説明

レール式運搬装置

【課題】船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための自動化設備を運搬するために用いることによって、断熱材に対する作業の効率を向上し、断熱材を保護し、正確な移動が可能なレール式運搬装置を提供する。
【解決手段】荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための自動化設備を運搬するために用いられるレール式運搬装置が提供される。前記レール式運搬装置は、断熱材に取り外し可能に取り付けられる一対のレールと、前記レールに着脱自在に装着され、且つ前記レールに沿って移動可能な、前記自動化設備を運搬するための運搬フレームと、前記運搬フレームに設置され、前記運搬フレームが前記レールに装着されたときに前記レールとロール接触するように構成された駆動車輪を有する駆動部と、前記運搬フレームに設置された支持車輪組立体とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための多様な自動化設備を運搬するレール式運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶の荷室の内部空間を断熱するために、数千或いは数万のパネル状の断熱材(例えば、断熱パネル)が、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられている。断熱材を取り付ける作業は、ほとんどが手作業で行われており、部分的に自動化設備を用いて作業が行われているのが現状である。特に、船舶の荷室内で支柱取り付け作業を行うための従来の自動化機械は、特定のパネルと共に使用するように設計及び作成されており、それ故に後述するような様々な問題点が指摘されている。
【0003】
「特定のパネル」という用語は、概ね直方体の形状をなすように形成され且つ特定の荷室内でのみ使用される種類のパネルを意味する。そのパネルは、断熱層と該断熱層に重ねられた合板層とを含む。前記合板層と前記断熱層との接合部の周囲にはスリットが形成されている。複数の前記特定のパネルが、荷室に関する技術規格に従って該荷室の内壁表面に配置される。隣接するパネルとパネルとの間に断熱材間溝が形成され、格子状の方向に延在する。このことを考慮して、船舶の荷室内で作業を行うための従来の自動化機械は、支持ベースとしての合板層の側面を押すときに生成される摩擦力を用いて、該自動化機械を前記断熱材間溝に沿って移動させるという駆動方法を利用している。具体的には、前記従来の自動化機械は、例えばスキーのようなガイド機構が前記スリットに挿入され且つ支持された状態で動く駆動部を備える。
【0004】
しかしながら、前記従来の自動化機械の駆動部は、前記パネルの前記合板層を押しながら移動する必要があるため、前記合板層の側面領域は、前記合板層の前記側面に加えられる過度の力によって破損する恐れがある。
【0005】
また、特定の形状のスリットを前記パネルの前記合板層の下部に設ける必要と、該スリットに挿入されるガイド機構を前記従来の自動化機械に取り付ける必要とがあるため、技術的な問題が必然的に生じる。この点に関して、前記スリットに挿入される前記ガイド機構は、前記駆動部が上下左右の各方向へ移動する間に、前記駆動部が前記断熱材間溝から脱落する又は外れるのを防止する一種の安全装置としての役割を果たす。
【0006】
特に、前記パネルの配置特性により前記断熱材間溝において前記合板層が存在しない領域が所々に形成される。従って、複数の前記合板層が存在しない領域をブリッジするための複数のコネクタを更に使用する必要がある。前記コネクタを取り付ける際に生じる不都合は別として、前記合板層が存在しない領域に前記コネクタが追加的に取り付けられた場合、従来の自動化機械が正確な移動性能を保つことは難しい。
【0007】
また、従来技術では断熱パネルは手作業で取り付けられている。そのため、パネルを荷室の内壁表面に正確に配置して取り付けるために、熟練作業者ができる限りの努力をしたとしても、各パネルの合板層間の接合部には隙間が残る。前記隙間の存在は、機械の車輪が的確な通路に沿って回転することを難しくさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための多様な自動化設備を運搬するレール式運搬装置を提供することにある。また前記レール式運搬装置は、前記断熱材に対して行われる作業の効率を向上させることができ、前記断熱材を損傷させないようにしつつ正確な移動性能を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための多様な自動化設備を運搬するためのレール式運搬装置であって、前記断熱材に取り外し可能に取り付けられた一対のレールと、前記レールに着脱自在に装着され、且つ前記レールに沿って移動可能な、前記自動化設備を運搬するための運搬フレームと、前記運搬フレームに設置され、前記運搬フレームが前記レールに装着されたときに前記レールとロール接触するように構成された駆動車輪を有する駆動部と、前記運搬フレームに設置され、前記レールと係合する又は脱離するために前記レールに対して近づく又は遠ざかる方向に移動可能な支持車輪を有する支持車輪組立体とを含むことを特徴とするレール式運搬装置が提供される。
【0010】
本明細書中で用いられる「多様な姿勢」という用語は、前記運搬装置が船舶の荷室の内壁表面に沿って自動で移動する間に該運搬装置が呈する多様な姿勢であって、フラットな姿勢、水平姿勢、垂直姿勢、上方配置姿勢などを意味するように用いられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレール式運搬装置は、運搬フレームがレールに沿って移動する種類のものである。このことにより、断熱材又は合板層の破損の恐れがないという利点を提供する。
【0012】
また、本発明のレール式運搬装置は、前記運搬フレームが前記レールの内側端部で支持され、且つ前記レールの内側端部に沿って移動する種類のものである。このことにより、各断熱材の合板層の下部にスリットを形成する必要性がなくなる。また、このことにより、前記運搬フレームの移動性能を向上し、正確な移動制御を保証しつつ、多様な姿勢のうちのいずれか1つの姿勢を取りながら走行できるようにする。
【0013】
更に、本発明のレール式運搬装置はレールを使用する。このことにより、断熱材間溝において合板層が存在しない領域をブリッジするためのコネクタを追加的に取り付ける必要性がなくなる。
【0014】
また、本発明のレール式運搬装置は、前記運搬フレームを前記レールに取り付ける際に、ネジ締付式又はバネ付勢式支持車輪組立体を使用する。このことにより、前記運搬フレームの前記レールに対する着脱が迅速且つ容易に行えるようにし、それによって作業者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるレール式運搬装置の斜視図である。
【図2】図1に示すレール式運搬装置の一部を拡大した図を含む、該レール式運搬装置の側断面図である。
【図3】本発明のレール式運搬装置で使用される支持車輪組立体の断面図である。
【図4】図3に示す支持車輪組立体を部分的に切り欠いた、該支持車輪組立体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるレール式運搬装置を示す斜視図である。図2は、図1に示すレール式運搬装置の所定部分の詳細な拡大図を含む該レール式運搬装置の側断面図である。図3は、本発明のレール式運搬装置で用いられる支持車輪組立体の断面図である。図4は、図3に示す支持車輪組立体を部分的に切り欠いた、該支持車輪組立体の側面図である。
【0018】
まず図1及び図2に示すように、本発明のレール式運搬装置は、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材1(例えば、断熱パネル)に対して様々な作業を行うための多様な自動化設備を運ぶ運搬フレーム100を備える。前記自動化設備によって行われる作業の例としては、断熱材1へのカバーシートの取り付け、前記カバーシートの表面又は断熱材1の表面に対するプラズマによる前処理、ボルト孔への発泡プラグの挿入、隣接する断熱材1へのフラットジョイントの取り付けなどが挙げられる。言うまでもないが、運搬フレーム100は、前記船舶の荷室の内壁表面に沿って移動させる必要のある他の設備又は装置を運び得る。この点に関して、断熱材間溝9は、隣接する断熱材1間の隙間8の真上に格子状方向に延在するように形成される。
【0019】
本発明のレール式運搬装置は、断熱材間溝9に沿って延在する隣接する2つの断熱材1に固定的に取り付けられた一対の平行レール200を更に含む。レール200は、支持ベースとしての役割を果たし、運搬フレーム100はレール200に沿って移動する。
【0020】
レール200は、ボルト、クランプなどの留め具(従来の固定手段)を用いて断熱材1に取り外し可能に固定される。例えば、レール200は、断熱材1の固定用孔99を挿通して上方に突出したスタッドボルトにナットを締結することによって断熱材1に固定される。
【0021】
運搬フレーム100は、運搬フレーム100の両側部分に配置された駆動部300を有する。駆動部300は、電力などの動力によって作動され、運搬フレーム100をレール200に沿って移動させるように構成される。それぞれの駆動部300は、駆動モータ320を有する。
【0022】
運搬フレーム100は、各種装置又はシステムのコントローラ、自動化モジュール、可搬式電源、安全装置、割り当てられた作業を行うのに必要な他の装置などを搭載するための構造体である。運搬フレーム100は、アルミニウムなどの極めて軽量な構造材料で作られ、歪み又は他の変形に対して強い抵抗力を有する構造をなすように作成される。
【0023】
運搬フレーム100は、一対の長手方向桁部材と、前記一対の長手方向桁部材に離間関係をなすようにして取り付けられた複数の梁とを有する。運搬フレーム100が組み立てられたとき、その組み立てられた運搬フレーム100が方向、大きさ、仕様及びレイアウトに関する特定の設計要件に適合できるように、前記一対の長手方向桁部材及び前記複数の梁は、適切な留め具を用いて一体に組み立てられる。図示していないが、運搬フレーム100には、支持脚、ハンドル及び安全バーが備えられる。駆動モータ320を含む各種設備、装置、センサ及び構成要素を、ボルト及びナットを用いて運搬フレーム100に自在に取り付けることができる。
【0024】
レール200は、断熱材間溝9の両側に配置された断熱材1の上部コーナー部に取り付けられる。レール200は、断熱材間溝9の長さ方向(例えば、X軸方向)に延在し得る。
【0025】
各レール200には、対応する断熱材1の上部コーナー部と密接に接触する係止段部211が形成される。更に、各レール200は、対応するレール200の上面から凹部をなすようにして係止段部211の反対側に形成された係合面212を有する。各レール200の一側端部の上側及び下側領域には、上方及び下方に傾斜したガイド面213、214が形成される。各レール200の前記一側端部は、断面五角形の形状をなすように形成され、後述する支持車輪351がカム従動子のように接触できるようにする。ガイド面213、214の間の前記一側端部には先端面219が形成される。
【0026】
各レール200の係合面212には、セットスクリューを用いて細長いラックギア220が取り付けられる。ラックギア220は、後述する各駆動部300のピニオンギア310がラックギア220と係合することができるように取り付けられる。或いは、ラックギア220は、各レール200と一体的に形成され得る。各レール200は、ボルト、クランプなどの留め具を用いて断熱材1に一時的に又は取り外し可能に取り付けられ、所望の作業が完了した後に断熱材1から取り外される。
【0027】
レール200は、材木などの木質材料、アルミニウム合金などの高強度軽量金属、エンジニアリングプラスチックなどの高強度合成樹脂材料、又はガラス強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料で作成されることが好ましい。材料が予め定められた荷重に耐えられる又はその荷重に耐えるのに十分な許容歪みを提供するものであるならば、そのような材料でレール200が作成され得る。
【0028】
各レール200の係合面212は、後述する各駆動部300のピニオンギア310がレール200と干渉することなく係合面212に沿って自在に移動するのに十分な幅Wを有する。駆動部300は対になって、運搬フレーム100の前後左右の各部に取り付けられており、このことにより、駆動部300は運搬フレーム100をレール200に沿って走行させることができる。
【0029】
図2に最もよく示されるように、各駆動部300は、各レール200のラックギア220と係合するピニオンギア310と、ピニオンギア310を回転させるために運搬フレーム100に取り付けられた駆動モータ320とを含む。駆動モータ320のモータケーシングには、横方向に延在する取付ブラケット330が固定的に取り付けられる。取付ブラケット330には、支持車輪組立体340が取り付けられる。支持車輪組立体340は、運搬フレーム100の脱線を防止するために、各レール200の一側端部に選択的に結合される。支持車輪組立体340は、取付ブラケット330に取り付けられた軸線方向に移動可能な可動シャフト341と、可動シャフト341の先端に取り付けられた車輪支持ブロック350と、車輪支持ブロック350に回転自在に取り付けられ且つ各レール200の一側端部と係合する方式で配置された一対の支持車輪351と、可動シャフト341のもう一方の端部に取り付けられたレバー状のハンドル342とを含む。レバー状のハンドル342を順方向又は逆方向に回転したとき、可動シャフト341、車輪支持ブロック350及び支持車輪351は各レール200の前記一側端部に対して近づく又は遠ざかる方向に移動する。
【0030】
運搬フレーム100は、各駆動部300のピニオンギア310が各レール200のラックギア220と係合され、更に支持車輪組立体340の支持車輪351を各レール200のガイド面213、214とロール接触(転がり接触)させた状態でレール200に沿って移動する。
【0031】
図示してはいないが、駆動モータ320のトルクは、支持車輪組立体340の支持車輪351に伝達され得る、又は各レール200のガイド面213、214とロール接触する別個の駆動車輪に伝達され得る。この場合、運搬フレーム100は、支持車輪351間で生成される摩擦力、又は別個の駆動車輪とレール200との間で生成される摩擦力によって駆動される。
【0032】
支持車輪351は、仮想平面(可動シャフト341の軸線のある平面)に対して+45°の上向き車輪配置角度及び−45°の下向き車輪配置角度で傾斜して保持される。従って、支持車輪351は、各レール200のガイド面213、214と密接に接触させることができ、それによって運搬フレーム100の脱線を防止する。
【0033】
本発明では、駆動モータ320は、DCモータ又はサーボモータのいずれかであり得る。また駆動モータ320は、減速ギア、ベアリング、モータエンコーダ、及び内蔵型ブレーキから構成される。この点に関して、内蔵型ブレーキは、走行ブレーキとしての役割を果たす(図示せず)。
【0034】
前記走行ブレーキは、駆動モータ320に内蔵され、駆動モータ320が回転に抵抗するように構成される。前記走行ブレーキは、通常は駆動モータ320のシャフトと係合していない電磁式拘束手段を備える。非常事態の場合、又は通常の作業プロセス中に運搬フレーム100の動作を停止する必要がある場合、(バッテリ又はコンデンサなどの非常用電源又は商用電源の)電力が前記電磁式拘束手段に供給される。電力の供給に応じて、前記電磁式拘束手段は、駆動モータ320のシャフトが回転に抵抗するようにし、それによって運搬フレーム100の動作を停止させる。
【0035】
潤滑及び異物の除去のために、取付ブラケット330と可動シャフト341との間にはガイドブッシュ360が取り付けられる。支持車輪組立体340のレバー状のハンドル342は、特定の方向に手動で回転されたときにレバー状のハンドル342が締付力を生成することができるように、周知の心押し台で用いられるネジ式締付機構と結合される。
【0036】
例えば、支持車輪組立体340のレバー状のハンドル342が順方向又は逆方向に回転された場合、可動シャフト341は、両方向矢印Sで示すように前進又は後退する。換言すれば、ハンドル342を順方向に回転させることによって締付力が生成される場合、可動シャフト341はレール200に対して近づく方向に移動され、支持車輪351がガイド面213、214とロール接触できるようにする。従って、運搬フレーム100はレール200と係合され、意図しない脱線が防止される。逆に、ハンドル342を逆方向に回転させることによって緩める力が生成される場合、可動シャフト341はレール200から遠ざかる方向に移動され、支持車輪351をガイド面213、214から離すことができるようにする。結果として、運搬フレーム100をレール200から外すことが可能になる。
【0037】
運搬フレーム100がレール200に装着されたとき、各駆動部300のピニオンギア310は、各レール200のラックギア220と係合する。この状態で駆動モータ320が作動された場合、駆動モータ320のトルクがピニオンギア310に伝達され、ピニオンギア310を回転させてラックギア220に沿って移動させることができる。このことにより、運搬フレーム100が断熱材間溝9に沿って目的地に向かって移動することを可能にする。
【0038】
上述したように、本発明のレール式運搬装置では、運搬フレーム100は、断熱材1に取り付けられたレール200に沿って移動するように構成される。従って、断熱材1の合板層を破損する恐れがない。
【0039】
また、本発明のレール式運搬装置は、運搬フレーム100がレール200で支持され、且つレール200に沿って移動する種類のものである。このことにより、各断熱材1の合板層の下部にスリットを形成する必要性がなくなる。また、このことにより、断熱材間溝9に存在する合板層がない領域をブリッジするためにコネクタを追加的に取り付ける必要性もなくなる。
【0040】
本実施形態では、係合ハンドル組立体340は運搬フレーム100の両側の側部に取り付けられているが、1つの支持車輪組立体を運搬フレーム100の一方の側部にのみ取り付けることも可能である。
【0041】
また、本実施形態では、運搬フレーム100はラック−ピニオン機構の駆動力によって移動させられるが、他の駆動方式が運搬フレーム100をレール200に沿って移動させることができるならば、そのような他の駆動方式を使用することもできる。
【0042】
図3及び図4を参照すると、支持車輪組立体340は、各駆動部300の取付ブラケット330に固定的に取り付けられた円筒形ハウジング343を有する。円筒形ハウジング343は、螺旋状ガイド溝344を有する。螺旋状ガイド溝344には、レバー状のハンドル342がクイックカップリング方式で嵌合され、回転時に、レバー状のハンドル342が螺旋状ガイド溝344により画定された移動経路に沿って移動できるようにする。螺旋状ガイド溝344は、ハンドル342の動きをガイドするための機械的なガイドとしての役割を果たす。
【0043】
支持車輪組立体340は、円筒形ハウジング343に回転自在に設置された中空の回転シリンダ345を更に含む。ハンドル342は、その内側端部が回転シリンダ345に固定される。ハンドル342が螺旋状ガイド溝344に沿って順方向又は逆方向に螺旋状に移動する場合、回転シリンダ345も回転運動をしながら前進又は後退する。
【0044】
可動シャフト341の直径よりも小さい直径を有し、可動シャフト341と一体的に形成された延長シャフト部材341aが回転シリンダ345内に挿入される。回転シリンダ345の長手方向の端部の一方には、延長シャフト部材341aの直径より大きい直径を有するストッパ空間が形成される。前記ストッパ空間内部にワッシャ347が収容され、セットスクリューを用いて延長シャフト部材341aの一方の端部に取り付けられる。ワッシャ347は、可動シャフト341及び延長シャフト部材341aがストッパ空間によって許容されるストロークの範囲内でのみ動くことを可能にするストッパとしての役割を果たす。
【0045】
可動シャフト341の外周面には、可動シャフト341の軸線方向に延在するガイドスロット341bが形成される。円筒形ハウジング343の内周面から内側に突き出るかぎ部は、ガイドスロット341bと摺動自在に係合される。このことにより、可動シャフト341及び延長シャフト部材341aが回転運動をしないで直線的に移動するようにする。
【0046】
延長シャフト部材341aの周囲には、支持車輪組立体340を迅速に結合する及び解放するために必要な弾性反力を生成するための圧縮バネ346が設置される。圧縮バネ346の一方の端部は回転シリンダ345の中間部分に取り付けられたストッパリングと接触し、圧縮バネ346のもう一方の端部は可動シャフト341のステップ面341cと接触し続ける。
【0047】
圧縮バネ346の弾性反力を用いることにより、支持車輪組立体340は、比較的迅速なロック動作、圧力調整動作、及び比較的迅速なリリース動作を行うことができる。
【0048】
ロック動作では、作業者がハンドル342を順方向に回転した場合、ハンドル342は螺旋状ガイド溝344によって画定された螺旋状経路に沿って螺旋状に移動し、その後に螺旋状ガイド溝344の直線経路の終点で停止する。このとき、圧縮バネ346の弾性反力が作用する方向は、螺旋状ガイド溝344の直線経路に対して垂直である。従って、ハンドル342は、螺旋状ガイド溝344の直線経路において停止されたままの状態に保たれる。
【0049】
ハンドル342の螺旋状の動作と同時に、回転シリンダ345も螺旋状に動作し、その後に停止する。このとき、圧縮バネ346は回転シリンダ345のストッパリングによって圧縮され、その結果、圧縮バネ346の弾性反力が可動シャフト341のステップ面341cに対して作用する。結果として、可動シャフト341、車輪支持ブロック350及び支持車輪351は、レール200のガイド面213、214に対して近づく方向に移動される。支持車輪351は、各レール200のガイド面213、214と係合し、それによって運搬フレーム100がレール200から外れるのを防止する。
【0050】
リリース動作では、作業者がハンドル342を逆方向に回転した場合、ハンドル342は螺旋状ガイド溝344の直線経路から移動して螺旋状経路に進入する、その際、ハンドル342は圧縮バネ346の弾性反力により速やかに元の位置に戻される。同時に、回転シリンダ345は後退させられ、それによって延長シャフト部材341aのワッシャ347を押す。結果として、可動シャフト341、車輪支持ブロック350及び支持車輪351が速やかにその元の位置に戻される。このことにより、運搬フレーム100をレール200から外すことができるようにする。
【0051】
本発明の実施形態を上記の通り説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく多様な変更及び変形を行うことができることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のレール式運搬装置は、船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための多様な自動化設備を運搬することに関する分野において有利に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の荷室の内壁表面に取り付けられた断熱材に対して様々な作業を行うための自動化設備を運搬するためのレール式運搬装置であって、
前記断熱材に取り外し可能に取り付けられた一対のレールと、
前記レールに着脱自在に装着され、且つ前記レールに沿って移動可能な、前記自動化設備を運搬するための運搬フレームと、
前記運搬フレームに設置され、前記運搬フレームが前記レールに装着されたときに前記レールとロール接触するように構成された駆動車輪を有する駆動部と、
前記運搬フレームに設置され、前記レールと係合する又は脱離するために前記レールに対して近づく又は遠ざかる方向に移動可能な支持車輪を有する支持車輪組立体とを含むことを特徴とするレール式運搬装置。
【請求項2】
前記支持車輪組立体は、
螺旋状の溝が形成された円筒形ハウジングと、
前記円筒形ハウジング内に回転自在に設置された中空の回転シリンダと、
前記レールに対して近づく又は遠ざかる方向に移動することができるように前記円筒形ハウジング内に摺動自在に挿入され、且つその先端にて前記支持車輪を保持する可動シャフトと、
前記可動シャフトに固定され、且つ前記円筒形ハウジング内に摺動自在に設置された延長シャフト部材と、
前記延長シャフト部材を取り囲むように設置された圧縮バネと、
前記円筒形ハウジングの前記螺旋状の溝に嵌合され、その内側端部が前記中空の回転シリンダに固定されたハンドルとを含むことを特徴とする請求項1に記載のレール式運搬装置。
【請求項3】
前記各レールは、その一側端部にて上方傾斜ガイド面及び下方傾斜ガイド面を有し、
前記支持車輪は、前記上方傾斜ガイド面及び下方傾斜ガイド面とロール接触するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のレール式運搬装置。
【請求項4】
前記各レールの前記一側端部の下面に、前記断熱材の上部コーナー部と接触するための係止段部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載のレール式運搬装置。
【請求項5】
前記レールは、木質材料、高強度軽量金属、高強度合成樹脂材料、及び複合材料からなる群より選択される1つの部材で作成されることを特徴とする請求項3に記載のレール式運搬装置。
【請求項6】
前記高強度軽量金属は、アルミニウム合金を含むことを特徴とする請求項5に記載のレール式運搬装置。
【請求項7】
前記高強度合成樹脂材料は、エンジニアリングプラスチックを含むことを特徴とする請求項5に記載のレール式運搬装置。
【請求項8】
前記複合材料は、ガラス強化プラスチック及び炭素繊維強化プラスチックを含むことを特徴とする請求項5に記載のレール式運搬装置。
【請求項9】
前記各レールは、長手方向に延在する細長いラックギアを有し、
前記駆動車輪は、前記運搬フレームが前記レールに装着されたときに前記ラックギアと係合可能なピニオンギアであることを特徴とする請求項1に記載のレール式運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513135(P2010−513135A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542646(P2009−542646)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006655
【国際公開番号】WO2008/075894
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(508192407)三星重工業株式会社 (21)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG HEAVY IND.CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】530,Jangpyeong−ri,Shinhyeon−eup,Geoje−si,Gyeongsangnam−do, Republic of Korea