説明

レンズケア溶液中の着色剤の酵素分解

本発明は、コンタクトレンズの消毒及び洗浄用レンズケアキットを提供する。本発明のレンズケアキットは、有色タンパク質を含む有色レンズケア溶液、及びタンパク質分解酵素を含む。本発明のキットは、顧客が、彼らのレンズが消毒され、清潔で、装着準備が完了した時期を、視覚によって確認するのを可能にする。本発明は、コンタクトレンズの消毒及び洗浄の完了を示す色の変化に依拠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用の色指示薬としての、レンズケア溶液中の着色剤の選択的な分解の使用に関する。特に、本発明は、コンタクトレンズの洗浄及び消毒に有効なシステム、方法、及びキットを提供する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、広い範囲の消費者に視力矯正の手段を提供する。コンタクトレンズ装着の利点は多数ある。眼鏡に比べて改良された利便性及び改良された外観が、ほとんどの消費者にとって、おそらく最も重要な二つの利点である。しかし、コンタクトレンズは、快適さを確保し、眼の感染を避けるために、厳しいケア管理体制が必要である。コンタクトレンズの適切なケアは、典型的には、コンタクトレンズ装着に伴うおそれのある眼の健康への感染又は他の有害な作用を防止するために、消費者が定期的にレンズを洗浄及び消毒することを要求する。
【0003】
近年、レンズケアシステムの新たな種類として、コンタクトレンズを、全くレンズを機械的にこすらずに洗浄し、消毒し、すすぐ、多目的溶液が開発された。この新規なシステムが、レンズケア市場の大部分を支配している。このような人気は、おそらく、この新規なシステムが消費者に与える容易さ及び利便性に由来する。十分な消毒を達成するために、コンタクトレンズは十分な期間、MPS溶液の中になければならない。しかし、顧客は、現在のところ、彼らのレンズが、レンズが十分に消毒されていることを保障するのに十分な期間レンズケア溶液中にあったかどうかを確認する直接の方法を持たない。顧客に、彼らのレンズが清潔で及び装着準備が完了した時期を、彼らが視覚によって確認することができる手段を提供することが望まれている。
【0004】
したがって、消費者に、レンズケアレジメンが完結したことの視覚確認を提供するために、コンタクトレンズの消毒に必要な期間にわたって脱色することができるレンズケアキットが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキットであって、少なくとも1種の水溶性の有色タンパク質を含む有色レンズケア溶液、及びタンパク質分解酵素を含み、有色レンズケア溶液と接触すると、有色レンズケア溶液を実質的に脱色させるのに十分な期間にわたって、タンパク質分解酵素が徐々に有色タンパク質を分解し、これにより有色レンズケア溶液により消毒及び洗浄されているレンズが使える状態にあることを示す、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキットを提供する。本発明のレンズケアキットは、顧客が、彼らのレンズが消毒され、清潔で、装着準備が完了した時期を、視覚によって確認するのを可能にする。
【0006】
本発明は、上述の及び他の特徴を提供し、本発明の利点は、本明細書で述べる実施態様例の以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。詳細な説明は、単なる本発明の具体例であり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求項及びその均等物により定義される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、本開示の一部になる以下の本発明の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されるであろう。特に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術・科学用語は、本発明が属する当技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いる命名法は周知であり、当技術分野において一般に使用されている。当技術分野及び種々の一般的な参考文献において提供されるような従来の方法が、記載した手順を実施するのに用いられる。本発明は、本明細書で記載及び/又は表示した特定の装置、方法、条件若しくはパラメータに限定されず、本明細書で用いる専門用語は、特定の実施態様を例としてだけ説明することを目的として、請求された発明を限定することを意図しないことは理解されよう。さらに、文脈が明らかに他を指図しない限り、添付の請求項を含む明細書で用いる、単数形の言及は複数形を含み、そして特定の数値の言及は少なくともその特定の値を含む。本明細書では、範囲は、ある特定の「約」又は「およその」数値から及び/又は別の特定の「約」又は「およその」数値までとして表すことができる。このような範囲が表されるとき、別の実施態様は、ある特定の数値から及び/又は他の特定の数値までを含む。同様に、先行する「約」を用いることによって値が近似値で表される場合、その特定の数値が別の実施態様を形成することが理解されるであろう。
【0008】
本発明は、一つの態様では、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキットであって、少なくとも1種の水溶性の有色タンパク質を含む有色レンズケア溶液、及びタンパク質分解酵素を含み、有色レンズケア溶液と接触すると、有色レンズケア溶液を実質的に脱色させるのに十分な期間にわたって、タンパク質分解酵素が徐々に有色タンパク質を分解し、これにより有色レンズケア溶液により消毒及び洗浄されているレンズが使える状態にあることを示す、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキットを提供する。
【0009】
本発明のレンズケアキットを用いて、ハード(PMMA)コンタクトレンズ、ソフト(親水性)コンタクトレンズ、及びハードガス透過性(RGP)コンタクトレンズを含むコンタクトレンズを消毒及び洗浄することができる。ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルコンタクトレンズ又はシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである。
【0010】
「ヒドロゲル」とは、完全に水和した場合、少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマー材料を指す。一般に、ヒドロゲル材料は、少なくとも1種の親水性モノマーを、さらなるモノマー及び/又はマクロマーの存在下又は非存在下で、重合又は共重合することによって得られる。
【0011】
「シリコーンヒドロゲル」とは、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマー又は少なくとも1種のシリコーン含有マクロマーを含む重合性組成物の共重合によって得られるヒドロゲルを指す。
【0012】
本明細書で用いる「親水性」とは、脂質とよりも容易に水と会合する材料又はその部分を表す。
【0013】
本発明のレンズケアキットは、顧客が、彼らのレンズが消毒され、清潔で、装着準備が完了した時期を視覚によって確認するのを可能にする。本発明は、コンタクトレンズの消毒及び洗浄が完了する時期を示す色の消失又は退色に依拠する。好ましくは、初めの色は、青又は緑又は紫である。他の任意の色を用い得ることが理解される。
【0014】
本発明によれば、レンズケア溶液は、制御された期間にわたって徐々に退色する色を有する。好ましくは、制御された期間の終わりには、レンズケア溶液の色が実質的に見えなくなり、そして実質的に透き通ってくる(透明以外は実質的に無色)。制御された期間は、コンタクトレンズの消毒に十分な長さであり、好ましくは少なくとも約2時間、より好ましくは約4時間、さらに好ましくは約6時間である。
【0015】
本発明の有色レンズケア溶液は、少なくとも1種の水溶性の有色タンパク質を含む。本発明によれば、有色タンパク質は、無毒であり、かつコンタクトレンズ及びレンズケースを汚染又は染色しない限り、任意の天然の有色タンパク質であってよい。有色タンパク質の例として、フィコビリタンパク質、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、GFP様タンパク質、バクテリオロドプシン、青色銅タンパク質(例えば、プラストシアニン)などが挙げられるが、これらに限定されない。フィコビリタンパク質の例として、フィコシアニン、アロフィコシアニン、及びフィコエリトリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
好ましい有色タンパク質は、フィコシアニン及びアロフィコシアニンである。これらの有色タンパク質は、自生する植物から、藻の抽出物として採取することができ、強く長持ちする色をレンズケア溶液に与えるのに有効である。コンタクトレンズをこのような溶液で処理する場合、それらは藻の抽出物により、裸眼で見えるような色がつかない。これは、特に、藻の抽出物の分子量が通常高いためであり、スピルリナ・プラテンシス抽出物の場合、分子量は、200,000を軽く超える。
【0017】
藻の抽出物は、好ましくは青又は緑、より好ましくは青である。抽出物が本発明に有用である藻の好ましい種類は、青色藻(スピルリナタイプ)であり、日本の青色藻スピルリナ・プラテンシス)がより好ましい。他の公知のスピルリナ種は、スピルリナ・ギガンティア又はスピルリナ・マキシマである。本発明の文脈においてタンパク質着色剤として有用な典型的な抽出物は、スピルリナ藻からのリナブルーAE(アロフィコシアニンの部分的に精製された形態)、リナブルーHGE、リナブルーA(フィコシアニン約30%)、リナブルーHK(フィコシアニン約60%)及びリナブルーHG(フィコシアニン約70%)、(全て、Dainippon Ink & Chemicals Inc., Japanにより販売されている)である。別の適切な製品は、Tokai Sangyo Co. Ltd, Japanにより流通されるスピルリナブルーである。精製されたアロフィコシアニン及びフィコシアニンが、Sigmaから市販されている。
【0018】
本発明によれば、有色レンズケア溶液中に1種以上の着色剤を一緒に用いて、望ましい色を作ることができる。当業者は、望ましい色を実現するための、着色剤の種類及びその量を選択する方法を知っているであろう。
【0019】
本発明によれば、有色レンズケア溶液は眼に安全である。レンズケア溶液に関して、用語「眼に安全である」とは、その溶液で処理されたコンタクトレンズを、すすがないで直接眼に装着することに対して安全であることを意味し、すなわち、その溶液が、コンタクトレンズを介する眼との毎日の接触に対して安全かつ十分に快適であることである。眼に安全な溶液は、眼と適合性である張度及びpHを有し、国際ISO規格及び米国FDA規制にしたがって、細胞に有毒でない材料及びその量を含む。
【0020】
用語「眼と適合性である」とは、眼に有意な損傷を与えることなく、かつ使用者の有意な不快を伴わずに、長期間、眼と密接に接触することができる、溶液を意味する。
【0021】
有色レンズケア溶液は、市販されているレンズケア溶液を含む任意のレンズケア溶液から、1種以上の着色剤をその中に添加することにより製造することができる。レンズケア溶液は、多目的溶液(過酸化水素を含まない)又は過酸化水素を含有する溶液とすることができる。
【0022】
レンズケア溶液が過酸化水素を含有する溶液であるならば、有色レンズケア溶液は、レンズを消毒する直前に、レンズケース中で、二つの溶液:一方が着色剤を含まず過酸化水素を含有する溶液、もう一方が過酸化水素を含まず着色剤を含有する溶液を混合することにより製造するのが好ましい。このような混合は、二つの分かれた区画(一方が過酸化水素を含有する溶液用で、もう一方が過酸化水素を含まず着色剤を含有する溶液用)を有するコンテナを用いて行うことができる。コンテナはさらに、コンテナから二つの溶液を注ぎ込む際に二つの溶液を混合するために、当業者に公知の混合装置を含むことができる。過酸化水素を含有する溶液及び着色剤を含有する溶液を別個に貯蔵し、需要に応じてそれらを混合して有色レンズケア(消毒)溶液を形成することにより、着色剤が過酸化水素によってゆっくり酸化される可能性を最小限にするか又は除くことができ、これにより溶液の保存寿命が大きく延びる。
【0023】
本発明によれば、過酸化水素を含有する溶液は、さらに、当業者に公知の他の成分、例えば、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、キシリトール、デクスペンタノール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの混合物)、コンディショニング/湿潤剤(ポリビニルアルコール、ポリオキサマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらの混合物)、緩衝剤、界面活性剤などを含むことができる。
【0024】
レンズケア溶液が、例えば多目的溶液のような過酸化水素を含まない消毒溶液であるならば、過酸化水素が無いので、着色剤を直接に添加して本発明の有色レンズケア溶液を製造することができる。
【0025】
好ましい実施態様では、本発明のレンズケア溶液は、コンタクトレンズを消毒、洗浄、すすぐことができる多目的溶液である。
【0026】
用語「消毒溶液」とは、コンタクトレンズ上に存在する数多くの微生物の存在を低減するか又は実質的に除去するのに有効な殺菌性化合物を1種以上含有する溶液を意味し、溶液、又はその溶液に浸漬した後のコンタクトレンズを、このような微生物の特定の植え付け材料で誘発試験することによって試験することができる。
【0027】
物品、例えばコンタクトレンズの洗浄、化学的消毒、保管、及びすすぎに有効な溶液を、本明細書では「多目的溶液」という。このような溶液は、「多目的溶液システム」又は「多目的溶液パッケージ」の一部であってよい。多目的溶液、システム又はパッケージを用いる方法は、「多機能消毒方式」と呼ばれる。多目的溶液は、一部の装着者、例えば、化学消毒薬又は他の化学薬剤に特に敏感な装着者が、レンズの挿入に先立って、コンタクトレンズを別の溶液、例えば、滅菌した生理食塩水溶液ですすぐか又は湿潤させることを好むであろうという可能性を排除するものではない。用語「多目的溶液」は、毎日ベースで用いられない定期的クリーナー、又は典型的には週ベースで用いられる、タンパク質を除去する補足クリーナー、例えば酵素クリーナーの可能性も排除しない。
【0028】
本発明の過酸化水素を含まない有色消毒溶液を用いて、コンタクトレンズを、フザリウム・ソラニ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、及びカンジダ・アルビカンスが挙げられるが、これらに限定されない広い範囲の微生物に対して消毒することができる。本発明の目的のために、用語「消毒」とは、増殖状態にある実質的に全ての病原性微生物(グラム陰性及びグラム陽性菌、並びに菌類を含む)を、非生存にすることを意味する。このような病原性微生物を不活性にする化合物及び組成物は、殺菌剤として公知である。
【0029】
本発明の有色消毒又はMPS溶液は、コンタクトレンズの望ましい消毒を行うのに十分な濃度で殺菌剤を含有しなければならない。本発明に有用な殺菌剤に必要な具体的な濃度は、各殺菌剤に対して実験により決定しなければならない。有効濃度に影響する要因のいくつかは、特定の病原体に対する殺菌剤の比活性、殺菌剤の分子量、及び殺菌剤の溶解性である。選択した殺菌剤を生理学的に許容される濃度で使用することも重要である。本発明で使用できる殺菌剤のリストには、ビグアニド、ビグアニドポリマー、その塩、N−アルキル−2−ピロリドン、ポリクオタニウム−1、ブロノポール、ベンザルコニウムクロリド、及び過酸化水素が挙げられるがこれらに限定されない。本発明で有用な抗菌性ビグアニドとして、ビグアニド、ビグアニドポリマー、その塩、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ビグアニドは、アレキシジン遊離塩基、アレキシジンの塩、クロロヘキシジン遊離塩基、クロロヘキシジンの塩、ヘキセチジン、ヘキサメチレンビグアニド、及びそれらのポリマー、並びにその塩から選択される。最も好ましくは、ビグアニドは、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)とも呼ばれる、ヘキサメチレンビグアニドポリマー(PHMB)である。
【0030】
本発明の典型的な溶液は、殺菌剤PHMBを約0.01〜約10ppm、好ましくは約0.05〜約5ppm、より好ましくは約0.1〜約2ppm、さらに好ましくは約0.2〜約1.5ppmの量で含有する。
【0031】
本発明の溶液は、好ましくは、有効量のキレート化成分を含む。任意の適切な、好ましくは眼に許容しうるキレート化成分を本発明の組成物に含むことができるが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、その塩及びその混合物が特に有効である。EDTAは、低レベル実質的非刺激キレート化剤であり、PHMBと相乗作用して抗菌効率を高めることができる。EDTAの典型的な量は、コンタクトレンズケア組成物の合計量に基づいて、約0.001〜約1重量%、好ましくは約0.002〜約0.5重量%、より好ましくは約0.004〜約0.1重量%、さらに好ましくは約0.005〜約0.05重量%である。
【0032】
本発明の溶液は、緩衝剤を含有するのが好ましい。緩衝剤は、pHを好ましくは所望の範囲、例えば、約6.0〜約8.0の生理学的に許容される範囲に維持する。任意の公知の、生理学的に適合性の緩衝剤を用いることができる。本発明によるコンタクトレンケア組成物の成分として適切な緩衝剤は、当業者に公知である。例は、ホウ酸、ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、例えばクエン酸カリウム、重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、トリス(トロメタモール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ビス−アミノポリオール、リン酸緩衝液、例えばNa2HPO4、NaH2PO4、及びKH2PO4又はこれらの混合物である。各緩衝剤の量は、組成物のpH約6.5〜約7.5を達成するのに効果的な必要量である。典型的には、0.001〜2%、好ましくは0.01〜1%、最も好ましくは約0.05〜約0.30重量%の量で含まれる。
【0033】
好ましい緩衝剤は、式(I):
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、a、b、c、d、e、f、g、及びhは、独立して、1〜6の整数であり;R及びR’は、独立して、−H、−CH3、−(CH22-6−H、及び−(CH21-6−OHよりなる群から選択される)のビス−アミノポリオールである。本発明では、式(I)で示される緩衝剤は、種々の水溶性塩の形態で与えることもできる。最も好ましいビス−アミノポリオールは、1,3−ビス(トリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノ)プロパン(ビス−トリス−プロパン)である。
【0036】
ビス−トリス−プロパンは、特定の殺菌剤(例えば、PHMB)及び殺カビ剤と相乗作用を示すことができ、他の緩衝剤と組み合わせて用いたこれらの同じ活性成分の活性よりも著しく高い殺菌活性をもたらすことが見出された。ビス−トリスプロパンは、Biochemicals and Reagents, Sigma-Aldrich Co., 2000-2001 editionに、生理的緩衝剤として記載されている。ビス−トリス−プロパンの具体的な構造を式IIに示す。
【0037】
【化2】

【0038】
この二塩基化合物の解離定数は、pKa1=6.8及びpKa2=9.5であり、これがこの化合物の水溶液を広いpH範囲約6.3〜9.3で緩衝剤として有用なものにしている。本発明で用いる濃度でビス−トリス−プロパンは、眼及び公知のコンタクトレンズ材料に害がなく、したがって眼に適合性である。
【0039】
本発明の有色レンズケア溶液は、潤滑剤を含むのが好ましい。本明細書で用いる「潤滑剤」とは、コンタクトレンズ及び/又は眼の表面湿潤性を高めるか、又はコンタクトレンズ表面の摩擦特性を低減することのできる任意の化合物又は材料を指す。潤滑剤の例として、ムチン様材料及び親水性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
ムチン様材料の例として、ポリグリコール酸、ポリラクチド、コラーゲン、及びゼラチンが挙げられるが、これらに限定されない。ムチン様材料は、ドライアイ症候群を緩和するために用いることができる。ムチン様材料は、有効量で含まれるのが好ましい。
【0041】
親水性ポリマーの例として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、親水性ビニルコモノマー1種以上が含まれるか含まれないビニルラクタム少なくとも1種のコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドと親水性ビニルモノマー1種以上とのコポリマー、これらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本溶液は、粘度上昇剤1種以上を含有してもよい。適切な粘度上昇成分として、ポリビニルピロリドン、水溶性天然ゴム、セルロース系ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。有用な天然ゴムとして、グアーゴム、トラガカントゴムなどが挙げられる。粘度上昇剤として有用なセルロース系ポリマーの例として、セルロースエーテルが挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
好ましいセルロースエーテルの例は、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はこれらの混合物である。より好ましくは、セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びこれらの混合物である。セルロースエーテルは、組成物中に、コンタクトレンズケア組成物の合計量に基づいて、約0.01〜約5重量%、好ましくは約0.05〜約3重量%、さらに好ましくは約0.1〜約1重量%の量で含まれる。セルロースエーテルは、レンズケア製品の粘度を上げるために用いることができ、そしてレンズケア組成物中で潤滑剤としても働くことができると考えられる。
【0044】
有用な粘度上昇成分は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。本発明の組成物中に用いるポリビニルピロリドン(PVP)は、1−ビニル−2−ピロリドンモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも90%含む直鎖状ホモポリマー又は本質的に直鎖状ホモポリマーであり、このポリマーは、より好ましくは、少なくとも約95%又は本質的に全てがその繰り返し単位含み、残部は重合適合性のモノマー、好ましくは中性モノマー、例えばアルケン又はアクリレートから選択される。PVPに対する他の同義語として、ポビドン、ポリビドン、1−ビニル−2−ピロリジノン、及び1−エテニル−2−ピロリオノン(CAS登録番号9003−39−8)が挙げられる。本発明で適切に用いられるPVPの重量平均分子量は、約10,000〜250,000、好ましくは30,000〜100,000である。このような材料は、種々の会社により販売されており、ISP Technologies,Inc.の登録商標PLASDONE(商標)K−29/32、BASFの登録商標KOLLIDON(商標)、USPグレードのPVPとして、例えばKOLLIDON(商標)K−30又はK−90がある。本発明は、いかなる特定のPVPにも限定されないが、K−90 PVPが好ましく、より好ましくは医薬グレードである。
【0045】
本発明による有色レンズケア溶液は、好ましくは、それらが涙液と等張であるように配合される。涙液と等張である溶液は、一般に、その濃度が0.9%の塩化ナトリウム溶液(308mOsm/kg)の濃度に相当する溶液であると理解される。処理するコンタクトレンズが損傷を受けない限り、この濃度からの逸脱は全体にわたって可能である。
【0046】
涙液と等張性、又はさらに別の望ましい張度は、張度に影響を及ぼす有機又は無機物質を添加することにより調節することができる。眼に許容できる適切な張度調節剤として塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、デクスパンテノール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、溶液の張度の大部分は、ハロゲン化物を含有しない電解質(例えば、重炭酸ナトリウム)及び非電解質化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物により与えられる。溶液の張度は、典型的には、約200〜約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250〜350mOsmの範囲であるように調節する。
【0047】
本発明によれば、有色レンズケア溶液は、さらに、コンタクトレンズ洗浄用の界面活性剤を含むことができる。任意の適切な公知の界面活性剤を本発明に使用できる。適切な界面活性剤の例として、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのブロックコポリマーからなるノニオン界面活性剤であるポロキサマー、商品名PluronicでBASF Corp.製(Pluronic(商標)及びPluronic-R(商標));エチレンオキシド及びプロピレンオキシドをエチレンジアミンと組み合わせたブロックコポリマー誘導体であるポロキサミン;ホルムアルデヒド及びオキシランとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマーであるチロキサポール;エトキシル化アルキルフェノール類、例えば商品名TRITON(Union Carbide, Tarrytown, N.Y., USA)及びIGEPAL(Rhone-Poulenc, Cranbury, N.J., USA)で市販されている種々の界面活性剤;ポリソルベート、例えば、商品名TWEEN(ICI Americas, Inc., Wilmington, Del., USA.)で市販されているポリソルベート界面活性剤を含むポリソルベート20;アルキルグルコシド及びポリグルコシド、例えば、商品名PLANTAREN(Henkel Corp., Hoboken, N.J., USA)で市販されている製品;及びBASFから登録商標CREMAPHORで市販されているポリエトキシル化ヒマシ油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
好ましい界面活性剤として、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドのホモポリマー、並びに特定のポロキサマー、例えばBASFから、商品名PLURONIC(登録商標)17R4、PLURONIC(登録商標)F-68NF、PLURONIC(登録商標)F68LF、及びPLURONIC(登録商標)F127で市販されている材料が挙げられ、PLURONIC(登録商標)F-68NF(National Formulary grade)が最も好ましい。より好ましくは、PLURONIC(登録商標)17R4及びPLURONIC(登録商標)F127の組み合わせを用いる。含まれる場合、ポロキサマーを約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.005〜約1重量%、より好ましくは約0.05〜約0.6重量%で使用できる。
【0049】
本発明による有色レンズケア溶液は、公知の方法で、特に従来の、成分と水とを混合するか、又は成分を水へ溶解することによって製造する。
【0050】
本発明によれば、タンパク質分解酵素は、プロテオリシスに基づいてタンパク質を分解することができる任意のタンパク質である。プロテアーゼは、タンパク質を分解する酵素である。好ましいプロテアーゼの例は、スブチリシン、トリプシン、及びパパインであり、スブチリシンが最も好ましいプロテアーゼである。好ましくは、タンパク質分解酵素は、例えば、ガラス又はプラスチックビーズ、樹脂などのような固体支持材の上に固定化される。
【0051】
本発明によれば、タンパク質分解酵素を、コンタクトレンズを本発明の有色レンズケア溶液で消毒するレンズケースに加えることができる。レンズケースを有色レンズケア溶液で満たす前又は後に、タンパク質分解酵素をレンズケースに加えることができる。順番は重要ではない。タンパク質分解酵素は、例えば錠剤[例えばCIBA Vision製ユニザイム錠剤]のような任意の形態でよい。
【0052】
本発明に付随するいくつかの利点がある。第一に、有色レンズケア溶液の色の消失の目視観測は、顧客に、有色レンズケア溶液によるコンタクトレンズの消毒及び洗浄をモニタする有用な手段を与える。色は、情報をコード化する有用な手段として用いられることが多い。本発明を用いることにより、コンタクトレンズを、それらを消毒及び洗浄するのに十分な期間、本溶液によって処理しさえすれば、レンズケア溶液の色は青(初めの色)から無色に変化する。このような色の消失は、コンタクトレンズを消毒する時間の長さを有利にコード化することができる。第二に、有色タンパク質はタンパク質材料だけであるので、タンパク質分解酵素は、有色レンズケア溶液中の有色タンパク質を選択的に分解するだけである。レンズケア溶液中の他の成分は分解されず、このようなわけでレンズケア溶液の抗菌及び洗浄効果を容易に保つことができる。したがって、直接、有色タンパク質を市販されているレンズケア溶液に添加することにより、元のレンズケア溶液の特性に有意な変化を伴わずに、本発明の有色レンズケア溶液を製造することができる。第三に、涙液が、コンタクトレンズの表面に吸着、又はコンタクトレンズのバルクレンズ材料により吸収され得る種々のタンパク質を含有するので、タンパク質分解酵素は、装着したレンズからタンパク性物質を除去することによってコンタクトレンズを洗浄するのにも、役割を果たすことができる。
【0053】
レンズケースは、典型的には、それぞれが1枚のコンタクトレンズ及び一定量のレンズケア溶液を受けるのに合わせた、1対の分離した個別のウェル(キャビティ又はリザーバ)を有する本体部分を含む。各ウェルは、開口を画定する、実質的に円形、長円形又は雨滴形の外面を持った開放端を有する。レンズケースは、さらに、ウェルにその開放端で取り付けるように合わせられた、実質的に液体不透過性のシールを与える、1個又は2個のキャップを含む。各キャップは、さらに、ウェル周りの外周とかみ合うように適合されたシーリングリム又は表面を含む。レンズケースは、堅牢でレンズ溶液中に含有される化学物質を通さない材料で作製することができる。例えば、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、又はポリプロピレンを一般に好まれる構成材料とすることができるが、他のものも用いることができる。
【0054】
好ましくは、固体支持材の上に固定化されたプロテアーゼを、コンタクトレンズ及び所定量のレンズケア溶液を収容するためのレンズケースのウェル、又はレンズケースのウェルと流体連通にあるレンズケースの区画のいずれかに入れることができる。
【0055】
好適な実施態様では、プロテアーゼを、"Lenz Care Methods and Kits"と題された同時係属中の特許出願(参照により全て本明細書に組み入れられる)に記載されているような、レンズケースの範囲内のピンホイール構造に入れる。このピンホイール構造は、ピンホイールの少しの部分だけがレンズケア溶液にさらされるのを可能にする蓋で覆われる。多数の使用(すなわち、コンタクトレンズの消毒)後、ピンホイールの蓋が回転して、新しい分量のプロテアーゼが、レンズケア溶液にさらされるのを可能にし、そうすると、新しいプロテアーゼにより着色剤を分解することができる。
【0056】
本キットは、場合により、コンタクトレンズを眼の中で直接に洗浄及び潤滑するためのレンズケア溶液の使用方法の使用説明書を含んでもよい。
【0057】
コンタクトレンズを、レンズケース中の本発明の有色レンズケア溶液にレンズを浸漬することにより、溶液と接触させることができる。必須ではないが、コンタクトレンズを含有する溶液を、例えば、溶液及びコンタクトレンズを含有するレンズケースを振盪することにより攪拌して、レンズから付着物の除去を少なくとも促進することができる。
【0058】
別の態様では、本発明は、コンタクトレンズを洗浄及び/又は消毒する方法を提供する。本方法は、コンタクトレンズ1個以上を、レンズケース中のタンパク質分解酵素を含有する有色レンズケア溶液と接触させ;次いで有色レンズケア溶液の色の変化を観察する工程を含み、有色レンズケア溶液の実質的な脱色から、有色レンズケア溶液による消毒及び洗浄されているレンズが使える状態にあることを示す。
【0059】
上で述べた種々の実施態様を、本発明のこの態様に使用できる。
【0060】
本発明の溶液及び方法は、本発明の溶液が酵素、例えばUNIZYME(登録商標)のタンパク質分解活性に負の効果を与えないので、コンタクトレンズからごみ又は付着物を除去するために、酵素と組み合わせて用いることができる。このような接触工程の後、コンタクトレンズは、場合により、生理食塩水を用いて手でこするか、又はこすらずにすすぐだけでも、付着物をレンズからさらに除去することができる。本洗浄方法は、レンズを装着者の眼に戻す前に、実質的に液体水性媒体を含まないレンズをすすぐことも含むことができる。
【0061】
前述の開示は、当業者が本発明を実施することができるようにする。読者が具体的な実施態様及びその利点をよりよく理解することができるように、以下の実施例への言及を提示する。
【0062】
実施例1
青色タンパク質
いくつかの形態のリナブルータンパク質着色剤を評価した。Health and Herbs製の原料粉末藻を用いて、乳鉢及び乳棒で圧潰し、遠心分離して細胞残屑をペレット状にし、青色溶液を得た。リナブルーAE及びリナブルーHGEをDainipponから、精製アロフィコシアニン及びフィコシアニンをSigmaから入手した。リナブルー着色剤をさらなる検討に用いたが、それはリナブルー着色剤がBlue Visionレンズケア製品(CIBA Vision)に用いられているからである。
【0063】
Aquify(登録商標)MPS中のリナブルーAEを用いて、レンズ浸漬の検討を行った。リナブルーAEを用いて、21日間、色の取り込みが観察されなかった。
【0064】
リナブルーを用いて、表1に示すような有色レンズケア溶液2種を製造した。
【0065】
【表1】

【0066】
プロテアーゼの選択
スブチリシン、トリプシン、及びパパインの3種のプロテアーゼを試験した。3種のプロテアーゼは全て、リナブルーAE、並びにタンパク質の他の形態を脱色することができた。眼用製品での使用が許可されているので、スブチリシン、例えばUnizyme錠剤(CIBA Vision)を選択した。スブチリシンは、Clear Lens Pro(CLP)と呼ばれる製品として、Novozymeから入手できる。NovozymeからのCLPの液体サンプルを、直接に試験に用いた。
【0067】
脱色速度
Clear Lens Pro(CLP)及びUnizyme錠剤の存在下での、リナブルーの脱色速度を検討するために、実験を行った。この結果から、リナブルーAE溶液は4〜6時間の時間枠で脱色されうることが分かった。
【0068】
別の実験において、CLPを6ウェルマイクロタイタープレートに非特異的に結合し(0.125U/ウェル)、次にこのプレートを、リナブルーAEを含有するレンズケア溶液にさらした。脱色は達成された。
【0069】
実施例2
Sigma製スブチリシンを、種々の樹脂:Amberlite XAD7HP、並びにビーズEC-HA及びEC-EP(違いは表面上の官能基であり、それぞれアミン及びエポキシ)の上に固定化した。Amberliteに結合後、スブチリシンは失活した。ビーズ上に固定後、スブチリシンはまだ活性であり、結合の後9日まで活性を留めた。非固定化酵素より活性がいくらか失われた。ビーズ上に固定化されたスブチリシンは、7回までうまく再使用することができたが、その後の脱色反応について活性の損失がいくらか見られた。
【0070】
特定の用語、装置、及び方法を用いて本発明の種々の実施態様を説明したが、このような記載は例示のためだけにすぎない。用いた用語は、限定の用語ではなく記載の用語である。請求項に記載する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、当業者によって変更及び改変がなされうることは理解されよう。さらに、種々の実施態様の態様は、全体又は部分的に、交換可能であることが理解されるべきである。さらに、表題、見出しなどは、この文書の読者の理解を高めるためにを設けられたものであり、本発明の範囲を限定するものとして読むべきではない。したがって、添付請求項の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる好ましいバージョンの記載に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキットであって:
水溶性有色タンパク質及び殺菌剤を含む有色レンズケア溶液;並びに
タンパク質分解酵素、
を含み、
有色レンズケア溶液と接触すると、有色レンズケア溶液を実質的に脱色させるのに十分な期間にわたって、タンパク質分解酵素が有色タンパク質を分解し、これにより有色レンズケア溶液により消毒及び洗浄されているレンズが使える状態にあることを示す、コンタクトレンズの洗浄及び消毒用レンズケアキット。
【請求項2】
タンパク質分解酵素が、スブチリシン、トリプシン、パパイン、又はこれらの組み合わせである、請求項1のレンズケアキット。
【請求項3】
タンパク質分解酵素が固体支持材上に固定化された、請求項2のレンズケアキット。
【請求項4】
キットが、処理するコンタクトレンズ及び一定量の有色レンズケア溶液を収容するためのウェルを有するレンズケース、ウェルと流体連通にある区画を含み、固体支持材上のタンパク質分解酵素がレンズケースの区画に入れられた、請求項3のレンズケース。
【請求項5】
レンズを処理する直前に、レンズケース中で、一方の着色剤を含まず過酸化水素を含有する溶液と、もう一方の過酸化水素を含まず着色剤を含有する溶液の、二つの溶液を混合することにより有色レンズケア溶液を得る、請求項4のレンズケアキット。
【請求項6】
有色レンズケア溶液が過酸化水素を含まない多目的溶液である、請求項4のレンズケアキット。
【請求項7】
殺菌剤が、ヘキサメチレンビグアニドポリマー(PHMB)である、請求項6のレンズケアキット。
【請求項8】
PHMBが約0.01〜約10ppmの量で含まれる、請求項7のレンズケアキット。
【請求項9】
有色レンズケア溶液が、最初に青又は緑又は紫の色を有する、請求項8のレンズケアキット。
【請求項10】
有色レンズケア溶液がタンパク質分解酵素と接触後、有色溶液の色が、制御された期間にわたって徐々に退色する、請求項9のレンズケアキット。
【請求項11】
制御された期間の終わりに、有色レンズケア溶液の色が実質的に脱色され、実質的に透明かつ無色になる、請求項10のレンズケアキット。
【請求項12】
制御された期間がコンタクトレンズの消毒に十分な長さである、請求項11のレンズケアキット。
【請求項13】
制御された期間が少なくとも約2時間である、請求項12のレンズケアキット。
【請求項14】
制御された期間が少なくとも約4時間である、請求項12のレンズケアキット。
【請求項15】
制御された期間が少なくとも約6時間である、請求項12のレンズケアキット。
【請求項16】
有色タンパク質が、フィコビリタンパク質、フィコシアニン、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様タンパク質、バクテリオロドプシン、又はこれらの組み合わせである、請求項4のレンズケアキット。
【請求項17】
有色タンパク質が、フィコシアニン、アロフィコシアニン、又はこれらの組み合わせである、請求項4のレンズケアキット。
【請求項18】
有色タンパク質が、リナブルーAE、リナブルーHGE、リナブルーA、リナブルーHK、リナブルーHG、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される、藻の抽出物である、請求項4のレンズケアキット。
【請求項19】
有色タンパク質が、精製アロフィコシアニン、精製フィコシアニン、又はこれらの組み合わせである、請求項4のレンズケアキット。
【請求項20】
タンパク質分解酵素を錠剤1個以上として設ける、請求項2のレンズケアキット。

【公表番号】特表2010−500632(P2010−500632A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524660(P2009−524660)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/017961
【国際公開番号】WO2008/021348
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】