説明

ロック機構及びケース

【課題】ワンアクションでケースのロック開閉が出来る機能を有すると共に、ケースの展示等の際に吊り下げる機能を併せ持つロック技術を提供する。
【解決手段】上ケース20と下ケース30とを固定するロック機構40は、下ケース30に枢動可能に取り付けられ、上ケース20に設けられたロック係止部24と係止するロック部70と、ロック部70の係止及び係止解除を行うフック部50とを備える。フック部50は、ロック部70を係止させるときに、ロック部70のロック固定押圧部に作用するロック用片を備える。さらに、係止を解除するロック解除片53を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構及びケースに係り、例えば、少なくとも二つに分離する態様のケースをロックするロック機構およびそのようなロック機構を備えるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に物を収納するケースには様々なタイプがある。例えば、上下に二分割できるプラスチックなどのハードケースに小型の電化製品を収納し、収納した状態で展示や販売が行われたり、さらに、消費者が購入後には、そのハードケースに収納した状態で製品が保管されたりする。
【0003】
このようなハードケースにあっては、例えば上ケースと下ケースの固定のためにスライド式のロック機能が設けられている。また、容器本体と蓋体とのロックの解除を、容器本体に設けられた取手を回動させて蓋体を持ち上げる態様の機構を備えたケースもある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−78602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クッキングスケールなどを収納する収納ケースは、吊り下げ展示、または収納時や持ち運びの際にケース上下が分離しないようにロック機構が設けられている。従来のロック機構は、スライド式が一般的であり、フック部分を設けると、吊り下げ時のバランスを考え、フック部に対して両サイドに配置する必要があった。また、ロック機構をセンターの一カ所に配置した場合、フック部分を大きくする必要があり、コストが増加する要因となっていた。
【0006】
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであって、その目的は、ワンアクションでケースのロック開閉が出来る機能を有すると共に、ケースの展示等の際に吊り下げる機能を併せ持つロック技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はロック機構に関する。このロック機構は、第1のケースと第2のケースとを固定するロック機構であって、前記ロック機構は、前記第1のケースに枢動可能に取り付けられ前記第2のケースに設けられた係止部と係止するロック手段と、前記ロック手段が前記係止部と係止を行うとともに係止解除を行うロック操作手段とを備え、前記ロック操作手段は、前記ロック手段を係止させるときに、前記ロック手段に作用するロック作用手段、前記ロック手段の係止を解除するロック解除作用手段と、を備え、前記ロック手段は、前記第2のケースの前記係止部と係止するロック係止手段と前記係止部と前記ロック係止手段を係止する際に、前記ロック操作手段の作用を受けるロック被作用手段と、前記係止を解除する際に、前記ロック操作手段の作用を受けるロック解除被作用手段とを備える。
また、前記ロック手段は、前記ロック被作用手段と連続して形成されるロックガイド手段を備え、当該ロックガイド手段は、前記ロック操作手段が係止動作のための枢動する動作によって前記ロック作用手段の位置を移動させるときに、前記ロック手段を係止方向に移動させる作用を受ける被作用手段として機能してもよい。
また、前記ロック操作手段が、前記第1のケース側に近接するまで枢動したときにロックが解除されてもよい。
また、前記ロック解除作用手段は、前記ロック解除作用手段の枢動軸上に形成されたカム形状を有してもよい。
また、前記ロック操作手段は、所定のフック形状部材に吊り下げ可能に構成されてもよい。
本発明は、ケースに関する。このケースは、上記のロック機構と、前記第1のケース及び第2のケースとを備える。
また、前記ロック機構は、前記第1のケースの側面に設けられており、前記ロック手段が前記第2のケース側に倒れた状態まで枢動したときに、前記ロック機構は係止状態となり、前記ロック手段が前記第1のケース近接位置まで枢動したときに、前記ロック機構は係止が解除されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワンアクションでケースのロック開閉が出来る機能を有すると共に、ケースの展示等の際に吊り下げる機能を併せ持つロック技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る、ケースの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、下ケースに設けられるロック機構の基部を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、下ケースに設けられるロック機構のフック部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、下ケースに設けられるロック機構のロック部を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、ロックされた状態のケースの全体を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、フック部が上ケース側に倒されており、かつロックされた状態を示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、フック部が垂直まで倒されており、かつロックされた状態を示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、ロック解除が開始される状態を示した図である。
【図9】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、ロックがちょうど解除される状態を示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、ロックが完全に解除された状態を示した図である。
【図11】本発明の実施形態に係る、ケースのロック機構を拡大して示す図であり、ロック動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。以下では、クッキングスケールを収容するケースについて例示する。本実施形態の特徴的な構成はロック機構にあり、主にそのロック機構に着目して説明する。このロック機構は、ワンアクションでロックとその解除が可能であるとともに、ロック機構を構成する一部要素を、ケースを展示等するときに利用するフックとして機能させている。
【0011】
図1は、本実施形態に係るケース10の概略構成を示す斜視図であり、図1(a)は、上ケース20と下ケース30とが固定された状態を示し、図1(b)は分離した状態を示している。なお、以下では、便宜的に、図示のX正方向を左方向、X負方向を右方向とし、Y正方向を前方向、Y負方向を後方向、Z正方向を上方向、Z負方向を下方向として説明する。
【0012】
ケース10は、例えばプラスチック製等の樹脂製であって、上ケース20と下ケース30とを備えて構成されている。上ケース20と下ケース30とが固定された状態では、ケース10は、一般的な略箱形の形状を有しており、内部にクッキングスケールが収容可能になっている。そして、上ケース20と下ケース30とを固定する場合に使用されるロック機構40が備わる。具体的には、ケース10を閉じる場合には、下ケース30の上に上ケース20が載せられ嵌合し、ロック機構40が上ケース20と下ケース30とを固定する。
【0013】
上ケース20は、ケース10に収容されるクッキングスケール等を視認可能に、透明な樹脂製で形成されている。平面視において上ケース20の外周枠21は、下ケース30の外周枠31と略同一の大きさとなっている。そして、上ケース20と下ケース30とが固定される場合には、上ケース20の外周枠21の端面が、下ケース30の外周枠31の端面に当接する。さらに、上ケース20の端部の外周面には、その外周面を覆うとともに、下ケース30が上ケース20の載った状態において下ケース30を覆う形態でケース嵌合枠26が設けられている。これによって、ケース10の固定の際には、上ケース20と下ケース30とが所望の位置に配置される。
【0014】
上ケース20の外周枠21の後面側(Y負方向側)には、二つのケース係止爪28が左右対象の所定位置に設けられている。これらケース係止爪28は、下方向且つ内側方向に向けて形成されており、下ケース30に設けられるケース係止部38に係止する。下ケース30に上ケース20を嵌める際に、まず、ケース係止爪28とケース係止部38とを係止させる必要がある。この係止構造には、公知の技術を用いることができる。
【0015】
また、上ケース20の前側(Y正方向側)の左右中央部分には、後述の基部41の基部上面42に嵌合可能なロック押面22が前方に突出して形成されている。このロック押面22は、平面視で略長方形の形状を呈している。また、ロック押面22の上面は平面に構成され、その前方端部近傍には所定高さで左右に所定長延びるロック係止部24が形成されている。さらに、ロック押面22の内面は、後述するロック機構40の基部上面42に形成されたリブ状体(基部上面嵌合枠46)が当接するように形成されている。
【0016】
下ケース30の外周枠31の後側(Y負方向側)には、前述の二つのケース係止爪28が係止可能にケース係止部38が設けられている。ここでは、ケース係止部38は、平面視において、左右に延びるリブ状体の形状を有している。
【0017】
また、下ケース30の前側(Y正方向側)の左右中央にロック機構40が設けられており、上ケース20と下ケース30とを固定する。ロック機構40は、基部41と、フック部50と、ロック部70とを備えて構成されている。
【0018】
図2は、基部41を示しており、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図を示している。図示のように、基部41は、平面視において略長方形の形状を有し、基部上面42は、下ケース30の外周枠31の高さより若干低く形成されている。そして、基部上面42には、ロック押面22の内周面に嵌合する所定高さのリブ状体(以下、「基部上面嵌合枠46」という)が、外周枠31から延出して形成されている。さらに、基部上面42の左右の端部それぞれからは、枢着部43として下方向に延びるリブ状体が側面から垂直に一体に形成されている。それぞれ枢着部43には、フック部50とロック部70とが枢動可能に装着される。
【0019】
枢着部43のそれぞれには、上から順に、フック部枢着孔44とロック部枢着孔45が形成されている。ここでは、フック部枢着孔44とロック部枢着孔45はともに枢着部43を左右に連通している。フック部枢着孔44には、後述のフック部50のフック回動軸59が枢動可能に取り付けられる。また、フック部枢着孔44には、回動固定凹部49が形成されており、フック回動軸59の回動固定凸部56(図3参照)と係止し、フック部50を所望の位置に維持する。例えば、後述の図6、図7、図10の状態にフック部50が位置するように、回動固定凹部49は3カ所(図示では1カ所)に設けられている。同様に、ロック部枢着孔45には、ロック部70のロック枢着部71(図4参照)が枢動可能に取り付けられる。
【0020】
つづいて、フック部50とロック部70について詳述する。なお、便宜的に、フック部50及びロック部70において、基部41の枢着部43に取り付けられる側を基部側といい、基部側と反対側を先端側という。
【0021】
図3は、フック部50を示した図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。このフック部50は、ケース10の展示の際にフックに掛けられる手段として機能すると共に、ロック部70による上ケース20と下ケース30とのロック/ロック解除のための手段(ロック操作手段)として機能する。
【0022】
なお詳細は後述するが、例えば図5及び図6に示すように、フック部50が上向きになっている状態(上ケース20側に倒れた状態)が、上ケース20と下ケース30とが固定された状態である。また、図10に示すように、フック部50が下向きになっている状態(下ケース30側に倒れた状態)が、上ケース20と下ケース30との固定が解除された状態である。また、一旦、固定されると、フック部50が枢動して図7や図8に示す状態になっても、上ケース20と下ケース30との固定状態は維持される。したがって、図7に示すように、フック部50が下ケース30に対して垂直状態にあっても、上ケース20と下ケース30との固定状態が維持されることから、フック部50を用いてケース10を吊り下げることができる。
【0023】
図3に示すように、フック部50は、基部側の二つのフック回転軸部51と、それらフック回転軸部51から先端側(図示で下側方向)に延びるフック枠52とを備えて形成されている。換言すると、フック枠52は、先端側において内側に延びる先端側枠52aと、先端側枠52aの両端からそれぞれ垂直に所定長だけ延出する側方側枠52bとを備える。先端側枠52aの内側の中央部分には、凹状のフック用凹部55が形成されており、展示等の際にフック等に掛けられる。また、それぞれの側方側枠52bの基部側端部には、所定長の筒状のフック回転軸部51が先端側枠52aと平行に内側に向かって形成されている。つまり、各フック回転軸部51の内側端部が対向するように形成されている。ここで、フック回転軸部51の内側端部間の距離X2は、基部41の幅X11(図2(b)参照)に略等しい。
【0024】
さらに、フック回転軸部51の内側の端部には、フック回動軸59が設けられている。フック回動軸59は、基部41の枢着部43のフック部枢着孔44に外側から枢着する。そしてフック枠52の内側に形成される枠開口61の部分の大きさは、基部41に枢着されたロック部70が通過可能になっている。ただし、フック枠52には、ロック動作においてフック枠52を動かしたときにロック部70の一部に当接して、ロック部70をロック係止部24に係止させるロック用片54が設けられ、ロック用片54はロック作用手段として機能する。より具体的には、フック枠52の先端側の内側両角には、上記のロック用片54が形成されている。このロック用片54は、フック枠52の内側両角、つまり、先端側枠52aと側方側枠52bの境界部分から枠開口61側に向けて略矩形に突出している。なお、ロック部70のロック係止部24への係止動作については図11において後述する。
【0025】
また、フック回転軸部51は、内側端部近傍にロック解除片53を備える。ロック解除片53は、フック回転軸部51の側面から回転軸に対して垂直方向に所定長延びて形成されている。ここでは、図3(b)に示すように、フック枠52が形成される面P1に対して所定角度θ(例えば45度)斜め方向に延出して形成されている。このような形状のロック解除片53は、一種のカムとして機能し、フック回転軸部51の回動に連動し、所定の位置でロック部70の係止状態(固定状態)を解除する。なお、この角度θは、ロック解除対象であるロック部70の形状に応じて適宜設定される。また、解除動作については図5〜図10において後述する。
【0026】
さらにまた、フック回転軸部51の内側の端部には、回動固定凸部56が設けられている。回動固定凸部56は、枢着部43のフック部枢着孔44に設けられた回動固定凹部49(図2(a)参照)に係止し、それらの係止によってフック部50を所定の位置に維持する。なお、それらの係止状態が比較的小さな力で解除できる形状に、回動固定凸部56及び回動固定凹部49が形成されている。
【0027】
図4はロック部70を示した図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図、図4(c)は側面図、図4(d)はA1−A1断面図、図4(e)はA2−A2断面図を示している。図示のように、ロック部70は略箱状の形状を呈しており、両側に設けられたロック側面72と、両ロック側面72をわたすように形成されたロック平面73と、ロック前面74とを一体に形成して備えている。
【0028】
ロック側面72は、ロック前面74の反対側端部近傍の内側に、ロック枢着部71を備えている。両ロック側面72の内面間の距離X3は、基部41の幅X12(図2(b)参照)と略同一に形成されており、ロック枢着部71が枢着部43のロック部枢着孔45に枢着することで、ロック部70はロック枢着部71を回転軸として枢動する。
【0029】
また、図4(c)に示すように、ロック側面72の外面には、ロックガイド部81が形成されている。フック部50が操作されて枢動し、ロック部70を後述の図10の解除状態から図5のロック状態に枢動するときに、ロック用片54がロックガイド部81に当接しつつ移動するガイドとして機能する。なお、ロックガイド部81は、ロック用片54の動きに対応した形状、ここでは、ロック側面72から垂直に所定長延出した上面視曲面で段差形状を呈している。
【0030】
また、ロック側面72は、ロック状態となったときに、フック部50のフック回転軸部51との接触を避けるために、フック部50の外形に合わせた形状の回動軸用凹部80が形成されている。
【0031】
さらに、図4(a)や図4(d)に示すように、ロック側面72の内面には、ロック解除の際に、ロック解除片53が移動し当接できるようにロック解除押圧部76が形成されている。より具体的には、ロック解除押圧部76の形状は、図5〜図7の状態では、ロック解除片53がロック解除押圧部76に当接せず、図9の状態で当接しロック解除が開始され、図10の状態でロックが完全に解除されるようになっている。
【0032】
さらにまた、図4(a)や図4(e)に示すように、ロック前面74の先端部中央の内面には、内側方向つまり基部側に向かって突出する爪状のロック係止片78が形成されている。さらに、ロック係止片78の両サイドには、ロック係止片78から若干離間した位置に、リブ状の係止押さえ片79が設けられている。そして、ロック部70がロックされる際に、ロックガイド部81の先端側に形成されるロック固定押圧部77がロック用片54によって押されて、ロック係止片78が上ケース20のロック係止部24に係止する。ロック固定押圧部77は、ロック作用手段であるロック用片54の作用を受けるロック被作用手段として機能する。また、係止押さえ片79が上ケース20のロック押面22の上面を押さえる。
【0033】
以上の構成のケース10における、ロック機構40のロックの解除動作及びロック動作について説明する。まず、ロック解除について説明する。図5(a)は、固定された状態のケース10の平面図を示しており、図5(b)は右側面図、図5(c)は図5(a)のB1−B1断面図、図5(d)は図5(a)のB2−B2断面図を示している。さらに、図6(a)は、ロック機構40について図5(a)の領域S1を拡大して示した図であり、図6(b)は図5(b)の領域S2を示した図であり、図6(c)は図5(c)の領域S3を示した図であり、図6(d)は図5(d)の領域S4を示した図である。
【0034】
主に図6(c)に示すように、フック部50が上ケース20側に位置している場合、ロック部70のロック係止片78が上ケース20のロック係止部24に係止しており、上ケース20と下ケース30とは固定されている。また、図6(d)に示すように、フック部50のロック解除片53は、ロック解除押圧部76に対して反対側にあり、解除動作することはない。
【0035】
そして、図6の状態からフック部50を90度倒した状態を図7に示す。図7(a)〜図7(d)がそれぞれ図6(a)〜図6(d)に対応している。この状態では、図7(d)に示すように、フック部50のロック解除片53は、ロック解除押圧部76に対して接近しているもののまだロック解除押圧部76には当接しておらず、ロック部70のロック係止片78が上ケース20のロック係止部24に係止した状態で、ロック機構40はまだロック状態を維持したままフック部50を枢動することができる。
【0036】
図7の状態からフック部50を更に45度倒した状態を図8に示す。図8(a)〜図8(d)がそれぞれ図7(a)〜図7(d)に対応している。この状態では、図8(d)に示すように、ロック解除片53は、ロック解除押圧部76にちょうど当接した状態である。より具体的には、ロック解除片53の側面がロック解除押圧部76に当接している。このとき、ロック部70のロック係止片78が上ケース20のロック係止部24に係止しているが、さらにフック部50が倒された場合、ロック係止片78とロック係止部24の係止状態の解除が開始される。
【0037】
図8の状態からフック部50を更に倒した状態を図9に示す。図9(a)〜図9(d)がそれぞれ図8(a)〜図8(d)に対応している。この状態では、図9(d)に示すように、ロック解除片53が上方に向けて回転することから、ロック解除片53がロック解除押圧部76を押し上げるように作用することで、ロック部70は、ロック枢着部71を軸としてケース10から離間するように枢動する。これによって、ロック部70のロック係止片78は、ロック係止部24を乗り越えてロックを解除する動作を行う。ここでは、ちょうどロック係止部24の頂部にロック係止片78の頂部が位置している状態となっている。
【0038】
図9の状態から更にフック部50を動かし完全に下ケース30側まで倒した状態を図10に示す。図10(a)〜図10(d)がそれぞれ図9(a)〜図9(d)に対応している。この状態では、図10(c)に示すように、ロック部70は、ケース10に対して垂直な状態になっている。そして、ロック係止片78とロック係止部24とは完全に離間して、係止状態が解除されている。
【0039】
次に、図11に、フック部50の枢動動作によって、ロック部70のロック係止片78が上ケース20のロック係止部24へ係止する動作について説明する。なお、図11は、ロック機構40の側面図であり、本来ロック用片54が隠れて見えないことから、ロック用片54の端部を便宜的に太線で示している。図11(a)は、フック部50が下ケース30側に完全に倒れた状態である。そして、図11(b)に示すように、フック部50を操作してフック部50を上ケース20側に枢動するとロック用片54がロックガイド部81に当接してロック部70を枢動させる。さらに、フック部50を上ケース20側に枢動させると、ロック用片54がロックガイド部81当接しながら移動する際に、ロックガイド部81を押すことによって、図11(c)の状態を経て、図11(d)に示すようにロック用片54がロック固定押圧部77に当接する。このとき、フック部50は、上ケース20の近くまで移動している。そして、フック部50を更に上ケース20側に完全に倒し込むように枢動させると、図11(e)の状態になり、図5及び図6で示したように、ロック部70のロック係止片78がロック押面22のロック係止部24に係止する。
【0040】
以上のように、ロック機構40のロック解除動作は、フック部50に対する比較的小さな力による操作によって行うことができる。さらに、ロック機構40のロック動作は、ロック部70のロック位置への移動と、実際のロック係止片78とロック係止部24との係止動作をフック部50のワンアクションによる操作によって簡単に行うことができる。さらに、ロックされた状態にあっては、ロック状態を維持したままフック部50を広範囲に枢動させることができる。従って、フック部50をフック等に掛けてケース10を展示したときに、購入者等がケース10を取り寄せる動作をした場合であっても、ロック機構40のみのロックだけでも十分にロックを維持することができる。また、展示状態にあって、購入者等がケース10を取り寄せる動作をする場合は、ケース10の下側端部(ロック機構40とは反対側)を持ち上げる動作がなされる。従って、フック部50は上ケース20側に倒れる方向に枢動する。この枢動方向はロックをする方向であるので、その様な操作によって、上ケース20と下ケース30とのロックが解除することはない。
【0041】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0042】
10 ケース
20 上ケース
22 ロック押面
24 ロック係止部
30 下ケース
40 ロック機構
41 基部
42 基部上面
43 枢着部
44 フック部枢着孔
45 ロック部枢着孔
46 基部上面嵌合枠
50 フック部
51 フック回転軸部
52 フック枠
53 ロック解除片
54 ロック用片(ロック作用手段)
55 フック用凹部
56 回動固定凸部
70 ロック部
71 ロック枢着部
72 ロック側面
76 ロック解除押圧部
77 ロック固定押圧部
78 ロック係止片
81 ロックガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケースと第2のケースとを固定するロック機構であって、
前記ロック機構は、前記第1のケースに枢動可能に取り付けられ前記第2のケースに設けられた係止部と係止するロック手段と、前記ロック手段が前記係止部と係止を行うとともに係止解除を行うロック操作手段とを備え、
前記ロック操作手段は、
前記ロック手段を係止させるときに、前記ロック手段に作用するロック作用手段と、
前記ロック手段の係止を解除するロック解除作用手段と、
を備え、
前記ロック手段は、
前記第2のケースの前記係止部と係止するロック係止手段と
前記係止部と前記ロック係止手段を係止する際に、前記ロック操作手段の作用を受けるロック被作用手段と、
前記係止を解除する際に、前記ロック操作手段の作用を受けるロック解除被作用手段と
を備える
ことを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記ロック手段は、
前記ロック被作用手段と連続して形成されるロックガイド手段を備え、
当該ロックガイド手段は、前記ロック操作手段が係止動作のための枢動する動作によって前記ロック作用手段の位置を移動させるときに、前記ロック手段を係止方向に移動させる作用を受ける被作用手段として機能する
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記ロック操作手段が、前記第1のケース側に近接するまで枢動したときにロックが解除されることを特徴とする請求項1または2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロック解除作用手段は、前記ロック解除作用手段の枢動軸上に形成されたカム形状を有していることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のロック機構。
【請求項5】
前記ロック操作手段は、所定のフック形状部材に吊り下げ可能に構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のロック機構。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の前記ロック機構と、
前記第1のケース及び第2のケースと
を備えることを特徴とするケース。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記第1のケースの側面に設けられており、
前記ロック手段が前記第2のケース側に倒れた状態まで枢動したときに、前記ロック機構は係止状態となり、
前記ロック手段が前記第1のケース近接位置まで枢動したときに、前記ロック機構は係止が解除される
ことを特徴とする請求項6に記載のケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−32748(P2011−32748A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180491(P2009−180491)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】