説明

レーダ断面積測定装置およびその方法並びにそのための制御プログラムを記録した記憶媒体

【課題】より低価格でかつ短時間にレーダ断面積を測定することができるレーダ断面積測定装置等を得る。
【解決手段】被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するレーダ断面積測定装置であって、被測定物4への照射電磁波の進行方向に直交する面内の第1の方向の断面形状が放物線であり前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡1に電磁波を反射させて波面の前記第1の方向の曲率が0となる円筒波を、前記近距離に位置し向きが可変の前記被測定物に照射し、前記被測定物で反射され前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信電磁波から測定制御部10により、前記被測定物の散乱電界のパターンを積算して求めた等価散乱係数から遠方領域のレーダ断面積を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するレーダ断面積測定装置およびその方法並びにそのための制御プログラムを記録した記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダ断面積(RCS: Radar Cross Section)は無限遠方で測定したものとして規定されるため、被測定物から十分離れて測定する必要がある。通常、被測定物の最大径をD、測定波長をλとすると、十分遠方で測定するためには測定距離ρは下記の式(1)を満たさなければならない。
【0003】
【数1】

【0004】
被測定物が大きく、この測定距離を確保することが困難な場合、従来、例えば下記非特許文献1に開示されているように、放物面反射鏡で構成されるコンパクトレンジを使用した測定が行われる。
【0005】
図5に従来の放物面反射鏡8を用いたコンパクトレンジによる装置の座標系を示す。点Fを焦点とする放物面の軸方向の座標をz座標、放射方向をr座標とする。焦点距離をfとすると、この放物面の座標は下記の式(2)で与えられる。
【0006】
【数2】

【0007】
焦点Fから放射された電磁波は放物面反射鏡8上の点Pで反射し、開口面に到達する。放物面反射鏡8では鏡面上の任意の点Pに対して、距離(d1+d2)が一定値となり、焦点Fから放射された球面波は、放物面反射鏡8で反射後に、平面波に変換され被測定物4の方向に向かう。
【0008】
なお、放物面反射鏡8の点Pにおける法線と点Pと被測定物4を結ぶ線との角、および法線と点Pと焦点Fを結ぶ線との角は共にβである。
【0009】
従来のこの放物面反射鏡8で構成されるコンパクトレンジによる装置の構成を図6に示す。ここで、送信アンテナ2および受信アンテナ3は、図5の放物面反射鏡8の焦点F近傍に設置されており、送信アンテナ2から放射された球面状の波面を有する電磁波は、放物面反射鏡8で反射して平面波に変換され、被測定物4を照射する。
【0010】
また、被測定物4で反射した電磁波は、再度、放物面反射鏡8で反射され、受信アンテナ3で受信され、被測定物4のレーダ断面積の測定が可能となる。このとき測定されるレーダ断面積は、放物面反射鏡により球面波から平面波へ変換されており、物理的には近距離で測定しているものの、理想的には無限遠方で測定した結果が得られる。
【0011】
この測定方法には、電波暗室内などのコンパクトな測定系を実現できる利点がある。大型の被測定物を測定する場合、その被測定物よりも更に大きな放物面反射鏡8が必要となる。しかし、大型で精度のよい2次曲面形状の反射鏡を製造することは非常に困難である。
【0012】
下記特許文献1に記載の従来の散乱断面積の測定装置では、近傍領域の散乱電界の測定値に対して、近傍界/遠方界変換技術を適用し、遠方領域のレーダ断面積を測定している。この測定装置では、図7に示すように、送信アンテナ2、受信アンテナ3を常に被測定物4側に向けながら支持台7が被測定物4の周りを円を描くように回転する水平方向の回転のほかに、支持台7に設けられた上下移動機構部9により垂直方向に送信アンテナ2、受信アンテナ3を移動し、円筒面上の散乱電界を測定し、同文献に記述されているアルゴリズムで遠方領域のレーダ断面積を測定している。
【0013】
しかし、この測定方法では、一方向のレーダ断面積を求めるために、被測定物4を水平面内で走査し、かつ垂直方向に送信アンテナ2、受信アンテナ3を移動して測定した2次元の測定データが必要となるため、膨大な測定時間が必要となる。
【0014】
さらに下記特許文献2では、一次元の近傍領域の散乱パターンの測定値から近傍界/遠方界変換技術により、レーダ断面積を測定する方法が提案されている。この測定方法では、下記特許文献1と異なり、一次元の散乱電界の測定値から、遠方領域のレーダ断面積を測定することができる。
【0015】
しかし、特許文献2内で述べられているように、ここで示されているアルゴリズムでは、鉛直方向の大きさに対して十分遠方領域と見なせる距離で測定する必要があり、鉛直方向に大きな被測定物は測定できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2318167号公報
【特許文献2】特開2000−206230号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Eugene F. Knott、“Radar Cross Section Measurements”、SciTech Publishing. INC. 2006、(第8.2章)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上、上記非特許文献1では、大型の被測定物を測定する場合に、大型の放物面反射鏡が必要となるが、高い鏡面精度を持つ大型の放物面反射鏡は製造が非常に困難で、かつ非常に高価であるという問題があった。また上記特許文献1では、ある一方向のレーダ断面積を測定するために、2次元の近傍領域の散乱界の測定値が必要であり、測定時間が非常に長くなるという問題があった。そして上記特許文献2では、鉛直方向に大きさが十分小さいと仮定しているため、鉛直方向に大きな被測定物は測定できないという問題があった。
【0019】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、より低価格でかつ短時間にレーダ断面積を測定するようにしたレーダ断面積測定装置およびその方法並びにそのための制御プログラムを記録した記憶媒体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するレーダ断面積測定装置であって、前記被測定物への照射電磁波の進行方向に直交する面内の第1の方向の断面形状が放物線であり前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡に電磁波を反射させて波面の前記第1の方向の曲率が0となる円筒波を、前記近距離に位置し向きが可変の前記被測定物に照射し、前記被測定物で反射され前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信電磁波から測定制御部により、前記被測定物の散乱電界のパターンを積算して求めた等価散乱係数から遠方領域のレーダ断面積を求めることを特徴とするレーダ断面積測定装置にある。
【発明の効果】
【0021】
この発明ではより低価格でかつ短時間にレーダ断面積を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ断面積測定装置の構成を示す図である。
【図2】図1の円筒放物面反射鏡の座標系を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ断面積測定装置の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるレーダ断面積測定方法を説明するための図である。
【図5】従来の放物面反射鏡を用いたコンパクトレンジによる装置の座標系を示す図である。
【図6】従来の放物面反射鏡を用いたコンパクトレンジによる装置の構成を示す図である。
【図7】従来の別の装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ断面積測定装置の構成を示す図である。1は鉛直方向の断面形状が放物線であり水平方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡である。2は球面状の波面を有する電磁波を円筒放物面反射鏡1に照射する送信アンテナである。3は円筒放物面反射鏡1で反射された電磁波を受ける受信アンテナである、4は被測定物で、56は被測定物4の大きさに基づいて要求される遠方界より近い近距離の位置で、被測定物4を向きを可変に支持する支持台で、Az面内(水平面内)に回転するAz回転機構5とEI面内(鉛直面内)に回転するEI回転機構6を備える。10は制御プログラムに従って動作するコンピュータで構成される測定制御部であり、送信アンテナ2、受信アンテナ3、支持台56に接続して測定制御を行う。この制御プログラムは記憶媒体に格納して運用することが可能である。
【0024】
送信アンテナ2から放射された電磁波は、円筒放物面反射鏡1で反射され、波面の鉛直方向の曲率が0となる円筒波に変換され、被測定物4に照射される。更に、被測定物4で反射した電磁波は、円筒放物面反射鏡1で反射され、受信アンテナ3で受信される。
【0025】
円筒放物面反射鏡1の動作原理を、図2に示す円筒放物面反射鏡1の円筒放物面の座標系を用いて説明する。図2は円筒放物面反射鏡1の座標系を示す図であり、円筒放物面反射鏡1はy軸方向に変化はなく同一の形状である。円筒放物面反射鏡1はxz断面内において、放物線であらわされる。図2において、点Fを放物線の焦点、xz面内の円筒放物面反射鏡1の円筒放物面の任意の点をPとする。
【0026】
図1の送信アンテナ2、受信アンテナ3は、図2の焦点F近傍に設置されている。点Fから点Pまでの距離をa、点Pから開口面までの距離をaとすると、距離a+aは一定値となる。距離aは開口面から被測定物4で示された図1のAz回転機構5のAz回転軸までの距離である。焦点距離をf、y軸方向の鏡面の長さをyとすると、この円筒放物面反射鏡1の円筒放物面の座標(x,y,x)は下記の式(3)で与えられる。
【0027】
【数3】

【0028】
上述の非特許文献1で説明した放物面反射鏡では、放射方向にr座標をとり、鏡面上の任意の点Pに対して距離が一定であったが、円筒放物面ではxz断面内でのみ距離が一定となる点が異なる。円筒放物面で反射された電磁波の波面は、xz断面内でのみ曲率が0となる円筒波となる。
【0029】
送信アンテナ2から放射された球面波は、この円筒放物面反射鏡1で反射後に、波面の鉛直方向の曲率が0となる円筒波となり、被測定物4に照射される。したがって、この測定系で測定した散乱電界の一次元パターンから、上述の非特許文献2にも記載されている近傍界/遠方界変換技術を適用し、遠方領域のレーダ断面積を測定することができる。以下にこの方法を説明する。
【0030】
図1に示す構成において、遠方領域のレーダ断面積を求めたい角度をφ=0とし、被測定物4をAz方向に回転角φだけ回転させて測定した散乱電界をEs(φ)とする。この散乱電界は振幅、位相を含む複素振幅とする。測定範囲がφwの散乱電界から下記の式(4)で散乱体固有の等価散乱係数Se(y)を求める。
【0031】
【数4】

【0032】
ここで、kは波数、測定距離ρは図2に示す座標系のパラメータを用い、下記の式(5)で表される。
【0033】
【数5】

【0034】
式(4)から被測定物4をy軸方向に投影した領域相当の大きさywの等価散乱係数Se(y)を求め、下記の式(6)でAzの角度が0度方向の遠方領域におけるレーダ断面積σを求めることができる。
【0035】
【数6】

【0036】
Az面の方向φ'のレーダ断面積を求める場合には、φ'の角度だけオフセットした散乱電界パターンを用い、式(4)より等価散乱係数Se(y)を求め、式(6)より遠方領域のレーダ断面積をもとめればよい。
【0037】
EI角の異なる方向のレーダ断面積を求める場合には、EI角を所望の角度に設定し、Az面の散乱電界パターンを測定しなおして、式(4),式(6)を適用すればよい。
【0038】
円筒放物面反射鏡1は放物面反射鏡に比べて容易に製造が可能であり、かつ廉価である。また、近傍界/遠方界変換に必要となる近傍領域の散乱電界パターンは一次元のみでよく、短時間に測定することが可能である。
【0039】
なお、この実施の形態において、円筒放物面反射鏡1の端部の形状に凹凸をつけ、端部回折の効果を低減し、高精度に測定することも可能である。
【0040】
同様に円筒放物面反射鏡1の端部形状に丸みをつけ、端部回折の効果を低減し、高精度に測定することも可能である。
【0041】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2によるレーダ断面積測定装置の構成を示す図である。上記実施の形態のものと同一もしくは相当部分は同一符号で示し説明を省略する。この実施の形態では、図1の円筒放物面反射鏡1を、水平方向に沿って並べられたそれぞれ鉛直方向の断面形状が放物線であり水平方向の断面形状が直線となる複数の分割円筒放物面反射鏡部1aで構成している。その他の部分は上記実施の形態と同様である。
【0042】
この実施の形態においては、円筒放物面反射鏡が複数の部分に分割されて構成されているため、個々の分割円筒放物面反射鏡部の水平方向の大きさが小さいため、より製造が容易で、高精度な鏡面を実現できるという利点がある。
【0043】
実施の形態3.
またこの発明の実施の形態3では、電波の照射方向に大きな散乱体のレーダ断面積測定における測定精度を向上させる。図4は実施の形態3における散乱係数について説明するための図である。特定の波数kにおける散乱体固有の等価散乱係数Se(y,k)を式(4)より求める。この等価散乱係数Se(y,k)は、波数kにおいて、図4の(a)に示すように、y軸上に投影された物理量である。
【0044】
この実施の形態では、散乱電界パターンを波数領域の帯域kwに渡り測定する。次に、波数領域の帯域kwの散乱電界パターンに対して、帯域kwの各波数kの等価散乱係数Se(y,k)を、実施の形態1を繰り返し適用して算出する。次に、帯域kwの等価散乱係数Se(y、k)を、下記式(7)に従い、逆フーリエ変換し、空間座標xとyに関する2次元の散乱係数S(x,y)を求める。
【0045】
【数7】

【0046】
この散乱係数S(x,y)は、図4の(b)に示すように、座標xとyに関する2次元空間内の物理量になる。2次元領域の散乱係数S(x,y)を用い、式(8)に従い角度φ方向のレーダ断面積σを求める。
【0047】
【数8】

【0048】
この測定方法では、2次元空間の散乱係数を求めているため、電波の照射方向に大きな散乱体に対して、高精度にレーダ断面積を求めることができる。
【0049】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されることなくこれらの実施の形態の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
【0050】
さらに上記各実施の形態の説明では、発明の便宜上、レーダ断面積測定装置の測定系を鉛直方向、水平方向に基づき定義し、円筒放物面反射鏡や分割円筒放物面反射鏡部、円筒波のそれぞれの断面形状の方向、さらに被測定物の支持台の回転機構の可動方向をこれらに基づいて説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。すなわち、測定系が任意の3次元空間に定義された場合、例えば、円筒放物面反射鏡1や分割円筒放物面反射鏡部1aは、被測定物4への照射電磁波の波面内(電磁波の進行方向に直交する面内)の第1の方向の断面形状が放物線であり前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線であればよい。この場合、被測定物4への照射電磁波である円筒波は、波面内(電磁波の進行方向に直交する面内)の前記第1の方向の曲率が0となる。また支持台56は、Az面内(前記第2の方向の面内)に回転する(または前記第1の方向の軸回りに回転する)Az回転機構5と、EI面内(前記第1の方向の面内)に回転するEI回転機構6(または前記第2の方向の軸回りに回転する)を備えることになる。
【符号の説明】
【0051】
1 円筒放物面反射鏡、1a 分割円筒放物面反射鏡部、2 送信アンテナ、3 受信アンテナ、4 被測定物、5 Az回転機構、6 EI回転機構、10 測定制御部、56 支持台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するレーダ断面積測定装置であって、前記被測定物への照射電磁波の進行方向に直交する面内の第1の方向の断面形状が放物線であり前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡に電磁波を反射させて波面の前記第1の方向の曲率が0となる円筒波を、前記近距離に位置し向きが可変の前記被測定物に照射し、前記被測定物で反射され前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信電磁波から測定制御部により、前記被測定物の散乱電界のパターンを積算して求めた等価散乱係数から遠方領域のレーダ断面積を求めることを特徴とするレーダ断面積測定装置。
【請求項2】
送信アンテナからの電磁波を反射して、前記円筒波に変換して前記被測定物に向け、さらに前記被測定物からの反射された電磁波を反射して受信アンテナに向ける前記円筒放物面反射鏡と、
前記被測定物を向きを可変に支持する支持台と、
前記支持台を駆動させて前記被測定物の向きを制御し、
前記受信アンテナでの受信電磁波から、前記被測定物の散乱電界のパターンを測定する手段、
散乱電界のパターンを積算して等価散乱係数を求める手段、
前記等価散乱係数から遠方領域のレーダ断面積を求める手段、
を含む前記測定制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ断面積測定装置。
【請求項3】
送信アンテナからの電磁波を反射して、前記円筒波に変換して前記被測定物に向け、さらに前記被測定物からの反射された電磁波を反射して受信アンテナに向ける前記円筒放物面反射鏡と、
前記被測定物を向きを可変に支持する支持台と、
前記支持台を駆動させて前記被測定物の向きを制御し、前記受信アンテナでの受信電磁波から、所定の波数領域の有限帯域に渡り散乱電界のパターンを測定する手段、前記散乱電界パターンに対し前記有限帯域の各波数の等価散乱係数を求める手段、前記等価散乱係数を波数について逆フーリエ変換し散乱係数の2次元空間分布を求め、前記散乱係数を2次元空間領域で積分して遠方領域のレーダ断面積を求める手段、を含む前記測定制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ断面積測定装置。
【請求項4】
前記円筒放物面反射鏡が前記第2の方向に沿って並べられた複数の分割円筒放物面反射鏡部からなることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のレーダ断面積測定装置。
【請求項5】
被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するレーダ断面積測定方法であって、前記被測定物への照射電磁波の進行方向に直交する面内の第1の方向の断面形状が放物線であり前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡に電磁波を反射させて波面の前記第1の方向の曲率が0となる円筒波を、前記近距離に位置する向きが可変の前記被測定物に照射し、前記被測定物で反射され前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信電磁波から、前記被測定物の散乱電界のパターンを積算して求めた等価散乱係数から遠方領域のレーダ断面積を求めることを特徴とするレーダ断面積測定方法。
【請求項6】
前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信電磁波から、所定の波数領域の有限帯域の等価散乱係数を求め、前記等価散乱係数を波数について逆フーリエ逆変換し散乱係数の2次元空間分布を求め、前記散乱係数を2次元空間領域で積分して遠方領域のレーダ断面積を求めることを特徴とする請求項5に記載のレーダ断面積測定方法。
【請求項7】
被測定物の大きさに基づいて要求される遠方界でのレーダ断面積をより近距離で測定するために、前記被測定物への照射電磁波の進行方向に直交する面内の第1の方向の断面形状が放物線で前記第1の方向と直交する第2の方向の断面形状が直線となる円筒放物面反射鏡に送信アンテナからの電磁波を反射させて波面の前記第1の方向の曲率が0となる円筒波を、前記近距離に位置する向きが可変の支持台に支持された前記被測定物に照射し、前記被測定物で反射され前記円筒放物面反射鏡を介して得られる受信アンテナでの受信電磁波から遠方領域のレーダ断面積を求めるレーダ断面積測定装置のコンピュータからなる測定制御部に、
前記支持台を駆動させて前記被測定物の向きを制御すると共に前記送信アンテナに電磁波を発生させる手順と、
前記送信アンテナからの電磁波により前記受信アンテナで得られた受信電磁波から前記被測定物の散乱電界のパターンを測定する手順と、
前記散乱電界を積算して等価散乱係数を求める手順と、
前記等価散乱係数から遠方領域でのレーダ断面積を求める手順と、
を実行させるための制御プログラムを記録した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−266423(P2010−266423A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202850(P2009−202850)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】