説明

ロータリー式配合原料供給装置

【課題】 配合原料を金枠で加圧成形する際に問題となる配合原料の均一化の精度を高めて成形時の厚みを一定にし、カサ比重の振れがないロータリー式配合原料供給装置の提供。
【解決手段】 リング歯車(9)の内部に直径方向に延びる互いに連結する少なくとも1本のロッド(6)と、そのロッド(6)から下方に延びる複数の攪拌棒体(7)を設けて回転羽根体3を構成し、その回転羽根体(3)の攪拌棒体7を包囲する容器体部(14)を備えて水平方向に移動するチャージ容器(19)を設け、前記回転羽根体3を回転させる回転駆動装置(Mg)を設け、前記チャージ容器(19)を所定の位置で水平方向に前後動可能な往復駆動装置(Cy)を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煉瓦プレス装置に配合原料を供給するために水平方向に移動可能な往復駆動装置で往復駆動されるチャージ容器を備え、そのチャージ容器内に供給された配合原料を攪拌するロータリー式配合原料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は煉瓦プレス装置の金枠に均一な配合原料を供給して良質な煉瓦を製造するための配合原料供給装置を開示している(例えば、特許文献1参照)。
また、予め配合コンテナで適量の配合原料を攪拌して均一にして、均一に攪拌した原料の均一性を高めてさらに保持するために攪拌翼を回転させながら金枠に配合原料を供給するロータリーチャージャと称する配合原料供給装置を開示している(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
図4、5はそのロータリーチャージャA19の形態の簡略図を示している。図4はロータリーチャージャA19の側断面図であり、図5はその上面図である。
図4の右手上部にある配合原料Gが貯蔵されたホッパ26から適量がベルトコンベア39によって、容器体部A14の上部にあるホッパA21から供給される。容器体部A14内の配合原料Gは容器体部A14の外部に取付けられたモータMで駆動される回転翼A3によって攪拌されながら全体を図示しない煉瓦プレスの底部にある金枠16の上部までチャージテーブルA13の上面をシリンダCyのピストンPsによってX1方向(金枠16の方向)に移動させる。ここで配合原料Gを金枠16に供給したロータリーチャージャA19はX2方向(ホッパ26方向)に移動して再度の供給の作動にはいる。
【0004】
このようにして、煉瓦プレス装置の正規の位置、即ち図4のロータリーチャージャA19の位置の、抜き出しプランジャ18の上部でピストンPsを伸縮させてロータリーチャージャA19を前後方向に小刻みに振動させて空洞(キャビティ)Sに配合原料Gを供給する。そして煉瓦プレスの上部にある図示しない加圧プランジャによって配合原料Gが加圧され煉瓦が成形される。
【0005】
上記の工程において、ロータリーチャージャA19の回転翼A3先端の攪拌翼板Abは板状体で回転抵抗に対するたわみ剛性が大きくとれずまた、図5の反時計方向回転Raのような1方向のため、配合原料Gの攪拌が必ずしも均一とならずに容器体部A14でムラが生じて図4における配合原料高さHが一定せず、金枠16への供給充填量が不均一であった。その結果、成形された煉瓦が定寸厚みに対して ±1mm 程度の誤差が生じる例があった。
この厚み誤差を解消する為には、配合原料Gにかける加圧力を加減調整していたが、成形カサ比重が振れてしまうという問題があった。
図6は作業性をよくするためにロータリーチャージャA19を2連にした例である。
【0006】
その他の従来技術としては、主として耐火煉瓦製造用原料杯土を混練りするのに用いる回転パン式混練器が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特願平10−205014号公報
【特許文献2】特開2000−326317号公報
【特許文献3】実公平7−42653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、配合原料を金枠で加圧成形する際に問題となる配合原料の均一化の精度を高めて成形時の厚みを一定にし、カサ比重の振れがないロータリー式配合原料供給装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は種々研究の結果、攪拌用の回転翼を従来の板状体でなく、配合原料中に垂下した複数の棒状体で水平に回転させること、また、正、逆回転させること、回転翼の剛性を向上させることであたかも寿司用のご飯を指で攪拌するように、配合原料を一層均一にできることがわかった。本発明は係る知見により創作されたものである。
【0009】
本発明によれば、煉瓦プレス装置に配合原料を供給する煉瓦プレス装置に配合原料を供給するために水平方向に移動可能な往復駆動装置Cyで往復駆動されるチャージ容器19を備え、そのチャージ容器19内に供給された配合原料を攪拌するロータリー式配合原料供給装置において、リング歯車9の内部に直径方向に延びる互いに連結する少なくとも1本のロッド6と、そのロッド6から下方に延びる複数の攪拌棒体7とを設けて回転羽根体3を構成し、そのチャージ容器19の円筒状の容器体14はその回転羽根体3の半径方向外方に位置し、前記回転羽根体3を前記リング歯車9を介して回転させる回転駆動装置Mgを設けている。
【0010】
実施に際しては、互いに連結するロッドは1本でも複数でもよく、円周方向に不等ピッチであってもよい。また攪拌棒体の本数は適宜でよく、丸棒でも角棒でもよく、直棒でなくともよい。
回転羽根体を回転駆動する回転駆動装置は、正逆回転が可能なものでもよい。また、攪拌抵抗に応じて回転力と回転速度がかわり急激な回転速度変動のない油圧モータが好ましい。しかし減速機を含んだいわゆるギアードモータでもよい。
チャージ容器19を前後動可能に駆動する往復駆動装置は油圧シリンダがよいが、電気モータ駆動でもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した本発明の配合原料供給装置の効果を列記する。
(1) 容器体部の内部に装着された攪拌用の回転羽根体がロッドとロッドに下方に取付けられた複数の攪拌棒で形成され、攪拌回転方向を正、逆反転させて攪拌するように構成すれば、従来の板状体による1方向回転の攪拌と異なり配合原料がムラなく混合され、あたかも寿司洋のご飯を指で攪拌するように、均一に混合することかできる。
(2) リング歯車によって回転羽根体を駆動するので、攪拌装置全体の剛性が向上し、回転ガタや緩みがない回転で配合原料を攪拌できて配合原料がムラなく均一に混合される利点がある。
(3) 配合原料がムラなく均一に混合されるので、煉瓦の定寸厚みの誤差がなく配合原料にかける加圧力を加減調整する必要がなくなり、成形カサ比重が振れてしまうという従来の問題がなくなった利点がある。
(4) 回転羽根体を正、逆交互に反転させて攪拌できるのでさらに均一な混合ができる利点がある。
(5) 複数の攪拌棒で攪拌するので、棒の間で配合原料が相互に混練され、攪拌の効果が大きくなる利点がある。
(6) 回転駆動装置をチャージ容器の外部に設けたのでチャージ容器をはずすことなく回転駆動装置を保全できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明のロータリー式配合原料供給装置の実施形態を説明する。
図1は本発明のロータリー式配合原料供給装置の側断面全体構成図を示し、図2は図1の回転羽根体を表示するためにA―A断面でカットした下面を示す図である。
【0013】
図1及び図2において、全体を符号1で示す配合原料供給装置は、容器状のチャージ容器19と、チャージ容器19内で回転自在に取付けられた攪拌用の回転羽根体3と、回転羽根体3を回転駆動すると油圧モータのような駆動装置Mgと、チャージテーブル13とを備えている。
【0014】
チャージ容器19は、上部に配合原料を受取る朝顔状のホッパ21が設けられ、ホッパ21の下部の開口が異形6角筒状の容器体部22の水平な天部22aに連結されている。容器体部22の下部に容器体部22より小径の円筒状容器体14が形成されていて、容器体部22と円筒状容器体14とは天部22aに平行な水平板23によって連結されている。
駆動装置Mgは容器体部22の外側に位置しているので、配合原料により汚染されにくい。
【0015】
円筒状容器体14の下端は開口されていて、後記するチャージテーブル13の上面を水平に摺動するように構成されている。
【0016】
回転羽根体3は外周部にリング歯車9が取付けられ、リング歯車9の内周部に環体8が取付けられ、図示の例では環体8の直径方向に延びる4本のロッド6が中心部の環状の環部6aを介して2本に連結されている。このロッド6は環体8の直径方向に設けられていればよい。しかしながら、環部6aは必ずしも設けなくてもよい。
【0017】
図3はリング歯車9による回転運動の案内装置を示していて、案内装置を構成する環体8は下方が開いたリング状に形成され、そのリング状の溝に容器体14の上部が嵌着されてリング歯車の回転の案内をするように構成されている。
環体8の外壁8bに前記リング歯車9が取付けられて、回転駆動装置の油圧モータMgに装着された後記するピニオン歯車2に噛合うように構成されている。
【0018】
外壁8bの下端面8cは、円筒状容器体14の外側に設けられた、図においては4つのブラケット14aの肩部14bの上面に摺動可能に支持されている。
また、外壁8bの外側面はピニオン歯車2から離れた3つのブラケット14aの垂直面14cに接して、ピニオン歯車2からの水平方向力を支えるように構成されている。
【0019】
ロッド6のそれぞれに垂直方向下方に、図示の例では3本の、同長さの攪拌棒7が取付けられている。攪拌棒7は丸棒でも角棒でもよく、直でない曲げたものでもよい。
【0020】
また、円筒状容器体14の外側に設けられた別のブラケット14dに油圧モータMgが取付けられ、前記のように、油圧モータMgの上端部に前記リング歯車9と噛合うピニオン歯車2が取付けられている。油圧モータMgに油圧を供給する図示しない配管が外部の油圧源に連結されている。
油圧モータMgとピニオン歯車2は、図3に示すように、チャージ容器19の容器体部22の外部に設けて、保全容易に構成されている。
【0021】
ホッパ26側のチャージテーブル13に油圧シリンダCyが固定され、ピストンPsが水平板23に固定されている。ピストンPsはチャージ容器19をホッパ29から金枠16への摺動移動をさせるとともに、金枠16の上部でチャージ容器19を前後に小刻みに加振して円筒状容器体14内の均一化された配合原料Gを空洞Sにふるい落とすように構成されている。
【0022】
前記のように、円筒状容器体14内の配合原料Gを攪拌して配合する回転羽根体3は、モータMgの軸のねじり剛性とピニオン歯車2及びリング歯車9の水平方向のねじり剛性とからなる伝達系の極めて高いねじり剛性によって旋回されるので、回転羽根体3全体の回転慣性モーメントと相俟って、攪拌抵抗のムラによる駆動系振動が起こらないで、滑らかな攪拌ができる構成になっている。
【0023】
上記構成のロータリー式配合原料供給装置の作用を前記の図を参照して説明する。
まず、図1において、図におけるよりも右側に位置した配合原料供給装置1のチャージ容器19のホッパ21に、右上方に配置されたホッパ26内のある程度攪拌された配合原料Gが適宜の量だけコンベア39によって供給される。
【0024】
コンベア39からの配合原料Gは、ホッパ21から容器体14に落下して収容される。このときの回転羽根体3は回転状態がよいが、停止状態でもよい。このときの配合原料Gの深さHは必ずしも平坦な状態ではない。
【0025】
ついで、回転羽根体3が所定の回転速度で所定の正、逆インターバルで回転して、配合原料Gを多数の攪拌棒7が攪拌する。容器体14内の配合原料Gは不均一な状態にあるので、攪拌抵抗は一様でないバラツキがあって回転がぎこちなくなりがちであるが、リング歯車9による大きな回転力と油圧モータMgのスリップを許容するいわゆる流体クラッチのような滑らかな回転速度変動で攪拌が行われる。
また、複数の攪拌棒7が配合原料を攪拌するので、攪拌棒7の相互の間にある配合原料が細かく混練される。
【0026】
このようにして均一に攪拌された配合原料Gは均一なバラツキのない深さHとなって、図1の配合原料供給装置1の位置までシリンダCyのピストンPsによってチャージテーブル13の上面を水平に摺動して容器体14が金枠16の上部に移動する。
【0027】
そして、ここでピストンPsが小刻みに前後動を繰り返して容器体14内の均一化された配合原料Gを、満遍なくプランジャ18と金枠16とで形成されている空洞Sに充填させる。そして、チャージ容器19はピストンPsに引張られて金枠16からホッパ26方向に移動する。
【0028】
ついで上部プランジャが落下してきて空洞S内の配合原料Gをプランジャ18とともに圧縮して定寸の煉瓦を形成する。圧縮は均一な配合原料混合のため所定の最大荷重でよく、定寸を保持するための圧力の調整は不要である。
【0029】
上記の煉瓦の成形によって例えばカサ比重が 2.8g/cm の煉瓦生角において、±0.02g/cm に保持し、厚みが ±0.3〜0.5 mmの範囲に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示す側断面全体構成図である。
【図2】図1の回転羽根体を表示するためにA―A断面でカットした下面を示す図である。
【図3】図1の要部を示す側面図である。
【図4】従来の実施形態を示す側断面全体構成図である。
【図5】図4の回転羽根の上面を示す図である。
【図6】回転羽根を2連にした従来の実施形態を示す上面図である。
【符号の説明】
【0031】
G・・・配合原料
Mg・・・回転駆動装置
Cy・・・シリンダ
Ps・・・ピストン
1・・・配合原料供給装置
2・・・ピニオン歯車
3・・・回転羽根体
6・・・ロッド
6a・・・環部
7・・・攪拌棒
8・・・環体
9・・・リング歯車
13・・・チャージテーブル
14・・・円筒状容器体
16・・・金枠
18・・・プランジャ
19・・・チャージ容器
21・・・ホッパ
22・・・容器体部
22a・・・天部
23・・・平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煉瓦プレス装置に配合原料を供給するために水平方向に移動可能な往復駆動装置で往復駆動されるチャージ容器を備え、そのチャージ容器内に供給された配合原料を攪拌するロータリー式配合原料供給装置において、リング歯車の内部に直径方向に延びる少なくとも1本のロッドと、そのロッドから下方に延びる複数の攪拌棒体とを設けて回転羽根を構成し、そのチャージ容器の円筒状の容器体はその回転羽根体の攪拌棒体の半径方向外方に位置し、前記回転羽根体を前記リング歯車を介して回転させる回転駆動装置を設けたことを特徴とするロータリー式配合原料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−289658(P2006−289658A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110124(P2005−110124)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(390000712)株式会社三石深井鐵工所 (1)
【Fターム(参考)】