説明

ローラコンベヤ

【課題】容易に駆動ベルトの取り外し作業ができるローラコンベヤを提供する。
【解決手段】ローラコンベヤ1は、搬送方向に並んで位置する複数のゾーンZを構成する複数の搬送ローラ3を備える。ダイアフラム15により昇降する昇降支持体6を各ゾーンZ毎に配置する。昇降支持体6には、複数の片持ちローラ21を片持ち状態に設ける。複数の片持ちローラ21には、昇降支持体6の上昇時に搬送ローラ3と接触してこの搬送ローラ3を回転させ昇降支持体6の下降時に搬送ローラ3から離れる無端状の駆動ベルト23を脱着可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に駆動ベルトの取り外し作業ができるローラコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば搬送方向に並んで位置する複数のゾーンを構成する複数の搬送ローラと、各ゾーン毎に配置された昇降可能な昇降支持体と、この昇降支持体の両側板部によって両持ち状態に支持された複数のローラと、これら複数のローラに取り付けられ昇降支持体の上昇時に搬送ローラと接触してこの搬送ローラを回転させ昇降支持体の下降時に搬送ローラから離れる無端状の駆動ベルトとを備えるローラコンベヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平3−25367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のローラコンベヤでは、駆動ベルトを取り外す場合に、昇降支持体によって両持ち状態に支持された複数のローラをその昇降支持体から取り外さなければならず、駆動ベルトの取り外し作業に手間取るおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易に駆動ベルトの取り外し作業ができるローラコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のローラコンベヤは、複数の搬送ローラと、これら複数の搬送ローラに対して昇降する昇降支持体と、この昇降支持体によって片持ち状態に支持された複数の片持ちローラと、これら複数の片持ちローラに脱着可能に取り付けられ、前記昇降支持体の上昇時に前記搬送ローラと接触して前記搬送ローラを回転させ、前記昇降支持体の下降時に前記搬送ローラから離れる無端状の駆動ベルトとを備えるものである。
【0006】
請求項2記載のローラコンベヤは、請求項1記載のローラコンベヤにおいて、複数の片持ちローラのローラ軸部の各先端部同士を連結する安全カバー体を備えるものである。
【0007】
請求項3記載のローラコンベヤは、請求項1または2記載のローラコンベヤにおいて、昇降支持体の昇降を案内する案内体を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、駆動ベルトを取り外す場合に、昇降支持体によって片持ち状態に支持された複数の片持ちローラをその昇降支持体から取り外す必要がないため、容易に駆動ベルトの取り外し作業ができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、複数の片持ちローラのローラ軸部の各先端部同士を連結する安全カバー体を備えるため、安全性および耐久性等が良好である。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、昇降支持体の昇降を案内する案内体を備えるため、昇降支持体をスムーズに昇降させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のローラコンベヤの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1ないし図5において、1はローラコンベヤで、このローラコンベヤ1は、物品(図示せず)を一時的に貯留できるベルト駆動式のゼロプレッシャアキュームコンベヤである。
【0013】
ローラコンベヤ1は、所定距離を介して互いに離間対向する水平方向長手状の一対のコンベヤフレーム2を備えている。両コンベヤフレーム2間には、物品を搬送面4に載せて搬送する複数の搬送ローラ3が並設されている。複数の搬送ローラ3によって、搬送方向に並んで位置する複数のゾーンZが構成されている。すなわち物品を搬送したり一時的に貯留したりする各ゾーンZが複数の搬送ローラ3にてそれぞれ構成されている。両コンベヤフレームの長手方向両端部に位置する搬送ローラ3が搬送エンドローラ3aとなっている。搬送エンドローラ3aは、コンベヤフレーム2に対して工具不要で脱着可能である。
【0014】
また、ローラコンベヤ1は、各ゾーンZ毎に配置され対応する複数の搬送ローラ3に対して昇降する昇降可能な中間レール等の昇降支持体6と、各昇降支持体6を昇降させる昇降駆動手段7と、この昇降駆動手段7による各昇降支持体6の昇降を案内するレールガイド等の案内体8とを備えている。
【0015】
昇降支持体6は、例えば断面略L字状のフレームで、搬送方向に沿って長手状で鉛直状の支持板部11と、支持板部11の長手方向両端側の下端部から内方つまりローラコンベヤ1の幅方向中央側に向って突出する水平板部12と、水平板部12の端部から下方に向って突出する挿入板部13とを有している。
【0016】
昇降駆動手段7は、空気の供給により膨らむダイヤフラム15を有し、このダイヤフラム15には圧縮空気配管手段10が接続されている。また、案内体8は、上下に向って開口し昇降支持体6の挿入板部13を案内する案内孔部16を有している。案内体8は例えば易滑性の合成樹脂等にて形成されている。
【0017】
ダイヤフラム15および案内体8は一対のコンベヤフレーム2のうちの一方のコンベヤフレーム2の内方に向って突出状の突出板部17上に設けられ、昇降支持体6の水平板部12がダイヤフラム15上に載置され、昇降支持体6の挿入板部13が案内体8の案内孔部16内にスライド可能に挿入されている。そして、昇降駆動手段7のダイヤフラム15が膨らむと昇降支持体6が案内体8の案内孔部16にて案内されながら上限位置まで上昇し、昇降駆動手段7のダイヤフラム15が縮むと昇降支持体6が案内体8の案内孔部16にて案内されながら下限位置まで下降する。
【0018】
さらに、ローラコンベヤ1は、昇降支持体6の鉛直状の支持板部11によって片持ち状態に支持されローラ軸部31の基端部が昇降支持体6の支持板部11に取り付けられた複数の片持ちローラ(駆動ローラ等)21と、これら複数の片持ちローラ21に脱着可能に取り付けられ昇降支持体6の上昇時つまり昇降支持体6が上限位置まで上昇した状態時に対応するゾーンZの搬送ローラ3の下面側と接触してこの搬送ローラ3を回転させ昇降支持体6の下降時つまり昇降支持体6が下限位置まで下降した状態時に対応するゾーンZの搬送ローラ3から離れる回行可能な無端状の駆動ベルト23とを備えている。
【0019】
駆動ベルト23は、全ゾーンZに対応する各昇降支持体6にて支持された複数の片持ちローラ21と、搬送エンドローラ3aの下方に位置する両端のエンドローラ24とに掛け渡されている。また、駆動ベルト23は、エンドローラ24に近接して位置する支持ローラ25にて下方から支持されている。そして、駆動ベルト23は、ベルト駆動手段である駆動テークアップ手段(図示せず)にて所望の張力が付与されつつ駆動力を受けて所定方向に回行する。なお、エンドローラ24および支持ローラ25は、コンベヤフレーム2に対して工具不要で脱着可能である。
【0020】
片持ちローラ21は、ローラコンベヤ1の幅方向に沿った水平方向に延びるローラ軸部31と、このローラ軸部31の外周側に回転可能に設けられた略円筒状のローラ筒部32とを有している。ローラ筒部32の軸方向両端外周側には環状凸部分33が形成されている。そして、片持ちローラ21のローラ軸部31の一端部である基端部は、昇降支持体6の支持板部11に等間隔をおいて形成された複数の孔部である軸取付部11aにナット等の固着具35にて固着されている。片持ちローラ21のローラ軸部31の他端部である先端部は、昇降支持体6の支持板部11と離間対向する細長板状の安全カバー体36に等間隔をおいて形成された複数の孔部である軸取付部36aにナット等の固着具37にて固着されている。すなわち複数本のローラ軸部31の各先端部同士が安全カバー体36にて一体に連結されている。図4に示されるように、安全カバー体36の下端部と昇降支持体6の水平板部12との間には隙間38がある。安全カバー体36の長さ寸法は昇降支持体6の支持板部11の長さ寸法と略同じである。
【0021】
なお、昇降支持体6、昇降駆動手段7、案内体8、片持ちローラ21、駆動ベルト23、エンドローラ24、支持ローラ25および駆動テークアップ手段等にて、搬送ローラ3を回転させる回転駆動手段41が構成されている。この回転駆動手段41はローラコンベヤ1の幅方向一端側にこのローラコンベヤ1の搬送方向に沿って配置され、ローラコンベヤ1の幅方向他端側には搬送ローラ3の回転を停止させるブレーキ手段42がローラコンベヤ1の搬送方向に沿って配置されている。ブレーキ手段42は、搬送ローラ3に接離するブレーキパット、このブレーキパットを支持する昇降フレーム、この昇降フレームを昇降させるダイアフラム等にて構成されている。
【0022】
次に、上記ローラコンベヤ1の作用等を説明する。
【0023】
物品の搬送時には、図3に示すように、昇降駆動手段7のダイヤフラム15が膨らむことによって、昇降支持体6が片持ちローラ21と一体となって案内体8にて案内されながら上限位置まで上昇し、その結果、駆動ベルト23の対応する部位が片持ちローラ21にて持ち上げられて搬送ローラ3の下面側に押し付けられる。すると、対応するゾーンZの複数の搬送ローラ3が、回行する駆動ベルト23から駆動力を受けて所定方向に回転し、物品がその回転する搬送ローラ3にて搬送される。
【0024】
また、物品の貯留時には、図4に示すように、昇降駆動手段7のダイヤフラム15が縮むことによって、昇降支持体6が片持ちローラ21と一体となって案内体8にて案内されながら下限位置まで下降し、その結果、駆動ベルト23の対応する部位が片持ちローラ21とともに下降して搬送ローラ3から離れる。また同時に、ブレーキ手段42が作動して搬送ローラ3の回転を停止させ、こうして対応するゾーンZの複数の搬送ローラ3上に物品が貯留される。
【0025】
ここで、例えば駆動ベルト23の交換が必要になった場合、駆動テークアップ手段によるテークアップを緩めてから、搬送エンドローラ3aおよびエンドローラ24を工具を用いることなくコンベヤフレーム2から取り外す。
【0026】
その後、図5に示すように、駆動ベルト23をローラコンベヤ1の幅方向に沿って内方に向けて移動させることによって、駆動ベルト23を片持ちローラ21から取り外す。
【0027】
このようにローラコンベヤ1によれば、昇降支持体6の支持板部11によって片持ち状態(片端状態)に支持された複数の片持ちローラ21をその昇降支持体6の支持板部11から取り外す必要がなく、片持ちローラ21を取り付けた状態のまま、駆動ベルト23を取り外すことができるため、容易に駆動ベルト23の取り外し作業ができ、簡単に駆動ベルト23を交換できる。
【0028】
また、複数の片持ちローラ21のローラ軸部31の基端部が昇降支持体6の支持板部11に固定して取り付けられ、複数の片持ちローラ21のローラ軸部31の先端部が安全カバー体36に固定して取り付けられているため、安全カバー体36にて片持ちローラ21が覆われて、安全性が良好であり、しかも、安全カバー体36でローラ軸部31の各先端部同士を連結しない構成に比べて、強度を向上でき、耐久性が良好である。
【0029】
さらに、昇降支持体6の長手方向両端部の挿入板部13を案内する対をなす案内体8を備えるため、この案内体8によって昇降支持体6をスムーズに昇降させることができる。
【0030】
なお、1つの昇降支持体6の支持板部11にて片持ち状態に支持される片持ちローラ21の数は、6個には限定されず、任意である。
【0031】
また、複数本のローラ軸部31の先端部同士を安全カバー体36にて連結した構成には限定されず、安全カバー体36を備えず、複数本のローラ軸部31の先端部が自由端部である構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係るローラコンベヤの部分平面図である。
【図2】同上ローラコンベヤの部分側面図である。
【図3】同上ローラコンベヤによる物品搬送時の部分断面図である。
【図4】同上ローラコンベヤによる物品貯留時の部分断面図である。
【図5】同上ローラコンベヤによるベルト交換時の部分断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ローラコンベヤ
3 搬送ローラ
6 昇降支持体
8 案内体
21 片持ちローラ
23 駆動ベルト
31 ローラ軸部
36 安全カバー体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送ローラと、
これら複数の搬送ローラに対して昇降する昇降支持体と、
この昇降支持体によって片持ち状態に支持された複数の片持ちローラと、
これら複数の片持ちローラに脱着可能に取り付けられ、前記昇降支持体の上昇時に前記搬送ローラと接触して前記搬送ローラを回転させ、前記昇降支持体の下降時に前記搬送ローラから離れる無端状の駆動ベルトと
を備えることを特徴とするローラコンベヤ。
【請求項2】
複数の片持ちローラのローラ軸部の各先端部同士を連結する安全カバー体を備える
ことを特徴とする請求項1記載のローラコンベヤ。
【請求項3】
昇降支持体の昇降を案内する案内体を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のローラコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−81216(P2008−81216A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260356(P2006−260356)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】