ロータリダイカッタの刃物取付台据付装置
【課題】ロータリダイカッタで、刃物取付台のナイフシリンダへの位置決め及び固定を迅速に行なうと共に、押出し装置に接触する押出し部材の内側端の摩耗を低減する。
【解決手段】刃物取付台１８に打抜き刃２０が埋設された木型２２が装着され、ナイフシリンダ１６に第１の貫通孔７６が穿設され、第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が装着され、刃物取付台１８に第２の貫通孔８０が穿設され、第２の貫通孔８０に第２の押出し棒８２が装着されている。第１の押出し棒７４と第２の押出し棒８２とが突き合わせ可能であり、偏芯シリンダ７２で第１の押出し棒７４を押し出すことで、打抜き刃２８に挟持された打抜き屑ａを押し出す。第２の貫通孔８０の内側開口にナイフシリンダ軸方向に凹溝９８がもうけられ、刃物取付台１８の据付時に刃物取付台１８がナイフシリンダ軸方向に移動しても第１の押出し棒７４が刃物取付台１８に当らないようにしている。
【解決手段】刃物取付台１８に打抜き刃２０が埋設された木型２２が装着され、ナイフシリンダ１６に第１の貫通孔７６が穿設され、第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が装着され、刃物取付台１８に第２の貫通孔８０が穿設され、第２の貫通孔８０に第２の押出し棒８２が装着されている。第１の押出し棒７４と第２の押出し棒８２とが突き合わせ可能であり、偏芯シリンダ７２で第１の押出し棒７４を押し出すことで、打抜き刃２８に挟持された打抜き屑ａを押し出す。第２の貫通孔８０の内側開口にナイフシリンダ軸方向に凹溝９８がもうけられ、刃物取付台１８の据付時に刃物取付台１８がナイフシリンダ軸方向に移動しても第１の押出し棒７４が刃物取付台１８に当らないようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、段ボール等の加工に使用されるロータリダイカッタで被加工シートを打抜き加工する場合、特に、段ボール製函機の手穴加工のように簡易な穴明け加工を行なう場合に、刃物取付台のナイフシリンダへの取り付けを容易にして、作業効率を向上させた刃物取付台据付装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
段ボール箱を製造する場合、ロータリダイカッタによって、印刷済みの段ボールシートに罫線入れや打抜き加工を行なっている。ロータリダイカッタは、アンビルシリンダとナイフシリンダとが対設されており、打抜き加工を行なう場合、ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を被覆し、互いに逆方向に回転するアンビルシリンダとナイフシリンダ間に被加工シートを送り込み、所定の形状に打抜くようにしている。
【０００３】
特許文献１（特開平８−２２９８８５号公報）には、ロータリダイカッタのナイフシリンダに刃物取付台を装着する場合に、刃物取付台の両端を固定用リングで固定することにより、固定用皿ボルトの本数を大幅に少なくし、取付け時間を短縮可能にした刃物取付台の固定手段が開示されている。
特許文献１に開示された固定手段は、被加工シートの打抜き領域が大きく、かつ打抜き形状が比較的複雑な刃物取付台を対象としており、ナイフシリンダへの取付け時間が短縮されたといっても、刃物取付台の位置決め及び固定になお多くの時間を要し、段ボール製函機の手穴加工のように小型の打抜き刃を使う打抜き加工の場合には不向きである。
【０００４】
打抜き加工では、打抜き屑が打抜き刃の間に挟持されて残留するが、打抜き後にこれを所定の位置で取り除き、飛散しないようにする必要がある。
特許文献２（特開２００６−１３０６３７号公報）には、刃物取付台に取り付けられた環状打抜き刃の内側に弾性体を設け、該弾性体の復元弾性によって打抜き刃に挟持された打抜き屑を外部に押し出すようにした打抜き屑の除去手段が開示されている。
【０００５】
特許文献３（特開２００５−７５４３号公報）には、ナイフシリンダの内部に設けた押出し棒により打抜き屑を打抜き刃の外部に押し出すようにした手段が開示されている。以下、特許文献１に開示された構成を図９及び図１０により説明する。
【０００６】
図９及び図１０において、ロータリダイカッタ２００は、アンビルシリンダ２０２とナイフシリンダ２０４とで構成され、両シリンダは、夫々図９の矢印方向に回転される。ナイフシリンダ２０４の外周面には、円弧状断面の刃物取付台２０６が取付けボルト等により着脱自在に被覆されている。刃物取付台２０６には、アンビルシリンダ２０２とナイフシリン２０４間に送り込まれる段ボールシート等の被加工シートＳを所定の形状に打抜く打抜き刃２０８と、打抜き刃２０８の外周囲に、打抜き刃２０８の打抜きによって形成される打抜き屑ａに刺通して打抜き屑ａを保持する保持歯２１０が取り付けられている。
【０００７】
刃物取付台２０６の外周面に、屑落しアーム２１２が支持ピン２１４を中心に揺動可能に設けられ、屑落しアーム２１２の先端部には、保持歯２１０が挿入可能な切欠部２１６が設けられている。屑落しアーム２１２の近くに、コイルばね２１８が設けられ、コイルばね２１８は支持ピン２２０に支持され、コイルばね２１８の押圧片２２２は屑落しアーム２１２の表面に当接して、屑落しアーム２１２を外側から押圧する方向に付勢している。
【０００８】
ナイフシリンダ２０４及び刃物取付台２０６には、半径方向に多数の貫通孔２２６が穿設され、屑落しアーム２１２によって覆われた貫通孔２２６には押出し棒２３０が挿入されている。押出し棒２３０は、ナイフシリン２０４の内部に組み込まれている偏芯シリンダ２３２の外周面に当接している。偏芯シリンダ２３２は、ナイフシリン２０４の中心に対する偏芯位置に回転中心をもち、偏芯シリンダ２３２の回転によって押出し棒２３０が半径方向外方に押し出される。
【０００９】
図９に示すように、アンビルシリンダ２０２とナイフシリン２０４とを夫々図９の矢印方向に回転し、両シリンダ間に被加工シートＳを送り込むと、刃物取付台２０６に装着された打抜き刃２０８によって被加工シートＳに打抜き切断線が形成され、その打抜き切断線の内側に製品部が形成され、外側に打抜き屑ａが形成される。製品部は、打抜き刃２０８の内側に設けられた図示省略の弾性部材の押圧によって打抜き刃２０８の内側から押し出される。一方、打抜き屑ａは、保持歯２１０の刺通によって保持されてナイフシリン２０４の周方向に搬送される。
【００１０】
打抜き屑ａがナイフシリン２０４の下部まで搬送されると、偏芯シリンダ２３２の回転により押出し棒２３０が半径方向外方に移動し、屑落しアーム２１２を外方へ揺動させることにより、打抜き屑ａを保持歯２１０から外して下方に落下させる。
押出し棒２３０の挿入又は取り外しは、屑落しアーム２１２を起立方向に揺動させて行なうが、このとき、屑落しアーム２１２に固着されたストッパ２２４がコイルばね２１８の押圧片２２２に当接して、屑落しアーム２１２のさらなる揺動を防止している。
なお、打抜き屑ａを決められた場所で押し出すようにしないと、打抜き屑ａが周囲に散らばり、ロータリダイカッタの稼動に支障をきたす。また、打抜き屑が製品に混入する懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１１】
【特許文献１】特開平８−２２９８８５号公報
【特許文献２】特開２００６−１３０６３７号公報
【特許文献３】特開２００５−７５４３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
刃物取付台をナイフシリンダに装着する場合に、特許文献１に開示された刃物取付台の固定手段を用いた場合、刃物取付台の装着に比較的時間と手間がかかる。段ボール製函機の手穴加工のように比較的簡易な打抜き加工を行なう場合に、このような固定手段を用いると、製函機の休止時間が長くなり、運転効率の低下を招く。
【００１３】
特許文献２に開示された打抜き屑除去手段では、弾性体の復元弾性力と打抜き刃による打抜き屑の拘束力との微妙な差で打抜き屑を打抜き刃から押し出すタイミングを一定にできず、打抜き屑が周囲に散乱し、ロータリダイカッタの稼動に支障をきたすという問題がある。
【００１４】
特許文献３に開示された打抜き屑除去手段は、打抜き屑ａを押出し棒２３０により決められた場所で押し出すようにしているので、打抜き屑ａが周囲に散乱しないという利点がある。しかし、刃物取付台２０６の着脱時に押出し棒２３０を貫通孔２２６に挿入したり、押出し棒２３０を貫通孔２２６から取り出す作業を必要とし、時間がかかり、作業効率が低下するという問題がある。
【００１５】
従来のロータリダイカッタの打抜き屑除去装置では、押出し棒挿入用の貫通孔は、ナイフシリンダ外周面の略全面に所定間隔で穿設されている。そして、刃物取付台の取付けに際して、刃物取付台の形状に合わせて、必要な場所の貫通孔に押出し棒を挿入している。そして、打抜き加工を行なった後、挿入した押出し棒を抜き出してから刃物取付台を取り外している。
このように、刃物取付台の形状によって押出し棒の挿入位置が一様でなく、刃物取付台の取付け又は取替え毎に押出し棒の着脱を頻繁に行なうため、押出し棒の着脱に時間を要し、作業効率が低下している。
また、押出し棒の内側端が例えば偏芯シリンダ等の押出し装置に接触しており、偏芯量が大きくストローク量が大きい為に、摩耗が激しいという問題がある。
【００１６】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、刃物取付台のナイフシリンダへの位置決め及び固定を迅速に行なうことを目的とする。特に、段ボール製函機の手穴加工のように、小型の刃物取付台の位置決め及び固定を迅速に行なうことによって、打抜き加工の運転効率を向上させることを第１の目的とする。
また、押出し装置に接触する押出し部材の内側端の摩耗を低減することを第２の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１７】
かかる目的を達成するため、本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置は、
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、
ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、
刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着後第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、
ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を打抜き刃から押し出すように構成すると共に、
刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、
第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したものである。
【００１８】
本発明装置では、前記移動装置により刃物取付台をナイフシリンダ上で長手軸方向に移動させ、前記固定装置により刃物取付台をナイフシリンダ上の所望に位置に固定する。そのため、刃物取付台を従来のように複数のボルトで固定する必要がなくなり、刃物取付台の着脱時間を短縮できる。
また、本発明装置では、第１の押出し部材を予めナイフシリンダに設けられた実質的に全部の第１の貫通孔に装着しておく。一方、第２の押出し部材も予め刃物取付台に装着されているので、刃物取付台の着脱に要する時間のうち、第１の押出し部材及び第２の押出し部材の取り付け及び取り外し作業を削減できるので、刃物取付台の着脱時間を大幅に低減できる。
【００１９】
また、刃物取付台の装着後第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにしているので、刃物取付台がナイフシリンダ上を移動する時、第２の押出し部材が刃物取付台の移動を妨げない。
また、第２の貫通孔の内側開口が位置する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができ、刃物取付台のナイフシリンダへの据付時間を短縮できる。
【００２０】
なお、本発明装置において、前記押出し装置は、例えば、ナイフシリンダと共に回転し、ナイフシリンダの回転中心に対して偏芯した回転中心をもち外周面が円筒状の偏芯回転体であるか、又はナイフシリンダの回転中心にカム軸を有するカムであり、該偏芯回転体又はカムで第１の押出し部材をナイフシリンダ側に押し出すように構成される。
【００２１】
本発明装置において、一端が刃物取付台の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、第２の押出し部材の内側端を刃物取付台の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成するとよい。
【００２２】
これによって、簡単な構成で打抜き屑の確実な押し出しを可能にすると共に、押出しレバーの軸支点から挿入端までの距離と、該軸支点から第２の押出し部材の取付位置までの距離を調節することによって、第２の押出し部材によって押出しレバーに付加される押出力及び押出しレバー挿入端の押出しストロークを調節できる。
また、前記保持具を設けたことにより、第２の押出し部材の内側端がナイフシリンダの外周面より内側に突出しないので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができる。
なお、前記保持具は、例えば第２の押出し部材に弾性力を付勢するようにしたバネ部材で構成するとよい。
【００２３】
本発明装置において、前記凹溝の内面に柔軟材を被覆し、該凹溝内面と第１の押出し部材との衝突時に発生する騒音を低減するように構成するとよい。
【００２４】
本発明装置において、第１の押出し部材の押出し装置に接する内側端、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端若しくは第２の押出し部材の内側端の少なくとも一方を無給油潤滑性の樹脂又は耐摩耗性材料で構成するとよい。これによって、第１の押出し部材の内側端若しくは外側端、又は第２の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
例えば、自己潤滑性樹脂として、例えばポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、キャストナイロン等のいわゆるエンジニアリングプラスチックと呼ばれる低摩擦係数をもつ自己潤滑性樹脂を用いるとよい。
【００２５】
本発明装置において、第１の押出し部材と押出し装置との間、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端と第２の押出し部材の内側端との間に摩擦低減用回転体を介在させるとよい。これによって、第２の押出し部材が刃物取付台と共に移動する際に、第１の押出し部材と第２の押出し部材との引っ掛かりを低減でき、かつ第１の押出し部材の内側端又は外側端、及び第２の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２６】
本発明装置において、前記押出し装置が、前述の偏芯回転体又はカムである場合、該偏芯回転体のナイフシリンダ中心に対する偏心量又は該カムによる押出し量を低減することにより、第１の押出し部材の偏芯回転体又はカムとの当接面の摩耗量を低減するように構成するとよい。この簡単な手段によって、第１の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２７】
本発明装置において、第１の押出し部材の押出し装置との当接面の面積を増大させることにより、該当接面に加わる単位面積当りの負荷を軽減し、該当接面の摩耗量を低減するように構成するとよい。この簡単な手段によって、第１の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２８】
本発明装置において、第２の押出し部材が刃物取付台の移動方向に延設された長尺体で構成され、該長尺体が第１の押出し部材と接する始端部を面取り形状、円弧状もしくは逆円弧状に形成するか、又は該長尺体の下辺全体を円弧状に形成するとよい。これによって、第１の押出し部材と第２の押出し部材との引っ掛かりを低減できる。
【００２９】
本発明装置において、第１の押出し部材の内側端又は外側端を球面形状又は円錐形状とするとよい。これによって、第１の押出し部材の内側端の磨耗を低減できるか、あるいは第１の押出し部材の外側端が第２の押出し部材に接触したとき、引っ掛かりを防止できる。
【００３０】
本発明装置において、第１の押出し部材が、第２の押出し部材と対面するナイフシリンダ外周面に長手軸方向に凹溝を刻設し、該凹溝に第２の押出し部材の滑り平面を形成する長尺体を埋設してなるように構成するとよい。これによって、刃物取付台がナイフシリンダ上を移動する時に、第２の押出し部材が第１の押出し部材の該滑り平面に接してスムーズに移動でき、第２の押出し部材が第１の押出し部材から脱落するのを防止できる。
【００３１】
本発明装置において、第１の押出し部材又は第２の押出し部材を第１の貫通孔又は第２の貫通孔に移動自在に保持する保持装置を設けるとよい。これによって、第１の押出し部材又は第２の押出し部材が刃物取付台から脱落するのを防止でき、刃物取付台の着脱をスムーズに行なうことができる。
【００３２】
また、本発明の刃物取付台は、
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、
該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、
ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、
該第２の押出し部材で打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したものである。
【００３３】
本発明の刃物取付台は、前記構成を有することにより、前記本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置に用いられて、ナイフシリンダ上への据付時に、前記凹溝をもうけたことにより、ナイフシリンダ上で軸方向への移動をスムーズに行なうことができるので、ナイフシリンダへの据付時間を短縮できる。
【００３４】
本発明の刃物取付台において、一端が刃物取付台本体の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、第２の押出し部材の内側端を刃物取付台本体の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成するとよい。
【００３５】
これによって、打抜き屑の押出し機構を簡素化できると共に、押出しレバーの軸支点から挿入端までの距離と、該軸支点から第２の押出し部材の取付位置までの距離を調節することによって、第２の押出し部材によって押出しレバーに付加される押出力及び押出しレバー挿入端の押出しストロークを調節できる。
また、前記保持具を設けたことにより、第２の押出し部材の内側端がナイフシリンダの外周面より内側に突出しないので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができる。
【発明の効果】
【００３６】
本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置によれば、ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着時に第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すように構成すると共に、刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したことにより、刃物取付台のナイフシリンダへの位置決め及び固定を迅速に行なうことができ、打抜き加工準備時間を短縮して、ロータリダイカッタの運転効率を向上できる。
特に、段ボール製函機の手穴加工のように、小型の刃物取付台の位置決め及び固定を迅速に行なうことができ、打抜き加工の運転効率を向上できる。
【００３７】
本発明の刃物取付台によれば、ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、該第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したことにより、前記本発明装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明装置の第１実施形態に係るロータリダイカッタの正面図である。
【図２】前記第１実施形態に係る刃物取付台１８の斜視図である。
【図３】図２中のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【図４】本発明装置の第２実施形態の説明図である。
【図５】本発明装置の第３実施形態の斜視図である。
【図６】本発明装置の第４実施形態の斜視図である。
【図７】本発明装置の第５実施形態の縦断正図である。
【図８】本発明装置の第６実施形態の斜視図である。
【図９】従来のロータリダイカッタの横断側面図である。
【図１０】図９のロータリダイカッタの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【００４０】
（実施形態１）
本発明装置の第１実施形態に係るロータリダイカッタの刃物取付台据付装置を図１〜図３に基づいて説明する。本実施形態に係るロータリダイカッタは、段ボール製函機のフレキソ印刷部とフォルディング部との間に設けられるダイカット部に配置され、製函中の段ボールシートの手穴加工を行なうものである。
【００４１】
図１において、本実施形態に係るロータリダイカッタ１０は、フロアＦに立設された駆動側支持フレーム１２と操作側支持フレーム１４との間でナイフシリンダ１６が回動可能に架設されている。ナイフシリンダ１６の上方には、駆動側支持フレーム１２と操作側支持フレーム１４との間に、図示省略のアンビルシリンダが回転可能に支持されている。ナイフシリンダ１６と該アンビルシリンダとが互いに逆方向に回転し、両シリンダ間に挿入される平板状の段ボールシートを回転方向に搬送しながら手穴加工を行なう。
【００４２】
ナイフシリンダ１６の外周面には、左右の領域に夫々１台ずつ環状の刃物取付台１８が設けられ、該刃物取付台１８は、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に摺動自在に嵌合されている。図２及び図３に示すように、刃物取付台１８には打抜き刃２０が埋設された木型２２が装着されている。
また、ナイフシリンダ１６の両端付近に夫々1台ずつ環状の送りバンド２４が設けられ、該送りバンド２４は、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に摺動自在に嵌合されている。送りバンド２４は、ナイフシリンダ１６の両端付近で、搬送される段ボールシートの両端をアンビルシリンダと挟持して段ボールシートの送りを円滑にする。駆動側支持フレーム１２の外側にはナイフシリンダ１６を回転する図示省略の駆動モータが設けられている。
【００４３】
ナイフシリンダ１６の下方には、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動させかつ設定位置で固定する移動固定装置３０が設けられている。以下、この移動固定装置３０の構成を説明する。図１において、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に２本のネジ軸３２及び３４が直列に配置されている。
ネジ軸３２は駆動側支持フレーム１２及び中央フレーム２６間に架設され、転がり軸受２８によって回転可能に支持されている。ネジ軸３２の軸部３２ａは、駆動側支持フレーム１２の外側に延設され、一対の伝達歯車３６を介して移動用モータ３８の出力軸に接続されている。
ネジ軸３４は、操作側支持フレーム１４及び中央フレーム２６間に架設され、転がり軸受２８によって回転可能に支持されている。ネジ軸３４の軸部３４ａは、一対の伝達歯車３９を介して移動用モータ４０の出力軸に接続されている。
【００４４】
ネジ軸３２及び３４には、ナット４４がその内面に形成されたメネジ部で螺合している。ナット４４は、ネジ軸３２，３４の回動によってナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動する。ナット４４にはヨーク部材４２が固設され、該ヨーク部材４２の先端が刃物取付台１８の図示省略の凹部に係止している。そのため、ナット４４の移動に連動して刃物取付台１８がナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動する。
【００４５】
送りバンド２４には連結フレーム４６が一体に形成され、該連結フレーム４６は移動台４８に連結されている。移動台４８は、ステイ５０の上面に一体形成されたレール５２に摺動自在に支持されている。移動台４８にはエアシリンダ５４が装着されている。エアシリンダ５４のピストン５６が下方に伸長したときは、ピストン５６の下端がステイ５０の上面に圧接して移動台４８がその位置に固定される。
ネジ軸３２又は３４を回転させ、夫々のネジねじ軸に螺合した刃物取付台１８を移動させ、刃物取付台１８を送りバンド２４に隣接させたとき、ピストン５６を上方へ伸長させ、ピストン５６をナット４４の係合部５８に設けられた凹部に挿入することにより、刃物取付台１８と送りバンド２４とを合体させることができる。
【００４６】
かかる構成により、ネジ軸３２又は３４を回転させることにより、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動させ、所望位置で刃物取付台１８を固定させることができる。また、段ボールシートの紙幅に応じて送りバンド２４を段ボールシートの両端に移動させるときは、まず、刃物取付台１８を送りバンド２４に向けて移動させ、送りバンド２４に隣接させる。そして、エアシリンダ５４を作動させてピストン５６を上方に伸長させ、ピストン５６をナット４４と合体させる。
【００４７】
次に、刃物取付台１８を移動させ、送りバンド２４をナイフシリンダ１６の軸方向の所望位置に移動させ、送りバンド２４が所望位置に到達したら、エアシリンダ５４のピストン５６を下方へ伸長し、ピストン５６をナット４４と切り離すと共に、ピストン５６をステイ５０の上面に圧接して、送りバンド２４を該位置に固定する。
次に、送りバンド２４を該固定位置に残し、刃物取付台１８を設定位置に移動させ、該設定位置でネジ軸３２及び３４の回動をロックさせることで、刃物取付台１８を該設定位置で固定する。
【００４８】
本実施形態によれば、直列に配置した２本のネジ軸３２及び３４によって刃物取付台１８及び送りバンド２４の双方を夫々所望の位置に位置決めし、該位置で固定できるので、送りバンド２４用の移動装置が不要になり、装置構成を簡素化できる。
また、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への位置決め及び固定を迅速にでき、打抜き加工に要する時間を短縮できる。
【００４９】
次に、本実施形態の刃物取付台１８の構成を図２及び図３に基づいて説明する。図２及び図３において、刃物取付台１８の内周面は、該内周面がナイフシリンダ１６の外周面１６ａに密着するように、該外周面１６ａ同一の曲率を有する。刃物取付台１８には、木型２２を装着するための開口６０が穿設されている。刃物取付台１８の円周方向に位置する開口６０の端面は、外側に向かって縮径される逆傾斜面６０ａと直立面６０ｂとで構成されている。
一方、該開口端面に対面する木型２２の端面６２は、該逆傾斜面６０ａと同一傾斜角度をなして対面する順傾斜面６２ａと該直立面６０ｂと対面する直立面６２ｂとからなる。
【００５０】
木型２２には、段ボールシートに手穴加工を行なう楕円形の打抜き刃２０が埋設され、打抜き刃２０の外側先端が木型２２の外表面から突出して、段ボールシートを打抜くようになっている。木型２２の外表面には樹脂製の押出しレバー６６が装着されている。押出しレバー６６は、木型２２の外表面に設けられたヒンジ部６８を中心に回動可能に枢支されている。押出しレバー６６の先端には打抜き屑を押し出す樹脂製の押出部７０が押出しレバー６６と一体に形成されている。
打抜き刃２０の側面には開孔２０ａが穿設され、押出しレバー６６が開孔２０ａから打抜き刃２０の内部に挿入され、打抜き刃２０の内部に押出部７０が配置されている。
【００５１】
中空のナイフシリンダ１６の中心には、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に偏芯シリンダ７２が設けられている。偏芯シリンダ７２は、ナイフシリンダ１６の回転中心に対して偏芯した位置に回転中心をもち、ナイフシリンダ１６の回転によって偏芯シリンダ７２がナイフシリンダ１６の半径方向に移動し、後述する第１の押出しピン７４をナイフシリンダ１６の半径方向に押出すようになっている。
【００５２】
図３に示すように、ナイフシリンダ１６には、その外周面１６ａの略全領域に設定された間隔で多数の第１の貫通孔７６が穿設されている。そして実質的にすべての第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が予め装着されている。第１の貫通孔７６は、例えば５０ｍｍ間隔で設けられ、各種形状の刃物取付台に対応可能になっている。第１の押出し棒７４は円筒形状をなし、下端部に他の円筒部分より拡径された拡径部７４ａが形成されている。
【００５３】
第１の貫通孔７６の外側開口に中空な円筒形状のネジ止め７８が装着されている。ネジ止め７８は、中心部に第１の押出しピン７４が摺動自在な貫通孔が設けられ、ネジ止め７８の外周面はねじ切りされ、第１の貫通孔７６に形成されたネジ孔に螺着されている。これによって、拡径部７４ａをネジ止め７８に係止させて、第１の押出しピン７４が第１の貫通孔７６が該外側開口から抜け出すのを防止している。
【００５４】
刃物取付台１８には、第１の貫通孔７６の外側開口に対面する位置に半径方向に向けて複数の第２の貫通孔８０が穿設されている。押出しレバー６６の裏面には、第２の貫通孔８０に挿入される第２の押出し部材８２が固着されている。図２に示すように、第２の押出し部材８２は、ナイフシリンダ１６の軸方向に長辺を配置された長尺状板体をなし、前述の自己潤滑性樹脂で構成されている。従って、第２の貫通孔８０も該第２の押出し部材８２を収容可能なようにナイフシリンダ１６の軸方向に長辺を有する形状をなしている。
【００５５】
また、押出しレバー６６の裏面には、コイルバネ８４が取り付けられ、コイルバネ８４は、木型２２の外周面２２ａに刻設された円筒形状の凹部８６に収容されている。コイルバネ８４の弾性力によって、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への装着後第２の押出し棒８２の内側端８２ａが木型２２の下面２２ｂより下方に出ないように、かつ押出しレバー６６の先端に一体形成された押出部７０が打抜き刃２０の先端より若干上方に出るように調整されている。
【００５６】
偏芯シリンダ７２は、例えば偏芯シリンダ７２の中心軸をナイフシリンダ１６の中心軸から上下方向に１０ｍｍずらすことにより、偏芯シリンダ７２の偏芯ストロークを２０ｍｍにすることができる。
【００５７】
刃物取付台１８には、コイルバネ８８を介して固定用ストッパ９０がナイフシリンダ１６上を円周方向に摺動可能に装着されている。木型２２の端面６２に対面する固定用ストッパ９０の端面９１は、順傾斜面６２ａと同一傾斜角度をなして対面する逆傾斜面９１ａと直立面９１ｂとからなる。開口６０の逆傾斜面６０ａと固定用ストッパ９０の逆傾斜面９１ａとで木型２２を挟持固定する。
【００５８】
固定用ストッパ９０の操作索９２の一端が固定用ストッパ９０に結合され、操作索９２の他端がクランプ９４に結合されている。固定用ストッパ９０は、コイルバネ８８の弾性力により木型２２側に圧接する方向に付勢されているが、木型２２の着脱時にはクランプ９４を矢印ｃ方向に倒すことにより、固定用ストッパ９０を木型２２から離し、木型２２の固定を解除する。
図２に示すように、固定用ストッパ９０の両側にはレール９６が刃物取付台１８に固着され、固定用ストッパ９０のナイフシリンダ円周方向への移動をガイドしている。
【００５９】
刃物取付台１８及び木型２２において、第２の貫通孔８０の内側開口には、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に断面が長方形の凹溝９８が穿設されている。凹溝９８の横幅は、第２の貫通孔８０の横幅より大きく形成され、第１の押出し棒７４が第１の貫通孔７６の外側開口より上方に突出したときに、接触しない程度の寸法をもつ。
また、例えば、偏芯シリンダ７２の偏芯ストロークが２０ｍｍであり、第１の押出し棒７４が第１の貫通孔７６の外側開口より上方に突出する最大量が３ｍｍである場合には、凹溝９８の深さをその２倍の６ｍｍとしている。
凹溝９８の第１の押出し棒７４と対面する内面に、ゴム板１００を貼り付け、万一第１の押出しピン棒が該内面に衝突しても衝撃を緩和し、衝突による騒音を低減できるようにしている。
【００６０】
本実施形態の刃物取付台１８では、木型２２を装着する場合に、クランプ９４を矢印ｃ方向に倒して開口６０を広げ、その状態で木型２２を開口６０に挿入する。次に、クランプ９４を矢印ｄ方向に戻すことにより、コイルバネ８８の弾性力により木型２２の端面に開口６０の端面を圧接して、木型２２を両側から締め付け固定できる。このように、木型２２を刃物取付台１８にワンタッチで固定できる。
【００６１】
木型２２を刃物取付台１８に装着した後、前述の手順で刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の軸方向の所定の位置に移動させ、そこで固定する。刃物取付台１８の内周面には凹溝９８が穿設されているので、第１の押出し棒７４がナイフシリンダ１６の外周面から突出していても刃物取付台１８の内周面が第１の押出し棒７４に当らないので、刃物取付台１８のナイフシリンダ長手軸方向（矢印ｂ方向）への移動を円滑に行なうことができる。従って、刃物取付台１８の位置決め及びナイフシリンダ１６への固定を迅速に行なうことができるので、ロータリダイカッタ１０の休止時間を低減して運転効率を向上できる。
【００６２】
製函機の運転時には、図示省略のアンビルシリンダとナイフシリンダ１６との間に段ボールシートを通し、打抜き刃２０で段ボールシートの所定箇所を打抜いて手穴加工を行なう。打抜き加工後、打抜き屑ａが打抜き刃２０の内側領域６４に挟持された状態で残留する。打抜き加工後、偏芯シリンダ７２がナイフシリンダ１６の半径方向外側に出てきて、第１の押出し棒７４の内側端を押し出す。これによって、第１の押出し棒７４が第２の押出し体８２に当接して、第２の押出し部材８２を外方へ押し出すので、押出しレバー６６の押出部７０が刃物取付台１８の外側方向に押し出されて、打抜き屑ａを打抜き刃２０から押し出す。この場合、押出部７０の移動ストロークは、開孔２０ａの開口幅で規制される。
【００６３】
このように、打抜き屑ａは設定された押出しタイミングで押し出されるので、押し出された打抜き屑ａがロータリダイカッタ１０の周囲に散ばることなく、図示省略の排出容器に精度良く収納される。
【００６４】
本実施形態によれば、コイルバネ８４の弾性力により、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６に装着後、第２の押出し部材８２がナイフシリンダ１６の外周面より内側に突出しなように位置に保持されているので、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６上での移動を妨げない。また、凹溝９８を設けたことにより、たとえ第１の押出し棒７４がナイフシリンダ１６の外周面から突出した場合でも、刃物取付台１８の移動を妨げないので、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への据付を迅速にできる。
また、コイルバネ８４の弾性力により第２の押出し棒３６が常に刃物取付台１８のない周面から突出しないので、刃物取付台１８の移動をスムーズに行なうことができる。
【００６５】
また、予め略全部の第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が装着され、また、第２の貫通孔８０にも予め第２の押出し部材８２が装着されているので、刃物取付台１８の着脱時に第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２の取付け又は取り外し作業を要しない。従って、刃物取付台１８の着脱に要する時間を大幅に低減できる。
【００６６】
また、第１の貫通孔７６の外側開口にネジ止め７８を設け、ネジ止め７８によって第１の押出し棒７４の拡径部７４ａを係止可能に構成しているので、第１の押出し棒７４の抜け止めを確実に防止できる。
また、第１の押出し棒７４と対面する凹溝９８の内面にゴム膜１００を貼設しているので、万一第１の押出しピン７４が該内面に衝突した場合でも、その衝撃を緩和して衝突音を低減できる。
【００６７】
また、第２の押出し部材８２を低摩擦係数をもつ自己潤滑性樹脂で構成しているので、第２の押出し部材８２の摩耗を低減できる。なお、第１の押出し棒７４も自己潤滑性樹脂で構成すれば、第１の押出し棒７４の偏芯シリンダ７２と接する内側端及び第２の押出し体８２と接する外側端の摩耗を低減できる。
また、第１の押出し棒７４の内側端を拡径部７４ａで構成しているので、偏芯シリンダ７２によって該拡径部７４ａに負荷される単位面積当りの荷重を低減でき、そのため、該内側端の摩耗を低減できる。
なお、偏芯シリンダ７２のナイフシリンダ１６の回転中心に対する偏芯量を低減することにより、第１の押出し棒７４の内側端の摩耗を低減するようにしてもよい。
【００６８】
さらに、第２の押出し部材８２をナイフシリンダ１６の軸方向側に長辺を有する板状体で構成しているので、第１の押出し棒７４の設置位置が第２の押出し部材８２に対してナイフシリンダ１６の軸方向に多少のズレが生じても、第１の押出し棒７４と第２の押出し部材８２との突き合わせを確実に行なわせることができる。また、刃物取付台１８の移動中第２の押出し部材８２と第１の押出し棒７４との突き合わせ状態を維持して刃物取付台１８の移動を容易にできる。
【００６９】
（実施形態２）
次に、本発明装置の第２実施形態を図４により説明する。図４は、第１実施形態の第２の押出し体８２の変形例を示す。図４（ａ）〜（ｄ）に図示する第２の押出し部材は、第１実施形態の第２の押出し部材８２と同様に刃物取付台１８の据付時の移動方向（矢印ｂ方向）に沿って長辺を配置した板状体からなる各例を示している。
このうち、図４（ａ）は、第２の押出し部材１０２の角部に斜めの面取り部１０２ａを形成することにより、刃物取付台１８の移動時、第２の押出し部材８２と第１の押出し棒７４との接触時に引っ掛かりを解消するようにしたものである。
【００７０】
図４（ｂ）に図示された長尺板状の第２の押出し部材１０４は、同様の目的で円弧状の隅部１０４ａを形成したものである。
図４（ｃ）に図示された長尺板状の第２の押出し部材１０６は、長尺体の角部を逆円弧状隅部１０６ａを形成したものである。これによって、第２の押出し部材１０６と第１の押出し棒７４との接触時に引っ掛かりを無くすことができる。
図４（ｄ）に図示された第２の押出し部材１０８は、長辺が半楕円形端面１０８ａを有するものであり、同様に、第１の押出しピン７４との接触時に引っ掛かりを無くすことができる。
【００７１】
（実施形態３）
次に、本発明装置の第３実施形態を図５により説明する。本実施形態は第１の押出し棒７４の変形例である。図５（ａ）は、円筒状の第１の押出し棒１１０の外側端を球面形状１１０ａとしたものであり、これによって第２の押出し部材８２との接触時に引っ掛かりを無くし、第２の押出し部材との突き合わせ時の摩耗を低減できるようにしたものである。
図５（ｂ）は、第１の押出し棒１１２の先端にテーパ状（円錐状）の面取り部１１２ａを形成することにより、第２の押出し部材との引っ掛かりを無くすようにしたものである。
【００７２】
図５（ｃ）は、第１の押出し棒１１４の外側端をテーパ状の面取り部１１４ａを形成し、さらに面取り部１１４ａの先端に凹部を形成し、該凹部に球状の対摩耗性材料からなるボール１１６を回転可能に嵌合させたものである。これによって、第１の押出し棒１１４と第２の押出し部材との突き合わせ時に、ボール１１６が回転することによって、第１の押出し棒１１４と第２の押出し部材との引っ掛かりを無くし、かつ第１の押出し棒１１４の外側端の摩擦を低減できる。
なお、第１の押出し棒の内側端に図５（ａ）〜（ｃ）の各変形例を適用することによって、第１の押出し棒の摩耗を低減できる。
【００７３】
（実施形態４）
次に、本発明装置の第４実施形態を図６により説明する。本実施形態は第１の押出し棒７４のさらなる変形例を示す。図６において、ナイフシリンダ１６の上部に長手軸方向に長尺の凹溝１１８を設け、該凹溝１１８に長尺状の直方体からなる第１の押出し部材１２０を嵌合固定させている。第１の押出し部材１２０の上面は、第２の押出し部材との突き合わせ時に第２の押出し部材が接触する滑り平面を形成している。一方、第１の押出し部材は棒状をなす第２の押出し棒１２１で構成されている。
刃物取付台１８の据付時、第２の押出し棒１２１の内側端は第１の押出し部材１２０の上面に接しながら矢印ｂ方向に移動する。そのため、第２の押出し棒１２１が第１の押出し部材１２０から脱落することがなく、刃物取付台１８の移動をスムーズに行なうことができる。また、第１の押出し部材１２０の加工が容易になる。
【００７４】
（実施形態５）
次に、本発明装置の第５実施形態を図７により説明する。本実施形態は第１の貫通孔７６に挿入された第１の押出し棒７４の別な抜け止め防止手段を示す。図７において、第１の貫通孔７６の外側開口に縮径部１２４を設ける。一方、円筒形状の第１の押出し棒１２２の下端部付近に、第１の押出し棒１２２の外径より小さい内径をもつゴムリング１２６を拡径させた状態で嵌合させる。ゴムリング１２６はそれ自体の弾性力によって円筒状の第１の押出し棒１２２に固く締め付け固定される。
【００７５】
ゴムリング１２６の外径は第１の貫通孔７６の内径より小さく、第１の押出し棒１２２は第１の貫通孔７６の内部で移動自在である。また、ゴムリング１２６の外径は縮径部１２４の開口より大であるので、第２の押出し棒１２２が縮径部１２４から外部に抜け出ることはない。このように、第１の押出し棒１２２の抜け止めを簡単な手段で防止できる。
【００７６】
（実施形態６）
次に、本発明装置の第６実施形態を図８により説明する。本実施形態は第１の貫通孔７６に挿入された第１の押出し棒７４のさらに別な抜け止め防止手段を示す。図８において、この例は、第１の貫通孔７６に縮径部を設けず、円筒形状の第１の押出し棒１２８の下端部に、小径部１２８を設けている。該小径部１２８に水平方向に貫通孔１３０を穿設し、該貫通孔１３０にゴム棒１３２が圧入されている。ゴム棒１３２の寸法は第１の貫通孔７６の内径より大きいため、ゴム棒１３２の両端が第１の貫通孔７６の内壁に密着され、ゴム棒１３２の弾性力により、第１の押出し棒７４は第１の貫通孔７６に固定される。
【００７７】
第１の押出し棒１２８を第１の貫通孔７６から取り出す時は、第１の押出し棒１２８が偏心シリンダ７２で押し出されて、第１の押出し棒１２８の頭部が第１の貫通孔７６から出たところで、作業員が手で引き抜くようにする。
こうして、本実施形態によれば、第１の貫通孔７６に縮径部がないため、第１の押出し棒１２８の引き抜きが容易になると共に、第１の押出し棒１２８をゴム棒１３２で第１の貫通孔７６に強固に固定できる。
【００７８】
なお、前記第１実施形態では、第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２を自己潤滑性樹脂で構成することにより、その摩耗を低減しているが、第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２を他の耐摩耗性材料で構成してもよい。
例えば、第１の押出しピン７４及び第２の押出しピン８２の構成材料として、キャストナイロン（三ッ星ベルト株式会社商品名）等のナイロン樹脂、ジュラコン（ポリプラスチック株式会社商品名）等の耐摩耗性樹脂、りん青銅合金鋳物等の銅合金、炭素系材料、鋳鉄等の鉄系材料等を使用できる。
【産業上の利用可能性】
【００７９】
本発明によれば、ロータリダイカッタで打抜き加工を行なう場合に、刃物取付台のナイフシリンダへの据付を迅速にできるため、打抜き加工の運転効率を向上できる。
【符号の説明】
【００８０】
１０，２００ ロータリダイカッタ
１６ ナイフシリンダ
１８ 刃物取付台
２０ 打抜き刃
２０ａ 打抜き刃開孔
２２ 木型
３０ 移動固定装置
６６ 押出しレバー
７０ 押出部
７２ 偏心シリンダ（押出し装置）
７４，１２２，１２８ 第１の押出し棒
７６ 第１の貫通孔
７８ ネジ止め（抜け出し防止手段）
８０ 第２の貫通孔
８２ 第２の押出し部材
８４ コイルバネ
９８ 凹溝
１００ ゴム板（柔軟材）
１０２ａ 面取り部
１０４ａ 円弧状の隅部
１０６ａ 逆円弧状隅部
１０８ａ 半楕円形端面
１１０ａ 球面形状
１１６ ボール（摩擦低減用回転体）
１２０ 第１の押出し部材
１２６ ゴムリング（保持装置）
１３２ ゴム棒
２０２ アンビルシリンダ
ａ 打抜き屑
【技術分野】
【０００１】
本発明は、段ボール等の加工に使用されるロータリダイカッタで被加工シートを打抜き加工する場合、特に、段ボール製函機の手穴加工のように簡易な穴明け加工を行なう場合に、刃物取付台のナイフシリンダへの取り付けを容易にして、作業効率を向上させた刃物取付台据付装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
段ボール箱を製造する場合、ロータリダイカッタによって、印刷済みの段ボールシートに罫線入れや打抜き加工を行なっている。ロータリダイカッタは、アンビルシリンダとナイフシリンダとが対設されており、打抜き加工を行なう場合、ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を被覆し、互いに逆方向に回転するアンビルシリンダとナイフシリンダ間に被加工シートを送り込み、所定の形状に打抜くようにしている。
【０００３】
特許文献１（特開平８−２２９８８５号公報）には、ロータリダイカッタのナイフシリンダに刃物取付台を装着する場合に、刃物取付台の両端を固定用リングで固定することにより、固定用皿ボルトの本数を大幅に少なくし、取付け時間を短縮可能にした刃物取付台の固定手段が開示されている。
特許文献１に開示された固定手段は、被加工シートの打抜き領域が大きく、かつ打抜き形状が比較的複雑な刃物取付台を対象としており、ナイフシリンダへの取付け時間が短縮されたといっても、刃物取付台の位置決め及び固定になお多くの時間を要し、段ボール製函機の手穴加工のように小型の打抜き刃を使う打抜き加工の場合には不向きである。
【０００４】
打抜き加工では、打抜き屑が打抜き刃の間に挟持されて残留するが、打抜き後にこれを所定の位置で取り除き、飛散しないようにする必要がある。
特許文献２（特開２００６−１３０６３７号公報）には、刃物取付台に取り付けられた環状打抜き刃の内側に弾性体を設け、該弾性体の復元弾性によって打抜き刃に挟持された打抜き屑を外部に押し出すようにした打抜き屑の除去手段が開示されている。
【０００５】
特許文献３（特開２００５−７５４３号公報）には、ナイフシリンダの内部に設けた押出し棒により打抜き屑を打抜き刃の外部に押し出すようにした手段が開示されている。以下、特許文献１に開示された構成を図９及び図１０により説明する。
【０００６】
図９及び図１０において、ロータリダイカッタ２００は、アンビルシリンダ２０２とナイフシリンダ２０４とで構成され、両シリンダは、夫々図９の矢印方向に回転される。ナイフシリンダ２０４の外周面には、円弧状断面の刃物取付台２０６が取付けボルト等により着脱自在に被覆されている。刃物取付台２０６には、アンビルシリンダ２０２とナイフシリン２０４間に送り込まれる段ボールシート等の被加工シートＳを所定の形状に打抜く打抜き刃２０８と、打抜き刃２０８の外周囲に、打抜き刃２０８の打抜きによって形成される打抜き屑ａに刺通して打抜き屑ａを保持する保持歯２１０が取り付けられている。
【０００７】
刃物取付台２０６の外周面に、屑落しアーム２１２が支持ピン２１４を中心に揺動可能に設けられ、屑落しアーム２１２の先端部には、保持歯２１０が挿入可能な切欠部２１６が設けられている。屑落しアーム２１２の近くに、コイルばね２１８が設けられ、コイルばね２１８は支持ピン２２０に支持され、コイルばね２１８の押圧片２２２は屑落しアーム２１２の表面に当接して、屑落しアーム２１２を外側から押圧する方向に付勢している。
【０００８】
ナイフシリンダ２０４及び刃物取付台２０６には、半径方向に多数の貫通孔２２６が穿設され、屑落しアーム２１２によって覆われた貫通孔２２６には押出し棒２３０が挿入されている。押出し棒２３０は、ナイフシリン２０４の内部に組み込まれている偏芯シリンダ２３２の外周面に当接している。偏芯シリンダ２３２は、ナイフシリン２０４の中心に対する偏芯位置に回転中心をもち、偏芯シリンダ２３２の回転によって押出し棒２３０が半径方向外方に押し出される。
【０００９】
図９に示すように、アンビルシリンダ２０２とナイフシリン２０４とを夫々図９の矢印方向に回転し、両シリンダ間に被加工シートＳを送り込むと、刃物取付台２０６に装着された打抜き刃２０８によって被加工シートＳに打抜き切断線が形成され、その打抜き切断線の内側に製品部が形成され、外側に打抜き屑ａが形成される。製品部は、打抜き刃２０８の内側に設けられた図示省略の弾性部材の押圧によって打抜き刃２０８の内側から押し出される。一方、打抜き屑ａは、保持歯２１０の刺通によって保持されてナイフシリン２０４の周方向に搬送される。
【００１０】
打抜き屑ａがナイフシリン２０４の下部まで搬送されると、偏芯シリンダ２３２の回転により押出し棒２３０が半径方向外方に移動し、屑落しアーム２１２を外方へ揺動させることにより、打抜き屑ａを保持歯２１０から外して下方に落下させる。
押出し棒２３０の挿入又は取り外しは、屑落しアーム２１２を起立方向に揺動させて行なうが、このとき、屑落しアーム２１２に固着されたストッパ２２４がコイルばね２１８の押圧片２２２に当接して、屑落しアーム２１２のさらなる揺動を防止している。
なお、打抜き屑ａを決められた場所で押し出すようにしないと、打抜き屑ａが周囲に散らばり、ロータリダイカッタの稼動に支障をきたす。また、打抜き屑が製品に混入する懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１１】
【特許文献１】特開平８−２２９８８５号公報
【特許文献２】特開２００６−１３０６３７号公報
【特許文献３】特開２００５−７５４３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
刃物取付台をナイフシリンダに装着する場合に、特許文献１に開示された刃物取付台の固定手段を用いた場合、刃物取付台の装着に比較的時間と手間がかかる。段ボール製函機の手穴加工のように比較的簡易な打抜き加工を行なう場合に、このような固定手段を用いると、製函機の休止時間が長くなり、運転効率の低下を招く。
【００１３】
特許文献２に開示された打抜き屑除去手段では、弾性体の復元弾性力と打抜き刃による打抜き屑の拘束力との微妙な差で打抜き屑を打抜き刃から押し出すタイミングを一定にできず、打抜き屑が周囲に散乱し、ロータリダイカッタの稼動に支障をきたすという問題がある。
【００１４】
特許文献３に開示された打抜き屑除去手段は、打抜き屑ａを押出し棒２３０により決められた場所で押し出すようにしているので、打抜き屑ａが周囲に散乱しないという利点がある。しかし、刃物取付台２０６の着脱時に押出し棒２３０を貫通孔２２６に挿入したり、押出し棒２３０を貫通孔２２６から取り出す作業を必要とし、時間がかかり、作業効率が低下するという問題がある。
【００１５】
従来のロータリダイカッタの打抜き屑除去装置では、押出し棒挿入用の貫通孔は、ナイフシリンダ外周面の略全面に所定間隔で穿設されている。そして、刃物取付台の取付けに際して、刃物取付台の形状に合わせて、必要な場所の貫通孔に押出し棒を挿入している。そして、打抜き加工を行なった後、挿入した押出し棒を抜き出してから刃物取付台を取り外している。
このように、刃物取付台の形状によって押出し棒の挿入位置が一様でなく、刃物取付台の取付け又は取替え毎に押出し棒の着脱を頻繁に行なうため、押出し棒の着脱に時間を要し、作業効率が低下している。
また、押出し棒の内側端が例えば偏芯シリンダ等の押出し装置に接触しており、偏芯量が大きくストローク量が大きい為に、摩耗が激しいという問題がある。
【００１６】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、刃物取付台のナイフシリンダへの位置決め及び固定を迅速に行なうことを目的とする。特に、段ボール製函機の手穴加工のように、小型の刃物取付台の位置決め及び固定を迅速に行なうことによって、打抜き加工の運転効率を向上させることを第１の目的とする。
また、押出し装置に接触する押出し部材の内側端の摩耗を低減することを第２の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１７】
かかる目的を達成するため、本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置は、
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、
ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、
刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着後第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、
ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を打抜き刃から押し出すように構成すると共に、
刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、
第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したものである。
【００１８】
本発明装置では、前記移動装置により刃物取付台をナイフシリンダ上で長手軸方向に移動させ、前記固定装置により刃物取付台をナイフシリンダ上の所望に位置に固定する。そのため、刃物取付台を従来のように複数のボルトで固定する必要がなくなり、刃物取付台の着脱時間を短縮できる。
また、本発明装置では、第１の押出し部材を予めナイフシリンダに設けられた実質的に全部の第１の貫通孔に装着しておく。一方、第２の押出し部材も予め刃物取付台に装着されているので、刃物取付台の着脱に要する時間のうち、第１の押出し部材及び第２の押出し部材の取り付け及び取り外し作業を削減できるので、刃物取付台の着脱時間を大幅に低減できる。
【００１９】
また、刃物取付台の装着後第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにしているので、刃物取付台がナイフシリンダ上を移動する時、第２の押出し部材が刃物取付台の移動を妨げない。
また、第２の貫通孔の内側開口が位置する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができ、刃物取付台のナイフシリンダへの据付時間を短縮できる。
【００２０】
なお、本発明装置において、前記押出し装置は、例えば、ナイフシリンダと共に回転し、ナイフシリンダの回転中心に対して偏芯した回転中心をもち外周面が円筒状の偏芯回転体であるか、又はナイフシリンダの回転中心にカム軸を有するカムであり、該偏芯回転体又はカムで第１の押出し部材をナイフシリンダ側に押し出すように構成される。
【００２１】
本発明装置において、一端が刃物取付台の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、第２の押出し部材の内側端を刃物取付台の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成するとよい。
【００２２】
これによって、簡単な構成で打抜き屑の確実な押し出しを可能にすると共に、押出しレバーの軸支点から挿入端までの距離と、該軸支点から第２の押出し部材の取付位置までの距離を調節することによって、第２の押出し部材によって押出しレバーに付加される押出力及び押出しレバー挿入端の押出しストロークを調節できる。
また、前記保持具を設けたことにより、第２の押出し部材の内側端がナイフシリンダの外周面より内側に突出しないので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができる。
なお、前記保持具は、例えば第２の押出し部材に弾性力を付勢するようにしたバネ部材で構成するとよい。
【００２３】
本発明装置において、前記凹溝の内面に柔軟材を被覆し、該凹溝内面と第１の押出し部材との衝突時に発生する騒音を低減するように構成するとよい。
【００２４】
本発明装置において、第１の押出し部材の押出し装置に接する内側端、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端若しくは第２の押出し部材の内側端の少なくとも一方を無給油潤滑性の樹脂又は耐摩耗性材料で構成するとよい。これによって、第１の押出し部材の内側端若しくは外側端、又は第２の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
例えば、自己潤滑性樹脂として、例えばポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、キャストナイロン等のいわゆるエンジニアリングプラスチックと呼ばれる低摩擦係数をもつ自己潤滑性樹脂を用いるとよい。
【００２５】
本発明装置において、第１の押出し部材と押出し装置との間、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端と第２の押出し部材の内側端との間に摩擦低減用回転体を介在させるとよい。これによって、第２の押出し部材が刃物取付台と共に移動する際に、第１の押出し部材と第２の押出し部材との引っ掛かりを低減でき、かつ第１の押出し部材の内側端又は外側端、及び第２の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２６】
本発明装置において、前記押出し装置が、前述の偏芯回転体又はカムである場合、該偏芯回転体のナイフシリンダ中心に対する偏心量又は該カムによる押出し量を低減することにより、第１の押出し部材の偏芯回転体又はカムとの当接面の摩耗量を低減するように構成するとよい。この簡単な手段によって、第１の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２７】
本発明装置において、第１の押出し部材の押出し装置との当接面の面積を増大させることにより、該当接面に加わる単位面積当りの負荷を軽減し、該当接面の摩耗量を低減するように構成するとよい。この簡単な手段によって、第１の押出し部材の内側端の摩耗を低減できる。
【００２８】
本発明装置において、第２の押出し部材が刃物取付台の移動方向に延設された長尺体で構成され、該長尺体が第１の押出し部材と接する始端部を面取り形状、円弧状もしくは逆円弧状に形成するか、又は該長尺体の下辺全体を円弧状に形成するとよい。これによって、第１の押出し部材と第２の押出し部材との引っ掛かりを低減できる。
【００２９】
本発明装置において、第１の押出し部材の内側端又は外側端を球面形状又は円錐形状とするとよい。これによって、第１の押出し部材の内側端の磨耗を低減できるか、あるいは第１の押出し部材の外側端が第２の押出し部材に接触したとき、引っ掛かりを防止できる。
【００３０】
本発明装置において、第１の押出し部材が、第２の押出し部材と対面するナイフシリンダ外周面に長手軸方向に凹溝を刻設し、該凹溝に第２の押出し部材の滑り平面を形成する長尺体を埋設してなるように構成するとよい。これによって、刃物取付台がナイフシリンダ上を移動する時に、第２の押出し部材が第１の押出し部材の該滑り平面に接してスムーズに移動でき、第２の押出し部材が第１の押出し部材から脱落するのを防止できる。
【００３１】
本発明装置において、第１の押出し部材又は第２の押出し部材を第１の貫通孔又は第２の貫通孔に移動自在に保持する保持装置を設けるとよい。これによって、第１の押出し部材又は第２の押出し部材が刃物取付台から脱落するのを防止でき、刃物取付台の着脱をスムーズに行なうことができる。
【００３２】
また、本発明の刃物取付台は、
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、
該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、
ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、
該第２の押出し部材で打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したものである。
【００３３】
本発明の刃物取付台は、前記構成を有することにより、前記本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置に用いられて、ナイフシリンダ上への据付時に、前記凹溝をもうけたことにより、ナイフシリンダ上で軸方向への移動をスムーズに行なうことができるので、ナイフシリンダへの据付時間を短縮できる。
【００３４】
本発明の刃物取付台において、一端が刃物取付台本体の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、第２の押出し部材の内側端を刃物取付台本体の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成するとよい。
【００３５】
これによって、打抜き屑の押出し機構を簡素化できると共に、押出しレバーの軸支点から挿入端までの距離と、該軸支点から第２の押出し部材の取付位置までの距離を調節することによって、第２の押出し部材によって押出しレバーに付加される押出力及び押出しレバー挿入端の押出しストロークを調節できる。
また、前記保持具を設けたことにより、第２の押出し部材の内側端がナイフシリンダの外周面より内側に突出しないので、刃物取付台のナイフシリンダ上での移動をスムーズに行なうことができる。
【発明の効果】
【００３６】
本発明のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置によれば、ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着時に第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すように構成すると共に、刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したことにより、刃物取付台のナイフシリンダへの位置決め及び固定を迅速に行なうことができ、打抜き加工準備時間を短縮して、ロータリダイカッタの運転効率を向上できる。
特に、段ボール製函機の手穴加工のように、小型の刃物取付台の位置決め及び固定を迅速に行なうことができ、打抜き加工の運転効率を向上できる。
【００３７】
本発明の刃物取付台によれば、ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、該第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したことにより、前記本発明装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明装置の第１実施形態に係るロータリダイカッタの正面図である。
【図２】前記第１実施形態に係る刃物取付台１８の斜視図である。
【図３】図２中のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【図４】本発明装置の第２実施形態の説明図である。
【図５】本発明装置の第３実施形態の斜視図である。
【図６】本発明装置の第４実施形態の斜視図である。
【図７】本発明装置の第５実施形態の縦断正図である。
【図８】本発明装置の第６実施形態の斜視図である。
【図９】従来のロータリダイカッタの横断側面図である。
【図１０】図９のロータリダイカッタの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【００４０】
（実施形態１）
本発明装置の第１実施形態に係るロータリダイカッタの刃物取付台据付装置を図１〜図３に基づいて説明する。本実施形態に係るロータリダイカッタは、段ボール製函機のフレキソ印刷部とフォルディング部との間に設けられるダイカット部に配置され、製函中の段ボールシートの手穴加工を行なうものである。
【００４１】
図１において、本実施形態に係るロータリダイカッタ１０は、フロアＦに立設された駆動側支持フレーム１２と操作側支持フレーム１４との間でナイフシリンダ１６が回動可能に架設されている。ナイフシリンダ１６の上方には、駆動側支持フレーム１２と操作側支持フレーム１４との間に、図示省略のアンビルシリンダが回転可能に支持されている。ナイフシリンダ１６と該アンビルシリンダとが互いに逆方向に回転し、両シリンダ間に挿入される平板状の段ボールシートを回転方向に搬送しながら手穴加工を行なう。
【００４２】
ナイフシリンダ１６の外周面には、左右の領域に夫々１台ずつ環状の刃物取付台１８が設けられ、該刃物取付台１８は、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に摺動自在に嵌合されている。図２及び図３に示すように、刃物取付台１８には打抜き刃２０が埋設された木型２２が装着されている。
また、ナイフシリンダ１６の両端付近に夫々1台ずつ環状の送りバンド２４が設けられ、該送りバンド２４は、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に摺動自在に嵌合されている。送りバンド２４は、ナイフシリンダ１６の両端付近で、搬送される段ボールシートの両端をアンビルシリンダと挟持して段ボールシートの送りを円滑にする。駆動側支持フレーム１２の外側にはナイフシリンダ１６を回転する図示省略の駆動モータが設けられている。
【００４３】
ナイフシリンダ１６の下方には、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動させかつ設定位置で固定する移動固定装置３０が設けられている。以下、この移動固定装置３０の構成を説明する。図１において、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に２本のネジ軸３２及び３４が直列に配置されている。
ネジ軸３２は駆動側支持フレーム１２及び中央フレーム２６間に架設され、転がり軸受２８によって回転可能に支持されている。ネジ軸３２の軸部３２ａは、駆動側支持フレーム１２の外側に延設され、一対の伝達歯車３６を介して移動用モータ３８の出力軸に接続されている。
ネジ軸３４は、操作側支持フレーム１４及び中央フレーム２６間に架設され、転がり軸受２８によって回転可能に支持されている。ネジ軸３４の軸部３４ａは、一対の伝達歯車３９を介して移動用モータ４０の出力軸に接続されている。
【００４４】
ネジ軸３２及び３４には、ナット４４がその内面に形成されたメネジ部で螺合している。ナット４４は、ネジ軸３２，３４の回動によってナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動する。ナット４４にはヨーク部材４２が固設され、該ヨーク部材４２の先端が刃物取付台１８の図示省略の凹部に係止している。そのため、ナット４４の移動に連動して刃物取付台１８がナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動する。
【００４５】
送りバンド２４には連結フレーム４６が一体に形成され、該連結フレーム４６は移動台４８に連結されている。移動台４８は、ステイ５０の上面に一体形成されたレール５２に摺動自在に支持されている。移動台４８にはエアシリンダ５４が装着されている。エアシリンダ５４のピストン５６が下方に伸長したときは、ピストン５６の下端がステイ５０の上面に圧接して移動台４８がその位置に固定される。
ネジ軸３２又は３４を回転させ、夫々のネジねじ軸に螺合した刃物取付台１８を移動させ、刃物取付台１８を送りバンド２４に隣接させたとき、ピストン５６を上方へ伸長させ、ピストン５６をナット４４の係合部５８に設けられた凹部に挿入することにより、刃物取付台１８と送りバンド２４とを合体させることができる。
【００４６】
かかる構成により、ネジ軸３２又は３４を回転させることにより、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の長手軸方向に移動させ、所望位置で刃物取付台１８を固定させることができる。また、段ボールシートの紙幅に応じて送りバンド２４を段ボールシートの両端に移動させるときは、まず、刃物取付台１８を送りバンド２４に向けて移動させ、送りバンド２４に隣接させる。そして、エアシリンダ５４を作動させてピストン５６を上方に伸長させ、ピストン５６をナット４４と合体させる。
【００４７】
次に、刃物取付台１８を移動させ、送りバンド２４をナイフシリンダ１６の軸方向の所望位置に移動させ、送りバンド２４が所望位置に到達したら、エアシリンダ５４のピストン５６を下方へ伸長し、ピストン５６をナット４４と切り離すと共に、ピストン５６をステイ５０の上面に圧接して、送りバンド２４を該位置に固定する。
次に、送りバンド２４を該固定位置に残し、刃物取付台１８を設定位置に移動させ、該設定位置でネジ軸３２及び３４の回動をロックさせることで、刃物取付台１８を該設定位置で固定する。
【００４８】
本実施形態によれば、直列に配置した２本のネジ軸３２及び３４によって刃物取付台１８及び送りバンド２４の双方を夫々所望の位置に位置決めし、該位置で固定できるので、送りバンド２４用の移動装置が不要になり、装置構成を簡素化できる。
また、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への位置決め及び固定を迅速にでき、打抜き加工に要する時間を短縮できる。
【００４９】
次に、本実施形態の刃物取付台１８の構成を図２及び図３に基づいて説明する。図２及び図３において、刃物取付台１８の内周面は、該内周面がナイフシリンダ１６の外周面１６ａに密着するように、該外周面１６ａ同一の曲率を有する。刃物取付台１８には、木型２２を装着するための開口６０が穿設されている。刃物取付台１８の円周方向に位置する開口６０の端面は、外側に向かって縮径される逆傾斜面６０ａと直立面６０ｂとで構成されている。
一方、該開口端面に対面する木型２２の端面６２は、該逆傾斜面６０ａと同一傾斜角度をなして対面する順傾斜面６２ａと該直立面６０ｂと対面する直立面６２ｂとからなる。
【００５０】
木型２２には、段ボールシートに手穴加工を行なう楕円形の打抜き刃２０が埋設され、打抜き刃２０の外側先端が木型２２の外表面から突出して、段ボールシートを打抜くようになっている。木型２２の外表面には樹脂製の押出しレバー６６が装着されている。押出しレバー６６は、木型２２の外表面に設けられたヒンジ部６８を中心に回動可能に枢支されている。押出しレバー６６の先端には打抜き屑を押し出す樹脂製の押出部７０が押出しレバー６６と一体に形成されている。
打抜き刃２０の側面には開孔２０ａが穿設され、押出しレバー６６が開孔２０ａから打抜き刃２０の内部に挿入され、打抜き刃２０の内部に押出部７０が配置されている。
【００５１】
中空のナイフシリンダ１６の中心には、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に偏芯シリンダ７２が設けられている。偏芯シリンダ７２は、ナイフシリンダ１６の回転中心に対して偏芯した位置に回転中心をもち、ナイフシリンダ１６の回転によって偏芯シリンダ７２がナイフシリンダ１６の半径方向に移動し、後述する第１の押出しピン７４をナイフシリンダ１６の半径方向に押出すようになっている。
【００５２】
図３に示すように、ナイフシリンダ１６には、その外周面１６ａの略全領域に設定された間隔で多数の第１の貫通孔７６が穿設されている。そして実質的にすべての第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が予め装着されている。第１の貫通孔７６は、例えば５０ｍｍ間隔で設けられ、各種形状の刃物取付台に対応可能になっている。第１の押出し棒７４は円筒形状をなし、下端部に他の円筒部分より拡径された拡径部７４ａが形成されている。
【００５３】
第１の貫通孔７６の外側開口に中空な円筒形状のネジ止め７８が装着されている。ネジ止め７８は、中心部に第１の押出しピン７４が摺動自在な貫通孔が設けられ、ネジ止め７８の外周面はねじ切りされ、第１の貫通孔７６に形成されたネジ孔に螺着されている。これによって、拡径部７４ａをネジ止め７８に係止させて、第１の押出しピン７４が第１の貫通孔７６が該外側開口から抜け出すのを防止している。
【００５４】
刃物取付台１８には、第１の貫通孔７６の外側開口に対面する位置に半径方向に向けて複数の第２の貫通孔８０が穿設されている。押出しレバー６６の裏面には、第２の貫通孔８０に挿入される第２の押出し部材８２が固着されている。図２に示すように、第２の押出し部材８２は、ナイフシリンダ１６の軸方向に長辺を配置された長尺状板体をなし、前述の自己潤滑性樹脂で構成されている。従って、第２の貫通孔８０も該第２の押出し部材８２を収容可能なようにナイフシリンダ１６の軸方向に長辺を有する形状をなしている。
【００５５】
また、押出しレバー６６の裏面には、コイルバネ８４が取り付けられ、コイルバネ８４は、木型２２の外周面２２ａに刻設された円筒形状の凹部８６に収容されている。コイルバネ８４の弾性力によって、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への装着後第２の押出し棒８２の内側端８２ａが木型２２の下面２２ｂより下方に出ないように、かつ押出しレバー６６の先端に一体形成された押出部７０が打抜き刃２０の先端より若干上方に出るように調整されている。
【００５６】
偏芯シリンダ７２は、例えば偏芯シリンダ７２の中心軸をナイフシリンダ１６の中心軸から上下方向に１０ｍｍずらすことにより、偏芯シリンダ７２の偏芯ストロークを２０ｍｍにすることができる。
【００５７】
刃物取付台１８には、コイルバネ８８を介して固定用ストッパ９０がナイフシリンダ１６上を円周方向に摺動可能に装着されている。木型２２の端面６２に対面する固定用ストッパ９０の端面９１は、順傾斜面６２ａと同一傾斜角度をなして対面する逆傾斜面９１ａと直立面９１ｂとからなる。開口６０の逆傾斜面６０ａと固定用ストッパ９０の逆傾斜面９１ａとで木型２２を挟持固定する。
【００５８】
固定用ストッパ９０の操作索９２の一端が固定用ストッパ９０に結合され、操作索９２の他端がクランプ９４に結合されている。固定用ストッパ９０は、コイルバネ８８の弾性力により木型２２側に圧接する方向に付勢されているが、木型２２の着脱時にはクランプ９４を矢印ｃ方向に倒すことにより、固定用ストッパ９０を木型２２から離し、木型２２の固定を解除する。
図２に示すように、固定用ストッパ９０の両側にはレール９６が刃物取付台１８に固着され、固定用ストッパ９０のナイフシリンダ円周方向への移動をガイドしている。
【００５９】
刃物取付台１８及び木型２２において、第２の貫通孔８０の内側開口には、ナイフシリンダ１６の長手軸方向に断面が長方形の凹溝９８が穿設されている。凹溝９８の横幅は、第２の貫通孔８０の横幅より大きく形成され、第１の押出し棒７４が第１の貫通孔７６の外側開口より上方に突出したときに、接触しない程度の寸法をもつ。
また、例えば、偏芯シリンダ７２の偏芯ストロークが２０ｍｍであり、第１の押出し棒７４が第１の貫通孔７６の外側開口より上方に突出する最大量が３ｍｍである場合には、凹溝９８の深さをその２倍の６ｍｍとしている。
凹溝９８の第１の押出し棒７４と対面する内面に、ゴム板１００を貼り付け、万一第１の押出しピン棒が該内面に衝突しても衝撃を緩和し、衝突による騒音を低減できるようにしている。
【００６０】
本実施形態の刃物取付台１８では、木型２２を装着する場合に、クランプ９４を矢印ｃ方向に倒して開口６０を広げ、その状態で木型２２を開口６０に挿入する。次に、クランプ９４を矢印ｄ方向に戻すことにより、コイルバネ８８の弾性力により木型２２の端面に開口６０の端面を圧接して、木型２２を両側から締め付け固定できる。このように、木型２２を刃物取付台１８にワンタッチで固定できる。
【００６１】
木型２２を刃物取付台１８に装着した後、前述の手順で刃物取付台１８をナイフシリンダ１６の軸方向の所定の位置に移動させ、そこで固定する。刃物取付台１８の内周面には凹溝９８が穿設されているので、第１の押出し棒７４がナイフシリンダ１６の外周面から突出していても刃物取付台１８の内周面が第１の押出し棒７４に当らないので、刃物取付台１８のナイフシリンダ長手軸方向（矢印ｂ方向）への移動を円滑に行なうことができる。従って、刃物取付台１８の位置決め及びナイフシリンダ１６への固定を迅速に行なうことができるので、ロータリダイカッタ１０の休止時間を低減して運転効率を向上できる。
【００６２】
製函機の運転時には、図示省略のアンビルシリンダとナイフシリンダ１６との間に段ボールシートを通し、打抜き刃２０で段ボールシートの所定箇所を打抜いて手穴加工を行なう。打抜き加工後、打抜き屑ａが打抜き刃２０の内側領域６４に挟持された状態で残留する。打抜き加工後、偏芯シリンダ７２がナイフシリンダ１６の半径方向外側に出てきて、第１の押出し棒７４の内側端を押し出す。これによって、第１の押出し棒７４が第２の押出し体８２に当接して、第２の押出し部材８２を外方へ押し出すので、押出しレバー６６の押出部７０が刃物取付台１８の外側方向に押し出されて、打抜き屑ａを打抜き刃２０から押し出す。この場合、押出部７０の移動ストロークは、開孔２０ａの開口幅で規制される。
【００６３】
このように、打抜き屑ａは設定された押出しタイミングで押し出されるので、押し出された打抜き屑ａがロータリダイカッタ１０の周囲に散ばることなく、図示省略の排出容器に精度良く収納される。
【００６４】
本実施形態によれば、コイルバネ８４の弾性力により、刃物取付台１８をナイフシリンダ１６に装着後、第２の押出し部材８２がナイフシリンダ１６の外周面より内側に突出しなように位置に保持されているので、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６上での移動を妨げない。また、凹溝９８を設けたことにより、たとえ第１の押出し棒７４がナイフシリンダ１６の外周面から突出した場合でも、刃物取付台１８の移動を妨げないので、刃物取付台１８のナイフシリンダ１６への据付を迅速にできる。
また、コイルバネ８４の弾性力により第２の押出し棒３６が常に刃物取付台１８のない周面から突出しないので、刃物取付台１８の移動をスムーズに行なうことができる。
【００６５】
また、予め略全部の第１の貫通孔７６に第１の押出し棒７４が装着され、また、第２の貫通孔８０にも予め第２の押出し部材８２が装着されているので、刃物取付台１８の着脱時に第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２の取付け又は取り外し作業を要しない。従って、刃物取付台１８の着脱に要する時間を大幅に低減できる。
【００６６】
また、第１の貫通孔７６の外側開口にネジ止め７８を設け、ネジ止め７８によって第１の押出し棒７４の拡径部７４ａを係止可能に構成しているので、第１の押出し棒７４の抜け止めを確実に防止できる。
また、第１の押出し棒７４と対面する凹溝９８の内面にゴム膜１００を貼設しているので、万一第１の押出しピン７４が該内面に衝突した場合でも、その衝撃を緩和して衝突音を低減できる。
【００６７】
また、第２の押出し部材８２を低摩擦係数をもつ自己潤滑性樹脂で構成しているので、第２の押出し部材８２の摩耗を低減できる。なお、第１の押出し棒７４も自己潤滑性樹脂で構成すれば、第１の押出し棒７４の偏芯シリンダ７２と接する内側端及び第２の押出し体８２と接する外側端の摩耗を低減できる。
また、第１の押出し棒７４の内側端を拡径部７４ａで構成しているので、偏芯シリンダ７２によって該拡径部７４ａに負荷される単位面積当りの荷重を低減でき、そのため、該内側端の摩耗を低減できる。
なお、偏芯シリンダ７２のナイフシリンダ１６の回転中心に対する偏芯量を低減することにより、第１の押出し棒７４の内側端の摩耗を低減するようにしてもよい。
【００６８】
さらに、第２の押出し部材８２をナイフシリンダ１６の軸方向側に長辺を有する板状体で構成しているので、第１の押出し棒７４の設置位置が第２の押出し部材８２に対してナイフシリンダ１６の軸方向に多少のズレが生じても、第１の押出し棒７４と第２の押出し部材８２との突き合わせを確実に行なわせることができる。また、刃物取付台１８の移動中第２の押出し部材８２と第１の押出し棒７４との突き合わせ状態を維持して刃物取付台１８の移動を容易にできる。
【００６９】
（実施形態２）
次に、本発明装置の第２実施形態を図４により説明する。図４は、第１実施形態の第２の押出し体８２の変形例を示す。図４（ａ）〜（ｄ）に図示する第２の押出し部材は、第１実施形態の第２の押出し部材８２と同様に刃物取付台１８の据付時の移動方向（矢印ｂ方向）に沿って長辺を配置した板状体からなる各例を示している。
このうち、図４（ａ）は、第２の押出し部材１０２の角部に斜めの面取り部１０２ａを形成することにより、刃物取付台１８の移動時、第２の押出し部材８２と第１の押出し棒７４との接触時に引っ掛かりを解消するようにしたものである。
【００７０】
図４（ｂ）に図示された長尺板状の第２の押出し部材１０４は、同様の目的で円弧状の隅部１０４ａを形成したものである。
図４（ｃ）に図示された長尺板状の第２の押出し部材１０６は、長尺体の角部を逆円弧状隅部１０６ａを形成したものである。これによって、第２の押出し部材１０６と第１の押出し棒７４との接触時に引っ掛かりを無くすことができる。
図４（ｄ）に図示された第２の押出し部材１０８は、長辺が半楕円形端面１０８ａを有するものであり、同様に、第１の押出しピン７４との接触時に引っ掛かりを無くすことができる。
【００７１】
（実施形態３）
次に、本発明装置の第３実施形態を図５により説明する。本実施形態は第１の押出し棒７４の変形例である。図５（ａ）は、円筒状の第１の押出し棒１１０の外側端を球面形状１１０ａとしたものであり、これによって第２の押出し部材８２との接触時に引っ掛かりを無くし、第２の押出し部材との突き合わせ時の摩耗を低減できるようにしたものである。
図５（ｂ）は、第１の押出し棒１１２の先端にテーパ状（円錐状）の面取り部１１２ａを形成することにより、第２の押出し部材との引っ掛かりを無くすようにしたものである。
【００７２】
図５（ｃ）は、第１の押出し棒１１４の外側端をテーパ状の面取り部１１４ａを形成し、さらに面取り部１１４ａの先端に凹部を形成し、該凹部に球状の対摩耗性材料からなるボール１１６を回転可能に嵌合させたものである。これによって、第１の押出し棒１１４と第２の押出し部材との突き合わせ時に、ボール１１６が回転することによって、第１の押出し棒１１４と第２の押出し部材との引っ掛かりを無くし、かつ第１の押出し棒１１４の外側端の摩擦を低減できる。
なお、第１の押出し棒の内側端に図５（ａ）〜（ｃ）の各変形例を適用することによって、第１の押出し棒の摩耗を低減できる。
【００７３】
（実施形態４）
次に、本発明装置の第４実施形態を図６により説明する。本実施形態は第１の押出し棒７４のさらなる変形例を示す。図６において、ナイフシリンダ１６の上部に長手軸方向に長尺の凹溝１１８を設け、該凹溝１１８に長尺状の直方体からなる第１の押出し部材１２０を嵌合固定させている。第１の押出し部材１２０の上面は、第２の押出し部材との突き合わせ時に第２の押出し部材が接触する滑り平面を形成している。一方、第１の押出し部材は棒状をなす第２の押出し棒１２１で構成されている。
刃物取付台１８の据付時、第２の押出し棒１２１の内側端は第１の押出し部材１２０の上面に接しながら矢印ｂ方向に移動する。そのため、第２の押出し棒１２１が第１の押出し部材１２０から脱落することがなく、刃物取付台１８の移動をスムーズに行なうことができる。また、第１の押出し部材１２０の加工が容易になる。
【００７４】
（実施形態５）
次に、本発明装置の第５実施形態を図７により説明する。本実施形態は第１の貫通孔７６に挿入された第１の押出し棒７４の別な抜け止め防止手段を示す。図７において、第１の貫通孔７６の外側開口に縮径部１２４を設ける。一方、円筒形状の第１の押出し棒１２２の下端部付近に、第１の押出し棒１２２の外径より小さい内径をもつゴムリング１２６を拡径させた状態で嵌合させる。ゴムリング１２６はそれ自体の弾性力によって円筒状の第１の押出し棒１２２に固く締め付け固定される。
【００７５】
ゴムリング１２６の外径は第１の貫通孔７６の内径より小さく、第１の押出し棒１２２は第１の貫通孔７６の内部で移動自在である。また、ゴムリング１２６の外径は縮径部１２４の開口より大であるので、第２の押出し棒１２２が縮径部１２４から外部に抜け出ることはない。このように、第１の押出し棒１２２の抜け止めを簡単な手段で防止できる。
【００７６】
（実施形態６）
次に、本発明装置の第６実施形態を図８により説明する。本実施形態は第１の貫通孔７６に挿入された第１の押出し棒７４のさらに別な抜け止め防止手段を示す。図８において、この例は、第１の貫通孔７６に縮径部を設けず、円筒形状の第１の押出し棒１２８の下端部に、小径部１２８を設けている。該小径部１２８に水平方向に貫通孔１３０を穿設し、該貫通孔１３０にゴム棒１３２が圧入されている。ゴム棒１３２の寸法は第１の貫通孔７６の内径より大きいため、ゴム棒１３２の両端が第１の貫通孔７６の内壁に密着され、ゴム棒１３２の弾性力により、第１の押出し棒７４は第１の貫通孔７６に固定される。
【００７７】
第１の押出し棒１２８を第１の貫通孔７６から取り出す時は、第１の押出し棒１２８が偏心シリンダ７２で押し出されて、第１の押出し棒１２８の頭部が第１の貫通孔７６から出たところで、作業員が手で引き抜くようにする。
こうして、本実施形態によれば、第１の貫通孔７６に縮径部がないため、第１の押出し棒１２８の引き抜きが容易になると共に、第１の押出し棒１２８をゴム棒１３２で第１の貫通孔７６に強固に固定できる。
【００７８】
なお、前記第１実施形態では、第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２を自己潤滑性樹脂で構成することにより、その摩耗を低減しているが、第１の押出し棒７４及び第２の押出し部材８２を他の耐摩耗性材料で構成してもよい。
例えば、第１の押出しピン７４及び第２の押出しピン８２の構成材料として、キャストナイロン（三ッ星ベルト株式会社商品名）等のナイロン樹脂、ジュラコン（ポリプラスチック株式会社商品名）等の耐摩耗性樹脂、りん青銅合金鋳物等の銅合金、炭素系材料、鋳鉄等の鉄系材料等を使用できる。
【産業上の利用可能性】
【００７９】
本発明によれば、ロータリダイカッタで打抜き加工を行なう場合に、刃物取付台のナイフシリンダへの据付を迅速にできるため、打抜き加工の運転効率を向上できる。
【符号の説明】
【００８０】
１０，２００ ロータリダイカッタ
１６ ナイフシリンダ
１８ 刃物取付台
２０ 打抜き刃
２０ａ 打抜き刃開孔
２２ 木型
３０ 移動固定装置
６６ 押出しレバー
７０ 押出部
７２ 偏心シリンダ（押出し装置）
７４，１２２，１２８ 第１の押出し棒
７６ 第１の貫通孔
７８ ネジ止め（抜け出し防止手段）
８０ 第２の貫通孔
８２ 第２の押出し部材
８４ コイルバネ
９８ 凹溝
１００ ゴム板（柔軟材）
１０２ａ 面取り部
１０４ａ 円弧状の隅部
１０６ａ 逆円弧状隅部
１０８ａ 半楕円形端面
１１０ａ 球面形状
１１６ ボール（摩擦低減用回転体）
１２０ 第１の押出し部材
１２６ ゴムリング（保持装置）
１３２ ゴム棒
２０２ アンビルシリンダ
ａ 打抜き屑
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、
ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、
刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着時に第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、
ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すように構成すると共に、
刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、
第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したことを特徴とするロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項２】
一端が刃物取付台の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、
第２の押出し部材の内側端を刃物取付台の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成したことを特徴とする請求項１に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項３】
前記凹溝の内面に柔軟材を被覆し、該凹溝内面と第１の押出し部材との衝突時に発生する騒音を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項４】
第１の押出し部材の前記押出し装置に接する内側端、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端若しくは第２の押出し部材の内側端の少なくとも一方を無給油潤滑性の樹脂又は耐摩耗性材料で構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項５】
第１の押出し部材と前記押出し装置との間、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端と第２の押出し部材の内側端との間に摩擦低減用回転体を介在させたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項６】
前記押出し装置が、前記ナイフシリンダと共に回転し、該ナイフシリンダの回転中心に対して偏芯した回転中心をもち外周面が円筒状の偏芯回転体であるか、又はナイフシリンダの回転中心にカム軸を有するカムであり、該偏芯回転体又はカムで第１の押出し部材をナイフシリンダ側に押し出すように構成し、
前記偏芯回転体のナイフシリンダ中心に対する偏心量又は前記カムによる押出し量を低減することにより、前記第１の押出し部材の前記偏芯回転体又はカムとの当接面の摩耗量を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項７】
第１の押出し部材の前記押出し装置との当接面の面積を増大させることにより、該当接面に加わる単位面積当りの負荷を軽減し、該当接面の摩耗量を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項８】
第２の押出し部材が刃物取付台の移動方向に延設された長尺体で構成され、該長尺体が第１の押出し部材と接する始端部を面取り形状、円弧状もしくは逆円弧状に形成するか、又は該長尺体の下辺全体を円弧状に形成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項９】
第１の押出し部材の内側端又は外側端を球面形状又は円錐形状としたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１０】
第１の押出し部材が、第２の押出し部材と対面するナイフシリンダ外周面に長手軸方向に凹溝を刻設し、該凹溝に第２の押出し部材の滑り平面を形成する長尺体を埋設してなることを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１１】
第１の押出し部材又は第２の押出し部材を第１の貫通孔又は第２の貫通孔に移動自在に保持する保持装置を設けたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１２】
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、
該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、
ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、
該第２の押出し部材で打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したことを特徴とするロータリダイカッタの刃物取付台。
【請求項１３】
一端が刃物取付台本体の表面に回動可能に軸支され、他端が前記打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを前記第２の押出し部材の外側端に固設し、
第２の押出し部材の内側端を刃物取付台本体の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成したことを特徴とする請求項１２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台。
【請求項１】
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状断面の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行うロータリダイカッタの刃物取付台据付装置において、
ナイフシリンダの外壁に穿設された複数の第１の貫通孔に夫々第１の押出し部材を移動自在に装着し、
刃物取付台の該第１の貫通孔と対面する位置に穿設された第２の貫通孔に第２の押出し部材を移動自在に装着して、該第２の押出し部材を第１の押出し部材と突き合せ可能にし、刃物取付台の装着時に第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より下方に突出しないようにし、
ナイフシリンダの内部に打抜き屑の押出し時に第１の押出し部材を外方に押し出す押出し装置を設け、該押出し装置により押し出される第２の押出し部材で前記打抜き刃に残留した打抜き屑を押し出すように構成すると共に、
刃物取付台をナイフシリンダ上でナイフシリンダの長手軸方向に移動させる移動装置と、該刃物取付台をナイフシリンダ上に固定する固定装置とを備え、
第１の押出し部材と対面する刃物取付台の内側面にナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝を設け、該刃物取付台の移動時に第１の押出し部材が刃物取付台に当らないように構成したことを特徴とするロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項２】
一端が刃物取付台の表面に回動可能に軸支され、他端が打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを第２の押出し部材の外側端に固設し、
第２の押出し部材の内側端を刃物取付台の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成したことを特徴とする請求項１に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項３】
前記凹溝の内面に柔軟材を被覆し、該凹溝内面と第１の押出し部材との衝突時に発生する騒音を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項４】
第１の押出し部材の前記押出し装置に接する内側端、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端若しくは第２の押出し部材の内側端の少なくとも一方を無給油潤滑性の樹脂又は耐摩耗性材料で構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項５】
第１の押出し部材と前記押出し装置との間、又は互いに接する第１の押出し部材の外側端と第２の押出し部材の内側端との間に摩擦低減用回転体を介在させたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項６】
前記押出し装置が、前記ナイフシリンダと共に回転し、該ナイフシリンダの回転中心に対して偏芯した回転中心をもち外周面が円筒状の偏芯回転体であるか、又はナイフシリンダの回転中心にカム軸を有するカムであり、該偏芯回転体又はカムで第１の押出し部材をナイフシリンダ側に押し出すように構成し、
前記偏芯回転体のナイフシリンダ中心に対する偏心量又は前記カムによる押出し量を低減することにより、前記第１の押出し部材の前記偏芯回転体又はカムとの当接面の摩耗量を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項７】
第１の押出し部材の前記押出し装置との当接面の面積を増大させることにより、該当接面に加わる単位面積当りの負荷を軽減し、該当接面の摩耗量を低減するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項８】
第２の押出し部材が刃物取付台の移動方向に延設された長尺体で構成され、該長尺体が第１の押出し部材と接する始端部を面取り形状、円弧状もしくは逆円弧状に形成するか、又は該長尺体の下辺全体を円弧状に形成したことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項９】
第１の押出し部材の内側端又は外側端を球面形状又は円錐形状としたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１０】
第１の押出し部材が、第２の押出し部材と対面するナイフシリンダ外周面に長手軸方向に凹溝を刻設し、該凹溝に第２の押出し部材の滑り平面を形成する長尺体を埋設してなることを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１１】
第１の押出し部材又は第２の押出し部材を第１の貫通孔又は第２の貫通孔に移動自在に保持する保持装置を設けたことを特徴とする請求項１又は２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台据付装置。
【請求項１２】
ナイフシリンダをアンビルシリンダに対設し、該ナイフシリンダの外周面に打抜き刃を装着した円弧状の刃物取付台を装着し、被加工シートをナイフシリンダとアンビルシリンダ間を通して打抜き加工を行い、
該打抜き刃に残留した打抜き屑を該打抜き刃の内側から外方へ押し出す押出し部材を備えたロータリダイカッタに用いられる前記刃物取付台において、
ナイフシリンダへの装着時にナイフシリンダの外壁に穿設された第１の貫通孔と対面する位置に穿設された複数の第２の貫通孔と、該複数の第２の貫通孔に移動自在に装着され該第１の貫通孔に装着された第１の押出し部材とナイフシリンダへの装着時に突き合わせ可能な複数の第２の押出し部材と、該第１の押出し部材と対面する刃物取付台本体の内側面に凹設されナイフシリンダの長手軸方向に指向された凹溝と、を備え、
該第２の押出し部材で打抜き屑を押し出すと共に、刃物取付台本体の移動時に該第２の押出し部材がナイフシリンダの外周面より外方に突出しても該刃物取付台本体に当らないように構成したことを特徴とするロータリダイカッタの刃物取付台。
【請求項１３】
一端が刃物取付台本体の表面に回動可能に軸支され、他端が前記打抜き刃に穿設された開孔を介して打抜き刃の内部に挿入され該挿入端で打抜き屑を押出すように構成された押出しレバーを前記第２の押出し部材の外側端に固設し、
第２の押出し部材の内側端を刃物取付台本体の装着後ナイフシリンダの外周面より内側に突出しない位置に保持する保持具を刃物取付台に設けると共に、該開孔で該押出しレバーの挿入端の移動ストロークを規制するように構成したことを特徴とする請求項１２に記載のロータリダイカッタの刃物取付台。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
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【図６】
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【図１０】
【公開番号】特開２０１１−３１３７３（Ｐ２０１１−３１３７３Ａ）
【公開日】平成２３年２月１７日（２０１１．２．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１８３０４４（Ｐ２００９−１８３０４４）
【出願日】平成２１年８月６日（２００９．８．６）
【出願人】（３１００１６５２２）三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月１７日（２０１１．２．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年８月６日（２００９．８．６）
【出願人】（３１００１６５２２）三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Ｆターム（参考）】
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