説明

レンズ鏡筒およびカメラボディ

【課題】撮影画像の品質低下を有効に防止することのできるレンズ鏡筒を提供すること。
【解決手段】焦点調節レンズ33を光軸方向に駆動して、光学系の焦点状態を調節する第1駆動部331と、ズームレンズ32を光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム第2駆動部321と、前記ズームレンズの光軸方向における位置を検出するズームレンズ位置検出部322と、前記ズームレンズの光軸方向における位置ごとに、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示す倍率変動率の情報を記憶する記憶部37と、前記焦点調節レンズの光軸方向における位置に対応する前記倍率変動率の情報をカメラボディに送信する倍率変動情報送信部36と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒およびカメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光軸方向に沿って焦点調節レンズを微小に往復駆動させるウォブリング駆動を行ないながら、光学系の焦点調節を行なう撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−109690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ズームレンズの光軸方向における位置によっては、焦点調節レンズのウォブリング駆動を行なった際における、画角の変動率が大きくなってしまい、撮影画像の品質が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、撮影画像の品質低下を有効に防止することのできるレンズ鏡筒およびカメラボディを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係るレンズ鏡筒は、焦点調節レンズ(33)を光軸方向に駆動して、光学系の焦点状態を調節する第1駆動部(331)と、ズームレンズ(32)を光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム第2駆動部(321)と、前記ズームレンズの光軸方向における位置を検出するズームレンズ位置検出部(322)と、前記ズームレンズの光軸方向における位置ごとに、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示す倍率変動率の情報を記憶する記憶部(37)と、前記焦点調節レンズの光軸方向における位置に対応する前記倍率変動率の情報をカメラボディに送信する倍率変動情報送信部(36)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]本発明のレンズ鏡筒において、前記記憶部(37)が、前記ズームレンズ(32)の光軸方向における位置に対する、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示すテーブルまたは換算式として、前記倍率変動率の情報を記憶しているように構成することができる。
【0009】
[3]本発明に係るカメラボディは、ズームレンズおよび焦点調節レンズを有する光学系による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を出力する撮像部(22)と、レンズ鏡筒から、前記ズームレンズの光軸方向における位置ごとに設定された、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示す倍率変動率の情報を取得する倍率変動情報取得部(21)と、前記倍率変動率の情報に基づいて、前記焦点調節レンズを光軸方向に駆動させるための駆動信号を前記レンズ鏡筒に送信し、前記光学系の焦点調節を行なう焦点調節部(21)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
[4]本発明のカメラボディにおいて、前記焦点調節部(21)が、前記倍率変動率の情報に基づいて、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を制御するように構成することができる。
【0011】
[5]本発明のカメラボディにおいて、前記焦点調節部(21)が、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を禁止するように構成することができる。
【0012】
[6]本発明のカメラボディにおいて、前記焦点調節部(21)が、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動の駆動速度を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、遅くするように構成することができる。
【0013】
[7]本発明のカメラボディにおいて、前記焦点調節部(21)が、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動における前記焦点調節レンズの往復動作の回数を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、少なくするように構成することができる。
【0014】
[8]本発明のカメラボディにおいて、前記焦点調節部が(21)、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を実行する頻度を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、減少させるように構成することができる。
【0015】
[9]本発明のカメラシステムは、上記レンズ鏡筒と、上記カメラボディと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮影画像の品質低下を有効に防止することのできるレンズ鏡筒およびカメラボディを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子の撮像面を示す正面図である。
【図3】図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
【図5】図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
【図6】図6は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
【図7】図7(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
【図8】図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9は、本実施形態に係るカメラの動作例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、撮影距離と、フォーカスレンズ33を微小駆動させた場合における撮影画像の像倍率の変化量との関係を示す図である。
【図11】図11は、像倍率変動テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0020】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33,34、および絞り35を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0021】
レンズ33は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ33は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ332によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ331によってその位置が調節される。
【0022】
このフォーカスレンズ33の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ33を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ331によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ33が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0023】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ33は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ331がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ331と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ331の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ33が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ331の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ33は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0024】
フォーカスレンズ33の位置はフォーカスレンズ用エンコーダ332によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ33の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0025】
本実施形態のフォーカスレンズ用エンコーダ332としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0026】
フォーカスレンズ33は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、フォーカスレンズ用エンコーダ332で検出されたフォーカスレンズ33の現在位置情報は、レンズ制御部36を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ331は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ33の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部36を介して送出されることにより駆動する。
【0027】
また、レンズ32は、ズームレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の撮影倍率を調節可能となっている。ズームレンズ32も、上述したフォーカスレンズ33と同様に、ズームレンズ用エンコーダ322によってその位置が検出されつつズームレンズ駆動モータ321によってその位置が調節される。ズームレンズ32の位置は、操作部28に設けられたズームボタンを操作することにより、あるいは、カメラ鏡筒3に設けられたズーム環(不図示)を操作することにより、調節される。なお、ズームレンズ32の光軸L1に沿う移動機構は、上述したフォーカスレンズ31の移動機構と同様とすることができる。また、ズームレンズ用エンコーダ322およびズームレンズ駆動モータ321の構成も、上述したフォーカスレンズ用エンコーダ332およびフォーカスレンズ駆動モータ331と同様とすることができる。
【0028】
絞り35は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り35による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部36を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部36に入力される。絞り35の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部36で現在の開口径が認識される。
【0029】
レンズメモリ37は、レンズ鏡筒3の撮影距離や、フォーカスレンズ33の駆動速度の情報などの各種レンズ情報を記憶するメモリである。また、レンズメモリ37は、ズームレンズ32の光軸L1方向における位置ごとに、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量と、撮影光学系による像の倍率変動との関係を示す像倍率変動テーブルを記憶している。
【0030】
レンズ制御部36は、カメラ制御部21とマウント部4に設けられた電気信号接点部41により電気的に接続され、カメラ制御部21からの指令に基づき、ズームレンズ32の駆動や、フォーカスレンズ33の駆動、絞り34による開口径の調節などを行なうとともに、ズームレンズ32の位置や、フォーカスレンズ33の位置、絞り34の開口径などのレンズ情報をカメラ制御部21に送信する。また、レンズ制御部36は、レンズメモリ37に記憶されている倍率変動テーブルを参照し、ズームレンズ32ごとに設定された、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量に対する、撮影光学系による像の倍率変動の情報を、像倍率変動情報として、カメラ制御部21に送信する。
【0031】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0032】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0033】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部36と電気的に接続され、このレンズ制御部36からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部36へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やカメラメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0034】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0035】
操作部28は、シャッターレリーズボタンや、動画撮影開始スイッチなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オードフォーカスモードの中でも、ワンショットモード/コンティニュアスモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0036】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0037】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0038】
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0039】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0040】
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系31の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0041】
また、撮像素子22の撮像面の中心、および中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22c,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0042】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、または二箇所等にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、ユーザが操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出位置として選択することもできる。
【0043】
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
【0044】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
【0045】
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0046】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0047】
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳350の測距瞳351,352から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳351,352から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0048】
ここで、射出瞳350とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳351,352とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0049】
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳351,352の並び方向と一致している。
【0050】
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳350上に投影され、その投影形状は測距瞳351,352を形成する。
【0051】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳350上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳351,352)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0052】
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0053】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0054】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0055】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0056】
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0057】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算することでも求めることができる。
【0058】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ33を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ33の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ33を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0059】
次いで、本実施形態におけるカメラ1の動作例を説明する。以下においては、たとえば、カメラ1により動画撮影が行なわれる場合における動作例を説明する。なお、以下における動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
【0060】
まず、ステップS1では、カメラ制御部21によるスルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、撮像素子22により露光動作が行なわれ、カメラ制御部21により、撮像画素221の画素データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出したデータに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の動画を視認することが可能となる。なお、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0061】
次いで、ステップS2では、動画撮影を開始するための操作、すなわち、操作部28に備えられた動画撮影開始スイッチがオンされたか否かの判定が行なわれる。動画撮影開始スイッチがオンされた場合には、ステップS3に進み、動画撮影が開始される。一方、動画撮影開始スイッチがオンされていない場合には、動画撮影開始スイッチがオンされるまで、ステップS2で待機する。
【0062】
ステップS3では、動画撮影開始スイッチがオンされたため、動画撮影が開始される。動画撮影は、撮像素子22による露光動作を所定の間隔で繰り返し実行することで、画像データを繰り返し取得し、取得した画像データに所定の画像処理を施し、画像処理されたデータを、カメラメモリ24に保存することにより実行される。また、動画撮影中においては、カメラ制御部21は、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bの出力を用いた位相差検出方式による焦点検出、または撮像素子22の撮像画素221の出力を用いたコントラスト検出方式による焦点検出を行い、これらの焦点検出結果に基づいて、フォーカスレンズ33を駆動させることで、光学系の焦点調節が実行される。
【0063】
ステップS4では、動画撮影を終了するための操作、すなわち、操作部28に備えられた動画撮影開始スイッチがオフとされたか否かの判定が行なわれる。動画撮影開始スイッチがオフとされた場合には、ステップS10に進み、動画撮影を終了する処理が行なわれ、本処理を終了する。一方、動画撮影開始スイッチがオフとされていない場合には、ステップS5に進む。
【0064】
ステップS5では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ33を現在のレンズ位置近傍で光軸L1方向に微小駆動させるウォブリング駆動を実行するか否かの判断が行なわれる。ウォブリング駆動を実行すると判断された場合には、ステップS5に進み、一方、ウォブリング駆動を実行すると判断されなかった場合には、ステップS4に戻る。たとえば、本実施形態では、フォーカスレンズ33が合焦位置近傍にある状態において、撮像素子22の撮像画素221の出力を用いて算出した焦点評価値が所定値α以上変化した場合に、ウォブリング駆動を実行すると判断するように構成することができる。なお、この場合における所定値αとしては、焦点状態が変化したと判断できるような値に設定することができる。あるいは、フォーカスレンズ33が合焦位置近傍にある状態において、焦点評価値が所定値α以上変化しない場合でも、フォーカスレンズ33を現在位置に停止させてから所定時間T1以上経過した場合や前回ウォブリング駆動を実行してから所定時間T2以上経過した場合に、ウォブリング駆動を実行すると判断するように構成することができる。さらに、フォーカスレンズ33が合焦位置近傍にあると判断できる場合には、常に、ウォブリング駆動を実行すると判断するように構成することができる。
【0065】
ステップS5において、ウォブリング駆動を実行すると判断された場合には、ステップS6に進み、ステップS6では、カメラ制御部21により、レンズ制御部36から、ズームレンズ32のレンズ位置の情報、およびズームレンズ32のレンズ位置ごとに設定された、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量に対する、撮影光学系による像の倍率変動の情報(像倍率変動情報)を取得する処理が行なわれる。
【0066】
ステップS7では、カメラ制御部21により、ウォブリング駆動を実行するか否かの判定が行なわれる。具体的には、カメラ制御部21は、ステップS6で取得したズームレンズ32のレンズ位置の情報、および像倍率変動情報に基づき、現在のズームレンズ32のレンズ位置における、フォーカスレンズ33の駆動量に対する撮影光学系による像の像倍率変動量を算出する。
【0067】
ここで、図10に、撮影距離と、フォーカスレンズ33を微小駆動させた場合における撮影画像の像倍率の変化量との関係を示す。図10においては、ズームレンズ32が望遠側に位置し、撮影光学系の像面位置が望遠側にある場合において、フォーカスレンズ33をΔdだけ微小駆動させた場合における、仮想面上の像高の変化と、ズームレンズ32が広角側に位置し、撮影光学系の像面位置が広角側にある場合において、フォーカスレンズ33を同じΔdだけ微小駆動させた場合における、仮想面上の像高の変化と、を示している。
【0068】
図10に示すように、ズームレンズ32が望遠側に位置し、撮影光学系の像面位置が望遠側にある場合において、フォーカスレンズ33を広角側にΔdだけ微小駆動させると、撮像面の上端部に入射する光束は、L2からL3に変化し、これにより、図10に示すように、撮像面で撮像される像の像高はΔT1だけ変化することとなる。一方、図10に示すように、ズームレンズ32が広角側に位置し、撮影光学系の像面位置が広角側にある場合において、フォーカスレンズ33を広角側に同じΔdだけ微小駆動させた場合には、撮像面の上端部に入射する光束は、L4からL5に変化し、これにより、図10に示すように、撮像面で撮像される像の像高の変化量はΔT2となる。すなわち、図10に示すように、ズームレンズ32の位置が変化し、これにより撮影距離が変化すると、フォーカスレンズ33を同じ量だけ駆動させた場合でも、フォーカスレンズ33の駆動前後における、撮像面で撮像される像の像高の変化量、すなわち画角の変化量は異なるものとなる。そのため、フォーカスレンズ33を、同じΔdだけ微小駆動させてウォブリング駆動を行なった場合でも、ズームレンズ32のレンズ位置によっては、ウォブリング駆動による画角変化が大きくなってしまい、撮影画像の品質が低下してしまう場合がある。
【0069】
そのため、本実施形態では、ステップS6で取得したズームレンズ32のレンズ位置の情報、および像倍率変動情報に基づき、現在のズームレンズ32のレンズ位置における、フォーカスレンズ33の駆動量に対する撮影光学系による像の像倍率変動量を算出し、フォーカスレンズ33をウォブリング駆動させた際における像倍率変動量が予め定められた所定閾値未満であるか否かの判断を行なう。そして、像倍率変動量が所定閾値未満であると判断された場合には、ステップS8に進み、ウォブリング駆動を実行する一方で、像倍率変動量が所定閾値以上である場合には、ステップS9に進み、ウォブリング駆動を禁止し、ウォブリング駆動を実行しないように制御する。そして、本実施形態では、これにより、ウォブリング駆動による画角変化が大きくなってしまい、撮影画像の品質が低下してしまうことを有効に防止するものである。
【0070】
なお、ここで、レンズ制御部36から取得する像倍率変動情報は、レンズメモリ37に予め記憶された像倍率変動テーブルに基づく情報であり、図11に、レンズメモリ37に予め記憶された像倍率変動テーブルの一例を示す。図11に示すように、像倍率変動テーブルは、たとえば、各ズームレンズ位置に対応する撮影距離と、該撮影距離における像倍率変動指数との関係を示すテーブルとすることができる。ここで、像倍率変動指数は、フォーカスレンズ33を所定量駆動させた際における(たとえば、像面で0.1mm駆動させた際における)、像倍率変動率を示す値であり、その値が大きいほど、フォーカスレンズ33の駆動量に対する像倍率変動の大きさが大きいことを意味する。そして、レンズ制御部21は、ズームレンズ32の現在のレンズ位置の情報から、現在のレンズ位置に対応する撮影距離の像倍率変動指数を検出し、検出した像倍率変動指数から、フォーカスレンズ33をウォブリング駆動させた際における像倍率変動量を算出し、算出した像倍率変動量が予め定められた所定閾値未満であるか否かの判断を行なう。
【0071】
そして、ステップS7において、像倍率変動量が予め定められた所定閾値未満であると判断された場合には、ステップS8に進み、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動が実施される。具体的には、カメラ制御部21から、レンズ制御部36にウォブリング駆動指令が送出され、レンズ制御部36は、ウォブリング駆動指令に基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ331の駆動制御を行い、これにより、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動が実行される。そして、ウォブリング駆動が実行されると、ステップS4に戻る。
【0072】
一方、ステップS7において、像倍率変動量が予め定められた所定閾値以上であると判断された場合には、ステップS9に進み、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動を禁止する処理が行なわれ、これにより、ウォブリング駆動を実行しないように制御される。なお、この場合において、カメラ制御部21から、レンズ制御部36に、ウォブリング駆動禁止指令を送出するような構成としてもよい。そして、ウォブリング駆動を禁止する処理が行なわれた後、ステップS4に戻る。
【0073】
本実施形態に係るカメラ1は以上のように動作する。
【0074】
本実施形態においては、ズームレンズ32のレンズ位置の情報、およびズームレンズ32のレンズ位置ごとに設定された、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量に対する、撮影光学系による像の倍率変動の情報(像倍率変動情報)を取得し、ズームレンズ32のレンズ位置の情報、および像倍率変動情報に基づいて、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動を実行するか否かを判定する。具体的には、ズームレンズ32のレンズ位置の情報、および像倍率変動情報に基づいて、フォーカスレンズ33を所定量駆動させた際における、像倍率変動量を算出し、算出した像倍率変動量が所定の閾値未満である場合には、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動を実行する一方で、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動を実行しない。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ33を所定量駆動させた際における、像倍率変動量が大きく、そのため、ウォブリング駆動を行なった際に画角変化が大きくなってしまうような場合に、ウォブリング駆動を実行しないことにより、ウォブリング駆動を行なった際における画角変化により、撮影画像の品質が低下してしまうことを有効に防止することができる。
【0075】
特に、本実施形態によれば、レンズ鏡筒3に、ズームレンズ32のレンズ位置ごとに設定された、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量に対する、撮影光学系による像の倍率変動の情報を予め記憶させておき、これを用いることに、レンズ鏡筒3の光学特性に応じて、ウォブリング駆動を実行するか否かを判断することができ、これにより、ウォブリング駆動を行なった際における画角変化により、撮影画像の品質が低下してしまうことをより適切に防止することができる。
【0076】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0077】
たとえば、上述した実施形態においては、レンズメモリ37に、ズームレンズ32の光軸L1方向における位置ごとに、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量と、撮影光学系による像の倍率変動との関係を示す像倍率変動テーブルを記憶しているような構成を例示したが、像倍率変動テーブルに代えて、ズームレンズ32の光軸L1方向における位置から、フォーカスレンズ33の光軸L1方向における単位移動量と、撮影光学系による像の倍率変動との関係を算出するための算出式を備えているような構成としてもよい。この場合には、カメラ制御部21は、ズームレンズ32のレンズ位置の情報と、レンズメモリ37に記憶された算出式とから、フォーカスレンズ33をウォブリング駆動させた際における像倍率変動量を算出するように構成することができる。
【0078】
また、上述した実施形態では、フォーカスレンズ33をウォブリング駆動させた際における像倍率変動量が予め定められた所定の閾値以上である場合には、フォーカスレンズ33のウォブリング駆動を実行しないような構成を例示したが、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、ウォブリング駆動の駆動速度を低下させて、ウォブリング駆動を実行するような構成としてもよい。像倍率変動量が所定の閾値未満である場合に、4フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動するとした場合において、たとえば、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、駆動量は同じとしたままとし、かつ、8フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動するような構成とすることができる。また、この場合において、像倍率変動量が所定の閾値を大きく超えた値である場合には、駆動量は同じとしたままとし、かつ、12フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動するような構成とすることもできる。そして、このように、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合に、ウォブリング駆動の駆動速度を低下させて、ウォブリング駆動を実行することにより、ウォブリング駆動を実行可能としながら、ウォブリング駆動を行なった際における画角変化により、撮影画像の品質が低下してしまうことを有効に防止することができる。
【0079】
また、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、ウォブリング駆動におけるフォーカスレンズの往復動作の回数を低下させて、ウォブリング駆動を実行するような構成としてもよい。像倍率変動量が所定の閾値未満である場合に、たとえば、4フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動する動作を繰り返し実行させる場合において、たとえば、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、4フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動させた後、4フレーム撮影する間は、フォーカスレンズ33を停止させておき、再度、4フレーム撮影する間にフォーカスレンズ33を1回往復駆動させるという動作を繰り返し実行するような構成とすることができる。また、この場合において、像倍率変動量が所定の閾値を大きく超えた値である場合には、フォーカスレンズ33を1回往復駆動させた後、フォーカスレンズ33を停止させる長さを、4フレームから8フレームに増加させるような構成とすることもできる。そして、このように、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合に、ウォブリング駆動におけるフォーカスレンズの往復動作の回数を低下させて、ウォブリング駆動を実行することにより、ウォブリング駆動を実行可能としながら、ウォブリング駆動を行なった際における画角変化により、撮影画像の品質が低下してしまうことを有効に防止することができる。
【0080】
あるいは、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、ウォブリング駆動を行なう頻度を低下させて、ウォブリング駆動を実行するような構成としてもよい。たとえば、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、上述したステップS5において、撮像素子22の撮像画素221の出力を用いて算出した焦点評価値が所定値αよりも大きい所定値α’以上変化した場合に、ウォブリング駆動を実行すると判断するように構成することができる。さらには、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合には、上述したステップS5において、フォーカスレンズ33を現在位置に停止させてから所定時間T1よりも長い所定時間T1’以上経過した場合や前回ウォブリング駆動を実行してから所定時間T2よりも長い所定時間T2’以上経過した場合に、ウォブリング駆動を実行すると判断するように構成することができる。すなわち、このように、ウォブリング駆動を実行すると判断する際の閾値を変更することで、ウォブリング駆動を行なう頻度を低下させることができる。そして、このように、像倍率変動量が所定の閾値以上である場合に、ウォブリング駆動を行なう頻度を低下させて、ウォブリング駆動を実行することにより、ウォブリング駆動を実行可能としながら、ウォブリング駆動を行なった際における画角変化により、撮影画像の品質が低下してしまうことを有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
3…レンズ鏡筒
32…ズームレンズ
321…ズームレンズ駆動モータ
322…ズームレンズ用エンコーダ
33…フォーカスレンズ
331…フォーカスレンズ駆動モータ
332…フォーカスレンズ用エンコーダ
36…レンズ制御部
37…レンズメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調節レンズを光軸方向に駆動して、光学系の焦点状態を調節する第1駆動部と、
ズームレンズを光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム第2駆動部と、
前記ズームレンズの光軸方向における位置を検出するズームレンズ位置検出部と、
前記ズームレンズの光軸方向における位置ごとに、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示す倍率変動率の情報を記憶する記憶部と、
前記焦点調節レンズの光軸方向における位置に対応する前記倍率変動率の情報をカメラボディに送信する倍率変動情報送信部と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
前記記憶部は、前記ズームレンズの光軸方向における位置に対する、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示すテーブルまたは換算式として、前記倍率変動率の情報を記憶していることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
ズームレンズおよび焦点調節レンズを有する光学系による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を出力する撮像部と、
レンズ鏡筒から、前記ズームレンズの光軸方向における位置ごとに設定された、前記焦点調節レンズの光軸方向における単位移動量と、前記光学系による像の倍率変動との関係を示す倍率変動率の情報を取得する倍率変動情報取得部と、
前記倍率変動率の情報に基づいて、前記焦点調節レンズを光軸方向に駆動させるための駆動信号を前記レンズ鏡筒に送信し、前記光学系の焦点調節を行なう焦点調節部と、を備えることを特徴とするカメラボディ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラボディにおいて、
前記焦点調節部は、前記倍率変動率の情報に基づいて、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を制御することを特徴とするカメラボディ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラボディにおいて、
前記焦点調節部は、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を禁止することを特徴とするカメラボディ。
【請求項6】
請求項4に記載のカメラボディにおいて、
前記焦点調節部は、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動の駆動速度を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、遅くすることを特徴とするカメラボディ。
【請求項7】
請求項4に記載のカメラボディにおいて、
前記焦点調節部は、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動における前記焦点調節レンズの往復動作の回数を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、少なくすることを特徴とするカメラボディ。
【請求項8】
請求項4に記載のカメラボディにおいて、
前記焦点調節部は、前記ズームレンズの現在のレンズ位置における、前記倍率変動率が所定値以上である場合には、前記焦点調節レンズのウォブリング駆動を実行する頻度を、前記倍率変動率が所定値未満の場合と比較して、減少させることを特徴とするカメラボディ。
【請求項9】
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒と、請求項3〜8のいずれかに記載のカメラボディと、を備えることを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−11810(P2013−11810A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145655(P2011−145655)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】