貫通孔34の周辺部分の少なくとも一部に重なり合うものであればよく、例えば、レンズ32の端部からそれぞれ放射状に延びる1又は複数の小片であってもよい。いずれの場合にも、レンズ32の光軸から延在部36の縁までの距離の最大値をdとし、貫通孔34の開口半径をrとしたときに、d>rを満たすことにより、延在部36は、基板30の表面における貫通孔34の周辺部分に重なる。
【0030】
基板30の一方の表面(図中、下側の表面)には、複数の脚部35が突設されている。脚部35は、貫通孔34と同じ並びで行列状に配列されている。脚部35は、枠状に形成され、貫通孔34を埋めているレンズ32を包囲している。
【0031】
脚部35は、上述の撮像ユニット1で説明した通り、脚部35が設けられている基板30の表面側に露呈するレンズ32の表面よりも高く基板30の表面から突出している。即ち、基板30の表面からのレンズ32の高さhに対し、基板30の表面からの脚部35の高さHは、H>hとなっている。
【0032】
図4A〜図4Gは、それぞれ図2のレンズアレイの変形例を示す。
【0033】
図4Aに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の両端部はいずれも貫通孔34より突出し、両端部のそれぞれに延在部36が形成されている。そして、レンズ32の一方のレンズ面33は凹形状の球面であり、他方のレンズ面33は凸形状の球面となっている。
【0034】
図4Bに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の両端部はいずれも貫通孔34より突出し、両端部のそれぞれに延在部36が形成されている。そして、レンズ32の両レンズ面33は、いずれも凹形状の球面となっている。
【0035】
図4Cに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の両端部はいずれも貫通孔34より突出し、両端部のそれぞれに延在部36が形成されている。そして、レンズ32の一方のレンズ面33は非球面であり、他方のレンズ面33は凸形状の球面となっている。
【0036】
図4Dに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の両端部はいずれも貫通孔34より突出し、両端部のそれぞれに延在部36が形成されている。そして、レンズ32の両レンズ面33は、いずれも非球面となっている。
【0037】
図4Eに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の両端部はいずれも貫通孔34より突出し、両端部のそれぞれに延在部36が形成されている。そして、レンズ32の一方のレンズ面33は非球面であり、その中央部は貫通孔34内に進入している。また、レンズ32の他方のレンズ面33は凸形状の球面となっている。
【0038】
図4Fに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の一方の端部は貫通孔34内に収容され、他方の端部のみが貫通孔34より突出しており、貫通孔34より突出している端部にのみ延在部36が形成されている。そして、レンズ32の一方のレンズ面33は凹形状の球面であり、他方のレンズ面33は凸形状の球面となっている。
【0039】
図4Gに示す変形例のレンズアレイ5において、レンズ32の一方の端部は貫通孔34内に収容され、他方の端部のみが貫通孔34より突出しており、貫通孔34より突出している端部にのみ延在部36が形成されている。そして、レンズ32の一方のレンズ面33は凹形状の球面であり、他方のレンズ面33は非球面となっている。
【0040】
なお、レンズ32の光軸方向の両端にそれぞれ形成されるレンズ面33の形状の組み合わせは、図4A〜図4Gに示すものに限られず、用途に応じて、凸形状の球面、凹形状の球面、非球面、又は平面の種々の組み合わせを採り得る。
【0041】
基板30に貫通孔34を形成し、貫通孔34を埋めてレンズ32を設けることにより、図4Eに示すように、レンズ32の一方のレンズ面33の一部が貫通孔34内に進入するようなレンズ形状や、図4Fや図4Gに示すように、レンズ32の一方のレンズ面33、及びこのレンズ面が形成される端部が貫通孔34内に収容されるようなレンズ形状を採ることも可能となり、レンズの設計自由度が高まる。即ち、レンズ設計によっては、レンズ面33が基板に接触し得る非球面形状となる場合がある。ここで、基板30に貫通孔34がないものにあって、そのような非球面形状を設計通りに保とうとすると、基板30に接触し得るレンズ面33の部分の周囲を厚くして基板30とレンズ面33との接触を避けることが考えられるが、そうするとレンズ全体の厚みが増してしまい、レンズ32が大型化してしまう。他方、レンズ32の大型化を回避しようとすると、そのような非球面形状を採ることができず、レンズ設計の自由度が制限される。これに対し、上述のとおり、基板30に貫通孔34があれば貫通孔34内にレンズ面33が潜り込むことが可能となり、レンズ面33が基板30に接触しないような設計にとらわれずにレンズ設計の自由度が高まり、また、レンズ32を無駄に厚くする必要がなく、レンズ32の小型化(低背化)を達成することができる。
【0042】
以下、図2のレンズアレイの製造方法の一例を説明する。
【0043】
図5A〜図5Dは、図2のレンズアレイに含む基板の製造方法の一例を示す。
【0044】
図5A〜図5Dに示す例は、基板素材40にブラスト加工を施し、複数の貫通孔34、及び複数の脚部35を形成して、基板30を得るものである。基板素材40は、基板30と同じ外形で、且つ同じ厚みに形成されている。基板素材40を形成する材料としては、例えばシリコン、ガラス、樹脂、等を例示することができる。
【0045】
図5Aに示すように、脚部35を形成する箇所を覆うブラスト用マスク41を基板素材40の一方の表面に貼り付ける。
【0046】
図5Bに示すように、マスク41が貼り付けられている基板素材40の表面側から深さH(脚部35の高さに相当)までブラスト加工を進め、マスク41で覆われていない基板素材40の領域を除去する。それにより、脚部35が形成される。
【0047】
図5Cに示すように、貫通孔34を形成する箇所を露呈させるブラスト用マスク42を基板素材40の他方の表面に貼り付ける。
【0048】
図5Dに示すように、マスク42が貼り付けられている基板素材40の表面側からブラスト加工を進め、マスク42で覆われていない基板素材40の領域を除去する。それにより、貫通孔34が形成される。
【0049】
ブラスト加工は、処理面の表面粗さの制御が容易であり、ブラスト加工により貫通孔34を形成するようにすれば、その内周面を粗面とすることも可能である。よって、貫通孔34の形成と同時に、その内周面に反射防止構造を設けることができる。
【0050】
以上の例は、基板素材40にブラスト用マスクを設け、そこにブラスト加工を施して貫通孔34や脚部35を形成するものであるが、同様にエッチング用マスクを設け、そこにエッチングを施して貫通孔34や脚部35を形成することもできる。そして、エッチングによっても、貫通孔34の内周面を粗面とする、即ち、貫通孔34の形成と同時に、その内周面に反射防止構造を設けることができる。
【0051】
図6は、図2のレンズアレイに含むレンズを成形する成形型の一例を示す。
【0052】
図6に示す成形型50は、成形材料を圧縮して図2のレンズアレイ5に含むレンズ32に成形するものであり、上型51と、下型52とを備えている。
【0053】
下型52に対向する上型51の対向面には、レンズ32の一方のレンズ面33を反転した形状のレンズ成形面53が、レンズアレイ5におけるレンズ32の並びと同じ並びで配列されている。
【0054】
上型51に対向する下型52の対向面には、レンズ32の他方のレンズ面33を反転した形状のレンズ成形面54が、レンズアレイ5におけるレンズ32の並びと同じ並びで配列されている。また、下型52の対向面には、基板30の脚部35をそれぞれ収容する収容部55が形成されている。
【0055】
上型51及び下型52は、それらの間に基板30を挟み込む。対となる上型51のレンズ成形面53、及び下型52のレンズ成形面54、並びに、それらのレンズ成形面53、54の間に位置する基板30の貫通孔54の内周面とで、レンズ32を成形するためのキャビティCが形成される。
【0056】
また、上型51には、この上型51と接する基板30の表面側における貫通孔34の周辺部の上に位置する環状の凹部56が形成されている。また、下型52には、この下型52と接する基板30の表面側における貫通孔34の周辺部の下に延在した環状の凹部57が形成されている。凹部56、57は、いずれもキャビティCに連通している。
【0057】
レンズ32を形成する材料としては、例えばエネルギー硬化性の樹脂組成物を好適に用いることができる。エネルギー硬化性の樹脂組成物は、熱により硬化する樹脂組成物、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂組成物のいずれであってもよい。
【0058】
レンズ32を形成する樹脂組成物は、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0059】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’-ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0060】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物は、形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0061】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物は、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂の混合物が望まれる。高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。低アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0062】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物には、屈折率を高めたり、アッベ数を調整したりするために、無機微粒子をマトリックス中に分散させることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。特に上記高アッベ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0063】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0064】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0065】
また、レンズ32を形成する樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号〔0063〕〜〔0070〕)等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0066】
レンズ32を形成する樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより硬化性樹脂組成物を製造することができる。該硬化性樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。硬化性組成物が溶剤を含む場合には溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0067】
レンズ32を形成する成形材料として上記のエネルギー硬化性の樹脂組成物を用いる場合に、上型51、及び下型52の材料は、樹脂組成物に応じて適宜選択される。即ち、樹脂組成物として熱硬化のものを用いた場合には、型の材料は、例えばニッケル等の熱伝導率に優れる金属材料や、ガラス等の赤外線を透過する材料が用いられる。また、樹脂材料として紫外線硬化のものを用いた場合には、型の材料は、例えばガラス等の紫外線を透過する材料が用いられ、また、樹脂材料として電子線硬化のものを用いた場合には、型の材料は、その電子線を透過する材料が用いられる。
【0068】
図7A〜図7Cは、図6の成形型を用いたレンズアレイの製造方法の一例を示す。
【0069】
図7Aに示すように、下型52に基板30をセットする。基板30の脚部35は、下型52の収容部55に収容され、基板30の貫通孔34は、下型52のレンズ成形面54の上に配置される。そして、基板30の貫通孔34の内周面、及び下型52のレンズ成形面54で形成される凹部に、レンズ32を形成する成形材料Mを供給する。
【0070】
図7Bに示すように、上型51を降下させる。上型51の降下に伴い、成形材料Mは、上型51のレンズ成形面53と下型52のレンズ成形面54との間で加圧され、レンズ成形面53、54に倣って変形されると共に貫通孔34の内周面に密着する。
【0071】
図7Cに示すように、上型51が降下しきって成形型50が閉じられた状態で、キャビティCは、成形材料Mによって充填されている。また、下型52に設けられ、キャビティCに連通している凹部57も、成形材料Mで充填されている。そして、上型51に設けられ、キャビティCに連通している凹部56には、余剰な成形材料Mが進入している。成形材料Mの供給量には多少のバラツキが生じるが、このバラツキは上型51の凹部56で吸収される。
【0072】
この状態で、硬化のためのエネルギーを適宜加えて成形材料Mを硬化させ、レンズ32を形成する。凹部56、57に入り込んだ成形材料Mが硬化してレンズ32の延在部36が形成される。
【0073】
このように、基板30の貫通孔34に成形材料Mを配置し、この成形材料Mを貫通孔34内でレンズ32に圧縮成形することにより、貫通孔34を埋め、且つ貫通孔34の内周面に密着した状態にレンズ32を形成することができる。
【0074】
図8は、図7A〜図7Cに示すレンズアレイの製造方法の変形例を示す。
【0075】
図8に示すように、成形材料Mが硬化の際に収縮する場合に、下型52との間に所定の隙間gを残す位置まで上型51を降下させる。このとき、上型51のレンズ成形面53、及び下型52のレンズ成形面54の全体に成形材料Mが接触している。その状態で成形材料Mの硬化を開始させる。成形材料Mは、硬化の進行に伴って収縮するが、上型51と下型52との間に隙間gが残されていることにより、成形材料Mの硬化収縮に追従して上型51を降下させることができる。よって、成形材料Mと、上型51のレンズ成形面53との密着を維持して、成形材料Mに圧力を加え続けることができる。それにより、上型51のレンズ成形面53、及び下型52のレンズ成形面54の形状が正確に転写されたレンズ32を得ることができる。成形材料Mの硬化収縮に追従しての上型51の降下は、例えば上型51の自重により行うことができる。
【0076】
図9は、図4Fのレンズアレイに含むレンズを成形する成形型の一例を示す図である。
【0077】
図9に示す成形型50は、成形材料を圧縮して図4Fのレンズアレイ5に含むレンズ32に成形するものである。このレンズ32の一方の端部は基板30の貫通孔34内に収容されることから、上型51には、貫通孔34内に進入する柱状の突出部58が設けられ、突出部58の先端にレンズ成形面53が設けられている。なお、下型52は、図6の成形型50のものと同一である。
【0078】
突出部58の外周面と、貫通孔34の内周面との間には全周にわたって隙間59が置かれている。この隙間59は、キャビティCに連通しており、図6の成形型50における凹部56と同様に余剰な成形材料を吸収する。さらに、複数の貫通孔34の位置精度(ピッチ精度)と、複数の突出部58の位置精度(ピッチ精度)との間に多少の誤差があっても、この隙間59があることにより、全ての突出部58を、対応する貫通孔34に進入させることができる。多数(数百ないし数千)のレンズ32を一括して形成する場合に、隙間59は、3μm以上あることが好ましい。
【0079】
以上のようにして製造されるレンズアレイ5は、その基板30をカッターなどで切断され、それぞれにレンズ32を含んだ複数のレンズモジュール3に分離される。分離されたレンズモジュール3は、上述のとおり、センサモジュール2との組み合わせにおいて撮像ユニット1を構成する。
【0080】
図10A及び図10Bは、図1の撮像ユニットの製造方法の一例を示す。
【0081】
図10A及び図10Bに示す例は、レンズアレイ5をレンズモジュール3に分離し、このレンズモジュール3をセンサモジュール2に積層して撮像ユニット1を製造するものである。図10Aに示すように、レンズ32及び脚部35を個々に含むように各切断ラインLに沿ってレンズアレイ5の基板30を切断し、レンズモジュール3に分離する。そして、図10Bに示すように、個々のレンズモジュール3を、それに含む脚部35を介してセンサモジュール2に積層し、撮像ユニット1を得る。
【0082】
このように、個々のレンズモジュール3において、その基板片31には脚部35が一体に形成されているので、別途スペーサを必要とせず、よって、センサモジュール2へのレンズモジュール3の積層工程が簡素化される。それにより、撮像ユニット1の生産性を向上させることができる。
【0083】
図11A〜図11Cは、図10A及び図10Bに示す撮像ユニットの製造方法の変形例を示す。
【0084】
図11A〜図11Cに示す例は、2つのレンズモジュール3をセンサモジュール2に積層するようにしたものである。図11Aに示すように、一つのレンズアレイ5を、それに含む複数の脚部35を介してもう一つのレンズアレイ5に積層し、レンズアレイ積層体6を構成する。そして、図11Bに示すように、積層方向に並ぶ複数のレンズ32の群、及び積層方向に並ぶ複数の脚部35の群を個々に含むように、各切断ラインLに沿って積層体6に含む二つのレンズアレイ5の基板30を一括して切断し、2つのレンズモジュール3が積層されたレンズモジュール積層体7に分離する。そして、図11Cに示すように、個々のレンズモジュール積層体7を、最下層のレンズモジュール3の脚部35を介してセンサモジュール2に積層し、撮像ユニット1を得る。
【0085】
このように、複数のレンズモジュール3を予め積層体したレンズモジュール積層体7をセンサモジュール2に積層するようにすれば、それらのレンズモジュール3をセンサモジュール2に順次積層する場合に比べて、撮像ユニット1の生産性を向上させることができる。
【0086】
図12A及び図12Bは、図1の撮像ユニットの製造方法の他の例を示す。
【0087】
図12A及び図12Bに示す例は、レンズアレイ5をセンサアレイ4に積層して複数の撮像ユニット1を一括して構成し、そして個々の撮像ユニット1に分離するようにしたものである。
【0088】
まず、センサアレイ4について説明すると、センサアレイ4は、シリコンなどの半導体材料で形成されたウエハ20を有しており、ウエハ20には、レンズアレイ5におけるレンズ32の並びと同じ並びで、複数の固体撮像素子22が配列されている。典型的には、ウエハ20の直径は、6インチ、8インチ、又は12インチとされ、そこに数千個の固体撮像素子22が配列される。
【0089】
図12Aに示すように、レンズアレイ5を、それに含む複数の脚部35を介してセンサアレイ4に積層し、素子アレイ積層体8を構成する。そして、図12Bに示すように、積層方向に並ぶ固体撮像素子22及びレンズ32、並びに脚部35を個々に含むように、各切断ラインLに沿って素子アレイ積層体8に含むセンサアレイ4のウエハ20及びレンズアレイ5の基板30を一括して切断し、撮像ユニット1に分離する。
【0090】
図13A〜図13Cは、図12A及び図12Bに示す撮像ユニットの製造方法の変形例を示す。
【0091】
図13A〜図13Cに示す例は、二つのレンズアレイ5をセンサアレイ4に積層するようにしたものである。図13Aに示すように、一つのレンズアレイ5を、それに含む複数の脚部35を介してもう一つのレンズアレイ5に積層し、レンズアレイ積層体6を構成する。そして、図13Bに示すように、レンズアレイ積層体6を、最下層のレンズアレイ5に含む複数の脚部35を介してセンサアレイ4に積層し、素子アレイ積層体8を構成する。そして、図13Cに示すように、積層方向に並ぶ固体撮像素子22及び複数のレンズ32の群、並びに積層方向に並ぶ複数の脚部35の群を個々に含むように、各切断ラインLに沿って素子アレイ積層体8に含むセンサアレイ4のウエハ20及び二つのレンズアレイ5の基板30を一括して切断し、撮像ユニット1に分離する。
【0092】
このように、一つ又は複数のレンズアレイ5をセンサアレイ4に積層し、その後に、センサアレイ4のウエハ20、及び複数のレンズアレイ5の基板30をまとめて切断して複数の撮像ユニット1に分離するようにすれば、分離されたレンズモジュール3又はそれらの積層体7をセンサモジュール2に組み付ける場合に比べて、撮像ユニット1の生産性を一層向上させることができる。
【0093】
以上、説明したように、本明細書に開示されたレンズアレイは、基板と、該基板に配列された複数の貫通孔のそれぞれを埋めて設けられた複数のレンズと、を備えるレンズアレイであって、前記貫通孔のそれぞれの内周面に、反射防止構造を有する。
【0094】
また、本明細書に開示されたレンズアレイは、前記反射防止構造は、前記内周面に形成された凹凸である。
【0095】
また、本明細書に開示されたレンズアレイは、前記内周面の面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μm以上25μm以下である。
【0096】
また、本明細書に開示されたレンズアレイは、前記反射防止構造は、前記内周面を覆う反射防止膜である。
【0097】
また、本明細書に開示されたレンズアレイは、前記反射防止膜は、黒色塗料の塗布膜である。
【0098】
また、本明細書に開示されたレンズアレイの製造方法は、基板に、ブラスト加工によって、内周面が粗面である複数の貫通孔を配列して形成し、配列された複数の前記貫通孔のそれぞれを埋めるように、複数のレンズを前記基板に設ける。
【0099】
また、本明細書に開示されたレンズアレイの製造方法は、前記内周面の面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μm以上25μm以下である。
【0100】
また、本明細書に開示されたレンズアレイ積層体は、上記いずれかのレンズアレイを複数備え、これらのレンズアレイが順次積層されている。
【0101】
また、本明細書に開示された素子アレイ積層体は、上記いずれかのレンズアレイを少なくとも一つと、ウエハ上に複数の固体撮像素子が配列されたセンサアレイと、を備え、前記レンズアレイが前記センサアレイ上に順次積層されている。
【0102】
また、本明細書に開示されたレンズモジュールの製造方法は、上記いずれかのレンズアレイを、一つの前記レンズを個々に含むように分割する。
【0103】
また、本明細書に開示されたレンズモジュール積層体の製造方法は、上記のレンズアレイ積層体を、積層方向に並ぶ複数の前記レンズを個々に含むように分割する。
【0104】
また、本明細書に開示された撮像ユニットの製造方法は、上記の素子アレイ積層体を、積層方向に並ぶ前記固体撮像素子及び少なくとも一つの前記レンズを個々に含むように分割する。
【符号の説明】
【0105】
1 撮像ユニット
2 センサモジュール
3 レンズモジュール
4 センサアレイ
5 レンズアレイ
6 レンズアレイ積層体
7 レンズモジュール積層体
8 素子アレイ積層体
20 ウエハ
21 ウエハ片
22 固体撮像素子
30 基板
31 基板片
32 レンズ
33 レンズ面
34 貫通孔
35 脚部
36 延在部
40 基板素材
41 マスク
42 マスク
50 成形型
51 上型
52 下型
53 レンズ成形面
54 レンズ成形面
55 収容部
56 凹部
57 凹部
C キャビティ
M 成形材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板に配列された複数の貫通孔のそれぞれを埋めて設けられた複数のレンズと、を備えるレンズアレイであって、
前記貫通孔のそれぞれの内周面に、反射防止構造を有するレンズアレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズアレイであって、
前記反射防止構造は、前記内周面に形成された凹凸であるレンズアレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズアレイであって、
前記内周面の面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μm以上25μm以下であるレンズアレイ。
【請求項4】
請求項1に記載のレンズアレイであって、
前記反射防止構造は、前記内周面を覆う反射防止膜であるレンズアレイ。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズアレイであって、
前記反射防止膜は、黒色塗料の塗布膜であるレンズアレイ。
【請求項6】
基板に、ブラスト加工によって、内周面が粗面である複数の貫通孔を配列して形成し、
配列された複数の前記貫通孔のそれぞれを埋めるように、複数のレンズを前記基板に設けるレンズアレイの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズアレイの製造方法であって、
前記内周面の面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4μm以上25μm以下であるレンズアレイの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズアレイを複数備え、これらのレンズアレイが順次積層されたレンズアレイ積層体。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズアレイを少なくとも一つと、ウエハ上に複数の固体撮像素子が配列されたセンサアレイと、を備え、前記レンズアレイが前記センサアレイ上に順次積層された素子アレイ積層体。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズアレイを、一つの前記レンズを個々に含むように分割するレンズモジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載のレンズアレイ積層体を、積層方向に並ぶ複数の前記レンズを個々に含むように分割するレンズモジュール積層体の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の素子アレイ積層体を、積層方向に並ぶ前記固体撮像素子及び少なくとも一つの前記レンズを個々に含むように分割する撮像ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−204635(P2010−204635A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288247(P2009−288247)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】