説明

レーキされたモノアゾ化合物の塩

本発明は、例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在する、式(1)〔式中、R1は、水素、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、そしてR2は、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、好ましくは置換基R1及びR2のうちの一方は、ハロゲンであり、他方の置換基は、C1〜C4アルキルである〕で示されるモノアゾ化合物、それらの調製方法、並びに有機材料の練込み着色における及びトナー、ワックス転写リボン又はカラーフィルタの製造におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規モノアゾ化合物、それらの調製方法、及び着色剤、特に高分子材料の着色における着色剤としてのそれらの使用に関する。
【0002】
顔料として使用できる多数のモノアゾ化合物が知られている。
【0003】
着色の品質、例えば堅ロウ性、又は性能、例えば上塗り噴霧適性(oversprayability)のますます高まりつつある需要によって、特に堅ロウ性に関する改善された特性を有する新たな顔料について引き続き要求を招いてきた。
【0004】
したがって、本発明の目的は、特に、表面コーティング、プリントインキ及びカラーフィルタの製造に又はプラスチックの着色に使用できる、モノアゾ化合物に基づく、新規であり、改善された顔料を提供することである。新規顔料は、高純度な色合い、高い色の濃さ及び上塗りに対する良好な堅ロウ性を有する着色を生じるべきである。
【0005】
所望の目的は、本明細書下記に規定される新規モノアゾ化合物により実質的に達成されることが、見出された。
【0006】
よって、本発明は、例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在し、HDPEにおいて非常に良好な高温安定性及び緑色を帯びた黄色の色合いを有する、式(1):
【0007】
【化2】

【0008】
〔式中、
1は、水素、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、そして
2は、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、
好ましくは、置換基R1及びR2のうちの一方は、ハロゲンであり、他方の置換基は、C1〜C4アルキルである〕
で示されるモノアゾ化合物に関する。
【0009】
1として好ましいものは、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルである。
【0010】
1〜C6アルキルとしてのRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
Rとして好ましいものは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、特にエチル、一層特にメチルである。
【0011】
本発明に従う混合塩は、三成分塩の形態、例えば、Ca++/NH4+/Na+又はCa++/K+/Na+混合塩の形態であってもよい。
【0012】
本発明に従う混合塩は、好ましくは2種の異なるカチオンを含有する。
【0013】
2種のカチオンを含有する混合塩において、カチオンの比率は広い範囲で変わることができ、例えば、一方のカチオン99.5〜0.5mol%対他方のカチオン0.5〜99.5mol%であり、好ましくは一方のカチオン70〜30mol%対他方のカチオン30〜70mol%であり、一層特に一方のカチオン60〜40mol%対他方のカチオン40〜60mol%である。
【0014】
好ましいものは、Ca2+/Na+、Ca2+/NH+又はCa2+/K+混合塩の形態で存在する、式(1)のモノアゾ化合物である。
それらの混合塩の中で、好ましいものは、カチオンの総モル量に基づき>40mol%のCa2+含有量を有するものである。
重要なものは、混合結晶の形態におけるカチオンの総モル量に基づき、5〜50mol%、特に8〜30mol%、一層特に10〜30mol%のNH+含有量を有する、Ca2+/NH+混合塩である。
【0015】
また、重要なものは、混合結晶の形態におけるカチオンの総モル量に基づき、5〜50mol%、特に8〜30mol%、一層特に10〜30mol%のK+含有量を有する、Ca2+/K+混合塩である。
【0016】
同様に重要なものは、混合結晶の形態におけるカチオンの総モル量に基づき、5〜60mol%、特に10〜55mol%のNa+含有量を有する、Ca2+/Na+混合塩である。
【0017】
また、重要なものは、Ca2+塩の形態である、式(1)の化合物のモノアゾ化合物である。
【0018】
本発明は、また、本発明に従う式(I)のモノアゾ化合物の調製方法に関する。
【0019】
これらは、例えば2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸又は2−アミノ−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸又はそれらの塩若しくは混合塩のジアゾ化、及び4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸塩のカップリングにより、調製される。
【0020】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、既知の同様の製品よりも著しく良好な堅ロウ性を示し、したがって、染色的に強力であり、かつ高温で安定な顔料として極めて適切である。
【0021】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、高い、耐移行、耐水及び耐溶媒堅ロウ性、光、耐候及び高温安定性、良好なレオロジー、並びに容易な分散性によって特に区別され、これらの有利な特性は達成可能であり、完全に予想外であり、以前から知られている製品と対照的であり、また高い色の濃さと組み合わされている。色飽和度(colour saturation)(彩度(chroma)C*)も驚くほどに高い。
【0022】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、顕著な結晶化度を示す。それにもかかわらず、それらはそれらの特性をなお更に最適化するために、場合により追加の後処理を受けてよい。その工程は、それ自体既知の方法に従って、例えば水中、僅かに極性の親水性有機溶媒又はこれらの混合物中で、約50〜200℃の温度に(場合により圧力下で)、再結晶媒体及び温度に応じて数分から100時間までの時間になり得る期間加熱することによって、実施することができる。好ましいものは、50〜99℃で0.5〜6時間、特に65〜85℃で1〜4時間の、水中での後処理である。後処理は、好ましくは、レーキ化した直後に、場合により中間単離なしで直接実施される。
【0023】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、純な形態で単離して乾燥することができ、その後、これらはプラスチック、表面被覆及びプリントインクに、例えばボールミル又はビーズミルを用いて、容易に分散される。また、それらは、顔料分散体の調製のため、更に加工することなく、湿潤プレスケーキの形態で使用できる。適用関連特性を改善するため、必要に応じて沈殿又は単離の前又はその間に、従来の添加剤を従来の濃度で本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物に添加してよい。
【0024】
プラスチック、表面被覆及びプリントインクの形態での高分子有機材料の練込み着色に適切であるばかりでなく、本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、例えば固体トナー、ワックス転写リボン又はカラーフィルタの製造にも適している。
【0025】
本発明に従って着色すべき高分子有機材料は、天然又は合成由来であってよく、通常、103〜108g/molの範囲の分子量を有する。それは、例えば、天然樹脂又は乾性油、ゴム若しくはカゼイン又は塩化ゴムのような改質された天然物質、油改質アルキド樹脂、ビスコース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロースのようなセルロースエーテル若しくはエステルにすることができるが、特に、全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックの両方)であり、重合、重縮合又は重付加により得られるもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル及び/若しくはメタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物のような置換ポリオレフィン、並びに記述されたモノマーの共重合体、特にABS又はEVAにすることができる。
【0026】
一連の重付加樹脂及び重縮合樹脂から、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合物、いわゆるフェノプラスト、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素及びメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、アルキド樹脂のように飽和されているか、又はマレイン酸樹脂のように不飽和のいずれかの、表面被覆樹脂として使用されるポリエステル、また、直鎖状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンを挙げることができる。
【0027】
記述された高分子量化合物は、プラスチック塊又は溶融体の形態の、単一の化合物又は混合物の形態にすることができ、これらは、場合により紡糸して線維を形成してもよい。
【0028】
それらは、また、煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂のような表面被覆若しくはプリントインク用の皮膜形成剤又は結合剤として、モノマーの形態でも又は溶解形態の重合状態であってもよい。
【0029】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物による高分子量有機物質の顔料着色は、例えばそのようなモノアゾ化合物を、場合によりマスターバッチの形態で、基材と、ロールミル又は混合若しくは粉砕装置を使用して混和することによって実施される。次に、顔料着色された材料を、通常、圧延、圧縮成形、押出し、コーティング、流延又は射出成形のようなそれ自体既知の方法により所望の最終形態にする。軟質成形品を製造するか、又は脆性を減少させるために、多くの場合、いわゆる可塑剤を高分子量化合物にその造形の前に混入することが望ましい。可塑剤としては、例えばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを使用することができる。本発明に従う方法において、本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物への混和の前又は後に、可塑剤をポリマーに混入することができる。異なる色合いを達成するため、顔料組成物に加えて、充填剤又は白色、着色若しくは黒色顔料、並びに効果顔料のような他の色付与構成成分も、それぞれの場合に所望の量で高分子有機材料に添加することも可能である。
【0030】
表面被覆及びプリントインクの顔料着色ためには、高分子有機材料及び本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物を、場合により充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤のような添加剤と一緒に、通常、有機及び/若しくは水性溶媒又は溶媒混合物中に微細に分散するか、又は溶解する。個々の成分を別個に分散若しくは溶解するか、又はそれらの複数を一緒に分散若しくは溶解し、その後直ぐに全ての成分を一緒にする手順を使用することが可能である。
【0031】
したがって、更なる実施態様は、
(a)(a)と(b)の合計に基づき、0.05〜70重量%の本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物、及び
(b)(a)と(b)の合計に基づき、99.95〜30重量%の高分子有機材料

含む、練込み着色された高分子有機材料に関する。
【0032】
当該材料は、すぐ使用できる組成物若しくはそれから形成される物品のいずれか、又は例えば顆粒の形態のマスターバッチであってもよい。本発明に従って着色された高分子有機材料は、また、従来の添加剤、例えば安定剤を含むこともできる。
【0033】
したがって、更なる実施態様は、高分子有機材料の練込み着色の方法であって、高分子有機材料を本発明に従う顔料組成物と一緒に、場合によりマスターバッチの形態で、それ自体既知の方法で混合及び加工することによって、そのような材料を本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物に混入することを含む方法に関する。
【0034】
以下の実施例は、本発明を例示する目的を果たす。特に指示のない限り、部は重量部であり、%は重量%である。温度は摂氏で示される。重量部と容量部との関係は、gとcm3の関係と同様である。
【0035】
実施例1:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸8.9g(40mmol、98%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、それに37%HCl水溶液10mlを加えた。次に、微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液15mlを滴加した。次に、2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩15.3g(46mmol)を脱イオン水200mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、それに上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5に維持した。添加が完了したときに、反応混合物を室温で30分間撹拌した。次に、懸濁液を80℃の温度に加熱し、1.5時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。式(100):
【0036】
【化3】

【0037】
で示される化合物のナトリウム塩7.6gを得た。
【0038】
上記で得られた式(100)の化合物22.5gを脱イオン水100ml中で撹拌し、80℃の温度に加熱した。脱イオン水30ml中の塩化カルシウム(Fluka purum)2.5gの溶液を加えた。混合物を水50mlで希釈し、少量のNaOHでpH8.0に調整した。次に、混合物をその温度で2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(100)の化合物のCa2+/Na+混合塩9.7gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0039】
実施例2:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸4.5g(20mmol、98%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。得られた微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加し、次に、撹拌を2時間実施した。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩6.6g(20mmol)を脱イオン水60mlに溶解し、塩化カルシウム(Fluka purum)3.0gを加えた。次に、混合物を0〜5℃の温度に冷却した。上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で5に維持した。泡の形成を抑制するために、水20ml及びエタノール10mlを加えた。ジアゾニウムの添加が完了したときに、反応混合物を初めに0〜5℃の温度で2時間、次に室温で12時間撹拌した。次に、混合物を80℃の温度に加熱し、30%水酸化ナトリウム溶液でpH8に維持した。次に、2時間撹拌した後に、黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、100℃で乾燥した。式(100)の化合物のCa2+/Na+混合塩9.7gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0040】
実施例3:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸4.5g(20mmol、98%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。次に、2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩6.6g(20mmol)を脱イオン水100mlに溶解し、30%水酸化ナトリウム溶液2mlを加えた。次に、得られた溶液を上記のジアゾニウム懸濁液に滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液により4.5〜5.0に維持した。得られた濃厚懸濁液を脱イオン水100mlで希釈し、0〜5℃の温度で1.5時間、次に室温で12時間撹拌した。次に、懸濁液を80℃の温度に加熱し、30%水酸化ナトリウム溶液を加えることによってpH8に維持し、脱イオン水10ml中の塩化カルシウム(Fluka purum)2.5gの溶液を加えた。次に、混合物をその温度で2時間撹拌した。黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水250mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。式(100)の化合物のCa2+/Na+混合塩10.1gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0041】
実施例4:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸9.0g(40mmol、98.5%)を脱イオン水180ml中で撹拌し、37%HCl水溶液14mlを加えた。次に、微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液10mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸1.0mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩13.2g(40mmol)を脱イオン水200mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、それに上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5に維持した。いずれの泡の形成をエタノール5ml及び5滴のSurfynol 104Eで抑制した。添加が完了したときに、反応混合物を0〜5℃で2時間、次に室温で12時間撹拌した。反応混合物を、それぞれ約360mlの2つの試料に分けた。第一の試料の得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、水100mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(101):
【0042】
【化4】

【0043】
で示される化合物のナトリウム塩10.3gを得た。
【0044】
懸濁液の第二の部分を80℃に加熱した。それを脱イオン水10ml中の塩化カルシウム3.5g(32mmol)の溶液を加え、pHを、少量の水酸化ナトリウム溶液で8.0に調整した。次に、混合物を80℃で2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(101)の化合物のカルシウム塩10.5gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0045】
実施例5:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸4.5g(20mmol、98.5%)を脱イオン水80ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、それに4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。次に、2時間後、1Nスルファミン酸1.0mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩6.6g(20mmol)を脱イオン水60mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、それに上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5に維持した。次に、エタノール30ml及び酢酸1mlを加えた。添加が完了したとき、反応混合物を0〜5℃で2時間撹拌した。次に、混合物を80℃に加熱し、脱イオン水10ml中の塩化カルシウム3.5g(32mmol)の溶液を加え、pHを、(少量の)NaOHで8.0に調整した。次に、混合物を80℃で更に2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、冷脱イオン水300mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(101)の化合物のCa2+/Na+混合塩10gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0046】
実施例6:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸4.5g(20mmol、98.5%)を脱イオン水80ml中で撹拌し、それに37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、それに4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。次に、2時間後、1Nスルファミン酸1.0mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩6.6g(20mmol)を脱イオン水60mlに溶解し、酢酸1mlを加えた。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%アンモニア溶液で4.5〜5に維持した。あらゆる泡の形成を抑制するために、イソプロパノール25mlを加えた。添加が完了したときに、反応混合物を0〜5℃で4時間撹拌した。次に、混合物を80℃に加熱し、30%アンモニア溶液でpH8.0に調整した。次に、混合物を80℃で2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、冷脱イオン水1リットルで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(101)の化合物のNH4+/Na+混合塩9.2gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0047】
実施例7:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸9.98g(40mmol、97%)を脱イオン水160ml中で撹拌し、それに37%HCl水溶液14mlを加えた。次に、微細懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、それに4N亜硝酸ナトリウム溶液10mlを滴加した。次に、1時間後、1Nスルファミン酸溶液3mlを加えた。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩13.17g(40mmol)を脱イオン水120mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、それに上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5に維持した。次に、2−プロパノール10mlを懸濁液に加えた。添加が完了したときに、反応混合物を0〜5℃で3.5時間、次に室温で12時間撹拌した。反応混合物を、それぞれ約320mlの2つの試料に分けた。
懸濁液の第一の部分を70℃に加熱し、次に2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、水500mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(102):
【0048】
【化5】

【0049】
で示される化合物のナトリウム塩8.7gを得た。
【0050】
懸濁液の第二の部分を70℃に加熱した。脱イオン水10ml中の塩化カルシウム3.5g(32mmol)の溶液を加え、pHを、少量の水酸化ナトリウム溶液で8.0に調整した。次に、混合物を70℃で更に2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(102)の化合物のCa2+/Na+混合塩10.5gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0051】
実施例8:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸4.5g(17mmol、98.5%)を脱イオン水50ml中で撹拌し、30%水酸化カリウム溶液3.4gを加えた。混合物を60℃に加熱すると、溶液が形成された。次に、溶液を20℃に冷却し、37%HCl水溶液4.27g及び4N亜硝酸ナトリウム溶液4.54gを、連続して、15分の間に滴加した。更に30分後、脱イオン水中の塩化カルシウム2.67gの溶液を加え、混合物を5分間撹拌し、次に、脱イオン水で110mlの容量にした。
カップリング:4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸ナトリウム塩6.1g(18mmol)を脱イオン水60mlに溶解した。脱イオン水10ml中の酢酸1.1g及び30%水酸化カリウム溶液3.2gの混合物を、カプラー溶液に加え、次に、上記のジアゾニウム懸濁液を20℃で1時間内に加え、pHを、5%水酸化カリウム溶液で約5.0に維持した。懸濁液を更に10分間撹拌し、次にpH9に調整した。反応混合物を40分以内に93℃に加熱し、その温度で更に10分間撹拌し、次に70℃に冷却した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、冷脱イオン水300mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(100)の化合物のK+/Ca2+混合塩10gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在する、式(1):
【化1】


〔式中、
1は、水素、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、そして
2は、ハロゲン、特に塩素、又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、
好ましくは置換基R1及びR2のうちの一方は、ハロゲンであり、他方の置換基は、C1〜C4アルキルである〕
で示されるモノアゾ化合物。
【請求項2】
1がハロゲン、特に塩素又はC1〜C4アルキル、特にメチルである、請求項1記載の式(1)のモノアゾ化合物。
【請求項3】
Rがメチルである、請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物。
【請求項4】
1が塩素であり、R2がメチルである、請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物。
【請求項5】
1がメチルであり、そしてR2が塩素である、請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物。
【請求項6】
請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/NH4+混合塩。
【請求項7】
請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/Na+混合塩。
【請求項8】
請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/K+混合塩。
【請求項9】
請求項1又は2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+塩。
【請求項10】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物の調製方法であって、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸又は2−アミノ−4,5−ジクロロベンゼンスルホン酸又はそれらの塩若しくは混合塩のジアゾ化、及び4−アセトアセチルアミノナフトールスルホン酸塩のカップリングを含む、方法。
【請求項11】
高分子有機材料を練込み着色する方法であって、そのような材料に請求項1又は請求項2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物を混和することを含む、方法。
【請求項12】
有機材料の練込み着色における、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモノアゾ化合物の使用。
【請求項13】
固体トナー、ワックス転写リボン又はカラーフィルタの製造における、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモノアゾ化合物の使用。

【公表番号】特表2007−534820(P2007−534820A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510015(P2007−510015)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051684
【国際公開番号】WO2005/103163
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】