説明

ロボットハンドとこれを用いたワーク位置決め方法

【課題】把持位置のワークに位置ずれ(初期位置誤差)があっても、初期位置誤差を吸収してワークを把持でき、かつワークのアライメント(位置決め)ができ、さらに移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークを開放できるロボットハンドとこれを用いたワーク位置決め方法を提供する。
【解決手段】ロボットのハンド取付部9に取り付けられたハンド本体12と、ワーク上面でワーク1を着脱可能に把持する把持装置14と、ハンド本体から把持装置を上下動及び水平移動可能に吊り下げるフローティング機構16と、ハンド本体に上下動可能に取り付けられ、かつワーク上面の一部と係合し、把持装置を水平移動してワークを位置決め可能なサイドガイド18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロック等のワークを把持しながら位置決めし、所定の位置に移載するロボットハンドとこれを用いたワーク位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(例えばエンジンのシリンダブロック)がパレットやコンベア上に載せられており、これをロボットハンドにより把持して別の位置に移載する場合において、把持するワーク位置が正しい位置から移動したり(位置ずれ)、複数のワークの間隔が狭い場合がある。
そこでロボットを用いてワークを把持しながら位置決めし、移載するために、例えば特許文献1、2が既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、可搬重量が大きく、様々な可搬重量に対応でき、調整・保守の容易なロボットハンド装置を目的とする。
そのため、このロボットハンド装置は、図5に示すように、ワークを複数個所で把持する複数のクランパ57〜59と、これら複数のクランパをそれぞれ駆動する複数のエアシリンダ51〜53とを設ける。複数のクランパ57〜59とエアシリンダ51〜53によりワーク55を把持する時は、所定の把持圧力で把持して搬送するとともに、ワーク55を治具54に挿入する時は、エアシリンダ51〜53の圧力を、ワークの把持圧力状態より低い圧力値に切り換えるものである。なおこの図で、56はワークの側面穴に挿入して引っ掛けるピンである。
【0004】
特許文献2は、位置決め時に生じた誤差を解消してワークを正確に把持しうるロボットハンドを目的とする。
そのため、このロボットハンドは、図6に示すように、上下動自在の把持装置62の軸線周りに相対向して一対の爪65a、65bを配置し、爪開閉用アクチュエータ67に取り付ける。各爪65a、65bには約45°に刻まれたV字溝66を設ける。また、各爪65a、65bの下部には支持板68を取り付けるものである。なおこの図で61は吸盤である。
【0005】
【特許文献1】特開2000−6078号公報、「ロボットハンド装置」
【特許文献2】特開平5−293784号公報、「ロボットハンド」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のロボットハンド装置によるワーク把持動作は、まず、クランパ57〜58を広げた状態でワーク55に近づき、次にクランパ57〜58を閉めたワークの横側から把持し、同時にワークのアライメント(位置決め)ができ、初期位置誤差を吸収するようになっている。
しかし、このロボットハンド装置では、クランパ57〜58を広げた状態で初期把持するため、隣接して他のワークや障害物があればクランパ57〜58がその間に挿入できず把持できない問題点があった。
【0007】
特許文献2のロボットハンドは、ワークの上面から持ち上げ、その後爪65a、65bによりアライメント(位置決め)するので、上記問題点を解決することができる。
しかし、このロボットハンドでは、真空パッド61(吸盤)でワークを把持するため、中重量物(50kg程度)を把持するのは困難である。また、上面に貫通穴があるワーク(例えばシリンダブロック)には適用できない。さらに、爪の下部に支持板68があるためワークを開放する前に、爪65a、65bを開放する必要があり、そのとき移載位置が狂うおそれがある。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の主目的は、把持位置のワークに位置ずれ(初期位置誤差)があっても、初期位置誤差を吸収してワークを把持でき、かつワークのアライメント(位置決め)ができ、さらに移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークを開放できるロボットハンドとこれを用いたワーク位置決め方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、50kg程度を超える中重量物を把持することができ、上面に貫通穴があるワーク(例えばシリンダブロック)にも適用できるロボットハンドとこれを用いたワーク位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ロボットのハンド取付部に取り付けられ、ワークを把持しながら位置決めし、所定の位置に移載するためのロボットハンドであって、
前記ハンド取付部に取り付けられたハンド本体と、
ワーク上面でワークを着脱可能に把持する把持装置と、
該ハンド本体から把持装置を上下動及び水平移動可能に吊り下げるフローティング機構と、
前記ハンド本体に上下動可能に取り付けられ、かつワーク上面の一部と係合し、前記把持装置を水平移動してワークを位置決め可能なサイドガイドとを備えた、ことを特徴とするロボットハンドが提供される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記把持装置は、ワーク上面に密着してこれに吸着する電磁石と、該電磁石の水平方向対向位置に位置し、サイドガイドと係合して電磁石を水平移動させる複数の電磁石ガイドとを有する。
【0012】
また、前記フローティング機構は、下端が前記電磁石の上面に固定され、上方に延び、上端がハンド本体に上下動及び水平移動可能に支持された複数の吊り下げ部材と、前記電磁石を上方に付勢してその重量をキャンセルするバランススプリングとを有する。
【0013】
また、前記サイドガイドは、ワーク上端の対向する外面と係合してワークをその間のアライメント位置に水平移動して挟持する複数の爪部と、前記複数の電磁石ガイドと係合して電磁石を前記アライメント位置に水平移動させる複数の本体ガイドとを有する。
【0014】
また、本発明によれば、ロボットのハンド取付部に取り付けられ、ワークを把持しながら位置決めし、所定の位置に移載するためのロボットハンドを用いたワーク位置決め方法であって、
把持装置を上下動及び水平移動可能に吊り下げ、該把持装置によりワーク上面でワークを把持し、
サイドガイドをワーク上面の一部と係合させ、かつ前記把持装置を水平移動してワークをアライメント位置に位置決めする、ことを特徴とするワーク位置決め方法が提供される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、把持装置とサイドガイドによりワークを位置決めした状態で、所定の移載場所にアライメント位置を保持したままワーク下面を載せ、サイドガイドをワーク上面の一部と係合させたままで、該把持装置によるワークの把持を開放し、次いで、サイドガイドとワーク上面との係合を解除する。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の装置と方法によれば、把持装置がフローティング機構により上下動及び水平移動可能に吊り下げられ、サイドガイドがワーク上面の一部と係合し、前記把持装置を水平移動してワークを位置決め可能に構成されているので、把持装置によりワーク上面でワークを把持し、サイドガイドにより把持装置を水平移動してワークをアライメント位置に位置決めすることにより、把持位置のワークに位置ずれ(初期位置誤差)があっても、ワークのアライメント(位置決め)ができる。
【0017】
特に、前記サイドガイドが、ワーク上端の対向する外面と係合してワークをその間のアライメント位置に水平移動して挟持する複数の爪部を有することにより、爪部の水平方向の厚さが挿入できる隙間のみで、ワークの初期位置誤差を吸収してワークを把持できる。
【0018】
また、上記本発明の装置と方法によれば、把持装置とサイドガイドによりワークを位置決めした状態で、所定の移載場所にアライメント位置を保持したままワーク下面を載せ、サイドガイドをワーク上面の一部と係合させたままで、該把持装置によるワークの把持を開放し、次いで、サイドガイドとワーク上面との係合を解除することにより、 サイドガイドでアライメントされたままで把持装置を開放するため,開放位置が狂わない。従って、移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークを開放できる。
【0019】
特に好ましい実施形態によれば、把持装置は電磁石(マグネット)であり、上面からマグネットでワークを持ち上げるので、上面から把持するためワークのとなりに他のワークや障害物があっても問題ならない。
また、マグネットを採用するため中重量物の把持が可能である。
また、把持装置をフローティング機構で上下動及び水平移動可能に吊り下げるので、サイドガイドの本体ガイドと把持装置の電磁石ガイドとの係合により、ワークの位置をアライメントすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明によるロボットハンドの第1実施形態図である。
この図において、本発明のロボットハンド10は、ハンド本体12、把持装置14、フローティング機構16およびサイドガイド18を備え、ロボットのハンド取付部9に取り付けられ、ワーク1を把持しながら位置決めし、ワーク1を所定の位置に移載する。
【0022】
ワーク1は、この例では、エンジンのシリンダブロックであり、上面に複数のシリンダ穴を有し、全体が鋳鉄製であり、重量は50kg程度である。
なお、ワークはこの例に限定されず、パレット2やコンベア上にワークの上面が水平に載せられ、その上面の形状が一定であるかぎりで、どのようなワークであってもよい。
【0023】
ハンド本体12は、ロボットのハンド取付部9のこの例では下面に取り付けられている。ハンド取付部9は、ロボットにより好ましくは水平を保持しながら所定の距離内で3次元的に移動し、かつ水平に回転可能に構成されている。
【0024】
把持装置14は、ワーク上面でワーク1を着脱可能に把持する。
把持装置14は、この例では、電磁石14aと複数の電磁石ガイド14bとを有する。
電磁石14aは、ワーク1に吸着してこれを吊り下げ可能なマグネットであり、ワーク上面に密着する下面を有し、密着して通電することによりワーク1を吊り下げ可能に吸着し、通電中止(切断)により吸着を解除する。
複数の電磁石ガイド14bは、電磁石14aの左右及び前後に水平方向に対向して位置し、それぞれの外方端が、上方が凸のテーパ面であり、サイドガイド18の本体ガイド18b(後述する)と係合して電磁石14aをアライメント位置に水平移動させるようになっている。
【0025】
フローティング機構16は、ハンド本体12から把持装置14を上下動及び水平移動可能に吊り下げる。
フローティング機構16は、この例では、複数(2又は3以上)の吊り下げ部材16aとバランススプリング16bを有する。
吊り下げ部材16aは、下端が電磁石14aの上面に固定され、上方に延び、上端がハンド本体12に上下動及び水平移動可能に支持されている。この例で、吊り下げ部材16aの上端は、中間部分より大径のフランジ部であり、このフランジ部がハンド本体12に支持された状態で、上下動及び水平移動可能になっている。
バランススプリング16bは、この例では、ハンド本体12と電磁石14aに両端が取り付けられた引張りバネであり、このバネの弾性により電磁石14aを上方に付勢してその重量をキャンセルするようになっている。
【0026】
サイドガイド18は、ハンド本体12に取り付けられたリニアアクチュエータ17(例えばエアシリンダ)により、ハンド本体12に上下動可能に取り付けられている。
サイドガイド18は、この例では、複数の爪部18aと複数の本体ガイド18bを有する。複数の爪部18aは、下端外方が下方に凸のテーパ面を有し、このテーパ面がワーク上端の対向する外面1aと係合してワーク1をその間のアライメント位置に水平移動して挟持する。また、複数の本体ガイド18bは、内方下端が内方に凸のテーパ面を有し、複数の電磁石ガイド14bのテーパ面と係合して電磁石14aを前記アライメント位置に水平移動させるようになっている。
この構成により、サイドガイド18は、ワーク上面の一部(ワーク上端の対向する外面1a)と係合し、把持装置14(電磁石14a)を水平移動してワーク1をその間のアライメント位置に位置決め可能に構成されている。
【0027】
図2は、本発明によるワーク位置決め方法の前半の説明図である。この図は、パレットやコンベア上に載せられた把持位置のワーク1を本発明のロボットハンド10で把持し、把持した状態でワーク1の位置決めをするまでを示している。
【0028】
この図に示すように、本発明の前半のワーク位置決め方法では、
(A)ロボットによりロボットハンド10をワーク1の上部まで移動し、
(B)ロボットハンド10を下降させてワーク1の上面に電磁石14aを押し付け、この状態で電磁石14aに通電することによりワーク1を吊り下げ可能に吸着し、
(C)ワーク1を少し持ち上げるまでロボットハンド10を上昇させ、この状態で、把持装置14に作用する荷重を本体ガイド18bのテーパ面で支持し、
(D)サイドガイド18を下降させて、吊り下げ部材16aのフランジ部がハンド本体12に支持された状態とし、
(E)サイドガイド18をさらに下降させて、複数の爪部18aのテーパ面をワーク上端の対向する外面1aと係合させてワーク1をその間のアライメント位置に水平移動して挟持する。
(F)この状態で、ワーク1は、サイドガイド18により水平方向位置がアライメント(位置決め)され、かつ把持装置14と吊り下げ部材16aのフランジ部でワーク1の荷重を支えている。
上述した(A)〜(E)のステップにより、把持位置のワーク1の把持と、把持した状態でのワーク1の位置決めが完了し、(F)の状態でワーク1を別の移載場所まで移動する。
【0029】
すなわち、図2に示す本発明のワーク位置決め方法では、把持装置14をフローティング機構16により上下動及び水平移動可能に吊り下げ、把持装置14によりワーク上面でワーク1を把持し(A〜D)、サイドガイド18をワーク上面の一部と係合させ、かつ前記把持装置を水平移動して(E)、ワーク1をアライメント位置に位置決めする。
【0030】
上述した本発明の装置と方法によれば、把持装置14がフローティング機構16により上下動及び水平移動可能に吊り下げられ、サイドガイド18がワーク上面の一部と係合し、把持装置14を水平移動してワーク1を位置決め可能に構成されているので、把持装置14によりワーク上面でワーク1を把持し、サイドガイド18により把持装置14を水平移動してワーク1をアライメント位置に位置決めすることにより、把持位置のワーク1に位置ずれ(初期位置誤差)があっても、ワークのアライメント(位置決め)ができる。
【0031】
特に、サイドガイド18が、ワーク上端の対向する外面と係合してワーク1をその間のアライメント位置に水平移動して挟持する複数の爪部18aを有することにより、爪部18aの水平方向の厚さが挿入できる隙間のみで、ワークの初期位置誤差を吸収してワークを把持できる。
【0032】
図3は、本発明によるワーク位置決め方法の後半の説明図である。
この図に示すように、本発明の後半のワーク位置決め方法では、
(A)図2の(F)の状態でロボットによるロボットハンド10でワーク1を別の移載場所まで移動し、
(B)所定の移載場所において、ロボットハンド10を下降させてアライメント位置を保持したままワーク1の下面を所定の位置に置き、
(C)この状態で電磁石14aの通電を切って、ワーク1の重量を移載場所に載せ代え、
(D)ワーク1を移載場所に載せたままで、サイドガイド18を上昇させ、本体ガイド18bのテーパ面を電磁石ガイド14bのテーパ面と係合させて電磁石14aを前記アライメント位置に水平移動させ、
(E)ロボットハンド10を上昇させる。
上述した(A)〜(E)のステップにより、移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークの開放が完了し、(E)の状態でワーク1を把持位置まで移動する。
【0033】
すなわち、図3に示す本発明のワーク位置決め方法では、把持装置14とサイドガイド18によりワーク1を位置決めした状態で、所定の移載場所にアライメント位置を保持したままワーク下面を載せ、サイドガイド18をワーク上面の一部と係合させたままで、把持装置14によるワーク1の把持を開放し(A〜B)、次いで、サイドガイド18とワーク上面との係合を解除する(C〜D)。
【0034】
上記本発明の装置と方法によれば、サイドガイド18でアライメントされたままで把持装置14を開放するため、開放位置が狂わない。従って、移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークを開放できる。
【0035】
また、上述した本発明の実施形態によれば、把持装置14は電磁石(マグネット)であり、上面からマグネットでワーク1を持ち上げるので、対象とするワーク1のとなりに他のワークや障害物があっても問題ならない。
また、マグネットを採用するため中重量物の把持が可能である。
また、把持装置14をフローティング機構16で上下動及び水平移動可能に吊り下げるので、サイドガイド18の本体ガイド18bと把持装置14の電磁石ガイド14bとの係合により、ワーク1の位置をアライメントすることができる。
【0036】
さらに上述した構成によれば、バランススプリング16bにより、電磁石14aを上方に付勢してその重量をキャンセルするようになっているので、吊り下げ部材16aの上端のフランジ部がハンド本体12に支持された状態で、フランジ部の面圧を小さくでき、その水平移動に対する抵抗を小さくできる。
【0037】
図4は、本発明によるロボットハンドの第2実施形態図である。
この例では、吊り下げ部材16aのシャフトがハンド本体12のフレームに直接あたらないように、シャフトの回りを覆うゴムスリーブ21を有する。
この構成により、吊り下げ部材16aのシャフトとハンド本体12のフレームとの当接による磨耗や騒音を低減することができる。
【0038】
また、この例では、吊り下げ部材16aのフランジ部の下面にころがり摩擦の小さいボール22を備え、シャフトの移動を容易にしている。
【0039】
さらに、この例では、ハンド本体12と電磁石14aの間にダンパー23を備え、ワーク1の垂直移動をスムーズにしている。
【0040】
また、複数の爪部18aの下端に、自由に回転するローラ24を備え、その内方端がワーク上端の対向する外面1aと係合してワーク1をその間に水平移動して挟持するようになっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。なお、サイドガイド18の変わりに,ワークにある穴を使って,ピンでアライメントしてもよい。
【0041】
上述した第2実施形態のロボットハンドを用いた場合も、第1実施形態の場合と同様に、把持位置のワーク1に位置ずれ(初期位置誤差)があっても、初期位置誤差を吸収してワーク1を把持でき、かつワーク1のアライメント(位置決め)ができ、さらに移載位置で位置ずれ(移載位置誤差)を生じることなくワークを開放できる。
また、50kg程度を超える中重量物を把持することができ、上面に貫通穴があるワーク(例えばシリンダブロック)にも適用できる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ワークが鉄製でない場合には、把持装置の電磁石の代わりに真空パッド(吸盤)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるロボットハンドの第1実施形態図である。
【図2】本発明によるワーク位置決め方法の前半の説明図である。
【図3】本発明によるワーク位置決め方法の後半の説明図である。
【図4】本発明によるロボットハンドの第2実施形態図である。
【図5】特許文献1のロボットハンド装置の模式図である。
【図6】特許文献2のロボットハンドの模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ワーク(シリンダブロック)、1a 外面、
9 ロボットのハンド取付部、
10 ロボットハンド、12 ハンド本体、
14 把持装置、14a 電磁石、14b 電磁石ガイド、
16 フローティング機構、
16a 吊り下げ部材、16b バランススプリング、
18 サイドガイド、18a 爪部、18b 本体ガイド、
21 ゴムスリーブ、22 ボール、
23 ダンパー、24 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットのハンド取付部に取り付けられ、ワークを把持しながら位置決めし、所定の位置に移載するためのロボットハンドであって、
前記ハンド取付部に取り付けられたハンド本体と、
ワーク上面でワークを着脱可能に把持する把持装置と、
該ハンド本体から把持装置を上下動及び水平移動可能に吊り下げるフローティング機構と、
前記ハンド本体に上下動可能に取り付けられ、かつワーク上面の一部と係合し、前記把持装置を水平移動してワークを位置決め可能なサイドガイドとを備えた、ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記把持装置は、ワーク上面に密着してこれに吸着する電磁石と、該電磁石の水平方向対向位置に位置し、サイドガイドと係合して電磁石を水平移動させる複数の電磁石ガイドとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記フローティング機構は、下端が前記電磁石の上面に固定され、上方に延び、上端がハンド本体に上下動及び水平移動可能に支持された複数の吊り下げ部材と、前記電磁石を上方に付勢してその重量をキャンセルするバランススプリングとを有する、ことを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記サイドガイドは、ワーク上端の対向する外面と係合してワークをその間のアライメント位置に水平移動して挟持する複数の爪部と、前記複数の電磁石ガイドと係合して電磁石を前記アライメント位置に水平移動させる複数の本体ガイドとを有する、ことを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項5】
ロボットのハンド取付部に取り付けられ、ワークを把持しながら位置決めし、所定の位置に移載するためのロボットハンドを用いたワーク位置決め方法であって、
把持装置を上下動及び水平移動可能に吊り下げ、該把持装置によりワーク上面でワークを把持し、
サイドガイドをワーク上面の一部と係合させ、かつ前記把持装置を水平移動してワークをアライメント位置に位置決めする、ことを特徴とするワーク位置決め方法。
【請求項6】
把持装置とサイドガイドによりワークを位置決めした状態で、所定の移載場所にアライメント位置を保持したままワーク下面を載せ、サイドガイドをワーク上面の一部と係合させたままで、該把持装置によるワークの把持を開放し、
次いで、サイドガイドとワーク上面との係合を解除する、ことを特徴とする請求項5に記載のワーク位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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