説明

ローラコンベア装置

【課題】物品を収容した収容箱を複数個積み重ねてキャスター輪付きの台車に載せた被搬送体を搬送可能なローラコンベア装置、コンベア搬送からキャスター輪搬送に円滑に切換え可能で且つその搬送を適切にコントロール可能なローラコンベア装置。
【解決手段】ローラコンベア装置は、スタート地点SPよりも上流側の前段ステージ4に装備され、床面と同レベルの上昇位置とこの上昇位置から所定距離下降させた下降位置とに亙って昇降可能な載置台12を備えたリフタ機構11と、スタート地点SPから目的地点TPまで被搬送体Wを搬送するローラコンベア20と、ローラコンベア20の下流部分に装備され被搬送体Wのキャスター輪を接地させるために搬送面を傾斜させた傾斜コンベア21と、傾斜コンベア21に設けられて被搬送体Wを下流側へ押動移送するキャリッジ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベア装置に関し、特にパチンコ遊技機に組み付けられる電子機器(例えば、液晶ユニット等)を組み立てる工場において、電子機器を収容した収容箱をキャスター付き台車に載せた被搬送体を搬送するローラコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組み立て工場等において電子機器等を搬送する搬送手段としては、ローラコンベアやスラットコンベアを用いたコンベア方式、レール上を移動するレール式搬送台方式、無人搬送台車、キャスター輪付き台車に被搬送体を載せて人力により押動して搬送する方式、天井側のレールに沿って移動する搬送具で搬送する方式など種々の方式が実用に供されている。
【0003】
電子機器等を収納箱に収納して多数保管する保管倉庫システムとしては、自動倉庫装置が広く採用されている。この自動倉庫装置では、床面上に配設された搬送レール、搬送レール上を走行する搬送兼出し入れロボット、搬送ロボットの走行領域の両側に設けられた複数段の収納棚等を有する。
【0004】
物品を収容した収容箱を複数個積み重ねてキャスター輪付き台車に載せた被搬送体をスタート地点(例えば搬入地点)から目的地点(例えば保管棚)まで搬送する場合、作業者が被搬送体を1台ずつ押動して搬送するのが普通のやり方である。
【0005】
特許文献1には部品搬送保管システムが開示され、この部品搬送保管システムでは、遊技機の枠物品を複数個(6個ずつ3段、合計18個)ずつキャスター輪付きのコンテナ台車に収納している。このコンテナ台車を15台ずつ8列に保管可能な自動倉庫を設け、この自動倉庫に4本の搬送レールと4組の自動搬送装置を設け、自動倉庫の入庫ステーションにターンテーブル、コンテナ台車を各列へ振り分け入庫する為の入庫搬送レールを設け、出庫ステーションに出庫搬送台、ターンテーブル、搬送レール、垂直搬送設備等を設けることで、遊技機の枠物品を収納したコンテナ台車を自動搬送可能としている。
【0006】
特許文献2には、キャスター輪付き台車の搬送装置が開示され、この搬送装置では、キャスター輪付き台車を搬送路面に沿って牽引するチェーンと、チェーンの連結部から離れた位置に取付けられたローラと、台車に取付けられたローラを移動自在に係合するガイドを設けることで、旋回時の安定した軌道を確保するため、台車の急激な旋回を規制している。
【0007】
特許文献3に開示された自動搬送装置では、輸送ラインの被搬送体流れ方向両側に沿って、定型パレット幅に対応させてローラコンベアを並設し、その両側のローラコンベア間にキャスター輪付きカーゴ台車を載せて搬送可能なスラットコンベアを設け、定型パレットはローラコンベアで搬送し、カーゴ台車はスラットコンベアで搬送可能としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−249207号公報
【特許文献2】特開平10−59519号公報
【特許文献3】特開2002−37438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
物品を収容した収容箱を複数個積み重ねたキャスター輪付き台車に載せた被搬送体を搬送するのに、作業者が被搬送体を押動して搬送する場合には、作業者の負荷が大きく、搬送の自動化を図ることができない。しかも、収容箱をキャスター輪付き台車上に人手により複数個積み重ねる際にも、多大の労力を要し、作業能率を高めるのが難しい。
【0010】
そこで、上記の被搬送体の搬送にローラコンベアを用いることが考えられるが、ローラコンベアの終端においてコンベア搬送からキャスター輪搬送に切換えることは容易ではない。その切換えの為にローラコンベアの終端に傾斜コンベア等を設けるとしても、その勾配を大きく設定する場合には、キャスター輪が接地するときの衝撃が大きく、その衝撃により荷崩れが発生したり、搬送する物品や台車を損傷する虞がある。
【0011】
他方、傾斜コンベアの勾配を緩く設定すると、被搬送体を下降させる搬送力が不足し、キャスター輪が接地する位置の手前の位置で被搬送体が停止したりするため、人手により搬送をアシストする等のトラブルが発生しやすい。また、傾斜コンベアにおいて、その下流側の状況に応じて被搬送体の搬送をコントロールすることも容易ではない。尚、特許文献1〜3の技術を採用したとしても、上記の課題を解決することはできない。
【0012】
本発明の目的は、物品を収容した収容箱を複数個積み重ねてキャスター輪付きの台車に載せた被搬送体を搬送可能なローラコンベア装置、コンベア搬送からキャスター輪搬送に円滑に切換え可能で且つその搬送を適切にコントロール可能なローラコンベア装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は以下の構成を有するものである。尚、参照符号は、本発明の理解促進の為に図面に図示した構成要素との対応関係を一例を示したものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
請求項1のローラコンベア装置は、物品を収容した収容箱(9) を複数個積み重ねてキャスター輪(10b) 付き台車(10)に載せた被搬送体(W) をスタート地点(SP)から目的地点(TP)まで搬送するローラコンベア装置において、前記スタート地点(SP)より上流側の前段ステージ(4) に装備され、被搬送体(W) を載置する載置台(12)であって床面と同レベルの上昇位置とこの上昇位置から所定距離下降させた下降位置とに亙って昇降可能な載置台(12)を備えたリフタ機構(11)と、前記スタート地点(SP)から目的地点(TP)まで被搬送体(W) を搬送するローラコンベア(20)と、前記ローラコンベア(20)の下流部分に装備され被搬送体(W) の前記キャスター輪(10b) を接地させるために搬送面を傾斜させた傾斜コンベア(21)と、前記傾斜コンベア(21)に設けられて被搬送体(W) を下流側へ押動移送するキャリッジ機構(22)とを備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2のローラコンベア装置は、請求項1の発明において、前記キャリッジ機構(22)は、被搬送体(W) を押動するキャリッジ(29)と、このキャリッジ(29)を案内するガイド機構と、キャリッジ(29)を往復駆動可能な往復駆動手段(30)と、前記キャリッジ(29)に装備され且つ被搬送体(W) の搬送方向上流端に係合して下流側へ押す複数の上下揺動式アンチバック部材(32)とを備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項3のローラコンベア装置は、請求項1または2の発明において、前記ローラコンベア(20)の両側位置に、被搬送体(W) の台車(10)のキャスター輪(10b) を搬送方向に整列させる少なくとも1対の整列機構(27)を設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項4のローラコンベア装置は、請求項1〜3の何れか1つの発明において、前記リフタ装置(11)は、被搬送体(W) の重量を測定する重量測定手段を有することを特徴としている。
【0017】
請求項5のローラコンベア装置は、請求項1〜4の何れか1つの発明において、前記リフタ装置(11)とスタート地点(SP)の間に、被搬送体(W) の正面視の外形をチェックする外形チェック手段(14)を設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項6のローラコンベア装置は、請求項1〜5の何れか1つの発明において、前記傾斜コンベア(21)で移送した被搬送体(W) の搬送方向下流端の両端部を下流側から受け止める1対の係止部材(35a) と、これら係止部材(35a) を被搬送体(W) を受け止める係止位置と、受け止めない退避位置とに亙って駆動可能な 1対の駆動手段(35b) とを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、リフタ機構がスタート地点の前段に装備され、被搬送体を載置する載置台であって床面と同レベルの上昇位置とこの上昇位置から所定距離下降させた下降位置とに亙って昇降可能な載置台を有するため、作業者による台車上への収容箱の積載を容易に能率的にに行うことができる。
【0020】
スタート地点から目的地点まで被搬送体を搬送するローラコンベアを設け、ローラコンベアの下流部分に被搬送体の搬送をコンベア搬送からキャスター輪搬送に切換える為の傾斜コンベアを設け、この傾斜コンベアに被搬送体を下流側へ押動移送するキャリッジ機構を設けたため、被搬送体の搬送を自動化することができ、省力化を図ることができる。
しかも、傾斜コンベアの勾配を小さく設定して緩やかな搬送面とし、キャスター輪が床面に接地する衝撃を小さく抑えることができる。そして、傾斜コンベアの勾配を小さく設定しても、キャリッジ機構により被搬送体を下流側へ確実に押動移送することができ、被搬送体を目的地点の床面に確実に送り出すことができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、キャリッジ機構により被搬送体の搬送方向上流端に係合して下流側へ押すことができ、被搬送体を確実に目的地点の床面に送り出すことができる。また、アンチバック部材が上下揺動式とされるため、キャリッジを復動したとき、アンチバック部材が下揺動することで傾斜コンベア上の被搬送体と干渉することなく、被搬送体の搬送方向上流端に係合させることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、ローラコンベアによる搬送途中でキャスター輪を両側とも搬送方向に整列させることができ、目的地点においてキャスター輪接地後の被搬送体の搬送方向を一定にすることができる。しかも、整列機構はローラコンベアの両側位置に設けたため、ローラコンベアの搬送力を利用して整列させることができる。
請求項4の発明によれば、被搬送体の重量を図り、被搬送体の重量から被搬送体への誤積載の有無をチェックすることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、リフタ装置とスタート地点の間の搬送行程中に被搬送体の正面視の外形をチェックすることができる。
請求項6の発明によれば、台車を目的地点の所定位置に確実に停止させることができる。また、係止部材を係止位置と退避位置とに亙って駆動可能としたため、係止部材を退避位置に切換え、キャスター輪搬送によって被搬送体を送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係る組立て保管工場の全体レイアウト図である。
【図2−1】被搬送体の平面図である。
【図2−2】被搬送体の側面図である。
【図2−3】被搬送体の正面図である。
【図3】リフタ装置の斜視図である。
【図4】外形チェック装置の斜視図である。
【図5】ローラコンベアの一部とローダ装置と保管兼搬送装置の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】ローラコンベアの下流部分とローディング待機エリアの平面図である。
【図8】ローラコンベアの下流部分とローディング待機エリアの正面図である。
【図9】ローラコンベアの断面図である。
【図10】傾斜コンベアの断面図である。
【図11】傾斜コンベアのキャリッジとアンチバック部材等の図である。
【図12】傾斜コンベアのキャリッジとアンチバック部材の正面図である。
【図13】図5のXIII−XIII線断面図である。
【図14】ローダ装置の平面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】ローダ装置の要部斜視図である。
【図17】ローダ装置の要部斜視図である。
【図18】保管兼搬送機構(牽引体下降状態)の概略側面図である。
【図19】保管兼搬送機構の牽引体と被搬送体とダストパン等を示す要部斜視図である。
【図20】保管兼搬送機構の牽引体と昇降機構等を示す要部側面図である。
【図21】保管兼搬送装置の要部背面図である。
【図22】保管兼搬送装置の要部断面図である。
【図23】保管兼搬送機構の要部断面図である。
【図24】保管兼搬送機構の要部断面図である。
【図25】保管兼搬送機構の要部正面図である。
【図26】保管兼搬送機構の要部斜視図である。
【図27】制御ユニットを含む制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
図1示す組立て保管工場Fは、パチンコ機の液晶ディスプレイに制御基板を組み付けた液晶ユニットを組み立て、搬入ステージ5から保管ステージ7へ搬送し、保管ステージ7に保管した後保管ステージ7から搬入順に搬出するようにしたものである。尚、以下の説明において、図1の前後左右方向を前後左右方向とする。
この組立て保管工場Fにおいては、図2−1〜図2−3に示すように、合成樹脂製の収容箱9の内部の5区画に5つの液晶ユニットDを収納し、この収容箱9を3段積みにしてキャスター輪付き台車10に載せたものを被搬送体Wとしている。収容箱9には、段積みの際に下段の収容箱の上端部に上段の収容箱の下端部を係合可能とする為の係合金具9aが4隅に設けられ、キャスター輪付き台車10の荷台の4隅にも係合金具10aが設けられている。
【0027】
図1に示すように、この組立て保管工場Fには、液晶ユニットを組み立てる組立ステージ1,2、検査を行う検査ステージ3、搬入ステージ5へ投入する前の前段ステージ4、搬入ステージ5、この搬入ステージ5の下流部分に設けられた振り分けステージ6、この振り分けステージ6から被搬送体Wを受け取って4列に整列させて保管する保管ステージ7、台車10や収容箱9等の機材を準備しておく予備ステージ8等を有する。
搬入ステージ5にはローラコンベア20が設けられ、振り分けステージ6にはローダ装置40が設けられ、保管ステージ7には保管兼搬送装置60M(これは、4組の保管兼搬送機構60を有する)が設けられており、これらローラコンベア20とローダ装置40と4組の保管兼搬送機構60等を統括的に制御する操作パネル付き制御ユニット100が設けられている。
【0028】
図1,図3に示すように、前段ステージ4には、被搬送体Wの重量測定と、2段目,3段目の収容箱9を段積みし易くする為のリフタ装置11が設けれられている。図3に示すように、このリフタ装置11は、収容箱9の高さとほぼ等しい高さだけ昇降可能な昇降テーブル12と、この昇降テーブル12を昇降駆動可能なアクチュエータ(例えばエアシリンダ)と、昇降テーブル12上に載置された被搬送体Wの重量を測定する重量測定器(図示略)と、この重量測定器で測定された重量やエラーメッセージ等を表示可能な液晶表示器(図示略)を含む操作パネル13などを有する。
【0029】
図1に示すように、搬入ステージ5にはスタート地点SPから目的地点TPまで被搬送体Wを搬送するローラコンベア20が設けられている。図1,図4に示すように、前段ステージ4には、リフタ装置11とスタート地点SPの間に、被搬送体Wの正面視の外形をチェックする外形チェック装置14(外形チェック手段)が装備されている。外形チェック装置14は、被搬送体Wが搬送方向向きに通過可能なゲート部材15と、このゲート部材15の上端付近に装備された光学センサ16(発光部16aと受光部16bとを含む)有し、この光学センサ16は操作パネル13に電気的に接続されている。
【0030】
上記の外形チェック装置14により被搬送体Wの搬送方向から視た外形をチェックする。段積み不良などの場合は、被搬送体Wがゲート部材15と干渉して通過不能となる。また、発光部16aからの光線を受光部16bで受光することで、被搬送体Wの高さが規定高さ以内であることをチェックする。被搬送体Wの高さが過大である場合には、保管兼搬送ステージ7におけるトラブル原因となる。
【0031】
次に、図5〜図12に基づいて、搬入ステージ5に装備されたローラコンベア20について説明する。ローラコンベア20の上流端部には、被搬送体Wをコンベアへ移載するためにキャスター輪10bを少し上昇させる1対のスロープが形成されている。ローラコンベア20の下流部分には、被搬送体Wのキャスター輪10bを接地させるために搬送面を傾斜させた傾斜コンベア21と、この傾斜コンベア21に設けられ傾斜コンベア21上の被搬送体Wを下流側へ押動移送するキャリッジ機構22とが設けられている。傾斜コンベア21のすぐ下流側には、振り分けステージ6に含まれるローディング待機エリア6Aが設けられている。上記傾斜コンベア21のキャリッジ機構22により被搬送体Wがローディング待機エリア6Aへ搬送される。
【0032】
ローラコンベア20のうちの、傾斜コンベア21よりも上流側のローラコンベア20は、その両側の支持フレーム24に適当間隔おきに架着された複数のローラ25と、これらローラ25の両側に設けられた複数対の所定長さのガイドフレーム26とを備えている。 複数のローラ25のうちの適当間隔おきの複数のローラ25が電動モータ内蔵の駆動ローラである。ガイドフレーム26の上流端部には、被搬送体Wが側方へズレた場合に、ローラコンベア20の中心側へ案内するテーパ部26aが形成されている。前記両側の支持フレーム24の外側には、被搬送体Wの台車10のキャスター輪10bを搬送方向に整列させる少なくとも1対の整列機構27を設けてある。
【0033】
整列機構27は、被搬送体Wの台車10のキャスター輪10bが接触する案内板27aと、この案内板27aの上流端部に形成された傾斜板27bであって下流側に向かって上り傾斜している傾斜板27bで形成されている。キャスター輪10bの向きが搬送方向に対して正規姿勢でないとき、被搬送体Wの搬送中にキャスター輪10bが傾斜板27bに接触すると、キャスター輪10bが鉛直支軸回りに回動して正規姿勢になる。傾斜コンベア21の終端においてキャスター輪10bを接地させる時に、ローラコンベア20の搬送方向と同じ搬送方向へ搬送可能にするためである。ローラコンベア20の複数箇所には、被搬送体Wの有無を検出する発光部20aと受光部20bとからなる複数の光学センサ20Aが設けられている(図27参照)。
【0034】
図7〜図12に示すように、傾斜コンベア21において、キャリッジ機構22は、被搬送体Wを搬送方向へ移動させる1対の遊転ローラ列28と、被搬送体Wを下流側へ押動するキャリッジ29と、このキャリッジ29を案内するガイド機構と、キャリッジ29を往復駆動可能な往復駆動手段としての電動シリンダ30とを備えている。但し、電動シリンダ30の代わりにロッドレスエアシリンダを適用してもよい。キャリッジ29には被搬送体Wの搬送方向上流端に係合して下流側へ押す1対の上下揺動式アンチバック部材32が設けられている。
【0035】
各遊転ローラ列28は下流側へ向かって下り傾斜する1対のフレームに、複数の遊転ローラ28aを回転自在に付設したものであり、1対の遊転ローラ列28aの上面に搬送面が形成されている。前記ガイド機構は遊転ローラ列28と平行に傾斜状に配置された電動シリンダ30で構成されている。キャリッジ29は、電動シリンダ30の出力部材に固定され、電動シリンダ30で搬送方向に案内され且つ所定ストローク往復駆動される。
【0036】
傾斜コンベア21の下流側部分の両側には、床面の方へ接近するキャスター輪10bを転動させて円滑に床面へ導く1対の案内板33が設けられ、この1対の案内板33の上流端部にもキャスター輪10bを整列させる1対の整列機構であって、傾斜板27bと同様に傾斜させた傾斜板33aからなる1対の整列機構が設けられている。ローラコンベア20で搬送された被搬送体Wは、傾斜コンベア21上に達したとき、下流側のキャスター輪10bが1対の案内板33に乗り上げて停止状態になる。この傾斜コンベア21上の被搬送体Wを検出する発光部21aと受光部21bとからなる光学センサ21Aも設けられている。
【0037】
図11,図12に示すように、1対の上下揺動式アンチバック部材32は、キャリッジ29に固定された門形部材31の両側の側壁に揺動自在にピン結合されている。前記アンチバック部材32は引っ張りバネ32aにより図12において時計回り方向へ付勢されており、下端部が受止め板31aで下方から受け止められる。
【0038】
被搬送体Wの上流端を押動する際にはアンチバック部材32の下端部が受止め板31aで受け止められるため被搬送体Wを押動可能である。キャリッジ29が上流側へ復動移動する際には、アンチバック部材32が搬送面と平行に伏せた倒伏姿勢になるため、被搬送体Wの下面側を通過可能である。被搬送体Wがキャリッジ29の上側を下流方向へ移動する際にも上記と同様である。キャリッジ機構22により被搬送体Wを最大限下流側へ搬送したとき、被搬送体Wがローディング待機エリア6Aに位置決めされる。
【0039】
前記ローディング待機エリア6Aは、被搬送体Wが丁度収まる被搬送体Wとほぼ同サイズの矩形エリアである。このローディング待機エリア6Aの下流端部には、傾斜コンベア21で移送した被搬送体Wの搬送方向下流端の両端部を下流側から受け止める係止機構35が設けられている。この係止機構35は、1対の係止部材35aと、これら係止部材35aを被搬送体Wを受け止める係止位置と、側方へ退避した退避位置とに亙って駆動可能な 1対のエアシリンダ35b(駆動手段)とを有する。これらエアシリンダ35bへのエア供給系には電磁方向切換弁が設けられている。この係止機構35で被搬送体Wを受け止めることで、被搬送体Wがローディング待機エリア6Aに位置決めされて、ローダ装置40で搬送可能になる。
【0040】
図14に示すように、ローディング待機エリア6Aの上方空間には、被搬送体Wがローディング待機エリア6Aに移動するとき、被搬送体Wの上端近傍部を案内してローディング待機エリア6Aに整列させる為のテーパ部41a付きの前後1対のガイド部材41が設けられている。尚、搬入ステージ5の下流部分に設けられる振り分けステージ6は、上記のローディング待機エリア6Aを含み且つローダ装置40が稼働するエリアである。このローディング待機エリア6Aにある被搬送体Wを検出する発光部23aと受光部23bとからなる光学センサ23Aも設けられ、この光学センサ23Aは制御ユニット100に電気的に接続されている。
【0041】
次に、振り分けステージ6のローダ装置40について、図1,図5,図6,図13〜図17に基づいて説明する。ローダ装置40は、ローディング待機エリア6Aにある被搬送体Wを左方へ移送し且つ90度方向変換して4組の保管兼搬送機構60の4つの保管兼搬送列61a〜61dの列対応部62a〜62dへ振り分ける装置である。
【0042】
このローダ装置40は、被搬送体Wの上端部に係脱可能な4つの係合部材42を含むほぼ矩形状のローダ本体43と、ローダ本体43を昇降させる昇降機構44と、ローダ本体43を鉛直軸心回りに少なくとも90度回動可能な回動機構45と、ローダ本体43を保管兼搬送列61a〜61dの列方向と直交する第1方向へ移送する第1移送機構46と、ローダ本体43を前記列方向と平行な第2方向へ移送する第2移送機構47等で構成されている。このローダ装置40の昇降機構44と回動機構45と第1,第2移送機構46,47は前記制御ユニット100に電気的に接続されていて制御ユニット100で制御される。
【0043】
振り分けステージ6の上方空間の建屋フレームには、図1,図5,図14において左右方向(第1方向)に延びる前後1対のガイドレール46aが設けられ、これらガイドレール46aに亙って前後方向(第2方向)に延びる1本の可動ガイドレール47aが架着され、この可動ガイドレール47aの前後両端部の被駆動部材がガイドレール46aで移動自在に案内されると共に、両方のガイドレール46a内に組み込まれた例えば電動シリンダからなる電動アクチュエータにより第1方向へ移動駆動され、可動ガイドレール47aがガイドレール46aの全長に亙って往復移送可能に構成されている。上記の構成が第1移送機構46に相当するものである。
【0044】
可動ガイドレール47aに可動キャリッジ47bが前後方向へ移動自在に設けられ、この可動キャリッジ47bが可動ガイドレール47aに組み込まれた例えば電動シリンダからなる電動アクチュエータにより、可動ガイドレール47aの全長に亙って往復移送可能に構成されている。上記の構成が第2移送機構47に相当するものである。ローダ本体43の1対の枠部材の両端部には下方向きに4つの係合部材42が突設されている。各係合部材42は下端部に倒立コーン部を形成したピン部材で構成されている。
【0045】
ローディング待機エリア6Aに待機中で、キャスター輪10bが床面に接地している被搬送体Wを左方へ搬送するとき、ローダ装置40のローダ本体43をローディング待機エリア6Aの上方に移動させて、4つの係合部材42を被搬送体Wの上端部の4隅に対向させ、昇降機構44によってローダ本体43を下降させて4つの係合部材42を被搬送体Wの上端部の4隅に係合させ、その係合状態を維持したまま、ローダ本体43を左方へ移送し、被搬送体Wのキャスター輪10bの床面上の転動を介して被搬送体Wを左方へ移送する。
【0046】
昇降機構44は、可動キャリッジ47bに固定された立て向きのエアシリンダと、このエアシリンダのピストンロッド44aの両側の2本のガイドロッド44bとを有する。ピストンロッド44aと2本のガイドロッド44bの下端部に回動機構45を介在させてローダ本体43が支持されている。回動機構45は、ピストンロッド44aと2本のガイドロッド44bの下端部に連結された昇降板と、この昇降板の下面に下方突出状に固定された軸部材と、この軸部材に軸受を介して相対回動自在に連結された回動体45aと、昇降板に対して回動体45aを平面視にて90度だけ回動可能な水平姿勢の回動用エアシリンダ45bとを有する。上記回動体45aの下端部にローダ本体43が固定されている。
【0047】
ローダ装置40は、ローディング待機エリア6Aにある被搬送体Wを左方へ移送してから90度方向変換し、その後前方へ移送して、4列の保管兼搬送列61a〜61dに対応する4つの列対応部62a〜62dに順次振り分ける。4列の保管兼搬送列61a〜61dは、右のものから順に、第1列、第2列、第3列、第4列と番号付けされている。4つの列対応部62a〜62dの間の上方空間には、4組の規制部材48が設けられ、各組の規制部材48は、1本の垂直材と2本の斜材とそれらの下端に固定された水平部材とで構成され、水平部材の後方部分にはテーパ状の案内面48aが形成されている。これら規制部材48により、ローダ装置40により被搬送体Wを列対応部62a〜62dに移送する際に被搬送体Wの中心を列対応部62a〜62dの中心に合わせ、隣接する列の被搬送体W同士間に所定の隙間が形成される。
【0048】
ローダ装置40により、被搬送体Wを4つの列対応部62a〜62dに順次振り分けるとき、第1列目、第2列目、第3列目については、図14に2点鎖線の円軌跡で図示のように、ローディング待機エリア6Aから各列の中心に対応する位置まで移送してから90度方向変換して前方へ移送すれば、列対応部62a〜62dへ移送することができる。しかし、最下流側の第4列目については、90度方向変換する際に、被搬送体Wが建屋と干渉するため、次のように行う。
【0049】
制御ユニット100は、その4列目の列対応部62dよりも所定距離搬入側(右側)の位置(例えば、3列目の位置)において、回動機構45により被搬送体Wを90度方向変換させ、その後第1移送機構46により4列目の列対応部62dに対応する位置まで被搬送体Wを移送させ、その後前方へ移送して4列目の列対応部62dに搬送する。
【0050】
次に、保管ステージ7に設けられた保管兼搬送装置60Mについて、図1,図5,図18〜図26に基づいて説明する。この保管兼搬送装置60Mは、多数の被搬送体Wを4列に整列させた状態で保管し搬出側へ搬送可能な4組の保管兼搬送機構60を有する。この保管兼搬送装置60Mは、制御ユニット100による制御を介して、先に搬入保管したものから順に搬出する(先入れ先出し)ように構成してある。制御ユニット100による4列に対する制御上の優先順位は、第1列,第2列、第3列,第4列の順と設定されており、4つの列対応部62a〜62dへの搬入に際しても、また、4つの保管兼搬送列61a〜61dからの搬出に際しても、第1列,第2列、第3列,第4列の順に実行される。
【0051】
保管兼搬送装置60Mに被搬送体Wをフルに保管した状態では、12行×4列のマトリックス状に被搬送体Wが整然と並べた状態で保管される。行番号については、例えば上流側から順に第1行、第2行、・・・第12行とする。ローダ装置40により、4列の最上流部(第1行目)の4つの列対応部62a〜62dにも被搬送体Wが保管される。最下流側(12行目)にも被搬送体Wが保管されている場合、最大48個の被搬送体Wを保管することができる。最下流側(12行目)の被搬送体Wは、作業者が手動にて押動して、工場の搬出口に待機しているトラックのところへ搬送する。このとき、第1列目、第2列目、第3列目、第4列目の優先順位で被搬送体Wを搬出する。
尚、12行目の被搬送体Wを搬出するとき、その被搬送体Wに対応する牽引体63のみを下降させて被搬送体Wの後端部に係合させ、その被搬送体Wのみを1ピッチ分前方へ押動することもできる。
【0052】
各組の保管兼搬送機構60は、複数(例えば12個)の被搬送体Wをキャスター輪10bを接地状態にして保管可能な平坦な床面を含む保管スペースと、この保管スペースの上方空間に配設され複数の被搬送体Wの上端部に夫々係脱可能な複数(例えば11個)の牽引体63と、複数の牽引体63を夫々昇降可能な複数(例えば11個)の昇降機構64と、複数の牽引体63を被搬送体Wの列方向長さにほぼ相当する1ピッチ分だけ列方向下流側へ往復移動可能な共通の移送機構65とを有する。
【0053】
移送機構65は、列の全長に亙って延びる平行な1対の案内レール66であって工場の建屋フレーム67に固定された1対の案内レール66と、これら案内レール66に複数の案内輪68を介して列方向へ移動可能に配設された可動フレーム69と、この可動フレーム69を複数の牽引体63や複数のダストパン70等と共に1ピッチ分列方向へ往復移動可能なエアシリンダ65aとを有する。案内レール66は保管兼搬送列61a〜61dの全長に亙るH型鋼を「工」字状に配置したものである。可動フレーム69は、例えば保管兼搬送列61a〜61dの全長に近い長さ(被搬送体10個分の長さ)の1対の角パイプ材を複数の横断状の連結部材にて連結した枠部材である。
【0054】
この可動フレーム69の左右の側部には、案内レール66のフランジ上を転動する複数の案内輪68と、案内レール66のフランジの下面に当接する複数の案内輪と、案内レール66のフランジの側面に当接する複数の案内輪とが適当間隔おきに設けられ、可動フレーム69が案内レール66に沿って前後方向へ水平移動可能に案内されている。
【0055】
次に、牽引体63と、昇降機構64と、ダストパン70について説明する。
複数の被搬送体Wを直列状に並べて保管する時の複数(例えば11個)の被搬送体Wに対応するように配設され且つ可動フレーム69の下面側を覆う複数(11個)のダストパン70が複数の牽引体63に対応付けて設けられている。それらダストパン70は、可動フレーム69の所定距離下方に配設されて支持部材70aを介して可動フレーム69に固定されている。列方向に隣接するダストパン70の間には、牽引体63が昇降可能な昇降隙間71が形成されている。ダストパン70の前部と後部には夫々1対の列方向に細長い切欠きスリット70aが形成されている。
【0056】
複数の被搬送体Wに対応する(つまり、複数のダストパン70に対応する)複数の牽引体63が、ダストパン70同士間の昇降隙間71に対応する位置に配設され、各牽引体63を独立に昇降可能な昇降機構64が設けられている。尚、最上流側の牽引体63は、最上流側のダストパン70の上流側近傍に配設されている。昇降機構64は、可動フレーム69に鉛直の倒立姿勢に取り付けられたエアシリンダ72と、2本のガイドロッド73と、2本のサポートアーム74とを有する。エアシリンダ72のピストンロッド72aと2本のガイドロッド73の下端に牽引体63が固定されている。2本のガイドロッド73はピストンロッド72aの両側(列と直交方向の両側)に併設され、それらガイドロッド73はエアシリンダ72のシリンダ本体の案内孔を挿通して昇降自在に案内されている。
【0057】
牽引体63は、被搬送体Wの最上段の収容箱9の上端の前端部(搬送方向下流端部)に上方から係脱可能な係合部材で構成されている。1対のサポートアーム74は、牽引時に牽引体63を支持する支持剛性を高めるためのものである。これらサポートアーム74の下端部は牽引体63の両端部のブラケット63aにピン結合され、それらサポートアーム74の上部には、その全長の約1/3の長さのスリット74aが形成され、各スリット74aを貫通して横断するピン部材が可動フレーム69に固定された支持部材に固定されている。
【0058】
昇降機構64により牽引体63を上昇させた状態では、牽引体63も1対のサポートアーム74もダストパン70より上方へ上昇し、1対のサポートアーム74はほぼ水平姿勢に折り畳まれた状態になるため、各保管兼搬送列61a〜61dの上面が複数のダストパン70でほぼ覆われた状態になる。それ故、建屋や天井に付着していたダストが落下するとき、ダストの大部分がダストパン70でトラップされるため下方へ落下しなくなる。
【0059】
昇降機構64により牽引体63を下降させて牽引する状態では、1対のサポートアーム74がダストパン70の前部の1対の切欠きスリット70aを通って後方下がりに約45度傾斜した傾斜姿勢になり、切欠きスリット70aを貫通するピン部材とサポートアーム74間に働く摩擦力を介して、牽引体63を支持する牽引剛性を高めるため、牽引時に牽引体63が前後方向にガタつかず、安定的に牽引することができる。移送機構65により複数の被搬送体Wを搬出側へ移送するとき、複数の牽引体63を下降させて複数の被搬送体Wの上端部に係合させ、複数の被搬送体Wのキャスター輪10bを床面上を転動させつつ、移送機構65により1ピッチ分下流方向へ搬送する。
【0060】
前記複数のエアシリンダ72に加圧エア供給するため、建屋フレームにエア供給管が取り付けられ、可動フレーム69には、エア通路マニホールド80及び複数のエア配管が装備され、エア供給管がエアホースによりエア通路マニホールド80に接続され、このエア通路マニホールド80から分岐した複数のエア配管が昇降用のエアシリンダ72に夫々接続され、これら複数のエア配管には夫々電磁方向切換弁も接続されており、各エアシリンダ72を個別に駆動可能に構成してある。これら電磁方向切換弁は制御ユニット100に電気的に接続され制御ユニット100で制御される。
【0061】
各ダストパン70の下方の被搬送体Wの有無を検出するための在荷センサ81(検出手段)がダストパン70の中央の円形穴の上方近傍位置に設けられ、第1行目の4つの列対応部62a〜62dの上方にも同様の在荷センサ81が設けられ、それら在荷センサ81の検出信号が制御ユニット100へ供給されている。在荷センサ81は例えば超音波センサなどで構成されている。
【0062】
図25、図26に示すように、各保管兼搬送機構60の搬出側部分に、被搬送体Wが搬入側へ逆移動しないように規制するアンチバック機構82が設けられている。アンチバック機構82は、被搬送体Wの両側に平行に且つ列方向に向けて水平に配設された1対の水平リンク部材83aを含む1対の平行リンク機構83と、1対の水平リンク部材83aに夫々装備された少なくとも出没自在の1対の回動式係合フック84とを有する。回動式係合フック84は、被搬送体Wの後端部を前方へ押動可能で、且つ被搬送体Wを下流側へ搬送する際には、水平リンク部材83a内へ退入して被搬送体Wの搬送を妨げないように構成されている。
【0063】
水平リンク部材83aは前後1対の立てリンク部材85に連結され、立てリンク部材85の上端部は、可動フレーム69の下端に固定された補助フレーム66aに列直交方向きの水平ピン部材によりピン結合され、立てリンク部材85の下端部は、前記同様のピン部材により水平リンク部材83aに固定のブラケットにピン結合されている。保管兼搬送機構60を使用しないときに、平行リンク機構83を上方へ折り畳んで収納しておく為に、水平リンク部材83aの前後方向中央部に連結された紐86が補助フレーム66a側の1対の滑車を介して前側の立てリンク部材85の前面に延び、この紐86が金具86aにて前側の立てリンク部材85の中段部に設けられたフック86bに着脱可能に連結されている。アンチバック機構82を折り畳む際には、紐86の金具86aをフック86bから外して紐86を引っ張って所定の固定部に連結保持すると、平行リンク83が被搬送体Wの上端よりも高い位置、ダストパン70よりも高い位置に折り畳まれる。
【0064】
図5に示すように、複数組の保管兼搬送機構60の搬出側端部に被搬送体Wの搬出を禁止する為にセットされる合成樹脂又は金属製のチェーン部材87であって左端部が建屋側柱部材に固定されたチェーン部材87と、このチェーン部材87の自由端側端部に設けたプラグ部材88と、チェーン部材87を図示のように4列の前端側に横断状にセットしてプラグ部材88を差し込む為のソケットスイッチ89とが設けられている。制御ユニット100は、プラグ部材88がソケットスイッチ89に差し込まれていないことを条件として、被搬送体Wの移送を行うように4組の保管兼搬送機構60を制御する。
【0065】
次に、この組み立て保管工場Fに設けられた種々の機器を制御する制御系について、図27に基づいて簡単に説明する。制御ユニット100には、複数の光学センサ20A,21A ,23Aと、複数の在荷センサ81, ・・・と、ソケットスイッチ89と、液晶ディスプレイ90及び操作パネル91等からの信号が供給されている。制御ユニット100により、複数のローラ駆動モータ25aと、傾斜コンベア21用の電動シリンダ30と、係止機構35用の電磁方向切換弁35a,35aと、ローダ装置40の電動シリンダ40a,40a,40b及び電磁方向切換弁40c,40dと、保管兼搬送装置60Mの電磁方向切換弁60a,60b,・・・とが駆動制御される。制御ユニット100のROMには、ローラコンベア20とローダ装置40と4組の保管兼搬送機構60等を統括的に制御する制御プログラムが予め格納されている。
【0066】
光学センサ20Aを含む複数の光学センサによりローラコンベア20上の被搬送体Wが検出され、光学センサ21Aにより傾斜コンベア21上の被搬送体Wが検出され、光学センサ23Aによりローディング待機エリア6Aの被搬送体Wが検出される。各列の第1行目〜第12行目に設けられた12個の在荷センサ81により、それらの行の被搬送体Wの有無が検出される。
【0067】
ローラコンベア20を制御する場合、ローラコンベア20上の被搬送体Wが光学センサ20Aで検出され、その被搬送体Wの下流側に空きがあって搬送可能である場合には、対応するローラ駆動モータ25aを駆動することにより被搬送体Wが搬送される。傾斜コンベア21上に被搬送体Wが無い場合には、その上流側のローラコンベア20が駆動されて被搬送体Wが傾斜コンベア21へ搬送される。ローダ装置40のローディング待機エリア6Aに被搬送体Wが無いことを条件として、傾斜コンベア21のキャリッジ29を駆動することにより、傾斜コンベア21上の被搬送体Wがローディング待機エリア6Aへ搬送される。
【0068】
ローダ装置40は、4列の最上流部(第1行目)の列対応部62a〜62dの何れかに被搬送体Wが無くなった場合に、ローディング待機エリア6Aにある被搬送体Wを該当する列対応部62a〜62dへ搬送する。何れかの列において、例えば12行目が空になった場合には、その列の保管兼搬送機構60により、その列の第1行目〜第11行目の全部の被搬送体Wを一斉に1ピッチ分前方へ搬送する。このとき、第1行目から第11行目の牽引体63を下降させて夫々の被搬送体Wに係合させた状態で、1ピッチ分下流側へ搬送する。
【0069】
何らかの原因により、列の途中の例えば第7行目が空スペースになった場合には、第1行目から第6行目の被搬送体Wを一斉に1ピッチ分前方へ搬送して空スペースに被搬送体Wを補充する。このとき、第7行目〜第12行目の牽引体63を下降させることなく、第1行目から第6行目の牽引体63だけを下降させて夫々の被搬送体Wに係合させた状態で、その列の保管兼搬送機構60を1ピッチ分下流側へ搬送駆動する。そのため、第7行目〜第12行目の夫々の被搬送体Wは搬送されることなく保管位置を維持するため、第7行目の空状態を解消する。
【0070】
次に、以上説明した組み立て保管工場Fの作用、効果について説明する。
物品を収容した収容箱9をキャスター輪付き台車10に載せた被搬送体を、ローラコンベア20により搬送するため、整然とライン状に搬送することができる。
ローラコンベア20の下流部分に装備した傾斜コンベア21と、キャリッジ機構22により、被搬送体Wをローラコンベア搬送からキャスター輪搬送に切換えることができる。
【0071】
リフタ機構11がスタート地点SPの前段ステージ4に装備され、被搬送体Wを載置する昇降テーブル12(これが載置台に相当する)であって床面と同レベルの上昇位置とこの上昇位置から所定距離下降させた下降位置とに亙って昇降可能な昇降テーブル12を有するため、作業者による台車10上への収容箱9の積載を容易に能率的に行うことができる。
【0072】
スタート地点SPから目的地点TPまで被搬送体Wを搬送するローラコンベア20を設け、ローラコンベア20の下流部分に被搬送体Wの搬送をコンベア搬送からキャスター輪搬送に切換える為の傾斜コンベア21を設け、この傾斜コンベア21に被搬送体Wを下流側へ押動移送するキャリッジ機構22を設けたため、被搬送体Wの搬送を自動化することができ、省力化を図ることができる。
【0073】
しかも、傾斜コンベア21の勾配を小さく設定して緩やかな搬送面とし、キャスター輪10bが床面に接地する衝撃を小さく抑えることができる。そして、傾斜コンベア21の勾配を小さく設定しても、キャリッジ機構22により被搬送体Wを下流側へ確実に押動移送することができ、被搬送体Wを目的地点TPの床面に確実に送り出すことができる。
【0074】
キャリッジ機構22により、その上下揺動式アンチバック部材32を被搬送体Wの搬送方向上流端に係合させて被搬送体Wを下流側へ押すことができ、被搬送体Wを確実に目的地点の床面に送り出すことができる。また、アンチバック部材32が上下揺動式であるため、キャリッジ29を復動したとき、アンチバック部材32が下方揺動することで傾斜コンベア21上の被搬送体Wと干渉することなく、被搬送体Wの搬送方向上流端に係合させることができる。
【0075】
ローラコンベア20に、少なくとも1対の整列機構27を設けたため、ローラコンベア20による搬送途中でキャスター輪10Bを両側とも搬送方向に整列させることができ、目的地点TPにおいてキャスター輪接地後の被搬送体Wの搬送方向を一定にすることができる。しかも、整列機構27はローラコンベア20の両側位置に設けたため、ローラコンベア20の搬送力を利用して整列させることができる。
【0076】
リフタ装置11に重量測定器を設けたため、被搬送体の重量を測定することで、被搬送体に誤積載の有無をチェックすることができる。
リフタ装置11とスタート地点の間の搬送行程中に、外形チェック装置14により、被搬送体の正面視の外形をチェックすることができる。
また、ローディング待機エリア6Aに係止機構35を設けたため、被搬送体Wを目的地点の所定位置に確実に停止させることができる。また、係止機構35の係止部材35aを係止位置と退避位置とに亙って駆動可能としたため、係止部材35aを退避位置に切換え、キャスター輪搬送により被搬送体Wを送り出すことができる。
【0077】
搬入ステージ5の下流部分の上方空間に、物品を収容した収容箱9をキャスター輪付き台車10に載せた被搬送体Wを、搬入側の所定位置から移送し且つ方向変換して複数の保管兼搬送列61a〜61dへ振り分けるローダ装置40を設けたため、搬入ステージ5から搬入される被搬送体Wを搬送し方向変換して保管兼搬送装置60Mの上流部の複数の列対応部62a〜62dに整然と振り分けることができる。
【0078】
ローダ本体43を下降させて被搬送体Wの上端部に係合させ、ローダ本体43を第1移送機構46で移送させ、ローダ本体43を回動機構45で方向変換し、その後ローダ本体43を第2移送機構47で移送させることで、被搬送体を搬入側から複数の保管兼搬送列61a〜61dへ振り分けることができ、その振り分けを自動化することができる。床面上にターンテーブルを設けることなく、被搬送体Wの方向変換が可能となる。
【0079】
キャスター輪10bを接地させた被搬送体Wの上端部に上方から係合可能なローダ本体43を、昇降機構44により昇降させ、第1移送機構46によりローラコンベア20の搬送方向と平行な第1方向へ搬送でき、第2移送機構47により列方向と平行な第2方向へ移送でき、回動機構45により第1方向と第2方向とに亙って方向変換できる。
【0080】
しかも、被搬送体Wの上端部に係合部材42を係合状態にして、被搬送体Wを移動させるように構成したため、搬入側から保管兼搬送列61a〜61dにかけて床面付近に搬送や方向変換のための設備を装備する必要がなく、床面を平坦な床面に維持することができるため、工場を他の用途に使用する為の汎用性を確保することができる。
【0081】
制御ユニット100によりローダ装置40の昇降機構44と回動機構45と第1,第2移送機構46,47を制御するため、ローダ装置40による被搬送体Wの搬送と方向変換を自動化できる。ローダ本体43を下降させて係合部材42を被搬送体Wの上端部に係合させ、キャスター輪10bの床面上の転動を介して移送するため、被搬送体Wのキャスター輪10bを有効活用して搬送することができるうえ、係合部材42を被搬送体Wの移送と方向変換に兼用することができる。
【0082】
搬入側から最も離隔した最下流側の保管兼搬送列61dの近くに工場の建屋側の壁等の障害物が存在する場合でも、保管兼搬送列61dの所定距離手前の位置において予め回動機構45により被搬送体Wを90度方向変換させてから、第1移送機構46により最下流側の保管兼搬送列61dに対応する位置まで搬送することで、被搬送体Wと障害物との干渉を防止することができ、保管兼搬送列61dへも確実に振り分けることができる。
【0083】
保管兼搬送ステージ7に保管兼搬送装置60Mを設け、複数の被搬送体Wを複数列に整列させた状態で保管し且つ台車10のキャスター輪10bを介して列方向へ搬送可能に構成したため、自動倉庫と同等の機能を発揮でき、被搬送体Wの移動の為の作業者の負荷が軽減され、スペース効率が改善され、先に搬入したものから順に搬出することができる。 しかも、保管兼搬送ステージ7の床面をフラットな床面のままとし、保管ステージ7を保管ステージ7以外の用途に使用する場合の汎用性を確保することができる。
【0084】
保管兼搬送装置60Mは、複数列に対応する複数の保管兼搬送機構60を有し、各保管兼搬送機構60により、複数の被搬送体Wに対応する複数の牽引体63を下降させて、複数の被搬送体Wの上端部に係合させ、移送機構65により、複数の牽引体63を被搬送体Wの列方向長さに相当する1ピッチ分だけ列方向へ往復移動することで、その列の複数の被搬送体Wを1ピッチ分だけ移送することができる。
【0085】
物品を収容した収容箱9をキャスター輪10b付き台車10に載せた複数の被搬送体Wを複数列に整列した状態で、被搬送体Wのキャスター輪10bを接地状態になる平坦な床面を含む保管スペースに保管するため、床面側に搬送レール等の搬送設備を配置する必要がなく、保管スペースを別の用途に使用する場合の汎用性を確保することができる。
【0086】
複数列に対応する複数組の保管兼搬送機構60を有し、各保管兼搬送機構60における保管スペースの上方空間に、複数の牽引体63と複数の昇降機構64と移送機構65を設けたため、複数の牽引体63を下降させて複数の被搬送体Wの上端部に係合させた状態で、移送機構65により1ピッチ分だけ列方向の下流方向へ移送することができるから、被搬送体Wの入出庫の移送を自動化することができる。しかも、各牽引体63を昇降機構64により個別に昇降可能であるため、各列の全部又は一部の複数の被搬送体Wを同時移送できるため、被搬送体Wの搬送の能率アップを図ることができる。
【0087】
移送機構65により複数の被搬送体Wを搬出側へ移送するとき、複数の被搬送体Wのキャスター輪10bを床面上を転動させるため、被搬送体Wのキャスター輪10bを有効活用して搬送できるから、搬送レール等の搬送設備を配置する必要がなく、被搬送体Wの移動の為の作業者の負荷を軽減できる。
【0088】
移送機構65が1対の案内レール66と、これら案内レール66に列方向へ移動可能に付設された可動フレーム69と、この可動フレーム69を1ピッチ分列方向へ往復移動可能な流体圧シリンダ65aを備えるため、簡単な構成でもって各列の全部又は一部の複数の被搬送体Wを同時移送可能になる。昇降機構64が昇降用エアシリンダ72で構成されたため、牽引体63を上方から被搬送体Wの上端部に係脱させることができる。
【0089】
牽引体63が下降状態のとき1対のサポートアーム74により牽引体63の列方向の剛性を高めることができ、被搬送体Wを搬送する安定性を高めることができる。
工場建屋の天井側に付着したダストが下方へ落下するとき、複数のダストパン70でトラップされるため、被搬送体Wにダストが付着しにくくなる。
ダストパン70同士間に牽引体63が昇降する昇降隙間71を形成するため、ダストパン70の構造を簡単化できる。ダストパン70にサポートアーム74を導入する切欠きスリット70aを形成するため、ダストパン70とサポートアーム74との干渉を防止できる。
【0090】
被搬送体Wを搬送予定の列に整列させる規制部材48を設けたため、複数の被搬送体Wを複数列に整列させた状態で保管することができる。各保管兼搬送機構60の搬出側部分に、被搬送体Wが搬入側へ逆移動しないように規制するアンチバック機構82を設けたため、各列の搬出側部分の被搬送体Wが上流側へ逆移動するのを防止できる。
アンチバック機構82は、1対の平行リンク機構83と、平行リンク機構83の水平リンク部材83aに設けた回動式係合フック84を有するため、簡単な構成で、被搬送体Wの両側から係合でき、被搬送体Wの逆移動を確実に防止できる。保管兼搬送機構60を使用しないとき、邪魔にならないように、アンチバック機構82を被搬送体Wの上端よりも高い位置に折り畳むことができる。
【0091】
前記実施例を部分的に変更する変更例について説明する。
(1)ローラコンベア20とローダ装置40の位置関係は、実施例のものに限定されるものではなく、種々の位置関係を取ることができる。
(2)保管兼搬送装置60Mにおける被搬送体Wを保管する列数は前記の4列に限定されず、また行数も12行に限定されるものではない。
【0092】
(3)ローダ装置40の細部の構成、保管兼搬送装置60Mの細部の構成は、一例に過ぎず、実施例のものに限定されるものではない。
(4)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施することができ、本発明はそれらも包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、種々の物品を取り扱いつつ搬送し且つ保管する工場に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1,2 組み立てステージ
3 検査ステージ
4 前段ステージ
5 搬入ステージ
6 振り分けステージ
6A ローディング待機エリア
7 保管ステージ
8 予備ステージ
9 収納箱
10 台車
10b キャスター輪
W 被搬送体
11 リフタ装置
14 外形チェック装置
15 ゲート部材
16 光学センサ
20 ローラコンベア
20A 光学センサ
21 傾斜コンベア
21A 光学センサ
22 キャリッジ機構
23A 光学センサ
27 整列機構
28 遊転ローラ列
29 キャリッジ
30 電動シリンダ
32 上下揺動式アンチバック部材
33 案内板
35 係止機構
35a 係止部材
35b エアシリンダ
40 ローダ装置
41 ガイド部材
42 係合部材
43 ローダ本体
44 昇降機構
45 回動機構
46 第1移送機構
47 第2移送機構
48 規制部材
60M 保管兼搬送装置
60 保管兼搬送機構
61a〜61d 第1〜第4番目の保管兼搬送列
62a〜62d 第1〜第4番目の列対応部
63 牽引体
64 昇降機構
65 移送機構
66 案内レール
69 可動フレーム
70 ダストパン
70a 切欠きスリット
71 昇降隙間
74 サポートアーム
81 在荷センサ
82 アンチバック機構
83 平行リンク機構
83a 水平リンク部材
84 回動式係合フック
86 紐
87 チェーン部材
88 プラグ部材
89 ソケットスイッチ
100 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容した収容箱を複数個積み重ねてキャスター輪付き台車に載せた被搬送体をスタート地点から目的地点まで搬送するローラコンベア装置において、
前記スタート地点よりも上流側の前段ステージに装備され、被搬送体を載置する載置台であって床面と同レベルの上昇位置とこの上昇位置から所定距離下降させた下降位置とに亙って昇降可能な載置台を備えたリフタ機構と、
前記スタート地点から目的地点まで被搬送体を搬送するローラコンベアと、
前記ローラコンベアの下流部分に装備され被搬送体の前記キャスター輪を接地させるために搬送面を傾斜させた傾斜コンベアと、
前記傾斜コンベアに設けられて被搬送体を下流側へ押動移送するキャリッジ機構と、
を備えたことを特徴とするローラコンベア装置。
【請求項2】
前記キャリッジ機構は、被搬送体を押動するキャリッジと、このキャリッジを案内するガイド機構と、キャリッジを往復駆動可能な往復駆動手段と、前記キャリッジに装備され且つ被搬送体の搬送方向上流端に係合して下流側へ押す複数の上下揺動式アンチバック部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のローラコンベア装置。
【請求項3】
前記ローラコンベアの両側位置に、被搬送体の台車のキャスター輪を搬送方向に整列させる少なくとも1対の整列機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア装置。
【請求項4】
前記リフタ装置は、被搬送体の重量を測定する重量測定手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のローラコンベア装置。
【請求項5】
前記リフタ装置とスタート地点の間に、被搬送体の正面視の外形をチェックする外形チェック手段を設けたことを特徴とする1〜4の何れか1つに記載のローラコンベア装置。
【請求項6】
前記傾斜コンベアで移送した被搬送体の搬送方向下流端の両端部を下流側から受け止める1対の係止部材と、これら係止部材を被搬送体を受け止める係止位置と、受け止めない退避位置とに亙って駆動可能な 1対の駆動手段とを設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載のローラコンベア装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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