説明

レーザレーダ

【課題】障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供する。
【解決手段】ビーム照射装置は、レーザ光を出射するレーザ光源21と、目標領域においてレーザ光を走査させるミラーアクチュエータ23と、目標領域において反射されたレーザ光を受光するとともに受光したレーザ光の強度に応じた信号を出力する光検出器33と、レーザ光源21を駆動するスキャンLD駆動回路44と、レーザ光源21を制御するDSP46と、を備える。DSP46は、光検出器33から出力される信号が所定の閾値を超えると、レーザ光源21の出力を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標領域にレーザ光を照射したときの反射光をもとに目標領域の状況を検出するレーザレーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、各スキャン位置における障害物までの距離が検出される(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
目標領域からの反射光は、レーザレーダ内の光検出器によって受光される。光検出器からは、受光光量に応じた大きさの信号が出力される。この信号が所定の閾値を超えると、当該スキャン位置に障害物が存在すると判定される。また、この信号が前記閾値を超えたタイミングが反射光の受光タイミングとされて、上記のように、当該スキャン位置における障害物までの距離が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−14698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、障害物がレーザレーダに接近した位置にあると、強度の高い反射光が光検出器に入射する。このため、光検出器からの信号が飽和し、障害物までの距離の測定精度が低下する惧れがある。
【0006】
光検出器に強度の高い反射光が入射すると、光検出器からは、急激に立ち上がるパルス信号が出力される。かかるパルス信号は、緩やかに立ち上がるパルス信号よりも、早いタイミングで、上記閾値を超える。このため、上記のように光検出器からの出力信号が閾値を超えたタイミングを受光タイミングとして障害物までの距離を計測すると、計測された距離は、反射光の強度差による誤差を含むこととなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレーザレーダは、レーザ光を出射するレーザ光源と、目標領域において前記レーザ光を走査させるアクチュエータと、前記目標領域において反射されたレーザ光を受光するとともに受光したレーザ光の強度に応じた信号を出力する光検出器と、前記レーザ光源を制御するレーザ制御回路と、を備える。ここで、前記レーザ制御回路は、前記光検出器から出力される信号が所定の閾値を超えると、前記レーザ光源の出力を減少させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、障害物がレーザレーダに接近した位置に有る場合も、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することができる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組み立て過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組み立て過程を示す図である。
【図5】実施の形態にビーム照射装置の構成を示す図である。
【図6】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図7】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係るレーザ光の走査制御を説明する図である。
【図9】実施の形態に係るスキャンLD駆動回路の回路構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係るレーザ光の強度調節のためのフローチャートおよび受光テーブルの構成を示す図である。
【図11】実施の形態に係るレーザ光の強度調節のためのフローチャートおよび受光テーブルの構成を示す図である。
【図12】実施の形態に係るレーザ光の強度設定方法を説明する図である。
【図13】実施の形態に係るレーザ光の強度の制御例を示す図である。
【図14】実施の形態に係るレーザ光の強度の制御例を示す図である。
【図15】変更例に係るスキャンLD駆動回路の回路構成を示す図である。
【図16】変更例に係るレーザ光の強度設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施の形態に係るレーザレーダ1の構成を模式的に示す図である。同図(a)は、レーザレーダ1の内部を上面から透視した図、同図(b)は、投射窓50と受光窓60を装着する前のレーザレーダ1の正面図である。
【0014】
同図(a)を参照して、レーザレーダ1は、筐体10と、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40と、投射窓50と、受光窓60を備える。本実施の形態では、投射に関する構成と受光に関する構成が一つの筐体10に収容されているが、これら2つの構成が別々の筐体に収容され、両構成を電気的に接続することで、レーザレーダ1が構成されても良い。
【0015】
筐体10は、立方体形状をしており、内部に、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40とを収容する。同図(b)に示す如く、筐体10の正面には、開口11、13が形成され、これら開口11、13の周囲には、投射窓50と受光窓60を嵌め込むための凹部12、14がそれぞれ形成されている。投射窓50と受光窓60は、それぞれ、その周囲を凹部12、14に嵌め込んで接着固定することにより、筐体10の正面に装着される。
【0016】
投射光学系20は、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、ミラーアクチュエータ23とを備える。
【0017】
レーザ光源21は、波長900nm程度のレーザ光を出射する。
【0018】
ビーム整形レンズ22は、レーザ光源21から出射されたレーザ光が、目標領域において所定の形状となるよう、レーザ光を収束させる。たとえば、目標領域(本実施の形態では、ビーム照射装置のビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、縦2m、横0.2m程度の楕円形状となるように、ビーム整形レンズ22が設計される。
【0019】
ミラーアクチュエータ23は、ビーム整形レンズ22を透過したレーザ光が入射するミラー150と、このミラー150を2つの軸の周りに回転させるための機構とを備える。ミラー150が回転することにより、目標領域においてレーザ光が走査される。ミラーアクチュエータ23の詳細については、追って、図2ないし6を参照して説明する。
【0020】
受光光学系30は、フィルタ31と、受光レンズ32と、光検出器33とを備える。フィルタ31は、レーザ光源21から出射されるレーザ光の波長帯域の光のみを透過するバンドパスフィルタである。受光レンズ32は、目標領域から反射された光を集光する。光検出器33は、APD(アバランシェ・フォトダイオード)またはPINフォトダイオードからなり、受光光量に応じた大きさの電気信号を回路ユニット40に出力する。
【0021】
回路ユニット40は、CPUやメモリ等を備え、レーザ光源21およびミラーアクチュエータ23を制御する。また、回路ユニット40は、光検出器33からの信号に基づいて、目標領域における障害物の有無および障害物までの距離を測定する。具体的には、目標領域における所定の走査位置において、レーザ光源21からレーザ光が出射される。このときに光検出器33から信号が出力されると、この走査位置に障害物が存在することが検出される。また、この走査位置においてレーザ光が出射されたタイミングと、光検出器33から信号が出力されたタイミングの時間差から、この障害物までの距離が測定される。回路ユニット40の構成は、追って図7を参照して説明する。
【0022】
投射窓50は、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。受光窓60も、投射窓50と同様、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。投射窓50および受光窓60は、透明性の高い材料からなり、また、入射面と出射面に反射防止膜(ARコート)が付されている。
【0023】
図2は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ23の構成を示す分解斜視図である。
【0024】
ミラーアクチュエータ23は、チルトユニット110と、パンユニット120と、マグネットユニット130と、ヨークユニット140と、ミラー150と、透過板160とを備えている。
【0025】
チルトユニット110は、支軸111と、チルトフレーム112と、2つのチルトコイル113とを備えている。支軸111には、両端部近傍に溝111aが形成されている。これら溝111aには、Eリング117a、117bが嵌め込まれる。
【0026】
チルトフレーム112には、左右に、チルトコイル113を装着するためのコイル装着部112aが形成されている。また、チルトフレーム112には、支軸111を嵌め込むための溝112bと、上下に並ぶ2つの孔112cが形成されている。
【0027】
支軸111は、両端に軸受け116a、116b、Eリング117a、117bおよびポリスライダーワッシャ118が取り付けられた状態で、チルトフレーム112に形成さ
れた溝112bに嵌め込まれ、接着固定される。さらに、チルトフレーム112の2つの孔112cに、それぞれ、上下から軸受け112dが嵌め込まれる。これにより、図3(a)に示すように、チルトユニット110の組み立てが完了する。なお、図3(a)には、支軸111に、軸受け116a、116bと、Eリング117a、117bと、3つのポリスライダーワッシャ118が装着された状態が示されている。
【0028】
完成したチルトユニット110には、後述の如くして、パンユニット120が装着される。その後、チルトユニット110は、軸受け116a、116bと、Eリング117a、117bと、ポリスライダーワッシャ118と、軸固定部材142を用いて、後述の如く、ヨーク141に取り付けられる。
【0029】
図2に戻り、パンユニット120は、パンフレーム121と、支軸122と、パンコイル123を備えている。パンフレーム121には、凹部121aを挟んで上板部121bと下板部121cが形成されている。これら上板部121bと下板部121cには、支軸122を通すための孔121dが上下に並ぶように形成されている。また、上板部121bと下板部121cの前面には、ミラー150を嵌め込むための段部121eが形成されている。
【0030】
さらに、下板部121cからは、下方向に足部121fが形成され、この足部121fに、透過板160を嵌め込むための凹部121gが形成されている。透過板160は、凹部121gに下方向から嵌め込まれ、透過板固定金具161で透過板160がパンフレーム121の足部121fに固定される。支軸122の上端には、バランサ122dが装着されている。
【0031】
マグネットユニット130は、フレーム131と、2つのパンマグネット133と、8つのチルトマグネット132とを備えている。フレーム131は、前側に凹部131aを有する形状となっている。フレーム131の上板部131bには、前後方向に、2つの切り欠き131cが形成され、さらに、中央に、ネジ穴131dが形成されている。8つのマグネット132は、フレーム131の左右の内側面に、上下2段に分けて装着されている。また、2つのマグネット133は、図示の如く、フレーム131の内側面に、前後方向に傾くように装着されている。
【0032】
ヨークユニット140は、ヨーク141と、軸固定部材142を備えている。ヨーク141は、磁性部材からなっている。ヨーク141には、左右に壁部141aが形成され、これら壁部141aの下端には、チルトユニット110の支軸111を装着するための凹部141bが形成されている。ヨーク141の上部には上下に貫通する2つのネジ穴141cが形成され、さらに、マグネットユニット133のネジ穴131dに対応する位置に、ネジ穴141dが形成されている。2つの壁部141aの内側面間の距離は、支軸111の2つの溝111a間の距離よりも大きくなっている。
【0033】
軸固定部材142は、可撓性を有する金属性の薄板部材である。軸固定部材142の前側には、板ばね部142a、142bが形成され、これら板ばね部142a、142bの下端には、それぞれ、チルトユニット110の軸受け116a、116bの脱落を規制するための受け部142c、142dが形成されている。また、軸固定部材142の上板部には、ヨーク141側の2つのネジ穴141cに対応する位置にそれぞれ孔142eが形成され、さらに、ヨーク141側のネジ穴141dに対応する位置に孔142fが形成されている。
【0034】
ミラーアクチュエータ23の組み立て時には、上記の如くして、図3(a)に示すチルトユニット110が組み立てられる。その後、チルトフレーム112がパンフレーム12
1の凹部121a内に収容される。このとき、2つの軸受け112dおよび3つのポリスライダーワッシャ112eと、パンフレーム121の孔121dとが上下に並ぶように、パンフレーム121が位置づけられる。そして、その状態で、2つの軸受け112dとパンフレーム121の孔121dに、支軸122が通され、支軸122がパンフレーム121に接着剤により固定される。これにより、図3(b)に示す構成体が形成される。この状態で、パンフレーム121は、支軸122の周りに回動可能となり、また、支軸122に沿って上下に僅かに移動可能となる。
【0035】
こうしてパンユニット120が装着された後、パンフレーム121の段部121eにミラー150が嵌め込まれて固定される。その後、チルトユニット110の支軸111の両端に装着された軸受け116a、116bを、図2に示すヨーク141の凹部141bに嵌め込む。そして、この状態で、軸受け116a、116bが凹部141a、141bから脱落しないように、軸固定部材142をヨーク141に装着する。すなわち、受け部142cが軸受け116aを下から支え、且つ、受け部142dが軸受け116bを前方から挟むようにして軸固定部材142をヨーク141に装着する。この状態で、軸固定部材142の2つの孔142eを介して2つのネジ143をヨーク141のネジ穴141cに螺着する。これにより、図3(b)に示す構成体がヨークユニット140に装着される。
【0036】
こうして、図4(a)に示す構成体が完成する。この状態で、チルトフレーム112は、パンフレーム121と一体的に、支軸111の周りに回動可能となる。
【0037】
こうして組み立てられた図4(a)の構成体は、ヨーク141の2つの壁部141aが、それぞれ、マグネットユニット130側のフレーム131の切り欠き131cに挿入されるようにして、マグネットユニット130に装着される。そして、この状態で、軸固定部材142の孔142fを介して、ネジ144が、ヨーク141のネジ穴141dとマグネットユニット130のネジ穴131dに螺着される。これにより、図4(a)に示す構成体が、マグネットユニット130に固着される。こうして、図4(b)に示すように、ミラーアクチュエータ23の組み立てが完了する。
【0038】
図4(b)に示す組み立て状態において、パンフレーム121が支軸122を軸として回動すると、これに伴ってミラー150が回動する。また、チルトフレーム112が支軸111を軸として回動すると、これに伴ってパンユニット120が回動し、パンユニット120と一体的にミラー150が回動する。このように、ミラー150は、互いに直交する支軸111、122によって回動可能に支持され、チルトコイル113およびパンコイル123への通電によって、支軸111、122の周りに回動する。このとき、パンユニット120に装着された透過板160も、ミラー150の回動に伴って回動する。
【0039】
なお、バランサ122dは、図3(b)に示す構成体が、支軸111を軸として回動するとき、かかる回動がバランス良く行われるよう調整するためのものである。かかる回動のバランスは、バランサ122dの重さによって調整される。この他、バランサ122dが上下に変位可能であれば、上下方向の位置を微調整することにより、回動のバランスを調整可能である。
【0040】
図4(b)に示すアセンブル状態において、8個のマグネット132は、チルトコイル113に電流を印加することにより、チルトフレーム112に支軸111を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、コイル113に電流を印加すると、コイル113に生じる電磁駆動力によって、チルトフレーム112が、支軸111を軸として回動し、これに伴って、ミラー150と透過板160が回動する。
【0041】
また、図4(b)に示すアセンブル状態において、2個のマグネット133は、パンコ
イル123に電流を印加することにより、パンフレーム121に支軸122を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル123に電流を印加すると、パンコイル123に生じる電磁駆動力によって、パンフレーム121が、支軸122を軸として回動し、これに伴って、ミラー150と透過板160が回動する。
【0042】
図5は、ミラーアクチュエータ23が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0043】
図5において、500は、光学系を支持するベースである。ベース500には、ミラーアクチュエータ23の設置位置に開口503aが形成され、この開口503aに透過板160が挿入されるようにして、ミラーアクチュエータ23がベース500上に装着されている。
【0044】
ベース500の上面には、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22が配置されている。レーザ光源21は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板400に装着されている。
【0045】
レーザ光源21から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ22によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ22を透過したレーザ光は、ミラーアクチュエータ23のミラー150に入射し、ミラー150によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ23によってミラー150が駆動されることにより、レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0046】
ミラーアクチュエータ23は、ミラー150が中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ22からの走査レーザ光がミラー150のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。なお、「中立位置」とは、ミラー面が鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するときのミラー150の位置をいう。
【0047】
ベース500の上面には、回路基板400の他、ミラーアクチュエータ23の背後に、ミラーアクチュエータ23のコイル113、123に駆動信号を供給するための回路基板(図示せず)が配置されている。また、ベース500の下面には、回路基板300が配置され、さらに、ベース500の裏面と側面にも回路基板301、302が配置されている。これら回路基板は、図1(a)の回路ユニット40に含まれる。
【0048】
図6(a)は、ベース500を裏面側から見たときの一部平面図である。同図(a)には、ベース500の裏側のうちミラーアクチュエータ23が装着された位置の近傍が示されている。
【0049】
図示の如く、ベース500の裏側周縁には、壁501、502が形成されており、壁501、502よりも中央側は、壁501、502よりも一段低い平面503となっている。壁501には、半導体レーザ303を装着するための開口が形成されている。この開口に半導体レーザ303を挿入するようにして、半導体レーザ303が装着された回路基板301が壁501の外側面に装着されている。他方、壁502の近傍には、PSD(Position Sensitive Detector)308が装着された回路基板302が装着されている。
【0050】
ベース500裏側の平面503には、取り付け具307によって集光レンズ304と、アパーチャ305と、ND(ニュートラルデンシティ)フィルタ306が装着されている。さらに、この平面503には開口503aが形成されており、この開口503aを介し
て、ミラーアクチュエータ23に装着された透過板160がベース500の裏側に突出している。ここで、透過板160は、ミラーアクチュエータ23のミラー150が中立位置にあるときに、2つの平面が、鉛直方向に平行で、且つ、半導体レーザ303の出射光軸に対し45度傾くように位置づけられる。
【0051】
半導体レーザ303から出射されたレーザ光(以下、「サーボ光」という)は、集光レンズ304を透過した後、アパーチャ305によってビーム径が絞られ、さらにNDフィルタ301によって減光される。その後、サーボ光は、透過板160に入射し、透過板160によって屈折作用を受ける。しかる後、透過板160を透過したサーボ光は、PSD308によって受光され、PSD308から、受光位置に応じた位置検出信号が出力される。
【0052】
図6(b)は、透過板160の回動位置がPSD308によって検出されることを模式的に示す図である。
【0053】
サーボ光は、レーザ光軸に対し傾いて配置された透過板160により屈折作用を受ける。ここで、透過板160が破線の位置から矢印方向に回動すると、サーボ光の光路が図中の点線から実線のように変化し、PSD308上におけるサーボ光の受光位置が変化する。これにより、PSD308にて検出されるサーボ光の受光位置によって、透過板160の回動位置を検出することができる。そして、透過板160の回動位置をもって、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出できる。
【0054】
図7は、レーザレーダ1の回路構成を示す図である。なお、同図には、便宜上、投射光学系20と受光光学系30の主要な構成が併せて示されている。図示の如く、レーザレーダ1は、PSD信号処理回路41と、サーボLD駆動回路42と、アクチュエータ駆動回路43と、スキャンLD駆動回路44と、PD信号処理回路45と、DSP46を備えている。これらの回路は、図1の回路ユニット40に含まれている。
【0055】
PSD信号処理回路41は、PSD308からの出力信号をもとに求めた位置検出信号をDSP46に出力する。サーボLD駆動回路42は、DSP46からの信号をもとに、半導体レーザ303に駆動信号を供給する。アクチュエータ駆動回路43は、DSP46からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ23を駆動する。具体的には、目標領域においてレーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ23に供給される。
【0056】
スキャンLD駆動回路44は、DSP46からの信号をもとに、レーザ光源21に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングで、パルス状の駆動信号(電流信号)がレーザ光源21に供給される。PD信号処理回路45は、光検出器33の受光光量に応じた電圧信号を増幅およびデジタル化してDSP46に供給する。
【0057】
DSP46は、PSD信号処理回路41から入力された位置検出信号をもとに、目標領域におけるレーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ23の駆動制御や、レーザ光源21の駆動制御等を実行する。また、DSP46は、PD処理回路7から入力される電圧信号にもとづいて、目標領域内のレーザ光照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源21から出力されるレーザ光の照射タイミングと、光検出器33にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0058】
図8は、目標領域におけるレーザ光の走査制御を示す図である。
【0059】
本実施の形態では、水平方向の3つの走査ラインL1〜L3が、目標領域に設定される。DSP46は、これら走査ラインL1〜L3をレーザ光が左から右に走査するよう、ミラーアクチュエータ23を制御する。レーザ光は、各走査ラインL1〜L3を一定の速度で走査する。また、レーザ光は、各走査ラインL1〜L3の開始位置Psよりも前方の位置から終了位置Peよりも後方の位置まで、各走査ラインL1〜L3を走査する。かかる制御は、DSP46が、PDS308上に設定された目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ23を制御することにより行われる。すなわち、図8に示す3つの走査ラインL1〜L3に沿ってレーザ光が目標領域を走査すると、サーボ光も、3つの軌道に沿ってPSD308上を走査する。DSP46は、かかる軌道を目標軌道としてテーブル等により保持し、この目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ23を制御する。
【0060】
目標領域におけるレーザ光の走査は、最上段の走査ラインL1から始められ、次に走査ラインL2、最後に走査ラインL3へと移行する。走査ラインL1から走査ラインL3まで走査が終わると、走査ラインL1に戻って、目標領域に対する次の走査が行われる。
【0061】
DSP46は、走査位置が各走査ラインL1〜L3の開始位置Psに到達したタイミングで、レーザ光源21をパルス状に発光させる。そして、その後、走査位置が終了位置Peに到達するまで、一定の時間間隔Δt毎に、レーザ光源21をパルス状に発光させる。なお、図8中の黒丸は、レーザ光の発光タイミングを模式的に示すものである。
【0062】
本実施の形態では、各発光タイミングにおけるレーザ光源21の出力が、DSP46により制御される。スキャンLD駆動回路44は、レーザ光源21の出力を3段階に切り替えるための構成を備えている。
【0063】
図9は、スキャンLD駆動回路44の構成を示す図である。スキャンLD駆動回路44は、ドライバD1〜D3と、FET1〜3と、コンデンサC1〜C3と、抵抗R1〜R3を備えている。コンデンサC1〜C3の容量は同じである。すなわち、コンデンサC1〜C3には、同じコンデンサが用いられている。また、抵抗R1〜R3の抵抗値も同じである。抵抗R1〜R3には、それぞれ、電位V1〜V3が印加される。電位V1〜V3の大きさは、V1>V2>V3となっている。このため、コンデンサC1に蓄積された電荷が最大となり、コンデンサC3に蓄積された電荷が最小となる。
【0064】
DSP46からドライバD1に駆動信号が印加されると、FET1がオンとなり、コンデンサC1に蓄積された電荷がパルス状にレーザ光源21に流れる。また、DSP46からドライバD2に駆動信号が印加されると、FET2がオンとなり、コンデンサC2に蓄積された電荷がパルス状にレーザ光源21に流れる。さらに、DSP46からドライバD3に駆動信号が印加されると、FET3がオンとなり、コンデンサC3に蓄積された電荷がパルス状にレーザ光源21に流れる。上記のように、コンデンサC1〜C3に蓄積された電荷は互いに相違している。このため、ドライバD1〜D3の何れに駆動信号が印加されるかによって、レーザ光源21に流れるパルス状の電流のピーク値が相違し、よって、レーザ光源21の出力が相違する。なお、コンデンサC1〜C3の容量は同じであるため、ドライバD1〜D3の何れに駆動信号が印加されても、レーザ光源21の発光期間は略同じである。
【0065】
DSP46は、各発光タイミングにおいて、ドライバD1〜D3の何れに駆動信号を印加するかによって、レーザ光源21の出力を切り替える。
【0066】
図10(a)は、レーザ光の強度制御のために行われる受光テーブルの生成処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、目標領域の1回の走査に対する処理を示
している。
【0067】
目標領域の走査が開始すると、DSP46は、レーザ光源21の発光タイミングにおいて(S101:YES)、図9のドライバD1〜D3の何れに駆動信号を印加し、レーザ光源21からレーザ光を出射させる(S102)。さらに、DSP46は、この発光タイミングから一定の期間、光検出器33の受光光量に応じた電圧信号を取得し、取得した電圧信号のピーク値(最大値)を受光電圧VRとして取得する(S103)。そして、DSP46は、取得した受光電圧VRを、当該発光タイミングに対応づけて、内蔵メモリ内の受光テーブルに格納する(S104)。
【0068】
こうして、一つの発光タイミングに対する処理が終了すると、DSP46は、当該目標領域に対する走査、すなわち、図8に示す走査ラインL1〜L3の走査が終了したかを判定する(S105)。そして、当該目標領域に対する走査が終了していなければ(S105:NO)、DSP46は、S101に戻って、次の発光タイミングに対する処理を行う。こうして、最後の走査ラインL3の全ての発光タイミングに対する処理が終了すると(S105:YES)、DSP46は、当該目標領域に対する処理を終了する。
【0069】
図10(b)は、受光テーブルの構成を示す図である。図示の如く、受光テーブルには、目標領域を走査する際の全ての発光タイミングT1〜Tnに対応づけて、各発光タイミングについて取得された受光電圧VR1〜VRnが格納されている。すなわち、受光テーブルには、図8に示す走査ラインL1〜L3の全ての発光タイミングT1〜Tnにおける受光電圧VR1〜VRnが格納される。目標領域に対する1回の走査が終わると、全ての発光タイミングに対して受光電圧が格納される。そして、目標領域に対する次回の走査が始まると、当該走査における各発光タイミングにて取得された受光電圧が、受光テーブルに上書きされる。
【0070】
図11(a)は、受光テーブルを用いたレーザ光の発光強度の設定処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、目標領域の1回の走査に対する処理を示している。
【0071】
DSP46は、まず、変数iに1をセットする(S201)。次に、DSP46は、i番目の発光タイミングTiに対応付けられた受光電圧VRiを受光テーブルから取得し、取得した受光電圧VRiと閾値電圧VS1〜VS4(VS1>VS2>VS3>VS4)とを比較する(S202〜S205)。そして、この比較結果に応じて、内蔵メモリに保持された発光テーブルの発光強度を調節する。
【0072】
図11(b)は、発光テーブルの構成を示す図である。発光テーブルには、発光タイミングTiに対応付けて発光強度Pwiが保持されている。発光強度は、図9のドライバD1〜D3の何れかに駆動信号が印加されたときのレーザ光の強度である。すなわち、発光強度は3段階に切替られる。発光強度Pwiの初期値は、図9のドライバD1に駆動信号が印加されたときのレーザ光の強度(最大強度)に設定される。
【0073】
図11(a)に戻り、受光電圧VRiが閾値電圧VS1よりも大きい場合(S202:YES)、DSP46は、発光タイミングTiにおける発光強度Pwiを2ステップ下げる(S206)。受光電圧VRiが閾値電圧VS1以下で、閾値電圧VS2よりも大きい場合(S203:YES)、DSP46は、発光タイミングTiにおける発光強度Pwiを1ステップ下げる(S207)。受光電圧VRiが閾値電圧VS2以下で、閾値電圧VS3よりも大きい場合(S204:YES)、DSP46は、発光タイミングTiにおける発光強度Pwiを変化させない。受光電圧VRiが閾値電圧VS3以下で、閾値電圧VS4よりも大きい場合(S205:YES)、DSP46は、発光タイミングTiにおける発
光強度Pwiを1ステップ上げる(S208)。受光電圧VRiが閾値電圧VS4以下の場合(S205:YES)、DSP46は、発光タイミングTiにおける発光強度Pwiを2ステップ上げる(S209)。
【0074】
図12は、図11のS202〜S209における処理を、受光信号を例示して、模式的に示す図である。図中の受光パルスは、光検出器33の受光光量に応じた電圧信号の変化を示している。受光信号のピーク値が、上記受光電圧VRiである。
【0075】
なお、閾値電圧VS0は、目標領域からの反射光が存在するか(障害物があるか)を検出するための閾値である。すなわち、受光信号が閾値電圧VS0を超えると、当該スキャンタイミングに対応する位置に障害物があると検出される。また、受光信号が閾値電圧VS0を超えたタイミングを受光タイミングとして、障害物までの距離が測定される。
【0076】
同図(a)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS1を越えると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、2ステップ下げられる。同図(b)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS1以下で閾値VS2を越える範囲に含まれると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、1ステップ下げられる。同図(c)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS2以下で閾値VS3を越える範囲に含まれると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、そのままとされる。同図(d)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS3以下で閾値VS4を越える範囲に含まれると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、1ステップ上げられる。同図(e)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS4以下であると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、2ステップ上げられる。
【0077】
なお、本実施の形態では、同図(f)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS0以下で有る場合、すなわち、当該発光タイミングに対応する走査位置に障害物がない場合も、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiが、2ステップ上げられる。
【0078】
図11(a)に戻り、S202〜S209によって、一つの発光タイミングに対する処理が終了すると、DSP46は、変数iがnであるか、すなわち、全ての発光タイミングについて発光強度Pwiの調節が終了したかを判定する(S210)。そして、変数iがnでなければ(S210:NO)、DSP46は、変数iに1を加算し(S211)、S202に戻って、次の発光タイミングに対する処理を行う。こうして、全ての発光タイミングに対する処理が終了すると(S201:YES)、DSP46は、発光強度の調節処理を終了する。
【0079】
なお、図9に示すように、発光強度Pwiは3段階でのみ切替可能であるため、S206またはS207による発光強度Pwiの減少、または、S206またはS207による発光強度Pwiの増加は、この3段階の範囲でのみ行われる。すなわち、3段階の中間の発光強度で発光させたときに、S206の処理(発光強度を2ステップ下げる)が行われても、当該発光タイミングにおける発光強度は、1ステップしか下げられない。
【0080】
こうして発光強度Pwiが調節された発光テーブルは、目標領域の次回の走査において、各発光タイミングにおけるレーザ光源21の発光強度を設定するために用いられる。すなわち、図10のS102では、当該発光タイミングにおける発光強度が、発光テーブルから取得され、取得された発光強度で、当該発光タイミングにおける発光が行われる。
【0081】
図13および図14は、発光強度の調節例を模式的に示す図である。なお、これらの図
には、便宜上、走査ラインL1の開始位置Ps近傍においてレーザ光源21を発光させるために使用する電位V1、V2、V3が示されている。図中、一つのパルスが、一つの発光タイミングにおいて出射される光パルス出力に対応する。
【0082】
図13(a)に示すように、レーザ光源21を発光させるために使用する電位の初期値は、レベルV1(最大値)に設定されている。この場合、DSP46は、全ての発光タイミングにおいて、図9のドライバD1に駆動信号を印加する。
【0083】
かかる初期値での走査が開始されてから所定回数後の目標領域の走査の際に、図11(a)の処理により、たとえば、区間A、Bにおいて、それぞれ、発光強度を2ステップおよび1ステップ減少させるとの設定が為されると、図13(b)に示すように、次の目標領域の走査では、区間A、Bにおいて、それぞれ、レーザ光源21を発光させるために使用する電位が、レベルV3とレベルV2に設定されて、発光が行われる。すなわち、DSP46は、区間Aの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD3に駆動信号を印加し、区間Bの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD2に駆動信号を印加する。
【0084】
このように電位が調節されて次の走査における発光が行われても、図13(b)に示すように、図11(a)の処理により、さらに、区間Bにおいて、発光強度を1ステップ減少させるとの設定が為されると、図13(c)に示すように、その次の目標領域の走査では、区間Bの各発光タイミングにおいて、レーザ光源21を発光させるために使用する電位が、レベルV3に設定されて、発光が行われる。この場合、DSP46は、区間A、Bの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD3に駆動信号を印加する。
【0085】
こうして発光強度が調節されてから所定回数後の目標領域の走査の際に、図14(a)に示す如く、図11(a)の処理により、たとえば、区間A、Cにおいて、それぞれ、発光強度をステップ増加および1ステップ減少させるとの設定が為されると、図14(b)に示すように、次の目標領域の走査では、区間A、Cの各発光タイミングにおいて、それぞれ、レーザ光源21を発光させるために使用する電位が、レベルV2に設定されて、発光が行われる。この場合、DSP46は、区間A、Cの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD2に駆動信号を印加し、区間Bの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD3に駆動信号を印加する。
【0086】
このように発光強度が調節されて次の走査における発光が行われても、図14(b)に示すように、図11(a)の処理により、さらに、区間Aにおいて、発光強度を1ステップ増加させるとの設定が為されると、図14(c)に示すように、その次の目標領域の走査では、区間Aの各発光タイミングにおいて、レーザ光源21を発光させるために使用する電位が、レベルV1に設定されて、発光が行われる。この場合、DSP46は、区間Aの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD1に駆動信号を印加し、区間Bの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD3に駆動信号を印加し、区間Cの各発光タイミングにおいて、図9のドライバD2に駆動信号を印加する。
【0087】
以上、本実施の形態によれば、所定の発光タイミングにおける反射光の強度が閾値電圧VS2を超えると、次回の目標領域の走査の際に、当該発光タイミングにおけるレーザ光の強度が減少される。このため、障害物がレーザレーダ1に接近した位置にある場合にも、強度の高い反射光が光検出器33に入射するのを抑制できる。よって、光検出器33からの信号が飽和して障害物までの距離の測定精度が低下するのを抑制することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、このようにレーザ光の強度が調節されるため、光検出器33から、急激に立ち上がるパルス信号が出力されるのを抑制することができる。よって、光検出器33からの出力信号が所定の閾値電圧VS0を超えたタイミングを受光タイミ
ングとして障害物までの距離を計測する場合に、計測された距離が反射光の強度差による誤差を含むことを抑制することができる。
【0089】
さらに、本実施の形態によれば、スキャンLD駆動回路44を図9に示す構成としたため、レーザ光源21を発光させるために使用する電位を瞬時に切り替えることができる。よって、図8に示す発光間隔Δtが短くても、発光タイミング毎に、レーザ光の強度を切り替えることができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、所定の発光タイミングにおける反射光の強度が閾値電圧VS3を下回ると、次回の目標領域の走査の際に、当該発光タイミングにおけるレーザ光の強度が増加される。よって、目標領域に照射されるレーザ光の強度が弱すぎる状態となるのを抑制することができ、障害物の検出を精度よく行うことができる。
【0091】
本実施の形態によれば、受光パルスのピークが図12の閾値VS2とVS3との間に収束するよう制御される。よって、障害物までの距離が異なっても、受光パルスのピークを同程度に揃えることができ、計測された距離が反射光の強度差による誤差を含むことを抑制することができる。
【0092】
なお、本実施の形態によれば、図12に示すように、4つの閾値電圧VS1〜VS4を用いて、発光強度Pwiの修正ステップ数を受光電圧VRiの大きさに応じて変えるようにしたため、受光パルスのピークが図12の閾値VS2とVS3との間に速やかに収束させることができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0094】
たとえば、上記実施の形態では、レーザ光源21に印加される電流信号の大きさが3段階に切り替えられるようにしたが、図15に示すように、さらにドライバD4、FET4、コンデンサC4および抵抗R4を追加して、レーザ光源21に印加される電流信号の大きさが4段階に切り替えられるようにしても良い。この場合も、コンデンサC4の容量は、他のコンデンサの容量と同じであるのが望ましい。同様に、レーザ光源21に印加される電流信号の大きさが5段階以上に切り替えられるようにしてもよく、あるいは、2段階に切り替えられるようにしても良い。
【0095】
また、上記実施の形態では、VS1〜VS4の4つの閾値を設定して、レーザ光源21の出力を増減させるようにしたが、閾値の設定数は上記に限定されるものではない。
【0096】
たとえば、図16(a)〜(c)に示すように、2つの閾値VS1、VS2を設定して、レーザ光源21の出力を増減させるようにしてもよい。この場合、同図(a)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS1を越えると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiが、1ステップ下げられ、同図(b)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS1とVS2の範囲にあると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、そのままとされ、同図(c)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS2より小さいと、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、1ステップ上げられる。
【0097】
また、図16(d)、(e)に示すように、一つの閾値VS1を設定して、レーザ光源21の出力を増減させるようにしてもよい。この場合、同図(d)のように、受光パルスのピーク値(受光電圧VRi)が閾値VS1を越えると、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiが、1ステップ下げられ、同図(e)のように、受光パルスのピーク値(受光
電圧VRi)が閾値VS1より小さいと、当該発光タイミングTiの発光強度Pwiは、1ステップ上げられる。
【0098】
また、上記実施の形態では、1回の目標領域の走査によって調節された発光強度が、その次の目標領域の走査の際に直ちに適用されたが、たとえば、所定の発光タイミングにおいて受光パルスのピーク値が閾値を越えたこと、あるいは、閾値を下回ったことが、連続する複数回の目標領域の走査において起こったときに、当該発光タイミングにおけるレーザ光の強度を変更するようにしても良い。
【0099】
さらに、上記実施の形態では、2つの軸の周りにミラーが回転するミラーアクチュエータの構成例を示したが、本発明は、上記以外の構成のミラーアクチュエータや、レンズを駆動してレーザ光を走査するタイプのアクチュエータ、あるいは、ポリゴンミラーを用いたアクチュエータにも適用可能である。
【0100】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 … レーザレーダ
21 … レーザ光源
23 … ミラーアクチュエータ(アクチュエータ)
33 … 光検出器
44 … スキャンLD駆動回路(レーザ制御回路、出力調整回路)
46 … DSP(レーザ制御回路、出力調整回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
目標領域において前記レーザ光を走査させるアクチュエータと、
前記目標領域において反射されたレーザ光を受光するとともに受光したレーザ光の強度に応じた信号を出力する光検出器と、
前記レーザ光源を制御するレーザ制御回路と、を備え、
前記レーザ制御回路は、前記光検出器から出力される信号が所定の閾値を超えると、前記レーザ光源の出力を減少させる、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ制御回路は、前記光検出器から出力される信号が所定の閾値を超えると、前記レーザ光源の出力を所定の値だけ小さくする、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ制御回路は、前記光検出器から出力される信号が所定の閾値を下回ると、前記レーザ光源の出力を所定の値だけ大きくする、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ制御回路は、前記レーザ光源に流入する電流のピーク値を段階的に切り替える出力調整回路を含む、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザレーダにおいて、
前記出力調整回路は、
第1のコンデンサと、
前記第1のコンデンサと前記レーザ光源との間に接続され、前記第1のコンデンサに蓄積された電荷を前記レーザ光源に流入させる第1のスイッチング部と、
第2のコンデンサと、
前記第2のコンデンサと前記レーザ光源との間に接続され、前記第2のコンデンサに蓄積された電荷を前記レーザ光源に流入させる第2のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング回路または前記第2のスイッチング回路を選択的に動作させ、前記第1のコンデンサまたは前記第2のコンデンサに蓄積された電荷の何れかを前記レーザ光源に流入させるスイッチング制御部と、を備える、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザレーダにおいて、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサは互いに容量が同じであり、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサに互いに異なる電位が印加されている、ことを特徴とするレーザレーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−93195(P2012−93195A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240071(P2010−240071)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】