説明

レーキ化されたモノアゾ化合物の塩

本発明は、例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在する、式(1)のモノアゾ化合物、異なる特性、例えば色合い又は高温安定性を有する、2つの結晶多形体の形態−赤色を帯びた黄色及び緑色を帯びた黄色−を有する式(1)のモノアゾ化合物のカルシウム塩、そのような化合物の調製、並びに有機材料の練込み着色における及びワックス転写リボン、トナー又はカラーフィルタの製造におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規モノアゾ化合物、それらの調製方法、及び着色剤、特に高分子材料の着色における着色剤としてのそれらの使用に関する。
【0002】
顔料として使用できる多数のモノアゾ化合物が知られている。着色の品質、例えば堅ロウ性、又は性能、例えば上塗り噴霧適性(oversprayability)のますます高まりつつある需要によって、特に堅ロウ性に関する改善された特性を有する新たな顔料について引き続き要求を招いてきた。
【0003】
したがって、本発明の目的は、特に、表面コーティング、プリントインキ及びカラーフィルタの製造に又はプラスチックの着色に使用できる、モノアゾ化合物に基づく、新規であり、改善された顔料を提供することである。新規顔料は、高純度な色合い、高い色の濃さ及び上塗りに対する良好な堅ロウ性を有する着色を生じるべきである。
【0004】
所望の目的は、本明細書下記に規定される新規なモノアゾ化合物により実質的に達成されることが、見出された。
【0005】
よって、本発明は、例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在する、式(1):
【0006】
【化3】

【0007】
で示されるモノアゾ化合物、並びに異なる特性、例えば色合い又は高温安定性を有する、2つの結晶多形体の形態−いくらか赤色を帯びた黄色(α変態)及び緑色を帯びた黄色(β変態)−を有する式(1)のモノアゾ化合物のカルシウム塩に関する。
【0008】
1〜C6アルキルとしてのRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
【0009】
Rとして好ましいものは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、特にエチル、一層特にメチルである。
【0010】
本発明に従う混合塩は、三成分塩の形態、例えば、Ca++/NH4+/Na+又はCa++/K+/Na+混合塩の形態であってもよい。
本発明に従う混合塩は、好ましくは2種の異なるカチオンを含有する。2種のカチオンを含有する混合塩において、カチオンの比率は広い範囲、例えば、一方のカチオン99.5〜0.5mol%対他方のカチオン0.5〜99.5mol%であり、好ましくは一方のカチオン80〜20mol%対他方のカチオン20〜80mol%であり、一層特に一方のカチオン60〜40mol%対他方のカチオン40〜60mol%で変わることができる。
【0011】
好ましいものは、Ca2+/Na+混合塩、又は特にCa2+/NH+若しくはCa2+/K+混合塩の形態で存在する、式(1)のモノアゾ化合物である。
それらの混合塩の中では、好ましいものは、カチオンの総モル量に基づき>50mol%のCa2+含有量を有するものである。
重要なものは、混合結晶の形態におけるカチオンの総モル量に基づき、5〜50mol%、特に8〜30mol%、一層特に10〜30mol%のNH+含有量を有する、Ca2+/NH+混合塩である。
また、重要なものは、混合結晶の形態におけるカチオンの総モル量に基づき、5〜50mol%、特に8〜30mol%、一層特に10〜30mol%のK+含有量を有する、Ca2+/K+混合塩である。
【0012】
式(1)の化合物のCa2+塩の2種の結晶多形体の内、より良好な高温安定性及び総合的な堅ロウ性を有する、緑色を帯びたβ変態が好ましい。
β変態は、主に、比較的高い温度(>50℃)で形成される。
【0013】
本発明は、また、本発明の式(I)に従うモノアゾ化合物の調製方法にも関する。
それらは、例えば、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩若しくは塩混合物のジアゾ化、及び3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸/塩へのカップリングにより、調製される。
【0014】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、既知の同様の製品よりもかなり良好な堅ロウ性を示し、したがって、染色的に強力であり、かつ高温で安定な顔料としてすばらしく適切である。
【0015】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、高い、耐移行、耐水及び耐溶媒堅ロウ性、光、耐候及び高温安定性、良好なレオロジー、並びに容易な分散性によって特に区別され、それらの有利な特性は、また高い色の濃さと組み合わさって完全に予想外でありかつ以前から知られている製品に対比して達成可能である。色飽和度(colour saturation)(彩度(chroma)C*)も驚くほど高い。
【0016】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、顕著な結晶化度を示す。それにもかかわらず、それらは、それらの特性をなお更に最適化するために、場合により追加の後処理を受けてよい。その工程は、それ自体既知の方法に従って、例えば水中、僅かに極性の親水性有機溶媒又はこれらの混合物中で、約50〜200℃の温度に(場合により圧力下で)、再結晶媒体及び温度に応じて数分から100時間までになり得る期間加熱することによって、実施することができる。好ましいものは、50〜99℃で0.5〜6時間、特に65〜85℃で1〜4時間の、水中での後処理である。後処理は、好ましくは、レーキ化した直後に、場合により中間単離なしで直接実施される。
【0017】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、純な形態で単離して乾燥することができ、その後、それらはプラスチック、表面コーティング及びプリントインキに、例えばボールミル又はビーズミルを用いて、容易に分散可能である。また、それらは、顔料分散体の調製のため、更に加工することなく、湿潤プレスケーキの形態で使用できる。適用関連特性を改善するため、必要に応じて沈殿又は単離の前又はその間に、従来の添加剤を従来の濃度で本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物に添加してよい。
【0018】
プラスチック、表面コーティング及びプリントインキの形態での高分子有機材料の練込み着色に適切であるばかりでなく、本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物は、例えば固体トナー、ワックス転写リボン又はカラーフィルタの製造にも適している。
【0019】
本発明に従って着色すべき高分子有機材料は、天然又は合成由来であってよく、通常、103〜108g/molの範囲の分子量を有する。それは、例えば、天然樹脂又は乾性油、ゴム若しくはカゼイン又は塩素化ゴムのような改質された天然物質、油改質アルキド樹脂、ビスコース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロースのようなセルロースエーテル若しくはエステルであるが、特に、全体合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックの両方)であり、重合、重縮合又は重付加により得られるもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル及び/若しくはメタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物のような置換ポリオレフィン、並びに記述されたモノマーの共重合体、特にABS又はEVAにすることができる。
【0020】
一連の重付加樹脂及び重縮合樹脂からは、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合物、いわゆるフェノプラスト、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素及びメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、アルキド樹脂のように飽和されているか、又はマレイン酸樹脂のように不飽和のいずれかの、表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、また、直鎖状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンを挙げることができる。
【0021】
記述された高分子化合物は、プラスチック塊又は溶融体の形態の、単一の化合物又は混合物の形態にすることができ、これらは、場合により紡糸して線維を形成してもよい。
それらは、また、煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂のような表面コーティング若しくはプリントインキ用の皮膜形成剤又は結合剤として、モノマーの形態でも又は溶解形態の重合状態であってもよい。
【0022】
本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物による高分子有機物質の顔料着色は、例えばそのようなモノアゾ化合物を、場合によりマスターバッチの形態で、基材と、ロールミル又は混合若しくは粉砕装置を使用して混和することによって実施される。次に、顔料着色された材料を、通常、圧延、圧縮成形、押出し、塗布、流延又は射出成形のようなそれ自体既知の方法により所望の最終形態にする。軟質成形品を製造するか、又は脆性を減少させるために、多くの場合、いわゆる可塑剤を高分子量化合物にその造形の前に混和することが望ましい。可塑剤としては、例えばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを使用することができる。本発明に従う方法において、本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物への混和の前又は後に、可塑剤をポリマーに混和することができる。異なる色合いを達成するため、顔料組成物に加えて、充填剤又は白色、着色若しくは黒色顔料、並びに効果顔料のような他の色付与構成成分も、それぞれの場合に所望の量で高分子有機材料に添加することも可能である。
【0023】
表面コーティング及びプリントインキの顔料着色ためには、高分子有機材料及び本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物を、場合により充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤のような添加剤と一緒に、通常、有機及び/若しくは水性溶媒又は溶媒混合物中に微細に分散するか、又は溶解する。個々の成分を別個に分散若しくは溶解するか又はそれらの複数を一緒に分散若しくは溶解し、その後直ぐに全ての成分を一緒にする手順を使用することが可能である。
【0024】
したがって、更なる実施態様は、
(a)(a)と(b)の合計に基づき、0.05〜70重量%の本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物、及び
(b)(a)と(b)の合計に基づき、99.95〜30重量%の高分子有機材料

含む、練込み着色された高分子有機材料に関する。
【0025】
当該材料は、すぐ使用できる組成物若しくはそれから形成される物品のいずれか、又は例えば顆粒の形態のマスターバッチであってもよい。本発明に従って着色された高分子有機材料は、また、従来の添加剤、例えば安定剤を含むこともできる。
【0026】
したがって、更なる実施態様は、高分子有機材料の練込み着色の方法であって、高分子有機材料を本発明に従う顔料組成物と一緒に、場合によりマスターバッチの形態で、それ自体既知の方法で混合及び加工することによって、そのような材料を本発明に従う式(1)のモノアゾ化合物に混和することを含む方法に関する。
【0027】
以下の実施例は本発明を例示する目的を果たす。特に指示のない限り、部は重量部であり、%は重量%である。温度は摂氏で示される。重量部と容量部との関係は、gとcm3との関係と同様である。
【0028】
実施例1:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム/アンモニウム塩15.25g(60mmol、92.5%)を脱イオン水250ml中で撹拌し、37%HCl溶液21mlを加えた。次に、得られた懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液15mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミド酸1mlを加えた。
カップリング:3−アセオトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩18.55g(60mmol)を脱イオン水200mlに溶解し、次に、得られた溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液により4.5に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、得られた黄色の懸濁液を3つの230gの部分に分けた。
【0029】
1.1)上記の黄色懸濁液の第一の230gの部分を30%水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム(Fluka purum)2.5gの溶液を加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。次に、黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム塩9.94gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0030】
完全なX線回折ダイアグラムを、Siemens D500X線回析計(CuKα放射線)の助けを借りて慣用の方法により求めた。
【0031】
X線回折ダイアグラムはα変態に対応し、下記の回析線により区別される:
【0032】
【表1】

【0033】
1.2)上記の黄色懸濁液の第二の230gの部分を40℃の温度に加熱し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で8に調整し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム(Fluka purum)2.5gの溶液を加えた。次に、混合物を40℃の温度で2時間撹拌した。次に、黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム塩9.94gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0034】
得られた化合物のX線回析ダイアグラムはα変態に相当した(ポイント1を参照すること)。
【0035】
1.3)上記の黄色懸濁液の第三の230gの部分を60℃に加熱し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で8に調整し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム(Fluka purum)2.5gの溶液を加えた。次に、混合物を60℃の温度で2時間撹拌した。次に、黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム塩9.99gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0036】
完全なX線回折ダイアグラムを、Siemens D500X線回析計(CuKα放射線)の助けを借りて慣用の方法により求めた。
【0037】
得られた化合物のX線回折ダイアグラムはβ変態に相当し、下記の回析線により区別された:
【0038】
【表2】

【0039】
実施例1.4:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩5.89g(20mmol、82%)を脱イオン水80ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸水溶液1mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩6.18g(20mmol)を脱イオン水60mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5.0に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を2℃で1.5時間、次に、室温で12時間撹拌した。次に、黄色の懸濁液を油浴で60℃に加熱し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム2.5gの溶液を加え、次に、撹拌を2時間実施した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、温水1リットルで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム塩9.7gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0040】
得られた化合物のX線回析ダイアグラムはα変態に相当した(実施例1.3を参照すること)。
【0041】
実施例2:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム/アンモニウム塩5.0g(20mmol、92.5%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、37%HCl溶液7mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩6.2g(20mmol)を脱イオン水200mlに溶解し、30%水酸化ナトリウム溶液5mlを加えた。次に、得られた溶液を上記のジアゾニウム懸濁液に、4.5〜5.0のpHが得られるまで滴加し、その後、pHを、37%HCl溶液でその範囲に維持した。滴加が完了したとき、反応混合物を室温で更に2時間撹拌し、次に、70℃の温度に加熱し、30%水酸化ナトリウムでpH8に調整し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム2.5g(Fluka purum)の溶液を加えた。混合物を70℃の温度で更に2時間撹拌した。次に、黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、脱イオン水200mlで洗浄し、真空下、100℃で乾燥した。式(1)の化合物のカルシウム塩10.7gを得て、これはPVCプラスチックを緑色を帯びた黄色の色合いに着色した。
【0042】
完全なX線回折ダイアグラムを、Siemens D500X線回析計(CuKα放射線)の助けを借りて慣用の方法により求めた。
【0043】
得られた化合物のX線回析ダイアグラムはβ変態に相当した(実施例1.3を参照すること)。
【0044】
実施例3:(アンモニウム塩)
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム/アンモニウム塩5.90g(20mmol、81.5%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩6.2g(20mmol)を脱イオン水200mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%アンモニア溶液で4.5〜5.0に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を0〜5℃で2時間、次に、室温で一晩撹拌した。次に、混合物を30%アンモニア溶液でpH7に調整し、80℃で2時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、水100mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のアンモニウム塩7.6gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0045】
実施例4:(アンモニウム/カルシウム塩混合物)
ジアゾニウムの調製:実施例3の方法に従う
カップリング:実施例3の方法に従う
混合物を70℃の温度にして、脱イオン水10ml中の塩化カルシウム1.33g(12mmol)の溶液を加えた。次に、pHを30%アンモニア溶液で8に調整し、次に、撹拌を2時間実施した。得られた黄色の懸濁液を熱い間に硬質フィルタで濾過し、脱イオン水500mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のNH4+/Ca2+混合塩8.9gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0046】
実施例5:(カルシウム/アンモニウム塩混合物)
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム/アンモニウム塩11.78g(40mmol、81.5%)を脱イオン水200ml中で撹拌し、37%HCl水溶液14mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液10mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩12.4g(40mmol)を脱イオン水200mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5.0に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を0〜5℃で2時間、次に、室温で一晩撹拌した。次に、混合物を、それぞれ約250mlの2つの部分に分けた。
【0047】
A)上記の黄色の懸濁液の第一の部分を5%アンモニア溶液でpH7に調整し、次に、1時間撹拌し、70℃の温度に加熱した。次に、脱イオン水10ml中の塩化カルシウム1.8g(16mmol)の溶液を加え、撹拌を2時間実施した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、温水1000mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のカルシウム塩8.7gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0048】
B)上記の黄色の懸濁液の第二の部分を5%アンモニア溶液でpH8に調整し、次に1時間撹拌し、70℃の温度に加熱した。次に、脱イオン水10ml中の塩化カルシウム1.2g(12mmol)の溶液を加え、撹拌を2時間実施した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、温水1000mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム/アンモニウム混合塩6.8gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0049】
実施例6:
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム/アンモニウム塩5.08g(20mmol、92.5%)を脱イオン水100ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸0.5mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩6.2g(20mmol)を脱イオン水200mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、脱イオン水15ml中の塩化カルシウム2.5g(22mmol)の溶液を加え、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、水酸化ナトリウム溶液で5〜6に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。次に、混合物を80℃の温度に加熱し、30%水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整した。1時間撹拌した後、混合物を50℃に冷却し、得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、水150mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。少量の水を含有する、式(1)の化合物のカルシウム塩9.64gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0050】
実施例7:(相転位)
実施例1.1)に従って調製された化合物5.0gをイソプロパノール100ml中、80℃の温度で1時間撹拌した。次に、混合物を室温に冷却し、得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、水100mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のカルシウム塩4.5gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0051】
得られた化合物のX線回析ダイアグラムはβ変態に相当した(実施例1.3を参照すること)。
【0052】
実施例8:(カリウム塩)
ジアゾニウムの調製:2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸アンモニウム塩5.77g(20mmol、86%)を脱イオン水80ml中で撹拌し、37%HCl水溶液7mlを加えた。次に、懸濁液を氷浴で0〜5℃の温度に冷却し、4N亜硝酸ナトリウム溶液5mlを滴加した。2時間後、1Nスルファミン酸溶液1mlを加えた。
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸カリウム塩6.63g(20mmol、約98%)を脱イオン水60mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化カリウム溶液で4.5〜5.0に維持し、粘性懸濁液を水50mlで希釈した。添加が完了したとき、反応混合物を室温で12時間撹拌した。次に、懸濁液を油浴で75℃に加熱し、次に、2時間撹拌した。次に、懸濁液を硬質フィルタで濾過し、温水400mlで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のカリウム塩9.1gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。
【0053】
実施例9:(カルシウム/カリウム塩混合物)
ジアゾニウムの調製:実施例5に従う
カップリング:3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸カリウム塩15.9g(48mmol)を脱イオン水120mlに溶解した。溶液を0〜5℃の温度に冷却し、上記のジアゾニウム懸濁液を滴加し、pHを、30%水酸化ナトリウム溶液で4.5〜5.0に維持した。添加が完了したとき、反応混合物を室温にし、次に、12時間撹拌した。
次に、黄色の懸濁液の半分を油浴で70℃に加熱し、水10ml中の塩化カルシウム2.5gの溶液を加え、次に、撹拌を2時間実施した。得られた黄色の懸濁液を硬質フィルタで濾過し、温水1リットルで洗浄し、真空キャビネット中、90℃で乾燥した。式(1)の化合物のカルシウム/カリウム混合塩9.4gを得て、これはPVCプラスチックを黄色の色合いに着色した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば、Ca2+、Na+、NH4+、NR4+、H+、Li+、K+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、Al3+、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Cr2+、Co2+、Fe2+、Fe3+、Zr4+及びCu2+(ここでRは、C1〜C6アルキルである)のような異なるカチオンの一価、二価、三価又は四価の自由に選択される比率の混合塩の形態で存在する、式(1):
【化1】


で示されるモノアゾ化合物。
【請求項2】
異なる特性を有する、2つの多形体の形態−α変態としていくらか赤色を帯びた黄色及びβ変態として緑色を帯びた黄色−を有する式(1):
【化2】


で示される、モノアゾ化合物のカルシウム塩。
【請求項3】
請求項1記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/Na+混合塩。
【請求項4】
請求項1記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/NH4+混合塩。
【請求項5】
請求項1記載の式(1)のモノアゾ化合物のCa2+/K+混合塩。
【請求項6】
請求項2記載の式(1)のモノアゾ化合物のカルシウム塩の緑色を帯びたβ変態。
【請求項7】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物の調製方法であって、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸又はその塩若しくは混合塩のジアゾ化、及び3−アセトアセチルアミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸/塩へのカップリングを含む、方法。
【請求項8】
高分子有機材料を練込み着色する方法であって、そのような材料に請求項1又は請求項2のいずれかに記載の式(1)のモノアゾ化合物を混和することを含む、方法。
【請求項9】
有機材料の練込み着色における、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモノアゾ化合物の使用。
【請求項10】
固体トナー、ワックス転写リボン又はカラーフィルタの製造における、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモノアゾ化合物の使用。

【公表番号】特表2007−534821(P2007−534821A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510016(P2007−510016)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051686
【国際公開番号】WO2005/103164
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】