説明

ロック可能なセキュリティ・デバイス

物品を保持するために閉鎖状態に連結されるセキュリティ部材である第一セキュリティ部材(10)及び第二セキュリティ部材(100)と、セキュリティ・デバイスを閉鎖状態に維持するためにロック状態へ移動可能なロック・スライド(200)と、ロックする構造をロック状態に維持するためのラッチ手段(202)とを具備していて、前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの一体部分を形成する、物品を保持するためのセキュリティ・デバイス。前記ロック・スライドは前記第一セキュリティ部材へ移動可能に取付けられ、また前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの主平面から延びていて、前記ロック状態において、前記第二セキュリティ部材上に配置される協働手段(106)と係合するよう考案されたスプリング・ブレード(202)を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、商品を盗難から保護するセキュリティ・デバイスに関する。具体的には、本発明はちょうつがいで連結されるふたを備えるベースを具備するセキュリティ・ボックスと、ロック・スライドによって前記ボックスを閉鎖状態に厳重にロックするための構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
店内に売却用の商品を陳列するためのセキュリティ・ボックスは、数年前から使用されてきた。一般に、このボックスは透明あるいは部分的に被覆され旋回可能に接続されたボックス用部材を具備する。これらのボックス用部材は、ちょうつがいで連結されるベースとふたを形成し、また一般にプラスチックから作製される。このセキュリティ・ボックスに入っている物品の不正な持ち去りを阻止するために、ボックスはロック可能であり、またEAS(電子商品監視)タグを保持あるいは収納する場合が多く、もしもEASタグが小売店から移動されるなら警報を誘発する。容器にかかっているロックは、窃盗犯がEASタグを除去しないようにあるいはセキュリティ・ボックスから物品を持ち去らないようにする。
このセキュリティ・ボックスのもっとも一般的な用途は、CDと、DVDと、カセットなどの記録メディアの物品である。セキュリティ・ボックスが使用される他の物品は、カミソリ刃と、化粧品と、バッテリーと、タバコを含む。
【0003】
多くの様々な型のセキュリティ・デバイスは技術的に周知であり、セキュリティ・デバイスをロックするためのロック・スライド構造と、セキュリティ・デバイスをロック状態に維持するための手段を具備している。
【0004】
欧州特許第616103号明細書は、ボックス用部材を閉鎖状態にロックするために他のボックス用部材の歯部と協働する、第一ボックス用部材内に移動可能なロック・スライドを有する、二つのちょうつがいで連結されたボックス用部材を備えるセキュリティ・デバイスの設計図を開示している。第一ボックス用部材に外せないように取付けられるロッキング小片が、デバイスをロック状態に維持するためにロック・スライドと係合するよう考案される。
【0005】
米国特許第5,760,689号明細書は、カセットとふたを具備する別の設計図を提案する。ふたに配置されたロック・スライドは、容器をロックするためにカセットと係合するよう考案された、横に突出しているロック・ボルトを備える。独自に作動するスライドが、ロック・スライドを移動するために備えられる。さらにラッチ用部材が、ロック・スライドを係合状態に維持するように考案される。
【0006】
国際出願第01/83325号明細書は、ベースとふたを備えるさらに別の設計図を開示する。ロック状態とロック解除状態の間を移動可能なロック・スライドが、ベース内に配置される。ベースとふたは、ボックスが閉鎖されるとき互いに入れ違いになり協働する歯部を含む。ロック・スライドは、スライドがロック状態へ移動されるときベースとふたとの協働する歯部の中間位置へ移動される歯部を含む。ロック状態においてロック・スライドと係合するよう考案された、独自のラッチ用部材がベースへ固定される。
【0007】
セキュリティ・デバイスはしばらくの間市場で入手可能であり続けたが、改良がさらになされる可能性がある。一例を挙げると、ロックとロック解除とに関してセキュリティ・デバイスを扱うことが容易であるという、殆どの場合店員であるユーザからの一般的な要求がある。さらに、小売店が使用するセキュリティ・デバイスは概して大量に製造されるので、製造を単純化する設計は一般的な要望である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の一般的な目的は、物品を保持するためのセキュリティ・デバイスを提供することであり、そのセキュリティ・デバイスは現在の技術を超える改良を、あるいは少なくとも有用な選択を提供する。この目的の第一の態様は、製造と組立てに関して改良された製造能力を備えるセキュリティ・デバイスを提供することである。さらに、この目的の第二の態様は、改良された操作能力を備えるセキュリティ・デバイスを提供することである。
【0009】
本発明の第一の態様によると、これらの目的は、物品を保持するためのセキュリティ・デバイスにより成就される。また、そのセキュリティ・デバイスは物品を小売するために閉鎖状態に連結されるセキュリティ部材である第一セキュリティ部材及び第二セキュリティ部材と、セキュリティ・デバイスを閉鎖状態に維持するためにロック状態へ移動可能なロック・スライドと、ロックする構造をロック状態に維持するためのラッチ手段であって、前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの一体部分を形成するものとを具備している。この配置によると、セキュリティ・デバイスに含まれる必要がある部品は、独自のラッチ用部材が無くて済まされるため、先行技術の解決方法に比べて少ない。これは製造と組立ての両方において時間と価格を低減する。さらに部品が少ないことは破損の潜在要因が少なくまたしたがってより信頼できる製品であることを意味する。
【0010】
或る実施態様において、前記ロック・スライドは前記第一セキュリティ部材上に移動可能に取付けられ、前記ラッチ手段は前記ロック状態において前記第二セキュリティ部材上に配置される協働手段と係合するよう考案される。
【0011】
前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの主平面から延びているスプリング・ブレードを具備するのが好ましい。前記スプリング・ブレードは、前記ロック状態にある前記第二セキュリティ部材上に配置される停止用部材と係合するよう考案される。前記停止用部材は、前記第二セキュリティ部材上の肩部であってよい。
選択的に、前記停止用部材は、前記第二セキュリティ部材上の凹部であってよい。
【0012】
前記ロック・スライドに沿って離間される前記セキュリティ・デバイスは、二つ以上のスプリング・ブレードと二つ以上の対応する停止用部材とを具備する。
【0013】
好適な実施態様において、前記ロック・スライドは弾力性のある磁性材料から作製される。
【0014】
前記ロック・スライドは前記第一セキュリティ部材に移動可能に取付けられ、また突出する歯部を有し、前記歯部は前記ロック状態において前記第二セキュリティ部材上の突出するタブと係合しているのが好ましい。
【0015】
選択的な実施態様において、前記第一セキュリティ部材は、第一の突出するタブを有し、また前記第二セキュリティ部材は、前記閉鎖状態を取るとき前記第一タブに隣接し通過するよう考案された第二の突出するタブを有し、前記ロック・スライドは、前記第一と前記ロック状態にある前記第二タブとの間の位置を取っていて、また前記第一タブと前記第二タブと少なくとも一部は重畳している突出する歯部を有する。
【0016】
或る実施態様において、前記歯部は前記ロック・スライドの湾曲部であり、前記ロック・スライドの主平面から突出している。
前記ロック・スライドに沿って離間されるセキュリティ・デバイスは、複数の歯部とタブを含んでもよい。
【0017】
或る実施態様において、前記セキュリティ部材は、小売物品を閉鎖状態に部分的に収納するよう考案される。選択的に、前記セキュリティ部材は小売物品を完全に閉鎖状態に収納するよう考案される。
【0018】
好適な実施態様において、前記セキュリティ部材は、それぞれの第一端部において互いに連結されまたロックされるよう考案され、また前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部においてちょうつがいで連結される
【0019】
選択的な実施態様において、前記セキュリティ部材は、それぞれの第一端部において互いに連結されまたロックされるよう考案され、また前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部においてホックで連結されるよう考案される。
【0020】
別の選択的な実施態様において、前記セキュリティ部材はそれぞれの第一端部において、また前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部において互いに連結されまたロックされるよう考案される。
【0021】
或る好適な実施態様において、前記第一セキュリティ部材はベース用部材であり、また前記第二セキュリティ部材はふた用部材である。またベース用部材とふた用部材は、前記閉鎖状態においてボックス状の構造を形成する。前記ベース用部材は、自身の内部側面で前記ロック・スライドを支持する前面壁を有し、また前記ふた用部材は、前記閉鎖状態において前記ロック・スライドの内部側面上で位置決めされる前面壁を有する。前記ふた用部材はさらに、自身の前面壁から突出しているフランジを有し、そしてそのフランジは前記閉鎖状態において前記ベース用部材の前面壁と係合し、またロック・スライドを前記ボックス状構造に収納する。
【0022】
或る実施態様において、前記第一セキュリティ部材の側部の開口部を通って突出する操作手段を備える前記ロック・スライドが考案される。
好適な実施態様において、前記セキュリティ・デバイスは警報タグを具備する。
【0023】
本発明の第二の態様によると、現状の目的は商品を保持するためのセキュリティ・デバイスにより成就される。また、そのセキュリティ・デバイスは物品を小売するために閉鎖状態に連結されるセキュリティ部材である第一セキュリティ部材及び第二セキュリティ部材と、セキュリティ・デバイスを閉鎖状態に維持するためにロック状態に移動可能なロック・スライドと、ロックする構造をロック状態に維持するためのラッチ手段であって、前記第一セキュリティ部材上で支持され、また前記第二セキュリティ部材上で協働する手段と係合するよう考案されるものとを具備している。この配置によると、セキュリティ・デバイスが開放状態にあるとき、ラッチ手段が前記協働手段から引き離される状態ではロック・スライドをラッチできない。これはセキュリティ・デバイスの操作の大幅な改良を意味する。その理由は、前述の解決方法など先行技術の解決方法は、セキュリティ・デバイスが開放状態にあるときでさえロック状態において手違いにより容易にラッチされるためである。物品をセキュリティ・ボックスに装填する過程のとき、この手違いは、セキュリティ・デバイスをロック解除するまた開放するために必要な特殊な工具を使用しなければならないという面倒な結果を招く。
【0024】
或る実施態様において、前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの主平面から延びているスプリング・ブレードを具備する。
前記ラッチ手段は、前記ロック・スライドと一体であるのが好ましい。
【0025】
好適な実施態様において、前記スプリング・ブレードは、前記ロック状態において前記第二セキュリティ部材上に配置される停止用部材と係合するよう考案される。前記停止用部材は、前記第二セキュリティ部材上の肩部であってよい。選択的に、前記停止用部材は前記第二セキュリティ部材上の凹部であってよい。
【0026】
前記ロック・スライドに沿って離間される前記セキュリティ・デバイスは、二つ以上のスプリング・ブレードと二つ以上の対応する停止用部材を具備するのが好ましい。
前記ラッチ手段は弾力性のある磁性材料から作製されるのが好ましい。
好適な実施態様において、前記セキュリティ・デバイスは警報タグを具備する。
【0027】
本発明の特徴と利点は、添付図を参照して好適な実施態様の以下の記載からより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の第一実施態様は今から、図1−6を参照して説明される。
図1と2は、開放状態のセキュリティ・デバイス1を二つの異なる角度から示す。セキュリティ・デバイス1は、第一セキュリティ部材10と、第二セキュリティ部材100、また前記セキュリティ部材を互いにそれぞれの第一端部12と,102において連結するまたロックするための手段を具備する。セキュリティ部材10と100は、前記第一端部12と、102の反対側の、それぞれの第二端部14と、104においてちょうつがいデバイス17により互いに旋回可能に取付けられる。
【0029】
図面において開示された実施態様において、第一セキュリティ部材は、ベース用部材10であるが、第二セキュリティ部材はふた用部材100である。一緒にして連結されるとき、ベース用部材10とふた用部材100は、物品あるいは商品を保管する区画を画定するボックス状構造を形成する。本記載に使用される、内向きと外向きのみならず内部と外部の意味は前記ボックス状構造の区画に関連する。
【0030】
ベース用部材10は、顧客がセキュリティ・デバイスの内容を見ることを可能にする、好ましくは耐久性のある透明なプラスチック材料から作製される平面壁11を具備する。前面壁12と、背壁14と、側壁13は平面壁11からほぼ垂直に延びる。前面壁12は、ロック・スライド200を支持し、またそのロック・スライドは、前面壁12の内部側面に沿って移動可能である。或る実施態様において、前記前面壁は、ロックする構造へ可視的にアクセスすることを阻止するため不透明である。ふた用部材100は同様に、好ましくは耐久性のある透明なプラスチック材料から作製される平面壁101を具備する。前面壁102と、背壁104と、側壁103は、平面壁101からほぼ垂直に延びる。フランジ107は、平面壁101の延長として前面壁102から突出し、またそのフランジ107は、閉鎖状態においてベース用部材10の前面壁12と係合しまたロック・スライドをボックス状構造に収納する。
【0031】
図示された実施態様において、側壁13と103はセキュリティ・デバイスの閉鎖状態においてそれらの縁により係合するよう考案される。選択的な実施態様において、セキュリティ部材10と、100の側壁は、重畳するよう考案され、それによって係合される側壁間に物体を挿入することによる不正なアクセスを阻止している。ちょうつがいデバイス17は、それぞれの背壁14と、104に取付けられる少なくとも一対のちょうつがい用部材18と、105を具備し、またそのちょうつがい用部材は、ちょうつがいデバイス用の回転軸としての役割をしているピン19により連結される。
【0032】
ふた用部材100の前面壁102は、セキュリティ・デバイスのロック状態において前記ロック・スライド200と係合用の外向きに突出するロック・タブ105を支持する。具体的に示された実施態様において、四つのロック・タブがある。選択的な実施態様はしかし、いずれかの数、即ち一つあるいは二つあるいはそれ以上のロック・タブ105を含んでよい。しかしながら、示されるように、ふた用部材100の前面壁102に沿って配分される複数のロック・タブ105を使用することにより、捩りあるいは曲げによるセキュリティ・デバイスを開放する可能性を最小にする多数のロッキング点が取得される。
【0033】
図3は、図1と2のロック・スライド200とベース用部材10の一部をより明瞭に示す。ロック・スライド200は、ベース用部材10の前面壁12に沿って移動可能であり、また操作用部材204がこの目的のために使用される。操作用部材204は、前面壁12に形成される細長い開口部を通ってアクセス可能であり、またロック・スライド200へ固定されあるいはロック・スライドの一部を形成する。示された実施態様は、前面壁12の外部側面に配置され、また前記開口部を通ってロック・スライド200内の取付け手段203へ厳重に固定される、独自の操作用部材204を具備する。この特殊な実施態様において、取付け手段203は内向きに突出していて、操作用部材204のビード部205と係合するフランジを具備する。しかしながら、選択的な実施態様において、操作用部材204は、ロック・スライド200の湾曲部であってよく、またその湾曲部分は前記細長い開口部を通って突出する。さらに別の実施態様において、操作用部材204は単に、前記細長い開口部を通ってアクセス可能である、ロック・スライド200内の凹部あるいは貫通孔であってよい。示された実施態様において、開口部は、図1の操作用部材204と、図2と3のロック・スライド200により覆われ、またそれ故に目に見えない。しかしながら、当業者が完全に理解するように、前記開口部の延長部は前面壁12に沿って延びる。
【0034】
ロック・スライド200は、鋼など弾力性のある磁性金属材料から作製され、また前面壁12に平行な主平面内に延びる。ロック・スライド200の内部側面上で、内向きに突出する少なくとも一つのロック・歯部201が固定される。示された実施態様において、ふた用部材100の四つのロック・タブ105と係合するよう考案される、四つのロック・歯部201が含まれる。前述のように、ロック・歯部201のいずれかの数、即ち一つあるいは二つあるいはそれ以上が使用される。好適な実施態様において、各ロック・歯部201は、前記ロック・スライド200の湾曲部を具備する。ロック・スライドはその全体高さにわたり湾曲されてもよい。しかしながら、好適でまた示された実施態様において、前記湾曲部は、一方の端部においてロック・スライド200の主平面へ固定され、またロック・スライド200の延長部に延びる、切り出し舌部201である。セキュリティ・デバイス1が閉鎖されるとき、歯部201はロック・スライド200を、歯部201がロック・タブ105の上方へ設置されるロック状態へ、横向きに移動することによりセキュリティ・デバイスをロックするよう考案され、それは後述される。
【0035】
いったん操作用部材204が、前面壁12の開口部を通りロック・スライド200へ取付けられると、ロック・スライド200はベース用部材10へ固定される。しかしながら、セキュリティ・デバイスを補強するために、ベース用部材10の前面壁12は、ロック・スライド200の上方へ内向きに突出していて、それによって上端部分16が平面壁11から離れて上向きに移動しないようにしている上端部16を具備する。さらに、ガイド用肩部16は前面壁12の下端部に配置されるのが好ましい。
【0036】
セキュリティ・デバイス1をロック状態に維持するために、ラッチ手段がロック・スライド200と一体である少なくとも一つのスプリング・ブレード202の形状で備えられる。スプリング・ブレード202は、ロック・スライド200の主平面からの角度で内向きにまた横向きに突出するよう偏向される。本実施態様においては、二つの離間したスプリング・ブレード202が含まれるが、単一のスプリング・ブレード202で十分である。
【0037】
図1から明らかであるように、ふた用部材100の前面壁はさらに、セキュリティ・デバイス1が閉鎖されまたロックされるときスプリング・ブレード202と係合するよう考案された、停止用部材106を含む。前記停止用部材は示された実施態様において、ロック・スライド200の移動方向に垂直に延びている突出する肩部106により備えられる。選択的な解決方法は、前面壁102に凹部を備えることである。
【0038】
図4は、閉鎖かつロック状態において、省略されたベース用部材10により支持されるロック・スライド200と、省略された平面壁101を備えるふた用部材100の一部とを示す。ロック・歯部201は、ロック・タブ105の上方に位置決めされ、ふた用部材100がベース用部材10から引き離されることを阻止している。さらに、各スプリング・ブレード202は、自身の弾力性によって、停止用部材の端部106の後ろで自身の外部端部と係合される状態を自動的にとり、それによってロック・スライド200がロック解除状態へ移動されることを阻止している。
【0039】
ラッチされるセキュリティ・デバイス1をロック解除するために、特殊な工具が要求される。図1の実施態様のために、この特殊な工具は、先行技術においては十分周知の方法である、ロック・スライド200の主平面に向けてスプリング・ブレード202を引付けるに十分に強力な磁石を含む必要がある。特殊な工具は、各スプリング・ブレードのための一つの磁石を具備し、またその磁石は、前記スプリング・ブレード202間と同一の間隔を備えて工具の表面に沿って配分されるのが好ましい。さらに正確に作動されるとき操作用部材204と係合するよう考案された操作係合手段が、特殊な工具に含まれるのが好ましい。
【0040】
図5は、省略されたふた用部材100の平面壁101を備え、自身のロック状態においてタブ105の上方に配置される歯部201と、肩部106の後ろで係合されるスプリング・ブレード202とを備える、図1の実施態様を示す。この特殊な型のセキュリティ・デバイスのために設計される特殊な工具(示されていない)は、操作用部材204と係合され、それによって特殊な工具の磁石が、対応するスプリング・ブレード202の上部に自動的に設置される。スプリング・ブレード202はしたがって、スプリング・ブレード202の外端部が肩部106の上方へ引上げられる場合、少なくともある程度まで磁石により引付けられる。
【0041】
図6はさらに、セキュリティ・デバイス1が特殊な工具に対して横方向に移動され、それによって特殊な工具が操作用部材204によりロック・スライド200を引張り、その結果歯部201がタブ105から引き離される方法を示す。セキュリティ・デバイスはすぐにロック解除されまた開放される。
【0042】
本発明の第二の実施態様は、図7−9に示される。この第二の実施態様は多くの方法において第一の実施態様と同一であり、またしたがって同一の参照符号が対応する要素に使用される。
【0043】
図7は開放状態のセキュリティ・デバイス2を示す。二つの第一ロック・タブ105はふた用部材100の前面壁102から突出する。肩用部材106を備える前面壁102が同様に、ベース用部材10上に移動可能に配置されたロック・スライド200上のラッチ手段との係合用に考案される。さらに、ベース用部材10の前面壁12は、内向きに、即ち第一タブ105の反対方向に突出している二つの第二ロック・タブ20を有する。第一と第二のロック・タブは、ふた用部材100が閉鎖されるとき、持ち込まれる第一タブ105が第二のタブ20と入れ違いになるようにオフセットされる。
【0044】
図8は内部から見られ、鋼など弾性力のある磁性金属材料から作製されるロック・スライド200を露呈しているベース用部材10の一部を示す。前述の実施態様のようにスプリング・ブレードの形状の歯部201とラッチ手段202を備えるロック・スライド200が考案される。操作用部材204は、前面壁12内の細長い開口部を通ってロック・スライド200へ取付けられる。前述の実施態様との一つの相違は、前記第二タブ20に対して横方向に移動可能であるが、歯部201は第二タブ20の直下に配置されることである。
【0045】
図9は最終的に、図7のセキュリティ・デバイスで閉鎖されまたラッチされる実施態様で、ふた用部材100の平面壁を省略している、切り出し部分を示す。前面壁102は、ロック・スライド200の内側に配置され、また第一タブ105は、第二タブ20の横と下に設置される。ロック・スライド200は、歯部201が前記第一タブ105と前記第二タブ20との間に設置される状態へ移動され、その結果セキュリティ・デバイス2が開放されないようにしている。さらに、スプリング・ブレード202は、肩用部材106との係合にラッチされ、ロック・スライドが示されたロックされ位置決めされる状態のままにならないようにしている。前面壁12に対して磁石を具備している特殊工具を操作することにより、スプリング・ブレード201は、ロック・スライド200が図面において右へ移動された後の場合、肩用部材106から引き離されるように引付けられる。このように、第一タブ105は引き離され、そしてセキュリティ・デバイス2は開放される。
【0046】
本発明は、ロック・スライド200とラッチ手段202との両方を具備している一体になった要素200を備え、セキュリティ・デバイスに必要とされる部品が少ないため 先行技術に比べて簡素化された設計図を提供する。さらに、他のセキュリティ部材100上で協働する部材106を備える一方のセキュリティ部材10へ取付けられるラッチ手段202間の係合を含むようラッチする機能を配置することにより、セキュリティ・デバイスを開放状態にラッチできないので、改良されたハンドリングが達成される。本発明に記載のセキュリティ・デバイスは、CDあるいはDVDなどの記録メディアあるいは、宝石箱、あるいはかみそり刃など他の物品あるいは他の商品を保存するために使用される。実際、本発明は保管される物品のいずれの型に少しも限定されない。さらに、セキュリティ部材はボックス状構造を形成することは本質的ではなく、ボトルネックと、自転車のフレーム等々など細長い物品に関して設置されるよう考案されたクランプ状構造を形成するほうが好都合かもしれない。同様に二つのセキュリティ部材は、ちょうつがいで連結される必要はない。選択的な解決方法は、ロック構造を持込んでいる端部の反対の端部にホック状の係合部を備えることである。さらに別の可能性は、両端部にロック構造を備えることである。
【0047】
本発明の説明と図は事例のためであり、またしたがって本発明の範囲は示されあるいは説明された正確で詳細な記述に限定されないことに注意すべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の第一実施態様に記載のセキュリティ・デバイスの開放状態の透視正面図である。
【図2】図2は、図1のセキュリティ・ストレージ・デバイスの開放状態の透視背面図である。
【図3】図3は、図1のセキュリティ・デバイスのベース用部材の部分図である。
【図4】図4は、図1の実施態様の、ベース用部材のロック・スライドと係合されるふた用部材を示す。
【図5】図5は、図1のセキュリティ・デバイスのロックかつラッチ状態の平面図を示す。
【図6】図6は、図1のセキュリティ・デバイスのロック解除状態の平面図を示す。
【図7】図7は、本発明の第二実施態様に記載のセキュリティ・デバイスの開放状態の透視正面図である。
【図8】図8は、図7のセキュリティ・デバイスのベース用部材の部分図である。
【図9】図9は、図7のセキュリティ・デバイスのロックかつラッチ状態の部分平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持するためのセキュリティ・デバイスであって、
物品を保管するために閉鎖状態に連結されるセキュリティ部材である第一セキュリティ部材(10)及び第二セキュリティ部材(100)と、セキュリティ・デバイスを閉鎖状態に維持するためにロック状態へ移動可能であるロック・スライド(200)と、ロックする構造をロック状態に維持するためのラッチ手段(202)とを具備しているものにおいて、
前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの一体部分を形成することを特徴とする、
セキュリティ・デバイス。
【請求項2】
前記ロック・スライドは前記第一セキュリティ部材へ移動可能に取付けられ、また前記ロック状態において前記ラッチ手段は協働手段(106)と係合するよう考案され、前記第二セキュリティ部材上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項3】
前記ラッチ手段は、前記ロック・スライドの主平面から延びているスプリング・ブレード(202)を具備することを特徴とする、請求項2に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項4】
前記スプリング・ブレードは停止用部材と係合するよう考案され、前記ロック状態において前記第二セキュリティ部材上に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項5】
前記停止用部材は前記第二セキュリティ部材上の肩部であることを特徴とする、請求項4に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項6】
前記停止用部材は前記第二セキュリティ部材上の凹部であることを特徴とする、請求項4に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項7】
前記ロック・スライドに沿って離間されるセキュリティ・デバイスは、二つ以上のスプリング・ブレードと二つ以上の対応する停止用部材を具備することを特徴とする、請求項4に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項8】
前記ロック・スライドは弾力性のある磁性材料から作製されることを特徴とする、請求項1−7のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項9】
前記ロック・スライドは前記第一セキュリティ部材へ移動可能に取付けられまた突出する歯部(201)を有し、前記ロック状態において前記歯部は前記第二セキュリティ部材上で突出するタブ(105)と係合していることを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項10】
前記第一セキュリティ部材は第一の突出するタブ(20)を有し、また前記第二セキュリティ部材は、前記閉鎖状態をとるとき前記第一タブに隣接し通過するよう考案された第二の突出するタブ(105)を有し、前記ロック・スライドは前記ロック状態において前記第一タブと前記第二タブとの間に位置をとっていて、また前記第一タブと前記第二タブとの少なくとも一部は重畳している、突出する歯部(201)を有することを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項11】
前記歯部は前記ロック・スライドの湾曲部であり、前記ロック・スライドの主平面から突出していることを特徴とする、請求項9あるいは10に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項12】
複数の歯部とタブとを備え、前記ロック・スライドに沿って離間されることを特徴とする、請求項9あるいは10に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項13】
前記セキュリティ部材は閉鎖状態において、保管物品を一部収納するよう考案されることを特徴とする、請求項1−12のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項14】
前記セキュリティ部材は閉鎖状態において、保管物品を完全に収納するよう考案されることを特徴とする、請求項1−12のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項15】
前記セキュリティ部材はそれぞれの第一端部で互いに連結されまたロックされるよう考案され、また前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部においてちょうつがい(17)で連結されることを特徴とする、請求項1−14のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項16】
前記セキュリティ部材はそれぞれの第一端部で互いに連結されまたロックされるよう考案され、また前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部おいてホックで連結されるよう考案されることを特徴とする、請求項1−14のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項17】
前記セキュリティ部材はそれぞれの第一端部と、前記第一端部の反対側のそれぞれの第二端部において互いに連結されまたロックされるよう考案されることを特徴とする、請求項1−14のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項18】
前記第一セキュリティ部材はベース用部材であり、また前記第二セキュリティ部材はふた用部材であり、そしてそのベース用とふた用との部材は前記閉鎖状態においてボックス状構造を形成することを特徴とする、請求項1−17のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項19】
前記閉鎖状態において、前記ベース用部材は自身の内部側面上の前記ロック・スライドを支持する前面壁(12)を有し、また前記ふた用部材は前記ロック・スライドの内部側面上に位置決めされる前面壁(102)を有することを特徴とする、請求項18に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項20】
前記ふた用部材は自身の前面壁から突出するフランジ(107)を有し、そしてそのフランジは前記閉鎖状態において、前記ベース用部材の前面壁と係合しまた前記ボックス状構造にロック・スライドを収納することを特徴とする、請求項19に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項21】
前記第一セキュリティ部材の側部の開口部を通って突出する操作手段(204)を備える前記ロック・スライドが考案されることを特徴とする、請求項1−20のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項22】
警報タグを具備していることを特徴とする、請求項1−21のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項23】
物品を保持するためのセキュリティ・デバイスであって、
物品を保管するために閉鎖状態に連結されるセキュリティ部材である第一セキュリティ部材(10)及び第二セキュリティ部材(100)と、セキュリティ・デバイスを閉鎖状態に維持するためにロック状態へ移動可能であるロック・スライド(200)と、ロックする構造をロック状態に維持するためのラッチ手段(202)とを具備しているものにおいて、
前記ラッチ手段は前記第一セキュリティ部材上で支持され、また前記第二セキュリティ部材上の協働手段(106)と係合するよう考案されることを特徴とする、
セキュリティ・デバイス。
【請求項24】
前記ラッチ手段は前記ロック・スライドの主平面から延びているスプリング・ブレード(202)を具備することを特徴とする、請求項23に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項25】
前記ラッチ手段は前記ロック・スライドと一体であることを特徴とする、請求項23に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項26】
前記スプリング・ブレードは前記ロック状態において前記第二セキュリティ部材上に配置される停止用部材と係合するよう考案されることを特徴とする、請求項24に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項27】
前記ロック・スライドに沿って離間されるセキュリティ・デバイスが、二つ以上のスプリング・ブレードと二つ以上の対応する停止用部材とを具備することを特徴とする、請求項26に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項28】
前記停止用部材は前記第二セキュリティ部材上の肩部であることを特徴とする、請求項26に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項29】
前記停止用部材は前記第二セキュリティ部材上の凹部であることを特徴とする、請求項26に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項30】
前記ラッチ手段は弾力性のある磁性材料から作製されることを特徴とする、請求項23−29のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項31】
警報タグを具備していることを特徴とする、請求項23−30のいずれか一項に記載のセキュリティ・デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−515573(P2007−515573A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508359(P2005−508359)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009629
【国際公開番号】WO2005/021907
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(504448748)エムベー セキュリティー アクティエボラーグ (2)
【Fターム(参考)】