説明

レール走行玩具

【課題】 床面上方に形成された多様な形態のコースから成るサーキットを走行させて楽しむことができ、しかも軽量コンパクトであると同時に安価で製造することの可能なレール走行玩具を提供する。
【解決手段】 複数の支持脚44により上方に支持される環状レール1と、環状レール1に吊下げ支持されるとともに該環状レール1に沿って走行自在な玩具本体2とから成るレール走行玩具とする。上記玩具本体2には、環状レール1上を転動する車輪部21と、駆動源であるモータ5と、モータ5により回転駆動されるプロペラ14とを具備させ、プロペラ14の風力を推進力として環状レール1沿いに走行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿って玩具本体を走行させるレール走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロープに吊下げられた状態で該ロープに沿って床面上方を走行させる構造の玩具が知られている(特許文献1参照)。この玩具はいわゆるロープウェイ式の玩具であり、玩具本体から上方に突設して備えてある駆動車輪をロープに引掛けて配置し、玩具本体に内蔵してあるモータを駆動源としてこの駆動車輪を回転駆動させることで、玩具本体をロープに沿って走行させる構造になっている。
【0003】
しかし、上記構造の玩具は、一直線状に張られたロープ上を走行するだけのものであり、ロープの端にまで至れば玩具本体の方向を転換させるか、若しくは駆動車輪の回転方向を逆転させることで一直線状に張られたロープ上を往復動させ、その動きを眺めるといった遊び方をすることが精々であった。
【0004】
また、上記構造の玩具にあっては、モータから駆動車輪へと駆動力を伝達する為の動力伝達機構を玩具本体内に組み込む必要があり、したがって玩具本体の内部構造が複雑となって高重量化及び大型化し、製造コストも高くつくものであった。
【特許文献1】特開昭52−136049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、床面上方に形成された多様な形態のコースから成るサーキットを走行させて楽しむことができ、しかも軽量コンパクトであると同時に安価で製造することの可能なレール走行玩具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明を、床面50から所定距離を隔てた上方空間に支持される環状レール1と、環状レール1に吊下げ支持されるとともに該環状レール1に沿って走行自在な玩具本体2とから成るレール走行玩具であって、玩具本体2に、環状レール1上を転動する車輪部21と、駆動源であるモータ5と、モータ5により回転駆動されて推進力となる風力を発生させるプロペラ14とを具備することを特徴としたものとする。
【0007】
上記構成のレール走行玩具にあっては、環状レール1は、直線レールや曲線レールや傾斜レールを繋ぎ合わせることで、楕円状や8の字状等の多様な形態のサーキットとして形成でき、玩具本体2に備えてあるプロペラ14を回転駆動させることで、玩具本体2を上記環状レール1に沿って走行させ、空間中に吊下げられた状態でのレーシングを楽しむことが可能である。しかも、玩具本体2には複雑な動力伝達機構を組み込む必要がないので、軽量コンパクト且つ安価な製品として提供することが可能である。
【0008】
上記構成のレール走行玩具においては、車輪部21と玩具本体2とを、走行方向に伸びる略水平な回転軸Aを中心として回動自在に連結させることが好ましい。このようにすることで、曲線走行時に玩具本体2に外側への遠心力が働いた場合には、玩具本体2が回転軸Aを中心に回動して外側に振られるものの、車輪部21自体は大きく振られることがなく環状レール1との接触状態を確保することができる。
【0009】
また、車輪部21を、走行方向に所定距離を隔てた複数箇所に備えるとともに、該車輪部21の少なくとも一つを、略鉛直な回転軸Bを中心として玩具本体2と回動自在に連結させることも好ましい。このようにすることで、玩具本体2を複数箇所の車輪部21により安定的に吊下げ支持するとともに、環状レール1の曲線部分を走行する際には各車輪部21を環状レール1の接線方向を向くように回転軸B中心に回動させて円滑に走行させることができる。
【0010】
また、玩具本体2上部に突設してある吊下支持体18の左右両側に転動部材32を備えて車輪部21を形成し、左右両側の転動部材32の一方を環状レール1上に載置することで玩具本体2を環状レール1に吊下げ支持させるように設けることも好ましい。このように、左右両側の転動部材32のどちらを用いても玩具本体2を吊下げ支持可能に設けることで、複数の環状レール1を並設してサーキットを形成し、両環状レール1に玩具本体2を吊下げ支持して競争させるような場合に、左右両側の転動部材32のうち内側に位置する方の転動部材32を環状レール1に載置して玩具本体2をセットすることで、左右両側の玩具本体2の接触を防止することができる。しかも、左右の玩具本体2で走行する環状レール1を入れ換える作業も容易である。また、環状レール1の構造も、上端縁に転動部材32が載置されるような薄板状のレールを用いた簡単な構造で済むことから、環状レール1を安価で提供することができる。
【0011】
また、上記レール走行玩具において、玩具本体2下部に陸上走行用の車輪部60を備えることも好ましく、玩具本体2を環状レール1から取外したうえで上記車輪部60を陸面上に載置してプロペラ14を回転駆動させることで、プロペラ14による生じる風力を推進力とした玩具本体2の陸上走行を実現することができる。
【0012】
また、上記レール走行玩具において、玩具本体2下部に水上走行用の浮揚体70を着脱自在に備えることも好ましく、玩具本体2を環状レール1から取外したうえで上記浮揚体70を水面に浮かせてプロペラ14を回転駆動させることで、プロペラ14による生じる風力を推進力とした玩具本体2の水上走行を実現することができる。
【0013】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜組合せ可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレール走行玩具は、床面から所定距離を隔てた上方空間に形成された多様な形態のコースから成るサーキットを走行させて楽しむことができ、しかも軽量コンパクトであると同時に安価で製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図1〜図4には、本発明の実施形態における一例のレール走行玩具を示している。本例のレール走行玩具は、プラスチック或いはアルミニウム等の金属を用いて多様な形態に形成した複数のレール40を順次繋ぎ合わせて成る環状レール1と、環状レール1を支持する複数の支持脚44と、環状レール1に吊下げ支持された状態で該環状レール1に沿って自走する玩具本体2とで主体を構成している。
【0016】
玩具本体2は、操縦室6内にて人間が操縦するような乗物形状を成す箱型のハウジング3内に、乾電池若しくは充電池を用いて形成される電源部4と、電源部4から電力を供給されて回転駆動されるモータ5とを内蔵するものである。図1、図2中の白抜き矢印方向が玩具本体2の走行方向であり、この走行方向を向いた側を前側として説明すると、ハウジング3の前側部分に操縦室6を形成し、前後方向の中央部分に電源部4を内蔵し、後側部分にモータ5を内蔵している。電源部4からモータ5への電力供給を制御する為のスイッチ17は、外部から操作可能となるようにハウジング3の側面から露出させて備えている。
【0017】
操縦室6は、操縦者を模した人型模型(図示せず)が収納可能となるように凹状に形成され、フロントカバー8を開閉自在に被せている。操縦室6の後部にはシート7を設置しており、人型模型がシート7に着座姿勢で載置可能となるように設けている。また、操縦室6の上部にはルームライト9を設置し、操縦室6内全体を照明可能に設けている。図中の符号10はハウジング3の前端に設置されて玩具本体2の前方を照らすフロントライトであり、図中の符号11はハウジング3の前端部下側に設置されて玩具本体2の下方を照らすダウンライトであり、図中の符号12はハウジング3の後端部上側に設置されて玩具本体2の後方を照らすリヤライトである。上記各ライト9,10,11,12は電源部4からの供給電力により発光自在となっている。なお、電源部4からの電力供給用の配線は図示を省略している。
【0018】
ハウジング3の前後方向中央部分の左右両側面には、空気吸入用の複数のエア取入口13を前方に向けて開口させており、ハウジング3内の各エア取入口13よりも後側の部分に、モータ5及びプロペラ14を配している。また、ハウジング3のモータ5近傍部分にも多数の開口33を形成しており、該開口33からも空気を吸入可能としている。上記プロペラ14は、モータ5から後側に突出するモータ軸5aと連結されて、前側から後側への送風を生じるように回転駆動されるものである。ハウジング3の後端面であってプロペラ14と前後方向に対向する部分はエア吹出口15を開口させており、このエア吹出口15には格子状のガード16を被せている。
【0019】
ハウジング3の下部には、陸上走行用の車輪部60を配している。この車輪部60は、前後左右の四箇所に配した転動部材であるベアリングタイヤ61から構成され、後述の陸上走行時に陸面と接触して転動するように設けている。また、ハウジング3の下部には、図1中に点線で示したような浮揚体70が着脱自在となっており、後述の水上走行時に浮揚体70を介して玩具本体2全体が水上に浮かぶように設けている。
【0020】
ハウジング3の上端からは、一対の吊下支持体18を前後方向(即ち、走行方向)に所定距離を隔てて上方に突設している。各吊下支持体18は、その先端側に車輪部21を保持させるとともに、その基端側を玩具本体2と着脱自在とした構造である。具体的には、各吊下支持体18は、玩具本体2のハウジング3上端に固定してある基台部19と回動自在に連結される支持片20から成り、支持片20の先端側に車輪部21を形成している。基台部19と支持片20とは、双方の対向個所に形成される連結筒部19a,20aに、前後方向に伸びる連結シャフト22を差し込むことで、この連結シャフト22の中心を通って走行方向に伸びる略水平な回転軸Aを中心として回動自在に連結させている。上記連結シャフト22は細長の円柱状を成す部材であり、その一端側に抜け止めフック22aを有し、他端側にはナット23を螺着させる為の雄ねじ22bを有している。前後一対の吊下支持体18は、上記した連結筒部19a,20aに一本の連結シャフト22を順次差し込むことで玩具本体2と連結されており、玩具本体2全体が、両吊下支持体18に対して連結シャフト22(即ち回転軸A)を中心に回動自在となっている。なお、上記ナット23としては表面に樹脂を被覆して成るロックナットを用いることが好適である。
【0021】
また、前後一対の吊下支持体18のうちで前側の吊下支持体18のみ、その主体を成す支持片20を更に先端側と基端側(即ち、上側と下側)に二分割して、両分割体20b,20cを上下方向に伸びる連結シャフト24を介して回動自在に連結させている。車輪部21は先端側の分割体20bに設けており、この車輪部21を保持する分割体20bが、連結シャフト24の中心を通って略鉛直方向に伸びる回転軸Bを中心として、分割体20bよりも基端側の部分(即ち、基端側の分割体20c、基台部19、及び玩具本体2)と回転軸Bを中心に回動自在に連結された構造になっている。なお、図中の符号28は前後一対の吊下支持体18を連結固定する為の固定板であり、前側の吊下支持体18の支持片20のうち基端側の分割体20cと、後側の吊下支持体18の支持片20との間に架設させている。
【0022】
ここで、本例においては玩具本体2内の後側にモータ5及びプロペラ14を配してあって、玩具本体2の重心Gが後側に寄っていることから、上記のように重心Gと近接して配される側である後側の吊下支持体18は略鉛直軸中心に回動自在とせず、重心Gから遠くに配される側である前側の吊下支持体18のみを、略鉛直な回転軸B中心に回動自在としている。これは、重心Gと近い側の吊下支持体18においては玩具本体2を確実に支持させ、特に直線走行時のふらつきを抑制するとともに、重心Gから遠い側の吊下支持体18においては車輪部21を略鉛直な回転軸B中心に回動自在として、特にカーブ走行時に車輪部21が向く方向を前後それぞれの吊下支持体18においてレール40の接線方向と一致させる為である。
【0023】
また、図示例においては連結シャフト24を吊下支持体18の後部に配しているが、中央部若しくは前端部に配してあってもよく、特に吊下支持体18の前端部に配した場合には、車輪部21及びこれを保持する分割体20bがレール40の湾曲に追従して回動し易くなる。
【0024】
上記車輪部21は、図2や図3に示すように、吊下支持体18から左右両側方に突設される支持軸25と、各支持軸25の外側面に嵌合されるリング状の転動部材32であるベアリングタイヤ26と、各支持軸25の先端に取付けられる脱落防止部材27とで主体を構成している。この脱落防止部材27は、ベアリングタイヤ26よりも大径を成す円板状の部材である。
【0025】
上記のように、車輪部21は吊下支持体18を挟む左右両側にベアリングタイヤ26及び脱落防止部材27を備えた構造であり、左右一対のベアリングタイヤ26の一方をレール40の上端縁40aに載置し、左右一対の脱落防止部材27の一方と吊下支持体18との間にレール40を位置させるようになっている。レール40は上下方向に細長い矩形状の縦断面を有し且つ略水平方向に伸びる薄板状の部材であり、ベアリングタイヤ26がレール40上を転動することで、車輪部21及び吊下支持体18を介して玩具本体2がレール40に沿って走行自在となっている。
【0026】
前後一対の吊下支持体18のうち後側の吊下支持体18の支持片20であって車輪部21を設けた個所よりも基端側の個所には、レール40からの脱落を更に防止する為のストッパ29を設けている。このストッパ29は、吊下支持体18から側方に突設される棒状の支持部29aと、該支持部29aの先端から直交方向に延設される脱落防止部29bとでL字状に形成され、支持部29aの左右方向に伸びる中心軸を中心として、吊下支持体18に回動自在に設置されている。なお、本例においては左右のストッパ29を一部材で構成しており、左右両方向に突設するように吊下支持体18に貫設される棒状の支持部29aと、該支持部29aの左右両端から直交方向に延設される脱落防止部29aとで凹字状に形成された部材となっている。
【0027】
上記ストッパ29は、ベアリングタイヤ26をレール40上に載置した状態で、支持部29aがレール40の下端縁40bより下側に位置し、且つ脱落防止部29bが、その先端部分を上方に向けた姿勢で該先端部分がレール40の下端縁40bよりも上方に位置するように設けている。脱落防止部29bの先端部分には補助用のベアリングタイヤ30を配している。また、吊下支持体18であってレール40側面と対向する個所にも、補助用のベアリングタイヤ31を配している。
【0028】
なお、図示はしていないが、車輪部21のベアリングタイヤ26の外周面には、その左右両端縁に全周に亘ってリム状の突起を設けておくことが好適であり、ベアリングタイヤ26の外周面の両突起に囲まれる凹部にレール40の上端縁40aを嵌めることで、ベアリングタイヤ26とレール40との良好な接触状態が確保される。
【0029】
レール40を組合せて形成される環状レール1の全体は、図4に示すようなものである。レール40としては、水平方向に且つ平面視にて一直線状に伸びる直線レール41や、水平方向に且つ平面視にて曲線状に伸びる曲線レール42や、上下に傾斜した方向に且つ平面視にて一直線状に(又は曲線状に)伸びる傾斜レール43を用い、各レール41,42,43を順次繋ぎ合わせることで無端状の環状レール1を形成している。図示例においては、複数の傾斜レール43を組合せて高低差15〜20cm程度であり且つ側面視にて円滑な曲線状に連続するダウンアップコースを構成し、これを複数の直線レール41から成る一直線状の水平コースと交差させることで、8の字状のクロスコースを形成している。このクロスコースは、等距離の2コースが左右方向に平行に並ぶように一対形成されており、左右両側のコース(即ち環状レール1)を複数の支持脚44により支持させている。なお、各コース中の曲線レール42は、上記支持状態において下端側ほど外側に位置するように傾斜させて設けている。
【0030】
上記支持脚44は、図3や図4(c)に示すようなもので、左右の脚部45と、両脚部45の先端同士を連結するように架設される棒状の連結支持部46と、両脚部45の基端同士を連結する基台部47とで主体を構成している。連結支持部46は、その左右両端にL字金具48を用いてレール40を固定するものであり、断面横長の連結支持部46と、断面縦長の両側のレール40とで、略H字状の断面形状を成すように設けている。したがって、支持脚44に支持される左右両側のレール40にそれぞれ玩具本体2を吊下げ支持させる場合、図3に示すように、各車輪部21の左右両側に設けてあるベアリングタイヤ26のうち内側となる方のベアリングタイヤ26を、レール40に載置すればよい。なお、図3においては説明の為に左右の玩具本体2を互いの走行方向が逆となるように設置しているが、実際にレースを行う場合には走行方向を一致させて設置する。玩具本体2の車輪部21には吊下支持体18を挟む左右両側にベアリングタイヤ26を設けているので、コースの左右や走行方向は選択、変更が自在である。
【0031】
図示例の環状レール1は上記クロスコースを形成するものであって、左右に並設されるコースがインとアウトを交互に入れ換えて等距離となるように設定しているが、各レール40の組合せを変更することで環状レール1を楕円形状を成すオーバルコースに設定しても構わない。
【0032】
また、図示例の環状レール1は、床面50上に立脚した支持脚44により床面50から1m程度の所定距離を隔てた上方空間中に支持させているが、図3中に点線で示すように支持脚44を上下逆に設けて貴台部47を天井側に固定し、該支持脚44を介して環状レール1全体を天井から吊るすことで、起立状態にある人間が見上げるような上方空間に設置してもよい。
【0033】
しかして、上記構成のレール走行玩具において環状レール1に玩具本体2をセットするには、ストッパ29をその脱落防止部29bの先端が水平又は下方を向く状態としたうえで、前後両方の車輪部21において、その左右両側に設けてあるベアリングタイヤ26のうち内側となる方をレール40上に載置する。上記載置状態とした後に、ストッパ29を回動させて脱落防止部29bが上方を向く状態に設定し、スイッチ17を操作して電源部4からモータ5に電力を供給してプロペラ14を回転駆動させることで、プロペラ14の回転により後方へ向けての風力を発生させる。この風力が玩具本体2全体を前方へと推し進める推進力として働き、玩具本体2はレール40上を円滑に転動するベアリングタイヤ26を介して、環状レール1に沿った周回運動を行う。
【0034】
本例にあっては吊下支持体18を挟む左右両側のベアリングタイヤ26の一方をレール40上に係止させる構造としているので、停止時や直進時に吊下支持体18は鉛直方向から僅かに傾斜した姿勢となるが、上記した通り吊下支持体18と玩具本体2とを前後方向に伸びる回転軸Aを中心に回動自在に連結させていることで、玩具本体2は両側のベアリングタイヤ26のいずれに係止させたかに関わらず常時水平姿勢を維持することができる。
【0035】
玩具本体2が環状レール1中の曲線部分を走行する際には、玩具本体2には大きな遠心力が生じて外側に振られることとなるが、この場合には玩具本体2が回転軸Aを中心に回動して外側に振られた傾斜姿勢をとるのに対して、吊下支持体18は外側に振られて傾斜する程度が小さくて済み、したがって車輪部21のベアリングタイヤ26と曲線レール42との接触状態を良好に維持した状態でのカーブ走行をすることができる。
【0036】
加えて、環状レール1中の曲線部分を走行する際には、重心Gから離れた側である前側の吊下支持体18の車輪部21が、曲線部分の曲率に応じて回転軸Bを中心に回動することとなる。したがって、カーブ走行時にあっても前後の車輪部21は共に曲線レール42と良好な接触状態を維持することが可能であり、速度を落とすことなく円滑にカーブ走行をすることができる。
【0037】
環状レール1のダウンアップコースにおいても、プロペラ14の推進力が十分な登板力となることは勿論であり、これらダウンアップコースや直線コースや曲線コースを自在に組合せて多様なサーキットを形成してレースを楽しむことができる。また、左右2本のコースや走行方向を変更することや、操縦室6に設置する人型模型の有無や重量を適宜変更することでも、様々に条件を変更することができ、更に多様な楽しみ方が可能になる。
【0038】
更に、遠隔操作によりモータ5への通電制御を行うように設けた場合には、環状レール1の各所の曲率や傾斜に応じてプロペラ14の回転数を制御して更に高度なレーシングを実現することができる。
【0039】
また、環状レール1を例えば店舗の天井側から支持脚44を介して吊下げ支持し、玩具本体2が人間の上方空間を走行して注意を引くように設けることで、この玩具本体2を天井のデッドスペースを用いた販促用の道具として用いることも可能である。
【0040】
次に、本例のレール走行玩具を用いて陸上走行を行う場合について説明する。陸上走行に際して、まず連結シャフト22に螺着させてあるナット23を取外したうえで、この連結シャフト22を連結筒部19a,20aから引き抜き、吊下支持体18と玩具本体2との連結を解除する。この状態の玩具本体2を床面50等の陸面上に載置すると、玩具本体2の下部に備えてある陸上走行用のベアリングタイヤ61が陸面と接触し、該ベアリングタイヤ61の転動により図1や図2の白抜き矢印に向けて走行自在となる。ここで、スイッチ17を操作してプロペラ14を回転駆動させると、プロペラ14の回転により後方へ向けて生じる風力が、玩具本体2全体を前方へと推し進めて床面上を走行させる推進力として働き、陸上走行を行うものである。
【0041】
陸上走行用の上記ベアリングタイヤ61は、吊下支持体18の車輪部21を構成するベアリングタイヤ26を転用可能な構造であってもよい。この場合、玩具本体2の下部にシャフト62を着脱自在に挿入する貫通孔を形成しておき、陸上走行時にはこの貫通孔にシャフト62を挿入して、吊下支持体18側から取外したベアリングタイヤ26をシャフト62の両端部に取付けて陸上走行用のベアリングタイヤ61とする。
【0042】
なお、図示はしていないが、左右両側を側壁で挟まれる断面凹形状の環状走行路中に玩具本体2を設置して上記陸上走行を行わせることで、風力を推進力として環状走行路中を走行する陸上レーシングを楽しむことができる。また、図示例には備えていないが、この環状走行路の両側壁と接触して転動する走行ガイド用のベアリングタイヤを、玩具本体2前端部から左右両側方に突出させて備えてあってもよいし、或いは陸上走行時にだけ玩具本体2に装着する着脱自在の支持部材に上記走行ガイド用のベアリングタイヤを備えてあっても構わない。
【0043】
次に、本例のレール走行玩具を用いて水上走行を行う場合について説明する。水上走行に際しては、陸上走行と同様にまず連結シャフト22を引き抜くことで玩具本体2と吊下支持体18との連結状態を解除し、吊下支持体18を取外した状態の玩具本体2の下部に発泡スチロール等から成る舟型の浮揚体70を装着したうえで、この浮揚体70を水面上に浮かべる。そして、スイッチ17を操作してプロペラ14を回転駆動させると、プロペラ14の回転により後方へ向けて生じる風力が、玩具本体2全体を前方へと推し進めて水面上を走行させる推進力として働き、浮揚体70を介して水面上に浮かぶ玩具本体2に水上走行を行わせるものである。
【0044】
なお、図示はしていないが、水中から水面上に向けて突設される左右の両側壁によって水上コースを形成し、この水上コース内の水面上に玩具本体2を浮かべた状態で上記水上走行を行わせることで、風力を推進力として水上コース中を走行する水上走行でのレーシングを楽しむことができる。また、図示例には備えていないが、水上コースの両側壁と接触して転動する走行ガイド用のベアリングタイヤを、玩具本体2前端部から左右両側方に突出させて備えてあってもよいし、或いは水上走行時にだけ玩具本体2に装着する着脱自在の支持部材に上記走行ガイド用のベアリングタイヤを備えてあっても構わない。
【0045】
上記した通り、本例のレール走行玩具にあっては、環状レール1に吊下げ支持した状態での空中レーシングと、環状レール1から取外して陸面に載置した状態での陸上レーシングと、環状レール1から取外して水面に浮かべた状態での水上レーシングとが実現可能であり、例えば陸、海、空の各レースでの総合ポイントで優勝を競うようにすることで、従来存在しなかった新感覚のレーシングを提供することができる。勿論、上記した空中、陸上、水上レーシングのうち一つ或いは二つのみを実現するものであっても構わない。
【0046】
次に、本発明の実施形態における他例のレール走行玩具について図5に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち、既述した一例のレール走行玩具と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例と異なる特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0047】
本例のレール走行玩具の環状レール1を構成するレール40は図5(a)、(b)に示すように、左右方向に細長い矩形状の縦断面を有し且つ略水平な走行方向(図中の白抜き矢印方向)に伸びる薄板状の部材であり、支持脚44上端に連結される連結支持部46の左右両端から下方に向けて垂下部80を延設し、この垂下部80の下端にレール40の左右方向中央部分を連結固定させて支持している。支持脚44と連結支持部46とは上下逆方向からも連結可能であり、図中点線で示すように支持脚44を上下逆転させたうえで該支持脚44の下端に連結支持部46を連結させ、この支持脚44を天井側に固定することで、レール40を頭上空間に配することもできる。
【0048】
また、上記レール40上を転動する車輪部21は、吊下支持体18の上端部に取付けられる断面凹字状の枠体81と、枠体81の左右側壁81a,81bから内方に突設される一対の支持軸82と、各支持軸82の外側面に嵌合されるリング状の転動部材32であるベアリングタイヤ26とで主体を構成している。吊下支持体18は、一例と同様に回転軸Aを中心として基台部19に回動自在に連結されるものであるが、一例と異なり前側の吊下支持体18は上下に分割せず一部材で構成している。
【0049】
レール40に玩具本体2を吊下げ支持させるには、各吊下支持体18の車輪部21において、左右両側のベアリングタイヤ26をレール40上面の左右両側縁部に載置させればよい。この状態において、レール40は、枠体81の左右両側壁81a,81bの間に位置するとともに、枠体81の底壁81cの上方に所定の隙間を介して位置するようになっている。
【0050】
また、前後一対の吊下支持体18のうち重心Gから遠い側である前側の吊下支持体18においては、該吊下支持体18と枠体81とを所定の遊びを持たせて連結させ、略鉛直な回転軸Bを中心に回動自在に且つ前後左右方向に揺動自在に連結させており、重心Gと近い側である後側の吊下支持体18においては、該吊下支持体18と枠体81とを回動及び揺動不能に連結固定させている。このようにすることで、直線走行時以外であっても前後の車輪部21の各ベアリングタイヤ26をレール40の上面と確実に接触させて円滑な走行を実現することができるとともに、直線走行時においては後側の吊下支持体18により玩具本体2を確実に支持してふらつきを抑制することができる。
【0051】
なお、ベアリングタイヤ26とレール40との接触状態を更に良好とする為に、図5(c)の変形例に示すように、ベアリングタイヤ26外周面の左右両端縁に、全周に亘ってリム状の突起82を設け、レール40の上面には、ベアリングタイヤ26外周面の両突起82に囲まれて成る凹部と嵌合する凸条83を形成することも好適である。
【0052】
次に、本発明の実施形態における更に他例のレール走行玩具について図6に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち、既述した一例のレール走行玩具と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例と異なる特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0053】
本例のレール走行玩具の環状レール1を構成するレール40は、図6に示すように、断面逆凹字状を成す枠体90の左右両側壁90a,90bの下端から内方に底壁91を延設した構造であり、支持脚44上端の連結支持部46の左右両端から下方に延設してある垂下部80の下端に、上記枠体90の上部を連結固定させて支持している。また、玩具本体2側の吊下支持体18に備えられる車輪部21は、吊下支持体18の上端部から左右両側方に突設される支持軸92と、左右両側の支持軸92の外側面に嵌合されるリング状の転動部材32であるベアリングタイヤ26とで主体を構成している。
【0054】
上記レール40に玩具本体2を吊下げ支持させるには、各吊下支持体18の車輪部21において、左右両側のベアリングタイヤ26をレール40の底壁91上に転動自在に載置させればよい。このようにレール40の枠体90内にて車輪部21を前後方向に転動自在に設けた状態において、吊下支持体18は左右両側の底壁91間に形成されるスリット93内に位置し、且つ該スリット93に沿って前後方向に移動自在となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態における一例のレール走行玩具の側面図である。
【図2】同上のレール走行玩具の平面図である。
【図3】同上のレール走行玩具の正面図である。
【図4】同上のレール走行玩具のサーキットの概略説明図であり、(a)はサーキット全体の平面視状態、(b)はサーキット全体の側面視状態、(c)は支持脚の正面視状態を示している。
【図5】本発明の実施形態における他例のレール走行玩具を示しており、(a)は特徴部分の側面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は変形例の特徴部分を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態における更に他例のレール走行玩具の特徴部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 環状レール
2 玩具本体
5 モータ
14 プロペラ
18 吊下支持体
21 車輪部
32 転動部材
44 支持脚
50 床面
60 車輪部
70 浮揚体
A 回転軸
B 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面から所定距離を隔てた上方空間に支持される環状レールと、環状レールに吊下げ支持されるとともに該環状レールに沿って走行自在な玩具本体とから成るレール走行玩具であって、玩具本体に、環状レール上を転動する車輪部と、駆動源であるモータと、モータにより回転駆動されて推進力となる風力を発生させるプロペラとを具備することを特徴とするレール走行玩具。
【請求項2】
車輪部と玩具本体とを、走行方向に伸びる略水平な回転軸を中心として回動自在に連結させることを特徴とする請求項1に記載のレール走行玩具。
【請求項3】
車輪部を、走行方向に所定距離を隔てた複数箇所に備えるとともに、該車輪部の少なくとも一つを、略鉛直な回転軸を中心として玩具本体と回動自在に連結させることを特徴とする請求項1又は2に記載のレール走行玩具。
【請求項4】
玩具本体上部に突設してある吊下支持体の左右両側に転動部材を備えて車輪部を形成し、左右両側の転動部材の一方を環状レール上に載置することで玩具本体を環状レールに吊下げ支持させるように設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレール走行玩具。
【請求項5】
玩具本体下部に、陸上走行用の車輪部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレール走行玩具。
【請求項6】
玩具本体下部に、水上走行用の浮揚体を着脱自在に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレール走行玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−198246(P2006−198246A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14484(P2005−14484)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(505026424)
【Fターム(参考)】