説明

ローラコンベア用ローラ

【課題】実現可能であると共に手間のかかる補正を必要とせず、搬送商品を確実に検知する容量式センサを備えた、改良ローラを提供する。
【解決手段】ローラは、内蔵された容量式センサを有しており、ローラの搬送側とは反対の側に少なくとも一つの参照センサを配設していること、及び、対象物がローラ上で搬送されるときに、センサ信号と参照センサ信号との差異からスイッチ信号を送出することができるように構成された判定ユニットを設けていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベアのための、特に内蔵された容量式センサを備えた搬送システム及び/又は物流管理システムのためのローラに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫や搬送の技術においては、物体の流れをコントロールするために、搬送区間の特定の位置で、搬送商品、例えば箱類や包装品の存在を検知しなければならない。そのために、特に光学式、磁気式、誘電式、又は容量式のセンサを搬送区間の対応する位置に装備し、ローラコンベア上の搬送商品を検知する。
【0003】
その検知は、大抵は外部で搬送区間に設けたセンサを使って行う。これは、適切な固定技術を使って搬送区間に手間をかけて取り付けなければならず、更に、個別のケーブルを使って、一方でエネルギー供給部に、他方で通信ネット(実施方法に従い、集中コントロールユニット、又は隣接するセンサのチェーン回路)に接続しなければならない。更なる欠点は、追加のスペースと追加のコストを必要とすることであり、個別に取り付けた多数のセンサを、手間をかけて個々に補正することである。更に外部に取り付けたセンサは、周囲環境、例えば検知面の汚染や損傷などによる機械的な影響要因に対して基本的に脆弱である。このことによりメンテナンス工数が増大し、センサを機械的に保護するために頑丈なケーシング設計が不可欠であり、このことが余分な費用の原因となる。その他にも、個別のセンサに結線を行う必要がある。
【0004】
DE 101 31 019 A1には、容量式センサをローラに内蔵したローラコンベア用ローラが開示されている。これによると、容量式センサが、その電気的な検知領域が搬送商品の方に向くように組み付けられる。搬送商品がローラ上を動くと、電気的領域の離調が起きる。これにより、センサが搬送商品の存在を検知し、これをスイッチ出力部に伝える。DE 101 31 019 A1によれば、容量式センサは、ローラに隠すように配置しなければならないことになっている。これを行う方法は、詳しくは開示されていない。
【特許文献1】DE 101 31 019 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術を前提に、本発明の課題は、実現可能であると共に手間のかかる補正を必要とせず、搬送商品を確実に検知する容量式センサを備えた、改良ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を、請求項1の特徴を有するローラコンベア用ローラにより解決する。
【0007】
ローラコンベアのための、特に搬送システム及び/又は物流管理システムのために本発明によるローラは、内蔵された容量式センサを有しており、ローラの搬送側とは反対の側に少なくとも一つの参照センサを配設していること、及び、対象物がローラ上で搬送されるときに、センサ信号と参照センサ信号との差異からスイッチ信号を送出することができるように構成された判定ユニットを設けていること、を特徴とする。
【0008】
容量式センサに加えて容量式の参照センサを設けていると、ローラを使用開始するときに、これら両センサの信号の差異がゼロとなるように、両センサ間で簡単に調整を行うことができる。このため、補正や手間のかかるセンサ領域調整を全く必要としない。運転時に搬送商品が存在すると、センサが参照センサとは違って別の信号を送出するので、差異信号がゼロとはならず、簡単な判定により搬送商品存在信号を出力することができる。この種の構成、及びこれにより可能となる搬送商品の検知方法は、空気中の湿気、ローラ上の付着物などのような周囲環境条件とは基本的に関係がない。なぜなら、測定信号の影響要因が参照センサにより補償されるからである。
【0009】
センサが搬送側でのみ検知しかつできるだけ大きな検知範囲を有するよう、センサは、軸に固定されると共に、周囲にあるローラ外側円筒体の内側のできるだけ近くに配設されている。
【0010】
センサの検知面が、搬送商品がローラを通過する範囲と較べて幅狭であるとき、ローラの長手方向で別のセンサを前後に配設すると利点があり、これにより搬送商品を検知すべき全範囲が検知される
【0011】
センサ用判定ユニットをローラ自体に内蔵し、これによりローラをまとまったユニットとして形成すると有利である。
【0012】
ローラコンベアにおいて、駆動ローラの他に、一定の数の非駆動ローラを設けている場合があることを言及しておきたい。更に、電気的に駆動される駆動ローラによる動きを、カップリング要素を介してモータのないローラに伝達することも可能である。本発明によるローラは、電気的なエネルギー供給部に接続可能な、内蔵された駆動部を有する駆動ローラとすることができる、或いは、本発明によるローラは、受動的なローラ、即ち非駆動又はモータなしのローラとして内蔵することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下において本発明を、実施例を用いて図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
図面における唯一の図は、ローラコンベア用の本発明によるローラ10の断面を概略的に示す。ローラ10は、軸受14に固定されており、固定状態にある軸12を有する。ローラ10は更に外側円筒体16を含み、外側円筒体16は軸12を中心に回転自在であると共に適切な手段で支承されている。外側円筒体16は、ローラ10の内部に配設されたモータ18とギア20により駆動される。
【0015】
ローラの内部では更に、固定された軸12に容量式センサ22が固定されており、その検知範囲26はローラ10の搬送側24で延伸している。搬送側24において、対象物28がローラ10の上方で搬送される。ローラ10の搬送側に対象物28が存在すると、検知範囲26における容量特性が変化し、これを容量センサ22により検知する。センサ22は判定ユニット30に接続されており、図示していないが適切な手段により、最終的に対象物確認信号を出力することができる。
【0016】
本発明によれば、ローラ10の内部において、ローラ10の搬送側24とは反対の側に少なくとも一つの、同じく容量センサであると共に参照センサ信号を判定ユニット30に送出する参照センサ32が配設されている。参照センサ32が「見ている」のは外側円筒体16の壁面34のみであるため、センサ22の信号と参照センサ信号との差異は、搬送側に対象物が存在しない時にはほぼゼロに等しく、対象物が存在する時にはゼロではないことになる。
【0017】
センサ22の検知範囲26が、対象物が出現する可能性のある範囲と比べて比較的小さい場合は、ローラ10の長手方向Lで前後に別の容量式センサ36,38を配設していると有意義であり、これにより基本的に、ローラで搬送商品を載せる長さ全体がセンサ22,36,38により検知される。本発明による変形例では、反対側に別の参照センサ40,42を配設することもできるであろう。これら追加のセンサ全てが、判定ユニット30、又は44,46にある追加の判定ユニットと接続されていることがある。
【0018】
駆動モータ18とセンサのための、更には判定ユニットのための電気的なエネルギー供給は、図示していないが適切な手段により、対応する配線を介して行う。同じく図示していない配線又はワイヤ配線を介してでも、対象物確認信号を外部に向かってローラコンベアの対応する制御装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるローラコンベア用ローラ10の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラコンベアのための、特に搬送システム及び/又は物流管理システムのための、内蔵された容量式センサを備えたローラにおいて、
ローラの搬送側とは反対の側に、少なくとも一つの参照センサが配設されていること、及び、
対象物がローラ上で搬送されるときに、センサ信号と参照センサ信号との差異からスイッチ信号を送出することができるように構成された判定ユニットが設けられていること、
を特徴とするローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のローラにおいて、センサが、軸に固定されると共に、周囲にあるローラ外側円筒体の内側のできるだけ近くに配設されていること、を特徴とするローラ。
【請求項3】
前記請求項のいずれかに記載のローラにおいて、複数のセンサがローラの長手方向で前後に配設されており、これにより基本的に、ローラで搬送商品を載せる長さ全体がセンサにより検知されること、を特徴とするローラ。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載のローラにおいて、ローラが、電気的なエネルギー供給部に接続可能な、内蔵された駆動部を有すること、を特徴とするローラ。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のローラにおいて、判定ユニットがローラに内蔵されていること、を特徴とするローラ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−113987(P2009−113987A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271370(P2008−271370)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(591005615)ジック アーゲー (34)
【Fターム(参考)】