説明

ロールスクリーン付き間仕切装置

【課題】スクリーンを移動させる際の操作性、および組み付け作業性がよく、しかも、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化等を図ることができるようにしたロールスクリーン付き間仕切装置を提供する。
【解決手段】上下方向に1段または多段の方形の空間S1、S2を有する枠体5におけるいずれかの空間内のいずれかの支柱1または横杆2、3、4に、枠体5に沿って引き出し可能としたスクリーン18を巻き取るロールスクリーン本体21を装着し、このロールスクリーン本体21より引き出したスクリーン18の先端に止着したハンドルバー22を、ロールスクリーン本体21と平行を保って、ロールスクリーン本体21から遠近移動しうるように枠体5に装着し、かつハンドルバー22の全長に亘って、前方に突出する取っ手22bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーン付き間仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の間仕切パネル装置として、前後両面に透光板を装着した枠体内に、ロールスクリーン装置を設け、枠体内に組み込んだ内部機構部と、枠体外に設けた外部機構部とにより、遮光性のスクリーンを、2枚の透光板間において昇降しうるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、ロールスクリーン装置としては、スプリングモータによりスクリーンを巻き取る巻取ロールと、スクリーンの両側縁を案内するためのガイドレールと、スクリーンの下端に結合されたボトムバーとからなるものがある(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−82962号公報
【特許文献2】特許第3340226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている間仕切パネル装置は、ロールスクリーン装置におけるスクリーンの先端に止着した昇降杆を、外部から手で直接昇降させることができないため、内部機構部や外部機構部等の複雑な機構を必要とし、構造が複雑化するとともに、操作性が悪く、しかも、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの共通化を図ったり、必要に応じて、ロールスクリーン装置を装着するといったことができない。
【0005】
また、特許文献2に記載されているロールスクリーン装置を、既存の透光性の間仕切パネル装置の側面に装着して、使用することが考えられるが、それによると、ロールスクリーン装置が間仕切パネル装置の表面から突出し、通行の妨げとなるとともに、ロールスクリーン装置を装着しない他の間仕切パネル装置とのデザイン上の統一を図ることができなくなり、体裁が悪い。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、構造が簡単で、スクリーンを移動させる際の操作性、および組み付け作業性がよく、しかも、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化、およびデザイン上の統一を図ることができるようにしたロールスクリーン付き間仕切装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右1対の支柱を、上下方向に離間する複数の横杆をもって連結することにより、上下方向に1段または多段の方形の空間を有する枠体を形成し、この枠体におけるいずれかの空間内のいずれかの支柱または横杆に、前記枠体に沿って引き出し可能としたスクリーンを巻き取るようにしたロールスクリーン本体を装着し、このロールスクリーン本体より引き出したスクリーンの先端に止着したハンドルバーを、前記ロールスクリーン本体と平行を保って、前記ロールスクリーン本体から遠近移動しうるように前記枠体に装着し、かつ前記ハンドルバーの全長に亘って、前後いずれかの方向に突出する取っ手を設ける。
【0008】
(2)上記(1)項において、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、透光性のパネルを装着し、かつ前記空間における前記パネルより内側に、ロールスクリーン本体とハンドルバーとを設け、前記ハンドルバーの取っ手を、前記透光性のパネルから離れる方向に突出させる。
【0009】
(3)上記(1)または(2)項において、枠体の支柱および横杆における空間を形成する内側面に、前後方向外向きに拡開する傾斜面を形成し、ハンドルバーが、前記支柱または横杆のいずれかに当接または近接するまで、スクリーンをロールスクリーン本体より引き出したとき、前記ハンドルバーと、それに対向する前記支柱または横杆の傾斜面との間に、手掛け用の空間が形成されるようにする。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ロールスクリーン本体を挟む1対の支柱または横杆の対向面に、長手方向を向く1対のガイドレールを設け、両ガイドレールに沿って両端部が摺動するようにした摺動杆に、ハンドルバーを取り付ける。
【0011】
(5)上記(4)項において、各ガイドレールに、長手方向を向くラックをそれぞれ設け、摺動杆内を挿通する同期連動杆の両端に設けた1対のピニオンを、対応する前記各ラックに噛合させる。
【0012】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、枠体を、上下2段の空間を有するものとし、上段の空間の上部における横杆と、下段の空間の下部における横杆とに近接させて、上下1対のロールスクリーン本体を装着し、上下のロールスクリーン本体より、スクリーンを互いに上下内向きに引き出し可能とし、上下のスクリーンの先端に止着したハンドルバーが、上下の空間を区画する中間の横杆の上下面に当接して停止するようにする。
【0013】
(7)上記(1)項、またはそれに従属する(3)〜(6)項のいずれかにおいて、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、ロールスクリーン用縁枠部材を装着し、このロールスクリーン用縁枠部材に、ロールスクリーン本体およびその関連部材を装着する。
【0014】
(8)上記(7)項において、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか他方の開口縁部に、透光性のパネルと、その左右および上下の縁部を囲繞するパネル用縁枠部材とを装着する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、ロールスクリーン本体より引き出したスクリーンの先端に止着したハンドルバーを、ロールスクリーン本体と平行を保って、ロールスクリーン本体から遠近移動しうるように枠体に装着し、かつハンドルバーの全長に亘って、前後いずれかの方向に突出する取っ手を設けてあるので、構造が簡単で、スクリーンを移動させる際の操作性がよい。
【0016】
請求項2記載の発明によると、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、透光性のパネルを装着し、かつ前記空間における前記パネルより内側に、ロールスクリーン本体とハンドルバーとを設け、前記ハンドルバーの取っ手を、前記透光性のパネルから離れる方向に突出させてあるので、透光性のパネルを装着した面を、他の間仕切装置の透光性のパネルを装着した面と揃えて、美麗な間仕切を形成することができるとともに、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化、およびデザイン上の統一を図ることができ、しかも、枠体におけるパネルを設けた面と反対側の面から、ハンドルバーを容易に操作することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によると、枠体の支柱および横杆における空間を形成する内側面に、前後方向外向きに拡開する傾斜面を形成し、ハンドルバーが、前記支柱または横杆のいずれかに当接または近接するまで、スクリーンをロールスクリーン本体より引き出したとき、前記ハンドルバーと、それに対向する前記支柱または横杆の傾斜面との間に、手掛け用の空間が形成されるようにしてあるので、美観を損なうことなく、ハンドルバーの取っ手操作用の空間を確保することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によると、ロールスクリーン本体を挟む1対の支柱または横杆の対向面に、長手方向を向く1対のガイドレールを設け、両ガイドレールに沿って両端部が摺動するようにした摺動杆に、ハンドルバーを取り付けてあるので、枠体に、摺動杆を装着した後、ロールスクリーン本体を装着し、その後に、ロールスクリーン本体からスクリーンを引き出して、その先端にハンドルバーを止着し、次いでそのハンドルバーを、摺動杆に取り付けるという手順で、ロールスクリーン装置を、枠体に手際よく装着することができる。
また、スクリーンを容易に交換することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によると、各ガイドレールに、長手方向を向くラックをそれぞれ設け、摺動杆内を挿通する同期連動杆の両端に設けた1対のピニオンを、対応する前記各ラックに噛合させてあるので、ハンドルバーの両端部が、互いに同期して、各ガイドレール内を移動し、ハンドルバーが傾くことなく、円滑に移動することができ、スクリーンにしわや傾きが生じるのを防止することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によると、枠体を、上下2段の空間を有するものとし、上段の空間の上部における横杆と、下段の空間の下部における横杆とに近接させて、上下1対のロールスクリーン本体を装着し、上下のロールスクリーン本体より、スクリーンを互いに上下内向きに引き出し可能とし、上下のスクリーンの先端に止着したハンドルバーが、上下の空間を区画する中間の横杆の上下面に当接して停止するようにしてあるので、上下のスクリーンのバランスがよく、しかも、上下のスクリーンをともに閉じたときは、上下のハンドルバーが中間の横杆の上下面に当接し、中間の横杆の上下に非透光性パネルを装着した間仕切装置とのデザインの統一を図ることができる。
【0021】
請求項7記載の発明によると、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、ロールスクリーン用縁枠部材を装着し、このロールスクリーン用縁枠部材に、ロールスクリーン本体およびその関連部材を装着してあるので、ロールスクリーン装置を、パネルの交換と同様の感覚で、枠体に容易に組み付けたり、取り外したりすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によると、枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか他方の開口縁部に、透光性のパネルと、その左右および上下の縁部を囲繞するパネル用縁枠部材とを装着してあるので、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化、およびデザイン上の統一を図ることができ、体裁がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この間仕切装置は、左右1対の支柱(1)(1)を、上下方向に離間する複数の横杆(2)(3)(4)をもって連結することにより形成した、上下2段の方形の空間(S1)(S2)を有する枠体(5)を備えている。
なお、中間の横杆(3)を省略して、枠体(5)を単なる方形枠状としたり、または、中間の横杆(3)を複数個設けることにより、枠体(5)に3段以上の空間を形成することもある。
【0024】
枠体(5)における上下の空間(S1)(S2)の後部の開口縁部には、透明または半透明のガラス板またはアクリル板等からなる透光性のパネル(6)と、その左右および上下の縁部を囲繞する左右1対の縦枠材(7)(7)および上下1対の横枠材(8)(8)からなるパネル用縁枠部材(9)とが、脱着可能として装着されている。
【0025】
左右1対の縦枠材(7)(7)と上下1対の横枠材(8)(8)とは、パネル(6)を囲繞した状態で、各端部同士を、直角をなすように互いに突き合わせて、L型金具(図示略)の各腕片にねじ止めすることにより、互いに結合されている。
また、各縦枠材(7)および横枠材(8)の内面には、前後方向外向きに拡開する傾斜面(7a)(8a)が形成されている。
【0026】
上下のパネル用縁枠部材(9)は、図5および図4に示すように、上方の横枠材(8)の上面に上向き突設した突条(8b)を、上段の横杆(2)の下面に下向き突設した突条(2a)、および中間の横杆(3)の下面に下向き突設した突条(3a)の前面に、上下方向に若干の余裕を持って係合させ、かつ図4および図3に示すように、下方の横枠材(8)の下面に下向き突設した突条(8b)を、中間の横杆(3)の上面に上向き突設した突条(3b)、および下段の横杆(4)の上面に上向き突設した突条(4a)の前面に係合させて、横杆(3)(4)上に載置することにより、枠体(5)における上下の空間(S1)(S2)の後部の開口縁部にそれぞれ装着されている。
【0027】
なお、左右の縦枠材(7)(7)の前面適所に設けた前方を向く下向きフック片(図示略)を、枠体(5)における左右の支柱(1)(1)の内面に設けた係止金具(図示略)に係止させたり、または縦枠材(7)(7)を支柱(1)(1)の内面にねじ止めしたりすることもある。
【0028】
枠体(5)における上下の空間(S1)(S2)の前部の開口縁部には、基本形状がパネル用縁枠部材(9)におけるのとほぼ同形の、左右1対の縦枠材(10)(10)と上下1対の横枠材(11)(11)とからなるロールスクリーン用縁枠部材(12)が、パネル用縁枠部材(9)とほぼ前後対称をなし、かつ枠体(5)の前後方向の中央において互いに前後より突き合わされるようにして、また脱着可能として、装着されており、このロールスクリーン用縁枠部材(10)に、ロールスクリーン装置(13)が装着されている。
【0029】
左右1対の縦枠材(10)(10)と上下1対の横枠材(11)(11)とは、縦枠材(7)(7)および横枠材(8)(8)と同様に、各端部同士を、直角をなすように互いに突き合わせて、L型金具(図示略)の各腕片にねじ止めすることにより、互いに結合されている。
また、各縦枠材(10)および横枠材(11)の内面には、前後方向外向きに拡開する傾斜面(10a)(11a)が形成されている。
【0030】
上下のロールスクリーン用縁枠部材(12)は、上下のパネル用縁枠部材(9)と同様に、図5および図4に示すように、上方の横枠材(11)の上面に上向き突設した突条(11b)を、上段の横杆(2)の下面に下向き突設した突条(2a)、および中間の横杆(3)の下面に下向き突設した突条(3a)の後面に、上下方向に若干の余裕を持って係合させ、かつ図4および図3に示すように、下方の横枠材(11)の下面に下向き突設した突条(11b)を、中間の横杆(3)の上面に上向き突設した突条(3b)、および下段の横杆(4)の上面に上向き突設した突条(4a)の後面に係合させて、横杆(3)(4)上に載置することにより、枠体(5)における上下の空間(S1)(S2)の前部の開口縁部にそれぞれ装着されている。
【0031】
図8〜図11に示すように、各ロールスクリーン用縁枠部材(12)の左右の縦枠材(10)(10)は、枠体(5)における左右の支柱(1)の内面に固定ねじ(14)をもって固着した固定金具(15)に、適所を固定ねじ(16)をもって固着されている。
【0032】
上下のロールスクリーン用縁枠部材(12)(12)に装着されたロールスクリーン装置(13)は、上下対称の同一構造をなしているので、以下の説明においては、特別の場合を除き、下方のロールスクリーン用縁枠部材(12)に装着したロールスクリーン装置(13)のみについて詳細に説明し、上方のロールスクリーン用縁枠部材(12)に装着したロールスクリーン装置(13)については、下方のロールスクリーン装置(13)におけるのと同一の部材に同一の符号を付して図示するに止め、詳細な説明は省略する。
【0033】
このロールスクリーン装置(13)は、左右方向を向く固定軸(17)と、この固定軸(17)に回転自在に枢支され、かつ布、または合成樹脂製シート等からなるスクリーン(18)を巻き取るようにした巻取筒(19)と、この巻取筒(19)と固定軸(17)との間に設けられ、かつ巻取筒(19)に巻取方向への復帰回転力を付与する付勢手段(20)とを有するロールスクリーン本体(21)を備えている。
【0034】
また、ロールスクリーン装置(13)は、ロールスクリーン本体(21)より引き出されたスクリーン(18)の先端に止着したハンドルバー(22)と、ロールスクリーン用縁枠部材(12)におけるロールスクリーン本体(21)を両側から挟む互いに平行をなす左右1対の縦枠材(10)(10)に設けられ、かつハンドルバー(22)の両端部の上下方向の移動を案内する1対のガイドレール(23)(23)とを備えている。
【0035】
両ガイドレール(23)(23)は、互いの対向面の中央に開口(24)がそれぞれ形成された断面ほぼC字状をなし、それらの下端部には、上下部に後方に向かって開口するコ字状部(25a)(25b)が形成された補強部材(25)の外側面が、上下1対の固定ねじ(26)(26)をもって固着されている。
【0036】
下方のコ字状部(25b)の左右幅は、ガイドレール(23)の内部空間の左右幅より小で、かつ上方のコ字状部(25a)の左右幅より大としてある。
右方の補強部材(25)の下方のコ字状部(25b)における内側の側片の前後方向の中央部には、鍔付きの軸受部材(27)が、内側より嵌合されている。
【0037】
左方の補強部材(25)の下方のコ字状部(25b)における内側の側片の上縁中央には、受け溝(28)が、下方に向かって切設されている。
【0038】
ロールスクリーン本体(21)における固定軸(17)の右方の端部には、小径軸(17a)が、また同じく左方の端部には、角軸(17b)がそれぞれ形成されている。
【0039】
固定軸(17)は、その右方の小径軸(17a)を、上記軸受部材(27)に嵌合し、また左方の角軸(17b)を、左方の補強部材(25)における上記受け溝(28)に上方より嵌合して、受支させ、かつ左方の補強部材(25)における上方のコ字状部(25a)の内側面に固定ねじ(29)をもって固着した弾性体よりなるストッパ(30)の下端部に設けた押え片(30a)の下端をもって、角軸(17b)の上端面を押さえることにより、ロールスクリーン用縁枠部材(12)における下方の横枠材(11)に近接し、かつそれと平行をなすようにして、左右の縦枠材(10)(10)の下端部間に、回転不能として装着されている。
【0040】
ストッパ(30)は、ハンドルバー(22)がガイドレール(23)に沿って下降し、下限位置に達したとき、ハンドルバー(22)に当接して、ハンドルバー(22)の下降を停止させるためのものである。
【0041】
右方の補強部材(25)における上方のコ字状部(25a)の内側面にも、同様の弾性体よりなるストッパ(31)が、固定ねじ(29)をもって固着されているが、このストッパ(31)には、ストッパ(30)における押え片(30a)に相当するものは、必要がないため、設けられていない。
【0042】
付勢手段(20)は、この例では、図9に示すように、一方の端末が、固定軸(17)の中間部に固着した鍔板(32)に係止され、かつ他方の端末が、巻取筒(19)の両端に嵌着した端板(33)(33)のうち、左方のものに係止され、スクリーン(18)を引き出したときの巻取筒(19)の回転により、巻き締められて、巻取筒(19)を巻き戻し方向に付勢するねじりコイルばね(34)としてあるが、ぜんまいばねその他のものとしてもよい。
【0043】
図3に示すように、ハンドルバー(22)は、側面視上向コ字状をなす本体(22a)の下端中央に、スクリーン(18)の先端に側面視T字状をなすように止着した平板状のエンド部材(35)を係止しうるようにした、断面ほぼT字状の係合溝(22c)を有し、かつハンドルバー(22)の全長に亘って、本体(22a)の上端前縁より前方に向かって水平に突出する取っ手(22b)を有するものとしてある。
【0044】
ハンドルバー(22)の本体(22a)は、左右のガイドレール(23)(23)に沿って両端部が摺動するようにした左右方向を向く角管状の摺動杆(36)に下方より外嵌され、かつ本体(22a)の前面より、複数の固定ねじ(22d)をもって、摺動杆(36)に固着されている。
【0045】
摺動杆(36)には、左右方を向く同期連動杆(37)が貫通しており、摺動杆(36)の両側端より突出した同期連動杆(37)の各端部は、左右のガイドレール(23)の開口(24)を通って、ガイドレール(23)の内部に進入し、その進入した部分に、弾性を有する圧接板(38)とピニオン(39)とが固着されている。
【0046】
圧接板(38)は、ガイドレール(23)の内部における開口(24)の前後の縁部に圧接するとともに、摺動杆(36)の側端との間に、ガイドレール(23)の開口(24)の縁部を挟んで、摺動杆(36)の昇降に摺動抵抗を付与する作用をする。それによって、付勢手段(20)の付勢力により、スクリーン(18)が巻取筒(19)に巻き戻されることのないように、ハンドルバー(22)を、所望の停止位置で停止させておくことができる。
【0047】
なお、圧接板(38)と摺動杆(36)の側端とにより、ガイドレール(23)の開口(24)の縁部を挟んで、摺動杆(36)の昇降に摺動抵抗を付与するため、例えば、同期連動杆(37)を、特許文献2に記載されているように、連結部材により、互いに相対回転不能、かつ軸線方向に相対移動可能として連結された左右2個の心棒からなる2分割構造とし、各心棒の内端部寄りの外周面に設けた雄ねじ部に螺合するナットと、摺動杆(36)の側端部内側面との間に縮設した圧縮コイルばねにより、各心棒と圧接板(38)(特許文献2におけるスライド案内片に相当)とを、内方に向かって付勢するようにしてもよい。
【0048】
左右のピニオン(39)(39)は、左右のガイドレール(23)(23)の内面に設けた上下方向を向くラック(40)と噛合し、摺動杆(36)が昇降するのに伴って、各ラック(40)に沿って互いに同期して転動し、摺動杆(36)の昇降時に、摺動杆(36)が、傾くことなく、常に巻取筒(19)と平行状態を保つようにしてある。
【0049】
かくして、図3、図6および図7に示すように、ハンドルバー(22)の両端部がストッパ(30)(31)に当接した全開位置から、ハンドルバー(22)の取っ手(22b)を把持して引き上げることにより、図4に想像線で示すように、摺動杆(36)の上端面に設けた緩衝材(41)が、ロールスクリーン用縁枠部材(12)における上方の横枠材(11)の下面に当接する全閉位置まで、スクリーン(18)を閉じることができ、また上記の逆の操作で、スクリーン(18)を全開位置まで開くことができる。
【0050】
図4に想像線で示すように、スクリーン(18)を全閉位置まで閉じたとき、ハンドルバー(22)の取っ手(22b)の上方には、上方の横枠材(11)の傾斜面(11a)が位置し、ハンドルバー(22)と、それに対向する傾斜面(11a)との間に、手掛け用の空間(A)が形成されるので、美観を損なうことなく、ハンドルバー(22)の取っ手(22b)操作用の空間(A)を確保することができる。
【0051】
図5および図4に示すように、上方のロールスクリーン用縁枠部材(12)に装着されたロールスクリーン装置(13)は、下方のロールスクリーン用縁枠部材(12)に装着されたロールスクリーン装置(13)と上下対称の同一構造をなし、上下のロールスクリーン本体(21)(21)より、スクリーン(18)(18)を互いに上下内向きに引き出し可能とし、上下のスクリーン(18)(18)の先端に止着したハンドルバー(22)(22)が、上下の空間(S1)(S2)を区画する中間の横杆(3)の上下面に設けた上方のロールスクリーン用縁枠部材(12)の下方の横枠材(11)の上面と、下方のロールスクリーン用縁枠部材(12)の上方の横枠材(11)の下面と(以下、これらをまとめて横杆(3)部分という)に当接して停止するようにしてあるので、上下のスクリーン(18)(18)のバランスがよく、しかも、上下のスクリーン(18)(18)をともに閉じたときは、上下のハンドルバー(22)(22)が中間の横杆(3)部分の上下面に当接し、中間の横杆(3)の上下に非透光性パネルおよびそのパネル用縁枠部材を装着した間仕切装置とのデザインの統一を図ることができる。
【0052】
図3および図5には、枠体(5)を、床および天井に取り付けるための構造を示してあるが、この構造は、本発明には直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0053】
この実施形態においては、次のような効果を奏することができる。
(1)ロールスクリーン本体より引き出したスクリーンの先端に止着したハンドルバーを、ロールスクリーン本体と平行を保って、ロールスクリーン本体から遠近移動しうるように枠体に装着し、かつハンドルバーの全長に亘って、前後いずれかの方向に突出する取っ手を設けてあるので、構造が簡単で、スクリーンを移動させる際の操作性がよい。
【0054】
(2)枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、透光性のパネルを装着し、かつ前記空間における前記パネルより内側に、ロールスクリーン本体とハンドルバーとを設け、前記ハンドルバーの取っ手を、前記透光性のパネルから離れる方向に突出させてあるので、透光性のパネルを装着した面を、他の間仕切装置の透光性のパネルを装着した面と揃えて、美麗な間仕切を形成することができるとともに、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化、およびデザイン上の統一を図ることができ、しかも、枠体におけるパネルを設けた面と反対側の面から、ハンドルバーを容易に操作することができる。
【0055】
(3)枠体の支柱および横杆における空間を形成する内側面に、前後方向外向きに拡開する傾斜面を形成し、ハンドルバーが、前記支柱または横杆のいずれかに当接または近接するまで、スクリーンをロールスクリーン本体より引き出したとき、前記ハンドルバーと、それに対向する前記支柱または横杆の傾斜面との間に、手掛け用の空間が形成されるようにしてあるので、美観を損なうことなく、ハンドルバーの取っ手操作用の空間を確保することができる。
【0056】
(4)ロールスクリーン本体を挟む1対の支柱または横杆の対向面に、長手方向を向く1対のガイドレールを設け、両ガイドレールに沿って両端部が摺動するようにした摺動杆に、ハンドルバーを取り付けてあるので、枠体に、摺動杆を装着した後、ロールスクリーン本体を装着し、その後に、ロールスクリーン本体からスクリーンを引き出して、その先端にハンドルバーを止着し、次いでそのハンドルバーを、摺動杆に取り付けるという手順で、ロールスクリーン装置を、枠体に手際よく装着することができる。
また、スクリーンを容易に交換することができる。
【0057】
(5)各ガイドレールに、長手方向を向くラックをそれぞれ設け、摺動杆内を挿通する同期連動杆の両端に設けた1対のピニオンを、対応する前記各ラックに噛合させてあるので、ハンドルバーの両端部が、互いに同期して、各ガイドレール内を移動し、ハンドルバーが傾くことなく、円滑に移動することができ、スクリーンにしわや傾きが生じるのを防止することができる。
【0058】
(6)枠体を、上下2段の空間を有するものとし、上段の空間の上部における横杆と、下段の空間の下部における横杆とに近接させて、上下1対のロールスクリーン本体を装着し、上下のロールスクリーン本体より、スクリーンを互いに上下内向きに引き出し可能とし、上下のスクリーンの先端に止着したハンドルバーが、上下の空間を区画する中間の横杆の上下面に当接して停止するようにしてあるので、上下のスクリーンのバランスがよく、しかも、上下のスクリーンをともに閉じたときは、上下のハンドルバーが中間の横杆の上下面に当接し、中間の横杆の上下に非透光性パネルを装着した間仕切装置とのデザインの統一を図ることができる。
【0059】
(7)枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、ロールスクリーン用縁枠部材を装着し、このロールスクリーン用縁枠部材に、ロールスクリーン本体およびその関連部材を装着してあるので、ロールスクリーン装置を、パネルの交換と同様の感覚で、枠体に容易に組み付けたり、取り外したりすることができる。
【0060】
(8)枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか他方の開口縁部に、透光性のパネルと、その左右および上下の縁部を囲繞するパネル用縁枠部材とを装着してあるので、ロールスクリーン装置を装着したものと、しないものとの部品の共通化、およびデザイン上の統一を図ることができ、体裁がよい。
【0061】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、幾多の変形した態様での実施が可能である。
例えば、ロールスクリーン本体(21)を、巻取筒(19)等を覆うケースを備えるものとし、このケースを、ロールスクリーン用縁枠部材(12)一辺である縦枠材(10)または横枠材(11)に取り付け、スクリーン(18)を、上記一辺に対向する辺である縦枠材(10)または横枠材(11)に向かって、左右方向または上下方向に引き出すようにすることもできる。
【0062】
また、上記実施形態では、パネル用縁枠部材(9)とロールスクリーン用縁枠部材(12)との前後方向の奥行きをほぼ同一とし、それらを、枠体(5)における各空間(S1)(S2)の前後方向の中央部で互いに突き合わされるようにして、枠体(5)に装着してあるが、パネル用縁枠部材(9)とロールスクリーン用縁枠部材(12)との前後方向の奥行きを互いに異ならせて実施することもある。
例えば、ガイドレール(23)の中心が、枠体(5)における各空間(S1)(S2)の前後方向の中央と一致するようにし、それに合わせて、パネル用縁枠部材(9)の前後方向の奥行きを小とし、かつロールスクリーン用縁枠部材(12)の前後方向の奥行きを大とすることもある。
【0063】
さらに、パネル用縁枠部材(9)やロールスクリーン用縁枠部材(12)を省略し、パネル(6)やロールスクリーン装置(13)を、直接枠体(5)に装着してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態を斜め前方より見た分解斜視図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】図2のIII−III線拡大縦断側面図である。
【図4】図2のIV−IV線拡大縦断側面図である。
【図5】図2のV−V線拡大縦断側面図である。
【図6】図2のVI部分の一部を破断して示す拡大正面図である。
【図7】図2のVII部分の一部を破断して示す拡大正面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線拡大横断平面図である。
【図9】図7のIX−IX線拡大横断平面図である。
【図10】図6のX−X線拡大横断平面図である。
【図11】図7のXI−XI線拡大横断平面図である。
【符号の説明】
【0065】
(1)支柱
(2)(3)(4)横杆
(2a)(3a)(3b)(4a)突条
(5)枠体
(6)パネル
(7)縦枠材
(7a)傾斜面
(8)横枠材
(8a)傾斜面
(8b)突条
(9)パネル用縁枠部材
(10)縦枠材
(10a)傾斜面
(11)横枠材
(11a)傾斜面
(11b)突条
(12)ロールスクリーン用縁枠部材
(13)ロールスクリーン装置
(14)固定ねじ
(15)固定金具
(16)固定ねじ
(17)固定軸
(18)スクリーン
(19)巻取筒
(20)付勢手段
(21)ロールスクリーン本体
(22)ハンドルバー
(22a)本体
(22b)取っ手
(22c)係合溝
(22d)固定ねじ
(23)ガイドレール
(24)開口
(25)補強部材
(25a)(25b)コ字状部
(26)固定ねじ
(27)軸受部材
(28)受け溝
(29)固定ねじ
(30)(31)ストッパ
(30a)押え片
(32)鍔板
(33)端板
(34)ねじりコイルばね
(35)エンド部材
(36)摺動杆
(37)同期連動杆
(38)圧接板
(39)ピニオン
(40)ラック
(41)緩衝材
(A)(S1)(S2)空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱を、上下方向に離間する複数の横杆をもって連結することにより、上下方向に1段または多段の方形の空間を有する枠体を形成し、この枠体におけるいずれかの空間内のいずれかの支柱または横杆に、前記枠体に沿って引き出し可能としたスクリーンを巻き取るようにしたロールスクリーン本体を装着し、このロールスクリーン本体より引き出したスクリーンの先端に止着したハンドルバーを、前記ロールスクリーン本体と平行を保って、前記ロールスクリーン本体から遠近移動しうるように前記枠体に装着し、かつ前記ハンドルバーの全長に亘って、前後いずれかの方向に突出する取っ手を設けたをことを特徴とするロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項2】
枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、透光性のパネルを装着し、かつ前記空間における前記パネルより内側に、ロールスクリーン本体とハンドルバーとを設け、前記ハンドルバーの取っ手を、前記透光性のパネルから離れる方向に突出させたことを特徴とする請求項1記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項3】
枠体の支柱および横杆における空間を形成する内側面に、前後方向外向きに拡開する傾斜面を形成し、ハンドルバーが、前記支柱または横杆のいずれかに当接または近接するまで、スクリーンをロールスクリーン本体より引き出したとき、前記ハンドルバーと、それに対向する前記支柱または横杆の傾斜面との間に、手掛け用の空間が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項4】
ロールスクリーン本体を挟む1対の支柱または横杆の対向面に、長手方向を向く1対のガイドレールを設け、両ガイドレールに沿って両端部が摺動するようにした摺動杆に、ハンドルバーを取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項5】
各ガイドレールに、長手方向を向くラックをそれぞれ設け、摺動杆内を挿通する同期連動杆の両端に設けた1対のピニオンを、対応する前記各ラックに噛合させたことを特徴とする請求項4記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項6】
枠体を、上下2段の空間を有するものとし、上段の空間の上部における横杆と、下段の空間の下部における横杆とに近接させて、上下1対のロールスクリーン本体を装着し、上下のロールスクリーン本体より、スクリーンを互いに上下内向きに引き出し可能とし、上下のスクリーンの先端に止着したハンドルバーが、上下の空間を区画する中間の横杆の上下面に当接して停止するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項7】
枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか一方の開口縁部に、ロールスクリーン用縁枠部材を装着し、このロールスクリーン用縁枠部材に、ロールスクリーン本体およびその関連部材を装着したことを特徴とする請求項1、またはそれに従属する3〜6のいずれかに記載のロールスクリーン付き間仕切装置。
【請求項8】
枠体におけるいずれかの空間の前後いずれか他方の開口縁部に、透光性のパネルと、その左右および上下の縁部を囲繞するパネル用縁枠部材とを装着したことを特徴とする請求項7記載のロールスクリーン付き間仕切装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−13939(P2008−13939A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183593(P2006−183593)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】