レーザレーダおよび受光装置
【課題】投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができるレーザレーダおよび受光装置を提供する。
【解決手段】レーザレーダ1は、レーザ光を出射するレーザ光源21と、レーザ光を目標領域において走査させるミラーアクチュエータ24と、目標領域からのレーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する視野コントロールフィルム32と、視野コントロールフィルム32を透過した反射光を受光する光検出器35と、反射光を光検出器35に集光させる受光レンズ34と、を備える。筐体10内で反射または回折した後受光レンズ34に向かう光は、視野コントロールフィルム32によって除去される。
【解決手段】レーザレーダ1は、レーザ光を出射するレーザ光源21と、レーザ光を目標領域において走査させるミラーアクチュエータ24と、目標領域からのレーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する視野コントロールフィルム32と、視野コントロールフィルム32を透過した反射光を受光する光検出器35と、反射光を光検出器35に集光させる受光レンズ34と、を備える。筐体10内で反射または回折した後受光レンズ34に向かう光は、視野コントロールフィルム32によって除去される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標領域にレーザ光を照射したときの反射光をもとに目標領域の状況を検出するレーザレーダおよびレーザレーダに搭載されて好ましい受光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、各スキャン位置における障害物までの距離が検出される。
【0003】
レーザレーダの構成として、たとえば、レーザ光を照射する投射光学系と目標領域からの反射光を受光する受光学系を同一筺体内に配置する構成を用いることができる(特許文献1)。目標領域からの反射光は、受光光学系に配置された光検出器によって受光される。光検出器からは、受光光量に応じた大きさの信号が出力される。この信号が所定の閾値を超えると、当該スキャン位置に障害物が存在すると判定される。また、この信号が前記閾値を超えたタイミングが反射光の受光タイミングとされて、上記のように、当該スキャン位置における障害物までの距離が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、投射光学系から照射されるレーザ光は、遠距離にある障害物を検出するために、非常に大きい発光強度に設定される。しかし、この場合、レーザ光の一部が、筺体内で反射または回折され、様々な角度成分をもつ迷光となって光検出器に入射する惧れがある。
【0006】
このように、光検出器に迷光が入射すると光検出器からの出力信号が誤差を含むこととなり、障害物までの距離の測定精度が低下することとなってしまう。特に、障害物が近距離にある場合、レーザ光の照射タイミングと反射光の受光タイミングの時間差が短くなるため、反射光による光検出器の出力信号と迷光による光検出器の出力信号とが互いに重なり易い。このため、特に障害物が近距離にある場合には、筺体内で反射または回折された迷光によって、障害物の測定精度に劣化が生じ易くなる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができるレーザレーダおよび受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面は、レーザレーダに関する。本局面に係るレーザレーダは、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を目標領域において走査させる光走査部と、前記目標領域からの前記レーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した前記反射光を受光する光検出器と、前記反射光
を前記光検出器に集光させる集光素子と、を備える。
【0009】
本発明の第2の局面は、受光装置に関する。本局面に係る受光装置は、光検出器と、前記光検出器に目標光を集光させる集光素子と、前記集光素子に入射する前の前記目標光の光路中に配置され、前記目標光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができるレーザレーダおよび受光装置を提供することができる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図5】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図6】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図7】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図8】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図9】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図10】実施の形態に係るレーザレーダの光学系を示す図である。
【図11】実施の形態に係る視野コントロールフィルムの構成を示す図である。
【図12】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図13】変更例に係る視野コントロールフィルムの構成を示す図である。
【図14】変更例に係るレーザレーダの光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係るレーザレーダ1の構成を模式的に示す図である。同図(a)は、レーザレーダ1の内部を上面から透視した図、同図(b)は、投射/受光窓50を装着する前のレーザレーダ1の正面図である。
【0015】
同図(a)を参照して、レーザレーダ1は、筐体10と、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40と、投射/受光窓50とを備える。
【0016】
筐体10は、一辺の一部が斜めに傾いた立方体形状をしており、内部に、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40とを収容する。同図(b)に示す如く、筐体10の正面には、開口11が形成され、開口11の周囲には、投射/受光窓50を嵌め込むための凹部12が形成されている。投射/受光窓50は、その周囲を凹部12に嵌め込んで接着固定することにより、筐体10の正面に装着される。
【0017】
投射光学系20は、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24とを備える。
【0018】
受光光学系30は、受光装置31を備える。なお、孔板23と、ミラーアクチュエータ24は、受光光学系30の一部として共用される。受光装置31は、視野コントロールフィルム32と、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35とを備える。
【0019】
レーザ光源21は、波長900nm程度のレーザ光を出射する。
【0020】
ビーム整形レンズ22は、出射レーザ光が、目標領域において所定の形状となるよう、出射レーザ光を収束させる。たとえば、目標領域(本実施の形態では、ビーム照射装置のビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、縦2m、横0.2m程度の楕円形状となるように、ビーム整形レンズ22が設計される。
【0021】
孔板23は、ミラー69側の面がミラー面23bとなっており、中央に孔23aが形成されている。図示の如く、孔板23は、レーザ光源21の光軸に対してX−Z平面の面内方向に45度傾くように配置されている。孔板23のミラー面23bは、目標領域からの反射光を光検出器35に向かって反射させる。孔23aは、ビーム整形レンズ22により収束された出射レーザ光を通過させる。
【0022】
ミラーアクチュエータ24は、ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光と目標領域からの反射光が入射するミラー69と、このミラー69を2つの軸の周りに回動させるための機構とを備える。ミラー69が回動することにより、目標領域において出射レーザ光が走査される。さらに、目標領域からの反射光は、出射レーザ光が目標領域へと向かう光路を逆行して、ミラー69に入射する。ミラー69に入射した反射光は、ミラー69により反射され、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。かかる反射光の挙動は、ミラー69がどのような回動位置にあっても同じである。すなわち、ミラー69がどのような回動位置にあっても、目標領域からの反射光は、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。
【0023】
視野コントロールフィルム32は、透過部と遮光部がストライプ状に形成されたルーバー層が積層された構成を有する。視野コントロールフィルム32は、X−Y平面において、それぞれの透過部と遮光部が直交するように積層されている。視野コントロールフィルム32は、直交するように積層されたルーバー層によって、目標領域からの反射光の入射角度成分をもつ光のみを透過させる。視野コントロールフィルム32は、光入射面がX−Y平面に平行となるように配置される。なお、視野コントロールフィルム32の詳細は、図11を参照して説明する。
【0024】
バンドパスフィルタ33は、誘電体多層膜で構成されており、出射レーザ光の波長帯域の光のみを透過させる。なお、バンドパスフィルタ33は、反射光が略平行光の状態で入射されるため、簡素な膜構成のものが用いられる。
【0025】
受光レンズ34は、凸レンズであり、目標領域から反射された光を集光する。
【0026】
光検出器35は、APD(アバランシェ・フォトダイオード)またはPINフォトダイオードからなり、受光光量に応じた大きさの電気信号を回路ユニット40に出力する。光検出器35の受光面は、複数の領域に分割されておらず、単一の受光面からなっている。また、光検出器35の受光面は、迷光の影響を抑えるため、縦横の幅が狭く構成されている(例えば1mm前後)。
【0027】
回路ユニット40は、CPUやメモリ等を備え、レーザ光源21およびミラーアクチュ
エータ24を制御する。また、回路ユニット40は、光検出器35からの信号に基づいて、目標領域における障害物の有無および障害物までの距離を測定する。具体的には、目標領域における所定の走査位置において、レーザ光源21からレーザ光が出射される。このときに光検出器35から信号が出力されると、この走査位置に障害物が存在することが検出される。また、この走査位置においてレーザ光が出射されたタイミングと、光検出器35から信号が出力されたタイミングの時間差から、この障害物までの距離が測定される。回路ユニット40の構成は、追って図12を参照して説明する。
【0028】
投射/受光窓50は、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。投射/受光窓50は、透明性の高い材料からなり、また、入射面と出射面に反射防止膜(ARコート)が付されている。また、投射/受光窓50は、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、孔板23から投射/受光窓50までの光路を逆行して光検出器35に迷光として入射することを防ぐため、出射レーザ光の光軸に対して所定角度だけX−Z平面およびY−Z平面の面内方向に傾けられている。なお、投射/受光窓50は、ミラーアクチュエータ24が回動した場合においても、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、光路を逆行して光検出器35に入射しない角度に傾けられている。
【0029】
図2は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ24の分解斜視図を示す図である。
【0030】
ミラーアクチュエータ24は、ミラーユニット60と、マグネットユニット70と、サーボユニット80を備えている。
【0031】
図3(a)を参照して、ミラーユニット60は、ミラーユニットフレーム61と、パンコイル装着板62、63と、サスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65と、サスペンションワイヤー66a〜66dと、支軸67と、LED68と、ミラー69とを備えている。
【0032】
ミラーユニットフレーム61は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。ミラーユニットフレーム61には、左右の側面にそれぞれ2つのチルトコイル装着部61aが設けられている。各側面のチルトコイル装着部61aは、各側面の中心から上下方向に対称な位置に配置されている。これら4つのチルトコイル装着部61aには、それぞれ、チルトコイル61bが巻回され固着される。
【0033】
また、ミラーユニットフレーム61には、左右に並ぶ軸孔61cと、上下に並ぶ溝61eが形成されている。軸孔61cは、左右の側面の中心位置に配置され、溝61eは上下の側面の中心位置まで延びている。軸孔61cには、それぞれ、左右から軸受け61dが取り付けられる。
【0034】
ミラーユニットフレーム61の底面は、櫛歯状となっており、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔61fと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つのワイヤー孔61gと、後述するサスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つのワイヤー孔61hと、サスペンションワイヤー76d〜76fを通すための3つのワイヤー孔61iが形成されている。なお、ワイヤー孔61h、61iは、サスペンションワイヤー76a〜76fを斜め後方向に傾けて固定するために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。これにより、サスペンションワイヤー76a〜76fを、ミラー69から離れる方向に曲線状に張ることができる。
【0035】
パンコイル装着板62には、2つのパンコイル装着部62aと、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔62cと、サスペンションワイヤー66
c、66dを通すための2つのワイヤー孔62dと、支軸67を通すための軸孔62eが設けられている。ワイヤー孔62cは、ワイヤー孔61fと上下方向に直線状に並ぶように形成されており、ワイヤー孔62dは、ワイヤー孔61gと上下方向に直線状に並ぶように形成されている。2つのパンコイル装着部62aには、それぞれ、2つのパンコイル62bが巻回され固着される。また、パンコイル装着板63には、2つのパンコイル装着部63aと支軸67を通すための軸孔63cが設けられている。パンコイル装着部63aには、2つのパンコイル63bが巻回され固着される。
【0036】
サスペンションワイヤー固定基板64a、64bには、それぞれ、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴64cと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴64dが形成されている(図3(b)参照)。端子穴64c、64dの位置において、後述のように、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線が、サスペンションワイヤー66a〜66dに半田等で電気的に接続される。サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、2つの端子穴64c、64dとワイヤー孔62c、62dが整合するように、パンコイル装着板62に接着して固定される。
【0037】
サスペンションワイヤー固定基板65には、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴65aと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴65bと、サスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つの端子穴65cと、サスペンションワイヤー76d〜76f(図2参照)を通すため3つの端子穴65dが形成されている。なお、3つの端子穴65c、65dは、ワイヤー孔61h、61iと同様に、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。
【0038】
図3(c)を参照して、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65aと3つの端子穴65cのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP1、P2が形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65bと3つの端子穴65dのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP3、P4が形成されている。これらの端子穴と、各端子穴に通されたサスペンションワイヤー66a〜66dおよびサスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとを半田付けすることにより、サスペンションワイヤー66a〜66dと、サスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとが、上記回路パターンを介して、電気的に接続される。3つの端子穴65cの残り一つと、3つの端子穴65dの残り一つの位置において、後述のように、左右のチルトコイル61bと、サスペンションワイヤー76c、76fとが、半田等で電気的に接続される。
【0039】
図3(a)に戻り、サスペンションワイヤー固定基板65は、端子穴65aとワイヤー孔61f、端子穴65bとワイヤー孔61g、端子穴65cとワイヤー孔61h、および、端子穴65dとワイヤー孔61iが、それぞれ互いに整合するように、ミラーユニットフレーム61に接着して固定される。
【0040】
サスペンションワイヤー66a〜66dは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー66a〜66dは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー66a〜66dは、互いに同じ形状および特性を持ち、パンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のPan方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0041】
支軸67には、LED基板固定アーム68bを挿入するための孔67aと、パンコイル63bとLED68を電気的に接続する導線を通すための孔67b、67cと、ミラー6
9を嵌め込むための段部67dが形成されている。また、支軸67内は、パンコイル63bとLED68を電気的に接続する導線を通すため、空洞となっている。なお、支軸67は、後述するように、ミラー69をPan方向に回動させる回転軸として利用される。
【0042】
LED68は、拡散タイプ(広指向タイプ)であり、広い範囲に光を拡散させることができる。LED68からの拡散光は、後述するように、走査用のレーザ光の目標領域内での走査位置を検出するために利用される。LED68は、LED基板68aに取り付けられている。LED基板68aは、LED基板固定アーム68bに接着された後、支軸67の孔67aに取り付けられる。
【0043】
ミラーユニット60の組立時には、支軸67にミラー69が嵌め込まれた後、支軸67の両端の軸に軸受け67e、ポリスライダーワッシャ67fが取り付けられる。そして、この状態で、2つの軸受け67eが、ミラーユニットフレーム61に形成された溝61eに嵌め込まれる。さらに、上下からパンコイル装着板62の軸孔62eとパンコイル装着板63の軸孔63cが、支軸67に通され、支軸67に接着固定される。
【0044】
その後、サスペンションワイヤー66a、66bが、サスペンションワイヤー固定基板64aの2つの端子穴64cと、2つのワイヤー孔62cと、2つのワイヤー孔61fを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65aに通される。同様に、サスペンションワイヤー66c、66dが、サスペンションワイヤー固定基板64bの2つの端子穴64dと、2つのワイヤー孔62dと、2つのワイヤー孔61gを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65bに通される。サスペンションワイヤー66a〜66dは、それぞれ、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともにサスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65に半田付けられる。
【0045】
これにより、図2に示すように、ミラーユニット60の組立が完了する。この状態で、ミラー69は、支軸67の周りにPan方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、ミラー69のPan方向の回動に伴って、Pan方向に回動する。組み立てられたミラーユニット60は、マグネットユニットフレーム71の開口に収容される。
【0046】
図2に戻り、マグネットユニット70は、マグネットユニットフレーム71と、8つのパンマグネット72と、8つのチルトマグネット73と、2つの支軸74と、サスペンションワイヤー固定基板75と、サスペンションワイヤー76a〜76fと、保護カバー77とを備えている。
【0047】
マグネットユニットフレーム71は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。マグネットユニットフレーム71の左右の側面の中央には、支軸74を通すための軸孔71aと、支軸74を固定するためのネジ穴71bが形成されている。マグネットユニットフレーム71の上面には、サスペンションワイヤー固定基板75を固定するための2つのネジ穴71cが形成されている。また、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の前端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、保護カバー77を固定するためのネジ穴71dが形成されている。さらに、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の後端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、サーボユニットフレーム81を固定するためのネジ穴71eが形成されている。
【0048】
図4は、マグネットユニットフレーム71を後側から見た斜視図である。図4を参照して、8つのパンマグネット72がマグネットユニットフレーム71の上下の内側面に取り
付けられる。さらに、8つのチルトマグネット73がマグネットユニットフレーム71の左右の内側面に取り付けられる。
【0049】
図2に戻り、2つの支軸74には、それぞれ、2つのネジ孔74bが形成されている。2つの支軸74は、ポリスライダーワッシャ74aが取り付けられた状態で、マグネットユニットフレーム71に形成された軸孔71aを介して、ミラーユニットフレーム61の軸受け61dに嵌め込まれる。この状態で、2つのネジ孔74bを介して2つのネジ74cがマグネットユニットフレーム71の2つのネジ穴71bに螺着される。これにより、2つの支軸74がマグネットユニットフレーム71に固着される。なお、支軸74は、後述するように、ミラー69をTilt方向に回動させる回転軸として利用される。
【0050】
サスペンションワイヤー固定基板75には、2つのネジ孔75aと、サスペンションワイヤー76a〜76fを通すための3つの端子穴75c、75dが形成されている。なお、3つの端子穴75c、75dは、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。サスペンションワイヤー固定基板75には、端子穴75c、75dに信号を供給するための回路パターンが形成されている。
【0051】
サスペンションワイヤー76a〜76fは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー76a〜76fは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー76a〜76fは、互いに同じ形状および特性を持ち、チルトコイル61bとパンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のTilt方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0052】
マグネットユニット70の組立時には、サスペンションワイヤー固定基板75が、マグネットユニットフレーム71の上面に取り付けられる。この状態で、2つのネジ孔75aを介して、2つのネジ75bを2つのネジ穴71cに螺着する。これにより、サスペンションワイヤー固定基板75がマグネットユニットフレーム71に固着される。
【0053】
その後、サスペンションワイヤー76a〜76cが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75cと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61hを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65c(図3(a)参照)に通される。同様に、サスペンションワイヤー76d〜76fが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75dと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61iを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の3つの端子穴65d(図3(a)参照)に通される。
【0054】
しかる後、サスペンションワイヤー76a〜76fは、それぞれ、チルトコイル61bと、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともに、サスペンションワイヤー固定基板65、75に半田付けられる。なお、サスペンションワイヤー76a〜76fは、ミラー69から離れる方向に曲線状に張られる。すなわち、サスペンションワイヤー76a〜76fの上端部は、端子穴75c、75dから離れるに従って後ろ方向に傾くように端子穴75c、75dに固定される。また、サスペンションワイヤー76a〜76fの下端部は、ワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65cから離れるに従って後ろ方向に傾くようにワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65c固定される。これにより、図5に示す構成体が完成する。この状態で、ミラーユニットフレーム61は、支軸74の周りにTilt方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板65は、ミラーユニットフレーム61のTilt方向の回動に伴って、Tilt方向に回動する。
【0055】
図5は、ミラーユニット60がマグネットユニット70に取り付けられた状態の構成体の斜視図である。図5(a)は、この構成体を図2の前方向から見た斜視図であり、図5(b)は、この構成体を図2の後方向から見た斜視図である。
【0056】
図5(b)を参照して、サスペンションワイヤー66aの両端は、それぞれ、2つの端子穴64cの内側の1つと、2つの端子穴65aの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66cの両端は、2つの端子穴64dの内側の1つと、2つの端子穴65bの内側の1つに接続されている。
【0057】
サスペンションワイヤー66bの両端は、2つの端子穴64cの外側の1つと、2つの端子穴65aの外側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66dの両端は、2つの端子穴64dの外側の1つと、2つの端子穴65bの外側の1つに接続されている。
【0058】
サスペンションワイヤー76aの両端は、3つの端子穴75cの内側の1つと、3つの端子穴65cの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76dの両端は、3つの端子穴75dの内側の1つと、3つの端子穴65dの内側の1つに接続されている。
【0059】
サスペンションワイヤー76bの両端は、3つの端子穴75cの中央の1つと、3つの端子穴65cの中央の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76eの両端は、3つの端子穴75dの中央の1つと、3つの端子穴65dの中央の1つに接続されている。
【0060】
サスペンションワイヤー76cの両端は、3つの端子穴75cの外側の1つと、3つの端子穴65cの外側の1つと接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76fの両端は、3つの端子穴75dの外側の1つと、3つの端子穴65dの外側の1つに接続されている。
【0061】
なお、図5(a)において、75eは、端子である。端子75eを介して、ミラー69をPan方向とチルト方向に駆動するための駆動信号と、LED68を点灯するための駆動信号が供給される。各端子75eは、それぞれ、端子穴75c、75dの何れかと、サスペンションワイヤー固定基板75上の回路パターンを介して接続されている。
【0062】
図2に戻り、サーボユニット80は、サーボユニットフレーム81と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85とを備えている。
【0063】
サーボユニットフレーム81は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。サーボユニットフレーム81の左右の側面には、ピンホール取り付け金具82を固定するための2つのネジ孔81aが形成されている。また、サーボユニットフレーム81の上下の内側面の前端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ孔81cが形成されている。さらに、サーボユニットフレーム81の左右の内側面の後端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ穴81eが形成されている。
【0064】
ピンホール取り付け金具82の左右の側面には、2つのネジ穴82aが形成されている。また、ピンホール取り付け金具82の背面には、ピンホール板83を固定するための2つのネジ穴82bと、LED68から出射されたサーボ光をピンホール83aを介してPSD85に導くための開口82cが形成されている。
【0065】
ピンホール板83には、ピンホール83aと、2つのネジ孔83bが形成されている。ピンホール83aは、LED68から出射された拡散光のうち、一部の光を通過させる。
【0066】
PSD基板84には、PSD基板84をサーボユニットフレーム81に固定するための4つのネジ孔84aが形成されている。PSD基板84には、PSD85が装着されている。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた信号を出力する。
【0067】
サーボユニット80の組立時には、ピンホール板83が、ピンホール取り付け金具82の背面に当てられる。この状態で、2つのネジ孔83bを介して2つのネジ83cを2つのネジ穴82bに螺着する。これにより、ピンホール板83がピンホール取り付け金具82に固着される。
【0068】
次に、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81内に収容される。この状態で、4つのネジ孔81aと4つのネジ穴82aとが合わされ、左右から4つのネジ81bをそれぞれネジ孔81aとネジ穴82aに螺着する。これにより、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81に固着される。
【0069】
さらに、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81の背部に当てられる。この状態で、4つのネジ孔84aを介して4つのネジ84bを4つのネジ穴81eに螺着する。これにより、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81に固着される。こうして、図6に示すサーボユニット80が完成する。図6(a)は、組み立てられたサーボユニット80を前方から見た斜視図、図6(b)は、組み立てられたサーボユニット80を後方から見た斜視図である。
【0070】
こうしてサーボユニット80が組み立てられた後、サーボユニット80が、図5に示す構成体の背部に当てられる。この状態で、サーボユニットフレーム81の4つのネジ孔81cを介して、後方から4つのネジ81dをマグネットユニットフレーム71の4つのネジ穴71eに螺着する。これにより、サーボユニット80が図5に示す構成体に固着される。こうして、図7に示すように、ミラーアクチュエータ24の組立が完了する。図7(a)は、ミラーアクチュエータ24を前方から見た斜視図、図7(b)は、ミラーアクチュエータ24を後方から見た斜視図である。
【0071】
図7に示すアセンブル状態において、8つのパンマグネット72(図4参照)は、パンコイル62b、63b(図3(a)参照)に電流を印加することにより、パンコイル装着板62、63に支軸67を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル62b、63bに電流を印加すると、パンコイル62b、63bに生じる電磁駆動力によってパンコイル装着板62、63とともに支軸67が回動し、これにより、ミラー69が、支軸67を軸として回動する。支軸67を軸とするミラー69の回動方向をPan方向という。なお、パンコイル62b、63bへの電流の印加を中止すると、ミラー69は、サスペンションワイヤー66a〜66dのばね性により、回動前の位置に戻される。
【0072】
図7に示すアセンブル状態において、8つのチルトマグネット73(図4参照)は、チルトコイル61b(図3(a)参照)に電流を印加することにより、ミラーユニットフレーム61に支軸74を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、チルトコイル61bに電流を印加すると、チルトコイル61bに生じる電磁駆動力によって、ミラーユニットフレーム61が、支軸74を軸として回動し、ミラーユニットフレーム61と一体的にミラー69が回動する。支軸74を軸とするミラー69の回動方向をTilt方向という。なお、チルトコイル61bへの電流の印加を中止すると
、ミラーユニットフレーム61は、サスペンションワイヤー76a〜76fのばね性により、回動前の位置に戻される。
【0073】
なお、上記のようにミラーアクチュエータ24を構成することにより、大きなミラー69を高レスポンスで駆動することができる。このため、目標領域からの反射光を、大きなミラー69で受光できるようになる。
【0074】
図8は、ミラーアクチュエータ24が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0075】
図8において、500は、光学系を支持するベースである。
【0076】
ベース500の上面には、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24と、視野コントロールフィルム32と、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35が配置されている。レーザ光源21は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板21aに装着されている。また、光検出器35は、ベース500の上面に配された光検出器35用の回路基板35aに装着されている。
【0077】
レーザ光源21から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ22によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光は、孔板23に形成された孔23aを通過した後、ミラーアクチュエータ24のミラー69に入射し、ミラー69によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ24によってミラー69が駆動されることにより、出射レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0078】
ミラーアクチュエータ24は、中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ22からの走査レーザ光がミラー69のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。なお、「中立位置」とは、ミラー面が鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するときのミラー69の位置をいう。
【0079】
ベース500の上面には、回路基板21a、35aの他、ミラーアクチュエータ24の背後に、ミラーアクチュエータ24のチルトコイル61b、パンコイル62b、63bに駆動信号を供給するための回路基板(図示せず)が配置されている。これら回路基板は、図1(a)の回路ユニット40に含まれる。
【0080】
図9(a)は、ミラー69の位置を検出するためのサーボ光学系を説明する図である。同図は、図8の光学系をベース500の上面側から見たときの模式図である。同図には、ミラーアクチュエータ24の一部断面図とレーザ光源21のみが示されている。
【0081】
上述の如く、ミラーアクチュエータ24には、LED68と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85が配されている。
【0082】
LED68、PSD85およびピンホール83aは、ミラーアクチュエータ24のミラー69が上記中立位置にあるときに、LED68がピンホール板83のピンホール83aとPSD85の中心に向き合うように配置されている。すなわち、ミラー69が中立位置にあるとき、LED68から出射されピンホール83aを通るサーボ光が、PSD85の中心に垂直に入射するよう、ピンホール板83およびPSD85が配置されている。また、ピンホール板83は、LED68とPSD85の中間位置よりもPSD85に近い位置に配置されている。
【0083】
ここで、LED68から拡散するように発せられたサーボ光は、その一部が、ピンホール83aを通過し、PSD85によって受光される。ピンホール83a以外の領域に入射されたサーボ光は、ピンホール板83によって遮光される。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた電流信号を出力する。
【0084】
たとえば、図9(b)のようにミラー69が破線で示す中立位置から矢印方向に回動すると、LED68の拡散光(サーボ光)のうちピンホール83aを通る光の光路は、LP1からLP2へと変位する。その結果、PSD85上におけるサーボ光の照射位置が変化し、PSD85から出力される位置検出信号が変化する。この場合、LED68からのサーボ光の発光位置と、PSD85の受光面上におけるサーボ光の入射位置は一対一に対応する。したがって、PSD85にて検出されるサーボ光の入射位置によって、ミラー69の位置を検出することができ、結果、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0085】
図10(a)は、レーザレーダ1の内部を上面側から見たときの一部平面図である。同図(a)には、出射レーザ光が実線の矢印で示され、目標領域からの反射光が点線の矢印で示されている。また、筺体10内の迷光が破線の矢印で模式的に示されている。図10(b)は、Z軸負方向から見た視野コントロールフィルム32のX−Y平面の表面図である。同図(b)には、Z軸正方向に進む目標領域からの反射光が円にバツのマークで示され、X−Y平面の面内方向に傾きをもって入射する迷光が破線の矢印で示されている。
【0086】
図10(a)を参照して、レーザ光源21から出射されるレーザ光は、ビーム整形レンズ22を透過した後、孔板23に形成された孔23aを通過する。孔板23の孔23aを通過した出射レーザ光は、ミラー69によって反射され、筺体10内から目標領域に出射される。
【0087】
筺体10から出射される出射レーザ光は、拡散光である。すなわち、出射レーザ光は、拡散光の状態で、筺体10内から出射される。これに対し、目標領域で反射され筺体10に入射する反射光は、遠方にある目標領域の障害物(例えば数10m)によって反射された光であるため、略平行光となる。よって、反射光は、略平行光の状態で、ミラー69に入射する。
【0088】
なお、図10には、便宜上、ミラー69における出射レーザ光の入射領域が反射光の入射領域の半分程度であるように示されているが、実際は、出射レーザ光の入射領域よりも反射光の入射領域の方が数段広くなっている。このため、孔板23のミラー面23bにおける反射光の入射領域は、孔板23のミラー面23bにおける出射レーザ光の通過領域よりも、かなり広くなっている。
【0089】
このように、反射光は、出射レーザ光の通過領域よりも広い領域において、略平行光の状態で、孔板23のミラー面23bに入射する。これにより、反射光は、大半が孔板23のミラー面23bによって反射される。孔板23のミラー面23bによって反射された目標領域からの反射光は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する。視野コントロールフィルム32に入射した目標領域からの反射光は、視野コントロールフィルム32のルーバー層の透過部を透過する。その後、目標領域からの反射光は、バンドパスフィルタ33を透過し、受光レンズ34によって、集光されて光検出器35に入射する。これにより、目標領域からの反射光を検出することができる。
【0090】
また、ミラー69が矢印方向に回動した場合、目標領域からの反射光は、ミラー69に
よって、ミラー69の回動前と同じ方向に反射される。すなわち、目標領域からの反射光は、ミラー69の回動位置に拘わらず、ミラー69によって、レーザ光源21の光軸に平行な方向に反射される。このため、目標領域からの反射光は、ミラー69の回動位置に拘わらず、同じ光路を通って、略平行光の状態で、視野コントロールフィルム32に入射する。
【0091】
さらに、図示の如く、レーザ光源21と光検出器35が同一筺体10内に配置されているため、レーザ光源21の出射口や、孔板23の孔23a等によって回折されたレーザ光の一部が、直接、もしくは、筺体10内で反射され、迷光となって光検出器35に入射することが起こり得る。また、X−Z平面およびY−Z平面の面内方向に傾けられた投射/受光窓50によって、反射されたレーザ光の一部についても、直接、もしくは、筺体10内で反射され、迷光となって光検出器35に入射することが起こり得る。なお、これらの迷光は、レーザ光と同じ波長帯域をもつため、バンドパスフィルタ33によっては、除去することはできない。このように、これらの迷光は、筺体10内の光学素子や壁部による回折、および反射によって、様々な角度成分を有する。
【0092】
同図(b)を参照して、S1は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に傾きをもつ迷光であり、S2は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に傾きをもつ迷光である。
【0093】
また、前述のごとく、目標領域からの反射光R1、R2は、ミラー69の回動位置に拘わらず、視野コントロールフィルム32の光入射面の法線に対して略平行光の状態で、視野コントロールフィルム32に入射する。
【0094】
このように、目標領域からの反射光は、常に、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射し、迷光の大半は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向に傾いた状態で入射する。したがって、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向に所定の角度以上に傾いた光を除去することによって、光検出器35に入射する迷光の影響を抑えることができる。
【0095】
図11は、本実施の形態に係る視野コントロールフィルム32の遮光作用を説明するための図である。
【0096】
同図(a)は、視野コントロールフィルム32を模式的に示した斜視図である。また、同図(b)は、視野コントロールフィルム32のX−Z平面における断面図であり、同図(c)は、視野コントロールフィルム32のY−Z平面における断面図である。
【0097】
視野コントロールフィルム32は、ルーバー層321、322を有する。
【0098】
ルーバー層321は、遮光部321aと、透過部321bとがX軸方向に向かって、交互に積層されている。遮光部321aと透過部321bは、Y−Z平面に対し、互いに平行となるように形成されている。また、遮光部321aは、X軸方向の幅が薄い帯状であり、透過部321bは、X軸方向の幅が厚い帯状である。遮光部321aのX軸方向の幅は一定であり、透過部321bのX軸方向の幅も一定である。
【0099】
遮光部321aは、光を吸収する遮光性物質からなる。遮光部321aは、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に所定の角度以上の傾きをもつ迷光S1を遮光する。
【0100】
透過部321bは、光を透過させる透過性物質からなる。透過部321bは、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する反射光R1を透過させる。
【0101】
同図(b)を参照して、遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β1は、90度である。遮光部321aは、間隔L1でX軸方向に形成されている。また、遮光部321aは、ルーバー層321、322の積層方向に厚さT1を有する。これらにより、ルーバー層321を光が透過可能な角度(視野角)は、α1に制限される。
【0102】
視野角α1は、遮光部321aの間隔L1を狭くし、遮光部321aの厚さT1を大きくすることによって、狭くすることができる。また、逆に、視野角α1は、遮光部321aの間隔L1を広くし、遮光部321aの厚さT1を小さくすることによって、広くすることができる。さらに、遮光部321aとルーバー層322の表面とのなす角度β1を調整することにより、反射光R1の入射可能な角度を調整することができる。
【0103】
本実施の形態において、反射光R1は、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射される。したがって、視野角α1が、0度に近づくよう、遮光部321aの間隔L1は、非常に狭く、遮光部321aの厚さT1は、非常に厚く設定される。これにより、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に視野角α1よりも大きい入射角γ1をもつ迷光S1は、ルーバー層321の遮光部321aによって、遮光される。
【0104】
同図(a)に戻り、ルーバー層322は、遮光部322aと、透過部322bとがY軸方向に向かって、交互に形成されている。遮光部322aと、透過部322bは、X−Z平面に対し、互いに平行となるように形成されている。また、遮光部322aは、Y軸方向の幅が薄い帯状であり、透過部322bは、Y軸方向の幅が厚い帯状である。遮光部322aのY軸方向の幅は一定であり、透過部322bのY軸方向の幅も一定である。
【0105】
遮光部322aは、光を吸収する遮光性物質からなる。遮光部322aは、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に所定の角度以上の傾きをもつ迷光S2を遮光する。
【0106】
透過部322bは、光を透過させる透過性物質からなる。透過部322bは、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する反射光R2を透過させる。
【0107】
同図(c)を参照して、遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度β2は、90度である。遮光部322aは、間隔L2で形成されている。また、遮光部322aは、ルーバー層321、322の積層方向に厚さT2を有する。
【0108】
本実施の形態において、反射光R2は、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射される。したがって、ルーバー層321と同様、視野角α2が、0度に近づくよう、遮光部322aの間隔L2は、非常に狭く、遮光部322aの厚さT2は、非常に厚く設定される。これにより、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に視野角α2よりも大きい入射角γ2をもつ迷光S2は、ルーバー層322の遮光部322aによって、遮光される。
【0109】
同図(a)に戻り、ルーバー層321とルーバー層322は、遮光部321a、322aが、それぞれ、直交するように形成されている。これにより、視野コントロールフィルム32は、X−Y平面の面内方向において所定の角度以上の傾きを有する迷光S1、S2
を遮光し、X−Y平面に略垂直な方向から入射する反射光R1、R2を透過させる。
【0110】
なお、本実施の形態では、目標領域からの反射光が平行光である光路中に視野コントロールフィルム32が配されているが、たとえば、受光レンズ34の後段等、光が収束する光路中に視野コントロールフィルム32を配置することもできる。ただし、このような場合には、視野コントロールフィルム32の光入射面に対する反射光の入射角が反射光の入射位置に応じて変化するため、反射光の入射位置に応じて、反射光がルーバー層321、322により遮光されないように、ルーバー層321、322の遮光部321a、322aの傾き角β1、β2を調整する必要がある。
【0111】
これに対し、本実施の形態のように視野コントロールフィルム32を反射光が略平行光となる光路に配置すると、簡素な構成のルーバー層321、322により、目標領域からの反射光以外の角度成分を持つ迷光を、効果的に除去することができる。
【0112】
図12は、レーザレーダ1の回路構成を示す図である。なお、同図には、便宜上、投射光学系20および受光光学系30の主要な構成が併せて示されている。図示の如く、レーザレーダ1は、PD信号処理回路101と、スキャンLD駆動回路102と、アクチュエータ駆動回路103と、サーボLED駆動回路104と、PSD信号処理回路105と、DSP106を備えている。これらの回路は、図1の回路ユニット40に含まれている。
【0113】
PD信号処理回路101は、光検出器35の受光光量に応じた電圧信号を増幅およびデジタル化してDSP106に供給する。
【0114】
スキャンLD駆動回路102は、DSP106からの信号をもとに、レーザ光源21に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングで、パルス状の駆動信号(電流信号)がレーザ光源21に供給される。
【0115】
PSD信号処理回路105は、PSD85からの出力信号をもとに求めた位置検出信号をDSP106に出力する。サーボLED駆動回路104は、DSP106からの信号をもとに、LED68に駆動信号を供給する。アクチュエータ駆動回路103は、DSP106からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ24を駆動する。具体的には、目標領域においてレーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ24に供給される。
【0116】
DSP106は、PSD信号処理回路105から入力された位置検出信号をもとに、目標領域におけるレーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ24の駆動制御や、レーザ光源21の駆動制御等を実行する。また、DSP106は、PD信号処理回路101から入力される電圧信号に基づいて、目標領域内のレーザ光照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源21から出力されるレーザ光の照射タイミングと、光検出器35にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0117】
以上、本実施の形態によれば、目標領域からの反射光が略平行光となる光路に視野コントロールフィルム32を配置することで、目標領域からの反射光と角度成分が異なる迷光を効率よく除去することができる。よって、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあるような場合であっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、レーザ光の照射タイミングにおける迷光の影響を抑えることができるため、障害物が近距離にある場合にあっても、精度よく距離を測定することができる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0120】
たとえば、上記実施の形態では、目標領域からの反射光が、視野コントロールフィルム32の光入射面に対して、入射角が略0度となるように入射させたが、視野コントロールフィルム32の光入射面に対して所定の角度θだけ傾いた状態で、反射光を視野コントロールフィルム32に入射させてもよい。この場合、遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β1または遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度β2を調整することによって、視野コントロールフィルム32に入射する反射光の入射角度に対応させることができる。
【0121】
図13は、X−Z平面の面内方向における入射角がθとなるように反射光が視野コントロールフィルム32に入射する場合における視野コントロールフィルム32の遮光作用を模式的に示す図である。同図(a)は、視野コントロールフィルム32のX−Z平面における断面図であり、同図(b)は、視野コントロールフィルム32のY−Z平面における断面図である。
【0122】
同図(a)を参照して、ルーバー層321は、上記実施の形態同様、遮光部321aと透過部321bが、交互に形成されている。遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β3は、反射光R3の入射角θと略平行になるように、Z軸方向からX軸方向に傾けられている。
【0123】
同図(b)を参照して、ルーバー層322は、上記実施の形態同様、遮光部322aと透過部322bが、交互に形成されている。また、遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度は、90度である。
【0124】
また、上記実施の形態同様、ルーバー層321とルーバー層322は、遮光部321a、322aが、それぞれ、直交するように積層されている。
【0125】
これにより、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)に対して、入射角θで入射する目標領域からの反射光R3を透過させ、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向において所定の角度以上の傾きを有する光を遮光させることができる。
【0126】
このように、反射光が視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)に対して、所定の傾きをもって入射する場合も、ルーバー層321の遮光部321aを傾いて形成させることにより、上記の実施形態同様に、目標領域の反射光以外の角度成分をもつ迷光を除去することができる。
【0127】
また、上記実施の形態では、反射光が略平行光の状態で視野コントロールフィルム32に入射されたが、反射光が平行光からやや拡散していてもよく、やや収束していてもよい。この場合、上記実施の形態に比べて、光がやや減衰し、また、迷光の除去効率が多少低くなるが、視野コントロールフィルムの視野角の調整によって、上記実施の形態と同様、反射光の角度成分と異なる迷光を除去することができる。
【0128】
また、上記実施の形態において光検出器35を囲むように遮光ボックスをさらに配置してもよい。
【0129】
図14(a)は、遮光ボックス36を配置した場合におけるレーザレーダ1の内部を上
面側から見たときの一部平面図である。なお、同図中、上記実施の形態と同一部分には同一符号が付されている。
【0130】
遮光ボックス36は、表面が遮光性のある素材であり、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35を囲むように配置される。遮光ボックス36の一つの側面には、中央に開口36aが形成されている。開口36aには、視野コントロールフィルム32が嵌め込められる。遮光ボックス36の外側面は、開口36aに嵌め込められた視野コントロールフィルム32以外の位置に入射する光を遮光する。
【0131】
これにより、上記実施の形態と同様、目標領域からの反射光と角度成分が異なる迷光を除去することができる。また、本変更例では、光検出器35を囲むように遮光ボックス36が配置されるため、視野コントロールフィルム32を通過する以外の迷光は、遮光ボックス36によって除去される。よって、上記実施の形態に比べ、光検出器35に入射する迷光を一層除去することができる。
【0132】
また、本変更例および上記実施の形態では、視野コントロールフィルム32とバンドパスフィルタ33が互いに別の部材とされたが、たとえば、図14(b)に示すように、視野コントロールフィルム32とバンドパスフィルタ33が一体的に形成されてもよい。これにより、部品点数の削減とレーザレーダの構成の簡素化および小型化を図ることができる。
【0133】
また、上記実施の形態では、投射光学系20と受光光学系30の光路が一致するタイプのレーザレーダの構成例を示したが、投射光学系と受光光学系が別々に配置され、光路が一致しないタイプのレーザレーダに本発明を用いても良い。この場合、レーザ光の走査に伴い、受光光学系に入射する反射光の入射角が変化するが、視野コントロールフィルムの視野角を広く調整することによって、本発明を適用可能である。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、車両等に搭載されるレーザレーダにおける構成例を示したが、本発明の受光装置は、モーションセンサ等、目標領域に光を投射したときの反射光を光検出器等で受光するタイプの装置であれば、どのような装置にも適用可能である。
【0135】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 … レーザレーダ
21 … レーザ光源
23 … 孔板(反射板)
23a … 孔
23b … ミラー面(反射面)
24 … ミラーアクチュエータ(光走査部)
31 … 受光装置
32 … 視野コントロールフィルム(光学フィルタ)
321 … ルーバー層(第1のルーバー層)
321a… 遮光部(第1の遮光部)
321b… 透過部(第1の透過部)
322 … ルーバー層(第2のルーバー層)
322a… 遮光部(第2の遮光部)
322b… 透過部(第2の透過部)
33 … バンドパスフィルタ
34 … 受光レンズ(集光素子)
35 … 光検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標領域にレーザ光を照射したときの反射光をもとに目標領域の状況を検出するレーザレーダおよびレーザレーダに搭載されて好ましい受光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、各スキャン位置における障害物までの距離が検出される。
【0003】
レーザレーダの構成として、たとえば、レーザ光を照射する投射光学系と目標領域からの反射光を受光する受光学系を同一筺体内に配置する構成を用いることができる(特許文献1)。目標領域からの反射光は、受光光学系に配置された光検出器によって受光される。光検出器からは、受光光量に応じた大きさの信号が出力される。この信号が所定の閾値を超えると、当該スキャン位置に障害物が存在すると判定される。また、この信号が前記閾値を超えたタイミングが反射光の受光タイミングとされて、上記のように、当該スキャン位置における障害物までの距離が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、投射光学系から照射されるレーザ光は、遠距離にある障害物を検出するために、非常に大きい発光強度に設定される。しかし、この場合、レーザ光の一部が、筺体内で反射または回折され、様々な角度成分をもつ迷光となって光検出器に入射する惧れがある。
【0006】
このように、光検出器に迷光が入射すると光検出器からの出力信号が誤差を含むこととなり、障害物までの距離の測定精度が低下することとなってしまう。特に、障害物が近距離にある場合、レーザ光の照射タイミングと反射光の受光タイミングの時間差が短くなるため、反射光による光検出器の出力信号と迷光による光検出器の出力信号とが互いに重なり易い。このため、特に障害物が近距離にある場合には、筺体内で反射または回折された迷光によって、障害物の測定精度に劣化が生じ易くなる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができるレーザレーダおよび受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面は、レーザレーダに関する。本局面に係るレーザレーダは、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を目標領域において走査させる光走査部と、前記目標領域からの前記レーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した前記反射光を受光する光検出器と、前記反射光
を前記光検出器に集光させる集光素子と、を備える。
【0009】
本発明の第2の局面は、受光装置に関する。本局面に係る受光装置は、光検出器と、前記光検出器に目標光を集光させる集光素子と、前記集光素子に入射する前の前記目標光の光路中に配置され、前記目標光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができるレーザレーダおよび受光装置を提供することができる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図5】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図6】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図7】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図8】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図9】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図10】実施の形態に係るレーザレーダの光学系を示す図である。
【図11】実施の形態に係る視野コントロールフィルムの構成を示す図である。
【図12】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図13】変更例に係る視野コントロールフィルムの構成を示す図である。
【図14】変更例に係るレーザレーダの光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係るレーザレーダ1の構成を模式的に示す図である。同図(a)は、レーザレーダ1の内部を上面から透視した図、同図(b)は、投射/受光窓50を装着する前のレーザレーダ1の正面図である。
【0015】
同図(a)を参照して、レーザレーダ1は、筐体10と、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40と、投射/受光窓50とを備える。
【0016】
筐体10は、一辺の一部が斜めに傾いた立方体形状をしており、内部に、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40とを収容する。同図(b)に示す如く、筐体10の正面には、開口11が形成され、開口11の周囲には、投射/受光窓50を嵌め込むための凹部12が形成されている。投射/受光窓50は、その周囲を凹部12に嵌め込んで接着固定することにより、筐体10の正面に装着される。
【0017】
投射光学系20は、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24とを備える。
【0018】
受光光学系30は、受光装置31を備える。なお、孔板23と、ミラーアクチュエータ24は、受光光学系30の一部として共用される。受光装置31は、視野コントロールフィルム32と、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35とを備える。
【0019】
レーザ光源21は、波長900nm程度のレーザ光を出射する。
【0020】
ビーム整形レンズ22は、出射レーザ光が、目標領域において所定の形状となるよう、出射レーザ光を収束させる。たとえば、目標領域(本実施の形態では、ビーム照射装置のビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、縦2m、横0.2m程度の楕円形状となるように、ビーム整形レンズ22が設計される。
【0021】
孔板23は、ミラー69側の面がミラー面23bとなっており、中央に孔23aが形成されている。図示の如く、孔板23は、レーザ光源21の光軸に対してX−Z平面の面内方向に45度傾くように配置されている。孔板23のミラー面23bは、目標領域からの反射光を光検出器35に向かって反射させる。孔23aは、ビーム整形レンズ22により収束された出射レーザ光を通過させる。
【0022】
ミラーアクチュエータ24は、ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光と目標領域からの反射光が入射するミラー69と、このミラー69を2つの軸の周りに回動させるための機構とを備える。ミラー69が回動することにより、目標領域において出射レーザ光が走査される。さらに、目標領域からの反射光は、出射レーザ光が目標領域へと向かう光路を逆行して、ミラー69に入射する。ミラー69に入射した反射光は、ミラー69により反射され、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。かかる反射光の挙動は、ミラー69がどのような回動位置にあっても同じである。すなわち、ミラー69がどのような回動位置にあっても、目標領域からの反射光は、出射レーザ光の光路を逆行し、孔板23のミラー面23bに入射する。
【0023】
視野コントロールフィルム32は、透過部と遮光部がストライプ状に形成されたルーバー層が積層された構成を有する。視野コントロールフィルム32は、X−Y平面において、それぞれの透過部と遮光部が直交するように積層されている。視野コントロールフィルム32は、直交するように積層されたルーバー層によって、目標領域からの反射光の入射角度成分をもつ光のみを透過させる。視野コントロールフィルム32は、光入射面がX−Y平面に平行となるように配置される。なお、視野コントロールフィルム32の詳細は、図11を参照して説明する。
【0024】
バンドパスフィルタ33は、誘電体多層膜で構成されており、出射レーザ光の波長帯域の光のみを透過させる。なお、バンドパスフィルタ33は、反射光が略平行光の状態で入射されるため、簡素な膜構成のものが用いられる。
【0025】
受光レンズ34は、凸レンズであり、目標領域から反射された光を集光する。
【0026】
光検出器35は、APD(アバランシェ・フォトダイオード)またはPINフォトダイオードからなり、受光光量に応じた大きさの電気信号を回路ユニット40に出力する。光検出器35の受光面は、複数の領域に分割されておらず、単一の受光面からなっている。また、光検出器35の受光面は、迷光の影響を抑えるため、縦横の幅が狭く構成されている(例えば1mm前後)。
【0027】
回路ユニット40は、CPUやメモリ等を備え、レーザ光源21およびミラーアクチュ
エータ24を制御する。また、回路ユニット40は、光検出器35からの信号に基づいて、目標領域における障害物の有無および障害物までの距離を測定する。具体的には、目標領域における所定の走査位置において、レーザ光源21からレーザ光が出射される。このときに光検出器35から信号が出力されると、この走査位置に障害物が存在することが検出される。また、この走査位置においてレーザ光が出射されたタイミングと、光検出器35から信号が出力されたタイミングの時間差から、この障害物までの距離が測定される。回路ユニット40の構成は、追って図12を参照して説明する。
【0028】
投射/受光窓50は、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。投射/受光窓50は、透明性の高い材料からなり、また、入射面と出射面に反射防止膜(ARコート)が付されている。また、投射/受光窓50は、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、孔板23から投射/受光窓50までの光路を逆行して光検出器35に迷光として入射することを防ぐため、出射レーザ光の光軸に対して所定角度だけX−Z平面およびY−Z平面の面内方向に傾けられている。なお、投射/受光窓50は、ミラーアクチュエータ24が回動した場合においても、投射/受光窓50により反射された出射レーザ光が、光路を逆行して光検出器35に入射しない角度に傾けられている。
【0029】
図2は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ24の分解斜視図を示す図である。
【0030】
ミラーアクチュエータ24は、ミラーユニット60と、マグネットユニット70と、サーボユニット80を備えている。
【0031】
図3(a)を参照して、ミラーユニット60は、ミラーユニットフレーム61と、パンコイル装着板62、63と、サスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65と、サスペンションワイヤー66a〜66dと、支軸67と、LED68と、ミラー69とを備えている。
【0032】
ミラーユニットフレーム61は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。ミラーユニットフレーム61には、左右の側面にそれぞれ2つのチルトコイル装着部61aが設けられている。各側面のチルトコイル装着部61aは、各側面の中心から上下方向に対称な位置に配置されている。これら4つのチルトコイル装着部61aには、それぞれ、チルトコイル61bが巻回され固着される。
【0033】
また、ミラーユニットフレーム61には、左右に並ぶ軸孔61cと、上下に並ぶ溝61eが形成されている。軸孔61cは、左右の側面の中心位置に配置され、溝61eは上下の側面の中心位置まで延びている。軸孔61cには、それぞれ、左右から軸受け61dが取り付けられる。
【0034】
ミラーユニットフレーム61の底面は、櫛歯状となっており、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔61fと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つのワイヤー孔61gと、後述するサスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つのワイヤー孔61hと、サスペンションワイヤー76d〜76fを通すための3つのワイヤー孔61iが形成されている。なお、ワイヤー孔61h、61iは、サスペンションワイヤー76a〜76fを斜め後方向に傾けて固定するために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。これにより、サスペンションワイヤー76a〜76fを、ミラー69から離れる方向に曲線状に張ることができる。
【0035】
パンコイル装着板62には、2つのパンコイル装着部62aと、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つのワイヤー孔62cと、サスペンションワイヤー66
c、66dを通すための2つのワイヤー孔62dと、支軸67を通すための軸孔62eが設けられている。ワイヤー孔62cは、ワイヤー孔61fと上下方向に直線状に並ぶように形成されており、ワイヤー孔62dは、ワイヤー孔61gと上下方向に直線状に並ぶように形成されている。2つのパンコイル装着部62aには、それぞれ、2つのパンコイル62bが巻回され固着される。また、パンコイル装着板63には、2つのパンコイル装着部63aと支軸67を通すための軸孔63cが設けられている。パンコイル装着部63aには、2つのパンコイル63bが巻回され固着される。
【0036】
サスペンションワイヤー固定基板64a、64bには、それぞれ、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴64cと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴64dが形成されている(図3(b)参照)。端子穴64c、64dの位置において、後述のように、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線が、サスペンションワイヤー66a〜66dに半田等で電気的に接続される。サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、2つの端子穴64c、64dとワイヤー孔62c、62dが整合するように、パンコイル装着板62に接着して固定される。
【0037】
サスペンションワイヤー固定基板65には、サスペンションワイヤー66a、66bを通すための2つの端子穴65aと、サスペンションワイヤー66c、66dを通すための2つの端子穴65bと、サスペンションワイヤー76a〜76cを通すための3つの端子穴65cと、サスペンションワイヤー76d〜76f(図2参照)を通すため3つの端子穴65dが形成されている。なお、3つの端子穴65c、65dは、ワイヤー孔61h、61iと同様に、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。
【0038】
図3(c)を参照して、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65aと3つの端子穴65cのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP1、P2が形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板65には、2つの端子穴65bと3つの端子穴65dのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP3、P4が形成されている。これらの端子穴と、各端子穴に通されたサスペンションワイヤー66a〜66dおよびサスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとを半田付けすることにより、サスペンションワイヤー66a〜66dと、サスペンションワイヤー76a、76b、76d、76eとが、上記回路パターンを介して、電気的に接続される。3つの端子穴65cの残り一つと、3つの端子穴65dの残り一つの位置において、後述のように、左右のチルトコイル61bと、サスペンションワイヤー76c、76fとが、半田等で電気的に接続される。
【0039】
図3(a)に戻り、サスペンションワイヤー固定基板65は、端子穴65aとワイヤー孔61f、端子穴65bとワイヤー孔61g、端子穴65cとワイヤー孔61h、および、端子穴65dとワイヤー孔61iが、それぞれ互いに整合するように、ミラーユニットフレーム61に接着して固定される。
【0040】
サスペンションワイヤー66a〜66dは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー66a〜66dは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー66a〜66dは、互いに同じ形状および特性を持ち、パンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のPan方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0041】
支軸67には、LED基板固定アーム68bを挿入するための孔67aと、パンコイル63bとLED68を電気的に接続する導線を通すための孔67b、67cと、ミラー6
9を嵌め込むための段部67dが形成されている。また、支軸67内は、パンコイル63bとLED68を電気的に接続する導線を通すため、空洞となっている。なお、支軸67は、後述するように、ミラー69をPan方向に回動させる回転軸として利用される。
【0042】
LED68は、拡散タイプ(広指向タイプ)であり、広い範囲に光を拡散させることができる。LED68からの拡散光は、後述するように、走査用のレーザ光の目標領域内での走査位置を検出するために利用される。LED68は、LED基板68aに取り付けられている。LED基板68aは、LED基板固定アーム68bに接着された後、支軸67の孔67aに取り付けられる。
【0043】
ミラーユニット60の組立時には、支軸67にミラー69が嵌め込まれた後、支軸67の両端の軸に軸受け67e、ポリスライダーワッシャ67fが取り付けられる。そして、この状態で、2つの軸受け67eが、ミラーユニットフレーム61に形成された溝61eに嵌め込まれる。さらに、上下からパンコイル装着板62の軸孔62eとパンコイル装着板63の軸孔63cが、支軸67に通され、支軸67に接着固定される。
【0044】
その後、サスペンションワイヤー66a、66bが、サスペンションワイヤー固定基板64aの2つの端子穴64cと、2つのワイヤー孔62cと、2つのワイヤー孔61fを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65aに通される。同様に、サスペンションワイヤー66c、66dが、サスペンションワイヤー固定基板64bの2つの端子穴64dと、2つのワイヤー孔62dと、2つのワイヤー孔61gを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65bに通される。サスペンションワイヤー66a〜66dは、それぞれ、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともにサスペンションワイヤー固定基板64a、64b、65に半田付けられる。
【0045】
これにより、図2に示すように、ミラーユニット60の組立が完了する。この状態で、ミラー69は、支軸67の周りにPan方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板64a、64bは、ミラー69のPan方向の回動に伴って、Pan方向に回動する。組み立てられたミラーユニット60は、マグネットユニットフレーム71の開口に収容される。
【0046】
図2に戻り、マグネットユニット70は、マグネットユニットフレーム71と、8つのパンマグネット72と、8つのチルトマグネット73と、2つの支軸74と、サスペンションワイヤー固定基板75と、サスペンションワイヤー76a〜76fと、保護カバー77とを備えている。
【0047】
マグネットユニットフレーム71は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。マグネットユニットフレーム71の左右の側面の中央には、支軸74を通すための軸孔71aと、支軸74を固定するためのネジ穴71bが形成されている。マグネットユニットフレーム71の上面には、サスペンションワイヤー固定基板75を固定するための2つのネジ穴71cが形成されている。また、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の前端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、保護カバー77を固定するためのネジ穴71dが形成されている。さらに、マグネットユニットフレーム71の上下の内側面の後端には、マグネットユニットフレーム71の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、サーボユニットフレーム81を固定するためのネジ穴71eが形成されている。
【0048】
図4は、マグネットユニットフレーム71を後側から見た斜視図である。図4を参照して、8つのパンマグネット72がマグネットユニットフレーム71の上下の内側面に取り
付けられる。さらに、8つのチルトマグネット73がマグネットユニットフレーム71の左右の内側面に取り付けられる。
【0049】
図2に戻り、2つの支軸74には、それぞれ、2つのネジ孔74bが形成されている。2つの支軸74は、ポリスライダーワッシャ74aが取り付けられた状態で、マグネットユニットフレーム71に形成された軸孔71aを介して、ミラーユニットフレーム61の軸受け61dに嵌め込まれる。この状態で、2つのネジ孔74bを介して2つのネジ74cがマグネットユニットフレーム71の2つのネジ穴71bに螺着される。これにより、2つの支軸74がマグネットユニットフレーム71に固着される。なお、支軸74は、後述するように、ミラー69をTilt方向に回動させる回転軸として利用される。
【0050】
サスペンションワイヤー固定基板75には、2つのネジ孔75aと、サスペンションワイヤー76a〜76fを通すための3つの端子穴75c、75dが形成されている。なお、3つの端子穴75c、75dは、サスペンションワイヤー76a〜76fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー76a〜76fの径よりもやや大きく形成されている。サスペンションワイヤー固定基板75には、端子穴75c、75dに信号を供給するための回路パターンが形成されている。
【0051】
サスペンションワイヤー76a〜76fは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー76a〜76fは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー76a〜76fは、互いに同じ形状および特性を持ち、チルトコイル61bとパンコイル62b、63bとLED68への電流供給と、ミラー69のTilt方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。
【0052】
マグネットユニット70の組立時には、サスペンションワイヤー固定基板75が、マグネットユニットフレーム71の上面に取り付けられる。この状態で、2つのネジ孔75aを介して、2つのネジ75bを2つのネジ穴71cに螺着する。これにより、サスペンションワイヤー固定基板75がマグネットユニットフレーム71に固着される。
【0053】
その後、サスペンションワイヤー76a〜76cが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75cと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61hを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の端子穴65c(図3(a)参照)に通される。同様に、サスペンションワイヤー76d〜76fが、サスペンションワイヤー固定基板75の3つの端子穴75dと、ミラーユニットフレーム61の3つのワイヤー孔61iを介して、サスペンションワイヤー固定基板65の3つの端子穴65d(図3(a)参照)に通される。
【0054】
しかる後、サスペンションワイヤー76a〜76fは、それぞれ、チルトコイル61bと、パンコイル62b、63bと、LED68に電流を供給するための導線とともに、サスペンションワイヤー固定基板65、75に半田付けられる。なお、サスペンションワイヤー76a〜76fは、ミラー69から離れる方向に曲線状に張られる。すなわち、サスペンションワイヤー76a〜76fの上端部は、端子穴75c、75dから離れるに従って後ろ方向に傾くように端子穴75c、75dに固定される。また、サスペンションワイヤー76a〜76fの下端部は、ワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65cから離れるに従って後ろ方向に傾くようにワイヤー孔61h、61iおよび端子穴65b、65c固定される。これにより、図5に示す構成体が完成する。この状態で、ミラーユニットフレーム61は、支軸74の周りにTilt方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板65は、ミラーユニットフレーム61のTilt方向の回動に伴って、Tilt方向に回動する。
【0055】
図5は、ミラーユニット60がマグネットユニット70に取り付けられた状態の構成体の斜視図である。図5(a)は、この構成体を図2の前方向から見た斜視図であり、図5(b)は、この構成体を図2の後方向から見た斜視図である。
【0056】
図5(b)を参照して、サスペンションワイヤー66aの両端は、それぞれ、2つの端子穴64cの内側の1つと、2つの端子穴65aの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66cの両端は、2つの端子穴64dの内側の1つと、2つの端子穴65bの内側の1つに接続されている。
【0057】
サスペンションワイヤー66bの両端は、2つの端子穴64cの外側の1つと、2つの端子穴65aの外側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー66dの両端は、2つの端子穴64dの外側の1つと、2つの端子穴65bの外側の1つに接続されている。
【0058】
サスペンションワイヤー76aの両端は、3つの端子穴75cの内側の1つと、3つの端子穴65cの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76dの両端は、3つの端子穴75dの内側の1つと、3つの端子穴65dの内側の1つに接続されている。
【0059】
サスペンションワイヤー76bの両端は、3つの端子穴75cの中央の1つと、3つの端子穴65cの中央の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76eの両端は、3つの端子穴75dの中央の1つと、3つの端子穴65dの中央の1つに接続されている。
【0060】
サスペンションワイヤー76cの両端は、3つの端子穴75cの外側の1つと、3つの端子穴65cの外側の1つと接続されている。同様に、サスペンションワイヤー76fの両端は、3つの端子穴75dの外側の1つと、3つの端子穴65dの外側の1つに接続されている。
【0061】
なお、図5(a)において、75eは、端子である。端子75eを介して、ミラー69をPan方向とチルト方向に駆動するための駆動信号と、LED68を点灯するための駆動信号が供給される。各端子75eは、それぞれ、端子穴75c、75dの何れかと、サスペンションワイヤー固定基板75上の回路パターンを介して接続されている。
【0062】
図2に戻り、サーボユニット80は、サーボユニットフレーム81と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85とを備えている。
【0063】
サーボユニットフレーム81は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。サーボユニットフレーム81の左右の側面には、ピンホール取り付け金具82を固定するための2つのネジ孔81aが形成されている。また、サーボユニットフレーム81の上下の内側面の前端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ孔81cが形成されている。さらに、サーボユニットフレーム81の左右の内側面の後端には、サーボユニットフレーム81の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ穴81eが形成されている。
【0064】
ピンホール取り付け金具82の左右の側面には、2つのネジ穴82aが形成されている。また、ピンホール取り付け金具82の背面には、ピンホール板83を固定するための2つのネジ穴82bと、LED68から出射されたサーボ光をピンホール83aを介してPSD85に導くための開口82cが形成されている。
【0065】
ピンホール板83には、ピンホール83aと、2つのネジ孔83bが形成されている。ピンホール83aは、LED68から出射された拡散光のうち、一部の光を通過させる。
【0066】
PSD基板84には、PSD基板84をサーボユニットフレーム81に固定するための4つのネジ孔84aが形成されている。PSD基板84には、PSD85が装着されている。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた信号を出力する。
【0067】
サーボユニット80の組立時には、ピンホール板83が、ピンホール取り付け金具82の背面に当てられる。この状態で、2つのネジ孔83bを介して2つのネジ83cを2つのネジ穴82bに螺着する。これにより、ピンホール板83がピンホール取り付け金具82に固着される。
【0068】
次に、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81内に収容される。この状態で、4つのネジ孔81aと4つのネジ穴82aとが合わされ、左右から4つのネジ81bをそれぞれネジ孔81aとネジ穴82aに螺着する。これにより、ピンホール取り付け金具82が、サーボユニットフレーム81に固着される。
【0069】
さらに、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81の背部に当てられる。この状態で、4つのネジ孔84aを介して4つのネジ84bを4つのネジ穴81eに螺着する。これにより、PSD基板84が、サーボユニットフレーム81に固着される。こうして、図6に示すサーボユニット80が完成する。図6(a)は、組み立てられたサーボユニット80を前方から見た斜視図、図6(b)は、組み立てられたサーボユニット80を後方から見た斜視図である。
【0070】
こうしてサーボユニット80が組み立てられた後、サーボユニット80が、図5に示す構成体の背部に当てられる。この状態で、サーボユニットフレーム81の4つのネジ孔81cを介して、後方から4つのネジ81dをマグネットユニットフレーム71の4つのネジ穴71eに螺着する。これにより、サーボユニット80が図5に示す構成体に固着される。こうして、図7に示すように、ミラーアクチュエータ24の組立が完了する。図7(a)は、ミラーアクチュエータ24を前方から見た斜視図、図7(b)は、ミラーアクチュエータ24を後方から見た斜視図である。
【0071】
図7に示すアセンブル状態において、8つのパンマグネット72(図4参照)は、パンコイル62b、63b(図3(a)参照)に電流を印加することにより、パンコイル装着板62、63に支軸67を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル62b、63bに電流を印加すると、パンコイル62b、63bに生じる電磁駆動力によってパンコイル装着板62、63とともに支軸67が回動し、これにより、ミラー69が、支軸67を軸として回動する。支軸67を軸とするミラー69の回動方向をPan方向という。なお、パンコイル62b、63bへの電流の印加を中止すると、ミラー69は、サスペンションワイヤー66a〜66dのばね性により、回動前の位置に戻される。
【0072】
図7に示すアセンブル状態において、8つのチルトマグネット73(図4参照)は、チルトコイル61b(図3(a)参照)に電流を印加することにより、ミラーユニットフレーム61に支軸74を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、チルトコイル61bに電流を印加すると、チルトコイル61bに生じる電磁駆動力によって、ミラーユニットフレーム61が、支軸74を軸として回動し、ミラーユニットフレーム61と一体的にミラー69が回動する。支軸74を軸とするミラー69の回動方向をTilt方向という。なお、チルトコイル61bへの電流の印加を中止すると
、ミラーユニットフレーム61は、サスペンションワイヤー76a〜76fのばね性により、回動前の位置に戻される。
【0073】
なお、上記のようにミラーアクチュエータ24を構成することにより、大きなミラー69を高レスポンスで駆動することができる。このため、目標領域からの反射光を、大きなミラー69で受光できるようになる。
【0074】
図8は、ミラーアクチュエータ24が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0075】
図8において、500は、光学系を支持するベースである。
【0076】
ベース500の上面には、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、孔板23と、ミラーアクチュエータ24と、視野コントロールフィルム32と、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35が配置されている。レーザ光源21は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板21aに装着されている。また、光検出器35は、ベース500の上面に配された光検出器35用の回路基板35aに装着されている。
【0077】
レーザ光源21から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ22によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ22を透過した出射レーザ光は、孔板23に形成された孔23aを通過した後、ミラーアクチュエータ24のミラー69に入射し、ミラー69によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ24によってミラー69が駆動されることにより、出射レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0078】
ミラーアクチュエータ24は、中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ22からの走査レーザ光がミラー69のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。なお、「中立位置」とは、ミラー面が鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するときのミラー69の位置をいう。
【0079】
ベース500の上面には、回路基板21a、35aの他、ミラーアクチュエータ24の背後に、ミラーアクチュエータ24のチルトコイル61b、パンコイル62b、63bに駆動信号を供給するための回路基板(図示せず)が配置されている。これら回路基板は、図1(a)の回路ユニット40に含まれる。
【0080】
図9(a)は、ミラー69の位置を検出するためのサーボ光学系を説明する図である。同図は、図8の光学系をベース500の上面側から見たときの模式図である。同図には、ミラーアクチュエータ24の一部断面図とレーザ光源21のみが示されている。
【0081】
上述の如く、ミラーアクチュエータ24には、LED68と、ピンホール取り付け金具82と、ピンホール板83と、PSD基板84と、PSD85が配されている。
【0082】
LED68、PSD85およびピンホール83aは、ミラーアクチュエータ24のミラー69が上記中立位置にあるときに、LED68がピンホール板83のピンホール83aとPSD85の中心に向き合うように配置されている。すなわち、ミラー69が中立位置にあるとき、LED68から出射されピンホール83aを通るサーボ光が、PSD85の中心に垂直に入射するよう、ピンホール板83およびPSD85が配置されている。また、ピンホール板83は、LED68とPSD85の中間位置よりもPSD85に近い位置に配置されている。
【0083】
ここで、LED68から拡散するように発せられたサーボ光は、その一部が、ピンホール83aを通過し、PSD85によって受光される。ピンホール83a以外の領域に入射されたサーボ光は、ピンホール板83によって遮光される。PSD85は、サーボ光の受光位置に応じた電流信号を出力する。
【0084】
たとえば、図9(b)のようにミラー69が破線で示す中立位置から矢印方向に回動すると、LED68の拡散光(サーボ光)のうちピンホール83aを通る光の光路は、LP1からLP2へと変位する。その結果、PSD85上におけるサーボ光の照射位置が変化し、PSD85から出力される位置検出信号が変化する。この場合、LED68からのサーボ光の発光位置と、PSD85の受光面上におけるサーボ光の入射位置は一対一に対応する。したがって、PSD85にて検出されるサーボ光の入射位置によって、ミラー69の位置を検出することができ、結果、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0085】
図10(a)は、レーザレーダ1の内部を上面側から見たときの一部平面図である。同図(a)には、出射レーザ光が実線の矢印で示され、目標領域からの反射光が点線の矢印で示されている。また、筺体10内の迷光が破線の矢印で模式的に示されている。図10(b)は、Z軸負方向から見た視野コントロールフィルム32のX−Y平面の表面図である。同図(b)には、Z軸正方向に進む目標領域からの反射光が円にバツのマークで示され、X−Y平面の面内方向に傾きをもって入射する迷光が破線の矢印で示されている。
【0086】
図10(a)を参照して、レーザ光源21から出射されるレーザ光は、ビーム整形レンズ22を透過した後、孔板23に形成された孔23aを通過する。孔板23の孔23aを通過した出射レーザ光は、ミラー69によって反射され、筺体10内から目標領域に出射される。
【0087】
筺体10から出射される出射レーザ光は、拡散光である。すなわち、出射レーザ光は、拡散光の状態で、筺体10内から出射される。これに対し、目標領域で反射され筺体10に入射する反射光は、遠方にある目標領域の障害物(例えば数10m)によって反射された光であるため、略平行光となる。よって、反射光は、略平行光の状態で、ミラー69に入射する。
【0088】
なお、図10には、便宜上、ミラー69における出射レーザ光の入射領域が反射光の入射領域の半分程度であるように示されているが、実際は、出射レーザ光の入射領域よりも反射光の入射領域の方が数段広くなっている。このため、孔板23のミラー面23bにおける反射光の入射領域は、孔板23のミラー面23bにおける出射レーザ光の通過領域よりも、かなり広くなっている。
【0089】
このように、反射光は、出射レーザ光の通過領域よりも広い領域において、略平行光の状態で、孔板23のミラー面23bに入射する。これにより、反射光は、大半が孔板23のミラー面23bによって反射される。孔板23のミラー面23bによって反射された目標領域からの反射光は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する。視野コントロールフィルム32に入射した目標領域からの反射光は、視野コントロールフィルム32のルーバー層の透過部を透過する。その後、目標領域からの反射光は、バンドパスフィルタ33を透過し、受光レンズ34によって、集光されて光検出器35に入射する。これにより、目標領域からの反射光を検出することができる。
【0090】
また、ミラー69が矢印方向に回動した場合、目標領域からの反射光は、ミラー69に
よって、ミラー69の回動前と同じ方向に反射される。すなわち、目標領域からの反射光は、ミラー69の回動位置に拘わらず、ミラー69によって、レーザ光源21の光軸に平行な方向に反射される。このため、目標領域からの反射光は、ミラー69の回動位置に拘わらず、同じ光路を通って、略平行光の状態で、視野コントロールフィルム32に入射する。
【0091】
さらに、図示の如く、レーザ光源21と光検出器35が同一筺体10内に配置されているため、レーザ光源21の出射口や、孔板23の孔23a等によって回折されたレーザ光の一部が、直接、もしくは、筺体10内で反射され、迷光となって光検出器35に入射することが起こり得る。また、X−Z平面およびY−Z平面の面内方向に傾けられた投射/受光窓50によって、反射されたレーザ光の一部についても、直接、もしくは、筺体10内で反射され、迷光となって光検出器35に入射することが起こり得る。なお、これらの迷光は、レーザ光と同じ波長帯域をもつため、バンドパスフィルタ33によっては、除去することはできない。このように、これらの迷光は、筺体10内の光学素子や壁部による回折、および反射によって、様々な角度成分を有する。
【0092】
同図(b)を参照して、S1は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に傾きをもつ迷光であり、S2は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に傾きをもつ迷光である。
【0093】
また、前述のごとく、目標領域からの反射光R1、R2は、ミラー69の回動位置に拘わらず、視野コントロールフィルム32の光入射面の法線に対して略平行光の状態で、視野コントロールフィルム32に入射する。
【0094】
このように、目標領域からの反射光は、常に、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射し、迷光の大半は、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向に傾いた状態で入射する。したがって、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向に所定の角度以上に傾いた光を除去することによって、光検出器35に入射する迷光の影響を抑えることができる。
【0095】
図11は、本実施の形態に係る視野コントロールフィルム32の遮光作用を説明するための図である。
【0096】
同図(a)は、視野コントロールフィルム32を模式的に示した斜視図である。また、同図(b)は、視野コントロールフィルム32のX−Z平面における断面図であり、同図(c)は、視野コントロールフィルム32のY−Z平面における断面図である。
【0097】
視野コントロールフィルム32は、ルーバー層321、322を有する。
【0098】
ルーバー層321は、遮光部321aと、透過部321bとがX軸方向に向かって、交互に積層されている。遮光部321aと透過部321bは、Y−Z平面に対し、互いに平行となるように形成されている。また、遮光部321aは、X軸方向の幅が薄い帯状であり、透過部321bは、X軸方向の幅が厚い帯状である。遮光部321aのX軸方向の幅は一定であり、透過部321bのX軸方向の幅も一定である。
【0099】
遮光部321aは、光を吸収する遮光性物質からなる。遮光部321aは、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に所定の角度以上の傾きをもつ迷光S1を遮光する。
【0100】
透過部321bは、光を透過させる透過性物質からなる。透過部321bは、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する反射光R1を透過させる。
【0101】
同図(b)を参照して、遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β1は、90度である。遮光部321aは、間隔L1でX軸方向に形成されている。また、遮光部321aは、ルーバー層321、322の積層方向に厚さT1を有する。これらにより、ルーバー層321を光が透過可能な角度(視野角)は、α1に制限される。
【0102】
視野角α1は、遮光部321aの間隔L1を狭くし、遮光部321aの厚さT1を大きくすることによって、狭くすることができる。また、逆に、視野角α1は、遮光部321aの間隔L1を広くし、遮光部321aの厚さT1を小さくすることによって、広くすることができる。さらに、遮光部321aとルーバー層322の表面とのなす角度β1を調整することにより、反射光R1の入射可能な角度を調整することができる。
【0103】
本実施の形態において、反射光R1は、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射される。したがって、視野角α1が、0度に近づくよう、遮光部321aの間隔L1は、非常に狭く、遮光部321aの厚さT1は、非常に厚く設定される。これにより、ルーバー層321の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、X軸方向に視野角α1よりも大きい入射角γ1をもつ迷光S1は、ルーバー層321の遮光部321aによって、遮光される。
【0104】
同図(a)に戻り、ルーバー層322は、遮光部322aと、透過部322bとがY軸方向に向かって、交互に形成されている。遮光部322aと、透過部322bは、X−Z平面に対し、互いに平行となるように形成されている。また、遮光部322aは、Y軸方向の幅が薄い帯状であり、透過部322bは、Y軸方向の幅が厚い帯状である。遮光部322aのY軸方向の幅は一定であり、透過部322bのY軸方向の幅も一定である。
【0105】
遮光部322aは、光を吸収する遮光性物質からなる。遮光部322aは、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に所定の角度以上の傾きをもつ迷光S2を遮光する。
【0106】
透過部322bは、光を透過させる透過性物質からなる。透過部322bは、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、略平行光の状態で入射する反射光R2を透過させる。
【0107】
同図(c)を参照して、遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度β2は、90度である。遮光部322aは、間隔L2で形成されている。また、遮光部322aは、ルーバー層321、322の積層方向に厚さT2を有する。
【0108】
本実施の形態において、反射光R2は、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対し、略平行光の状態で入射される。したがって、ルーバー層321と同様、視野角α2が、0度に近づくよう、遮光部322aの間隔L2は、非常に狭く、遮光部322aの厚さT2は、非常に厚く設定される。これにより、ルーバー層322の光入射面(X−Y平面)の法線に対して、Y軸方向に視野角α2よりも大きい入射角γ2をもつ迷光S2は、ルーバー層322の遮光部322aによって、遮光される。
【0109】
同図(a)に戻り、ルーバー層321とルーバー層322は、遮光部321a、322aが、それぞれ、直交するように形成されている。これにより、視野コントロールフィルム32は、X−Y平面の面内方向において所定の角度以上の傾きを有する迷光S1、S2
を遮光し、X−Y平面に略垂直な方向から入射する反射光R1、R2を透過させる。
【0110】
なお、本実施の形態では、目標領域からの反射光が平行光である光路中に視野コントロールフィルム32が配されているが、たとえば、受光レンズ34の後段等、光が収束する光路中に視野コントロールフィルム32を配置することもできる。ただし、このような場合には、視野コントロールフィルム32の光入射面に対する反射光の入射角が反射光の入射位置に応じて変化するため、反射光の入射位置に応じて、反射光がルーバー層321、322により遮光されないように、ルーバー層321、322の遮光部321a、322aの傾き角β1、β2を調整する必要がある。
【0111】
これに対し、本実施の形態のように視野コントロールフィルム32を反射光が略平行光となる光路に配置すると、簡素な構成のルーバー層321、322により、目標領域からの反射光以外の角度成分を持つ迷光を、効果的に除去することができる。
【0112】
図12は、レーザレーダ1の回路構成を示す図である。なお、同図には、便宜上、投射光学系20および受光光学系30の主要な構成が併せて示されている。図示の如く、レーザレーダ1は、PD信号処理回路101と、スキャンLD駆動回路102と、アクチュエータ駆動回路103と、サーボLED駆動回路104と、PSD信号処理回路105と、DSP106を備えている。これらの回路は、図1の回路ユニット40に含まれている。
【0113】
PD信号処理回路101は、光検出器35の受光光量に応じた電圧信号を増幅およびデジタル化してDSP106に供給する。
【0114】
スキャンLD駆動回路102は、DSP106からの信号をもとに、レーザ光源21に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングで、パルス状の駆動信号(電流信号)がレーザ光源21に供給される。
【0115】
PSD信号処理回路105は、PSD85からの出力信号をもとに求めた位置検出信号をDSP106に出力する。サーボLED駆動回路104は、DSP106からの信号をもとに、LED68に駆動信号を供給する。アクチュエータ駆動回路103は、DSP106からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ24を駆動する。具体的には、目標領域においてレーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ24に供給される。
【0116】
DSP106は、PSD信号処理回路105から入力された位置検出信号をもとに、目標領域におけるレーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ24の駆動制御や、レーザ光源21の駆動制御等を実行する。また、DSP106は、PD信号処理回路101から入力される電圧信号に基づいて、目標領域内のレーザ光照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源21から出力されるレーザ光の照射タイミングと、光検出器35にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0117】
以上、本実施の形態によれば、目標領域からの反射光が略平行光となる光路に視野コントロールフィルム32を配置することで、目標領域からの反射光と角度成分が異なる迷光を効率よく除去することができる。よって、投射光学系と受光光学系が同一筺体内にあるような場合であっても、目標領域からの反射光を適正に受光することができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、レーザ光の照射タイミングにおける迷光の影響を抑えることができるため、障害物が近距離にある場合にあっても、精度よく距離を測定することができる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0120】
たとえば、上記実施の形態では、目標領域からの反射光が、視野コントロールフィルム32の光入射面に対して、入射角が略0度となるように入射させたが、視野コントロールフィルム32の光入射面に対して所定の角度θだけ傾いた状態で、反射光を視野コントロールフィルム32に入射させてもよい。この場合、遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β1または遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度β2を調整することによって、視野コントロールフィルム32に入射する反射光の入射角度に対応させることができる。
【0121】
図13は、X−Z平面の面内方向における入射角がθとなるように反射光が視野コントロールフィルム32に入射する場合における視野コントロールフィルム32の遮光作用を模式的に示す図である。同図(a)は、視野コントロールフィルム32のX−Z平面における断面図であり、同図(b)は、視野コントロールフィルム32のY−Z平面における断面図である。
【0122】
同図(a)を参照して、ルーバー層321は、上記実施の形態同様、遮光部321aと透過部321bが、交互に形成されている。遮光部321aとルーバー層321の表面とのなす角度β3は、反射光R3の入射角θと略平行になるように、Z軸方向からX軸方向に傾けられている。
【0123】
同図(b)を参照して、ルーバー層322は、上記実施の形態同様、遮光部322aと透過部322bが、交互に形成されている。また、遮光部322aとルーバー層322の表面とのなす角度は、90度である。
【0124】
また、上記実施の形態同様、ルーバー層321とルーバー層322は、遮光部321a、322aが、それぞれ、直交するように積層されている。
【0125】
これにより、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)に対して、入射角θで入射する目標領域からの反射光R3を透過させ、視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)の面内方向において所定の角度以上の傾きを有する光を遮光させることができる。
【0126】
このように、反射光が視野コントロールフィルム32の光入射面(X−Y平面)に対して、所定の傾きをもって入射する場合も、ルーバー層321の遮光部321aを傾いて形成させることにより、上記の実施形態同様に、目標領域の反射光以外の角度成分をもつ迷光を除去することができる。
【0127】
また、上記実施の形態では、反射光が略平行光の状態で視野コントロールフィルム32に入射されたが、反射光が平行光からやや拡散していてもよく、やや収束していてもよい。この場合、上記実施の形態に比べて、光がやや減衰し、また、迷光の除去効率が多少低くなるが、視野コントロールフィルムの視野角の調整によって、上記実施の形態と同様、反射光の角度成分と異なる迷光を除去することができる。
【0128】
また、上記実施の形態において光検出器35を囲むように遮光ボックスをさらに配置してもよい。
【0129】
図14(a)は、遮光ボックス36を配置した場合におけるレーザレーダ1の内部を上
面側から見たときの一部平面図である。なお、同図中、上記実施の形態と同一部分には同一符号が付されている。
【0130】
遮光ボックス36は、表面が遮光性のある素材であり、バンドパスフィルタ33と、受光レンズ34と、光検出器35を囲むように配置される。遮光ボックス36の一つの側面には、中央に開口36aが形成されている。開口36aには、視野コントロールフィルム32が嵌め込められる。遮光ボックス36の外側面は、開口36aに嵌め込められた視野コントロールフィルム32以外の位置に入射する光を遮光する。
【0131】
これにより、上記実施の形態と同様、目標領域からの反射光と角度成分が異なる迷光を除去することができる。また、本変更例では、光検出器35を囲むように遮光ボックス36が配置されるため、視野コントロールフィルム32を通過する以外の迷光は、遮光ボックス36によって除去される。よって、上記実施の形態に比べ、光検出器35に入射する迷光を一層除去することができる。
【0132】
また、本変更例および上記実施の形態では、視野コントロールフィルム32とバンドパスフィルタ33が互いに別の部材とされたが、たとえば、図14(b)に示すように、視野コントロールフィルム32とバンドパスフィルタ33が一体的に形成されてもよい。これにより、部品点数の削減とレーザレーダの構成の簡素化および小型化を図ることができる。
【0133】
また、上記実施の形態では、投射光学系20と受光光学系30の光路が一致するタイプのレーザレーダの構成例を示したが、投射光学系と受光光学系が別々に配置され、光路が一致しないタイプのレーザレーダに本発明を用いても良い。この場合、レーザ光の走査に伴い、受光光学系に入射する反射光の入射角が変化するが、視野コントロールフィルムの視野角を広く調整することによって、本発明を適用可能である。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、車両等に搭載されるレーザレーダにおける構成例を示したが、本発明の受光装置は、モーションセンサ等、目標領域に光を投射したときの反射光を光検出器等で受光するタイプの装置であれば、どのような装置にも適用可能である。
【0135】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 … レーザレーダ
21 … レーザ光源
23 … 孔板(反射板)
23a … 孔
23b … ミラー面(反射面)
24 … ミラーアクチュエータ(光走査部)
31 … 受光装置
32 … 視野コントロールフィルム(光学フィルタ)
321 … ルーバー層(第1のルーバー層)
321a… 遮光部(第1の遮光部)
321b… 透過部(第1の透過部)
322 … ルーバー層(第2のルーバー層)
322a… 遮光部(第2の遮光部)
322b… 透過部(第2の透過部)
33 … バンドパスフィルタ
34 … 受光レンズ(集光素子)
35 … 光検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を目標領域において走査させる光走査部と、
前記目標領域からの前記レーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、
前記光学フィルタを透過した前記反射光を受光する光検出器と、
前記反射光を前記光検出器に集光させる集光素子と、を備える、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記光学フィルタは、前記集光素子に入射する前の前記反射光の光路中に配置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザレーダにおいて、
前記光学フィルタは、
前記反射光を遮光させる第1の遮光部と、前記反射光を透過させる第1の透過部が交互に配されている第1のルーバー層と、
前記反射光を遮光させる第2の遮光部と、前記反射光を透過させる第2の透過部が交互に配されている第2のルーバー層と、を有し、
前記第1の遮光部と前記第2の遮光部が互いに直交するように形成されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光が通過するための孔が形成されるとともに、前記レーザ光源と前記光走査部との間に前記レーザ光の光軸に対して傾くように配置され、前記レーザ光源側と反対側の面が反射面である反射板をさらに備え、
前記目標領域からの反射光は、前記反射面によって反射された後、前記光学フィルタに入射する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記反射光の波長成分と異なる波長成分の光を除去するバンドパスフィルタをさらに備え、前記バンドパスフィルタは、前記集光素子に入射する前の前記反射光の光路中に配置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
光検出器と、
前記光検出器に目標光を集光させる集光素子と、
前記集光素子に入射する前の前記目標光の光路中に配置され、前記目標光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、を備える、
ことを特徴とする受光装置。
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を目標領域において走査させる光走査部と、
前記目標領域からの前記レーザ光の反射光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、
前記光学フィルタを透過した前記反射光を受光する光検出器と、
前記反射光を前記光検出器に集光させる集光素子と、を備える、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記光学フィルタは、前記集光素子に入射する前の前記反射光の光路中に配置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザレーダにおいて、
前記光学フィルタは、
前記反射光を遮光させる第1の遮光部と、前記反射光を透過させる第1の透過部が交互に配されている第1のルーバー層と、
前記反射光を遮光させる第2の遮光部と、前記反射光を透過させる第2の透過部が交互に配されている第2のルーバー層と、を有し、
前記第1の遮光部と前記第2の遮光部が互いに直交するように形成されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光が通過するための孔が形成されるとともに、前記レーザ光源と前記光走査部との間に前記レーザ光の光軸に対して傾くように配置され、前記レーザ光源側と反対側の面が反射面である反射板をさらに備え、
前記目標領域からの反射光は、前記反射面によって反射された後、前記光学フィルタに入射する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記反射光の波長成分と異なる波長成分の光を除去するバンドパスフィルタをさらに備え、前記バンドパスフィルタは、前記集光素子に入射する前の前記反射光の光路中に配置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
光検出器と、
前記光検出器に目標光を集光させる集光素子と、
前記集光素子に入射する前の前記目標光の光路中に配置され、前記目標光の角度成分と異なる角度成分の光を除去する光学フィルタと、を備える、
ことを特徴とする受光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−154806(P2012−154806A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14339(P2011−14339)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]