説明

レール置き台

【課題】 使用勝手が良好で、これまでにないレール専用の置き台を提供する。
【解決手段】 台枠1上に、レールRを上縁11aに載せて受支する載置台11と、該載置台11の前記上縁11aより上端が突出する規制材12,12Aを、該規制材間に前記載置台を介在させて設ける。そして、前記載置台11の、前後の一側に受支材3で回動自在に支持させた支軸7を横設し、該支軸7の端部周側に切替レバー10を突設する。また、この切替レバー10を倒伏したとき、前記載置台11の上縁11aに前記切替レバー10の起立時に載せたレールRを押し上げて受支する案内ローラ9を、前記支軸7に偏心させて設けた大径軸部8の外側に回動自在に組付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路のレール交換用のための新レールを、線路脇に仮置きする際に用いるレール置き台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レール交換に際し、新レールを予め、線路(本線)脇に仮置きするときがあるが、これまで、仮置きするための特別なものはなく、概し、使い古しの枕木を数メートルおきに配置し、この上に車輌で運んだ新レールを下ろし、レールが横方向に移動しないように殊に、曲路において、適宜の個所に、犬釘を枕木に打ち込んで仮置き状態を保つようにしている。
【0003】
そして、交換作業をするに際し、仮置き位置から縦方向(レールの長手方向)に移動する必要が生じたときは、山越器などを用いて吊上げて、その下に縦方向移動用のローラを設置して、該ローラによって移動を補助させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要するに、従来例のレール置き台としての使い古しの枕木材は、殊に、曲路に用いる場合は犬釘を打込んで脱落を防ぐ必要があり、また、軌道に沿う方向の移動に際しては、別体の専用ローラの設置作業を必要とするなど使い勝手が必ずしも良好とはいえない。
【0005】
本発明は、このような常況のもとに、使用勝手が良好で、これまでなかった専用のレール置き台を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
台枠上に、レールを上縁に載せて受支する載置台と、該載置台の前記上縁より上端が突出する規制材を、該規制材間に前記載置台を介在させて設けると共に、前記載置台の前後いずれかの一側に、受支材で回動自在に支持させた支軸を横設し、該支軸の端部周側に切替レバーを突設し、前記切替レバーを倒伏したとき、前記載置台の上縁に前記切替レバーの起立時に載せたレールを押し上げて受支する案内ローラを、前記支軸に偏心させて設けた大径軸部の外側に回動自在に組付けた、構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、道床上に適宜数のものを配して新レールを載置台に載置することにより、レール置き台として機能し、しかも、規制材の存在によって脱落のおそれがなく、レールを所定個所に確実に確保するレール置き台を提供できる。
【0008】
また、切替レバーを回すと、支軸は回り、該支軸の偏心位置にして設けた大径軸部はその偏心位置の関係からレールを押し上げ、レール置き台上方に押し上げてこれを支持し、支持させた状態を保ったまま、レールを長手方向に押すと、レールは案内レールの回転に助けられて移動でき、特別な作業を必要としないで、レールを縦方向に移動することができ、使用勝手の良好なレール置き台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】レールを載せたときの状態の正面図。
【図2】レールを載せたときの状態の平面図。
【図3】図1の拡大断面図。
【図4】レールを移動させるときの状態の正面図。
【図5】レールを移動させるときの状態の平面図。
【図6】図4の拡大断面図。
【図7】レール置き台の配置関係を示す平面図。
【実施例】
【0010】
本発明に係るレール置き台Aは、道床b側の適宜位置に適宜数並べて配置し、道床bの枕木m上にある既設のレールと交換する新レールRを載せて仮置きのために用いるものである。
【0011】
図中、1は台枠で、台枠1は横長方形状の上部片1aと該上部片1aの前後両側に、長手方向に沿わせて相対設した前、後部片1b,1b´とで成る金属製の枠体で構成する。
【0012】
2は、下部を台枠1の上部片1aと前、後部片1b,1b´の端面に熔接して台枠1の相対する両端に立設した把手部片で、把手部片2は、指先通し孔2aを設けて構成した把手部を利用して持ち上げ、移動できるようにしてある。
【0013】
3は、この台枠1の上部片1aの前記把手部片2側の両側中央部にボルト4とナット5とで止着して、設けた受支材3,3で、該受支材3,3には、中間部7aを前記上部片1aの、受支材3,3間に立設した支持部片6の上端の凹みに係合させて支持させた支軸7を、その端部7b,7bにおいて回転自在に支持させてある。
【0014】
支軸7は、前記各端部7bと前記中間部7aとの間に偏心させて設けた、円柱状の大径軸部8,8を備えて成り、この支軸7の大径軸部8の外側に案内ローラ9を嵌め込んで回動自在に(大径軸部8に対して)組付けてある。
【0015】
そして、支軸7の各端部7bの、前記受支材3と大径軸部8間の周側部には、筒体(実施例は円筒であるが角筒でも良い)でなる、切替レバー10の基筒10aを突設し、該基筒10aに挿脱自在に棒状のレバー材10bを組付けられるようにしてある。すなわち、レバー材10bの先端を基筒10aに挿し込んで組付けることにより切替レバー10が構成され(支軸7の周側に腕状に突設した棒状体をここでいう切替レバーとして適用しても良い。実施例は必要なときにのみ基筒10aにレバー材10bを組付けるようにして、レール置き台の保管時や搬送時等不要なときには基筒10aよりレバー材10bを取り外し、嵩ばることによる取扱上の不便さを防ぐようにしてある)、先端を基筒10aに挿し込んで、レバー材10bと基筒10aを互いに組付けて切替レバー10と成し、該レバー10を前記基筒10aを突設した前記支軸7を中心に回すと、該支軸7に偏心させて設けた大径軸部8の外側に嵌めた案内ローラ9は支軸7の回転角度の範囲で回ることになる。
【0016】
実施例は、大径軸部8の偏心軸となる支軸7に切替レバー10を突設し、この切替レバー10が起立状態にあるときの大径軸部8の高さ位置より、倒伏状態にあるときの大径軸部8の高さ位置の方が高い位置にあるように設定してあり、前記の通り、これに回動自在に組付けた案内ローラ9は、該ローラ9を支持する大径軸部8の偏心に従って、切替レバー10が起立状態にあるときは高い位置に、倒伏状態にあるときは低い位置に在り、支軸7からの上方への突出量が変化するようにしてある。
【0017】
この結果、切替レバー10を起立状態にしたときは、後記する載置台11上に載せていたレールRは、そのままの状態で仮置き状態を保ち、倒伏させたときは、載置台11より上方に突出して、載置台11上のレールRを押し上げ、該レールRと交叉方向に位置して該レールRを受支することになる。
【0018】
そして、この状態で案内ローラ9上のレールRを長手方向に押すと、レールRを支えている案内ローラ9は支軸7の大径軸部8に回転自在に組付けてあるので、レールRの移動に従って回転し、レールRの長手方向の移動を補助し、レールの移動は円滑に行われる。
【0019】
前記載置台11は、レールRの仮置き状態時に該レールRを上縁11aで受け、前記支軸7に並べて後方において台枠1の上部片1a上に立設したものである。すなわち、載置台11は、長方形状の金属板で成り、下端部を前記上部片1aに熔接して、上部片1a上に前記支軸7と前後に並べて立設したもので、上縁11aをレールRの載置部とし、レールRの仮置き状態時に該上縁11a上のレールRを受支する。
【0020】
この載置台11の両側には、該載置台11と前記上部片1aとの熔接して立設した規制材(細長い板状体で成るが形状は自由)を設け、規制材12は、上端12aが載置台11の上縁11aと前記案内ローラ9より常時上方に突出した位置にあり、載置台11又は案内ローラ9上のレールRの脱落を防ぐ。
【0021】
また、12Aは、載置台11の中間部に載置台11と前記上部片1aに熔接して設けた中央規制材で、実施例の場合は、支軸7に設けた一対の大径軸部8毎にレールRを配置できる(すなわち、2本のレールRを配置できる)ようになっており、これに対応させて載置台11の上縁11aの左右方向中央に、この中央規制材12Aを設けて、レールRの横移動を防ぎ、所定位置を保つようにしてある。
【0022】
実施例の場合は、2本のレールRを受支し、仮置きするようにしているが、このような中央規制材12Aや案内ローラ9或いは大径軸部8の数を増やしてそれ以上のレールRを仮置きするようにしても良いし、中央規制材12A等を省略して案内ローラ9等を単一なものとして、単一なレールRを仮置きするレール置き台にも、本発明は適用できる。
【0023】
要は、支軸7の端部7bの周側に切替レバー10の基筒10aを起立状態にしたときは、載置台11の上縁11a(レールRの載置縁)より案内ローラ9は下方位置にあってレールR載置台11の上縁11aによる受支状態が保たれ、倒伏状態にしたときは、支軸7に偏心させて設けた大径軸部8に回転自在に組付けた案内ローラ9は、大径軸部8の偏心態様により載置台11の上縁11aより突出してレールRを押し上げ、これを受支するようになっていれば良いのである。
【0024】
そして、道床上に、軌道に沿わせて適宜の間隔をおいてレール置き台Aを並べ、基筒10aを起立させた状態にしてレールRを載置台11(の上縁11a)上に載せて受支させることによりレールRの仮置き状態を得られる。
【0025】
レールRをレール置き台Aから下ろす際は、基筒10aにレバー材10bを挿し込んで組付けて構成した切替レバー10を回動させると、該レバー10の基筒10aを突設した支軸7は回動し、支軸7に偏心させて設けた大径軸部8も回動し、この結果、大径軸部8に回動自在に組付けた案内ローラ9は、大径軸部8の偏心回動により予め設定した範囲で載置台11の上縁より突出して該載置台11上のレールRに接触し、これを押し上げることになる。この押し上げ状態はいわゆるトグル機構によって保持され、この状態で必要に応じてレールRを長手方向に押し、或いは引張ると、レールRの外力の負荷が案内ローラ9に伝わり、案内ローラ9は回動して、その軌道方向に沿う移動が円滑に行われることになる。
【0026】
なお、実施例は、切替レバー10の図3で示す起立時に支軸7の中心より最も離れた案内ローラ9の外周上の点bが、支軸7の中心を通る垂線aより後方側に位置し、切替レバー10の図6で示す倒伏時には前方側に位置してトグル機構を構成するが、b点は実施例位置に限定する必要はない。
【符号の説明】
【0027】
1 台枠
3 受支材
7 支軸
8 大径軸部
9 案内ローラ
10 切替レバー
11 載置台
12,12A 規制材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠上に、レールを上縁に載せて受支する載置台と、該載置台の前記上縁より上端が突出する規制材を、該規制材間に前記載置台を介在させて設けると共に、前記載置台の前後いずれかの一側に、受支材で回動自在に支持させた支軸を横設し、該支軸の端部周側に切替レバーを突設し、前記切替レバーを倒伏したとき、前記載置台の上縁に前記切替レバーの起立時に載せたレールを押し上げて受支する案内ローラを、前記支軸に偏心させて設けた大径軸部の外側に回動自在に組付けた、レール置き台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−169018(P2011−169018A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33433(P2010−33433)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】