説明

ロータリスイッチ

【課題】アークの発生しやすい直流大電流の開閉が可能なロータリスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】回転の軸となるロータ4と、該ロータ4の側面から突出するとともに該ロータの回転方向に対して遊びをもたせて配設された可動接片5と、前記ロータ4の回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌される操作部10と、固定接点8aが配設されたケース8と、該ケース8に嵌合されるハウジング9からなり、前記ロータ4および前記ケース8にガイド部8bおよび弾性部材6,7からなる切換節度機構が配設され、前記可動接片5または前記ロータ4の少なくともいずれか一方に前記可動接片5に形成された可動接点5aと前記固定接点8aが接触する方向に前記可動接片5を付勢する弾性部5bが形成され、前記ロータ4を前記ケース8に回転自在に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリスイッチは、ベースの内底面に配設された固定接片とロータの回転に伴って回転する可動接片を接離させて電路の開閉を行うロータリスイッチ(下記特許文献1参照)や、回転軸にカム部を設け、カム部で可動バネを弾性変形させて可動接点および固定接点間を開閉するロータリスイッチ(下記特許文献2参照)や、小形にて大電流を開閉可能にしたロータリスイッチ(下記特許文献3参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−322478号公報
【特許文献2】特開平4−98725号公報
【特許文献3】実開昭58−142824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のロータリスイッチでは、上記特許文献1は、主に信号設定などの用途に用いられ、微少電流の切換に適しているため大電流の開閉はできなかった。上記特許文献2は、遮断電流定格が大きくても軽い操作力で確実な節度感が得られる構造とされているが、固定接点と可動接点の接点間隙が狭いためアークを消去することが困難であり、上記特許文献3は、大電流の開閉が可能な構造とされているが、接点間の開閉速度が操作部の操作速度にある程度依存してしまうため操作部をゆっくりと操作した場合にはアークが長時間継続されて高温が発生して接点の損傷や発火などを生じる恐れがあり、いずれのロータリスイッチもアークの発生しやすい直流大電流の開閉には不向きであるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、アークの発生しやすい直流大電流の開閉が可能なロータリスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕操作部の回転操作に伴って接点を接離することで電路の開閉を行うロータリスイッチにおいて、回転の軸となるロータ(4)と、該ロータ(4)の側面から突出するとともに該ロータ(4)の回転方向に対して遊びをもたせて配設された可動接片(5)と、前記ロータ(4)の回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌される操作部(10)と、固定接点(8a)が配設されたケース(8)と、該ケース(8)に嵌合されるハウジング(9)からなり、前記ロータ(4)および前記ケース(8)にガイド部(8b)および弾性部材(6,7)からなる切換節度機構が配設され、前記可動接片(5)または前記ロータ(4)の少なくともいずれか一方に前記可動接片(5)に形成された可動接点(5a)と前記固定接点(8a)が接触する方向に前記可動接片(5)を付勢する弾性部(5b)が形成され、前記ロータ(4)を前記ケース(8)に回転自在に配設することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のロータリスイッチにおいて、前記ケース(18)に磁石(21)を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)操作部の遊び、切換節度機構、可動接片の遊びおよび弾性部により、接点間の開閉速度が操作部の操作速度に依存しない構造としたため、接点間開離時にはアークを確実に消去し、接点間接触時にはアークを抑制することができる。
(2)ロータの側面から突出するように可動接片を配設することにより、操作方向と接点間の開閉方向が同一方向となるため、可動接点と固定接点の接点間隙を広くすることができる。
(3)可動接点と固定接点の接点間隙を広くすることができたため、アークを確実に消去することができる。
(4)ロータの側面から突出するように可動接片を配設することにより、操作方向と接点間の開閉方向が同一方向となるため、固定接点と可動接点が溶着した場合にも操作部の操作によって強制的に接点間を開離することができる。
(5)弾性部の付勢により、一定の操作量を超えるまでは接点間の接触圧を保つことができる。
(6)操作部をロータと別部品としたため、感電を防止できる。
(7)磁石を配設することで、さらにアーク消去性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの動作を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のロータリスイッチは、操作部の回転操作に伴って接点を接離することで電路の開閉を行うロータリスイッチにおいて、回転の軸となるロータと、該ロータの側面から突出するとともに該ロータの回転方向に対して遊びをもたせて配設された可動接片と、前記ロータの回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌される操作部と、固定接点が配設されたケースと、該ケースに嵌合されるハウジングからなり、前記ロータおよび前記ケースにガイド部および弾性部材からなる切換節度機構が配設され、前記可動接片または前記ロータの少なくともいずれか一方に前記可動接片に形成された可動接点と前記固定接点が接触する方向に前記可動接片を付勢する弾性部が形成され、前記ロータを前記ケースに回転自在に配設する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの斜視図、図3は本発明の第1実施例を表すロータリスイッチの動作を示す図であり、図3(a)は可動接片の動作、図3(b)は切換節度機構の動作、図3(c)は操作部の動作を示しており、各ステップ(S1〜S6)は同期している。
【0012】
これらの図において、1はロータ中段部、2はロータ下段部、3はロータ上段部、4はロータ中段部1、ロータ下段部2およびロータ上段部3で構成されるロータ、5は可動接片、6はコイルバネ、7は滑動棒、8はケース、9はハウジング、10はロータ上段部3に遊嵌される操作部である。ロータ中段部1には、可動接片5の回転方向への移動を許容するための凹部1a、ロータ下段部2と嵌合するための嵌合孔1cが形成された突片1b、ロータ上段部3と嵌合するための嵌合孔1eが形成された突片1dが形成されている。ロータ下段部2には、コイルバネ6および滑動棒7を配設するための収納孔2a、ロータ中段部1と嵌合するための嵌合凸部2cが形成された嵌合凹部2bが形成されている。ロータ上段部3には、ロータ中段部1と嵌合するための嵌合凸部3bが形成された嵌合凹部3a、操作部10を遊嵌するための切欠部3c、遊嵌された操作部10の突起10aを回転方向に摺動可能とするための遊嵌溝3dが形成されている。可動接片5は、略長方形の板状で、両端部近傍に可動接点5a、可動接点5aと同一面に弾性部5b、可動接点5aが形成された面と直交する面の中央部に突出する一対の回転軸5cが形成されている。ケース8には、固定接点8aが埋設され、滑動棒7が摺動して切換節度を付与するガイド部8b、ロータ4の回転をガイドする凹部8c、ハウジング9と嵌合するための嵌合凸部8dが形成されている。ハウジング9は、上面を有する略四角筒状で、上面にロータ4が突出するための貫通孔9a、側面にケース8と嵌合するための嵌合孔9b、嵌合孔9bと異なる側面に板バネ9cが形成されている。
【0013】
ロータ中段部1の凹部1aの中央に形成された軸受孔(図示なし)に一方の回転軸5cが回動自在に係合するように凹部1aに可動接片5が配設され、ロータ下段部2の収納孔2aにコイルバネ6を介して滑動棒7が配設される。ロータ中段部1の嵌合孔1cとロータ下段部2の嵌合凸部2cおよびロータ中段部1の嵌合孔1eとロータ上段部3の嵌合凸部3bが嵌合されて、ロータ4が構成される。このとき、ロータ上段部3の底面部中央に形成された軸受孔(図示なし)に可動接片5の他方の回転軸5cが回動自在に係合される。ロータ4の底面部がケース8の凹部8cに配設され、ロータ4の上部が貫通孔9aから突出するようにハウジング9がケース8に被され、ケース8の嵌合凸部8dとハウジング9の嵌合孔9bが嵌合される。そして、操作部10の突起10aをロータ上段部3aの切欠部3cから遊嵌溝3dに遊嵌することで、ロータリスイッチが完成される。
【0014】
以上のように構成された本発明のロータリスイッチは、操作部10を可動接点5aと固定接点8aの開離方向に回転操作すると、突起10aが遊嵌溝3dの端部に当接し、ロータ4が回転する。ロータ4の回転に伴って滑動棒7がガイド部8bを摺動し、一定の操作量を超えると操作している方向(可動接点5aと固定接点8aの開離方向)に付勢される。このとき、一定の操作量を超えるまでは操作部10の操作速度に依存してロータ4も回転するが、可動接片5に形成された弾性部5bの付勢により可動接点5aと固定接点8aは接触状態を維持し、一定の操作量を超えたところで可動接点5aと固定接点8aが開離し始め、操作部10の操作速度に依存せずに遊嵌溝3dの幅の分だけ一定の速度で可動接点5aと固定接点8aが開離する。また、操作部10を可動接点5aと固定接点8aの接触方向に回転操作すると、開離方向への操作時と同様に、突起10aが遊嵌溝3dの端部に当接し、ロータ4が回転する。ロータ4の回転に伴って滑動棒7がガイド部8bを摺動し、一定の操作量を超えると操作している方向(可動接点5aと固定接点8aの接触方向)に付勢される。このとき、一定の操作量を超えるまでは操作部10の操作速度に依存してロータ4および可動接片5も回転するが、一定の操作量を超えたところで操作部10の操作速度に依存せずに遊嵌溝3dの幅の分だけ一定の速度でロータ4が回転し、可動接点5aと固定接点8aが接触する。このように、アークの発生しやすい接点間隔(可動接点15aと固定接点18aの接点の間隔が狭い範囲)において、可動接点5aと固定接点8aの開閉速度が操作部10の操作速度に依存しないため、操作部10をゆっくりと操作した場合にもロータ4は一定の速度で回転することにより、アークを確実に消去することができる。
【0015】
ここで、本発明のロータリスイッチの接点間を開離する方向に操作したときの動作について説明する。図3に示すように、図3(a)は可動接片5の動作、図3(b)はコイルバネ6、滑動棒7およびガイド部8bからなる切換節度機構の動作(便宜上、片側のみを図示する)、図3(c)は操作部10の動作を示しており、ステップS1は接点間が接触している状態、ステップS2からステップS5は接点間の開離方向にロータ4が回転している状態、ステップS6は接点間が完全に開離した状態を示している。また、各ステップS1からS6は同期しており、ロータ4が同角度だけ回転している様子を示している。ステップS1は、ロータ4は回転前の状態であり、可動接点5aと固定接点8aは接触している。ステップS2は、突起10aを遊嵌溝3dの端部に当接させて操作部10を15度回転させたときの状態であり、操作部10の回転に伴ってロータ4も回転し、滑動棒7がコイルバネ6を圧縮しながらガイド部8bを摺動する。このとき、可動接片5は弾性部5bの付勢により回転せず、可動接点5aと固定接点8aは接触を維持している。ステップS3は、操作部10をさらに15度回転させたときの状態であり、操作部10の回転に伴ってロータ4も回転し、滑動棒7がコイルバネ6を圧縮しながらガイド部8bを摺動する。このステップS3の状態が操作部10を一定の操作量だけ操作した状態である。このとき、ステップS2と同様に、可動接片5は弾性部5bの付勢により回転せず、可動接点5aと固定接点8aは接触を維持している。ここで、ステップS1からステップS3では、弾性部5bの付勢によって可動接点5aと固定接点8aの接触圧が保たれている。ステップS4は、操作部10が一定の操作量を超えたため、ロータ4が操作部10の操作速度に依存することなく一定の速度で30度回転したときの状態である。このとき、可動接片5はロータ中段部1の凹部1aの端部に当接して回転を始め、可動接点5aと固定接点8aが開離している。ステップS5は、ロータ4がさらに15度回転したときの状態である。ここで、操作部10が一定の操作量を超えた位置で操作部10の操作を停止したとしても、遊嵌溝3dの幅の分だけロータ4が回転可能であるため、少なくともステップS5の状態までは、ロータ4は操作部10の操作速度に依存することなく一定の速度で回転することができる。ステップS6は、ロータ4が可動接点5aと固定接点8aが完全に開離した状態まで回転したときの状態である。ステップS4およびS5に示すように、可動接点5aと固定接点8aが開離し始めたときには、ロータ4は操作部10の操作速度に依存することなく一定の速度で回転することが可能であるため、アークを確実に消去することができる。また、図示による説明は省略するが、可動接点5aと固定接点8aを接触する方向に操作したときも開離方向に操作したときと同様に、操作部10が一定の操作量を超えると、ロータ4は操作部10の操作速度に依存することなく一定の速度で回転することが可能であるため、アークの発生を抑制することができる。
【0016】
このように、本実施例に示すロータリスイッチは、可動接片5をロータ4の回転方向に対して遊びをもたせて配設し、操作部10をロータ4の回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌し、切換節度機構および弾性部5bを設けたことで、操作部10が一定の操作量を超えたときにロータ4が操作部10の操作速度に依存することなく一定の速度で回転可能であるため、アークを確実に消去することができるという特徴を有している。また、弾性部5bの付勢により、一定の操作量を超えるまでは可動接点5aと固定接点8aの接触圧を保つことができるという特徴を有している。
【0017】
本実施例では、ロータを3部品で構成しているが、ロータ中段部とロータ下段部を1部品で形成し、ロータを2部品で構成してもよい。また、切換節度機構をケースにガイド部を形成し、ロータ下段部にコイルバネと滑動棒を配設して構成しているが、ロータにガイド部を形成し、ケースにコイルバネと滑動棒を配設して構成してもよく、コイルバネと滑動棒を他の弾性部材、例えば板バネなどとしてもよい。また、可動接片に弾性部を形成しているが、ロータに弾性部を形成してもよい。さらに、1対の固定接点を配設して単極としているが、固定端子を上下に並べて増設して2極以上としてもよく、種々の方法が考えられる。
【0018】
図4は本発明の第2実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図である。
【0019】
これらの図において、11はロータ中段部、12はロータ下段部、13はロータ上段部、14はロータ中段部11、ロータ下段部12およびロータ上段部13で構成されるロータ、15は可動接片、16はコイルバネ、17は滑動棒、18はケース、19はハウジング、20はロータ上段部13に遊嵌される操作部、21は磁石である。ロータ中段部11には、可動接片15の回転方向への移動を許容するための凹部11a、ロータ下段部12と嵌合するための嵌合孔11cが形成された突片11b、ロータ上段部13と嵌合するための嵌合孔11eが形成された突片11dが形成されている。ロータ下段部12には、コイルバネ16および滑動棒17を配設するための収納孔12a、ロータ中段部11と嵌合するための嵌合凸部12cが形成された嵌合凹部12bが形成されている。ロータ上段部13には、ロータ中段部11と嵌合するための嵌合凸部13bが形成された嵌合凹部13a、操作部20を遊嵌するための切欠部13c、遊嵌された操作部20の突起20aを回転方向に摺動可能とするための遊嵌溝13dが形成されている。可動接片15は、略長方形の板状で、両端部近傍に可動接点15a、可動接点15aと同一面に弾性部15b、可動接点15aが形成された面と直交する面の中央部に突出する一対の回転軸15cが形成されている。ケース18には、固定接点18aが埋設され、滑動棒17が摺動して切換節度を付与するガイド部18b、ロータ14の回転をガイドする凹部18c、ハウジング19と嵌合するための嵌合凸部18dが形成されている。ハウジング19は、上面を有する略四角筒状で、上面にロータ14が突出するための貫通孔19a、側面にケース18と嵌合するための嵌合孔19b、嵌合孔19bと異なる側面に板バネ19cが形成されている。
【0020】
ロータ中段部11の凹部11aの中央に形成された軸受孔(図示なし)に一方の回転軸15cが回動自在に係合するように凹部11aに可動接片15が配設され、ロータ下段部12の収納孔12aにコイルバネ16を介して滑動棒17が配設される。ロータ中段部11の嵌合孔11cとロータ下段部12の嵌合凸部12cおよびロータ中段部11の嵌合孔11eとロータ上段部13の嵌合凸部13bが嵌合されて、ロータ14が構成される。このとき、ロータ上段部13の底面部中央に形成された軸受孔(図示なし)に可動接片15の他方の回転軸15cが回動自在に係合される。ケース18に磁石21が配設され、ロータ14の底面部がケース18の凹部18cに配設され、ロータ14の上部が貫通孔19aから突出するようにハウジング19がケース18に被され、ケース18の嵌合凸部18dとハウジング19の嵌合孔19bが嵌合される。そして、操作部20の突起20aをロータ上段部13aの切欠部13cから遊嵌溝13dに遊嵌することで、ロータリスイッチが完成される。
【0021】
以上のように構成された本発明のロータリスイッチは、操作部20を可動接点15aと固定接点18aの開離方向に回転操作すると、突起20aが遊嵌溝13dの端部に当接し、ロータ14が回転する。ロータ14の回転に伴って滑動棒17がガイド部18bを摺動し、一定の操作量を超えると操作している方向(可動接点15aと固定接点18aの開離方向)に付勢される。このとき、一定の操作量を超えるまでは操作部20の操作速度に依存してロータ14も回転するが、可動接片15に形成された弾性部15bの付勢により可動接点15aと固定接点18aは接触状態を維持し、一定の操作量を超えたところで可動接点15aと固定接点18aが開離し始め、操作部20の操作速度に依存せずに遊嵌溝13dの幅の分だけ一定の速度で可動接点15aと固定接点18aが開離する。また、操作部20を可動接点15aと固定接点18aの接触方向に回転操作すると、開離方向への操作時と同様に、突起20aが遊嵌溝13dの端部に当接し、ロータ14が回転する。ロータ14の回転に伴って滑動棒17がガイド部18bを摺動し、一定の操作量を超えると操作している方向(可動接点15aと固定接点18aの接触方向)に付勢される。このとき、一定の操作量を超えるまでは操作部20の操作速度に依存してロータ14および可動接片15も回転するが、一定の操作量を超えたところで操作部20の操作速度に依存せずに遊嵌溝13dの幅の分だけ一定の速度でロータ14が回転し、可動接点15aと固定接点18aが接触する。このように、アークの発生しやすい接点間隔(可動接点15aと固定接点18aの接点の間隔が狭い範囲)において、可動接点15aと固定接点18aの開閉速度が操作部20の操作速度に依存しないため、操作部20をゆっくりと操作した場合にもロータ14は一定の速度で回転することにより、アークを確実に消去することができる。さらに、ケース18に磁石21を配設したことにより、発生したアークが磁界によって引き伸ばされるため、アーク消去効果が向上する。操作時の各部の動作については、実施例1と同様である。
【0022】
このように、本実施例に示すロータリスイッチは、可動接片15をロータ14の回転方向に対して遊びをもたせて配設し、操作部20をロータ14の回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌し、切換節度機構および弾性部15bを設けたことで、操作部20が一定の操作量を超えたときにロータ14が操作部20の操作速度に依存することなく一定の速度で回転可能であり、さらに、ケース18に磁石21を配設したため、アークを確実に消去することができるという特徴を有している。また、弾性部15bの付勢により、一定の操作量を超えるまでは可動接点15aと固定接点18aの接触圧を保つことができるという特徴を有している。
【0023】
本実施例では、ロータを3部品で構成しているが、ロータ中段部とロータ下段部を1部品で構成してもよい。また、切換節度機構をケースにガイド部を形成し、ロータ下段部にコイルバネと滑動棒を配設して構成しているが、ロータにガイド部を形成し、ケースにコイルバネと滑動棒を配設して構成してもよく、コイルバネと滑動棒を他の弾性部材、例えば板バネなどとしてもよい。また、可動接片に弾性部を形成しているが、ロータに弾性部を形成してもよい。また、1対の固定接点を配設して単極としているが、上方に固定端子を増設して2極以上としてもよい。さらに、磁石の配置は磁界の作用を考慮して任意の位置に配置してもよく、種々の方法が考えられる。
【0024】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のロータリスイッチは、アークの発生しやすい直流大電流の開閉が可能なロータリスイッチとして利用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1,11 ロータ中段部
1a,8c,11a,18c 凹部
1b,1d,11b,11d 突片
1c,1e,9b,11c,11e,19b 嵌合孔
2,12 ロータ下段部
2a,12a 収納孔
2b,3a,12b,13a 嵌合凹部
2c,3b,8d,12c,13b,18d 嵌合凸部
3,13 ロータ上段部
3c,13c 切欠部
4,14 ロータ
5,15 可動接片
5a,15a 可動接点
5b,15b 弾性部
5c,15c 回転軸
6,16 コイルバネ
7,17 滑動棒
8,18 ケース
8a,18a 固定接点
8b,18b ガイド部
9,19 ハウジング
9a,19a 貫通孔
9c,19c 板バネ
10,20 操作部
21 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の回転操作に伴って接点を接離することで電路の開閉を行うロータリスイッチにおいて、回転の軸となるロータと、該ロータの側面から突出するとともに該ロータの回転方向に対して遊びをもたせて配設された可動接片と、前記ロータの回転方向に対して遊びをもたせて遊嵌される操作部と、固定接点が配設されたケースと、該ケースに嵌合されるハウジングからなり、前記ロータおよび前記ケースにガイド部および弾性部材からなる切換節度機構が配設され、前記可動接片または前記ロータの少なくともいずれか一方に前記可動接片に形成された可動接点と前記固定接点が接触する方向に前記可動接片を付勢する弾性部が形成され、前記ロータを前記ケースに回転自在に配設することを特徴とするロータリスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のロータリスイッチにおいて、前記ケースに磁石を配設したことを特徴とするロータリスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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