説明

ローマンシェード

【課題】第1生地をヘッドレール近傍までたくし上げても、第2生地の見栄えを損わず、また第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に強い光が当っても、室内へのスポットライト状の光漏れを防止する。
【解決手段】ヘッドレール16に第1及び第2生地11,12の上端がそれぞれ取付けられ、ヘッドレール16から昇降可能に垂下された第1及び第2昇降コード21,22が第1及び第2生地11,12にそれぞれ連結される。またヘッドレール16から垂下された第1昇降コード21が第1生地11の後側に配索され、ヘッドレール16から垂下された第2昇降コード22が第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aを通って第2生地12の前側から後側に配索される。更に挿通孔12aを覆う第3生地13が第2昇降コード22を昇降できる隙間を設けた状態で第2生地12の前面に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレールに上端がそれぞれ取付けられた生地を昇降コードにより昇降させるに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋における窓等の開口部に室内側から取付けられるローマンシェードが知られている。このローマンシェードは、ヘッドレールに上端がそれぞれ取付けられた生地を昇降コードにより昇降させるものであって、その生地が開口部を塞ぎ、必要に応じて昇降コードを上昇させて生地をたくし上げることにより、その開口部から採光できるようになっている。そして、近年、2枚の生地を設けたローマンシェードの需要が増加している。
上記2枚の生地を単一のヘッドレールに取付けたローマンシェードとして、ヘッドレールの前面及び後面に第1及び第2生地の上端をそれぞれ取付け、ヘッドレールにそれぞれ設けられたコードガイド部によって第1及び第2昇降コードがそれぞれヘッドレールの長手方向に沿って別々の経路で配索されるとともにヘッドレールの長手方向の任意の位置から昇降可能に垂下されたローマンシェードが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このローマンシェードでは、第2生地の上端付近に挿通孔が形成される。
このように構成されたローマンシェードでは、ヘッドレールの前面及び後面にそれぞれ生地を取付けることにより、多重生地を使用するローマンシェードとすることができる。また第1及び第2昇降コードが第1及び第2生地の後面側にそれぞれ配索されるため、正面側から見て昇降コードが露出せず、見栄えを向上できるようになっている。
【特許文献1】特許第3379934号公報(請求項1、明細書[0039]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたローマンシェードでは、第2生地を下ろした状態で第1生地のみをヘッドレール近傍までたくし上げると、第2生地の上端付近に形成された挿通孔が室内側に露出し、第2生地の見栄えを損う不具合があった。
また、上記従来の特許文献1に示されたローマンシェードでは、第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に太陽光等の強い光が当ると、この光が第2生地に形成された挿通孔を通って第1生地にスポットライト状に照射されるため、第1生地が比較的薄い生地であると、上記スポットライト状の強い光が第1生地を透過して室内に侵入してしまう、即ち室内にスポットライト状の光漏れが発生してしまう問題点があった。
本発明の目的は、第1生地をヘッドレール近傍までたくし上げても、第2生地の見栄えを損わず、また第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に強い光が当っても、室内へのスポットライト状の光漏れを防止できる、ローマンシェードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、ヘッドレール16と、ヘッドレール16の前面及び後面に上端がそれぞれ取付けられた第1及び第2生地11,12と、ヘッドレール16から昇降可能に垂下されて第1及び第2生地11,12にそれぞれ連結された第1及び第2昇降コード21,22とを備えたローマンシェードの改良である。
その特徴ある構成は、ヘッドレール16から垂下された第1昇降コード21が第1生地12の後側に配索され、ヘッドレール16から垂下された第2昇降コード22が第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aを通って第2生地12の前側から後側に配索され、挿通孔12aを覆う第3生地13が第2昇降コード22を昇降できる隙間を設けた状態で第2生地12の前面に取付けられたところにある。
この請求項1に記載されたローマンシェードでは、ヘッドレール16から垂下され第1生地12を昇降させる第1昇降コード21を第1生地11の後側に配索し、ヘッドレール16から垂下され第2生地12を昇降させる第2昇降コード22を、第2生地12の上端付近の挿通孔12aに通し、第2生地12の前側から後側に導いて第2生地12の後側に配索したので、第2昇降コード22が第1昇降コード21からほぼ完全に分離されて、第2昇降コード22が第1昇降コード21に絡まない。また第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aが第3生地13により覆われているため、第2生地12を下ろした状態で第1生地11のみをヘッドレール16近傍までたくし上げても、第2生地12の見栄えを損わず、第1及び第2生地11,12を下ろした状態で第2生地12に太陽光等の強い光が当っても、第1生地11にスポットライト状の強い光が照射されない。更に上記第3生地13を第2生地12の前面に取付けるときに第2昇降コード22を昇降できる隙間を設けたので、第2昇降コード22が第2又は第3生地12,13に引っ掛かることなくスムーズに昇降する。
【0005】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1及び図3に示すように、第3生地13が第2生地12の幅と略同一の長さと挿通孔12aの直径より所定量だけ大きい幅とを有する帯状に形成され、第3生地13の下縁及び両側縁が第2生地12に縫付けられたことを特徴とする。
この請求項2に記載されたローマンシェードでは、全ての挿通孔12aを1枚の第3生地13で覆うことができるので、僅かな部品点数の増大で済む。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図5及び図6に示すように、第3生地103が挿通孔12aの直径より所定量だけ大きい四角形状に形成され、第3生地13の下縁及び両側縁が第2生地12に縫付けられたことを特徴とする。
この請求項3に記載されたローマンシェードでは、挿通孔12aの数だけ第3生地103の枚数が増えるけれども、第3生地103の使用面積を必要最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、本発明によれば、ヘッドレールから垂下された第1昇降コードを第1生地の後側に配索し、ヘッドレールから垂下された第2昇降コードを第2生地の挿通孔に通して第2生地の前側から後側に配索したので、第2昇降コードが第1昇降コードからほぼ完全に分離されて、第2昇降コードが第1昇降コードに絡まない。この結果、第2昇降コードを昇降させたときに、第1生地が意に反して昇降することがなく、第2生地のみを確実に昇降させることができる。また第2生地を下ろした状態で第1生地のみをヘッドレール近傍までたくし上げたときに、第2生地の上端付近に形成された挿通孔が室内側に露出して見栄えを損う従来のローマンシェードと比較して、本発明のローマンシェードでは、第2生地の上端付近に形成された挿通孔が第3生地により覆われているため、第2生地を下ろした状態で第1生地のみをヘッドレール近傍までたくし上げても、第2生地の見栄えを損うことはない。また第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に太陽光等の強い光が当ったときに、第2生地に形成された挿通孔を通ったスポットライト状の強い光が第1生地を透過して、室内にスポットライト状の光漏れが発生する従来のローマンシェードと比較して、本発明のローマンシェードでは、第2生地の上端付近に形成された挿通孔が第3生地により覆われているため、第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に太陽光等の強い光が当っても、第1生地にスポットライト状の強い光が照射されず、室内にスポットライト状の光漏れが発生することはない。また上記第3生地を第2生地の前面に取付けるときに第2昇降コードを昇降できる隙間を設けたので、第2昇降コードが第2又は第3生地に引っ掛かることなくスムーズに昇降する。
また第3の生地を、第2生地の幅と略同一の長さと挿通孔の直径より所定量だけ大きい幅とを有する帯状に形成し、第3生地の下縁及び両側縁を第2生地に縫付ければ、全ての挿通孔を1枚の第3生地で覆うことができるので、僅かな部品点数の増大で済む。
更に第3生地を、挿通孔の直径より所定量だけ大きい四角形状に形成し、第3生地の下縁及び両側縁を第2生地に縫付ければ、挿通孔の数だけ第3生地の枚数が増えるけれども、第3生地の使用面積を必要最小限に抑えることができるので、生地の材料費は僅かな増加で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図4に示すように、ローマンシェード10は、固定用ブラケット14を介して部屋の壁面17に取付けられたヘッドレール16と、このヘッドレール16に上端がそれぞれ取付けられヘッドレール16の長さと略同一の幅を有する第1及び第2生地11,12と、ヘッドレール16から昇降可能に垂下されて第1及び第2生地11,12にそれぞれ連結された第1及び第2昇降コード21,22とを備える。ヘッドレール16はアルミニウム合金等の金属の押出し成形又は引抜き成形により横断面略逆U字状に形成され、天板部16aと、天板部16aの前縁から垂下された前壁16bと、天板部16aの後縁から垂下された後壁16cとを有する。図1及び図2に詳しく示すように、ヘッドレール16の前面、即ちヘッドレール16の前壁16bの前面には、第1生地11が第1面ファスナ31を介してを取付けられる。第1面ファスナ31は、ヘッドレール16の長さと略同一の長さを有する比較的厚い硬質プラスチック等により形成された第1帯状板31aと、この第1帯状板31aの表面に密集した状態で並んで設けられた多数の第1鉤状突起31bと、第1生地11の幅と略同一の長さを有する第1帯状布31cと、この第1帯状布31cの表面に密集した状態で並んで設けられ第1鉤状突起31bに離脱可能に係止する多数の第1リング状突起31dとを有する。またヘッドレール16の前壁16bの上部及び中央下部には、上記第1帯状板31aの上縁及び下縁をそれぞれ保持する一対の第1フック16d,16dがそれぞれヘッドレール16の長手方向に延びて設けられ、第1生地11の後面上縁には上記第1帯状布31cが縫付けられる。これにより第1生地11の上端がヘッドレール16の前面に離脱可能に取付けられる。なお、上記一対の第1フック16d,16dはヘッドレール16と一体的に設けられる。
【0008】
一方、ヘッドレール16の後面、即ちヘッドレール16の後壁16cの後面には、第2生地12が第2面ファスナ32を介して取付けられる。第2面ファスナ32は、上記第1面ファスナ31と略同様に構成され、比較的厚い硬質プラスチック等により形成された第2帯状板32aと、この第2帯状板32aの表面に密集した状態で並んで設けられた多数の第2鉤状突起32bと、第2帯状布32cと、この第2帯状布32cの表面に密集した状態で並んで設けられ第2鉤状突起32bに離脱可能に係止する多数の第2リング状突起32dとを有する。またヘッドレール16の後壁16cの上部及び下部には、上記第2帯状板32aの上縁及び下縁をそれぞれ保持する一対の第2フック16j,16jがそれぞれヘッドレール16の長手方向に延びて設けられ、第2生地12の前面上縁には上記第2帯状布32cが縫付けられる。これにより第2生地11の上端がヘッドレール16の後面に離脱可能に取付けられる。なお、上記一対の第2フック16j,16jはヘッドレール16と一体的に設けられる。
【0009】
第2生地12の上端付近には、即ち第2生地12の上端をヘッドレール16の後面に取付けた状態でヘッドレール16の下端より下側かつ後述する最上端の第2コードリング42より上側の範囲内であって、後述するコード挿通部材19から垂下された第2昇降コード22の通過する部分には、孔径0.5〜3cmの挿通孔12aが形成される。また第2生地12には上記挿通孔12aの周縁の解れを防止するためのリング部材18が取付けられる。このリング部材18は挿通孔12aの周縁を前後から被覆するように第2生地12に取付けられる。第2昇降コード22はリング部材18の透孔18aに挿通され、これにより第2昇降コード22は挿通孔12aに挿通される。また上記挿通孔12aは第2生地12の前面側から第3生地13により覆われる。具体的には、第3生地13は、第2生地12の幅と略同一の長さと、挿通孔12aの直径より所定量だけ大きい幅とを有する帯状に形成され、この第3生地13の下縁及び両側縁が第2生地12に縫付けられる。これにより第3生地13の上縁が開口しているので、この開口から第2及び第3生地12,13間の隙間に第2昇降コード22を挿入して第2生地12の挿通孔12aに挿通することができるとともに、この第2昇降コード22を昇降できるようになっている。なお、リング部材18の外径は、挿通孔12aの孔径をdとするとき、2.3d〜3.3d、好ましくは2.6d〜3.0dの範囲に設定され、第3生地13の幅、即ち第3生地13を第2生地12に縫付けたときの第3生地13の高さ(鉛直方向の長さ)は、3.0d〜4.0d、好ましくは3.6d〜4.0dの範囲であって、しかもリング部材18の外径より広く(高く)設定される。ここで、リング部材18の外径を2.3d〜3.3dの範囲に限定したのは、2.3d未満ではリング部材18が第2生地12から脱落するおそれがあり、3.3dを越えると必要以上に大きくなって経済的でないからである。また第3生地13の幅を3.0d〜4.0dの範囲に限定したのは、3.0d未満ではリング部材18を覆い隠せず、4.0dを越えると必要以上に大きくなって経済的でないからである。
【0010】
一方、ヘッドレール16の天板部16aと前壁16bと後壁16cにより囲まれた空間16eには、複数(図3の例では2個)のコード挿通部材19がヘッドレール16の長手方向の任意の位置に収容される。コード挿通部材19は上記ヘッドレール16の空間に離脱可能にはめ込まれ、この空間16eがコード挿通部材19によりロア空間16f及びアッパ空間16gに分割されるように構成される。図1及び図2に示すように、ロア空間16fには複数本の第1昇降コード21が挿通される。これらの第1昇降コード21の一端部は、対応する所定のコード挿通部材19から垂下され、第1生地11の後面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数の第1コードリング41に挿通されて鉛直下方に配索された後、第1生地11の下端に取付けられた第1ウエイトバー51又は最下端の第1コードリング41に連結される(図4では最下端の第1コードリング41に連結される場合を示す。)。また第1昇降コード21の他端部は、コード挿通部材19に挿通されてロア空間16fを右方向に導かれて、ヘッドレール16の右端下部に設けられた停止手段であるストッパ23に挿通された後、ストッパ23から垂下されて第1操作つまみ61に連結される。上記アッパ空間16gには、複数本の第2昇降コード22が挿通される。これらの第2昇降コード22の一端部は、対応する所定のコード挿通部材19から垂下され、第2生地12の挿通孔12aに挿通された後に、第2生地12の後面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数の第2コードリング42に挿通されて鉛直下方に配索され、更に第2生地12の下端に取付けられた第2ウエイトバー52又は最下端の第2コードリング42に連結される(図4では最下端の第2コードリング42に連結される場合を示す。)。また第2昇降コード22の他端部は、コード挿通部材19に挿通されてアッパ空間16gを右方向に導かれてストッパ23に挿通された後、ストッパ23から垂下されて第2操作つまみ62に連結される。
【0011】
上記ストッパ23は、第1及び第2操作つまみ61,62が設けられた側の第1及び第2昇降コード21,22の上昇をそれぞれ禁止又は許容するように構成される。具体的には、第1操作つまみ61が設けられた側の第1昇降コード21を下降させた後に上昇させると、ストッパ23は第1昇降コード21の上昇を禁止し、上昇が禁止された第1昇降コード21を一旦下降させると再び第1昇降コード21の上昇を許容するように構成される。即ち、第1操作つまみ61が設けられた側の第1昇降コード21を上昇させると、ヘッドレール16のコード挿通部材19から垂下されて第1生地11に連結された側の第1昇降コード21が下降し、逆に第1操作つまみ61が設けられた側の第1昇降コード21を下降させると、第1生地11に連結された側の第1昇降コード21が上昇して第1生地11をたくし上げることができるように構成される。一方、第2操作つまみ62が設けられた側の第2昇降コード22を下降させた後に上昇させると、ストッパ23は第2昇降コード22の上昇を禁止し、上昇が禁止された第2昇降コード22を一旦下降させると再び第2昇降コード22の上昇を許容するように構成される。即ち、第2操作つまみ52が設けられた側の第2昇降コード22を上昇させると、ヘッドレール16のコード挿通部材19から垂下されて第2生地12に連結された側の第2昇降コード22が下降し、逆に第2操作つまみ62が設けられた側の第2昇降コード22を下降させると、第2生地12に連結された側の第2昇降コード22が上昇して第2生地12をたくし上げることができるように構成される。上述のように、第1及び第2昇降コード21,22はそれぞれが別個独立して上下動させることができるけれども、第1及び第2操作つまみ61,62の上側で第1及び第2昇降コード21,22が連結部材24により連結され、この連結部材24を操作することにより第1及び第2昇降コード21,22を同時に上下動させることができるようになっている。
【0012】
一方、固定用ブラケット14は、前爪71aが形成された第1ブロック体71と、後爪72aが形成された第2ブロック体72とを有する。第2ブロック体72は第1ブロック体72に対して前後方向に移動するように構成され、前爪71a及び後爪72aはヘッドレール16を前後から把持するように構成される。また第1ブロック体71は部屋の壁面17に木ねじ26により固定される(図4)。更にヘッドレール16の天板部16aの前端及び後端には、前爪71a及び後爪72aがそれぞれ係止する前側係止部16h及び後側係止部16iがそれぞれ設けられる。第2ブロック体72は図示しないバネにより前爪71aを後爪72aに近付ける方向に付勢され、前爪71a及び後爪72aでヘッドレール16を前後から保持することによりヘッドレール16は部屋の壁面17に対し略水平に固定される(図4)。なお、前側係止部16h及び後側係止部16iはヘッドレール16と一体的に設けられ、前側係止部16hは第1面ファスナ31の第1帯状板31aの上縁を保持する第1フック16dを兼ねる。
【0013】
このように構成されたローマンシェード10の使用方法を説明する。
第1又は第2生地11,12を昇降させるには、第1又は第2生地11,12に対応してヘッドレール16の右側に配設された第1又は第2操作つまみ61,62を操作することにより行う(図3)。例えば、第1生地11を上昇させる場合には、第1操作つまみ61を下方に引張ることにより、この第1操作つまみ61が設けられた側の第1昇降コード21が引き下ろされるとともに、第1生地11に連結された側の第1昇降コード21が上昇して第1ウエイトバー51が上昇する。このとき第1生地11は互いに隣接する第1コードリング41間でひだを形成しながら、たくし上げられる。第1操作つまみ61を下方に引張る力を緩めると、ストッパ23が第1昇降コード21の上昇を禁止し、第1生地11がたくし上げられた状態に保持される。一方、第1生地11を下降させる場合には、第1操作つまみ61を少し下方に引張って、第1操作つまみ61が設けられた側の第1昇降コード21の上昇を許容した後、第1操作つまみ21を徐々に上げる。これにより第1生地11に連結された側の第1昇降コード21が第1ウエイトバー51及び第1生地11の自重により下降する。また第2生地12は第2操作つまみ62を上記第1操作つまみ61と同様に操作することにより昇降できる。なお、この実施の形態では、ヘッドレールを固定用ブラケットを介して部屋の壁面に取付けたが、ヘッドレールを固定用ブラケットを介して部屋の天井面に取付けてもよい。
【0014】
このように構成されたローマンシェード10では、ヘッドレール16から垂下され第1生地11を昇降させる第1昇降コード21を第1生地11の後側に配索し、ヘッドレール16から垂下され第2生地12を昇降させる第2昇降コード22を、第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aに通し、第2生地12の前側から後側に導いて第2生地12の後側に配索したので、第2昇降コード22が第1昇降コード21からほぼ完全に分離されて、第2昇降コード22が第1昇降コード21に絡まない。この結果、第2昇降コード22を昇降させたときに、第1生地11が意に反して昇降することがなく、第2生地12のみを確実に昇降させることができる。換言すれば、第2生地12を昇降させる第2昇降コード22における機能に支障を生じさせず、第2生地12をたくし上げる際に第1生地11が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。また従来のローマンシェードでは、第2生地を下ろした状態で第1生地のみをヘッドレール近傍までたくし上げたときに、第2生地の上端付近に形成された挿通孔が室内側に露出して見栄えを損う問題点があった。これに対し、本発明のローマンシェード10では、第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aが第3生地13により覆われているため、第2生地12を下ろした状態で第1生地11のみをヘッドレール16近傍までたくし上げても、第2生地12の見栄えを損うことはない。
【0015】
また従来のローマンシェードでは、第1及び第2生地を下ろした状態で第2生地に太陽光等の強い光が当ったときに、第2生地に形成された挿通孔を通して第1生地にスポットライト状の強い光が照射され、室内にスポットライト状の光漏れが発生する問題点があった。これに対し、本発明のローマンシェード10では、第2生地12に形成された挿通孔12aが第3生地13により覆われているため、第1及び第2生地11,12を下ろした状態で第2生地12に太陽光等の強い光が当っても、第1生地11にスポットライト状の強い光が照射されず、室内にスポットライト状の光漏れが発生することはない。また第3生地13の上縁が開口しており、この開口から第2及び第3生地12,13間の隙間に第2昇降コード22を挿入して第2生地12の挿通孔12aに挿通することができるとともに、この第2昇降コード22を昇降できるので、第2昇降コード22が第2又は第3生地12,13に引っ掛かることなくスムーズに昇降する。更に第3生地13を、第2生地12の幅と略同一の長さを有する帯状に形成し、第3生地13の下縁及び両側縁を第2生地12に縫付けたので、全ての挿通孔12aを1枚の第3生地13で覆うことができる。この結果、僅かな部品点数の増大で済む。
【0016】
<第2の実施の形態>
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態を示す。図5及び図6において図1及び図3と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、第3生地103が挿通孔12aの直径より所定量だけ大きい四角形状に形成され、第3生地103の下縁及び両側縁が第2生地12に縫付けられる。これにより第3生地103の上縁が開口しているので、この開口から第2及び第3生地12,103間の隙間に第2昇降コード22を挿入して第2生地12の挿通孔12aに挿通することができるとともに、この第2昇降コード22を昇降できるようになっている。なお、四角形状の第3生地103の幅は、挿通孔12aの孔径をdとするとき、3.0d〜4.0d、好ましくは3.6d〜4.0dの範囲であって、しかもリング部材18の外径より広く設定され、四角形状の第3生地103の高さは3.0d〜4.0d、好ましくは3.6〜4.0dの範囲であって、しかもリング部材18の外径より高く設定される。ここで、第3生地103の幅を3.0d〜4.0dの範囲に限定したのは、3.0d未満ではリング部材18を覆い隠せず、4.0dを越えると必要以上に大きくなって経済的でないからである。また第3生地103の高さを3.0d〜4.0dの範囲に限定したのは、3.0d未満ではリング部材18を覆い隠せず、4.0dを越えると必要以上に大きくなって経済的でないからである。
【0017】
一方、ヘッドレール16の内部には、第1昇降コード21を繰出し可能に巻取る複数のドラム91が設けられ、これらのドラム91を回転させることにより第1昇降コード21が上下動するように構成される。具体的には、ヘッドレール16内にこのレール16の長手方向に所定の間隔をあけて複数のドラム受け92が固定され、これらのドラム受け92にドラム91が回転可能に保持される。また各ドラム91には、第1昇降コード21の他端が巻取り可能かつ繰出し可能に連結される。第1昇降コード21の一端部は、対応する所定のドラム91から垂下され、第1生地11の後面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数の第1コードリング41を挿通されて鉛直下方に配索された後、第1生地11の下端に取付けられた第1ウエイトバー51又は最下端の第1コードリング41に連結される。各ドラム91には単一の回転軸93が挿通され、これらのドラム91は回転軸93とともに回転するように構成される。回転軸93はヘッドレール16内にこのレール16の長手方向に延びて設けられ、その左端が第1操作部101に連結される(図6)。第1操作部101はケース101aに収容され、スプロケット(図示せず)と、このスプロケットの下部に配置される係止部(図示せず)と、そのスプロケットに巻き掛けられケース101aの下端から垂下された操作チェーンと101bからなる。
【0018】
一方、各ドラム受け92にはヘッドレール16の前後方向に延びるピン94が回転可能にそれぞれ取付けられ、これらのピン94には複数本の第2昇降コード22がそれぞれ掛けられる。これらの第2昇降コード22の一端部は、対応する所定のピン94から垂下され、第2生地12の上端付近に形成された挿通孔12aに挿通された後に、第2生地12の後面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数の第2コードリング42に挿通されて鉛直下方に配索され、更に第2生地12の下端に取付けられた第2ウエイトバー52又は最下端の第2コードリング42に連結される。また第2昇降コード22の他端部は、ヘッドレール16内を右方向に導かれてストッパ23に挿通された後、ストッパ23から垂下されて第2操作つまみ62に連結される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0019】
このように構成されたローマンシェード90の使用方法を説明する。操作チェーン101bを操作すると、スプロケット及び回転軸93が回転し、更にドラム91が回転して、第1生地11が昇降する。また第2生地12は第2操作つまみ62を操作することにより、第1の実施の形態と略同様に昇降する。
このように構成されたローマンシェード90では、第3生地103を、挿通孔12aの直径より所定量だけ大きい四角形状に形成し、第3生地103の下縁及び両側縁を第2生地12に縫付けたので、挿通孔12aの数だけ第3生地103の枚数が増えるけれども、第3生地103の使用面積を必要最小限に抑えることができる。この結果、生地の材料費は僅かな増加で済む。上記以外の作用は第1の実施の形態の作用と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
なお、上記第2の実施の形態では、ヘッドレール内のドラムに第1昇降コードを繰出し可能に巻取り、これらのドラムを回転させることにより第1昇降コードを上下動させるように構成したが、ヘッドレール内のドラムに第2昇降コードを繰出し可能に巻取り、これらのドラムを回転させることにより第2昇降コードを上下動させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明第1実施形態のローマンシェードを示す図3のA−A線断面図である。
【図2】そのローマンシェードのヘッドレールに第1及び第2生地を取付ける直前状態を示す図1に対応する断面図である。
【図3】そのローマンシェードの要部を破断した正面図である。
【図4】そのローマンシェードの側面図である。
【図5】本発明第2実施形態のローマンシェードを示す図6のB−B線断面図である。
【図6】そのローマンシェードの要部を破断した正面図である。
【符号の説明】
【0021】
10,90 ローマンシェード
11 第1生地
12 第2生地
12a 挿通孔
13,103 第3生地
16 ヘッドレール
21 第1昇降コード
22 第2昇降コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレール(16)と、前記ヘッドレール(16)の前面及び後面に上端がそれぞれ取付けられた第1及び第2生地(11,12)と、前記ヘッドレール(16)から昇降可能に垂下されて前記第1及び第2生地(11,12)にそれぞれ連結された第1及び第2昇降コード(21,22)とを備えたローマンシェードにおいて、
前記ヘッドレール(16)から垂下された前記第1昇降コード(21)が前記第1生地(11)の後側に配索され、
前記ヘッドレール(16)から垂下された前記第2昇降コード(22)が前記第2生地(12)の上端付近に形成された挿通孔(12a)を通って前記第2生地(12)の前側から後側に配索され、
前記挿通孔(12a)を覆う第3生地(13,103)が前記第2昇降コード(22)を昇降できる隙間を設けた状態で前記第2生地(12)の前面に取付けられた
ことを特徴とするローマンシェード。
【請求項2】
第3生地(13)が第2生地(12)の幅と略同一の長さと挿通孔(12a)の直径より所定量だけ大きい幅とを有する帯状に形成され、前記第3生地(13)の下縁及び両側縁が前記第2生地(12)に縫付けられた請求項1記載のローマンシェード。
【請求項3】
第3生地(103)が挿通孔(12a)の直径より所定量だけ大きい四角形状に形成され、前記第3生地(103)の下縁及び両側縁が前記第2生地(12)に縫付けられた請求項1記載のローマンシェード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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