説明

ロータリ耕耘装置

【課題】溶接作業を楽に行うこと。
【解決手段】連結用ブラケットの内側面部をプレス加工して外側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にメインビームの内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにメインビームを位置決めした状態で両者を溶接・固定する一方、連結用ブラケットの外側面部をプレス加工して内側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにギヤボックスを位置決めした状態で両者を溶接・固定している。凸部はプレス加工により形成するため、安価に形成することができる。また、従来技術のように座金を溶接する部分の溶接スパッタ等の処理が不要となり、作業工数が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘装置の連結用ブラケット形状に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、かかるロータリ耕耘装置は、伝動ギヤを収容したギヤボックス(板金製)の左右側部に略円形に開口する開口部を設けて、両開口部に左右一対の板状の連結用ブラケット(ロアリンクブラケット)の内側面部を接続し、両連結用ブラケットの外側面部に、左右方向に伸延する左右一対の円筒状のメインビームの内側端面を接続している。
【0003】
ここで、連結ブラケットとメインビームの接続は、板状の連結用ブラケットの一側面にメインビームの内側端面部を嵌合させるための嵌合用凹部(いわゆる座グリ部)をフライス加工して形成し、同嵌合用凹部にメインビームの内側端面部を嵌合させて、治具により位置決めをした後に、同状態にてメインビームの外周縁部を溶接により連結用ブラケットに固定して接続している。また、ギヤボックスと連結用ブラケットの接続は、板状の連結用ブラケットの他側面にリング状の座金を溶接し、同座金の外周端面にギヤボックスの一側開口部を嵌合させると共に、同一側開口部の端面を連結用ブラケットの他側面に当接させて、治具により位置決めをした後に、同状態にて一側開口部の外周縁部を溶接により連結用ブラケットに固定して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4041622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した接続構造では、コストが高くなると共に、座金を溶接した部分では溶接スパッタ等の処理が必要となり手間がかかるという不具合がある。そのため、接続作業効率の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、伝動ギヤを収容したギヤボックスの左右側部に開口部を設けて、両開口部に左右一対の板状の連結用ブラケットの内側面部を接続し、両連結用ブラケットの外側面部に、左右方向に伸延する左右一対の筒状のメインビームの内側端面を接続して、連結用ブラケットを介してギヤボックスとメインビームを同一軸線上に接続したロータリ耕耘装置であって、連結用ブラケットの内側面部をプレス加工して外側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にメインビームの内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにメインビームを位置決めした状態で両者を溶接・固定する一方、連結用ブラケットの外側面部をプレス加工して内側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにギヤボックスを位置決めした状態で両者を溶接・固定したことを特徴とするロータリ耕耘装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
(1)メインビームの内側端面を接続する連結用ブラケットの外側面部の位置に、複数の凸部をメインビームの内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にメインビームの内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めする一方、ギヤボックスの開口部を接続する連結用ブラケットの内側面部の位置に、複数の凸部をギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めしたこと。
(2)連結用ブラケットの外側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたメインビームの外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同メインビームで被覆する一方、連結用ブラケットの内側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたギヤボックスの開口部の外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同ギヤボックスの開口部で被覆したこと。
(3)連結用ブラケットの外側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したメインビームの内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置する一方、連結用ブラケットの内側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置したこと。
【発明の効果】
【0008】
(1)請求項1記載の本発明では、伝動ギヤを収容したギヤボックスの左右側部に開口部を設けて、両開口部に左右一対の板状の連結用ブラケットの内側面部を接続し、両連結用ブラケットの外側面部に、左右方向に伸延する左右一対の筒状のメインビームの内側端面を接続して、連結用ブラケットを介してギヤボックスとメインビームを同一軸線上に接続したロータリ耕耘装置であって、連結用ブラケットの内側面部をプレス加工して外側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にメインビームの内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにメインビームを位置決めした状態で両者を溶接・固定する一方、連結用ブラケットの外側面部をプレス加工して内側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにギヤボックスを位置決めした状態で両者を溶接・固定している。
【0009】
このように、連結用ブラケットの両側面部に凸部をプレス加工により形成して、同凸部を介してメインビームとギヤボックスを位置決めした状態で両者を溶接・固定することができるため、溶接作業を楽に行うことができる。この際、凸部はプレス加工により形成するため、安価に形成することができる。また、従来技術のように座金を溶接する部分の溶接スパッタ等の処理が不要となり、作業工数が低減する。
【0010】
(2)請求項2記載の本発明では、メインビームの内側端面を接続する連結用ブラケットの外側面部の位置に、複数の凸部をメインビームの内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にメインビームの内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めする一方、ギヤボックスの開口部を接続する連結用ブラケットの内側面部の位置に、複数の凸部をギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めしている。
【0011】
このように、連結用ブラケットの内・外側面部に形成した複数の凸部に、メインビームないしはギヤボックスの開口部の内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めすることができるため、メインビームとギヤボックスの連結用ブラケットに対する位置決めが容易かつ堅実となって、メインビームとギヤボックスをそれぞれ連結用ブラケットに溶接する溶接作業効率が向上する。
【0012】
(3)請求項3記載の本発明では、連結用ブラケットの外側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたメインビームの外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同メインビームで被覆する一方、連結用ブラケットの内側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたギヤボックスの開口部の外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同ギヤボックスで被覆している。
【0013】
このように、連結用ブラケットの内側面部に形成される凹部はギヤボックスで被覆すると共に、連結用ブラケットの外側面部に形成される凹部はメインビームで被覆するため、凹部は露出されることがない。そのため、連結用ブラケットの内側面部とギヤボックスの開口部の外周面端部との接合部は、ギヤボックスの開口部の外周面端部に沿って堅実に溶接して固定することができる。また、連結用ブラケットの外側面部とメインビームの外周面端部との接合部は、メインビームの外周面端部に沿って堅実に溶接して固定することができる。なお、凹部上にギヤボックスの開口部やメインビームが位置して、同凹部の少なくとも一部が露出される場合には、露出される凹部の部分の溶接強度が低下するため、露出される凹部を充填するように溶接する必要性がある。そのため溶接強度の低下を防止するための手間を要する。
【0014】
(4)請求項4記載の本発明では、連結用ブラケットの外側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したメインビームの内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置する一方、連結用ブラケットの内側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置している。
【0015】
このように、メインビームとギヤボックスの開口部を円筒状に形成している場合には、仮想同一円周上に少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置して、これら凸部にメインビームないしはギヤボックスの開口部を係合状態に外嵌させるだけで堅実に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るロータリ耕耘装置の斜視図。
【図2】同ロータリ耕耘装置の平面図。
【図3】同ロータリ耕耘装置の側面図。
【図4】ギヤボックス及び連結用ブラケットの平面説明図。
【図5】ギヤボックス及び連結用ブラケットの側面説明図。
【図6】ギヤボックス側の係合状態説明図。
【図7】メインビーム側の係合状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明に係るロータリ耕耘装置の斜視図、図2は同ロータリ耕耘装置の平面図、及び、図3は同ロータリ耕耘装置の側面図である。
【0018】
図1〜図3に示すAは本発明に係るロータリ耕耘装置である。かかるロータリ耕耘装置Aはトラクタ等の牽引車(図示せず)に牽引されながら圃場を耕耘することができるように構成している。
【0019】
すなわち、ロータリ耕耘装置Aは、図1〜図3に示すように、耕耘動力を伝達する伝動機構と支持機構とを兼ねる伝動・支持機構部1と、同伝動・支持機構部1に取り付けた耕深調整部2及び耕耘カバー部3とを備えている。
【0020】
そして、伝動・支持機構部1は、前面中央部と左右側部が開口して前記牽引車から動力を取り入れる伝動ギヤを収容した板金製のギヤボックス4と、同ギヤボックス4の左右側端部に内側面部を接続した左右一対の板状の連結用ブラケット5,6と、両連結用ブラケット5,6の外側面部に内側端面を接続して外側方(左右方向)に伸延させた左右一対の円筒状のメインビーム7,8と、左側のメインビーム7の外側端面に上端内側面部を接続して下方へ伸延させた伝動ケース9と、右側のメインビーム8の外側端面に上端部を接続して下方へ伸延させると共に上記伝動ケース9と左右に対向させた軸受け体10と、同軸受け体10の下端部と上記伝動ケース9の下端部との間に横架した耕耘軸11とから形成している。耕耘軸11の周面には多数の耕耘爪12を軸線方向に間隔を開けて取り付けている。
【0021】
また、図2に示すように、連結用ブラケット5,6はそれぞれ前後方向に伸延する板状に形成して、内側面中途部をギヤボックス4の左右側部に開口した開口部32,32に面接させて連設している。連結用ブラケット5,6の各前端部には連結用ピン5a,6aを外側方に突出させている。両連結用ピン5a,6aには、牽引車に前端部を連結した左右一対のロワリンク(図示せず)の後端部を連結するようにしている。
【0022】
図3に示すように、ギヤボックス4の前面中央部に開口した開口部から入力軸13を前方に向けて突出させている。同入力軸13にはギヤボックス4内に配設した伝動ギヤ(図示せず)を連動連結している。同伝動ギヤと伝動ケース9内に配設したチェーン機構等の伝動機構(図示せず)との間には、左右方向に伸延する伝動軸14を左側のメインビーム7中を通して介設している。同伝動軸14の左側端部と前記耕耘軸11の左側端部との間に上記伝動機構を介設している。
【0023】
このようにして、伝動・支持機構部1では、牽引車の動力取出軸から動力を→入力軸13→伝動ギヤ→伝動軸14→伝動ケース9内の伝動機構→耕耘軸11に取り入れて、同耕耘軸11を回動させることで耕耘爪12により圃場を耕耘するようにしている。
【0024】
耕深調整部2は、図1〜図3に示すように、前記ギヤボックス4の上面中央部に載設した連結ブラケット15と、前記左右一対の連結用ブラケット5,6の後端部に前端部を連結した耕深フレーム枠体16と、同耕深フレーム枠体16の中途部と上記連結ブラケット15の後端部との間に介設した深耕調整作動操作体17とを具備している。
【0025】
そして、連結ブラケット15は、ギヤボックス4の上面中央部にステー15dを介して、下方へ凸状に湾曲させて形成した左右一対のブラケット片15a,15aの下端中途部を連設している。両ブラケット片15a,15aの前端部間に連結ピン15bを架設している。連結ピン15bには、牽引車に前端部を連結したトップリンク(図示せず)の後端部を連結するようにしている。
【0026】
また、耕深フレーム枠体16は、前後方向に伸延する左右一対の前後伸延片16a,16aと、左右方向に伸延させて両前後伸延片16a,16aの中途部間に横架した左右伸延中途部片16bと、左右方向に伸延させて両前後伸延片16a,16aの後端部間に架設した左右伸延後端部片16cとから平面視格子枠状に形成している。左右一対の前後伸延片16a,16aは、左右一対の連結用ブラケット5,6の後端部に前端部を連設している。
【0027】
深耕調整作動操作体17は、上下方向に伸延する作動片17aと、同作動片17aの上端部にその軸線廻りに正・逆回転自在に取り付けたハンドル状の回転操作片17bとを具備して、回転操作片17bを正・逆回転させることで作動片17aを軸線方向に伸縮させることができるように構成している。そして、前記左右一対のブラケット片15a,15aの後端部間に左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支片15dを枢支し、同枢支片15dに作動片17aの上端部を連結している。また、作動片17aの下端部は左右伸延中途部片16bの中央部に連結している。
【0028】
このようにして、回転操作片17bを正・逆回転させて作動片17aを伸縮させると、左右一つのロワリンクとトップリンクに連結した伝動・支持機構部1を前傾姿勢と後傾姿勢との間で姿勢変更して、耕耘爪12による耕耘深さを調整することができるようにしている。
【0029】
耕耘カバー部3は、図1〜図3に示すように、伝動ケース9と軸受け体10との間に開設したロータリカバー体18と、同ロータリカバー体18の上端縁部に基端縁部を枢支・連結したリヤカバー体19と、同リヤカバー体19の先端縁部に取り付けた整地体20と、上記ロータリカバー体18の中途部と前記連結ブラケット15の右側中途部との間に介設したリヤカバー調整体21と、上記ロータリカバー体18の左右側後端縁部に前端縁部を連結したサイドカバー体22,22とを具備している。
【0030】
そして、ロータリカバー体18は、側面視にて略扇状に形成した左右一対の側方カバー片18a,18aの先細り状下部を耕耘軸11の外周左右側部に枢支して、両側方カバー片18a,18aの上端縁部を上方へ凸状の円弧状に形成し、両上端縁部間に上方カバー片18bを架設して正面視門型に形成している。
【0031】
リヤカバー体19は、前記上方カバー片18bの後端縁部18cに、同後端縁部18cの左右幅と略同一幅の四角形状に形成したリヤカバー本片19aの基端縁部19bを、左右方向に軸線を向けた枢軸23により枢支して、上方カバー片18bの後端縁部18cから垂下状となしている。そして、リヤカバー体19は枢軸23を中心にリヤカバー本片19aを上下揺動自在となしている。また、リヤカバー本片19aの先端縁部19cはカール状に巻き返して形成している。同先端縁部19cの下端面には整地面19dを形成して、同整地面19dを耕耘した圃場面上に滑動させて圃場面を整地するようにしている。
【0032】
整地体20は、リヤカバー体19の先端縁部19cに、同先端縁部19cの左右幅と略同一幅の四角形状に形成した整地本体20aの基端縁部20bを、取付体24,24を介して取り付けている。
【0033】
このようにして、整地体20により圃場の整地効果を増大させることができるようにしている。
【0034】
リヤカバー調整体21は、上下方向に伸延する作動片21aと、同作動片21aの上端部にその軸線廻りに正・逆回転自在に取り付けたハンドル状の回転操作片21bとを具備して、回転操作片21bを正・逆回転させることで作動片21aを軸線方向に伸縮させることができるように構成している。そして、前記上方カバー片18bの後側中途部と前記連結ブラケット15の右側中途部より右側方に延設した支持片25との間に作動片21aを介設している。
【0035】
このようにして、前記した耕深調整時に、回転操作片21bを正・逆回転させて作動片21aを伸縮させることで、ロータリカバー体18を耕耘軸11の軸芯を中心にして前後方向に回動調整して、同ロータリカバー体18に取り付けたリヤカバー体19の先端縁部19cの整地面19dが、圃場面に接地する高さに整合するように調整することができるようにしている。
【0036】
サイドカバー体22,22は、それぞれ板状に形成して、前記側方カバー片18a,18aの左右側後端縁部に前端縁部22a,22aを連結して、側方カバー片18a,18aの後端縁部からリヤカバー体19の側端縁部までの側方を閉塞している。
【0037】
また、ロータリカバー体18とリヤカバー体19との間には、上下方向に伸延する左右一対のハンガーロッド26,26を介設して、両ハンガーロッド26,26によりリヤカバー体19を支持している。27は圧縮スプリングであり、同圧縮スプリング27はロータリ耕耘装置Aが上昇された際に、リヤカバー体19に対して圧縮作用(弾性付勢)することで、リヤカバー体19が急激に下方へ回動するのを抑制している。28はハンガーロッド26の上部を支持する上部ステー、29はハンガーロッド26の下部を支持する下部ステーである。
【0038】
上記のように、ギヤボックス4の左右外側端面4a,4aに、左右一対の板状の連結用ブラケット5,6の内側面部30,31を接続し、両連結用ブラケット5,6の外側面部33,34に、左右方向に伸延する左右一対の筒状のメインビーム7,8の内側端面35,36を接続して、連結用ブラケット5,6を介してギヤボックス4とメインビーム7,8を同一軸線上に接続した構成において、本発明の要旨は、次の通りである。
【0039】
すなわち、本発明の要旨は、図4〜図7に示すように、連結用ブラケット5,6の内側面部30,31をプレス加工して外側面部33,34に凸部37,37を形成すると共に、同凸部37,37にメインビーム7,8の内周面端部39,40を係合させて、連結用ブラケット5,6にメインビーム7,8を位置決めした状態で両者を溶接・固定する一方、連結用ブラケット5,6の外側面部33,34をプレス加工して内側面部30,31に凸部38,38を形成すると共に、同凸部38,38にギヤボックス4の開口部32,32の内周面端部41,42を係合させて、連結用ブラケット5,6にギヤボックス4を位置決めした状態で両者を溶接・固定した構成にある。ここで、図4中の拡大図は図5のI−I線断面拡大図である。
【0040】
すなわち、図6に示すように、メインビーム7,8の内側端面35,36を接続する連結用ブラケット5,6の外側面部33,34の位置に、複数(本実施形態では3個)の凸部37,37,37をメインビーム7,8の内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部37,37にメインビーム7,8の内周面端部39,40を係合状態に外嵌させて位置決めしている。
【0041】
一方、図7に示すように、ギヤボックス4の開口部32,32を接続する連結用ブラケット5,6の内側面部30,31の位置に、複数(本実施形態では3個)の凸部38,38をギヤボックス4の開口部32,32の内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部38,38にギヤボックス4の開口部32,32の内周面端部41,42を係合状態に外嵌させて位置決めしている。
【0042】
より具体的には、連結用ブラケット5,6の外側面部33,34に形成する少なくとも3個の凸部37,37,37は、円筒状に形成したメインビーム7,8の内周面に沿わせて形成される仮想同一円周K1上に配置すると共に、これら凸部37,37,37を略均等に間隔を開けて配置している。しかも、連結用ブラケット5,6の外側面部33,34にプレス加工で形成される凹部43,43,43は、位置決めしたメインビーム7,8の外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同メインビーム7,8で被覆している。ここで、凸部37は小径で扁平円板状(タブレット状)に形成している。凹部43は小径円形口の皿状に形成している。
【0043】
一方、連結用ブラケット5,6の内側面部30,31に形成する凸部38,38は、円筒状に形成したギヤボックス4の開口部32,32の内周面に沿わせて形成される仮想同一円周K2上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部38,38,38を略均等に間隔を開けて配置している。しかも、連結用ブラケット5,6の内側面部30,31にプレス加工で形成される凹部44,44,44は、位置決めしたギヤボックス4の開口部32,32の外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同ギヤボックス4で被覆している。ここで、凸部38は小径で扁平円板状(タブレット状)に形成している。凹部44は小径円形口の皿状に形成している。
【0044】
なお、本実施形態では同一中心の仮想同一円周K1と仮想同一円周K2の半径を異ならせているが、少なくともメインビーム7,8で凹部43を被覆すると共に、ギヤボックス4で凹部44を被覆することができればよく、これら仮想同一円周K1と仮想同一円周K2の半径を同一半径となすこともできる。この際、凸部37と凸部38は、側面視にて円周方向に略同一間隔を開けて交互に配置することができる。51は左側の連結用ブラケット5の中途部に開口した連通孔であり、同連通孔51を介してギヤボックス4と左側のメインビーム7とを連通させて、これらギヤボックス4と左側のメインビーム7中に伝動軸14を挿通している。
【0045】
本発明に係る実施形態は上記のように構成しているものであり、連結用ブラケット5,6の両側面部30,31,33,34に凸部37,37,38,38をプレス加工により形成して、これら凸部37,37,38,38を介してメインビーム7,8とギヤボックス4を位置決めした状態で両者を溶接・固定することができるため、溶接作業を楽に行うことができる。この際、凸部37,38はプレス加工により形成するため、安価に形成することができる。また、従来技術のように座金を溶接する部分の溶接スパッタ等の処理が不要となり、作業工数が低減する。
【0046】
そして、連結用ブラケット5,6の内・外側面部30,31,33,34に形成した複数の凸部37,37,38,38に、メインビーム7,8ないしはギヤボックス4の開口部32,32の内周面端部41,42を係合状態に外嵌させて位置決めすることができるため、メインビーム7,8とギヤボックス4の連結用ブラケット5,6に対する位置決めが容易かつ堅実となって、メインビーム7,8とギヤボックス4をそれぞれ連結用ブラケット5,6に溶接する溶接作業効率が向上する。
【0047】
しかも、本実施形態では、メインビーム7,8とギヤボックス4の開口部32,32を円筒状に形成しているため、仮想同一円周K1上に少なくとも3個の凸部37,37,37を略均等に間隔を開けて配置して、これら凸部37,37,37にメインビーム7,8ないしはギヤボックス4の開口部32,32を係合状態に外嵌させるだけで、これら凸部37,37,37がメインビーム7,8ないしはギヤボックス4の開口部32,32の内周面端部を3点支持して堅実に位置決めすることができる。
【0048】
ここで、連結用ブラケット5,6の内側面部30,31に形成される凹部44,44はギヤボックス4で被覆すると共に、連結用ブラケット5,6の外側面部33,34に形成される凹部43,43はメインビーム7,8で被覆するため、凹部43,44は露出されることがない。そのため、連結用ブラケット5,6の内側面部30,31とギヤボックス4の開口部32,32の外周面端部45,46との接合部は、ギヤボックス4の開口部32,32の外周面端部45,46に沿って堅実に溶接して固定することができる。49は溶接・固定部である。また、連結用ブラケット5,6の外側面部33,34とメインビーム7,8の外周面端部47,48との接合部は、メインビーム7,8の外周面端部47,48に沿って堅実に溶接して固定することができる。50は溶接・固定部である。なお、凹部43,44上にギヤボックス4の開口部32,32やメインビーム7,8が位置して、これら凹部43,44の少なくとも一部が露出される場合には、露出される凹部43,44の部分の溶接強度が低下するため、露出される凹部43,44を充填するように溶接する必要性があるが、前記のように構成することで、溶接強度を低下させることなく、手間を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
連結用ブラケットに対するギヤボックスの開口部とメインシャフトの簡易な位置決め構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
A ロータリ耕耘装置
1 伝動・支持機構部
2 耕深調整部
3 耕耘カバー部
4 ギヤボックス
5,6 連結用ブラケット
7,8 メインビーム
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動ギヤを収容したギヤボックスの左右側部に開口部を設けて、両開口部に左右一対の板状の連結用ブラケットの内側面部を接続し、両連結用ブラケットの外側面部に、左右方向に伸延する左右一対の筒状のメインビームの内側端面を接続して、連結用ブラケットを介してギヤボックスとメインビームを同一軸線上に接続したロータリ耕耘装置であって、
連結用ブラケットの内側面部をプレス加工して外側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にメインビームの内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにメインビームを位置決めした状態で両者を溶接・固定する一方、
連結用ブラケットの外側面部をプレス加工して内側面部に凸部を形成すると共に、同凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合させて、連結用ブラケットにギヤボックスを位置決めした状態で両者を溶接・固定したことを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】
メインビームの内側端面を接続する連結用ブラケットの外側面部の位置に、複数の凸部をメインビームの内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にメインビームの内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めする一方、
ギヤボックスの開口部を接続する連結用ブラケットの内側面部の位置に、複数の凸部をギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成して、これら複数の凸部にギヤボックスの開口部の内周面端部を係合状態に外嵌させて位置決めしたことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
連結用ブラケットの外側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたメインビームの外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同メインビームで被覆する一方、
連結用ブラケットの内側面部にプレス加工で形成される凹部は、位置決めしたギヤボックスの開口部の外周面位置と同等ないしはそれよりも軸芯側に配置して、同ギヤボックスの開口部で被覆したことを特徴とする請求項1又は2記載のロータリ耕耘装置。
【請求項4】
連結用ブラケットの外側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したメインビームの内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置する一方、
連結用ブラケットの内側面部に形成する凸部は、円筒状に形成したギヤボックスの開口部の内周面に沿わせて形成される仮想同一円周上に配置すると共に、少なくとも3個の凸部を略均等に間隔を開けて配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate