説明

レーザーディスプレイ装置

【課題】光源部および走査部とスクリーンとを1つの筐体に収める場合に、当該筐体の奥行きサイズを小さくすることができるレーザーディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】レーザーディスプレイ装置100は、光源部110、走査部120およびスクリーン130を備える。光源部110は、レーザー光を射出する。走査部120は、光源部110からのレーザー光を走査する。スクリーン130は、走査部120によって走査されたレーザー光が投射される。光源部110、走査部120およびスクリーン130は、光源部110から走査部120へのレーザー光と走査部120からスクリーン130へのレーザー光とがねじれの位置関係となるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と走査部とスクリーンとを一体化したレーザーディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大画面の画像を表示させる技術として、LCDパネルのようなマイクロディスプレイパネルに照明光を透過させた後、透過させた光を外部のスクリーンに拡大して投射して大画面ディスプレイとするものと、マイクロディスプレイパネルを透過させた光を内部のスクリーンに投射する方法とがある。また、LCDパネルを透過させる方法に代えて、光源部および走査部を用いて、スクリーンに対して大画面の表示をさせる技術がある。
【0003】
上記技術の一例として、レーザー光をスクリーンの背面側から投射しスクリーンの正面側に映像を表示させるものが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−017649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、光源部と走査部とスクリーンとの配置関係については記載されていない。
【0006】
仮に、光源部および走査部とスクリーンとを別体にする場合には、光源部および走査部とスクリーンの組み合わせまたは配置に自由度があるが、光源部および走査部とスクリーンとの間のレーザー走査空間に人が侵入し、目を損傷する虞がある。また、光源部および走査部とスクリーンの2つの機器を用意する必要がある。
【0007】
また、光源部および走査部とスクリーンとを一体化する場合には、光源部および走査部とスクリーンとの間に人が侵入する虞はないが、2つの機器を包含する筐体が必要となり、装置が大型化する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、光源部および走査部とスクリーンとを1つの筐体に収める場合に、当該筐体の奥行きサイズを小さくすることができるレーザーディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレーザーディスプレイ装置は、光源部、走査部およびスクリーンを備える。
【0010】
光源部は、レーザー光を射出する。走査部は、光源部からのレーザー光を走査する。スクリーンは、走査部によって走査されたレーザー光が投射される。光源部、走査部およびスクリーンは、光源部から走査部へのレーザー光と走査部からスクリーンへのレーザー光とがねじれの位置関係となるように配置される。
【0011】
この構成では、光源部および走査部とスクリーンとを1つの筐体内に収める場合に、当該筐体の奥行きサイズを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明におけるレーザーディスプレイ装置は、光源部および走査部とスクリーンとを1つの筐体内に収める場合に、当該筐体の奥行きサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザーディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図2】走査部を示す図である。
【図3】レーザー光の光路を示す図である。
【図4】光源部を示す図である。
【図5】レーザーディスプレイ装置の制御系のブロック図である。
【図6】第1制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【図7】レーザーディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図8】スクリーンの構成を示す図である。
【図9】スクリーンからの透過光およびスクリーンへの反射光を示す図である。
【図10】スクリーン130の他の実施例を示す図である。
【図11】図10の変形例である。
【図12】レーザーディスプレイ装置の制御系を示すブロック図である。
【図13】第2制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【図14】マルチスクリーン投射を示す図である。
【図15】第1制御部による光源部のレーザー射出モードを切り替える制御フローを示すフローチャートである。
【図16】光源部が画像表示モードおよび照明モードを有する場合におけるレーザーディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図17】走査部をスクリーンの中心位置に配置した状態を示す図である。
【図18】走査部をスクリーンの底面付近に配置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るレーザーディスプレイ装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザーディスプレイ装置100の構成を示す図である。
【0016】
レーザーディスプレイ装置100は、光源部110、走査部120およびスクリーン130を備える。
【0017】
光源部110は、レーザー光を射出する。走査部120は、光源部110からのレーザー光を走査する。スクリーン130は、走査部によって走査されたレーザー光が投射される。光源部110、走査部120およびスクリーン130は、光源部110から走査部120へのレーザー光と走査部120からスクリーン130へのレーザー光とがねじれの位置関係となるように配置される。
【0018】
光源部110から走査部120へのレーザー光と走査部120からスクリーン130へのレーザー光とがねじれの関係にない場合は、レーザーディスプレイ装置100は、スクリーン130、光源部110、走査部120の順に配置されているか、または、スクリーン130、走査部120、光源部110の順に配置されているかのどちらかである。
【0019】
スクリーン130、光源部110、走査部120の順に配置されている場合は、スクリーン130と走査部120との間に光源部110が配置されているため、光源部110の分だけスクリーン130と走査部120とを近づけることができない。また、スクリーン130、走査部120、光源部110の順に配置されている場合は、スクリーン130と走査部120との距離を近づけたとしても、光源部110の分だけレーザーディスプレイ装置100の奥行き方向が大きくなる。
【0020】
図1の矢印で示すように、スクリーン130上にレーザー光が投射されることにより、スクリーン130上に画像が表示される。そして、スクリーン130を透過した光により、スクリーン130上に表示される画像がユーザに視認される。
【0021】
光源部110は、図示しない外部装置から入力される画像信号に応じてレーザー光を射出する。なお、当該外部装置は、レーザーディスプレイ装置100と一体として設けられてもよい。
【0022】
この構成では、光源部110および走査部120とスクリーン130とを1つの筐体内に収める場合に、当該筐体の奥行きサイズを小さくすることができる。
【0023】
また、この構成では、光源部110から射出されたレーザー光が走査部120へ直接入射しているので、光源部110から走査部120への光路に別途ミラーを配置する必要がないため、単純な構成とすることができる。
【0024】
図2は、走査部120を示す図である。
【0025】
走査部120は、光源部110からのレーザー光を水平方向へ走査する主走査ミラー122および主走査ミラー122からのレーザー光を鉛直方向へ走査する副走査ミラー124を有する。したがって、光源部110から射出されたレーザー光は、走査部120によりスクリーン130に対して平行方向および垂直方向へ走査される。
【0026】
光源部110からのレーザー光は、孔121を通って主走査ミラー122に到達する。主走査ミラー122は、当該レーザー光が副走査ミラー124に到達するように所定角度傾いている。当該レーザー光は、後述するように、ビーム径が0.3mm程度に整形されているため、主走査ミラー122は、数ミリ程度の大きさでよい。また、主走査ミラー122は、矢印123方向に22kHzでシーソー運動をする。
【0027】
副走査ミラー124に到達したレーザー光は、主走査ミラー122のシーソー運動により、副走査ミラー124の長手方向のほぼ全幅にわたって走査されるため、副走査ミラー124は、長手方向の幅が10mmである。また、副走査ミラー124は、1画面の描画時間で走査するため、矢印125方向に60Hzでシーソー運動をする。なお、副走査ミラー124の振れ角は±20°である。
【0028】
前述したような主走査ミラー122および副走査ミラー124のシーソー運動は、例えば、圧電素子等のアクチュエータを用いた駆動装置である、マイクロ電子機械システム(Micro−electro−mechanism:MEMS)技術を使用する。
【0029】
主走査ミラー122と副走査ミラー124との間の距離は、短い方が副走査ミラー124の大きさを小さくできるため、15mmとしている。副走査ミラー124から射出されるレーザー光のビーム径は、スクリーン130の中央部ではほぼ0.3mmである。
【0030】
この構成では、主走査ミラー122と副走査ミラー124とでそれぞれレーザー光を走査しているが、主走査ミラー122と副走査ミラー124とを近接して配置することにより、主走査ミラー122で走査されたレーザー光の広がりが小さい範囲で副走査ミラー124がレーザー光を走査することから、副走査ミラー124の偏向角を大きくすることができる。
【0031】
したがって、この構成では、光源部110、走査部120およびスクリーン130を1つの筐体内に収める際、レーザー光の偏向角を大きくしやすい。すなわち、スクリーン130と走査部120(副走査ミラー124)との距離が小さい場合であっても、広い投影画像を得ることができる。
【0032】
また、主走査ミラー122と副走査ミラー124のシーソー運動が独立して行われることから、一方のミラーのシーソー運動による機械的な共振が生じることがないため、それぞれを最適な周期で駆動させることができる。さらに、光源部110および走査部120を小型化することができるため、特にスクリーン130が大画面であるときにおいても、レーザーディスプレイ装置100の薄型化を実現することができる。
【0033】
図3は、レーザー光の光路を示す図である。
【0034】
光源部110は、レーザーダイオード111R,G,B、コリメータレンズ112R,G,B、アパーチャー113R,G,Bおよびダイクロイックミラー114R,Bを有する。
【0035】
レーザーダイオード111R,G,Bは、図示しない外部装置から入力されるR,G,Bの画像信号に応じたレーザー光を射出する。コリメータレンズ112R,G,Bおよびアパーチャー113R,G,Bは、レーザーダイオード111R,G,Bから射出されたレーザー光を0.3mm程度のビーム径に整形する。ダイクロイックミラー114R,Bは、レーザーダイオード111R,G,Bから射出されたレーザー光を1本のレーザー光に合成する。
【0036】
そして、光源部110から射出されたレーザー光は、走査部120によって偏向され、スクリーン130上において二次元的に走査される。
【0037】
このように、スクリーン130へのレーザー光は、複数色のレーザー光が合成されたレーザー光である。
【0038】
この構成では、安全性の高い小出力のレーザーダイオード111R,G,Bを用いており、かつ、スクリーン130上で複数色のレーザー光が合成されて照射されるので、スペックルノイズを低減することができる。
【0039】
また、走査部120へのレーザー光は、複数色のレーザー光が合成されたレーザー光である。
【0040】
この構成では、走査部120の主走査ミラー122へのレーザー光の照射ポイントがほぼ点状になることから主走査ミラー122を小型化することができる。また、それぞれの色に対応したレーザー光がスクリーン130上の同じ位置に照射されるので、レーザーディスプレイ装置100全体の小型化が実現できるため、色ずれのない高品位の描画を実現することができる。
【0041】
図4は、光源部110を示す図である。
【0042】
図4では、水平面にレーザーダイオード111R,G,Bを配置したが、これに限られるものではない。例えば、垂直面に配置することもできるし、また、傾斜面に配置することもできる。
【0043】
なお、レーザーダイオード111R,G,Bから射出されるレーザー光の変調方式は、パルス幅変調またはパワー変調によって制御される。
【0044】
この構成では、光源として発光効率の高いレーザーダイオード111R,G,Bを用い、さらに、レーザーダイオード111R,G,Bの点灯は描画のときにのみ行われることから、レーザーディスプレイ装置100をエネルギー効率の高い装置とすることができる。
【0045】
図5は、レーザーディスプレイ装置100の制御系のブロック図である。
【0046】
レーザーディスプレイ装置100は、CPU140、ROM141およびRAM142をさらに備える。CPU140は、本発明の第1制御部に相当する。
【0047】
CPU140は、走査部120からのレーザー光のスクリーン130への入射角度に応じて光源部110から射出されるレーザー光の光量を変化させる。また、CPU140は、ROM141に格納されている制御プログラムを読み出して実行し、各部を総括的に制御する。RAM142は、CPU140のワーキングエリアとして活用される。
【0048】
図6は、CPU140の制御フローを示すフローチャートである。
【0049】
CPU140は、所定の画像信号に応じて、光源部110にレーザー光を射出させる(S10)。CPU140は、副走査ミラー124の走査角度から、スクリーン130へのレーザー光の入射角度が減少したか否かを判断する(S20)。CPU140は、スクリーン130へのレーザー光の入射角度が減少したと判断すると(S20のY)、光源部110から射出されるレーザー光の光量を増加させて(S30)、S20の処理に戻る。一方、CPU140は、スクリーン130へのレーザー光の入射角度が増加したと判断すると(S20のN)、光源部110から射出されるレーザー光の光量を減少させて(S40)、S20の処理に戻る。
【0050】
この構成では、スクリーン130に対するレーザー光の走査角範囲が大きいことから、走査部120とスクリーン130との距離が大きくなるスクリーン130の周縁部ではレーザー光の入射角が浅くなり、スクリーン130の透過光量が低下する。そこで、走査部120とスクリーン130との距離が小さく、深い角度でレーザー光がスクリーン130に入射する中央部の光量を少なく設定し、スクリーン周縁部の光量を多く設定することで、スクリーン130の中央部と周縁部の光量を均一にできるので、スクリーン130に表示される画像を見やすくすることができる。
【0051】
また、この構成では、スクリーン130上でのレーザー光の走査速度は、スクリーン130の中央部で最大となり周縁部では遅くなる。したがって、CPU140が1画素に対応した点灯時間をスクリーン130上の走査位置に応じて調整することで、伸縮がない画像を形成させることができる。
【0052】
図7は、レーザーディスプレイ装置100の構成を示す図である。
【0053】
レーザーディスプレイ装置100は、筐体150をさらに備える。筐体150は、光源部110、走査部120およびスクリーン130を収容する。
【0054】
この構成では、光源部110と走査部120との間または走査部120とスクリーン130との間にユーザが侵入する虞がないため、ユーザがレーザー光に直接曝されることを防止することができる。
【0055】
図8は、スクリーン130の構成を示す図である。
【0056】
スクリーン130は、偏向層131および拡散層132を有する。偏向層131は、一例として、フレネルレンズから構成されている。また、拡散層132は、一例として、レンチキュラーレンズから構成されている。
【0057】
偏向層131は、スクリーン130における走査部120と対向する第1面に設けられ、走査部120からのレーザー光がスクリーン130に対して垂直に入射するようにレーザー光を偏向する。拡散層132は、スクリーン130における当該第1面と対向する第2面に設けられ、スクリーン130を透過するレーザー光を拡散させる。
【0058】
この構成では、レーザー光のスクリーン130への入射角が浅いスクリーン130の周縁部においても、レーザー光がスクリーン130に垂直に入射することから、表示画像の均一化を図ることができる。また、スクリーン130におけるレーザー光の出射側では、スクリーン130の透過光が拡散されることから、視野角を広げることができる。
【0059】
なお、スクリーン130におけるレーザー光の出射側の拡散方向は、水平方向もしくは垂直方向または水平垂直両方向等を用途に応じて選択することができる。
【0060】
図9は、スクリーン130からの透過光およびスクリーン130への反射光を示す図である。
【0061】
スクリーン130は、光検出部133をさらに有する。光検出部133は、スクリーン130における第2面側であって、スクリーン130を透過するレーザー光を遮らない位置、例えば、スクリーン130の周縁部に配置することができる。また、光検出部133をスクリーン130とは別の場所に配置し、スクリーン130の一部からファイバーで光検出部133に導光してもよい。光検出部133は、レーザー光を反射する反射物137に当たったレーザー光を検出する。図9では、反射物137をユーザとして示している。
【0062】
光検出部133は、光源部110から射出されるレーザー光のみに反応する構成をしている。具体的には、当該レーザー光は、R,G,Bの各色の画像信号に応じたパルス光からなり、太陽光は、全ての波長を含む平行光であって連続光であるので、受光信号をフィルタ等で処理することで容易に分離できる。
【0063】
この構成では、スクリーン130を透過するレーザー光がユーザに反射し、反射したレーザー光を光検出部133で検出することで、ユーザの動きを検出することができる。具体的には、レーザーディスプレイ装置100は、スクリーン130に対するレーザー光の透過により描画を実現していることから、ユーザ方向へもレーザー光が照射されており、ユーザからの反射光を光検出部133で検出して、レーザー光の走査タイミングと反射光の検出タイミングとを演算処理することによって、ユーザの動きを検出することができる。
【0064】
これにより、例えば、ユーザのいる場所に対してはレーザー光の光量を高くし、ユーザのいない場所に対してはレーザー光の光量を低くすることで、スクリーン130に対して効率的に画像表示をすることができる。
【0065】
図10は、スクリーン130の他の実施例を示す図である。図11は、図10の変形例である。図12は、レーザーディスプレイ装置100の制御系を示すブロック図である。
【0066】
レーザーディスプレイ装置100におけるスクリーンは、平面スクリーン130のほかにも、曲面スクリーン134、円筒スクリーン135またはS字スクリーン136等の形状を採用することができる。
【0067】
また、この構成において、レーザーディスプレイ装置100は、光検出部133、CPU160、ROM161およびRAM162をさらに備える。CPU160は、本発明の第2制御部に相当する。
【0068】
光検出部133は、前述したとおりである。CPU160は、光検出部133に検出されたレーザー光の光量に応じて光源部110から射出されるレーザー光の光量を変化させる。また、CPU160は、ROM161に格納されている制御プログラムを読み出して実行し、各部を総括的に制御する。RAM162は、CPU160のワーキングエリアとして活用される。
【0069】
図13は、CPU160の制御フローを示すフローチャートである。
【0070】
CPU160は、光検出部133がレーザー光(反射光)を検出するまで待機する(S110のN)。CPU160は、光検出部133がレーザー光を検出したと判断すると(S110のY)、これに基づいて光源部110から射出されるレーザー光の光量を変化させて(S120)、S110の処理に戻る。
【0071】
この構成では、スクリーン134〜136の出射側の面(第2面)は、太陽光や照射光のような外光を受ける部分と影になる部分とが生じる。外光によりスクリーン134〜136における照度が高い部分はレーザー光の光量を増加し、影になる部分はレーザー光の光量を減少することで、どのような形状のスクリーンであっても、均一に画像の視認性を高めることができる。
【0072】
また、この構成では、光源部110のコリメータレンズ112R,G,Bで整形されたレーザー光のビーム径がスクリーン134〜136上でも維持されることから、走査部120の副走査ミラー124とスクリーン134〜136との距離にかかわらず一定となるため、所定のビーム径で描画することができる。
【0073】
図14は、マルチスクリーン投射を示す図である。
【0074】
本実施例では、光源部110は、複数備えられる。複数の光源部110は、それぞれ、スクリーン130の異なる領域に対応するレーザー光を射出する。なお、スクリーン130は、図14に示すように、複数個を同一面上に並べてもよいし、一つの大きなスクリーン130でもよい。
【0075】
この構成では、各光源部110に対応した照射領域をスクリーン130上で合わせることで、同じ奥行きで大画面化を実現することができる。また、走査部120の走査角度を大きくする必要がない。
【0076】
図15は、CPU140による光源部110のレーザー射出モードを切り替える制御フローを示すフローチャートである。
【0077】
光源部110は、レーザー射出モードとして、画像表示モードおよび照明モードを有する。画像表示モードは、所定の画像信号に応じてレーザー光を射出するモードである。照明モードは、所定の画像信号とは無関係にレーザー光を射出するモードである。
【0078】
CPU140は、図示しない外部装置から画像信号が入力されているか否かを判断する(S210)。CPU140は、当該外部装置から画像信号が入力されていると判断すると(S210のY)、光源部110を画像表示モードに切り替えて(S220)、S210の処理に戻る。一方、CPU140は、当該外部装置から画像信号が入力されていないと判断すると(S210のN)、光源部110を照明モードに切り替えて(S230)、S210の処理に戻る。
【0079】
この構成では、光源部110が照明モードを有することで、画像信号を必要としない場合において、レーザーディスプレイ装置100を照明として用いることができる。光源部110のレーザーダイオード111R,G,Bは、レーザー光の発光効率が高く、また、走査部120は、消費電力が極めて小さいことから、低消費電力の照明装置を実現することができる。さらに、バッテリー駆動も可能であることから、非常用照明として用いることもできる。
【0080】
図16は、光源部110が画像表示モードおよび照明モードを有する場合におけるレーザーディスプレイ装置100の構成を示すブロック図である。
【0081】
レーザーディスプレイ装置100は、切替部170をさらに備える。切替部170は、光源部110の画像表示モードと照明モードとを切り替え可能である。
【0082】
この構成では、ユーザが照明を必要とする場合においてスクリーン130の一部または全部を照明モードとすることで、新たな照明手段を設けることなくユーザの視認性を高めることができる。
【0083】
照明モードでは、RGBの比率によって電球色や昼光色等の光源色を自在に設定できるとともに、スクリーン130の照明モードとする位置も自在に設定できる。また、画像表示モードと照明モードとをスクリーン130上に混在することも可能であり、例えば、ユーザの手元に近い部分のみを照明モードとしてユーザの利便性を図ることができる。
【0084】
図17は、走査部120をスクリーン130の中心位置に配置した状態を示す図である。
【0085】
この構成では、走査部120がスクリーンの中心位置に配置されているので、レーザー光のスクリーン130に対する入射角を上下左右について対称にすることができるため、スクリーン130の上下左右について均等な光量を与えることが可能である。
【0086】
また、この構成では、空間181,182,183,184に、CPU等の部品を配置することができる。
【0087】
図18は、走査部120をスクリーン130の底面付近に配置した状態を示す図である。
【0088】
この構成では、走査部120がスクリーン130の底面付近に配置されているので、レーザーディスプレイ装置100の重心を下げることができるため、レーザーディスプレイ装置100の設置時に安定させることができる。
【0089】
また、この構成では、空間185,186,187に、CPU等の部品を配置することができる。
【0090】
なお、本実施形態は、プロジェクター(スクリーン130に投影する光学ユニット)のほかにも、スクリーン130に機能を持たせたものも含む。
【0091】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
100−レーザーディスプレイ装置
110−光源部
120−走査部
122−主走査ミラー
124−副走査ミラー
130−スクリーン
131−偏向層
132−拡散層
133−光検出部
137−反射物
140−CPU
150−筐体
160−CPU
170−切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を射出する光源部と、
前記光源部からのレーザー光を走査する走査部と、
前記走査部によって走査されたレーザー光が投射されるスクリーンと、
を備え、
前記光源部、前記走査部および前記スクリーンは、前記光源部から前記走査部へのレーザー光と前記走査部から前記スクリーンへのレーザー光とがねじれの位置関係となるように配置される
レーザーディスプレイ装置。
【請求項2】
前記走査部は、前記光源部からのレーザー光を水平方向へ走査する主走査ミラーおよび前記主走査ミラーからのレーザー光を鉛直方向へ走査する副走査ミラーを有する
請求項1に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項3】
前記走査部からのレーザー光の前記スクリーンへの入射角度に応じて前記光源部から射出されるレーザー光の光量を変化させる第1制御部
をさらに備える請求項1または2に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項4】
前記スクリーンへのレーザー光は、複数色のレーザー光が合成されたレーザー光である
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項5】
前記走査部へのレーザー光は、複数色のレーザー光が合成されたレーザー光である
請求項4に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項6】
前記光源部、前記走査部および前記スクリーンを収容する筐体
をさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項7】
前記スクリーンは、前記走査部と対向する第1面にレーザー光が前記スクリーンに対して垂直に入射するようにレーザー光を偏向する偏向層および前記第1面と対向する第2面に前記スクリーンを透過するレーザー光を拡散させる拡散層を有する
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項8】
前記スクリーンは、レーザー光を反射する反射物に当たったレーザー光を検出する光検出部を有する
請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項9】
前記スクリーンは、曲面で構成され、
前記光検出部に検出されたレーザー光の光量に応じて前記光源部から射出されるレーザー光の光量を変化させる第2制御部
をさらに備える請求項8に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項10】
前記光源部は、複数備えられ、
前記複数の光源部は、それぞれ、前記スクリーンの異なる領域に対応するレーザー光を射出する
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項11】
前記光源部は、所定の画像信号に応じてレーザー光を射出する画像表示モードおよび所定の画像信号とは無関係にレーザー光を射出する照明モードを有する
請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザーディスプレイ装置。
【請求項12】
前記画像表示モードと前記照明モードとを切り替え可能な切替部
をさらに備える請求項11に記載のレーザーディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−68741(P2013−68741A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206368(P2011−206368)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】