説明

ロータリースイッチ

【課題】部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できるロータリースイッチの接点構造を提供する。
【解決手段】ロータリースイッチ1の接点構造は、コンタクトホルダ2と、可動コンタクト103と、基板104とを備えており、本件発明の押圧手段が1つのコイルスプリング5から構成されている。このコイルスプリング5は、可動コンタクト103の上面103aから3つの下側突起131をまとめて押すように構成されている。このため、可動コンタクト103を固定コンタクト106に組み付けた際には、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106とが面接触した状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、車両の空調装置やシートヒータ等の操作に使用されるロータリースイッチの接点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の空調装置やシートヒータ等を操作するために、例えば、特許文献1に示すようなロータリースイッチが使用されている。
【0003】
図6は、従来のロータリースイッチ101の接点構造の縦断面図である。この接点構造は、コンタクトホルダ102と、可動コンタクト103と、基板104とを備えている。コンタクトホルダ102は、特許文献1の図2に示すように、操作つまみの下側にシャフトを介して取り付けられている。可動コンタクト103は、コンタクトホルダ102の下側にコイルスプリング105(押圧手段)を介して配置されている。この可動コンタクト103の下面には、3つの下側突起131が周方向に設けられている。各下側突起131の下面131aは平坦状に形成されている。
【0004】
一方、基板104は、可動コンタクト103の下側に配置されている。基板104の上面には、複数の固定コンタクト106が同心円状に設けられている。各固定コンタクト106は、特許文献1の図2の40に示すように同心円状に配置されている。各固定コンタクト106の上面106aは平坦状に形成されている。
【0005】
以上のように構成されているロータリースイッチ101の接点構造は、操作つまみの回転操作に連動して、コンタクトホルダ102が回転する。さらに、コンタクトホルダ102の回転に伴い、可動コンタクト103が、コイルスプリング105に押された状態で、基板104の上面を摺動しながら回転する。これにより、可動コンタクト103の各下側突起131が各固定コンタクト106に接触するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−127645号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のロータリースイッチ101の接点構造では、図7に示すように、コイルスプリング105が可動コンタクト103の上面103aにおいて、3つの下側突起131よりも内側の部分を押すように構成されている。このため、コイルスプリング105のばね力の強さによっては、部品の組み付けに際して、図8に示すように可動コンタクト103が下方へ湾曲して変形する。その結果、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106とが点接触してしまうので、接触抵抗が増加してしまう問題があった。
【0007】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できるロータリースイッチの接点構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造においては、前記押圧手段を、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲を押すように構成したことを特徴としている。
【0009】
また、本件発明の請求項2に記載のロータリースイッチの接点構造では、請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造において、前記押圧手段は、1つのコイルスプリングから構成され、このコイルスプリングは、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲をまとめて押すように構成されたことを特徴としている。
【0010】
また、本件発明の請求項3に記載のロータリースイッチの接点構造では、請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造において、複数のコイルスプリングから構成され、各コイルスプリングは、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲を個々に押すように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本件発明の請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造では、押圧手段を、可動コンタクトの上面側で、各下側突起からその外側近傍の範囲を押すように構成した。これにより、請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造では、部品の組み付けに際し、押圧手段によって可動コンタクトの下側突起よりも内側部分のみが押されることがない。その結果、可動コンタクトを固定コンタクトに組み付けた際には、可動コンタクトの各下側突起と各固定コンタクトとが面接触した状態になる。よって、請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造は、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できる。
【0012】
また、本件発明の請求項2に記載のロータリースイッチの接点構造では、本件発明の押圧手段を1つのコイルスプリングから構成し、このコイルスプリングを、可動コンタクトの上面側で、各下側突起からのその外側近傍の範囲をまとめて押すように構成した。したがって、請求項2に記載のロータリースイッチの接点構造では、部品点数を最小限に抑えて、可動コンタクトの各下側突起と各固定コンタクトとを面接触させることができる。よって、請求項2に記載のロータリースイッチの接点構造は、製造コストを抑えて、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できる。
【0013】
また、本件発明の請求項3に記載のロータリースイッチの接点構造では、本件発明の押圧手段を複数のコイルスプリングから構成し、各コイルスプリングを、可動コンタクトの上面側で、各下側突起からその外側近傍の範囲を個々に押すように構成した。したがって、請求項3に記載のロータリースイッチの接点構造では、可動コンタクトの各下側突起を各固定コンタクトにしっかり面接触させることができるので、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加をより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0015】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示すロータリースイッチ1の接点構造の模式縦断面図である。なお、本実施の形態において従来と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0016】
本実施の形態のロータリースイッチ1の接点構造は、従来と同様に、コンタクトホルダ2と、可動コンタクト103と、基板104とを備えている。そして、この接点構造では、本件発明の押圧手段が1つのコイルスプリング5から構成されている。
【0017】
図2に示すように、このコイルスプリング5は、可動コンタクト103の上面103aから3つの下側突起131をまとめて押すように構成されている。このため、可動コンタクト103を固定コンタクト106(図1参照)に組み付ける際に、従来のように、可動コンタクト103の3つの下側突起131の内側部分のみがコイルスプリング5によって押されることはない。
【0018】
したがって、可動コンタクト103を固定コンタクト106に組み付けた際には、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106とが面接触した状態になる。よって、本実施の形態のロータリースイッチ1の接点構造は、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できる。
【0019】
さらに、本実施の形態のロータリースイッチ1の接点構造は、本件発明の押圧手段を1つのコイルスプリング5から構成したことから、部品点数が最小限に抑えられるので、製造コストを抑えることもできる。
【0020】
第2の実施の形態:
図3は、本件発明の第2の実施の形態を示すロータリースイッチ10の接点構造の模式平面図である。なお、本実施の形態において従来と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0021】
本実施の形態では、本件発明の押圧手段が3つのコイルスプリング15から構成されている。各コイルスプリング15は、可動コンタクト103の上面103aから各下側突起131の真上を押すように構成されている。
【0022】
したがって、可動コンタクト103を固定コンタクト106(図1参照)に組み付けた際には、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106(図1参照)とが面接触した状態になる。
【0023】
ここで、各下側突起131に対するコイルスプリング15の押圧力は、第1の実施の形態に比べて大きくなるので、各下側突起131を各固定コンタクト106にしっかり面接触させることができる。よって、本実施の形態のロータリースイッチ10の接点構造は、第1の実施の形態で説明した接点構造に比べて、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加をより確実に防止できる。なお、一部のコイルスプリング15を、下側突起131の外側近傍を押すように配置しても良い。
【0024】
第3の実施の形態:
図4は、本件発明の第3の実施の形態を示すロータリースイッチ20の接点構造の模式平面図である。なお、本実施の形態において従来と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0025】
本実施の形態では、押圧手段が1つのコイルスプリング25から構成されている。このコイルスプリング25は、可動コンタクト103の上面103aから各下側突起131の外周側近傍をまとめて押すように構成されている。
【0026】
したがって、可動コンタクト103を固定コンタクト106(図1参照)に組み付けた際には、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106(図1参照)とが面接触した状態になる。よって、本実施の形態のロータリースイッチ20の接点構造は、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できる。
【0027】
さらに、本実施の形態のロータリースイッチ20の接点構造は、本件発明の押圧手段を1つのコイルスプリング25から構成したことから、部品点数が最小限に抑えられるので、製造コストを抑えることもできる。
【0028】
第4の実施の形態:
図5は、本件発明の第4の実施の形態を示すロータリースイッチ30の接点構造の模式平面図である。なお、本実施の形態において従来と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0029】
本実施の形態では、押圧手段が6つのコイルスプリング35から構成されている。各コイルスプリング35は、2つを一組として、可動コンタクト103の上面103aから各下側突起131の外周側近傍を押すように構成されている。
【0030】
したがって、可動コンタクト103を固定コンタクト106(図1参照)に組み付けた際には、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106とが面接触した状態になる。よって、本実施の形態のロータリースイッチ30の接点構造は、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加をより確実に防止できる。なお、一部のコイルスプリング35を、下側突起131の真上を押すように配置しても良い。
【0031】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、この実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0032】
例えば、図2や図4で説明したコイルスプリング5、25と可動コンタクト103との間に平板状の押圧部材を配置し、この押圧部材とコイルスプリングとから本件発明の押圧手段を構成しても良い。この場合には、押圧手段がコイルスプリングのみから構成された場合に比べて、可動コンタクト103が押圧部材によって安定して押される。これにより、可動コンタクト103の各下側突起131と各固定コンタクト106との接点圧が安定して確保されるので、ロータリースィッチの操作性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように本件発明のロータリースイッチの接点構造は、部品の組み付けに伴う接触抵抗の増加を防止できる。したがって、本件発明のロータリースイッチの接点構造を、その技術分野で十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本件発明の第1の実施の形態を示すロータリースイッチの接点構造の模式縦断面図である。
【図2】図1のロータリースイッチの接点構造の模式平面図である。
【図3】本件発明の第2の実施の形態を示すロータリースイッチの接点構造の模式平面図である。
【図4】本件発明の第3の実施の形態を示すロータリースイッチの接点構造の模式平面図である。
【図5】本件発明の第4の実施の形態を示すロータリースイッチの接点構造の模式平面図である。
【図6】従来のロータリースイッチの接点構造を示す模式縦断面図である。
【図7】図6のロータリースイッチの接点構造の模式平面図である。
【図8】図6において可動コンタクトが変形した状態を示す模式平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ロータリースイッチ
2 コンタクトホルダ
5 コイルスプリング
10 ロータリースイッチ
15 コイルスプリング
20 ロータリースイッチ
25 コイルスプリング
30 ロータリースイッチ
35 コイルスプリング
103 可動コンタクト
103a 上面
104 基板
106 固定コンタクト
131 下側突起
131a 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作つまみの回転操作に連動して回転するように構成されたコンタクトホルダと、このコンタクトホルダの下側に押圧手段を介して配置された可動コンタクトと、この可動コンタクトの下側に配置された基板とを備え、前記可動コンタクトの下面には、複数の下側突起が周方向に設けられ、各下側突起の下面が平坦状に形成され、前記基板の上面には、複数の固定コンタクトが同心円状に設けられ、各固定コンタクトの上面が平坦状に形成されている一方、前記可動コンタクトは、前記押圧手段に押された状態で、前記コンタクトホルダの回転に連動して前記基板の上面を摺動して回転することにより、当該可動コンタクトの各下側突起の下面が、各固定コンタクトの上面に接触するように構成されているロータリースイッチの接点構造において、
前記押圧手段を、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲を押すように構成したことを特徴とするロータリースイッチの接点構造。
【請求項2】
前記押圧手段は、1つのコイルスプリングから構成され、このコイルスプリングは、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲をまとめて押すように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造。
【請求項3】
前記押圧手段は、複数のコイルスプリングから構成され、各コイルスプリングは、前記可動コンタクトの上面側で、前記各下側突起からその外側近傍の範囲を個々に押すように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のロータリースイッチの接点構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−289722(P2009−289722A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144442(P2008−144442)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】