説明

レーザ熱転写装置、レーザ熱転写法及びレーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法

【課題】レーザ熱転写法を利用してアクセプタ基板上に有機膜層を形成する際に、磁石が形成された基板と磁性体を含む密着フレームとの磁気力によって、アクセプタ基板とドナーフィルムの転写層との間の密着特性を高めることができるレーザ熱転写装置を提供すること。
【解決手段】ドナーフィルム350及びアクセプタ基板250が内部に配置され、ドナーフィルム350の転写層をアクセプタ基板250に転写する工程が実施される空間を備えたチャンバ230と、チャンバ230内に配置され、磁石210を備えたアクセプタ基板250を支持する基板ステージ200と、基板ステージ200との間にドナーフィルム350及びアクセプタ基板250を介し、チャンバ230内にで基板ステージ200より上部に配置され、磁性体310を備える密着フレーム300と、前記チャンバ230の外部または内部に配置されるレーザオシレータ400とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ熱転写装置、レーザ熱転写法、及びレーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子の有機膜層を形成する方法のうち、蒸着法はシャドウマスクを利用して有機発光物質を真空蒸着して有機膜層を形成する方法で、マスクの変形などによって高精細の微細パターンを形成し難く、大面積表示装置に適用し難い。
【0003】
蒸着法の問題点を解決するために、直接有機膜層をパターニングするインクジェット方式が提案された。インクジェット方式は、発光材料を溶媒に溶解または分散させたものを吐出液として、インクジェットプリント装置のヘッドから吐出させ、有機膜層を形成する方法である。インクジェット方式は、工程が比較的簡単であるが、歩留まり低下や膜厚さの不均一性が発生し、大面積の表示装置に適用し難いという問題点がある。
【0004】
一方、レーザ熱転写法を利用して有機膜層を形成する方法が提案された。レーザ熱転写法は、基材基板、光−熱変換層及び転写層を含むドナーフィルムにレーザを照射させ、基材基板を通過したレーザを光−熱変換層で熱に変換し、光−熱変換層を膨脹させることで、光−熱変換層に隣接する転写層を膨脹させ、アクセプタ基板に転写層を接着させて転写させる方法である。
【0005】
レーザ熱転写法は、レーザで誘導されたイメージングプロセスで、高解像度のパターン形成、フィルム厚さの均一性、マルチレイヤー積層能力、大型マザーガラスへの拡張性のような固有の利点を持っている。
【0006】
従来、レーザ熱転写法を行う場合、発光層の転写が行われるチャンバ内部は、発光表示素子形成の他の蒸着工程と同様に調整されるようにするため、真空状態でなされることが好ましく、主に真空状態でなされる。しかし、従来の方法によって真空状態でレーザ熱転写を行う場合、ドナーフィルムとアクセプタ基板の間の接合力が弱くなって転写層の転写特性が悪くなるという問題点がある。よって、レーザ熱転写法において、ドナーフィルムとアクセプタ基板をラミネーションさせる方法は、重要な意味を持っており、これを解決するためのさまざまな方案が研究されている。
【0007】
以下では図面を参照して従来の技術によるレーザ熱転写法及びレーザ熱転写装置を具体的に説明する。
【0008】
図1は、従来の技術によるレーザ熱転写装置の部分断面図である。図1を参照すると、レーザ熱転写装置100は、チャンバ110内に配置される基板ステージ120及びチャンバ110の上部に配置されるレーザ照射装置130を含んで構成される。
【0009】
基板ステージ120は、チャンバ110内に配置されるアクセプタ基板140とドナーフィルム150とをそれぞれ順次配置させるためのもので、基板ステージ120には、アクセプタ基板140とドナーフィルム150をそれぞれ整列させるための第1装着ホーム121及び第2装着ホーム123が形成されている。
【0010】
第1装着ホーム121は、アクセプタ基板140の外周に沿って形成され、第2装着ホーム123は、ドナーフィルム150の外周に沿って形成される。通常、アクセプタ基板140は、ドナーフィルム150より面積が小さいので、第2装着ホーム123より第1装着ホーム121のほうが小さく形成される。
【0011】
このとき、アクセプタ基板140とドナーフィルム150とを、両者の間に異物を挿入させたり、空間が形成されることなくラミネーションさせるため、レーザ熱転写がなされるチャンバ110内部を真空状態で維持せず、第1装着ホーム121及び第2装着ホーム123の下部一区間にパイプ161及び163を連結し、真空ポンプPで吸いこんでアクセプタ基板140とドナーフィルム150を合着させる。
【0012】
しかし、有機発光素子を製作する他の工程が真空状態を維持して行われる一方、真空ポンプによってアクセプタ基板とドナーフィルムを密着させる方法は、チャンバ内部の真空状態を維持することができなくなることにより、製品の信頼性と寿命に良くない影響を及ぼすという問題点がある。
【0013】
一方、前記従来のレーザ熱転写装置、レーザ熱転写法、及びレーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法に関する技術を記載した文献としては、下記特許文献1〜3がある。
【0014】
【特許文献1】特開2004−296224号明細書
【特許文献2】特開2004−355949号明細書
【特許文献3】米国特許第4、377、339号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、密着フレームとアクセプタ基板の間の磁気力を利用して、ドナーフィルムとアクセプタ基板の密着性及び有機発光素子の寿命、歩留まり及び信頼性を高めることが可能な、新規かつ改良されたレーザ熱転写装置、レーザ熱転写法及びレーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ドナーフィルム及びアクセプタ基板が内部に配置され、ドナーフィルムの転写層をアクセプタ基板に転写する工程が実施される空間を備えたチャンバと、チャンバ内に配置され、磁石を備えたアクセプタ基板を支持する基板ステージと、基板ステージとの間にドナーフィルム及びアクセプタ基板を介し、チャンバ内で基板ステージより上部に配置され、磁性体を備える密着フレームと、チャンバの外部または内部に配置されるレーザオシレータと、を含むことを特徴とする、レーザ熱転写装置が提供される。
【0017】
また、密着フレームの上面または下面に磁性体が形成されてもよい。
【0018】
また、密着フレーム自体が磁性体で形成されてもよい。
【0019】
また、アクセプタ基板の上面または下面に磁石が形成されてもよい。
【0020】
また、磁石は、永久磁石であってもよい。
【0021】
また、永久磁石は、少なくとも一つの角柱または円筒形状で形成されてもよい。
【0022】
また、永久磁石は、永久磁石ナノ粒子で構成されてもよい。
【0023】
また、磁石は、電磁石であってもよい。
【0024】
また、電磁石は、少なくとも一つの角柱または円筒形状で形成されてもよい。
【0025】
また、密着フレームには、ドナーフィルムの転写される部分に対応するパターンの開口部が形成されてもよい。
【0026】
また、密着フレームと連結されて、密着フレームを上下駆動する昇降駆動部をさらに備えてもよい。
【0027】
また、昇降駆動部は、ドナーフィルムとアクセプタ基板との密着強度を調節可能に構成されてもよい。
【0028】
また、レーザオシレータは、密着フレームより上部に配置されてもよい。
【0029】
また、チャンバは、真空チャンバであってもよい。
【0030】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、チャンバ内に配置された基板ステージと、磁性体が形成された密着フレームとの間に、少なくとも一面に磁石が形成されたアクセプタ基板を配置する段階と、アクセプタ基板上にドナーフィルムを配置する段階と、密着フレームに形成された磁性体とアクセプタ基板の磁石との間に作用する磁気力によって、ドナーフィルムとアクセプタ基板とをラミネーションする段階と、ドナーフィルム上にレーザを照射して、転写層の少なくとも一領域をアクセプタ基板上に転写させる段階と、を含むことを特徴とする、レーザ熱転写法が提供される。
【0031】
また、アクセプタ基板上にドナーフィルムを配置する段階の後、密着フレームを下降させることにより、アクセプタ基板とドナーフィルムとを密着させる段階をさらに含んでもよい。
【0032】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、レーザ熱転写法によって、第1電極層と第2電極層との間に発光層が形成される有機発光素子の製造方法において、基板ステージ上に、画素領域が形成され磁石を有するアクセプタ基板を、磁性体を有する密着フレームの下部に配置させるアクセプタ基板配置段階と、発光層を備えたドナーフィルムを、アクセプタ基板上に配置させるドナーフィルム配置段階と、アクセプタ基板に形成された磁石と密着フレームに形成された磁性体との間の磁気力によって、アクセプタ基板とドナーフィルムとを接合するラミネーション段階と、ドナーフィルムにレーザを照射して、アクセプタ基板の画素領域に発光層を転写する転写段階と、を含むことを特徴とする、レーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0033】
以上、説明したように、本発明によれば、レーザ熱転写法においてドナーフィルムとアクセプタ基板とをラミネーションする際に、アクセプタ基板に形成された磁石と、密着フレームに形成された磁性体との間に発生する磁気力によって、ドナーフィルムとアクセプタ基板との密着性及び有機発光素子の寿命、歩留まり及び信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
以下、本発明の好ましい一実施形態を、添付した図面を参照して詳しく説明する。図2は、本発明によるレーザ熱転写装置の一例を示した斜視図である。図2を参照して説明すれば、本発明によるレーザ熱転写装置は、チャンバ230、基板ステージ200、密着フレーム300、レーザオシレータ400及び昇降部500a、500bを含む。
【0036】
チャンバ230内では、基板250上に所定の有機物を転写するための蒸着源であるドナーフィルム350を転写する工程が実施される。よって、チャンバ230内部には、アクセプタ基板250とドナーフィルム350との合着工程を実施するために、少なくとも基板ステージ200と密着フレーム300とを備える。このとき、チャンバ230内部は真空状態である。
【0037】
基板ステージ200は、アクセプタ基板250とドナーフィルム350とをそれぞれ整列する第1整列ホーム202aと第2整列ホーム202bとで構成される。一般に、ドナーフィルム350は、アクセプタ基板250より面積が広いので、第2整列ホーム202bは、第1整列ホーム202aの外周より外側にドナーフィルム350の形状に沿って形成される。このとき、第1整列ホーム202aと第2整列ホーム202bは、所定の段差を有して形成され、第2整列ホーム202bは第1整列ホーム202aより所定の高さほど高く形成される。
【0038】
密着フレーム300は、磁性体310を具備し、チャンバ230内でアクセプタ基板250及びドナーフィルム350を基板ステージ200との間に介して基板ステージ200より上部に位置する。そして、密着フレーム300には、ドナーフィルム350の転写される部分に対応するパターンの開口部311が形成される。すなわち、アクセプタ基板250上に有機物を転写するための転写源としてドナーフィルム350を用いるため、基板250上に転写される有機物に対応するドナーフィルム350が転写されなければならない。
【0039】
したがって、密着フレーム300に所定パターンの開口部311を形成して所定パターンのドナーフィルム350をアクセプタ基板250上に転写する。一方、密着フレーム300は、それ自体が磁性体310で形成されてもよく、密着フレーム300の上面または下面に磁性体310が形成されてもよい。そして、密着フレーム300は、密着フレームトレイ301によって固定され上下駆動される。
【0040】
一方、アクセプタ基板250の上面または下面に磁石210が形成され、磁石210は、好ましくは、アクセプタ基板250の下面またはアクセプタ基板250とバッファー層(図示せず)の間に形成される。密着フレーム300は、アクセプタ基板250と密着フレーム300との磁気力によってアクセプタ基板250とドナーフィルム350とを密着させる。よって、密着フレーム300とアクセプタ基板250はそれぞれ磁性体310及び磁石210を具備しなければならない。好ましくは、アクセプタ基板250は永久磁石を備え、密着フレーム300が磁性体で形成されるか、またはアクセプタ基板250が電磁石を備え、密着フレーム300が磁性体で形成される。このとき、永久磁石及び電磁石は、少なくとも一つの角柱または円筒形状で形成される。
【0041】
レーザオシレータ400は、チャンバ230の外部または内部に形成されうる。好ましくは、密着フレーム300の上部に位置して密着フレーム300上にレーザを転写する。
【0042】
昇降部500a及び500bは、第1昇降部500aと第2昇降部500bに区分される。そして、第1昇降部500aは、第1ピン550aを具備してアクセプタ基板250を上下駆動し、第2昇降部500bは第2ピン550bを具備してドナーフィルム350を上下駆動する。一例として、まず、第1昇降部500aを上昇させて移動手段(図示せず)からアクセプタ基板250が伝達され、再度下降して第1整列ホーム202a上にアクセプタ基板250を整列させる。次に、第2昇降部500bを上昇させて移動手段(図示せず)からドナーフィルム350が伝達され、再度下降して第2整列ホーム202b上にドナーフィルム350を整列させる。
【0043】
このような動作でアクセプタ基板250とドナーフィルム350とを合着させる。このとき、ドナーフィルム350は、フィルムトレイ351によって固定されて昇降する。
【0044】
上述した本発明によるレーザ熱転写装置は、昇降駆動部(図示せず)をさらに具備して密着フレーム300と連結し、昇降駆動部によって密着フレーム300が上下駆動される。
【0045】
図3a〜図3eは、本発明によるレーザ熱転写法を示した図である。図3a〜図3eを参照して説明すれば、本発明によるレーザ熱転写法は、まず、チャンバ230を備え、エンドイペックト700を利用して基板ステージ200の第1整列ホーム202a上に基板250を整列させる。このとき、第1昇降部500aを上昇させ、第1昇降部500aに設けられた第1ピン550aを利用し、エンドイペックト700から基板250を伝達されて、第1ピン550aによって支持する(図3a)。
【0046】
それから、エンドイペックト700をチャンバ230の外部に移動させる(図3b)。
【0047】
次に、エンドイペックト700を利用し、基板ステージ200の第2整列ホーム202b上にドナーフィルム350を整列させる。このとき、第2昇降部500bを上昇させ、第2昇降部500bに設けられた第2ピン550bを利用し、エンドイペックト700からドナーフィルム350を伝達されて、第2ピン550bによって支持する(図3c)。
【0048】
それから、あらかじめ配置されているアクセプタ基板250上にドナーフィルム350を密着させる。このとき、ドナーフィルム350は、フィルムトレイ351によって固定されている状態で第2整列ホーム202b上に整列される(図3d)。
【0049】
次に、密着されているアクセプタ基板250とドナーフィルム350との間に微細な空隙が生じないように、密着強度を調節して密着フレーム300をドナーフィルム350上にさらに密着させる。このとき、密着フレーム300は、密着フレームトレイ301によって固定された状態で下降する。そして、アクセプタ基板250の上部または下部に磁石210が具備されているので、密着フレーム300に形成された磁性体310との間に発生する磁気力によって、密着フレーム300とアクセプタ基板250との密着強度を調節し、アクセプタ基板250とドナーフィルム350との接着特性を高めることができる。
【0050】
後続工程として、レーザオシレータ400を用いて、所定パターンの開口部(図示せず)が形成された密着フレーム300上にレーザ転写工程を実施する。ドナーフィルム350は、アクセプタ基板250に有機物を転写する転写源であり、所定のパターンで基板250上に転写される。よって、所定パターンの開口部が形成された密着フレーム300上にレーザを照射することによって、開口部に相当する所定パターンの有機物がアクセプタ基板250上に転写される。すなわち、密着フレーム300は、レーザが所定の領域のみに照射されるようにするためのマスクとしての役割を果たす(図3e)。
【0051】
上述した本発明によるレーザ熱転写法によれば、アクセプタ基板250とドナーフィルム350を密着させた後、密着フレーム300に荷重を加える工程でアクセプタ基板250を固定し、密着フレーム300を下降させて上述した工程を進行する。そして、図2eに図示された工程が完了すれば、昇降駆動部(図示せず)を利用して密着フレーム300を再度上昇させて下降させる前の元の位置に戻す。
【0052】
図4a及び図4bは、本発明による有機発光素子の一例を示した図である。図4a及び図4bを参照して説明すれば、本発明による有機発光素子は、基板800上にバッファ層802、半導体層803、ゲート絶縁層804、ゲート電極805、層間絶縁層806、ソース電極807a、ドレイン電極807b及び平坦化層808などが形成される。
【0053】
基板800上にはまず、バッファ層802が形成され、バッファ層802の一領域上にはアクティブ層803a及びオミックコンタクト層803bを含む半導体層803が形成される。そして、図3aに図示されたように、基板800の下部面に磁石801が形成されてもよく、あるいは図3bに図示されたように、基板800とバッファ層802との間に磁石801が形成されてもよい。このとき、磁石801は、永久磁石または電磁石であり、一つの同一平面上に配置されうるが、好ましくは、複数の磁石801を備えて、同心円型または横及び縦の複数列で配置される。
【0054】
バッファ層802上には、半導体層803を含んでゲート絶縁層804が形成され、ゲート絶縁層804の一領域上にはアクティブ層803aの幅に対応する大きさのゲート電極805が形成される。
【0055】
ゲート絶縁層804上には、ゲート電極805を含んで層間絶縁層806が形成され、層間絶縁層806の所定の領域上にはソース電極807a及びドレイン電極807bが形成される。
【0056】
ソース電極807a及びドレイン電極807bは、オミックコンタクト層803bの露出された一領域とそれぞれ接続されるように形成され、層間絶縁層806上には、ソース電極807a及びドレイン電極807bを含んで平坦化層808が形成される。
【0057】
平坦化層808の一領域上には第1電極層809が形成され、このとき第1電極809はソース電極807aまたはドレイン電極807bのうちいずれかの露出した一領域と接続されるようにする。
【0058】
平坦化層808上には、第1電極層809を含んで、第1電極層809の少なくとも一領域を露出する開口部(図示せず)が具備された画素定義膜810が形成される。
【0059】
画素定義膜810の開口部上には発光層811が形成され、画素定義膜810上には発光層811を含んで第2電極層812が形成される。
【0060】
以上、説明したように、本発明によれば、レーザ熱転写法においてドナーフィルムとアクセプタ基板とをラミネーションする際に、チャンバ内部を真空状態に維持したままで、ドナーフィルムとアクセプタ基板との間に異物及び空間が生じないようにすると同時に、アクセプタ基板に形成された磁石と、密着フレームに形成された磁性体との間に発生する磁気力によってドナーフィルムとアクセプタ基板をラミネーションすることで、密着性及び有機発光素子の寿命、歩留まり及び信頼性を高めることができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来の技術によるレーザ熱転写装置の部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写装置を示した斜視図である。
【図3a】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写法を示した断面図である。
【図3b】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写法を示した断面図である。
【図3c】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写法を示した断面図である。
【図3d】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写法を示した断面図である。
【図3e】本発明の一実施形態にかかるレーザ熱転写法を示した断面図である。
【図4a】本発明の一実施形態にかかる有機発光素子の一例を示した断面図である。
【図4b】本発明の一実施形態にかかる有機発光素子の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0063】
200 基板ステージ
210 磁石
230 チャンバ
250 アクセプタ基板
300 密着フレーム
310 磁性体
350 ドナーフィルム
400 レーザオシレータ
500a、500b 昇降部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーフィルム及びアクセプタ基板が内部に配置され、前記ドナーフィルムの転写層を前記アクセプタ基板に転写する工程が実施される空間を備えたチャンバと;
前記チャンバ内に配置され、磁石を備えた前記アクセプタ基板を支持する基板ステージと;
前記基板ステージとの間に前記ドナーフィルム及び前記アクセプタ基板を介し、前記チャンバ内で前記基板ステージより上部に配置され、磁性体を備えた密着フレームと;
前記チャンバの外部または内部に配置されるレーザオシレータと;
を含むことを特徴とする、レーザ熱転写装置。
【請求項2】
前記密着フレームの上面または下面に前記磁性体が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項3】
前記密着フレーム自体が前記磁性体で形成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項4】
前記アクセプタ基板の上面または下面に前記磁石が形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項5】
前記磁石は、永久磁石であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項6】
前記永久磁石は、少なくとも一つの角柱または円筒形状で形成されることを特徴とする、請求項5に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項7】
前記永久磁石は、永久磁石ナノ粒子で構成されることを特徴とする、請求項5に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項8】
前記磁石は、電磁石であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項9】
前記電磁石は、少なくとも一つの角柱または円筒形状で形成されることを特徴とする、請求項8に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項10】
前記密着フレームには、前記ドナーフィルムの転写される部分に対応するパターンの開口部が形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項11】
前記密着フレームと連結され、前記密着フレームを上下駆動する昇降駆動部をさらに具備することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項12】
前記昇降駆動部は、前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板との密着強度を調節可能に構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のレーザ熱転写装置。
【請求項13】
前記レーザオシレータは、前記密着フレームより上部に配置されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項14】
前記チャンバは、真空チャンバであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のレーザ熱転写装置。
【請求項15】
チャンバ内に配置された基板ステージと磁性体が形成された密着フレームとの間に、少なくとも一面に磁石が形成されたアクセプタ基板を配置する段階と;
前記アクセプタ基板上にドナーフィルムを配置する段階と;
前記密着フレームに形成された磁性体と前記アクセプタ基板の磁石との間に作用する磁気力によって、前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板とをラミネーションする段階と;
前記ドナーフィルム上にレーザを照射して、転写層の少なくとも一領域をアクセプタ基板上に転写させる段階と;
を含むことを特徴とする、レーザ熱転写法。
【請求項16】
前記アクセプタ基板上に前記ドナーフィルムを配置する段階の後、前記密着フレームを下降させて、前記アクセプタ基板と前記ドナーフィルムとを密着させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載のレーザ熱転写法。
【請求項17】
レーザ熱転写法によって、第1電極層と第2電極層との間に発光層が形成される有機発光素子の製造方法において:
基板ステージ上に、画素領域が形成され、磁石が形成されたアクセプタ基板を、磁性体が形成された密着フレームの下部に配置させるアクセプタ基板配置段階と;
発光層を備えたドナーフィルムを、前記アクセプタ基板上に配置させるドナーフィルム配置段階と;
前記アクセプタ基板に形成された前記磁石と前記密着フレームに形成された前記磁性体のと間の磁気力によって、前記アクセプタ基板と前記ドナーフィルムとを接合するラミネーション段階と;
前記ドナーフィルムにレーザを照射して、前記アクセプタ基板の前記画素領域に前記発光層を転写する転写段階と;
を含むことを特徴とする、レーザ熱転写法を利用した有機発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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