説明

ロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造

【課題】排気マフラーの大型化を回避して、ポンプ装置としての小型化や低コスト化ができるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造を提供すること。
【解決手段】一つのシリンダ10によって設けられる一つのポンプ室に二つの排気口29、29を有し、ポンプ室内においてロータが非接触状態で回転運動される構成の真空ポンプに設けられる排気消音構造であって、二つの排気口29、29が実質的に同等容量の排気を行うように設けられ、その二つの排気口29、29のそれぞれに実質的に同等容量の排気マフラー50、60が別々に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気側を対象の空気圧機器に接続して真空ポンプとして用いることができる回転ポンプであって、シリンダ内のロータがシリンダの内面に非接触状態で回転運動されるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーベーンポンプのように、ベーンがシリンダの内面に接触した状態でポンプとしての機能を発揮する接触型の回転ポンプでは、接触するベーンの作動バランスに鑑みて、排気口などの形態に関する設計の自由度が小さい。このため、一つのシリンダによって設けられる一つのポンプ室に一つの排気口を備える構成になっている。
【0003】
これに対して、ロータ非接触型の真空ポンプにおいては、ロータがシリンダの内面に接触しない回転構造に設けられており、排気口の形態に関する設計の自由度が大きい。このため、一つのシリンダによって設けられる一つのポンプ室に、二つの排気口を備える構造とすることができる。
【0004】
このロータ非接触型の真空ポンプとしては、平行に配されて反対方向へ同期回転する二つの回転軸のそれぞれに設けられたロータ同士が、非接触状態で回転運動することによって吸気側に負圧の気体圧を生じることができる二軸回転ポンプがある。
【0005】
この二軸回転ポンプとしては、クローポンプ、ルーツポンプ、スクリューポンプ、ギアポンプなどがある。例えば、シリンダの両端面から排気するクローポンプが、本出願人によって提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
このクローポンプは、図6に示すように、ポンプ室11を形成するシリンダ部10Aと、そのシリンダ部10の端面を塞ぐ一方のサイドプレート部20A及び他方のサイドプレート部20Bと、シリンダ部10内で平行に位置するように配されて反対方向に回転される二つの回転軸31、32と、その二つの回転軸31、32のそれぞれに一体的に固定されて設けられ、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部39が形成されたロータ30A、30Bと、回転駆動装置と、シリンダ部10内の気体が圧縮されないポンプ室11の部分に連通する吸気口27と、一方のサイドプレート部20A及び他方のサイドプレート部20Bの両方にシリンダ部10内の気体が圧縮されるポンプ室11の部分に連通する排気口29、29とを具備する。
このクローポンプによれば、排気効率を高めることで、クローポンプのポンプ性能を向上させることができ、設計の自由度をより向上できる。
【0007】
以上のような真空を発生させる真空ポンプでは、ポンプ室へ吸い込んだ空気(吸気)を、そのポンプ室から外へ排気する必要があり、消音と排気温度の低減のため、排気消音器(排気マフラー)を通して排気している。この排気マフラーは、ポンプの排気量に応じてその容量が設定されるもので、排気量が大きくなればその容量を大きくする必要がある。排気マフラーの容量の大型化は、ポンプ装置としての大型化や高コスト化につながるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−38476号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造に関して解決しようとする問題点は、真空ポンプの排気量の増大に応じて排気マフラーの容量を大きくする必要があるが、この排気マフラーの容量の大型化は、ポンプ装置としての大型化や高コスト化につながるという点にある。
そこで本発明の目的は、排気マフラーの大型化を回避して、ポンプ装置としての小型化や低コスト化ができるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の一形態によれば、一つのシリンダによって設けられる一つのポンプ室に二つの排気口を有し、前記ポンプ室内においてロータが非接触状態で回転運動される構成の真空ポンプに設けられる排気消音構造であって、前記二つの排気口が実質的に同等容量の排気を行うように設けられ、該二つの排気口のそれぞれに実質的に同等容量の排気マフラーが別々に接続されている。
【0011】
また、本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の一形態によれば、前記真空ポンプが、平行に配されて反対方向へ同期回転する二つの回転軸のそれぞれに設けられたロータが非接触状態で回転運動することによって吸気側に負圧の気体圧を生じることができる二軸回転ポンプであることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の一形態によれば、前記二軸回転ポンプが、二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室を形成するシリンダ部と、該シリンダ部の一方の端面を塞ぐ一方のサイドプレート部及び該シリンダ部の他方の端面を塞ぐ他方のサイドプレート部と、前記シリンダ部内で平行に位置するように配されて反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸と、該二つの回転軸のそれぞれに一体的に固定されて前記シリンダ部内に配され、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部が形成された二つのロータと、該二つのロータを前記二つの回転軸を介して回転駆動させる回転駆動装置と、前記シリンダ部内の気体が圧縮されないポンプ室の部分に連通する吸気口と、前記シリンダ部の両端面を通して圧縮気体を両側から排出させるように、前記一方のサイドプレート部及び前記他方のサイドプレート部の両方に前記シリンダ部内の気体が圧縮されるポンプ室の部分に連通する排気口とを具備することを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の一形態によれば、前記一方のサイドプレート部及び前記他方のサイドプレート部には、前記シリンダ部の端面を塞ぐ隔壁部から該シリンダ部とは反対方向へ連続する周壁部が設けられ、該周壁部には圧縮気体を導く排気孔及び排気案内室を介して一方の側部に開口する前記排気口が設けられていることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の一形態によれば、前記二つの排気口に接続された排気マフラー同士は、鋳物型によって同一形状に成形された原形部品を加工することで対称形状に設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造によれば、排気マフラーの大型化を回避して、ポンプ装置としての小型化や低コスト化ができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造の形態例を示す平面図である。
【図2】図1の形態例の部分分解斜視図である。
【図3】図1の排気マフラーのケース覆体部側から見た分解斜視図である。
【図4】図1の排気マフラーのケース基体部側から見た分解斜視図である。
【図5】図1の排気マフラーにかかる排気流路を示す分解斜視図である。
【図6】クローポンプの基本構造例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかるロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造について最良の形態例を添付図面(図1〜6)に基づいて詳細に説明する。
このロータ非接触型の真空ポンプは、二軸回転ポンプの一例のクローポンプであり、吸気側を空気圧機器に接続することで真空ポンプとして利用でき、排気側を空気圧機器に接続することでコンプレッサー又はブロアとして利用できる。また、空気に限定されず、他の気体について吸排気するポンプとしても利用できる。
【0018】
図1に示すように、このロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造によれば、一つのシリンダ10によって設けられる一つのポンプ室11(図6参照)に二つの排気口29、29を有し、そのポンプ室11内においてロータ30A、30B(図6参照)が非接触状態で回転運動される構成の真空ポンプに設けられる排気消音構造であって、二つの排気口29、29が実質的に同等容量の排気を行うように設けられ、その二つの排気口29、29のそれぞれに実質的に同等容量の排気マフラー50、60が別々に接続されている。
【0019】
これによれば、必要な排気マフラー容量に対し、その容量を二分割にして二個の排気マフラー50、60の使用としている。この二個の排気マフラー50、60は対称形状に設けられている。本形態例では、左右対称形状の同一容積の排気マフラーになっている。
このように二個の排気マフラー50、60に分割したことで、排気音低減の効果を高めることができる。これは、同一流路断面積であれば、分割した方が、消音効果が大きいためである。
【0020】
また、本形態例の二つの排気口29、29に接続・固定された排気マフラー50、60同士は、鋳物型によって同一形状に成形された原形のマフラーケース部品を加工することで対称形状に設けられている。
このように排気マフラー50、60は、鋳物製であり、二個の排気マフラー50、60に分割されたものであることで、一個当たりのマフラーケースが小型になり、鋳物の型枠を小型化できる。マフラーケースは対称形状であるため、鋳物型を共通化でき、鋳造後の切削加工などにて相互に対称形状の二部品とする。これにより、鋳物型のイニシャルコストを低減でき、排気マフラー及びポンプ装置全体のコストを低減できる。
【0021】
これに対して、同一の排気量によって生じる排気音を低減させるため、従来の一個の排気マフラーで対応する場合は、マフラーケースが大型化するため、鋳物型が大型化し、製造コストが高くなっていた。また、従来の一個の排気マフラーで対応する場合は、マフラーケースが大型化するため、ポンプ装置全体としても大型化していた。
【0022】
次に本形態例の排気マフラー50、60の内部構造、及びその消音効果について、図2〜5に基づいて詳細に説明する。
本形態例によれば、排気された空気が、排気マフラー50、60内で膨張、収縮を繰り返すことによって排気音が効果的に低減されると共に、製造コストを低減できるように、その内部構造が設けられている。
【0023】
また、各排気マフラー50、60を構成するマフラーケースは、ケース基体部51、61と、ケース覆体部52、62とによって形成されている。すなわち、このマフラーケースは、半割り構造になっており、ケース基体部51、61と、ケース覆体部52、62とを合わせて固定することで、内部に膨張及び収縮の空間を備える矩形の箱形形態の排気マフラー50、60を形成している。
【0024】
この各排気マフラー50、60によれば、真空ポンプ本体に設けられた排気口29、29に接続されるようにケースの底の形態に形成された壁面に開口する接続口53、63と、その接続口53、63が設けられた第一の膨張消音室54、64と、その第一の膨張消音室54、64に通気開口55、65を介して連通する第二の膨張消音室56、66と、その第二の膨張消音室56、66に絞り部57、67を介して連通する第三の膨張消音室58、68とを備える。
第一の膨張消音室54、64、第二の膨張消音室56、66、絞り部57、67、及び第三の膨張消音室58、68は、それぞれが、半割りのケース基体部51、61とケース覆体部52、62とが一体に合わせられることによって形成される空間になっている。
【0025】
本形態例の第一の膨張消音室54、64は、一対の排気マフラー50、60が左右方向に近接する側同士で、上下方向には中間部に形成されている。そして、その第一の膨張消音室54、64の下側に第二の膨張消音室56、66が設けられ、その第一の膨張消音室54、64及び第二の膨張消音室56、66の上側に第三の膨張消音室58、68が配された形態になっている。これによれば、鋳物で形成する限られたスペースにおいて、できる限り大きな容積の三つの膨張消音室を設けることができる。また、59、69はマフラーの排気口であり、第三の膨張消音室58、68の上側面に開口し、上方へ排気するように設けられている。
【0026】
以上の各排気マフラー50、60の膨張消音室や通路を形成する内部構造は、ケース基体部51、61と、ケース覆体部52、62とによって構成されるマフラーケース自体のみによって設けられている。すなわち、各排気マフラー50、60の内部構造として、パイプなどの他の部品が用いられていない。これによれば、従来のようなパイプを利用して排気流路の絞りを形成するような形態と比較して簡易な構成とすることができ、製造コストを低減できる。また、本形態例のケース基体部51、61及びケース覆体部52、62は、簡単な抜き形態の型で原形の部品を形成でき、製造コストを低減できる。
【0027】
また、一方の排気マフラー50のケース基体部51と、他方の排気マフラー60のケース基体部61とは、同一の鋳物型によって形成された原形の部品を、上下反対に並べた状態に配され、それぞれの上側面にマフラーの排気口59、69が第三の膨張消音室58、68に開口する形態に設けられている。そのマフラーの排気口59、69は、同一の原形の部品を切削加工などの後加工を施すことによって形成されている。
【0028】
さらに、一方の排気マフラー50のケース覆体部52と、他方の排気マフラー60のケース覆体部62とは、同一の鋳物型によって形成された原形の部品を、上下反対に並べた状態に配され、それぞれの第一の膨張消音室54、64の下側面に通気開口55、65が第二の膨張消音室56、66に連通・開口する形態に設けられている。その通気開口55、65は、同一の原形の部品に切削加工などの後加工を施すことによって形成されている。
【0029】
絞り部57、67は、カーブした細長い流路に形成されている。絞り部57、67の流路断面(絞り径)の大きさは小さいほど、絞り部57、67の長さは長いほど、消音効果が高まる。ただし、絞り径を小さくするほど消音効果は増大するが、真空ポンプおいては大気圧付近の圧力域(流量が多い状態時)に絞り径が抵抗となって動力消費が増大してしまう。このため、絞り部57、67の絞り径や長さは、消音効果、ポンプ出力及び動力消費との釣り合いとの関係で適宜にバランスよく設定すればよい。
また、この絞り部57、67は、鋳物型による成形によって設けられており、別部品を追加することを要せず、組立性を向上できるため、製造コストを低減できる。
【0030】
この各排気マフラー50、60によれば、図5に矢印で示すように、真空ポンプ本体に設けられた排気口29、29から排出された真空ポンプの排気が、接続口53、63から入って、第一の膨張消音室54、64、通気開口55、65、第二の膨張消音室56、66、絞り部57、67、第三の膨張消音室58、68の順に通って、マフラーの排気口59、69から排出される。この間に排気は、膨張と収縮を繰返して排気音が好適に低減されると共に放熱されて排気温度が好適に低減される。
【0031】
次に、本発明に係るロータ非接触型の真空ポンプの形態例について詳細に説明する。
この真空ポンプは、二軸回転ポンプであり、図6に示すように、平行に配されて反対方向へ同期回転する二つの回転軸31、32のそれぞれに設けられたロータ30A、30Bが非接触状態で回転運動することによって吸気側に負圧の気体圧を生じることができるものである。
【0032】
また、この二軸回転ポンプは、クローポンプであり、例えば図6に示すように、以下の構成を備える。
10Aはシリンダ部であり、二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室11を形成する。20Aは一方のサイドプレート部であり、シリンダ部10Aの一方の端面を塞ぐように設けられている。また、20Bは他方のサイドプレート部であり、シリンダ部10Aの他方の端面を塞ぐように設けられている。
【0033】
シリンダ部10A内には、平行に位置するように反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸31、32が配されている。そして、その二つの回転軸31、32のそれぞれに一体的に固定されて、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部39が形成された二つのロータ30A、30Bが、シリンダ部10A内に配されている。
【0034】
また、40は回転駆動装置の構成である電動モータ(図1参照)であり、回転軸31と、その回転軸31からオイルバス45(図1参照)側に配される一対の歯車(図示せず)を介して駆動される回転軸32によって動力を伝達することで、二つのロータ30A、30Bを、回転駆動させるように設けられている。
【0035】
21は吸気孔であり、シリンダ部10A内の気体が圧縮されないポンプ室の部分に連通する。なお、この吸気孔21は、一般的にはサイドプレート部20A、20Bに設けられるが、シリンダ部10Aの側周壁15に設けてもよい。
【0036】
22は排気孔であり、シリンダ部10Aの両端面を通して圧縮気体を両側から排出させるように、一方のサイドプレート部20A及び他方のサイドプレート部20Bの両方でシリンダ部10A内の気体が圧縮されるポンプ室11の部分に開口している。
【0037】
両方のサイドプレート部20A、20Bには、それぞれシリンダ部10Aの端面を塞ぐ隔壁部23、23からそのシリンダ部10Aとは反対方向へ連続する周壁部25、25が設けられている。そして、周壁部25、25には排気孔22、22から圧縮気体を導く排気案内室28、28を介して連通する排気口29、29が設けられている。この二つの排気口29、29は、ポンプ本体の一方の側部に横並びの状態で設けられている。このため、二つの排気マフラー50、60がポンプ本体の一方の側部に接続・装着されることになり、ポンプ装置全体として、コンパクトな構成になっている。
【0038】
両方のサイドプレート部20A、20Bの隔壁部23、23に吸気孔21、21が設けられ、周壁部25、25には吸気孔21、21へ吸入気体を導く吸気案内室26、26に開口する吸気口27、27が設けられている。
また、図1に示すように、70は吸気用接続ケースであり、二つの吸気口27、27に連結している。この吸気用接続ケース70は、吸気をまとめることができ、外部の空気圧機器に接続する接続室として設けられている。また、71は吸気用接続ケースの外部の空気圧機器との接続口である。
【0039】
また、本形態例では、一方のサイドプレート部20Aの外側であって周壁部25に重ねられて設けられて二つの回転軸31、32の一方端側を受ける一方の軸受部(図示せず)と、他方のサイドプレート部20Bの外側であって周壁部25に重ねられて設けられて二つの回転軸31、32の他方端側を受ける他方の軸受部(図示せず)とを備える。
このように、ロータ30A、30Bを両端支持構造とし、ポンプ室11の両側面に排気口22、22を有することで、最適な排気面積が確保可能になり、設計の自由度を格段に向上できる。
なお、シリンダ部10A、その両側の一方のサイドプレート部20Aと他方のサイドプレート部20Bの周壁部25、及び一対の軸受部によって形成される外側壁の分割形態は、図6に示された形態に限定されるものではない。例えば、シリンダ部10Aの側周壁15、サイドプレート部20B側の周壁部25、及びオイルバス45側の軸受部を一体的に形成してもよいのは勿論である。
【0040】
24a、24bは透孔であり、回転軸31、32が挿通されるように、隔壁部23に設けられている。また、各軸受部にはベアリングが配され、各回転軸31、32を軸受けしている。各軸受部にはオイルシール(図示せず)が配設されている。
33は冷却用の通気口であり、各サイドプレート部20A、20Bの周壁部25、25に、そのサイドプレート部20A、20Bの内部に連通するように複数が設けられている。
【0041】
一方の軸受部の外側において二つの回転軸31、32の一方端側に固定された歯車(図示せず)同士が噛合され、他方の軸受部の外側において二つの回転軸31、32のうちの一の他方端側に回転駆動装置の一例である電動モータ40の回転シャフトがカップリング図示せず)を介して接続されている。また、45はオイルバスであり、二つの歯車、ベアリング及びオイルシール用の潤滑油が封入されている。
【0042】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0043】
10 シリンダ
10A シリンダ部
11 ポンプ室
15 側周壁
20A 一方のサイドプレート部
20B 他方のサイドプレート部
21 吸気孔
22 排気孔
23 隔壁部
25 周壁部
26 吸気案内室
27 吸気口
28 排気案内室
29 排気口
30A ロータ
30B ロータ
31 回転軸
32 回転軸
33 通気口
39 爪部
40 電動モータ
45 オイルバス
50、60 排気マフラー
51、61 ケース基体部
52、62 ケース覆体部
53、63 接続口
54、64 第一の膨張消音室
55、65 通気開口
56、66 第二の膨張消音室
57、67 絞り部
58、68 第三の膨張消音室
59、69 マフラーの排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのシリンダによって設けられる一つのポンプ室に二つの排気口を有し、前記ポンプ室内においてロータが非接触状態で回転運動される構成の真空ポンプに設けられる排気消音構造であって、前記二つの排気口が実質的に同等容量の排気を行うように設けられ、該二つの排気口のそれぞれに実質的に同等容量の排気マフラーが別々に接続されていることを特徴とするロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造。
【請求項2】
前記真空ポンプが、平行に配されて反対方向へ同期回転する二つの回転軸のそれぞれに設けられたロータが非接触状態で回転運動することによって吸気側に負圧の気体圧を生じることができる二軸回転ポンプであることを特徴とする請求項1記載のロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造。
【請求項3】
前記二軸回転ポンプが、
二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室を形成するシリンダ部と、
該シリンダ部の一方の端面を塞ぐ一方のサイドプレート部及び該シリンダ部の他方の端面を塞ぐ他方のサイドプレート部と、
前記シリンダ部内で平行に位置するように配されて反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸と、
該二つの回転軸のそれぞれに一体的に固定されて前記シリンダ部内に配され、相互に非接触状態で噛合って吸入した気体を圧縮できるように鉤形の爪部が形成された二つのロータと、
該二つのロータを前記二つの回転軸を介して回転駆動させる回転駆動装置と、
前記シリンダ部内の気体が圧縮されないポンプ室の部分に連通する吸気口と、
前記シリンダ部の両端面を通して圧縮気体を両側から排出させるように、前記一方のサイドプレート部及び前記他方のサイドプレート部の両方に前記シリンダ部内の気体が圧縮されるポンプ室の部分に連通する排気口とを具備することを特徴とする請求項2記載のロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造。
【請求項4】
前記一方のサイドプレート部及び前記他方のサイドプレート部には、前記シリンダ部の端面を塞ぐ隔壁部から該シリンダ部とは反対方向へ連続する周壁部が設けられ、該周壁部には圧縮気体を導く排気孔及び排気案内室を介して一方の側部に開口する前記排気口が設けられていることを特徴とする請求項3記載のロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造。
【請求項5】
前記二つの排気口に接続された排気マフラー同士は、鋳物型によって同一形状に成形された原形部品を加工することで対称形状に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロータ非接触型の真空ポンプの排気消音構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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