レンズ駆動装置
【課題】本発明は、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にしたレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】このレンズ駆動装置1は、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aが、レンズホルダ8に設けられた仮止め部40に引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bが、レンズホルダ8に固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aは、何回(例えば一、二回)捻られた状態でレンズホルダ8に仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフト10を、圧縮コイルバネ11内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11とレンズホルダ8とが一体化されているので、レンズ駆動装置1の組み立て作業性が良好になる。
【解決手段】このレンズ駆動装置1は、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aが、レンズホルダ8に設けられた仮止め部40に引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bが、レンズホルダ8に固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aは、何回(例えば一、二回)捻られた状態でレンズホルダ8に仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフト10を、圧縮コイルバネ11内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11とレンズホルダ8とが一体化されているので、レンズ駆動装置1の組み立て作業性が良好になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部(例えば、携帯端末機のカメラ部や光ディスク装置の光ピックアップ機構)に実装されて、レンズの焦点合わせやレンズの球面収差補正に利用されるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2009−282243号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、レンズの球面収差の補正に利用され、モータによって回転されるリードスクリューと、リードスクリューに螺着される雌ネジ部と、雌ネジ部の移動に追従するレンズホルダと、レンズホルダをガイドするガイドシャフトと、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、を備えている。さらに、レンズホルダは、圧縮コイルバネによって雄ネジ部に圧着され、雌ネジ部の移動に追従させるようにしている。ガイドシャフトが貫通する圧縮コイルバネの一端は、ガイドシャフトが固定させられているベース部材に引っ掛けられ、圧縮コイルバネの他端は、レンズホルダに引っ掛けられ、これによって、ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力をレンズホルダに付与させている。そして、レンズホルダに設けられた回り止め部が、圧縮コイルバネの捻り戻り力によって回り止めシャフトに当接させられることで、振動によるレンズホルダのガタ付きを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−282243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンズ駆動装置を組み立てるにあっては、圧縮コイルバネの端部を1〜2回転させた状態で、圧縮コイルバネの一端をフレームに引っ掛け、圧縮コイルバネの他端をレンズホルダに引っ掛ける作業が必要である。しかしながら、レンズ駆動装置は、非常に小さな部品であり、そこに配置される圧縮コイルバネは、巻き径が1mm程度で、線径が0,1mm程度の極めて小さな部品であるから、ピンセットなどを使って、圧縮コイルバネを1〜2回転に捻ることは、非常に作業性が悪く、作業負担になっていた。特に、レンズ駆動装置が小型化されるにつれて圧縮コイルバネも小型化されるので、このような作業は、レンズ駆動装置の小型化する上で不利になっていた。
【0005】
本発明は、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
ベース部材に固定されると共に、リードスクリューの回転軸線に対して平行に延在するガイドシャフトと、
ベース部材に固定されると共に、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、
ガイドシャフトが貫通すると共に、ガイドシャフトに沿って往復動するレンズホルダと、
ガイドシャフトが貫通すると共に、一端がベース部材に引っ掛けられ、他端がレンズホルダに引っ掛けられて、ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力をレンズホルダに付与する圧縮コイルバネと、
レンズホルダに設けられて、圧縮コイルバネの捻り戻り力によって回り止めシャフトに当接させられる回り止め部と、を備え、
レンズホルダには、圧縮コイルバネの一端を引っ掛けられる仮止め部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このレンズ駆動装置の組み立てにあたって、圧縮コイルバネの一端が、レンズホルダに設けられた仮止め部に引っ掛けられ、圧縮コイルバネの他端が、レンズホルダに引っ掛けて固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネを、何回か捻られた状態でレンズホルダに仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフトを、圧縮コイルバネ内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネとレンズホルダとが一体化されているので、レンズ駆動装置の組み立て作業性が良好になる。そして、ガイドシャフトがベース部材に固定された後、圧縮コイルバネの一端を仮止め部から外して、ベース部材に引っ掛けて固定させる。従って、レンズホルダに仮止め部を設けることで、部品の一連の組み立て作業を容易に行うことができ、圧縮コイルバネの装着作業性が極めて良好になる。特に、レンズ駆動装置の小型化に伴って、圧縮コイルバネの巻き径や線径が小さくなる場合であっても、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にすることができる。
【0008】
また、レンズホルダには、圧縮コイルバネの周囲で圧縮コイルバネに沿って延在して、圧縮コイルバネの座屈による変形を規制する座屈規制部が設けられて、座屈規制部に仮止め部が設けられている。
何回か捻られた状態の圧縮コイルバネは、一般的に座屈し易くなるが、このような構成を採用すると、組み立て作業時に圧縮コイルバネが座屈することもなく、従ってガイドシャフトと接触する事態を回避させることができる。
【0009】
また、座屈規制部は、ガイドシャフトが貫通するホルダ本体部から圧縮コイルバネに沿って突出する断面コ又はU字状の規制本体部と、規制本体部の遊端から圧縮コイルバネに沿って突出する規制片と、を有し、仮止め部は、規制片に形成されると共に、規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部である。
この仮止め部は、規制片に設けられると共に、規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部になっているので、圧縮コイルバネを捻りながら、圧縮コイルバネの一端を仮止め部に引っ掛け易い。しかも、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネの一端を仮止め部から外した際に、ピンセットなどから圧縮コイルバネの一端が例え外れても、圧縮コイルバネの一端を規制片に当て戻すことができ、これによって、圧縮コイルバネの捻りが元に戻ることを防止し、圧縮コイルバネを再度捻り直す必要がなくなり、作業性が良好になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示されたレンズ駆動装置の平面図である。
【図4】レンズホルダに圧縮コイルバネを装着した直後の状態を示す平面図である。
【図5】図4の部分拡大斜視図である。
【図6】圧縮コイルバネに捻り力を加えてレンズホルダに装着した状態を示す平面図である。
【図7】図6の部分拡大斜視図である。
【図8】図6の断面図である。
【図9】レンズ駆動装置の組み立て完了直前の状態を示す平面図である。
【図10】図9の部分拡大斜視図である。
【図11】捻り状態の圧縮コイルバネの一端をベース部材の引っ掛け溝に引っ掛けた状態を示す正面図である。
【図12】図11の部分拡大斜視図である。
【図13】レンズホルダの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
光ディスク装置内部の光ピックアップ機構(光学部)においては、光ディスクの情報層上に光ビームを正確に集光させる必要がある。このため、高精度な光ピックアップ機構にあっては、光ディスクのカバー層の厚さの誤差によって生じる球面収差を補正できるように、レンズを光軸方向に微動させることが必要である。
【0014】
図1〜図3に示されるように、光ピックアップ機構(光学部)に実装されているレンズ駆動装置1は、レンズの球面収差補正に利用され、板材の折り曲げ加工により形成されたベース部材20を有し、このベース部材20は、底板21と、底板21の両端で折り曲げ加工された起立片22,23とからなり、ユニット化を図るために、このベース部材20には、後述する様々な部品が組み付けられている。なお、起立片22は、左右の起立片22a,22bに2分割され、同様に起立片23も、左右の起立片23a,23bに2分割されている。
【0015】
ステッピングモータ3は、起立片23aに固定(溶接、ネジなどでよい)され、モータ3の回転軸3aにはリードスクリュー4が圧入により固定されている。リードスクリュー4は、ベース部材20の起立片23aに形成された開口部23cから差し込まれる。そして、リードスクリュー4から突出する回転軸3aの先端は、ベース部材20における起立片22bの開口部22cに嵌め込み固定された軸受6によって回転自在に支持されている。
【0016】
このリードスクリュー4は、レンズホルダ8を貫通すると共に、雌ネジ部材7に螺着され、レンズホルダ8は、バネ力によって雌ネジ部材7に常に圧着されている。レンズホルダ8は、ベース部材20から外方に向けて、ホルダ本体部8aから突出するアーム部8bを有し、このアーム部8bの遊端には、球面収差補正に利用されるピックアップレンズ9が接着剤によって固定され、その結果として、このレンズ9は、ベース部材20の外側に配置されることになる。
【0017】
前後一対の起立片22bと起立片23bとを架け渡すように、ベース部材20には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在するガイドシャフト10の両端が固定されている。このガイドシャフト10は、レンズホルダ8のホルダ本体部8aに形成されたガイド孔8j内に挿通されている。よって、リードスクリュー4を正逆転させることで、レンズホルダ8は、ガイドシャフト10に沿って往復動し、これに伴って、レンズ9を直線運動させることができる。
【0018】
さらに、前後一対の起立片23aと起立片22aとを架け渡すように、ベース部材20には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在する回り止めシャフト12の両端が固定されている。この回り止めシャフト12は、レンズホルダ8のホルダ本体部8aからレンズ9の反対側で突出する突出部8cの遊端に形成されたU字状の溝部8d内に挿入されている。突出部8cの遊端は、2本の爪部8e,8fからなる回り止め部Sが設けられ、2本の爪部8e,8fの間には、U字状の溝部8dが形成されている。また、突出部8cには、リードスクリュー4を挿入させるための貫通孔8gが設けられている。
【0019】
雌ネジ部材7には、リードスクリュー4に螺着される雌ネジ部7aと、回り止めシャフト12が挿入される溝部7bと、が設けられている。雌ネジ部材7の遊端には、2本の爪部7c,7dからなる回り止め部Pが設けられ、溝部7bは、雌ネジ部材7の遊端に形成された2本の爪部7c,7dの間に形成されている。リードスクリュー4の回転力によって、各爪部7c,7dが回り止めシャフト12に当接させられることで、リードスクリュー4の回転軸線Lを中心にした雌ネジ部材7の回動が防止される。
【0020】
レンズホルダ8のホルダ本体部8aとベース部材20の起立片23bとの間には、巻き径が1mm程度で、線径が0.1mm程度の極めて小さな部品である圧縮コイルバネ11が配置されている。この圧縮コイルバネ11は、振動によってレンズホルダ8がリードスクリュー4の回転軸線Lを中心に回動してガタ付くのを防止するために、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力により規制する機能に関与している。さらに、圧縮コイルバネ11は、レンズホルダ8の送り精度の向上を図るために、レンズホルダ8の突出部8cを雌ネジ部材7に圧着させる機能に関与している。なお、レンズホルダ8の回動規制機能を達成させるために、圧縮コイルバネ11には、必要な回数の捻りが加えられている。
【0021】
捻りが加えられた状態の圧縮コイルバネ11は、ガイドシャフト10の周囲で巻回されている。そして、圧縮コイルバネ11の一端11Aは起立片23bに引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bは、レンズホルダ8のホルダ本体部8aに引っ掛けられている。この圧縮コイルバネ11において、他端11Bは、圧縮コイルバネ11のコイル部の接線方向に直線的に突出し、一端11Aは、圧縮コイルバネ11のコイル部の接線方向に直線的に突出する第1の部分11aと、第1の部分11aに対してL字状に折り曲げられて、回転軸線L方向に突出する第2の部分11bと、からなる。圧縮コイルバネ11をこのような形状にすると、第2の部分11bをピンセットなどで摘み易く、圧縮コイルバネ11が捻り易くなる。
【0022】
さらに、レンズホルダ8のホルダ本体部8aには、圧縮コイルバネ11の周囲で圧縮コイルバネ11に沿って延在して、圧縮コイルバネ11の座屈による変形を規制する座屈規制部30が設けられている。この座屈規制部30は、ガイドシャフト10が貫通するホルダ本体部8aから圧縮コイルバネ11に沿って突出する断面U字状の規制本体部30aと、規制本体部30aの遊端から圧縮コイルバネ11に沿って回転軸線L方向に突出する規制片30bと、を有する。
【0023】
ホルダ本体部8aには、規制本体部30aの開口側に位置して、回転軸線L方向に突出する舌片8hが形成され、この舌片8hと規制本体部30aの開放側端部30cとの間に隙間Rが設けられている。この隙間Rには、圧縮コイルバネ11の他端11Bが挿入されている。また、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bは、ベース部材20の起立片23bの下端に設けられた引っ掛け溝31に引っ掛けられている。これによって、捻りが加えられた圧縮コイルバネ11を座屈規制部30内で維持させることができる。
【0024】
更に、規制片30bには、圧縮コイルバネ11の一端11Aが引っ掛けられる仮止め部40が設けられ、この仮止め部40は、規制本体部30aの開放側端部30cと面一をなす端部30dに凹部として形成されている。この仮止め部40は、レンズ駆動装置1の組み立て時に、圧縮コイルバネ11に捻り力を付与させた状態を維持するために利用される。
【0025】
レンズ駆動装置1の組み立て時にあたって、図4及び図5に示されるように、座屈規制部30内に圧縮コイルバネ11を装填し、ホルダ本体部8aの隙間Rに圧縮コイルバネ11の他端11Bを挿入させる。
【0026】
その後、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bをピンセットで摘んで、矢印A方向に一回転又は二回転の捻りを圧縮コイルバネ11に加える。その状態で、図6〜図8に示されるように、仮止め部40内に圧縮コイルバネ11の第1の部分11aを入れ込む。この場合、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力Bにより圧縮コイルバネ11の一端11Aが仮止め部40から外れることがない。
【0027】
このように、圧縮コイルバネ11をレンズホルダ8に組み込んだ状態で、図9及び図10に示されるように、ベース部材20に対して、ステッピングモータ3、ガイドシャフト10、回り止めシャフト12、レンズホルダ8などを組み付け、レンズ駆動装置1の組み立てを概ね完了させる。
【0028】
その後、図11及び図12に示されるように、規制片30bと起立片23bを近接させた状態で、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bをピンセットで摘んで仮止め部40から外す。その状態で、圧縮コイルバネ11を矢印A方向に捻り、圧縮コイルバネ11に更に一回転未満の捻り力を加えながら、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bを起立片23bの下端の引っ掛け溝31に引っ掛ける。この場合、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力Bにより圧縮コイルバネ11の一端11Aが引っ掛け溝31から外れることがない。予め組み立て作業時に規制片30bと起立片23bを近接させることで、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外した際に、もしもピンセットなどから圧縮コイルバネ11の一端が外れても、圧縮コイルバネ11の第2の部分11bの先端が起立片23bと当接し、圧縮コイルバネ11の一端11Aが規制片30bと当接するので、圧縮コイルバネ11へ加えた捻り(回転)は戻ることがない。
【0029】
このレンズ駆動装置1の組み立てにあたって、圧縮コイルバネ11の一端11Aが、レンズホルダ8に設けられた仮止め部40に引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bが、レンズホルダ8に引っ掛けて固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aは、何回(例えば一、二回)捻られた状態でレンズホルダ8に仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフト10を、圧縮コイルバネ11内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11とレンズホルダ8とが一体化されているので、レンズ駆動装置1の組み立て作業性が良好になる。
【0030】
そして、ガイドシャフト10がベース部材20に固定された後、圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外して、ベース部材20に引っ掛けて固定させる。従って、レンズホルダ8に仮止め部40を設けることで、様々な部品の一連の組み立て作業を容易に行うことができ、圧縮コイルバネ11の装着作業性が極めて良好になる。特に、レンズ駆動装置1の小型化に伴って、圧縮コイルバネ11の巻き径や線径が小さくなる場合であっても、圧縮コイルバネ11の装着作業性を良好にすることができる。一般的に小型のレンズ駆動装置1にあっては、圧縮コイルバネ11の巻き径は、1〜2mm程度である。
【0031】
また、何回か捻られた状態の圧縮コイルバネは、座屈し易くなるので、座屈規制部30の採用により、圧縮コイルバネ11の仮止め時に圧縮コイルバネ11が座屈する事態を回避させることができる。また、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11がガイドシャフト10と接触する事態を回避させることができる。
【0032】
また、仮止め部40は、規制片30bに設けられると共に、規制本体部30aにおける断面コ又はU字の開放側に位置する凹部として形成されているので、圧縮コイルバネ11を捻りながら、圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40に引っ掛け易い。しかも、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外した際に、ピンセットなどから圧縮コイルバネ11の一端11Aが例え外れても、圧縮コイルバネ11の一端11Aを規制片30bに当て戻すことができ、これによって、圧縮コイルバネ11の捻りが元に戻ってしまうことを防止し、圧縮コイルバネ11を再度捻り直す必要がなく、作業性が良好になる。
【0033】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0034】
例えば、図13に示されるように、仮止め部40Aは、規制本体部30a及び規制片30bに渡って形成されていてもよい。
【0035】
規制本体部30aは、断面コ字状であっても断面U字状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…レンズ駆動装置、3…モータ、4…リードスクリュー、10…ガイドシャフト、11…圧縮コイルバネ、12…回り止めシャフト、20…ベース部材、30…座屈規制部、30a…規制本体部、30b…規制片、40…仮止め部、L…回転軸線、S…回り止め部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部(例えば、携帯端末機のカメラ部や光ディスク装置の光ピックアップ機構)に実装されて、レンズの焦点合わせやレンズの球面収差補正に利用されるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2009−282243号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、レンズの球面収差の補正に利用され、モータによって回転されるリードスクリューと、リードスクリューに螺着される雌ネジ部と、雌ネジ部の移動に追従するレンズホルダと、レンズホルダをガイドするガイドシャフトと、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、を備えている。さらに、レンズホルダは、圧縮コイルバネによって雄ネジ部に圧着され、雌ネジ部の移動に追従させるようにしている。ガイドシャフトが貫通する圧縮コイルバネの一端は、ガイドシャフトが固定させられているベース部材に引っ掛けられ、圧縮コイルバネの他端は、レンズホルダに引っ掛けられ、これによって、ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力をレンズホルダに付与させている。そして、レンズホルダに設けられた回り止め部が、圧縮コイルバネの捻り戻り力によって回り止めシャフトに当接させられることで、振動によるレンズホルダのガタ付きを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−282243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンズ駆動装置を組み立てるにあっては、圧縮コイルバネの端部を1〜2回転させた状態で、圧縮コイルバネの一端をフレームに引っ掛け、圧縮コイルバネの他端をレンズホルダに引っ掛ける作業が必要である。しかしながら、レンズ駆動装置は、非常に小さな部品であり、そこに配置される圧縮コイルバネは、巻き径が1mm程度で、線径が0,1mm程度の極めて小さな部品であるから、ピンセットなどを使って、圧縮コイルバネを1〜2回転に捻ることは、非常に作業性が悪く、作業負担になっていた。特に、レンズ駆動装置が小型化されるにつれて圧縮コイルバネも小型化されるので、このような作業は、レンズ駆動装置の小型化する上で不利になっていた。
【0005】
本発明は、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
ベース部材に固定されると共に、リードスクリューの回転軸線に対して平行に延在するガイドシャフトと、
ベース部材に固定されると共に、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、
ガイドシャフトが貫通すると共に、ガイドシャフトに沿って往復動するレンズホルダと、
ガイドシャフトが貫通すると共に、一端がベース部材に引っ掛けられ、他端がレンズホルダに引っ掛けられて、ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力をレンズホルダに付与する圧縮コイルバネと、
レンズホルダに設けられて、圧縮コイルバネの捻り戻り力によって回り止めシャフトに当接させられる回り止め部と、を備え、
レンズホルダには、圧縮コイルバネの一端を引っ掛けられる仮止め部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このレンズ駆動装置の組み立てにあたって、圧縮コイルバネの一端が、レンズホルダに設けられた仮止め部に引っ掛けられ、圧縮コイルバネの他端が、レンズホルダに引っ掛けて固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネを、何回か捻られた状態でレンズホルダに仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフトを、圧縮コイルバネ内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネとレンズホルダとが一体化されているので、レンズ駆動装置の組み立て作業性が良好になる。そして、ガイドシャフトがベース部材に固定された後、圧縮コイルバネの一端を仮止め部から外して、ベース部材に引っ掛けて固定させる。従って、レンズホルダに仮止め部を設けることで、部品の一連の組み立て作業を容易に行うことができ、圧縮コイルバネの装着作業性が極めて良好になる。特に、レンズ駆動装置の小型化に伴って、圧縮コイルバネの巻き径や線径が小さくなる場合であっても、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にすることができる。
【0008】
また、レンズホルダには、圧縮コイルバネの周囲で圧縮コイルバネに沿って延在して、圧縮コイルバネの座屈による変形を規制する座屈規制部が設けられて、座屈規制部に仮止め部が設けられている。
何回か捻られた状態の圧縮コイルバネは、一般的に座屈し易くなるが、このような構成を採用すると、組み立て作業時に圧縮コイルバネが座屈することもなく、従ってガイドシャフトと接触する事態を回避させることができる。
【0009】
また、座屈規制部は、ガイドシャフトが貫通するホルダ本体部から圧縮コイルバネに沿って突出する断面コ又はU字状の規制本体部と、規制本体部の遊端から圧縮コイルバネに沿って突出する規制片と、を有し、仮止め部は、規制片に形成されると共に、規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部である。
この仮止め部は、規制片に設けられると共に、規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部になっているので、圧縮コイルバネを捻りながら、圧縮コイルバネの一端を仮止め部に引っ掛け易い。しかも、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネの一端を仮止め部から外した際に、ピンセットなどから圧縮コイルバネの一端が例え外れても、圧縮コイルバネの一端を規制片に当て戻すことができ、これによって、圧縮コイルバネの捻りが元に戻ることを防止し、圧縮コイルバネを再度捻り直す必要がなくなり、作業性が良好になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、圧縮コイルバネの装着作業性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示されたレンズ駆動装置の平面図である。
【図4】レンズホルダに圧縮コイルバネを装着した直後の状態を示す平面図である。
【図5】図4の部分拡大斜視図である。
【図6】圧縮コイルバネに捻り力を加えてレンズホルダに装着した状態を示す平面図である。
【図7】図6の部分拡大斜視図である。
【図8】図6の断面図である。
【図9】レンズ駆動装置の組み立て完了直前の状態を示す平面図である。
【図10】図9の部分拡大斜視図である。
【図11】捻り状態の圧縮コイルバネの一端をベース部材の引っ掛け溝に引っ掛けた状態を示す正面図である。
【図12】図11の部分拡大斜視図である。
【図13】レンズホルダの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
光ディスク装置内部の光ピックアップ機構(光学部)においては、光ディスクの情報層上に光ビームを正確に集光させる必要がある。このため、高精度な光ピックアップ機構にあっては、光ディスクのカバー層の厚さの誤差によって生じる球面収差を補正できるように、レンズを光軸方向に微動させることが必要である。
【0014】
図1〜図3に示されるように、光ピックアップ機構(光学部)に実装されているレンズ駆動装置1は、レンズの球面収差補正に利用され、板材の折り曲げ加工により形成されたベース部材20を有し、このベース部材20は、底板21と、底板21の両端で折り曲げ加工された起立片22,23とからなり、ユニット化を図るために、このベース部材20には、後述する様々な部品が組み付けられている。なお、起立片22は、左右の起立片22a,22bに2分割され、同様に起立片23も、左右の起立片23a,23bに2分割されている。
【0015】
ステッピングモータ3は、起立片23aに固定(溶接、ネジなどでよい)され、モータ3の回転軸3aにはリードスクリュー4が圧入により固定されている。リードスクリュー4は、ベース部材20の起立片23aに形成された開口部23cから差し込まれる。そして、リードスクリュー4から突出する回転軸3aの先端は、ベース部材20における起立片22bの開口部22cに嵌め込み固定された軸受6によって回転自在に支持されている。
【0016】
このリードスクリュー4は、レンズホルダ8を貫通すると共に、雌ネジ部材7に螺着され、レンズホルダ8は、バネ力によって雌ネジ部材7に常に圧着されている。レンズホルダ8は、ベース部材20から外方に向けて、ホルダ本体部8aから突出するアーム部8bを有し、このアーム部8bの遊端には、球面収差補正に利用されるピックアップレンズ9が接着剤によって固定され、その結果として、このレンズ9は、ベース部材20の外側に配置されることになる。
【0017】
前後一対の起立片22bと起立片23bとを架け渡すように、ベース部材20には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在するガイドシャフト10の両端が固定されている。このガイドシャフト10は、レンズホルダ8のホルダ本体部8aに形成されたガイド孔8j内に挿通されている。よって、リードスクリュー4を正逆転させることで、レンズホルダ8は、ガイドシャフト10に沿って往復動し、これに伴って、レンズ9を直線運動させることができる。
【0018】
さらに、前後一対の起立片23aと起立片22aとを架け渡すように、ベース部材20には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在する回り止めシャフト12の両端が固定されている。この回り止めシャフト12は、レンズホルダ8のホルダ本体部8aからレンズ9の反対側で突出する突出部8cの遊端に形成されたU字状の溝部8d内に挿入されている。突出部8cの遊端は、2本の爪部8e,8fからなる回り止め部Sが設けられ、2本の爪部8e,8fの間には、U字状の溝部8dが形成されている。また、突出部8cには、リードスクリュー4を挿入させるための貫通孔8gが設けられている。
【0019】
雌ネジ部材7には、リードスクリュー4に螺着される雌ネジ部7aと、回り止めシャフト12が挿入される溝部7bと、が設けられている。雌ネジ部材7の遊端には、2本の爪部7c,7dからなる回り止め部Pが設けられ、溝部7bは、雌ネジ部材7の遊端に形成された2本の爪部7c,7dの間に形成されている。リードスクリュー4の回転力によって、各爪部7c,7dが回り止めシャフト12に当接させられることで、リードスクリュー4の回転軸線Lを中心にした雌ネジ部材7の回動が防止される。
【0020】
レンズホルダ8のホルダ本体部8aとベース部材20の起立片23bとの間には、巻き径が1mm程度で、線径が0.1mm程度の極めて小さな部品である圧縮コイルバネ11が配置されている。この圧縮コイルバネ11は、振動によってレンズホルダ8がリードスクリュー4の回転軸線Lを中心に回動してガタ付くのを防止するために、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力により規制する機能に関与している。さらに、圧縮コイルバネ11は、レンズホルダ8の送り精度の向上を図るために、レンズホルダ8の突出部8cを雌ネジ部材7に圧着させる機能に関与している。なお、レンズホルダ8の回動規制機能を達成させるために、圧縮コイルバネ11には、必要な回数の捻りが加えられている。
【0021】
捻りが加えられた状態の圧縮コイルバネ11は、ガイドシャフト10の周囲で巻回されている。そして、圧縮コイルバネ11の一端11Aは起立片23bに引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bは、レンズホルダ8のホルダ本体部8aに引っ掛けられている。この圧縮コイルバネ11において、他端11Bは、圧縮コイルバネ11のコイル部の接線方向に直線的に突出し、一端11Aは、圧縮コイルバネ11のコイル部の接線方向に直線的に突出する第1の部分11aと、第1の部分11aに対してL字状に折り曲げられて、回転軸線L方向に突出する第2の部分11bと、からなる。圧縮コイルバネ11をこのような形状にすると、第2の部分11bをピンセットなどで摘み易く、圧縮コイルバネ11が捻り易くなる。
【0022】
さらに、レンズホルダ8のホルダ本体部8aには、圧縮コイルバネ11の周囲で圧縮コイルバネ11に沿って延在して、圧縮コイルバネ11の座屈による変形を規制する座屈規制部30が設けられている。この座屈規制部30は、ガイドシャフト10が貫通するホルダ本体部8aから圧縮コイルバネ11に沿って突出する断面U字状の規制本体部30aと、規制本体部30aの遊端から圧縮コイルバネ11に沿って回転軸線L方向に突出する規制片30bと、を有する。
【0023】
ホルダ本体部8aには、規制本体部30aの開口側に位置して、回転軸線L方向に突出する舌片8hが形成され、この舌片8hと規制本体部30aの開放側端部30cとの間に隙間Rが設けられている。この隙間Rには、圧縮コイルバネ11の他端11Bが挿入されている。また、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bは、ベース部材20の起立片23bの下端に設けられた引っ掛け溝31に引っ掛けられている。これによって、捻りが加えられた圧縮コイルバネ11を座屈規制部30内で維持させることができる。
【0024】
更に、規制片30bには、圧縮コイルバネ11の一端11Aが引っ掛けられる仮止め部40が設けられ、この仮止め部40は、規制本体部30aの開放側端部30cと面一をなす端部30dに凹部として形成されている。この仮止め部40は、レンズ駆動装置1の組み立て時に、圧縮コイルバネ11に捻り力を付与させた状態を維持するために利用される。
【0025】
レンズ駆動装置1の組み立て時にあたって、図4及び図5に示されるように、座屈規制部30内に圧縮コイルバネ11を装填し、ホルダ本体部8aの隙間Rに圧縮コイルバネ11の他端11Bを挿入させる。
【0026】
その後、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bをピンセットで摘んで、矢印A方向に一回転又は二回転の捻りを圧縮コイルバネ11に加える。その状態で、図6〜図8に示されるように、仮止め部40内に圧縮コイルバネ11の第1の部分11aを入れ込む。この場合、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力Bにより圧縮コイルバネ11の一端11Aが仮止め部40から外れることがない。
【0027】
このように、圧縮コイルバネ11をレンズホルダ8に組み込んだ状態で、図9及び図10に示されるように、ベース部材20に対して、ステッピングモータ3、ガイドシャフト10、回り止めシャフト12、レンズホルダ8などを組み付け、レンズ駆動装置1の組み立てを概ね完了させる。
【0028】
その後、図11及び図12に示されるように、規制片30bと起立片23bを近接させた状態で、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bをピンセットで摘んで仮止め部40から外す。その状態で、圧縮コイルバネ11を矢印A方向に捻り、圧縮コイルバネ11に更に一回転未満の捻り力を加えながら、圧縮コイルバネ11の一端11Aの第2の部分11bを起立片23bの下端の引っ掛け溝31に引っ掛ける。この場合、圧縮コイルバネ11の捻り戻り力Bにより圧縮コイルバネ11の一端11Aが引っ掛け溝31から外れることがない。予め組み立て作業時に規制片30bと起立片23bを近接させることで、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外した際に、もしもピンセットなどから圧縮コイルバネ11の一端が外れても、圧縮コイルバネ11の第2の部分11bの先端が起立片23bと当接し、圧縮コイルバネ11の一端11Aが規制片30bと当接するので、圧縮コイルバネ11へ加えた捻り(回転)は戻ることがない。
【0029】
このレンズ駆動装置1の組み立てにあたって、圧縮コイルバネ11の一端11Aが、レンズホルダ8に設けられた仮止め部40に引っ掛けられ、圧縮コイルバネ11の他端11Bが、レンズホルダ8に引っ掛けて固定される。従って、組み立て時に、圧縮コイルバネ11の一端11Aは、何回(例えば一、二回)捻られた状態でレンズホルダ8に仮止めさせることができる。このような状態を維持すると、ガイドシャフト10を、圧縮コイルバネ11内に容易に挿入することができ、しかも、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11とレンズホルダ8とが一体化されているので、レンズ駆動装置1の組み立て作業性が良好になる。
【0030】
そして、ガイドシャフト10がベース部材20に固定された後、圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外して、ベース部材20に引っ掛けて固定させる。従って、レンズホルダ8に仮止め部40を設けることで、様々な部品の一連の組み立て作業を容易に行うことができ、圧縮コイルバネ11の装着作業性が極めて良好になる。特に、レンズ駆動装置1の小型化に伴って、圧縮コイルバネ11の巻き径や線径が小さくなる場合であっても、圧縮コイルバネ11の装着作業性を良好にすることができる。一般的に小型のレンズ駆動装置1にあっては、圧縮コイルバネ11の巻き径は、1〜2mm程度である。
【0031】
また、何回か捻られた状態の圧縮コイルバネは、座屈し易くなるので、座屈規制部30の採用により、圧縮コイルバネ11の仮止め時に圧縮コイルバネ11が座屈する事態を回避させることができる。また、組み立て作業時に圧縮コイルバネ11がガイドシャフト10と接触する事態を回避させることができる。
【0032】
また、仮止め部40は、規制片30bに設けられると共に、規制本体部30aにおける断面コ又はU字の開放側に位置する凹部として形成されているので、圧縮コイルバネ11を捻りながら、圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40に引っ掛け易い。しかも、ピンセットなどで摘んで圧縮コイルバネ11の一端11Aを仮止め部40から外した際に、ピンセットなどから圧縮コイルバネ11の一端11Aが例え外れても、圧縮コイルバネ11の一端11Aを規制片30bに当て戻すことができ、これによって、圧縮コイルバネ11の捻りが元に戻ってしまうことを防止し、圧縮コイルバネ11を再度捻り直す必要がなく、作業性が良好になる。
【0033】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0034】
例えば、図13に示されるように、仮止め部40Aは、規制本体部30a及び規制片30bに渡って形成されていてもよい。
【0035】
規制本体部30aは、断面コ字状であっても断面U字状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…レンズ駆動装置、3…モータ、4…リードスクリュー、10…ガイドシャフト、11…圧縮コイルバネ、12…回り止めシャフト、20…ベース部材、30…座屈規制部、30a…規制本体部、30b…規制片、40…仮止め部、L…回転軸線、S…回り止め部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
ベース部材に固定されると共に、前記リードスクリューの回転軸線に対して平行に延在するガイドシャフトと、
前記ベース部材に固定されると共に、前記ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、
前記ガイドシャフトが貫通すると共に、前記ガイドシャフトに沿って往復動するレンズホルダと、
前記ガイドシャフトが貫通すると共に、一端が前記ベース部材に引っ掛けられ、他端が前記レンズホルダに引っ掛けられて、前記ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力を前記レンズホルダに付与する圧縮コイルバネと、
前記レンズホルダに設けられて、前記圧縮コイルバネの前記捻り戻り力によって前記回り止めシャフトに当接させられる回り止め部と、を備え、
前記レンズホルダには、前記圧縮コイルバネの前記一端を引っ掛けられる仮止め部が設けられていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズホルダには、前記圧縮コイルバネの周囲で前記圧縮コイルバネに沿って延在して、前記圧縮コイルバネの座屈による変形を規制する座屈規制部が設けられて、前記座屈規制部に前記仮止め部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記座屈規制部は、前記ガイドシャフトが貫通するホルダ本体部から前記圧縮コイルバネに沿って突出する断面コ又はU字状の規制本体部と、前記規制本体部の遊端から前記圧縮コイルバネに沿って突出する規制片と、を有し、
前記仮止め部は、前記規制片に形成されると共に、前記規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部であることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項1】
光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
ベース部材に固定されると共に、前記リードスクリューの回転軸線に対して平行に延在するガイドシャフトと、
前記ベース部材に固定されると共に、前記ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトと、
前記ガイドシャフトが貫通すると共に、前記ガイドシャフトに沿って往復動するレンズホルダと、
前記ガイドシャフトが貫通すると共に、一端が前記ベース部材に引っ掛けられ、他端が前記レンズホルダに引っ掛けられて、前記ガイドシャフトを中心にした捻り戻り力を前記レンズホルダに付与する圧縮コイルバネと、
前記レンズホルダに設けられて、前記圧縮コイルバネの前記捻り戻り力によって前記回り止めシャフトに当接させられる回り止め部と、を備え、
前記レンズホルダには、前記圧縮コイルバネの前記一端を引っ掛けられる仮止め部が設けられていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズホルダには、前記圧縮コイルバネの周囲で前記圧縮コイルバネに沿って延在して、前記圧縮コイルバネの座屈による変形を規制する座屈規制部が設けられて、前記座屈規制部に前記仮止め部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記座屈規制部は、前記ガイドシャフトが貫通するホルダ本体部から前記圧縮コイルバネに沿って突出する断面コ又はU字状の規制本体部と、前記規制本体部の遊端から前記圧縮コイルバネに沿って突出する規制片と、を有し、
前記仮止め部は、前記規制片に形成されると共に、前記規制本体部における断面コ又はU字の開放側に位置する凹部であることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−50648(P2013−50648A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189609(P2011−189609)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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