説明

ロースターの減煙加熱具

【課題】 高温度による焼きや炙り調理でも焦煙とオイルミスト及び臭気の発生を著しく抑制できる減煙加熱具の提供。
【解決手段】 炭火からなる火鉢若しくは都市ガスで溶炭塊やセラミックス塊を加熱させたうえ、その上部で焼きや炙り調理する加熱具において、黒曜石を焼成発泡させた酸化珪素態で独立気泡構造からなり、見掛比重が0.1乃至0.2及びその粒径が20mm以上のパーライト粒体を炭火の上面に包被敷設させ、若しくは熔岩塊やセラミックス塊に代えて敷設のうえ、都市ガスで加熱させ以って焼きや炙り調理をなす減煙加熱具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高温度による焼き調理でも焦煙とオイルミスト及び臭気の発生を著しく抑制でき、良好な調理機器の維持管理と二次汚染の無い外部排気の可能な減煙加熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では一方における生活水準の著しい向上と、且他方においては高齢化を初め核家族化や少子化或いは主婦の就労化等により、食生活の形態も中食化や外食化へと急速に移行し、これによりファーストフードやファミリーレストラン等に加え、フランチャイズ化された麺やそば店、中華料理店、丼物店、或いはカレーハウス等が林立出店され利用されるに至っている。
【0003】
反面他方においては、生活水準の向上とともに食に対する嗜好も高級化や個性化の高まりから、従来より飲食店舗において予め調理人の恣意的な調理と調味による料理から、利用者自身の好みに合せた調理並びに調味により飲食を楽しむ、所謂自己調理若しくは調理参加による飲食の要望が著しく高まっている。
【0004】
即ちかかる事実は、飲食業界において特段に繁栄している焼き肉店舗の例からも容易に理解されるもので、焼き肉店ではテーブルの中央に調理加熱具が設置され且つ焼き調理で発生する焦煙や、オイルミスト或いは臭気を拡散させることなく吸引しダクトを介して外部排気させることの可能なロースターや、或いはテーブル上に適宜に配位される炭火やガス加熱溶岩塊等の火種上部位で焼き調理をなし且発生する焦煙やオイルミスト或いは臭気を、その上方に配設させた吸引フード内に吸引しダクトを介して外部排気をなす調理器具が用いられてなるため、飲食者は食材を好みに合せて焼き若しくは炙り調理をなし且調味し食取するものである。
【0005】
而しながら、畜肉類や魚介類等の焼き若しくは炙り調理においては、旨さや風味を創出させるためには高温度で焦げ目が発生する程度まで焼き若しくは炙りを施す必要がある反面、畜肉類や魚介類には油脂分が多量に含まれているため、焼きや炙り調理とともに油が滲出し高温度の加熱具に滴下燃焼するため、多量且激しい焦煙とオイルミスト及び臭気も発生する。そしてこれら焦煙やオイルミスト或いは臭気等の内、オイルミストは粘性と付着性が高いことから発生とともに店舗内の随所や調理機器周辺等にも容易に付着して汚損されるばかりか、ダクト内にも多量に付着重積し火災の発生危険が増大されたり、或いは融解し汚濁油と化してダクト継目部分等から漏出し店舗内外が汚損される危険も孕んでいる。
【0006】
これがため、焼きや炙り調理に際しては発生した焦煙やオイルミスト或いは臭気等を速やかにダクト内に吸引させるとともに、該ダクト内への吸引直前部位に耐火不燃性素材としてセラミックス素材を用いた連続気孔構造材若しくは網目合の異なる金網材を積層させてなる所謂グリスフィルターを介在させて、少なくともオイルミストの付着除去を図っている。
然るに近年の如く都市化が進むことに伴い、建物相互も密集化し、仮令オイルミストの付着除去がなされても焦煙や臭気の除去には何等の対処もなされないために、外部排気に際しては調理状況如何では多量に焦煙や臭気が排出拡散されて新たな環境汚染を惹起しており、この対策が緊急の課題とされている。
【0007】
これがため現状のグリスフィルターに関して素材的、構造的、及び機能的側面より鋭意検討を加えた結果、現状のグリスフィルターは固定形成された通風空隙を焦煙やオイルミスト或いは臭気を流通せしめる構成であるから、粘性並びに付着性を保持するオイルミストの付着除去しかなしえず、且その素材並びに構造上からもコスト的に高価であるばかりか、短期に通風空隙がオイルミストの付着により閉塞されるため頻繁な洗浄が要請されて、これによる莫大な維持費用が強いられている。
【0008】
そこで発明者は、使用素材として耐火不燃性と軽量嵩高性に優れ極めて安価なうえ、減容化と再利用の可能な廃棄性を保持するとともに、オイルミストに対する高い付着除去性と、且膨大な微細孔隙による焦煙及び臭気への高い吸着除去性を保持する素材として酸化珪素態からなり独立気泡構造で、その見掛比重が0.1及び0.2で且その粒径が略5乃至20mmのパーライトを用い、該パーライトが漏出せぬ網目合若しくは通風孔が形成された金網材若しくはパンチングメタル板材で、所要の寸法形状に且その内部に前記パーライトを充填し若しくは付着吸着されたパーライトを交換取出しするための開閉部が設けられたフィルターケース内にパーライトを充填のうえ、ロースター等調理機器のダクト前に配設させることにより、オイルミストの付着除去はもとより焦煙や臭気の吸着除去も良好になしえることを究明し、既に先願においてその内容を開示している。
【0009】
ところで自己調理若しくは調理参加を目的とする飲食店では、それぞれのテーブル上に配位される火鉢や配設されるロースター等の調理機器や炭火種等の加熱具が多数配位配置されてなるものであるから、これら多数の火鉢や加熱具により特に油脂分の多い畜肉類や魚介類の焼きや炙り調理がなされると、仮令パーライトによるオイルミスト、焦煙並びに臭気の付着吸着除去フィルターが使用されても、全体の多数に亘る加熱具より発生し且外部排気がなされる場合では依然として焦煙や臭気が残留し排出され二次汚染を拡大する危険を孕んでいる。
【0010】
そこで焼きや炙り調理時に発生する焦煙やオイルミスト或いは臭気の発生理由を研究した結果、高温度の加熱具に油脂分が直接滴下することに伴い急激な不燃焼煙の発生とオイルミストの飛散及び臭気の拡散がなされること、特に高温度な保持面への滴下接触ではその発生が一段と増大化されることを確認した。
ところで現状の加熱具は炭火や都市ガスで溶岩塊を加熱し若しくはセラミックス塊を加熱し、遠赤外線放射熱とで焼きや炙りをなすものであって、その実質温度は略400乃至800℃にも及ぶ高温度であるから、油脂分の滴下による不燃焼煙の発生には何等の対処も出来ない。即ち有効な消煙効果を得るためには、加熱具において焼きや炙り調理に際しての減煙を図ることが前提条件となる。
【0011】
而してパーライトは酸化珪素態で略1,000乃至1,200℃の耐火不燃性で且加熱により当然に遠赤外線放射体としての機能を発揮するとともに独立気泡構造で、極めて高い断熱性を保持し、更には全体に亘って膨大数の微細孔隙を有するものである。
そこで発明者は加熱具内に比較的大きな粒径のパーライトを敷設させて都市ガスで加熱させたうえ上部位で焼き調理や炙り調理をなすことにより、滴下する油脂分がその高い断熱性に伴う低温度のパーライト内部に積極的に吸着されることにより焦煙の発生と且オイルミストの飛散や臭気の拡散が著しく低減化されることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は焼きや炙り調理でも、焦煙とオイルミスト及び臭気の発生が著しく抑制できる減煙加熱具を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、炭火からなる火鉢や都市ガス等で溶岩塊やセラミックス塊を加熱のうえ、その上部で焼きや炙り調理をなす加熱具において、黒曜石や発泡頁岩、真珠岩若しくは松脂岩を破砕のうえ焼成発泡させ、酸化珪素態からなり独立気泡構造で見掛比重が0.1乃至0.2で、且その粒径が少なくとも20mm以上のパーライト粒体、若しくは酸化珪素態からなり連続気泡構造で且見掛比重が0.1乃至0.2で、而もその粒径が少なくとも20mm以上に接合接着されたパーライト塊を、火鉢の炭火上面が包被されるよう敷設し若しくはパーライト粒体やパーライト塊体を敷設のうえ都市ガスで加熱せしめたうえ、その上部位で焼き若しくは炙り調理をなし滲出滴下する油脂分を、高断熱性により低温度に保持されたパーライト粒体若しくはパーライト塊体内部に付着吸着せしめ、以って焦煙の発生やオイルミストの飛散及び臭気拡散を著しく抑制する減煙加熱具の構成に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、使用されるパーライトが黒曜石、発泡頁岩、真珠岩若しくは松油脂岩を略1,000乃至1,200℃の高温度で焼成発泡させて、独立気泡構造若しくは連続気泡構造からなり、その見掛比重が0.1乃至0.2で而もその粒径が少なくとも20mm以上粒体からなるパーライト粒体、或いは接合接着させたパーライト塊体を用い、火鉢の炭火表面が包被されるよう敷設させ、若しくは加熱具内に敷設のうえ都市ガス等で加熱させることにより、食材を焼き若しくは炙り調理する略400乃至800℃の温度に容易に加熱され、且炭火や都市ガス等の火炎も敷設されたパーライト相互間隙より放出されるため、その上部位の焼き網に調理載置される食材は十分な旨みや風味を創出して焼き調理や炙り調理がなされるとともに、滴下する低粘度状の油脂分は、放出される火炎を避けるようパーライト粒体若しくはパーライト塊体の保持する膨大数の微細孔隙により即時に付着吸着され、而もこの付着吸着されるパーライト粒体若しくはパーライト塊体は、その高い断熱性により内部が低温度に保持されるため焦煙の発生が著しく抑制されるばかりか、オイルミストの飛散や臭気の拡散も防止される。
【0015】
そして本発明では焼き調理や炙り調理に使用されるパーライト粒体若しくはパーライト塊体は、せいぜい40〜50g程度であるから極めて安価であり焼き調理若しくは炙り調理毎に滴下した油脂分が付着吸着したパーライト粒体若しくはパーライト塊体の廃棄が可能であるとともに、該パーライト粒体やパーライト塊体は見掛比重が0.1乃至0.2と軽量嵩高であるから、僅かな付加力で略1/9乃至1/10の減容化が図れるとともに、付着吸着した油脂分は土壌菌類の格好の栄養源ともなるため、土壌改良材としての再利用に極めて好適である。
加えて本発明では焼き調理や炙り調理時に、焦煙吸着による著しい抑制とオイルミストの付着除去及び臭気の吸着除去がなされ、外部排気フィルターを介して外部排気がなされるため、焦煙はもとよりオイルミストや臭気による二次汚染も確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
焼き若しくは炙り調理に際して、炭火を火種とする火鉢若しくはロースターに配置される溶岩塊やセラミックス塊を都市ガスの火炎で加熱させる加熱具において、黒曜石を破砕のうえ焼成発泡させて独立気泡構造で見掛比重が0.1及びその粒径が30mm程度のパーライト粒体を、炭火の上面に敷設し若しくはロースターの加熱具に敷設のうえ加熱させて焼き調理若しくは炙り調理をなし、滴下する油脂分を低温度に保持されるパーライト粒体内に付着吸着せしめて焦煙の発生を著しく抑制させる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1はパーライト粒体1の見取図、図2はパーライト塊体2の見取図であって、本発明においては焼き調理や炙り調理に際しての加熱具3に使用されるものであって、実用使用に際しては少なくとも400乃至800℃から場合により1,000℃近くまでの高温度に供されることから、使用素材としては略1,000℃程度の耐火不燃性と畜肉類や魚介類の油脂分に対する優れた付着吸着性を保持するとともに、付着吸着され内部に浸透した油脂分をなるべく低温度状態に保持しながら不燃焼煙所謂焦煙の発生を抑制させ、更には焼きや炙りで一般的に発生する焦煙や臭気を吸着除去しえるよう比表面積の大きな膨大数の微細孔隙を有し、而も焼き調理や炙り調理毎に廃棄可能なコスト的安価さ、及び廃棄に際しても著しい減容化並びに再利用性を保持するものが望まれる。
【0018】
かかる要件を具備する素材として、その主要成分が酸化珪素と酸化アルミニウム及び酸化鉄からなる酸化珪素態で、且結合水を2乃至6重量%割合で保持する黒曜石や発泡頁岩、真珠岩若しくは松脂岩を所要の大きさに破砕のうえ、略1,000乃至1,200℃の高温度で焼成発泡させることにより、独立気泡構造1A若しくは連続気泡構造2Aで、且その見掛比重が0.1乃至0.2で、而もその粒径が少なくとも20mm以上より望ましくは25乃至40mm程度の大きさが、都市ガス等の火炎の放射でも安定した敷設状態を保持し、且その内部の温度を十分低温度に保持させるうえから、及び使用に際しての火鉢の表面や加熱具への敷設並びに使用後の交換等に際しての簡便性のうえからも好都合である。
【0019】
かかる場合において図1には独立気泡構造1Aが形成されたパーライト粒体1が示されてなるもので、該独立気泡構造1Aの焼成発泡にはガラス質の結晶構造の特質から黒曜石から生成されるもので、その結合水の水分率や焼成温度等により略10乃至20倍程度の発泡倍率を以って発泡することから、かかる発泡倍率を勘案のうえ黒曜石の破砕の大きさを決定すれば良い。
無論該パーライト粒体1の焼成発泡に際して、結合水が独立気泡構造1Aの形成に寄与する場合のほか、膨大数の水分蒸散孔を形成しつつ蒸散することにより、その外表面全体には膨大数の連続気孔からなる微細孔隙1Bも有するものである。
【0020】
他方図2には全面に亘って連続気泡構造の連通孔2Aが多数形成されたパーライト塊体2が示されてなるもので、かかる連続気泡構造の連通孔2Aを有するパーライト塊体2は、そのガラス質の結晶構造や結合水等の特質から発泡頁岩や真珠岩若しくは松脂岩が用いられるものであるが、これら発泡頁岩や真珠岩或いは松脂岩においては、焼成発泡に際して水分蒸散がその外表面に連通孔2Aを形成しつつ蒸散発泡するものであるから、せいぜいの粒径としては略5乃至6mmの形成が限度である。
【0021】
反面本発明においては、実用使用に際して焼き若しくは炙り調理に用いる炭火からなる火鉢の上面に敷設し、若しくはロースター等の加熱具に敷設のうえ都市ガスで加熱のうえ使用するものであるから、その粒径としては少なくとも20mm以上好ましくは25乃至40mmの物が要請される。これがためには連続気泡構造のパーライトを、その粒径において25乃至40mmのパーライト塊体2に形成させる必要上から接合接着層2Bにより一体的に接合接着形成させる。
この接合接着層2Bを形成する接着剤は、当然に略1,000℃程度の高温度への耐火不燃性とともに、酸化珪素態からなるパーライト相互を強固に接合接着できる接着力も要請される。
【0022】
この接合接着層2Bを形成する接着剤としては珪酸ソーダが挙げられるもので、該珪酸ソーダ(NaO・nSiO)はNaO対nSiOの割合として1:2、1:2.5及び1:3の組成割合のものが上市されてなるものであるが、十分強固な接着を図るうえからはNaO対nSiOの割合が1:2乃至1:2.5の組成割合のものが望まれる。
そして該接着剤を用いてパーライト塊体2を形成する方法としては、連続気泡構造のパーライトの容量に対して珪酸ソーダからなる接着剤を8乃至16容量%割合で混合混撚して可塑状物としたうえ、所要の大きさの塊状に形成したうえ加熱乾燥により固化させれば良い。
【0023】
かくして形成された独立気泡構造1Aからなる所要粒径のパーライト粒体1若しくは連続気泡構造の連通孔2Aが形成されたパーライトを、所要の粒径に接合接着層2Bを以って接合接着させたパーライト塊体2が用いられる。図3は火鉢による使用態様図であって、炭火からなる火鉢3の炭火3A上面に敷設されるもので、該図3ではパーライト粒体1の使用が描かれている。
当然に炭火はパーライト粒体1相互の敷設間隙10を通して上方に放射されるとともに、この上部位には焼き網4が配置されたうえ各種の食材5をその上で焼き若しくは炙り調理されるものである。無論焼きや炙りで発生する焦煙、オイルミスト、臭気は上方のフード6よりダクトを介して外部排気がなされる。
【0024】
図4はロースターに配設されてなる加熱具30における使用態様図であって、該加熱具30には加熱のためのガスバーナー30Aが設けられたうえ、その上部にバーナーの火炎31が自在に透火でき、且その内部にパーライト粒体1若しくはパーライト塊体2を敷設しえる敷設篭30Bが配位されたうえ、この敷設篭30B内にパーライト粒体1若しくはパーライト塊体2が敷設される。当然にこの上部位には焼き網4が配置されたうえ、その上で各種食材5が焼き若しくは炙り調理される。
当然にロースターに配設された加熱具30により焼きや炙り調理がなされて発生する、焦煙やオイルミスト或いは臭気は、直ちに吸引フード30Cより下方に吸引されダクトを介して外部排気がなされる。
加えて加熱具30における場合は敷設篭30B内にパーライト粒体1若しくはパーライト塊体2を敷設させることなく、加熱具30の底面に敷設せしめて、その外周面よりガスバーナー30Aで加熱させて使用しても差支えは無い。
【0025】
図5は本発明の減煙原理の説明図であって、同図5にはロースターの加熱具30における場合が示されてなるもので、加熱具30の底部に配設したガスバーナー30Aの上部にはパーライト粒体1が敷設されてなり、且その上部位には焼き網4が配位されたうえ、その上側に畜肉類や魚介類等の食材5を載置し飲食者の嗜好に合せて適宜に焼き調理若しくは炙り調理をなし、且調味のうえ飲食がなさえるものであるが、焼き若しくは炙り調理に際してガスバーナー30Aを着火させた場合にその火炎31はパーライト粒体1を加熱しつつ敷設されたパーライト粒体間隙10を透火して上方に立ち上る。そして焼き若しくは炙り調理される食材5はその上部位焼き網4の上側に載置されるものであるから、ガスバーナー30Aの火炎と且酸化珪素態からなるパーライト粒体1の加熱に伴う遠赤外線放射作用とにより、内部まで十分に且旨味や風味を創出させた焼き調理若しくは炙り調理がなされる。
【0026】
そして本発明の特徴的技術は、パーライト粒体1でもパーライト塊体2でも酸化珪素態からなり独立気泡構造若しくは連続気泡構造で且見掛比重が0.1乃至0.2であるため、その断熱性が0.034乃至0.036kcal/m・h・c°と極めて高い断熱性を保持するため、仮令パーライト粒体1若しくはパーライト塊体2の外表面がガスバーナー30Aの火炎31により400乃至800℃程度に加熱されても、その内部即ち浅層11Aから中層11B及び深層11Cに向かってその高い断熱性能により熱伝導が遮断され略1/5乃至1/10にも低温化保持される。
【0027】
他方多量に油脂分を含む畜肉類や魚介類は焼きや炙り調理に際して加熱されることにより、該油脂分が低粘度化し多量に滴下するものの、本発明の如くパーライト粒体1が敷設されてなる場合には、滴下油脂分50は敷設されたパーライト粒体1の敷設間隙10から透火する火炎31に遮られて、パーライト粒体1の外表面の微細孔隙1Bよりパーライト粒体1内部に急速に浸透して低温度に保持され、不燃焼煙の発生の抑制、即ち焦煙の発生抑制はもとよりオイルミストの飛散や臭気の飛散も防止されることとなる。
加えて本発明に用いるパーライト粒体1若しくはパーライト塊体2は見掛比重が0.1乃至0.2と極めて軽量嵩高であるから使用量も僅かで安価であり、焼き調理若しくは炙り調理毎に廃棄しても維持コストの負担も僅かであり、而も廃棄に際しては容易に破砕でき且実質的に1/8乃至1/10に減容化も可能である。
【0028】
以下に本発明による減煙試験結果を報告すれば、試験に用いた加熱具は、都市ガスにより平均粒径25mmの溶岩塊を加熱する焼き調理用のロースターを用い、且このロースターは都市ガスの燃焼を3段階に調整できるものを用いた。
減煙試験用に用いたパーライト粒体は、酸化珪素76.4重量%、酸化アルミニウム12.4重量%、酸化鉄1.05重量等の成分組成からなり且結合水が略3.5重量%割合の黒曜石を破砕のうえ1,100℃で焼成発泡させて、その見掛比重が0.1及びその平均粒径が25mmの物を用いた。
試験方法は同一のロースターを用いて、溶岩塊とパーライト粒体とを用い同一重量のロース肉を焼き調理し、溶岩塊を用いた場合を対照とし、パーライト粒体を用いた場合を試料として焦煙の発生状態を写真で対比し、且発生状態を5段階評価したもので結果は表1の通りであった。
【0029】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0030】
焼き肉用ロースターの加熱具の溶岩塊やセラミックス塊に代えて、若しくは炭火の火鉢の表面に包被敷設させることで即時に減煙が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 パーライト粒体の見取図である。
【図2】 パーライト塊体の見取図である。
【図3】 火鉢による使用態様図である。
【図4】 ロースター加熱具による使用態様図である。
【図5】 減煙原理の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 パーライト粒体
1A 独立気泡構造
1B 微細孔隙
10 敷設間隙
11A パーライト粒体の浅層
11B パーライト粒体の中層
11C パーライト粒体の深層
2 パーライト塊体
2A 連通孔
2B 接合接着層
3 火鉢
3A 炭
30 加熱具
30A ガスバーナー
30B 敷設篭
30C 吸引フード
31 火炎
4 焼き網
5 食材
50 滴下油脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭火からなる火鉢、若しくは溶岩塊やセラミックス塊を都市ガスで加熱のうえ、その上部で焼きや炙り調理をなす加熱具において、黒曜石を破砕し焼成発泡させて酸化珪素態で独立気泡構造からなり、その見掛比重が0.1乃至0.2で且粒径が20mm以上のパーライト粒体を、火鉢の炭火上面に敷設し或いは溶岩塊やセラミックス塊に代えて敷設してガスバーナーで加熱し、その上部位で焼きや炙り調理をなし滴下する油脂分をその内部が低温度に保持されたパーライト粒体内部に即時に付着吸着浸透せしめ、以って焦煙の発生やオイルミストの飛散及び臭気の拡散を著しく抑制させることを特徴とする減煙加熱具。
【請求項2】
パーライト粒体に代えて、発泡頁岩や真珠岩若しくは松脂岩を破砕し焼成発泡させて、酸化珪素態で連続気泡構造からなり、その見掛比重が0.1乃至0.2で且その粒径が5乃至6mm以下のパーライトと、該パーライトの容量に対して8乃至16容量%割合で珪酸ソーダからなる接着剤と混合混練のうえ、その粒径が20mm以上の塊状に接着固化させたパーライト塊体からなる、請求項1記載の減煙加熱具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−125649(P2011−125649A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299452(P2009−299452)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504384516)
【Fターム(参考)】