説明

ローカル電話回線上で直流電力を提供するための方法およびシステム

【課題】建物やオフィス内の電話回線といったローカル電話回線上で直流電力を提供し、これらの電話回線を介した通信に関連する装置および回路、ならびにその他の機能に電力を供給する方法。
【解決手段】電話局または構内交換機からの直流電力成分を直流遮断フィルタで分離しつつ全ての交流電話信号を通過させることにより、電話回線を介して所望の電圧レベルおよび電力レベルを供給する。次に、電話回線を介して別個の直流電力を印加し、電話サービスおよびその他の負荷に電力を供給する。電話局または構内交換機と互換させるために、通常の電話オフフック検出をシミュレートする。これらに必要な機能の一部または全てが電話アウトレット内に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の伝送に関し、特に、稼動中の電話配線を利用した構内での直流(DC)電力の提供に関する。
【0002】
[背景技術]
(「旧式の普通の電話サービス(Plain Old Telephone Service)」すなわち、「POTS」としても知られる)従来のアナログ電話通信は、「加入者ループ」として知られるワイヤ対を用いて電話機に接続された電話局(CO)または構内交換機(PBX)に基づいている。ほとんどの場合、建物内のワイヤの電話機側は電話アウトレットを用いて終端されており、電話機はこのアウトレットに接続されている。PBX/COは、その回線に接続された電話の電話オフフック/オンフック状態を検出するために、低電圧(通常、約48VDC)、低出力の直流を提供している。従来のアナログ電話では、受け台から受話器を持ち上げる(オフフック状態)と、回線全体に抵抗負荷を付与するスイッチが閉じ、これにより、加入者ループに直流電流が流れる。この電流は、電話オフフック状態を知らせるために、また、従来の「パルスダイアル方式」のスイッチシステム用として、PBX/COにおいて検出される。このような直流電力は、当初は電話オフフック状態およびパルスダイアル方式を検出する目的だけに意図されていたが、電話機器内で用いられる電気回路やこれらに付随する通信およびデータ伝送の使用に関係する装置といった、その他の目的のために低電圧電力を供給するためにも広く用いられている。 本発明の目的において、1つまたはそれ以上の電話にローカル電話回線を提供するあらゆる施設は、構内交換機(PBX)、電話局(CO)、または同様のシステムと機能的に同等であると考えられ、本明細書においては、「PBX/CO」という用語によって示す。 図1は、基本的な構内PBX/CO・電話間接続構成10を示す模式図である。PBX/CO11は、電話機13aおよび13bがそれぞれ2線の接続回線を介して接続された配線14で構成される2線式電話回線のローカルループまたは加入者ループを有する。「電話機」としては、電話、ファクス装置、ダイアルアップモデムおよびその他のあらゆる電話通信機器が含まれるが、これらに限定されるものではない。ほとんどの場合、各電話機は、電話アウトレット12aおよび12bによりそれぞれ電話線に接続している。 構内の配線14は、配線が1つのアウトレットから次へと線形に接続されている、直列、すなわち「デイジーチェーン型」のトポロジに通常は基づいているが、星型、ツリー型、または任意のトポロジといったその他のトポロジを用いることもできる。しかし、トポロジにかかわらず、住居内の電話配線システムには、常に配線式媒体が用いられる。すなわち、2つまたは4つの銅線であり、これらは、これら配線に電話機に接続するための直接的なアクセスを提供する1つまたはそれ以上のアウトレット内で終端している。
【0003】
本明細書において「電話アウトレット」という用語は、建物内に設置された電話配線に対する外部装置の簡単かつ迅速な接続および切断を容易にする電気機械装置を指す。一般に、電話アウトレットは、配線への固定接続を有し、通常はフェースプレート内の統合コネクタを用いて外部機器を所望の通りに容易に接続可能にしている。上記アウトレットは、通常、壁に機械的に取り付けられるか、または壁の中に設置される。本明細書で用いられる「電話アウトレット」は、配線への固定接続を有し、かつ壁に機械的に取り付けられるかあるいはまたは壁の中に設置される部分と、最初に述べた部分に着脱可能に機械的に取り付けられかつ電気的に接続された部分とで構成される装置、すなわち、第1の部分が電気的接続および機械的連結の両方に用いられるジャックまたはコネクタである装置であってもよい。 本明細書において「壁」とは、垂直壁の他に、これらに限定するものではないが天井および床を含む建物のあらゆる内面または外面を指す。 稼動中の電話回線を介して、電話信号だけでなく電力を搬送することができれば望ましい。このことにより、特に、電話配線が既に存在している施設において追加のケーブル配線を行なう必要がなくなる。例えば、電話回線を介して搬送された電力は、電話配線、多機能電話機およびその他の電話通信関連機器および非電話通信機器の至る所において、中継器およびその他のあらゆるメディエーションデバイスへの電力供給に用いることができる。電力供給は、通常、接続された電話がオフフックおよびオンフックである場合に必要となる。 ディヒター(Dichter)の米国特許第6,216,160号およびラベンコ(Rabenko)らの米国特許出願公報2002/0003873は、電話信号および電話配線を介して搬送されるその他の信号への妨害を避けるために、周波数領域多重化(FDM)を用いて交流電力を稼動中の電話配線を介して搬送することを開示している。この電力供給方法は、非遮蔽電話配線に対して、例えばFCCによって課されている放射規制に起因する欠点を有している。さらに、このような実施には、非常に複雑でコストの高いフィルタリング回路が必要である。 オーテル(Ortel)の米国特許第6,157,716号には、稼動中の電話回線を介して直流電力を搬送する技術が開示されている。ダイオードと、様々なオンフックおよびオフフック状態において示されるインピーダンスとに基づき、電話回線を用いて直流電流を印加および抽出することが可能である。直流電力供給を用いることにより、交流電力供給に伴う放射およびフィルタリングの問題が軽減される。しかし、オーテルにより開示された技術では、非常に制限された量の電力しか電話配線を介して搬送することができない。 従来技術による一般的なシステム20が図2に示されており、同システムは、電源22から電力が供給され、その電力を稼動中の電話配線14に結合する電源カプラ(PSC)21を備えている点でシステム10と異なる。電源22への電力は、標準プラグ25を介して商用交流電源から供給される。負荷カプラ23は、電話回線から電力を抽出し、負荷24へ給電する。このようなシステムでは、配線14を介して同時に搬送される電話信号への妨害を最小限にするために、電源22は、稼動中の電話配線14を用いて負荷24への給電を行なう。 建物内やオフィス内のPBX/COによる電話回線といった稼動中の電話回線を介してより多くの直流電力を遠隔機器に供給するシステムを有することは、非常に有利である。この目的は、本発明により達成される。
【0004】
本発明は、大量データ処理・操作回路等の電力負荷に稼動中の電話回線を介して適切な量の電力を供給するという目的を達成するためのシステムおよび方法を提供する。 本発明は、加入者ループに供給された信号を交流信号および直流信号に分離することに基づいている。交流信号すなわち成分は、システムを介してPBX/COから(1つまたは複数の)電話機に転送される電話信号である。直流信号すなわち成分は、遮断されかつ配線を介して交流信号と共に搬送された別個に生成された直流信号に置き換えられる。負荷は、交流信号に影響を与えることなく、直流信号を送るカプラを介して配線に接続することが可能である。これにより、負荷には、PBX/COの直流特性とは関係のない方法で、直流信号により電源を供給することが可能となる。交流信号を通過させるかつ直流信号を遮断または処理して電話の直流特性に適合させる従来の電話カプラにより、電話機を配線に接続することが可能である。したがって、本発明により、あらゆる所望の電圧レベルおよび電力内容を有する直流信号を、電話信号を妨害することなく加入者ループに印加することが可能となる。 PBX/COの直流電流ループから(本発明の目的のために)分離された回線に接続された電話機において電話オフフック状態を検出するPBX/COの能力を維持するため、本発明は、電話機からPBX/COに配線を介して搬送された非直流専用電話オフフック信号方式をさらに可能にする。この目的のために、電話端末に接続され、オフフック状態が存在する場合に配線を介してオフフックトーンを生成するオフフック検出装置を提供する。このトーンは、配線に接続された装置によって検出され、PBX/COへの直流オフフック状態信号の生成および送信を可能にし、それにより完全なオフフックおよびオンフック機能を提供する。 本発明によるシステムは、電話機、PBX/CO、別個の独立型機器、または電話アウトレットに部分的にまたは完全に組み込むことができる。 本発明によるシステムは、電話回線を介して建物やオフィス内、または電話局、構内交換機もしくは同様の施設によって電話サービスが提供されているその他のあらゆる環境内でローカル電力を供給するのに適している。同様に、上記システムは、直流搬送用のワイヤ対を介した電話サービスの搬送に用いることができる。したがって、本発明の説明は例示的なものであり、本発明の適用を構内交換機、電話局またはその他の特定の施設に特に接続された電話回線に限定するものではない。
【0005】
[図面の簡単な説明]
以下、本発明を、添付図面を例示目的にのみ用いて説明する。
【0006】
図1は、住宅およびオフィスにおいて一般的である従来技術のPBX/CO・電話間接続の模式図である。 図2は、従来技術によるローカル電話回線を介した電力供給方法を示す模式図である。 図3は、最初はPBX/COによって電話に供給された直流電力が分割されて専用ローカル電源からの電力に置き換えられる様子を示す、本発明による電話施設の模式図である。 図4は、本発明による電話オフフック状態の操作を示す機能ブロック図である。 図5は、本発明による機能の電力ユニット(PU)および電話ユニット(TU)へのグループ化を示す機能ブロック図である。
【0007】
図6は、本発明による実施形態例を示すブロック図である。 図7は、上記電力が電話機への電力供給にも用いられている、本発明による実施形態例を示す機能ブロック図である。 図8は、本発明によるアウトレットの描写図である。 図9は、従来技術による電話回線を介したデータ通信の実現方法を示す模式図である。 図10は、上記電力がデータ通信回路への電力供給にも用いられている、本発明による実施形態例を示す機能ブロック図である。 図11は、本発明によるアウトレットの別の描写図である。 図12は、本発明の特定の例示的な実施形態を示す図である。
【0008】
[発明の詳細な説明]
電話回線を介してローカル電力を提供するための本発明による原理およびシステム動作は、図面およびそれに付随する説明を参照することにより理解される。図面および説明は、本発明の原理に向けられている。実際の実施において、1つの部品は、1つまたはそれ以上の機能を実行することが可能である。または、各機能は、複数の部品および回路によって実行することが可能である。図面および説明において、同一の符号は、異なる実施形態または構成に共通の部品を示す。 アナログ電話信号は、音声(音声信号)、呼び出し信号、DTMF信号、ならびにオンフック・オフフック表示器、パルスダイアル方式および電話機への電力供給に用いられる直流(一般的には、48VDC)等の多くの成分を含みうる。本発明は、直流信号(以下、「直流電話信号」または「直流信号」と呼ぶ)をその他の全ての信号(非直流信号、以下、「交流電話信号」または「交流信号」と総称する)から分離すると共に、交流信号が電話配線を介して透過的に搬送される間に、直流信号を以下に詳細に説明するように別個に処理することを要件とする。
【0009】
[交流/直流分離]
以下に、図3に示すシステム30を参照して、本発明をより詳細に説明する。このシステムにおいて、交流通過/直流中断装置34は、PBX/CO11と図1および図2の配線14に相当する電話配線38との間に直列に挿入されている。装置34は、交流に対して完全に透過であり、交流信号を配線38に流すことができるが、電話信号の直流成分は通過させない。同様に、直流通過/交流中断装置35もまた、PBX/COユニット11に接続されている。この装置は、直流に対して完全に透過であり、PBX/CO11に結合された電話信号の交流成分を中断させつつ直流信号を接続37に流すことを可能にしている。交流通過/直流中断装置34は、コンデンサや変圧器等の部品を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。同様に、直流通過/交流中断装置35は、インダクタやチョーク等の部品を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。直流電源22は、商用交流電源からプラグ25を介して電力を受け取るとともに、配線38を介して搬送された交流信号を妨害するあるいはこれらによって妨害されることなく直流電力を電話配線38へ印加することを主たる機能とする電源カプラ33を介して配線38に結合されている。負荷32は、これらの回線を介して搬送される交流信号を妨害することなくあるいはこれらによって妨害されることなく配線38から電力を抽出する負荷カプラ31を介して配線38に接続されている。電話機13aは、配線38を介して搬送される直流電力を妨害することなく電話機13aに通常の電話インタフェイスを付与するよう動作する電話カプラ36を介して電話配線38に任意に接続される。例えば、カプラ36は、電話の動作に適した直流電力の提供を可能にするDC/DC変換器を含んでもよい。カプラ36のその他の機能については以下に説明する。
【0010】
交流通過/直流中断装置34および電話カプラ36は、交流信号に対して透過であり、直流通過/交流中断装置35、電源カプラ33および負荷カプラ31は、この信号に影響を及ぼさない。よって、交流信号により、PBX/CO11は電話機13aに適切に接続される。PBX/CO11からの直流電話信号は、電源22によって生成される直流電力信号から分離される。直流電話信号は、電話配線38を介して転送されず、直流通過/交流中断装置35を介して接続37に転送される。その代わりに、電源32によって生成され負荷32により消費される直流電力信号が、配線38を介して搬送される。なお、このような構成において、電話回線38によって搬送することが可能な電力に対して電話通信に関連する規制は存在しないため、高い直流電圧レベルおよび高い電力レベルの搬送が可能となる。
【0011】
[電話オフフック状態の操作]
上述の通り、電話オフフック状態およびパルスダイアル信号は、加入者ループにおける電流の流れに基づいてPBX/CO11により検出される。しかし、図3に示すシステム30では、PBX/CO11と電話機13aとの間で直接的な直流結合を行なうことができないため、PBX/COによってオフフック状態を検出することができない。よって、システム30は、インターコムや連続接続といった、オフフック信号方式を用いない電話システムに用いることができる。 図4に、オフフック検出を実現するシステム40を示す。オフフック状態の検出を可能にするために、電話カプラ36と電話機13aとの間にオフフック検出装置41が付加されている。オフフック検出装置41は、電話機13aのオフフック状態を検出する働きをする。このような検出は、電話機13aを流れる電流を測定する(PBXまたはCOによって用いられている方法と同様)または電話機13aの接続間の電圧低下を測定することによって行なうことができる。図4のオフフック検出装置41は電話機13aと直列接続されているが、使用する検出方法によっては、並列接続も適切でありうる。 オフフック状態を検知すると、オフフック検出装置41は、そのような状態をオフフック送信装置42に知らせる。オフフック送信装置42は、電話配線38を介して信号を送信してオフフックの検出を示すように動作する。この信号は、電話配線38の両端に接続されたオフフック受信装置44によって受信される。オフフック受信装置44は、次に、オフフック状態をシミュレートする信号を生成するオフフックシミュレータ43を作動させ、直流通過/交流中断装置35を介して接続されたPBX/COにその信号を送信する。簡単な実施において、オフフックシミュレータ43は、電話機13aがPBX/CO11に直接的に直流接続されていた場合に生じたであろう電流の流れと同様の電流の流れを接続37に生じさせる。このように、電話機13のオフフック状態は、PBX/CO11によって確実に検知される。オンフック状態は、オフフック状態が検知されない時には常に存在しているため、上記の完全な電話サービス動作は、図1に示すシステムの性能と機能的に全く同等である。
【0012】
オフフック送信装置42からオフフック受信装置44へ流れるオフフック表示信号は、従来技術において用いられている直流信号を一切利用しておらず、交流型の信号方式を用いている。このような送信方法としては以下があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
a.配線38を介して送信されるトーン(DTMF信号と類似)。
【0014】
b.電話配線を介してデータネットワーク信号も搬送されている場合、オフフック状態は、データネットワークを介して搬送されるメッセージとして符号化してもよい。
【0015】
c.オフフック送信装置42は、特定の周波数に対してインピーダンス変化を示すことができ、これは、その周波数における引出電流(すなわち電流変化)としてオフフック受信装置により検知される。
【0016】
上記の全ての場合において、オフフック信号方式は、オフフック表示がオフフック状態が存在する間中送信される連続状態であってもよいし、あるいは、オンフックからオフフックへの、およびその逆への移行が表示される状態変化表示として用いられてもよい。
【0017】
本発明を1つの電話機13aに関して説明したが、本発明は、各電話がカプラ36、オフフック検出装置41およびオフフック送信装置42に結合されているあらゆる台数のそのような電話に同様に適用されると理解される。または、上記のユニットの1組に多数の電話機を接続することが可能である。同様に、本発明を1つの負荷32に関して説明したが、本発明は、各負荷がカプラ31によって結合されているあらゆる個数のそのような負荷に同様に適用されると理解される。
【0018】
システム40において上記に説明したオフフック信号機構は、電話側のオフフック検出装置41およびオフフック送信装置42、ならびにPBX/CO側のオフフック受信装置44、オフフックシミュレータ43および直流通過/交流中断装置35で構成される。このオフフック信号機構は、図3に示す電力提供システム30の補助として働くものとして示されているが、このような機構は、直流電力の供給および負荷がオフフック状態の検出に利用されていないあらゆる実施形態においても同様に用いることができることは明らかである。例えば、いくつかの実施形態においては、ガルバニック絶縁が要求され、上記配線を介して直流電力を搬送する必要がなくなる。このような場合、上述のオフフック信号機構を同様に適用することができる。
【0019】
本発明を交換器(PBX)またはPSTN(公衆交換電話網)電話局(CO)に関して説明したが、本発明は電話機を接続することが可能なあらゆる電話回線源に同様に適用されると理解される。電話信号の発生には、回路交換およびパケット交換の両方を用いることができる。例えば、電話サービスがCATVネットワークの一部として発生するVoIP MTA(マルチメディア端末アダプタ)を、独立形式またはケーブルモデムもしくはセットトップボックスに組み込まれた形式で使用することができる。同様に、VoDSL(ボイスオーバーDSL)に基づく電話通信を電話回線源として用いることができる。
【0020】
本発明をプラグ25を介して商用交流電源から給電が行われる直流電源22に関して説明したが、本発明は、交流を直流に変換するあらゆる交流電源に同様に適用されると理解される。さらに、カプラ33に直接給電を行なうことにより電源22が不要となる、または電源22がDC/DC変換を行なう、直接的な直流給電法を用いても良い。いずれの場合においても、電力は、商用交流電源もしくは電池から発生させるか、またはあらゆるネットワーク(例えばHFCネットワーク)から外部供給されてもよい。例えば、主要電源が停止した際にも電話サービスの動作を保証するUPS(無停電電源)システムを用いることができる。また、電源2への入力は、電力システムにプラグによって接続するのではなく、ハード配線することができる。
【0021】
一般に、システム40が果たす機能は2つに分けられる。すなわち、電力挿入機能と電話機機能である。電力挿入機能は、電源22、電源カプラ33、交流通過/直流中断装置34、直流通過/交流中断装置35、オフフックシミュレータ43およびオフフック受信装置44を指す。単純な導入例および実施例の場合、これらの機能の一部また全部を、以下において「電力ユニット」(PU)51と呼ばれ、図5においてシステム50の一部として示されている、上記の機能全てを果たす(ただし、紙面の都合上、図6に示す負荷の接続は図示しない)1つの装置に組み込むことが有益である。PU51は、次に示す少なくとも3つのポートで構成される。
a.電力ユニット51のPBX/CO11への接続を可能にする入力電話回線インタフェイス52。
b.内部に負荷32および電話機13aが結合される、電話配線38へ電力ユニット52を接続するための出力電話回線インタフェイス53。
c.プラグ25を介して例えば商用交流電源から電力ユニット51に電力を供給することを可能にする電力インタフェイス54。
【0022】
上記に説明したように、適切な直流電力が直接供給される場合には、電源22を省略してもよい。同様に、電力ユニット52に含まれるその他の機能も、取り除くかあるいはその他の装置に組み込んでもよい。
【0023】
本発明を独立型の別個の装置である電力ユニット51に関して説明したが、本発明は、電力ユニット51が部分的にまたは完全にその他の装置に組み込まれている場合にも同様に適用されると考えられる。具体的には、電力ユニット51は、電話回線インタフェイスを有するあらゆるユニットに組み込むことが可能である。1つの実施形態において、電力ユニット51は、PBX/CO11のユニットに組み込まれる。例えば、電力ユニット51は、ケーブルテレビ産業に用いられVoIP MTAを使用するケーブルモデムまたはセットトップボックス、およびVoDSL機器に組み込んでもよい。
【0024】
別の実施形態において、電力ユニット51は分界点、通信クローゼット、アウトレットおよび接続箱などの配線装置に組み込まれる。好ましい実施形態において、電力ユニット51は電話アウトレットに組み込まれている。このようなシステムにおいては、電話機をアウトレットに接続する2線式ケーブルは、電話信号および電力(ならびに、該当する場合には、データ通信信号などのその他の信号)の両方を搬送することができる。
【0025】
図6に、このようなアウトレットを含むように改変された、システム50に類似したシステム60を示す。システム60は、アウトレット内に組み込まれた電力ユニット51と同一でありうるPU61を含む。電力ユニット51のインタフェイス52と相関関係にあるインタフェイス62は、好ましくは壁の中にある既存の電話ワイヤ対である電話配線14にPU61を接続している。PU61には、電力ユニット51のインタフェイス54に相当するインタフェイス64に接続されたプラグ25を介して上記電源から交流電力が供給される。電話機13aおよび負荷32は、電力ユニット51のインタフェイス53に相当するPU61のインタフェイス63に接続されたワイヤ対65を介して接続されている。このような構成においては、1つのワイヤ対65を用いて、電話および電力の両方が電話機13aに、同時に電力が負荷32に搬送される。
【0026】
同様に、電話機に付随する機能は、独立型の別個の装置内にまとめることができる。図5に、このようなユニット55を、部分的なシステム50の一部として示す。電話カプラ36、オフフック検出装置41およびオフフック送信装置42は、全て電話ユニット(TU)55に組み込まれている。このようなTU55は、以下の2つのポートを含んでいる。
a.電話配線38とアウトレット12aとを介してTU55をPU51に接続する電話配線インタフェイス57、および
b.好ましくは独立型の電話通信接続装置(例えば、北米においてはRJ−11)を用いてTUを電話機13aに接続する電話機インタフェイス56。
【0027】
1つの実施形態によると、TU55は、別個の独立型装置である。しかし、付加装置は、美的でなく、取り扱いも容易ではないため、その他の実施形態では、TU55を電話機13aに組み込み、それにより外部モジュールを不要としている。しかし、独立型の実施例および電話組込型の実施例のいずれに場合おいても、電話機(通常の、変更されていないもの)を直接アウトレットに接続し、それによってユニットに損傷を与えうる電力レベルに接続してしまうという危険性がある。よって、好ましい実施形態によると、TU56は、アウトレット、好ましくは、電話アウトレットに組み込まれる。このような構成においては、別個の外部装置の必要はなく、特別な方法を用いることなく電話機をアウトレットに接続することができる。
【0028】
本発明を1つの一般的な負荷32に関して説明したが、多数の負荷を用いることができると理解される。本発明の一部の実施形態において、負荷32は、電話機13aの一部または全ての機能を行なうために必要な電力を示している。例えば、電話機13aは、ファックス装置、コードレス電話、留守番電話装置、多機能電話、またはオフフック状態中に電話回線から得られる通常の電力では十分ではないその他のあらゆる電力消費機能で構成されてもよい。従来技術において、このような電力要件は、電池または交流電源のいずれかによって、通常小型の変圧器を用いて供給される。本発明による電話回線を介した電力供給により、電池または交流電源への接続といった追加の電源が不要となる。
【0029】
本発明による電話配線を介して搬送される電力が電話機機能への電力供給に用いられる全てのケースにおいて、負荷カプラ31は、以下の形式で実施することができる。
a.電話配線への接続によって電力が供給され、電話機への給電を行なう別個の独立型ユニット。
b.電話ユニット(TU)55装置に組み込まれる。
c.アウトレットに組み込まれる。
【0030】
後者のケースを、図7のシステム70によって示す。図示される電話機は、ファックス装置71aおよび71bであり、一般にこれらはその通常動作のために外部電源を必要とする。ほとんどの場合、このような電力は、(ユニット内部に含まれうる)変圧器によって提供され、商用交流電源から供給される。このような構成を、接続73aを介してファックス71aに接続された変圧器72aを介してプラグ25aにより上記電源から電力が供給されるファックス71aに対して示す。ファックス71aの電話接続には、図5を参照して上記に説明したTU55aが利用されている。
【0031】
システム70は、TU55b、負荷カプラ31および任意にはDC/DC変換器76を組み込んだアウトレット77も有している。アウトレット77は、本発明による電力信号および電話信号の両方を搬送する電話配線38にインタフェイス78を介して結合されている。アウトレット77内において、電話配線は、そのインタフェイス57bを介してTU55bに引き回されている。好ましくは標準電話コネクタ(例えば、北米においてはRJ−11)を用いたアウトレット77のポート74は、TU55bの出力56bに接続し、それにより本発明による通常の電話接続が可能となっている。同時に、負荷カプラ31には、電話配線ポート78も接続されている。カプラ31は、電力を接続のみから抽出し、それをポート75を介してファックス71bの電力インタフェイス73bに供給する。したがって、ファックス71aに必要であるような変圧器は不要である。さらに、近傍に電力アウトレットが不要であり、ファックス71bに接続された両方のケーブルは同じアウトレット77で終端されているため、ファックス71bのアウトレット77への接続はより簡単である。ほとんどの場合において、ファックスに必要な電圧レベルは電話回線を介して搬送される電圧レベルよりはるかに低い(例えば、ファックス動作には9−12VDC必要である一方、電話回線を介した電圧レベルは40VDCを超えうる)ため、異なる電圧レベルを適合させるためにDC/DC変換器76が必要となる場合がある。
【0032】
図7において、アウトレット77は電話機器への電力供給に関して説明したが、電力インタフェイス75は、あらゆる一般的な負荷に同様に電力を供給することが可能であると理解される。さらに、アウトレット77内の負荷カプラ31は、必要であればTU55bの能動回路への電力供給に用いてもよい。
【0033】
図8に、アウトレット77の一例の描写図を示す。アウトレットは、北米における通常の電話アウトレットの代替品として使用ができるような形状を有し、2つの締結用ねじ81aおよび81bを含んでいる。アウトレット77は、RJ−11型でありうるコネクタ74、および一般の直流ジャックに類似した円形型の電源コネクタ75を具備している。加えて、アウトレットでの電力の存在を示すために表示器82が備えられている。
【0034】
[電話配線を介したホームネットワークキング]
既存の電話配線を電話およびデータネットワーキングの両方に同時に用いることはしばしば望ましい。このようにすれば、追加の配線を設置する必要がないので、家屋またはその他の建物における新たなローカルエリアネットワークの構築がより簡単になる。 周波数分割多重化(FDM)の概念は従来技術においてよく知られており、配線によって搬送される帯域幅を、アナログ電話信号を搬送可能な低周波数帯域とデータ通信またはその他の信号を搬送可能な高周波数帯域とに分割する手段を提供している。主として非対称ディジタル加入者ループ(ADSL)である、xDSLシステムもまた広く用いられている。
【0035】
この分野における関連従来技術としては、フォーリー(Foley)の国際公開WO99/12330およびディヒターの米国特許第5,896,443号に開示されている、一般にHomePNA(家庭用電話線ネットワーキング連盟)として知られる技術が挙げられる。ディヒターらは、周波数分割多重化(FDM)技術を住宅向け電話配線に適用して電話信号およびデータ通信信号の同時搬送を可能にする方法および装置を提案している。配線上の利用可能な帯域幅は、アナログ電話信号を搬送可能な低周波数帯域とデータ通信信号を搬送可能な高周波数帯域とに分割される。このようなメカニズムにおいては、電話通信は影響を受けることはなく、同時に家庭内の既存の電話配線を介してデータ通信機能が提供される。 なお、本発明によるシステムにおいては、配線を介して搬送される交流信号は直流信号の影響を受けないため、高周波数スペクトルを用いる電話回線によるデータ通信が損なわれることはない。図9に、従来技術によるHomePNAシステム90の一例を示す。データ通信信号によって用いられる周波数スペクトルにおける妨害および印加を回避するために、低域通過フィルタ(LPF)91aおよび91bが、電話機13aおよび13bにそれぞれ直列接続されている。コンピュータ95cおよび95d(またはその他のあらゆるデータユニット)は、HomePNA技術によりそれぞれ電話回線モデム(PNC)93cおよび93dを用いて通信を行うことが可能である。モデム93cおよび93dは、高スペクトルを用いて電話信号への妨害を防ぐ高域通過フィルタ(HPF)92cおよび92dのそれぞれを介して電話線配線14上で通信を行なうことが可能である。PNC93cおよび93dは、一般に標準データインタフェイスプロトコル(例えば、USB、イーサネット10/100BaseT)である各接続94cおよび94dを介してコンピュータ95cおよび95dにそれぞれ接続している。 各PNC93は能動回路を含み、そのため、動作のために電力を必要とする。この電力は、コンピュータ95によって供給してもよく(PNC93がコンピュータ95に組み込まれている場合にはしばしばそうである)、あるいはUSB(ユニバーサルシリアルバス)接続の場合のようにリンク94を介して供給してもよい。しかし、多くの場合、(一般にHPF92を組み込んだ)PNC93は、商用交流電源(図9では図示せず)から電力が供給される独立型ユニットである。これには、多くの接続の確立を必要とする複雑な設置が伴う。このような複雑性は、PNC93の動作に必要な電力の搬送にも電話配線が用いられる本発明によって回避することができる。 図10に、PNC93への給電が電話配線38を介して行なわれる本発明によるシステム100を示す。PNC93cは、リンク94cを介してコンピュータ95cに接続するものとして示されている。PNC93cは、電話配線38を介したネットワーキングを可能にしており、HPF92cと電話アウトレット12cとを介して同配線に接続されている。負荷カプラ31cもまたアウトレット12cに接続しており、その電力出力はリンク101を介してPNC93cに電力を供給するために用いられる。このような構成においては、追加の電源や商用交流電源への接続は不要である。 設置および使用における複雑性を軽減するとともにスペースおよび配線の削減を行なうため、PNC93を電話アウトレットに組み込むことが提案されている。このようなアウトレットは、本出願人による国際公開WO01/71980「電話回線を介したローカルエリアネットワークのための電話アウトレットおよびシステム」に記載されている。このような構成においては、PNCへの電力供給機能もアウトレットに組み込むことが好ましい。図10に、このようなアウトレット102をシステム100の一部として示す。アウトレット102は、上記のPNC機能を含むように改変された図7に示すアウトレット77に基づいている。TU55bを用いたインタフェイス74を介した電話サポートが維持されており、このサポートにおいては、データネットワーキング信号の印加およびこれらへの妨害を防止するために、データ信号を遮断するLPF104がTU55bに直列に付加されている。インタフェイス75を介した外部ユニットへの電力の供給も行なわれている。(HPF92dと共に)PNC93dもアウトレット102に含まれ、コンピュータ95dなどのデータ装置がポート103およびリンク94dを介してこれらに接続することが可能となっている。ポート103は、好ましくはイーサネットIEEE802.3の10/100BaseTやUSBといった標準データ通信インタフェイスである。図10に示すように、PNC93dには、接続105を介して負荷カプラ31によって電力が供給されているため、専用電源が不要となっている。 図11に、アウトレット102の描写図を示す。図8のアウトレットに付加されているのは、IEEE802.3の10/100BaseT接続に一般に用いられ、RJ−45として示されるコネクタインタフェイス103である。 アウトレット102は、3つの別個のポート、すなわち、電話機インタフェイス74、電力供給インタフェイス75およびデータユニットポート103をサポートするよう構成されているが、本発明によれば、1つまたは2つのポートからなるあらゆるサブセットを実施することができると理解される。 負荷カプラ31によって供給される電力は、上記アウトレットに組み込まれたPNC93への給電に加えて、PNC93dにネットワーク接続されたアウトレット内のその他の機能への電力供給にも用いることができる。例えば、本出願人の名による国際公開WO01/80543には、アウトレットに組み込まれたRF送受信装置が開示され、これもまた本出願人の名による国際公開WO01/80595においては、アウトレットを用いた電話交換ネットワークが開示されている。このような場合の全てにおいて、アウトレットに組み込まれた回路にもまた、負荷カプラ31によって電力を供給することができる。
【0036】
[実施形態]
図12のシステム120は、図4に示すシステム40および本明細書に開示されるその他の実施形態を実施するための具体的な構成部品例を含んでいる。図示される直流通過/交流中断ユニット35(は、システム40の等価ユニット35の実施形態例である。図示されるように、インダクタ121および122は、当業界において公知の通り、直流信号を通過させつつ交流信号を中断するために用いられている。より良い結果を得るために、ジャイレータ回路(能動インダクタ)を用いてもよい。図示されるオフフックシミュレータ43(は、システム40の等価ユニット43の実施形態例である。抵抗器123が示されており、同抵抗器は、スイッチ124が閉じている場合に直流電流が流れることを可能にし、それによりPBX/CO11に対してオフフック直流電流をシミュレートするように動作する。ほとんどのPBX/CO11は、オフフック表示信号として20ミリアンペアを必要とする。よって、直流レベルを48VDCと仮定すると、抵抗器123は、48/0.020=2400オームの抵抗を有していなければならない。スイッチ124は、抵抗器128の両端の電圧を測定する閾値検出器125によって作動される。場合によっては、スイッチ124および閾値検出器125の一部として光カプラを使用し、ガルバニック絶縁を可能にすることが推奨される。インダクタ126と直列であるコンデンサ127は、オフフックトーンを通過させながらその他の全ての信号を遮断しかつ印加しない帯域通過フィルタ(BPF)として機能する。このようなBPFとしては、ノッチフィルタも推奨される。1つの好ましい実施形態において、300〜4000ヘルツの電話通信スペクトルから十分に離れ、かつ100キロヘルツというより低い周波数規制値から始まるADSL信号からも十分に離れた、18キロヘルツのトーンがオフフック信号トーンとして用いられる。したがって、BPFにより、上記トーンが通過し、閾値検出器125がスイッチ124を作動させることができる電流レベルを抵抗器128内に発生させることが可能となる。 交流中断/直流通過ユニット35(と同様、システム40の等価ユニット33および31の実施形態例としてそれぞれ示される電源カプラ33(および負荷カプラ31(は、直流信号を通過させ、交流信号を中断させる働きをする。電源カプラ33(は、インダクタ131および132で構成され、負荷カプラ31(は、インダクタ133および134と同様の装置によって構成される。ここでもまた、インダクタにジャイレータを実装することが好ましい。 電話カプラ36(は、交流信号を電話機13aに送り、直流をユニット22(から受け取る働きをする。電話カプラ36(は、システム40のカプラ36の実施形態例である。カプラ36(は、分割型中間タップ変圧器139を利用している。コンデンサ140および141は、変圧器139の1次巻線および2次巻線の両方において中間タップに接続され、それにより交流信号がアウトレット12aから電話機13aへ流れることを可能にしている。電話配線上の直流電力は、コンデンサ141によって抽出され、DC/DC変換器138に注入される。このDC/DC変換器は、電圧レベルを電話機13aによって要求されるレベル(典型的には48VDC)に適合させる働きをする。DC/DC変換器138からの出力は、これを交流信号と合成するためにコンデンサ140の両端に接続される。DC/DC変換器138は、電流規制および出力インピーダンスといった、電話通信に共通するその他の機能を含んでもよい。 システム40のオフフック検出装置41の一例であるオフフック検出装置41(は、不足電圧閾値検出器135に基づいている。電話機13aがオフフック状態に移行すると、その端子上の直流電圧は20VDC未満に低下する。この電圧レベルが不足電圧検出器135によって検出され、同検出器は、次に、システム40のオフフック送信装置42の一例であるオフフック送信装置42(内のスイッチ136を閉じる。トーン(正弦波)発生器136は、スイッチ135の接点が閉じる際に電話回線上に付与されるオフフックトーンを供給する。 システム40の交流通過/直流中断ユニット34の一例である交流通過/直流中断ユニット34(は、直流信号を遮断しかつ交流信号を通過させるために、2つのコンデンサ129および130を使用している。 本明細書において引用された全ての特許文献は、引用により本明細書に援用される。
【0037】
本発明を稼動中の電話回線を介した電力の印加に関して説明したが、本発明は、電話通信接続が直流搬送配線を介して印加されるあらゆる施設に同様に適用されると理解される。
【0038】
本発明をアナログ(POTS)電話通信に関して説明したが、本発明は、ISDN(統合ディジタル通信サービス網)電話通信、および配線接続された遠隔装置への電力供給に規制された直流電力を用いるあらゆるケースに同様に適用されると理解される。
【0039】
本発明を構内施設に関して説明したが、本発明は、住宅、オフィス、工場、企業やMDU(共同住宅)といった、稼動中のPOTS電話配線を用いるあらゆる施設に同様に適用されると理解され、構内または家屋外部のいずれにあってもよく、また両方にあってもよい。
【0040】
本発明を限られた数の実施形態について説明したが、本発明は、多くの変更、修正、派生、組み合わせおよびその他の応用が可能である。本発明は、添付の請求項の範囲に含まれるそのような全ての改変を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】住宅およびオフィスにおいて一般的な従来技術のPBX/CO・電話間接続の模式図。
【図2】従来技術によるローカル電話回線を介した電力供給方法を示す模式図。
【図3】PBX/COによって電話に最初に供給された直流電力が分割され、専用ローカル電源からの電力によって置き換えられる様子を示す、本発明による電話施設の模式図。
【図4】本発明による電話オフフック状態の操作を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明による機能の電力ユニット(PU)および電話ユニット(TU)へのグループ化を示す機能ブロック図。
【図6】本発明による実施形態例を示すブロック図。
【図7】上記電力が電話機への電力供給にも用いられる、本発明による実施形態例を示す機能ブロック図。
【図8】本発明によるアウトレットの描写図。
【図9】電話回線介した従来技術によるデータ通信の実現方法を示す模式図。
【図10】上記電力がデータ通信回路への電力供給にも用いられる、本発明による実施形態例を示す機能ブロック図。
【図11】本発明によるアウトレットの描写図。
【図12】本発明の特定の例示的な実施形態を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話サービス(11)のインタフェイスから電話機(13)へ電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号をワイヤ対(38)を介して同時に搬送するためのシステム(30)であって、前記システムは、
前記ワイヤ対(38)に結合され、直流電力信号を前記ワイヤ対(38)に結合する電源(22)と、
前記ワイヤ対に直流接続され前記負荷(32)に結合可能な、前記負荷(32)に電力を供給する負荷カプラ(31)とを含み、
前記ワイヤ対(38)と前記電話サービス(11)との間に直列接続され、前記電話サービス(11)から前記ワイヤ対(34)へ前記電話信号を導通しかつ直流信号を遮断する交流通過/直流中断装置(34)と、
前記ワイヤ対(38)に接続され前記電源(22)に接続可能な、前記電源(22)からの直流電力信号を前記ワイヤ対(38)に結合する電源カプラ(33)と、
前記ワイヤ対(38)に接続され電話機(13)に接続可能な、前記電話信号を前記ワイヤ対(38)と前記電話機(13)との間で結合する電話カプラ(36)とを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電話機(13)に結合可能な、前記電話機のオフフック状態を検出するオフフック検出装置(41)と、
前記オフフック検出装置(41)と前記ワイヤ対(38)とに結合され、前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合するオフフック送信装置(42)と、
前記ワイヤ対(38)に結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別するオフフック受信装置(44)と、
前記オフフック受信装置(44)と前記電話サービス(11)とに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成するオフフックシミュレータ(43)とをさらに含む請求項1に記載のシステム(40)。
【請求項3】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されるように構成されたメッセージからなる集合から選択される請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
電話カプラ(36)および負荷カプラ(31)からなる集合のうち少なくとも1つの装置が、電話機(13)および電話アウトレット(12)からなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電源カプラ(33)および交流通過/直流中断装置(33)からなる集合のうち少なくとも1つが、電源(22)、PBX(11)、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、電話回線モデム、および電話アウトレットからなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ワイヤ対がデータ通信媒体としてさらに機能し、前記負荷(32)がモデム(93)を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電話サービス(11)から電話機(13)へ電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号をワイヤ対(38)を介して同時に搬送するための方法であって、前記方法は、
前記ワイヤ対(38)に電源(22)を結合して前記ワイヤ対(38)に直流電力信号を結合することと、
前記ワイヤ対に負荷カプラ(31)を直流接続しかつ前記負荷(32)に結合して前記負荷(32)に電力を供給することとを含み、
前記電話サービス(11)から前記ワイヤ対(34)へ前記電話信号を導通しかつ直流信号を遮断することと、
前記電源(22)からの前記直流電力信号を前記ワイヤ対(38)に結合することと、
前記ワイヤ対(38)と前記電話機(13)との間で前記電話信号を結合することとを特徴とする方法。
【請求項8】
前記電話機のオフフック状態を検出することと、
前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合することと、
前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別することと、
前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
電話カプラ(36)および負荷カプラ(31)からなる集合のうち少なくとも1つの装置が、電話機(13)、電話アウトレット(12)、および電話回線モデムからなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
電源カプラ(33)および交流通過/直流中断装置(33)からなる集合のうち少なくとも1つが、電源(22)、PBX(11)、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、電話回線モデム、および電話アウトレットからなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれる請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤ対がデータ通信媒体としてさらに機能し、前記負荷(32)がモデム(93)を含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
電話サービス(11)のインタフェイスとワイヤ対(38)との間に直列接続可能な、電話サービス(11)から電話機(13)へ電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号をワイヤ対(38)を介して同時に搬送するための電力ユニット(51)であって、前記ユニット装置は、
前記電話サービス(11)に接続する第1のコネクタ(52)と、
前記ワイヤ対(38)に接続する第2のコネクタ(53)と、
前記電源(22)と前記第2のコネクタ(53)とに結合可能な、前記ワイヤ対(38)に直流電力を結合する電源カプラ(33)とを含み、
前記第1および第2のコネクタ間に直列接続され、電話信号を導通しかつ直流信号を遮断する交流通過/直流中断装置(34)を特徴とする電力ユニット。
【請求項14】
前記第2のコネクタに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別するオフフック受信装置(44)と、
前記オフフック受信装置(44)と前記第1のコネクタとに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成するオフフックシミュレータ(43)とをさらに含む請求項13に記載の電力ユニット。
【請求項15】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項14に記載の電力ユニット。
【請求項16】
前記電力ユニットのうち少なくとも一部が、PBX、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、およびDSLモデムからなる集合のうちの1つの内部に収容されている請求項14に記載の電力ユニット。
【請求項17】
電話機(13)とワイヤ対(38)とに結合可能な、前記ワイヤ対に非直流オフフック状態表示を結合するための電話ユニット(55)であって、前記電話ユニットは、
前記電話機(13)に接続する第1のコネクタ(56)と、
前記ワイヤ対(38)に接続する第2のコネクタ(57)とを含み、
前記第1のコネクタに結合され、前記電話機のオフフック状態を検出するオフフック検出装置(41)と、
前記オフフック検出装置と前記第2のコネクタとに結合され、前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合するオフフック送信装置(42)とを特徴とする電話ユニット。
【請求項18】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項17に記載の電話ユニット。
【請求項19】
前記電話ユニットのうち少なくとも一部が、アウトレット、電話機、および電話回線モデムからなる集合のうちの少なくとも1つの内部に収容されている請求項17に記載の電話ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話サービス(11)のインタフェイスから電話セット(13)へ交流電話信号と直流電話信号とを含む電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号を同一のワイヤ対(38)を介して同時に搬送するためのシステム(30)であって、
直流電力信号と直流電話信号とを供給する電源(22)と、
前記ワイヤ対(38)と前記電源(22)との間に接続され、前記電源(22)からの直流電力信号および直流電話信号を前記ワイヤ対(38)に結合する電源カプラ(33)と、
前記ワイヤ対(38)に直流接続され前記負荷(32)に結合可能な、前記負荷(32)に前記直流電力信号を供給する負荷カプラ(31)と、
電話信号を結合する電話サービスインタフェイス(11)と、
前記ワイヤ対(38)と前記電話サービス(11)との間に接続され、前記電話サービス(11)から前記ワイヤ対(38)へ前記交流電話信号を通過させかつ前記直流電話信号を遮断する交流通過/直流中断装置(34)と、
前記ワイヤ対(38)に接続され電話セット(13)に接続可能な、前記電話信号を前記ワイヤ対(38)と前記電話セット(13)との間で結合する電話カプラ(36)とを含むシステム。
【請求項2】
前記電話セット(13)に結合可能な、前記電話セットのオフフック状態を検出するオフフック検出装置(41)と、
前記オフフック検出装置(41)と前記ワイヤ対(38)とに結合され、前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合するオフフック送信装置(42)と、
前記ワイヤ対(38)に結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別するオフフック受信装置(44)と、
前記オフフック受信装置(44)と前記電話サービス(11)とに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成するオフフックシミュレータ(43)とをさらに含む請求項1に記載のシステム(40)。
【請求項3】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されるように構成されたメッセージからなる集合から選択される請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
電話カプラ(36)および負荷カプラ(31)からなる集合のうち少なくとも1つの装置が、電話セット(13)および電話アウトレット(12)からなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電源カプラ(33)および交流通過/直流中断装置(33)からなる集合のうち少なくとも1つが、電源(22)、PBX(11)、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、電話回線モデム、および電話アウトレットからなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ワイヤ対がデータ通信媒体としてさらに機能し、前記負荷(32)がモデム(93)を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電話サービス(11)から電話セット(13)へ交流電話信号と直流電話信号とを含む電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号をワイヤ対(38)を介して同時に搬送するための方法であって、
前記ワイヤ対(38)に電源(22)を結合して前記ワイヤ対(38)に直流電力信号および直流電話信号を結合することと、
前記ワイヤ対に負荷カプラ(31)を直流接続しかつ前記負荷(32)に結合して前記負荷(32)に直流電力信号を供給することと、
前記電話サービス(11)から前記ワイヤ対(38)へ前記交流電話信号を通過させかつ前記直流電話信号を遮断することと、
前記電源(22)からの前記直流電力信号および前記直流電話信号を前記ワイヤ対(38)に結合することと、
前記ワイヤ対(38)と前記電話セット(13)との間で前記電話信号を結合することとを含む方法。
【請求項8】
前記電話セットのオフフック状態を検出することと、
前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合することと、
前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別することと、
前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
電話カプラ(36)および負荷カプラ(31)からなる集合のうち少なくとも1つの装置が、電話セット(13)、電話アウトレット(12)、および電話回線からなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
電源カプラ(33)および交流通過/直流中断装置(33)からなる集合のうち少なくとも1つが、電源(22)、PBX(11)、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、電話回線モデム、および電話アウトレットからなる集合のうち少なくとも1つに組み込まれる請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤ対がデータ通信媒体としてさらに機能し、前記負荷(32)がモデム(93)を含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
電話サービス(11)のインタフェイスとワイヤ対(38)との間に直列接続可能な、電話サービス(11)から電話セット(13)へ交流電話信号と直流電話信号とを含む電話信号を、電源(22)から負荷(32)へ直流電力信号を同一のワイヤ対(38)を介して同時に搬送するための電力ユニット(51)であって、
前記電話サービス(11)に接続する第1のコネクタ(52)と、
前記ワイヤ対(38)に接続する第2のコネクタ(53)と、
前記電源(22)と前記第2のコネクタ(53)とに結合可能な、前記ワイヤ対(38)に直流電力を結合する電源カプラ(33)と、
前記第1および第2のコネクタ間に接続され、前記交流電話信号を通過させかつ前記直流電話信号を遮断する交流通過/直流中断装置(34)とを含む電力ユニット。
【請求項14】
前記第2のコネクタに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別するオフフック受信装置(44)と、
前記オフフック受信装置(44)と前記第1のコネクタとに結合され、前記ワイヤ対(38)においてオフフック表示を識別した時点で前記電話サービス(11)に向けて模擬オフフック表示を生成するオフフックシミュレータ(43)とをさらに含む請求項13に記載の電力ユニット。
【請求項15】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項14に記載の電力ユニット。
【請求項16】
前記電力ユニットのうち少なくとも一部が、PBX、ケーブルモデム、セットトップボックス、VoIP MTA、およびDSLモデムからなる集合のうちの1つの内部に収容されている請求項14に記載の電力ユニット。
【請求項17】
電話セット(13)とワイヤ対(38)とに結合可能な、前記ワイヤ対に非直流オフフック状態表示を結合するための電話ユニット(55)であって、前記電話ユニットは、
前記電話セット(13)に接続する第1のコネクタ(56)と、
前記ワイヤ対(38)に接続する第2のコネクタ(57)と、
前記第1のコネクタに結合され、前記電話セットのオフフック状態を検出するオフフック検出装置(41)と、
前記オフフック検出装置と前記第2のコネクタとに結合され、前記ワイヤ対(38)にオフフック表示を結合するオフフック送信装置(42)とを含む電話ユニット。
【請求項18】
前記オフフック表示が、1つまたはそれ以上のトーンを含む信号、可変インピーダンス、およびデータ通信網を介して送信されたメッセージからなる集合から選択される請求項17に記載の電話ユニット。
【請求項19】
前記電話ユニットのうち少なくとも一部が、アウトレット、電話セット、および電話回線モデムからなる集合のうちの1つの内部に収容されている請求項17に記載の電話ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−521710(P2006−521710A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567490(P2004−567490)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000994
【国際公開番号】WO2004/068834
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
イーサネット
【出願人】(501035192)セルコネット リミテッド (4)
【Fターム(参考)】