ローラ
【課題】製造が容易で、シートの搬送に適したローラを提供する。
【解決手段】ローラ(10)は、コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)である。コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有する。環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を2つの規制部(24)で規制することで、両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されている。したがって、環状摩擦部材の製造が極めて容易である。また、環状摩擦部材は弾性変形されているため、シートに接触して該シートに十分な搬送力を与えることができる。
【解決手段】ローラ(10)は、コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)である。コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有する。環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を2つの規制部(24)で規制することで、両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されている。したがって、環状摩擦部材の製造が極めて容易である。また、環状摩擦部材は弾性変形されているため、シートに接触して該シートに十分な搬送力を与えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形又はD型若しくは扇型のコアの外周に弾性の材料からなる環状摩擦部材を設けたローラ、およびそのローラを備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の事務機器は、画像が転写されるシート又は画像が転写されたシートを目的の方向に搬送する機構を備えている。一般に、シート搬送機構は、回転自在に支持されたシャフトと、シャフトに固定されて支持された複数のローラを有する。各ローラは、通常、シャフトに固定されたコアと、コアの外周面に装着されて保持された環状ゴム部材を備えている。一般に、ゴム部材は、ローラの外周長よりも小さな内周長を有し、それ自身の弾性力を利用して、ローラの外周面に装着されて保持される。
【0003】
このようなシート搬送機構では、ゴム摩擦部材の外周面がシートに片当たりしたり、一つのシャフトに設けられた複数のローラが異なる圧接力をもってシートに当たると、シートの斜行(スキュー)を招来する。そのため、機器に対するシャフトの組み付け又シャフトに対するローラの組み付けの精度、ゴム摩擦部材がシートに接触する圧力は、厳しく管理する必要がある。
【0004】
ところで、従来、特許文献1,2に、いわゆるタイヤ型ローラが提案されている。このようなタイヤ型ローラは、一般に、外周円筒部と該外周円筒部の両側に一体的に設けた環状フランジからなるタイヤ(摩擦部材)を、図示しないホイールに装着して構成されている。しかし、タイヤ型ローラでは、タイヤは、まったく又は殆ど負荷がかかっていない状態(すなわち、非変形状態)で、ホイールに装着される。そのため、シートとの接触によって容易に変形するものの、十分な接触圧をもってシートに接触し得ないことから、シートの搬送性に劣るという欠点がある。また、タイヤ型ローラのタイヤは金型で一体的に形成されるが、外周円筒部の両端から内方に向かって一対の環状フランジが伸びているため、金型(割型)の設計が難しく、型抜き作業が非常に煩雑である、という問題がある。
【特許文献1】特許第3238121号公報
【特許文献2】特許第3496024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題を解消し、シートの搬送に適した新たなローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの問題を解消するため、本発明に係るローラは、コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)である。コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有する。環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を2つの規制部(24)で規制することで、両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されている。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された本発明のローラは、環状摩擦部材は筒状基材によって構成されており、この筒状基材を弾性変形してコアの外周に装着される。したがって、環状摩擦部材の製造が極めて容易である。また、環状摩擦部材は弾性変形されているため、シートに接触して該シートに十分な搬送力を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な複数の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の符号は同一又は類似の部材又は部分を示すものとする。
【実施形態1】
【0009】
図1〜図3は、実施形態1のローラ10を示す。ローラ10は、例えば、紙、プラスチックシート、写真などのシート材料を搬送する機構に組み込まれ、摩擦接触に基づいてシート材料を搬送するための部材である。シート材料は、薄くて腰の弱い柔軟性のあるシート(例えば、薄紙、プラスチックフィルム、写真、布、不織布)、厚くて腰の強い自立性のシート(厚紙、プラスチックカード)を含む。したがって、ローラ10は、例えば、紙やプラスチックフィルムの表面に画像を形成する画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機、印刷機等)、紙幣やプラスチックカードを搬送する機能を備えた現金取扱装置、薄い又は厚い基板の表面に材料(主に液体材料)を塗布する装置の基板搬送機構等に利用できる。
【0010】
図3を参照すると、ローラ10は、一定の形を有するコア12と、外部から力を加えることによって変形する環状摩擦部材14を有する。
【0011】
コア12は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等の樹脂又はアルミニウム、ステンレス等の金属で一体的に形成されており、中心軸16を中心とする筒状又は環状のコア本体18を有する。図3を参照すると、コア本体18は、軸16を中心とする円筒状の貫通孔20を有する。実施形態では、貫通孔20は円形の横断面を有するが、その横断面形状は多角形(三角形、四角形、その他の多角形)又は楕円形であってもよい。コア本体18の外周部は、軸16を中心とする環状溝22と、環状溝22を介して軸方向に対向する一対のフランジ(外側規制部)24を有する。フランジ24は、周方向に連続して設けてもよいし、断続的に設けてもよい。実施形態では、環状溝22の中央には該環状溝22の底部から径方向外側に向かって伸びる突部(内側規制部)26が周方向に連続的に又は断続的に形成されており、突部26と両側フランジ24の間にそれぞれ環状の位置決め溝28が形成されている。実施形態では、フランジ24、突部26、環状位置決め溝28は周方向に連続しているが、断続的に設けてもよい。
【0012】
摩擦部材14は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコン、ウレタン、塩素化ポリエチレンで形成されており、後に説明するようにコア12に装着する前は真っ直ぐな円筒形状をしており、コア12の外周に装着する際に弾性変形される。具体的に、図4(a)に示すように、弾性変形前の摩擦部材(以下、「摩擦基材」という。)30は、直管状の円筒体であり、中心軸32を中心とする内周面34及び外周面36と、内周面34と外周面36の端部を連結する環状端面38を有する。図1,2に示すように、外周面36には、軸方向に伸びる複数の溝(ローレット)40を形成してもよい。
【0013】
図5に示すように、摩擦基材30は、例えば、金型を用いて成形された長尺円筒体42を所定の長さに切断して得られる。所定の長さに切断された摩擦基材30は、図4に示すように、中心軸32の方向に両端面38から加圧され、内周面34と外周面36の中央部43(図4参照)を径方向外側に突出(膨出)した状態(アーチ状、断面U状)に変形され、両端側部分38をコア本体18の環状位置決め溝28に嵌め込んでコア12に装着される。
【0014】
図示するように、コア12に装着された摩擦部材14は、それ自身の弾性回復力に基づいて、両端側部分(特に、両端側外周部分39)を対向するフランジ24に圧接してフランジ24の間に安定的に保持される。その結果、コア12の周囲に安定した断面U状の摩擦部材14が形成される。コア12に対する摩擦部材14の径方向の移動(がたつき)を無くすために、コア12に摩擦部材14を装着した状態で環状位置決め溝28の底面44(図3,図4参照)とこれに対向する摩擦部材端面38が隙間無く当たるように摩擦部材14の寸法を決めることが好ましい。また、摩擦部材14は、その外径D、厚さT、軸方向長さWが、D≧W>Tの関係を有することが好ましい。さらに、図示する実施形態では、摩擦部材14の厚さはコア12の位置決め溝28の軸方向幅よりも小さくしてあるが、摩擦部材14の厚さを位置決め溝28の幅と同一又は僅かに大きくすれば、摩擦部材14を位置決め溝28に安定して保持できる。
【0015】
コア12に装着された摩擦部材14の外形を一定に保つために、また、シート材料との接触によって摩擦部材部分が容易に変形するように、さらに、変形した摩擦部材部分が自身の弾性回復力に基づいてU状断面に復帰するように、摩擦部材14の内側にある空間46(図3参照)と外部を連通する連通部(空気孔)48を設けることが好ましい。実施形態では、図3に示すように、コア本体18の突部26の外周面から中央の貫通孔20に向かって径方向に伸びる一つ又は複数の連通部48が形成されている。空気孔48を設ける位置や大きさは図示する形態に限るものでない。例えば、図22に示すように、コア12の本体18の外周面から両フランジ23の内面を経てフランジ外周端部まで伸びる溝状の連通部49を形成し、この連通部49を介して空間46を大気に連通してもよい。
【0016】
コア12に摩擦部材14を装着する前に摩擦部材14にU状のくせ(予備変形)を付けて加えておくことが好ましい。具体的には、図6に示すように、変形前の摩擦基材30よりも大きな外径を有するとともに外周に外側に膨出した環状曲面を付けた中実又は中空の円筒治具50を用意する。次に、円筒治具50の外周52に摩擦基材30を装着して所定時間放置する。これにより、円筒治具50から取り外した摩擦基材30の外周には、外側に膨出したアーチ形状又は円弧形状52が事前に付与される。
【0017】
図3に示すように、ローラ10は、中央の貫通孔20に金属製のシャフト54が挿入され、このシャフト54に取り付けられる。ローラ10がシートとの摩擦に基づいて該シートを搬送する搬送ローラとして機能する場合、ローラ10はシャフトに固定される。また、ローラ10がシートの移動に伴って従動回転する従動ローラとして機能する場合、ローラ10はシャフトに回転自在に支持される。このようにして一つ又は複数のローラ10を取り付けたシャフト54は、上述のように、画像形成装置等のシート搬送機構に組み込まれ、シートの搬送に利用される。
【0018】
図7は、ローラ10の外周面にシート56を押し当てたときの摩擦部材14の変形後の形状を示す。シート56は、安定した基板(図示せず)に支持されているものとする。図示するように、ローラ10では、シート56との接触によって変形した部分の全体がシート56に十分な接触力をもって当たる。そのため、ローラ10を複写機等のシート搬送部材として採用した場合、十分なシート搬送力が安定して得られる。しかし、図8、9に示すように、円筒外周面58と該円筒外周面58の両端から径方向内側に広がる環状フランジ60とを一体的に形成したタイヤ型摩擦部材62を有するローラの場合、コア12に装着された状態で弾性変形されていないので、図10に示すように、摩擦部材62をシート56に押し当てると、円筒外周面58の外周縁部のみがシート56に接触し、これら外周縁部の間に位置する外周面はシート56に接触しない。したがって、このローラ10を複写機等のシート搬送部材として採用した場合、十分な搬送力をシートに与えることができない。
【0019】
ローラ10とシートとの接触状態について説明する。図11(a)、(b)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と平行の場合、ローラ10とシート56との接触面64は変形の無い対称な楕円形となる。図11(c)、(d)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と非平行になっている場合、ローラ10とシート56との接触面66は僅かに変形した、シート搬送方向に伸びた非対称の楕円形となる。これに対し、弾性変形されていないタイヤ型摩擦部材62を装着したローラ(図8参照)では、図12(a)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と平行の場合、ローラ10とシート56との接触面68は中心軸の方向に伸びた対称の略長方形となるが、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と非平行の場合、ローラ10とシート56との接触面70は略三角形となり、明らかに左右で異なる形状となる。したがって、本発明に係るローラ10を複写機等のシート搬送機構に採用した場合、シャフトの取り付け位置に誤差があっても、シートの搬送性は影響を受け難い。しかし、タイヤ型ローラを複写機等のシート搬送機構に採用した場合、僅かなシャフトの取り付け誤差によってもシートが斜行してジャムを誘発する。
【実験1】
【0020】
図13に示す、本発明のローラAと、円形コアの外周に横断面が四角形の環状摩擦部材を装着したローラBについて、紙粉を原因とする摩擦力の変化を調べた。ローラAとローラBに装着した摩擦部材は同一の材料で形成した。実験に用いた装置の構成を図11に示す。図示するように、装置は、モータ72に駆動連結された軸74を有し、この軸74にローラA、Bが固定できるようにしてある。軸74の近傍には、押し当て治具76が配置されている。押し当て治具76は、上方に配置された揺動軸78を中心に揺動可能に支持された垂直アーム80の下端に回転可能に支持されている。アーム80の上端は、糸82の一端が連結されている。糸82は、アーム80の連結部から水平方向に伸びており、さらに、支点84を介して下方に向けられ、他端に荷重(重り)86が連結されている。したがって、軸74に取り付けられたローラA,Bに対して押し当て治具76が所定の力で圧接される。ローラA,Bと押し当て治具76の間には、上端がロードセル88に連結された帯状の紙90が配置される。これにより、モータ72を駆動してローラA、Bを回転すると、ローラA,Bと押し当て治具76に挟持された紙90に張力が作用し、その張力がロードセル88で計測される。
【0021】
摩擦力を計測するにあたって、ローラA,Bの外周面に紙粉を付着させた。この作業では、筆で紙粉をローラの外周面に一様に塗布した後、ローラから30cm離れた位置から空気を吹き付けて余分な紙粉をローラから吹き飛ばした。次に、紙粉の付着したローラを軸74に取り付け、8秒毎に、紙を交換して搬送力(ロードセルの計測値)を記録した。同様の実験を3回行い、その記録された搬送力の平均値を荷重で除して、初期、8秒後、16秒後、24秒後、32秒後の摩擦係数μ0、μ8、μ16、μ24、μ32を得た。結果を表1に示す。表中、変化率は、32秒後の摩擦係数と初期の摩擦係数との差を経過時間(32秒)で除した値で、摩擦係数の回復性を判断する指標となるものである。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示すように、本発明に係るローラAでは、時間の経過とともに摩擦係数が上昇し、高い摩擦係数の回復性を示した。これは、ローラAでは、紙との接触・非接触を繰り返すことによってローラ外周面が大きく変形しながら、変形状態と原形状態を交互に繰り返し、ローラ外周面から多くの紙粉が除去されたことによるものと考えられる。他方、比較例のローラBでは、ローラAのような大きな変形が繰り返されることがないため、紙粉の除去が不十分であったことにより、摩擦係数の回復は低い値に留まったものと考えられる。
【0024】
このように、本発明に係るローラは、複写機等に組み込まれて用紙搬送ローラとして使用した場合、紙粉の付着によって搬送力が低下する、という問題がない。換言すれば、長期に亘って安定した用紙搬送性能が得られる。
【実験2】
【0025】
ローラA、Bについて、新東科学株式会社製の装置(商品名:HEIDON TYPE 14DR)を用いて、荷重と摩擦係数との関係を調べた。加えた荷重は100g、500g、900g、1500gで、それぞれの荷重に対する摩擦係数f100,f500,f900,f1500、摩擦係数比、摩擦係数の変化を計算した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
表2から明らかなように、本発明に係るローラAは、ローラBに比べて、荷重の変化による摩擦係数の変化がより少ない。そのため、ローラの圧接力設定精度に拘わらず、ほぼ一定のシート搬送性を得ることができる。
【実施形態2】
【0028】
図15は実施形態2に係る本発明のローラ100を示す。図示するように、実施形態2のローラ100において、円筒状又は環状のコア112の外周部には、軸方向の両端側に環状フランジ(外側規制部)124が一体的に形成されている。各環状フランジ124は、該環状フランジ124の径方向外側端部から僅かに径方向内側に移動した位置から、軸方向の外側端部から内側端部に向かって中心軸側に傾斜した(すなわち、次第に高さが低くなる)傾斜面180を有する。傾斜面180は平坦である必要はなく、必要に応じて内側又は外側に湾曲した曲面であってもよい。このように構成されたローラ100によれば、コア112に装着された摩擦部材114は、環状フランジ124によって軸方向外側への移動が規制されるとともに、摩擦部材114の両端側部分138の端面139が傾斜面180に当接した状態で位置決めされる。
【0029】
実施形態2では、図16に示すように、傾斜面180の内側端部近傍に、摩擦部材114が内側に移動を規制する内側規制部182を周方向に連続的に又は断続的に設けてもよい。図示する実施形態では、内側規制部材182は、図の右側にのみ設けているが、左側にのみ設けてもよいし、左右両側に設けてもよい。また、実施形態2によれば、傾斜面180の角度を変えることにより、異なる外径のローラ100を得ることができる。そして、摩擦部材114の曲率を小さくすることによって、弾性変形した摩擦部材114の外周ひずみ(この歪みは外径の局部的なばらつきとなって表れる。)を緩和することができる。さらに、図23に示すように、傾斜面180に隣接するフランジ124の内面には、弾性変形した摩擦部材114の外周縁部を径方向外側から内側に向かって規制するための突起部からなる規制部181を周方向に連続して又は断続的に設けてもよい。
【0030】
図17は、実施形態2に係るローラの変形例を示す。図示するように、本変形例のローラ110(110L,110R)では、左右の傾斜面184,186の傾斜角度が他方のそれと異なる値に設定されている。具体的に、図17の左側に示すローラ110Lでは、右側の傾斜面186の傾斜角度が左側の傾斜面184よりも傾斜角度が大きくしてあり、図17の右側に示すローラ110Rでは、左側傾斜面186の傾斜角度が右側傾斜面184よりも傾斜角度が大きくしてある。このように構成されたローラ110(110L,110R)をシャフト188に取り付けた装置によれば、ローラ110の最大外径位置190が緩傾斜面側に向かって移動する。具体的に、図示する実施形態では、左右のローラ110の最大外径位置190がそれぞれ外側に移動しており、両ローラ110の最大外径位置間距離L1は中心位置間距離L2よりも大きくなっている。図示しないが、図17に示す左右のローラ110を入れ替えれば、両ローラ110の最大外径位置間距離は中心位置間距離よりも小さくなる。そのため、ローラ110が組み込まれる装置の構成や状況に応じて、適宜最大外径位置間距離を変えることができる。
【実施形態3】
【0031】
図18と図19は実施形態3に係る本発明のローラ210,310を示す。図示するように、実施形態3のローラ210,310において、コア212,312は、上述した実施形態の円形コアの一部分(一部の円弧を含む部分)を切除したD型コアで構成されている。実施形態では、コア212,312は、所定の周角度の領域に亘って存在し、中心軸216,316を中心とする一定半径の仮想円217,317に沿って延在する円弧外周部280,380と、この仮想円217,317に囲まれた領域の内側の領域に存在する外周部282,382を有する。実施形態では、外周部282,382は直線の
外周部として表されているが、この外周部は直線である必要はなく、内側に窪んだアーチ形状又は外側に向けて膨出したアーチ形状若しくはその他の任意の形状を採り得る。円弧外周部280,380は、上述した実施形態と同様に、環状フランジと位置決め溝又は環状フランジと環状傾斜面を有する。また、直線外周部282,383は、溝無しの平坦な外周面を有する形態であってもよい。この場合、図18(b)に示すように、摩擦部材214の両側環状端部がコア212の側面から突出していてもよい。直線外周部282,383には、環状フランジと位置決め溝又は環状フランジと環状傾斜面を設けてもよい。したがって、円弧外周部280,380上に位置する摩擦部材214部分は弾性変形された断面略U形又はアーチ形に保持され、直線外周部282,382上に位置する摩擦部材214,314部分は平坦な形又は断面略U形に保持される。
【0032】
このように構成されたローラ210、310は、複写機等の給紙部において給紙ローラとして利用され、給紙時は円弧外周部282,382にある摩擦部材214,314の部分が給紙カセットに収容されているシートに摩擦接触してシートを給紙し、非給紙時は直線外周部282,382にある摩擦部材214,314の部分が給紙カセットに収容されているシートと離間した状態に保たれる。
【0033】
図20は、実施形態3に係るローラの変形例を示す。図示するように、本変形例のローラ410では、図20(c)に示すように、コア412の環状フランジ424は、中心軸416と直交する中央断面452に関して左右対称に、直線外周部482側から円弧外周部480の中央部に向かって次第に幅が狭くなるように傾斜している。したがって、図20(a)、(b)に示すように、傾斜コア412に摩擦部材430を装着すると、傾斜フランジ424の間で円弧外周部480に装着された摩擦部材部分は、コア中央部において最も大きな曲率のU型横断面を有し、コア中央部から遠ざかるにしたがって次第に小さな曲率U型横断面を有する。その結果、ローラ410は、円弧外周部の中央部で最大の外径(中心軸からの距離)を有し、そこから遠ざかるに従って小さな外径を有する。
【0034】
なお、上述した実施形態3の摩擦部材コアのコアはD型としたが、このコアは扇型であってもよい。
【実施形態4】
【0035】
本発明のローラは、上述の実施形態に限るものでなく、種々変形可能である。例えば、コアは、弾性変形された摩擦部材を変形した状態で保持する機能を備えていればよい。そのため、コアの形態は上記実施形態に限るものでなく、例えば、図21に示すローラ510,610ように、シャフト兼用コア512,612に外装されて弾性変形された摩擦部材514,614を、コア512,612に取り付けた外側規制部材524,624で規制したものも本発明に含まれる。当然、図21(b)に示すように、変形された摩擦部材614の端部をその内側から規制する部材626を設けてもよい。
【0036】
コアは複数の部分に分割してもよい。例えば、図24に示す形態のコア712は、中心軸と交差する横断面に沿って、コア本体718の中央部で2つのコア部分713a、713bに分割されている。ローラ710の組立時、摩擦部材714を、一方のコア部分(図24(a)では左側のコア部分713a)に外装する。次に、2つのコア部分713a、713bを連結する。このとき、摩擦部材714の両端側部分738にある端面739がコア部分713a、713bの間で押圧され、コア部分713a、713bが連結された状態で、摩擦部材714の端面739が傾斜面780に当たり、摩擦部材714の中央部743が径方向外側に突出(膨出)した状態(アーチ状、断面U状)に変形する。このように、この形態のコア712によれば、コア712を組み立てる際に、摩擦部材714がコア712に同時に装着される。したがって、摩擦部材714の装着が容易である。
【0037】
分割したコア部分713a、713bは適当な連結手段によって連結できる。例えば、図25(a)に示すように、コア部分713aにおけるコア本体718aの外周部又は端面に複数の係合凹部750を形成する一方、他方のコア部分713bにおけるコア本体718bの端部に対応する複数の係合突起752を形成し、コア部分713a、713bを連結したとき、係合突起752が係合凹部750に係合するようにしてもよい。または、図25(b)に示すように、コア部分713aの円筒コア本体718aの内面に内ねじ754を形成する一方、他方のコア部分713bの円筒コア本体718bに外ねじ756を形成し、この外ねじ756を内ねじ754に螺合するようにしてもよい。
【実施形態5】
【0038】
本発明のローラに取り付けられて弾性変形した摩擦部材714は、その断面が全体として径方向外側に向けて突出していればよい。したがって、図26に示すように、コア812に装着された摩擦部材814の中央部が径方向内側に向かった窪み860を有するローラ810も本発明に含まれる。図27に示すように、このローラ810では、シャフト854がシート856と平行の場合、摩擦部材814とシート856の接触領域864は2つの円を部分的に重ね合わせた形となる。また、シャフト854がシート856と非平行の場合、接触領域866における一方の円は小さくなるが、いずれにしても円を部分的に重ね合わせた形となるので、シートの搬送性が左右で大きく異なることがない。
【実施形態6】
【0039】
本発明に係るローラは、ベルト式シート搬送装置のベルトを支持するローラとして使用することもできる。例えば、図28は、ベルト式シート搬送装置900を示す。搬送装置900は、平行に配置された一対のシャフト954a,954bを有する。シャフト954a,954bには、上述したいずれかの実施形態のローラ910a、910bが固定されており、一方のシャフト954aのローラ910aと他方のシャフト954bのローラ910bにベルト920が巻回されている。このように構成されたシート搬送装置900によれば、ベルト920がローラ910a、910bに装着された弾性変形した摩擦部材に支持されているため、シート搬送に伴って発生するベルト920の振動が弾性変形した摩擦部材に吸収され、安定したシートの搬送性が得られる。また、ベルト920は弾性変形した摩擦部材から受ける反発力によって弾性支持されるため、ベルト920の撓みが減少する。そのため、ベルトの振動が減少し、安定したシートの搬送性が得られる。
【0040】
図29に示すように、各ベルト920を支持するローラ910a、910bの間に本発明のローラ910cを配置するとともに、ローラ910cをシャフト954cで支持し、ローラ910a、910bの間に延在するベルト920の中間部分をローラ910cで支持してもよい。この場合も、図28に示す形態と同様の効果が得られる。なお、図29に示す形態では、両側のローラ910a、910bは、コアのみからなるローラ、すなわち、摩擦部材の無いローラ、であってもよい。
【0041】
以上、複数の実施形態を個別に説明したが、これら複数の実施形態及びそれらの変形例は、組み合わせて使用することができ、そのような複数の実施形態及び変形例の組み合わせは、本発明の技術的範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るローラによれば、摩擦部材は真っ直ぐな筒状の基材を弾性変形して形成される。そのため、摩擦部材の製造が極めて容易である。特に、タイヤ型ローラに比べて、金型の製造及び型抜きの作業が極めて容易になる。また、摩擦部材は弾性変形した状態でコアに保持されているため、シートに接触して該シートに必要な搬送性を与えることができる。また、ローラに大きな荷重が作用した場合でも、ローラとシートの接触によって大きな異音が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態1に係るローラの正面図。
【図2】図1に示すローラの側面図。
【図3】図1に示すローラの断面図。
【図4】摩擦部材を構成する摩擦基材、コア、およびそれらの組立状態を示す図。
【図5】摩擦部材とローラの製造プロセスを説明する図。
【図6】摩擦部材を予備変形する治具及びそのプロセスを示す図。
【図7】実施形態1のローラとシートとの接触状態を示す図。
【図8】タイヤ型ローラの一部を切除した斜視図。
【図9】タイヤ型ローラの断面図。
【図10】タイヤ型ローラとシートとの接触状態を示す図。
【図11】実施形態1のローラとシートとの接触状態を示す図。
【図12】タイヤ型ローラとシートとの接触状態を示す図。
【図13】実験1で使用したローラA,Bの断面図。
【図14】実験1に用いた装置の構成図。
【図15】実施形態2に係るローラを示す図。
【図16】実施形態2に係るローラの変形例を示す図。
【図17】実施形態2に係るローラの他の変形例を示す図。
【図18】実施形態3に係るローラを示す図。
【図19】実施形態3に係るローラを示す図。
【図20】実施形態3に係るローラの変形例を示す図。
【図21】本発明の他の形態のローラを示す図。
【図22】空気連通路の他の形態を示す図。
【図23】コアの他の形態を示す図。
【図24】分割コアを有する実施形態4に係るローラを示す図。
【図25】分割コアの連結構造を示す図。
【図26】中央部に窪みを有する弾性変形摩擦部材を含む実施形態5のローラを示す図。
【図27】実施形態5に係るローラとシートとの接触状態を示す図。
【図28】実施形態6に係るシート搬送装置の斜視図。
【図29】実施形態6に係るシート搬送装置の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0044】
10:ローラ
12:コア
14:環状摩擦部材
16:中心軸
18:コア本体
20:貫通孔
22:環状溝
24:環状フランジ(外側規制部)
26:突部(内側規制部)
28:位置決め溝
30:摩擦基材
32:中心軸
34:内周面
36:外周面
38:環状端面
40:溝(ローレット)
42:長尺円筒体
42:中央部
44:環状位置決め溝の底面
46:空間
48:空気孔
50:円筒治具
52:円弧形状
54:シャフト
56:シート
58:円筒外周面
60:環状フランジ
62:タイヤ型摩擦部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形又はD型若しくは扇型のコアの外周に弾性の材料からなる環状摩擦部材を設けたローラ、およびそのローラを備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の事務機器は、画像が転写されるシート又は画像が転写されたシートを目的の方向に搬送する機構を備えている。一般に、シート搬送機構は、回転自在に支持されたシャフトと、シャフトに固定されて支持された複数のローラを有する。各ローラは、通常、シャフトに固定されたコアと、コアの外周面に装着されて保持された環状ゴム部材を備えている。一般に、ゴム部材は、ローラの外周長よりも小さな内周長を有し、それ自身の弾性力を利用して、ローラの外周面に装着されて保持される。
【0003】
このようなシート搬送機構では、ゴム摩擦部材の外周面がシートに片当たりしたり、一つのシャフトに設けられた複数のローラが異なる圧接力をもってシートに当たると、シートの斜行(スキュー)を招来する。そのため、機器に対するシャフトの組み付け又シャフトに対するローラの組み付けの精度、ゴム摩擦部材がシートに接触する圧力は、厳しく管理する必要がある。
【0004】
ところで、従来、特許文献1,2に、いわゆるタイヤ型ローラが提案されている。このようなタイヤ型ローラは、一般に、外周円筒部と該外周円筒部の両側に一体的に設けた環状フランジからなるタイヤ(摩擦部材)を、図示しないホイールに装着して構成されている。しかし、タイヤ型ローラでは、タイヤは、まったく又は殆ど負荷がかかっていない状態(すなわち、非変形状態)で、ホイールに装着される。そのため、シートとの接触によって容易に変形するものの、十分な接触圧をもってシートに接触し得ないことから、シートの搬送性に劣るという欠点がある。また、タイヤ型ローラのタイヤは金型で一体的に形成されるが、外周円筒部の両端から内方に向かって一対の環状フランジが伸びているため、金型(割型)の設計が難しく、型抜き作業が非常に煩雑である、という問題がある。
【特許文献1】特許第3238121号公報
【特許文献2】特許第3496024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題を解消し、シートの搬送に適した新たなローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの問題を解消するため、本発明に係るローラは、コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)である。コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有する。環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を2つの規制部(24)で規制することで、両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されている。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された本発明のローラは、環状摩擦部材は筒状基材によって構成されており、この筒状基材を弾性変形してコアの外周に装着される。したがって、環状摩擦部材の製造が極めて容易である。また、環状摩擦部材は弾性変形されているため、シートに接触して該シートに十分な搬送力を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な複数の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の符号は同一又は類似の部材又は部分を示すものとする。
【実施形態1】
【0009】
図1〜図3は、実施形態1のローラ10を示す。ローラ10は、例えば、紙、プラスチックシート、写真などのシート材料を搬送する機構に組み込まれ、摩擦接触に基づいてシート材料を搬送するための部材である。シート材料は、薄くて腰の弱い柔軟性のあるシート(例えば、薄紙、プラスチックフィルム、写真、布、不織布)、厚くて腰の強い自立性のシート(厚紙、プラスチックカード)を含む。したがって、ローラ10は、例えば、紙やプラスチックフィルムの表面に画像を形成する画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機、印刷機等)、紙幣やプラスチックカードを搬送する機能を備えた現金取扱装置、薄い又は厚い基板の表面に材料(主に液体材料)を塗布する装置の基板搬送機構等に利用できる。
【0010】
図3を参照すると、ローラ10は、一定の形を有するコア12と、外部から力を加えることによって変形する環状摩擦部材14を有する。
【0011】
コア12は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等の樹脂又はアルミニウム、ステンレス等の金属で一体的に形成されており、中心軸16を中心とする筒状又は環状のコア本体18を有する。図3を参照すると、コア本体18は、軸16を中心とする円筒状の貫通孔20を有する。実施形態では、貫通孔20は円形の横断面を有するが、その横断面形状は多角形(三角形、四角形、その他の多角形)又は楕円形であってもよい。コア本体18の外周部は、軸16を中心とする環状溝22と、環状溝22を介して軸方向に対向する一対のフランジ(外側規制部)24を有する。フランジ24は、周方向に連続して設けてもよいし、断続的に設けてもよい。実施形態では、環状溝22の中央には該環状溝22の底部から径方向外側に向かって伸びる突部(内側規制部)26が周方向に連続的に又は断続的に形成されており、突部26と両側フランジ24の間にそれぞれ環状の位置決め溝28が形成されている。実施形態では、フランジ24、突部26、環状位置決め溝28は周方向に連続しているが、断続的に設けてもよい。
【0012】
摩擦部材14は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコン、ウレタン、塩素化ポリエチレンで形成されており、後に説明するようにコア12に装着する前は真っ直ぐな円筒形状をしており、コア12の外周に装着する際に弾性変形される。具体的に、図4(a)に示すように、弾性変形前の摩擦部材(以下、「摩擦基材」という。)30は、直管状の円筒体であり、中心軸32を中心とする内周面34及び外周面36と、内周面34と外周面36の端部を連結する環状端面38を有する。図1,2に示すように、外周面36には、軸方向に伸びる複数の溝(ローレット)40を形成してもよい。
【0013】
図5に示すように、摩擦基材30は、例えば、金型を用いて成形された長尺円筒体42を所定の長さに切断して得られる。所定の長さに切断された摩擦基材30は、図4に示すように、中心軸32の方向に両端面38から加圧され、内周面34と外周面36の中央部43(図4参照)を径方向外側に突出(膨出)した状態(アーチ状、断面U状)に変形され、両端側部分38をコア本体18の環状位置決め溝28に嵌め込んでコア12に装着される。
【0014】
図示するように、コア12に装着された摩擦部材14は、それ自身の弾性回復力に基づいて、両端側部分(特に、両端側外周部分39)を対向するフランジ24に圧接してフランジ24の間に安定的に保持される。その結果、コア12の周囲に安定した断面U状の摩擦部材14が形成される。コア12に対する摩擦部材14の径方向の移動(がたつき)を無くすために、コア12に摩擦部材14を装着した状態で環状位置決め溝28の底面44(図3,図4参照)とこれに対向する摩擦部材端面38が隙間無く当たるように摩擦部材14の寸法を決めることが好ましい。また、摩擦部材14は、その外径D、厚さT、軸方向長さWが、D≧W>Tの関係を有することが好ましい。さらに、図示する実施形態では、摩擦部材14の厚さはコア12の位置決め溝28の軸方向幅よりも小さくしてあるが、摩擦部材14の厚さを位置決め溝28の幅と同一又は僅かに大きくすれば、摩擦部材14を位置決め溝28に安定して保持できる。
【0015】
コア12に装着された摩擦部材14の外形を一定に保つために、また、シート材料との接触によって摩擦部材部分が容易に変形するように、さらに、変形した摩擦部材部分が自身の弾性回復力に基づいてU状断面に復帰するように、摩擦部材14の内側にある空間46(図3参照)と外部を連通する連通部(空気孔)48を設けることが好ましい。実施形態では、図3に示すように、コア本体18の突部26の外周面から中央の貫通孔20に向かって径方向に伸びる一つ又は複数の連通部48が形成されている。空気孔48を設ける位置や大きさは図示する形態に限るものでない。例えば、図22に示すように、コア12の本体18の外周面から両フランジ23の内面を経てフランジ外周端部まで伸びる溝状の連通部49を形成し、この連通部49を介して空間46を大気に連通してもよい。
【0016】
コア12に摩擦部材14を装着する前に摩擦部材14にU状のくせ(予備変形)を付けて加えておくことが好ましい。具体的には、図6に示すように、変形前の摩擦基材30よりも大きな外径を有するとともに外周に外側に膨出した環状曲面を付けた中実又は中空の円筒治具50を用意する。次に、円筒治具50の外周52に摩擦基材30を装着して所定時間放置する。これにより、円筒治具50から取り外した摩擦基材30の外周には、外側に膨出したアーチ形状又は円弧形状52が事前に付与される。
【0017】
図3に示すように、ローラ10は、中央の貫通孔20に金属製のシャフト54が挿入され、このシャフト54に取り付けられる。ローラ10がシートとの摩擦に基づいて該シートを搬送する搬送ローラとして機能する場合、ローラ10はシャフトに固定される。また、ローラ10がシートの移動に伴って従動回転する従動ローラとして機能する場合、ローラ10はシャフトに回転自在に支持される。このようにして一つ又は複数のローラ10を取り付けたシャフト54は、上述のように、画像形成装置等のシート搬送機構に組み込まれ、シートの搬送に利用される。
【0018】
図7は、ローラ10の外周面にシート56を押し当てたときの摩擦部材14の変形後の形状を示す。シート56は、安定した基板(図示せず)に支持されているものとする。図示するように、ローラ10では、シート56との接触によって変形した部分の全体がシート56に十分な接触力をもって当たる。そのため、ローラ10を複写機等のシート搬送部材として採用した場合、十分なシート搬送力が安定して得られる。しかし、図8、9に示すように、円筒外周面58と該円筒外周面58の両端から径方向内側に広がる環状フランジ60とを一体的に形成したタイヤ型摩擦部材62を有するローラの場合、コア12に装着された状態で弾性変形されていないので、図10に示すように、摩擦部材62をシート56に押し当てると、円筒外周面58の外周縁部のみがシート56に接触し、これら外周縁部の間に位置する外周面はシート56に接触しない。したがって、このローラ10を複写機等のシート搬送部材として採用した場合、十分な搬送力をシートに与えることができない。
【0019】
ローラ10とシートとの接触状態について説明する。図11(a)、(b)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と平行の場合、ローラ10とシート56との接触面64は変形の無い対称な楕円形となる。図11(c)、(d)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と非平行になっている場合、ローラ10とシート56との接触面66は僅かに変形した、シート搬送方向に伸びた非対称の楕円形となる。これに対し、弾性変形されていないタイヤ型摩擦部材62を装着したローラ(図8参照)では、図12(a)に示すように、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と平行の場合、ローラ10とシート56との接触面68は中心軸の方向に伸びた対称の略長方形となるが、シャフト54とローラ10の中心軸がシート56と非平行の場合、ローラ10とシート56との接触面70は略三角形となり、明らかに左右で異なる形状となる。したがって、本発明に係るローラ10を複写機等のシート搬送機構に採用した場合、シャフトの取り付け位置に誤差があっても、シートの搬送性は影響を受け難い。しかし、タイヤ型ローラを複写機等のシート搬送機構に採用した場合、僅かなシャフトの取り付け誤差によってもシートが斜行してジャムを誘発する。
【実験1】
【0020】
図13に示す、本発明のローラAと、円形コアの外周に横断面が四角形の環状摩擦部材を装着したローラBについて、紙粉を原因とする摩擦力の変化を調べた。ローラAとローラBに装着した摩擦部材は同一の材料で形成した。実験に用いた装置の構成を図11に示す。図示するように、装置は、モータ72に駆動連結された軸74を有し、この軸74にローラA、Bが固定できるようにしてある。軸74の近傍には、押し当て治具76が配置されている。押し当て治具76は、上方に配置された揺動軸78を中心に揺動可能に支持された垂直アーム80の下端に回転可能に支持されている。アーム80の上端は、糸82の一端が連結されている。糸82は、アーム80の連結部から水平方向に伸びており、さらに、支点84を介して下方に向けられ、他端に荷重(重り)86が連結されている。したがって、軸74に取り付けられたローラA,Bに対して押し当て治具76が所定の力で圧接される。ローラA,Bと押し当て治具76の間には、上端がロードセル88に連結された帯状の紙90が配置される。これにより、モータ72を駆動してローラA、Bを回転すると、ローラA,Bと押し当て治具76に挟持された紙90に張力が作用し、その張力がロードセル88で計測される。
【0021】
摩擦力を計測するにあたって、ローラA,Bの外周面に紙粉を付着させた。この作業では、筆で紙粉をローラの外周面に一様に塗布した後、ローラから30cm離れた位置から空気を吹き付けて余分な紙粉をローラから吹き飛ばした。次に、紙粉の付着したローラを軸74に取り付け、8秒毎に、紙を交換して搬送力(ロードセルの計測値)を記録した。同様の実験を3回行い、その記録された搬送力の平均値を荷重で除して、初期、8秒後、16秒後、24秒後、32秒後の摩擦係数μ0、μ8、μ16、μ24、μ32を得た。結果を表1に示す。表中、変化率は、32秒後の摩擦係数と初期の摩擦係数との差を経過時間(32秒)で除した値で、摩擦係数の回復性を判断する指標となるものである。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示すように、本発明に係るローラAでは、時間の経過とともに摩擦係数が上昇し、高い摩擦係数の回復性を示した。これは、ローラAでは、紙との接触・非接触を繰り返すことによってローラ外周面が大きく変形しながら、変形状態と原形状態を交互に繰り返し、ローラ外周面から多くの紙粉が除去されたことによるものと考えられる。他方、比較例のローラBでは、ローラAのような大きな変形が繰り返されることがないため、紙粉の除去が不十分であったことにより、摩擦係数の回復は低い値に留まったものと考えられる。
【0024】
このように、本発明に係るローラは、複写機等に組み込まれて用紙搬送ローラとして使用した場合、紙粉の付着によって搬送力が低下する、という問題がない。換言すれば、長期に亘って安定した用紙搬送性能が得られる。
【実験2】
【0025】
ローラA、Bについて、新東科学株式会社製の装置(商品名:HEIDON TYPE 14DR)を用いて、荷重と摩擦係数との関係を調べた。加えた荷重は100g、500g、900g、1500gで、それぞれの荷重に対する摩擦係数f100,f500,f900,f1500、摩擦係数比、摩擦係数の変化を計算した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
表2から明らかなように、本発明に係るローラAは、ローラBに比べて、荷重の変化による摩擦係数の変化がより少ない。そのため、ローラの圧接力設定精度に拘わらず、ほぼ一定のシート搬送性を得ることができる。
【実施形態2】
【0028】
図15は実施形態2に係る本発明のローラ100を示す。図示するように、実施形態2のローラ100において、円筒状又は環状のコア112の外周部には、軸方向の両端側に環状フランジ(外側規制部)124が一体的に形成されている。各環状フランジ124は、該環状フランジ124の径方向外側端部から僅かに径方向内側に移動した位置から、軸方向の外側端部から内側端部に向かって中心軸側に傾斜した(すなわち、次第に高さが低くなる)傾斜面180を有する。傾斜面180は平坦である必要はなく、必要に応じて内側又は外側に湾曲した曲面であってもよい。このように構成されたローラ100によれば、コア112に装着された摩擦部材114は、環状フランジ124によって軸方向外側への移動が規制されるとともに、摩擦部材114の両端側部分138の端面139が傾斜面180に当接した状態で位置決めされる。
【0029】
実施形態2では、図16に示すように、傾斜面180の内側端部近傍に、摩擦部材114が内側に移動を規制する内側規制部182を周方向に連続的に又は断続的に設けてもよい。図示する実施形態では、内側規制部材182は、図の右側にのみ設けているが、左側にのみ設けてもよいし、左右両側に設けてもよい。また、実施形態2によれば、傾斜面180の角度を変えることにより、異なる外径のローラ100を得ることができる。そして、摩擦部材114の曲率を小さくすることによって、弾性変形した摩擦部材114の外周ひずみ(この歪みは外径の局部的なばらつきとなって表れる。)を緩和することができる。さらに、図23に示すように、傾斜面180に隣接するフランジ124の内面には、弾性変形した摩擦部材114の外周縁部を径方向外側から内側に向かって規制するための突起部からなる規制部181を周方向に連続して又は断続的に設けてもよい。
【0030】
図17は、実施形態2に係るローラの変形例を示す。図示するように、本変形例のローラ110(110L,110R)では、左右の傾斜面184,186の傾斜角度が他方のそれと異なる値に設定されている。具体的に、図17の左側に示すローラ110Lでは、右側の傾斜面186の傾斜角度が左側の傾斜面184よりも傾斜角度が大きくしてあり、図17の右側に示すローラ110Rでは、左側傾斜面186の傾斜角度が右側傾斜面184よりも傾斜角度が大きくしてある。このように構成されたローラ110(110L,110R)をシャフト188に取り付けた装置によれば、ローラ110の最大外径位置190が緩傾斜面側に向かって移動する。具体的に、図示する実施形態では、左右のローラ110の最大外径位置190がそれぞれ外側に移動しており、両ローラ110の最大外径位置間距離L1は中心位置間距離L2よりも大きくなっている。図示しないが、図17に示す左右のローラ110を入れ替えれば、両ローラ110の最大外径位置間距離は中心位置間距離よりも小さくなる。そのため、ローラ110が組み込まれる装置の構成や状況に応じて、適宜最大外径位置間距離を変えることができる。
【実施形態3】
【0031】
図18と図19は実施形態3に係る本発明のローラ210,310を示す。図示するように、実施形態3のローラ210,310において、コア212,312は、上述した実施形態の円形コアの一部分(一部の円弧を含む部分)を切除したD型コアで構成されている。実施形態では、コア212,312は、所定の周角度の領域に亘って存在し、中心軸216,316を中心とする一定半径の仮想円217,317に沿って延在する円弧外周部280,380と、この仮想円217,317に囲まれた領域の内側の領域に存在する外周部282,382を有する。実施形態では、外周部282,382は直線の
外周部として表されているが、この外周部は直線である必要はなく、内側に窪んだアーチ形状又は外側に向けて膨出したアーチ形状若しくはその他の任意の形状を採り得る。円弧外周部280,380は、上述した実施形態と同様に、環状フランジと位置決め溝又は環状フランジと環状傾斜面を有する。また、直線外周部282,383は、溝無しの平坦な外周面を有する形態であってもよい。この場合、図18(b)に示すように、摩擦部材214の両側環状端部がコア212の側面から突出していてもよい。直線外周部282,383には、環状フランジと位置決め溝又は環状フランジと環状傾斜面を設けてもよい。したがって、円弧外周部280,380上に位置する摩擦部材214部分は弾性変形された断面略U形又はアーチ形に保持され、直線外周部282,382上に位置する摩擦部材214,314部分は平坦な形又は断面略U形に保持される。
【0032】
このように構成されたローラ210、310は、複写機等の給紙部において給紙ローラとして利用され、給紙時は円弧外周部282,382にある摩擦部材214,314の部分が給紙カセットに収容されているシートに摩擦接触してシートを給紙し、非給紙時は直線外周部282,382にある摩擦部材214,314の部分が給紙カセットに収容されているシートと離間した状態に保たれる。
【0033】
図20は、実施形態3に係るローラの変形例を示す。図示するように、本変形例のローラ410では、図20(c)に示すように、コア412の環状フランジ424は、中心軸416と直交する中央断面452に関して左右対称に、直線外周部482側から円弧外周部480の中央部に向かって次第に幅が狭くなるように傾斜している。したがって、図20(a)、(b)に示すように、傾斜コア412に摩擦部材430を装着すると、傾斜フランジ424の間で円弧外周部480に装着された摩擦部材部分は、コア中央部において最も大きな曲率のU型横断面を有し、コア中央部から遠ざかるにしたがって次第に小さな曲率U型横断面を有する。その結果、ローラ410は、円弧外周部の中央部で最大の外径(中心軸からの距離)を有し、そこから遠ざかるに従って小さな外径を有する。
【0034】
なお、上述した実施形態3の摩擦部材コアのコアはD型としたが、このコアは扇型であってもよい。
【実施形態4】
【0035】
本発明のローラは、上述の実施形態に限るものでなく、種々変形可能である。例えば、コアは、弾性変形された摩擦部材を変形した状態で保持する機能を備えていればよい。そのため、コアの形態は上記実施形態に限るものでなく、例えば、図21に示すローラ510,610ように、シャフト兼用コア512,612に外装されて弾性変形された摩擦部材514,614を、コア512,612に取り付けた外側規制部材524,624で規制したものも本発明に含まれる。当然、図21(b)に示すように、変形された摩擦部材614の端部をその内側から規制する部材626を設けてもよい。
【0036】
コアは複数の部分に分割してもよい。例えば、図24に示す形態のコア712は、中心軸と交差する横断面に沿って、コア本体718の中央部で2つのコア部分713a、713bに分割されている。ローラ710の組立時、摩擦部材714を、一方のコア部分(図24(a)では左側のコア部分713a)に外装する。次に、2つのコア部分713a、713bを連結する。このとき、摩擦部材714の両端側部分738にある端面739がコア部分713a、713bの間で押圧され、コア部分713a、713bが連結された状態で、摩擦部材714の端面739が傾斜面780に当たり、摩擦部材714の中央部743が径方向外側に突出(膨出)した状態(アーチ状、断面U状)に変形する。このように、この形態のコア712によれば、コア712を組み立てる際に、摩擦部材714がコア712に同時に装着される。したがって、摩擦部材714の装着が容易である。
【0037】
分割したコア部分713a、713bは適当な連結手段によって連結できる。例えば、図25(a)に示すように、コア部分713aにおけるコア本体718aの外周部又は端面に複数の係合凹部750を形成する一方、他方のコア部分713bにおけるコア本体718bの端部に対応する複数の係合突起752を形成し、コア部分713a、713bを連結したとき、係合突起752が係合凹部750に係合するようにしてもよい。または、図25(b)に示すように、コア部分713aの円筒コア本体718aの内面に内ねじ754を形成する一方、他方のコア部分713bの円筒コア本体718bに外ねじ756を形成し、この外ねじ756を内ねじ754に螺合するようにしてもよい。
【実施形態5】
【0038】
本発明のローラに取り付けられて弾性変形した摩擦部材714は、その断面が全体として径方向外側に向けて突出していればよい。したがって、図26に示すように、コア812に装着された摩擦部材814の中央部が径方向内側に向かった窪み860を有するローラ810も本発明に含まれる。図27に示すように、このローラ810では、シャフト854がシート856と平行の場合、摩擦部材814とシート856の接触領域864は2つの円を部分的に重ね合わせた形となる。また、シャフト854がシート856と非平行の場合、接触領域866における一方の円は小さくなるが、いずれにしても円を部分的に重ね合わせた形となるので、シートの搬送性が左右で大きく異なることがない。
【実施形態6】
【0039】
本発明に係るローラは、ベルト式シート搬送装置のベルトを支持するローラとして使用することもできる。例えば、図28は、ベルト式シート搬送装置900を示す。搬送装置900は、平行に配置された一対のシャフト954a,954bを有する。シャフト954a,954bには、上述したいずれかの実施形態のローラ910a、910bが固定されており、一方のシャフト954aのローラ910aと他方のシャフト954bのローラ910bにベルト920が巻回されている。このように構成されたシート搬送装置900によれば、ベルト920がローラ910a、910bに装着された弾性変形した摩擦部材に支持されているため、シート搬送に伴って発生するベルト920の振動が弾性変形した摩擦部材に吸収され、安定したシートの搬送性が得られる。また、ベルト920は弾性変形した摩擦部材から受ける反発力によって弾性支持されるため、ベルト920の撓みが減少する。そのため、ベルトの振動が減少し、安定したシートの搬送性が得られる。
【0040】
図29に示すように、各ベルト920を支持するローラ910a、910bの間に本発明のローラ910cを配置するとともに、ローラ910cをシャフト954cで支持し、ローラ910a、910bの間に延在するベルト920の中間部分をローラ910cで支持してもよい。この場合も、図28に示す形態と同様の効果が得られる。なお、図29に示す形態では、両側のローラ910a、910bは、コアのみからなるローラ、すなわち、摩擦部材の無いローラ、であってもよい。
【0041】
以上、複数の実施形態を個別に説明したが、これら複数の実施形態及びそれらの変形例は、組み合わせて使用することができ、そのような複数の実施形態及び変形例の組み合わせは、本発明の技術的範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るローラによれば、摩擦部材は真っ直ぐな筒状の基材を弾性変形して形成される。そのため、摩擦部材の製造が極めて容易である。特に、タイヤ型ローラに比べて、金型の製造及び型抜きの作業が極めて容易になる。また、摩擦部材は弾性変形した状態でコアに保持されているため、シートに接触して該シートに必要な搬送性を与えることができる。また、ローラに大きな荷重が作用した場合でも、ローラとシートの接触によって大きな異音が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態1に係るローラの正面図。
【図2】図1に示すローラの側面図。
【図3】図1に示すローラの断面図。
【図4】摩擦部材を構成する摩擦基材、コア、およびそれらの組立状態を示す図。
【図5】摩擦部材とローラの製造プロセスを説明する図。
【図6】摩擦部材を予備変形する治具及びそのプロセスを示す図。
【図7】実施形態1のローラとシートとの接触状態を示す図。
【図8】タイヤ型ローラの一部を切除した斜視図。
【図9】タイヤ型ローラの断面図。
【図10】タイヤ型ローラとシートとの接触状態を示す図。
【図11】実施形態1のローラとシートとの接触状態を示す図。
【図12】タイヤ型ローラとシートとの接触状態を示す図。
【図13】実験1で使用したローラA,Bの断面図。
【図14】実験1に用いた装置の構成図。
【図15】実施形態2に係るローラを示す図。
【図16】実施形態2に係るローラの変形例を示す図。
【図17】実施形態2に係るローラの他の変形例を示す図。
【図18】実施形態3に係るローラを示す図。
【図19】実施形態3に係るローラを示す図。
【図20】実施形態3に係るローラの変形例を示す図。
【図21】本発明の他の形態のローラを示す図。
【図22】空気連通路の他の形態を示す図。
【図23】コアの他の形態を示す図。
【図24】分割コアを有する実施形態4に係るローラを示す図。
【図25】分割コアの連結構造を示す図。
【図26】中央部に窪みを有する弾性変形摩擦部材を含む実施形態5のローラを示す図。
【図27】実施形態5に係るローラとシートとの接触状態を示す図。
【図28】実施形態6に係るシート搬送装置の斜視図。
【図29】実施形態6に係るシート搬送装置の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0044】
10:ローラ
12:コア
14:環状摩擦部材
16:中心軸
18:コア本体
20:貫通孔
22:環状溝
24:環状フランジ(外側規制部)
26:突部(内側規制部)
28:位置決め溝
30:摩擦基材
32:中心軸
34:内周面
36:外周面
38:環状端面
40:溝(ローレット)
42:長尺円筒体
42:中央部
44:環状位置決め溝の底面
46:空間
48:空気孔
50:円筒治具
52:円弧形状
54:シャフト
56:シート
58:円筒外周面
60:環状フランジ
62:タイヤ型摩擦部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)であって、
上記コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有し、
上記環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を上記2つの規制部(24)で規制することで、上記両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されていることを特徴とするローラ。
【請求項2】
上記筒状基材(30)の外径(D)、軸方向長さ(W)、および厚み(T)が、D≧W>Tの関係を有することを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項3】
上記規制部(24)は上記コア(12)の軸方向両端側に設けられて径方向外側に向かって突出した一対のフランジ(24)を有し、上記弾性変形された摩擦部材(14)は上記一対のフランジ(24)で規制されていることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項4】
上記コア(12)は、上記一対の規制部(24)のそれぞれの内側に、軸方向の外側から内側に向かって径方向外側から内側に傾斜した傾斜面(180)を備えており、上記傾斜面(180)に上記変形した摩擦部材の環状端面(139)が当接されていることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項5】
上記傾斜面(184,186)はそれぞれ異なる傾斜角度を有することを特徴とする請求項4のローラ。
【請求項6】
上記コア(12)は、上記変形された摩擦部材(14)の内側にある空間(46)と外部を連通する連通部(48)を有することを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項7】
上記コア(212)は、上記コア(212)の中心軸を中心とする円(217)に沿って延在する円弧状の第1の外周部(280)と上記円(217)の内側の領域に位置する第2の外周部(282)とを有するD型又は扇型のコアであることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項8】
上記規制部(412)はそれぞれ、上記コア(412)の軸(416)と直交する平面(452)に対して左右対称に傾斜していることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかのローラを備えた装置。
【請求項1】
コア(12)の外周部に弾性材料からなる環状摩擦部材(14)を装着したローラ(10)であって、
上記コア(12)は、上記コア(12)の外周の少なくとも一部に沿って連続的に又は断続的に設けられた2つの規制部(24)を有し、
上記環状摩擦部材(14)の少なくとも一部は、筒状基材(30)の軸方向の両端側部分を上記2つの規制部(24)で規制することで、上記両端側部分の間にある少なくとも一部を径方向外側に突出して弾性変形して形成されていることを特徴とするローラ。
【請求項2】
上記筒状基材(30)の外径(D)、軸方向長さ(W)、および厚み(T)が、D≧W>Tの関係を有することを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項3】
上記規制部(24)は上記コア(12)の軸方向両端側に設けられて径方向外側に向かって突出した一対のフランジ(24)を有し、上記弾性変形された摩擦部材(14)は上記一対のフランジ(24)で規制されていることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項4】
上記コア(12)は、上記一対の規制部(24)のそれぞれの内側に、軸方向の外側から内側に向かって径方向外側から内側に傾斜した傾斜面(180)を備えており、上記傾斜面(180)に上記変形した摩擦部材の環状端面(139)が当接されていることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項5】
上記傾斜面(184,186)はそれぞれ異なる傾斜角度を有することを特徴とする請求項4のローラ。
【請求項6】
上記コア(12)は、上記変形された摩擦部材(14)の内側にある空間(46)と外部を連通する連通部(48)を有することを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項7】
上記コア(212)は、上記コア(212)の中心軸を中心とする円(217)に沿って延在する円弧状の第1の外周部(280)と上記円(217)の内側の領域に位置する第2の外周部(282)とを有するD型又は扇型のコアであることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項8】
上記規制部(412)はそれぞれ、上記コア(412)の軸(416)と直交する平面(452)に対して左右対称に傾斜していることを特徴とする請求項1のローラ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかのローラを備えた装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−256034(P2009−256034A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105938(P2008−105938)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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