説明

ロール回転速度検出装置、ロール回転速度検出方法、浴中ロールの回転速度制御装置及び浴中ロールの回転速度制御方法

【課題】配置の自由度が高く、回転速度の測定の精度を向上することが可能なロール回転速度検出装置並びにロールの回転速度制御方法及びその装置を提供する。
【解決手段】非駆動型のロール5の回転速度を検出するロール回転速度検出装置10であって、ロール5に配設された永久磁石11bと、永久磁石11bと離間して配設され、永久磁石11bの磁束Hを検出する検出センサ12と、永久磁石11bと検出センサ12との間に配設され、永久磁石11bの磁束Hを伝達する磁束伝達手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール回転速度検出装置、ロール回転速度検出方法、浴中ロールの回転速度制御装置及び浴中ロールの回転速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴中ロールの回転速度を測定する手段を備える発明として、例えば、図11に示す溶融めっき用浴中ロールの駆動構造がある(特許文献1参照)。
図11は、従来の溶融めっき用浴中ロールの駆動構造の正面図である。
図11に示す溶融めっき用浴中ロールの駆動構造100は、連続溶融亜鉛めっきラインの浴槽内に配設される浴中ロール110と、浴中ロール110を支持するフレーム120とを備えている。
【0003】
フレーム120は、浴中ロール110の軸部111を支持する支持フレーム121と、支持フレーム121から下方に向かって延びるサブフレーム122とを有している。
サブフレーム122のケーシング122aの内側には、回転磁界を発生する固定子123が配設されている。また、浴中ロール110の軸部111には、回転子112が配設されている。回転子112は、浴中ロール110がフレーム120に支持された状態で、固定子123の内側に位置するように配設されている。
【0004】
そして、溶融めっき用浴中ロールの駆動構造100では、三相交流電源を固定子123に供給することにより、固定子123に回転磁界を発生させ、発生した回転磁界に回転子112が引きつけられることにより浴中ロール110が回転する。
また、溶融めっき用浴中ロールの駆動構造100は、浴中ロール110の直径及びライン速度から浴中ロール110の最適回転速度を算出する速度設定部(図示せず)と、浴中ロール110の実際の回転速度を検出する速度検出手段125とを備えている。
【0005】
速度検出手段125は、支持フレーム121の下端部に配設され、浴中ロール110の軸部111に配設された被検出体113を検出することにより、浴中ロール110の実際の回転速度を検出する。
そして、溶融めっき用浴中ロールの駆動構造100では、速度設定部により算出された浴中ロール110の最適回転速度及び速度検出手段125により検出された浴中ロール110の実際の回転速度に基づいて、浴中ロール110の回転速度の制御を行っている。
【0006】
また、従来、回転体の回転速度の測定を磁気の検出に基づいて行う発明として、例えば、図12に示すタイヤ回転検知装置がある(特許文献2参照)。
図12は、従来のタイヤ回転検知装置の斜視図ある。
図12に示すタイヤ回転検知装置200は、外周部の内側にスチールベルトを内包したタイヤ(図示せず)の回転速度を検知する磁気センサ210を備えている。
【0007】
磁気センサ210は、ケース211の内部に配設されたセンサ回路基板212と、センサ回路基板212にそれぞれ接続された一対の磁気検出素子213と、磁性体により形成され、ケース211の底面に配設されたリード板214とを備えている。
そして、磁気センサ210では、一対の磁気検出素子213が、タイヤのスチールベルトの残留磁化による磁界を差動検出し、検出された磁界に基づいてタイヤの回転速度を測定する。この際、磁気センサ210では、リード板214がタイヤからの磁束を引き込むことにより両磁気検出素子213により検出される磁界を大きくしている。
【特許文献1】特開2001−295013号公報
【特許文献2】特開平10−307145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図11に示す溶融めっき用浴中ロールの駆動構造100では、速度検出手段125を浴中ロール110の軸部111の被検出体113に近接させて配設する必要があるため、速度検出手段125の配置の自由度が低いという問題がある。
また、図12に示すタイヤ回転検知装置200では、タイヤのスチールベルトの残留磁化による磁界に基づいて回転速度を測定しているため、スチールベルトの着磁状態によっては回転速度の測定の精度が低下するという問題がある。
本発明は上記した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、配置の自由度が高く、回転速度の測定の精度を向上することが可能なロール回転速度検出装置並びにロールの回転速度制御方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るロール回転速度検出装置は、非駆動型のロールの回転速度を検出するロール回転速度検出装置であって、
前記ロールに配設された永久磁石と、
前記永久磁石と離間して配設され、前記永久磁石の磁束を検出する検出センサと、
前記永久磁石と前記検出センサとの間に配設され、前記永久磁石の磁束を伝達する磁束伝達手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るロール回転速度検出装置は、請求項1記載のロール回転速度検出装置において、前記永久磁石が、前記ロールの周方向において4個以上配設されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係るロール回転速度検出装置は、請求項1又は2記載のロール回転速度検出装置において、前記磁束伝達手段が、磁性体により形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係るロール回転速度検出装置は、請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置において、前記磁束伝達手段が、棒状に形成され、前記永久磁石と前記検出センサとの間に直線状に又は湾曲して配設されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係るロール回転速度検出装置は、請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置において、前記ロールが、溶融めっき用の金属浴に浸漬され、
前記検出センサが、前記金属浴の浴外に配設されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に係るロール回転速度検出方法は、非駆動型のロールの回転速度を検出するロール回転速度検出方法であって、
前記ロールに配設された永久磁石の磁束を、磁束伝達手段を介して、前記永久磁石と離間して配設された検出センサにより検出する工程と、
検出された前記磁束に基づき、前記ロールの回転速度を算出する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7に係る浴中ロールの回転速度制御装置は、溶融めっき用の金属浴に浸漬され、鋼帯を支持する非駆動型の浴中ロールの回転速度を制御する浴中ロールの回転速度制御装置であって、
前記浴中ロールに配設された永久磁石と、
前記金属浴の浴外に配設され、前記永久磁石の磁束を検出する検出センサと、
前記永久磁石と前記検出センサとの間に配設され、前記永久磁石の磁束を伝達する磁束伝達手段と、
前記検出手段により検出された前記磁束に基づき、前記浴中ロールの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記回転速度算出手段により算出された前記回転速度と、予め設定された前記鋼帯の搬送速度とに基づいて、前記浴中ロールの前記鋼帯に対する押し込み量を調整する押し込み量制御手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の請求項8に係る浴中ロールの回転速度制御方法は、溶融めっき用の金属浴に浸漬され、鋼帯を支持する非駆動型の浴中ロールの回転速度を制御する浴中ロールの回転速度制御方法であって、
前記浴中ロールに配設された永久磁石の磁束を、磁束伝達手段を介して、前記金属浴の浴外に配設された検出センサにより検出する工程と、
検出された前記磁束に基づき、前記浴中ロールの回転速度を算出する工程と、
算出された前記回転速度と、予め設定された前記鋼帯の搬送速度とに基づいて、前記浴中ロールの前記鋼帯に対する押し込み量を調整する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願請求項1に係るロール回転速度検出装置又は本願請求項6に係るロールの回転速度検出方法では、ロールに配設された永久磁石の磁束を検出センサにより検出する構成を採用する。したがって、本願請求項1に係るロール回転速度検出装置又は本願請求項6に係るロールの回転速度検出方法によれば、永久磁石と検出センサとを離間して配置することができ、検出センサの配置の自由度を向上させることが可能となる。また、本願請求項1に係るロール回転速度検出装置又は本願請求項6に係るロールの回転速度検出方法によれば、永久磁石をロールに配設する構成により、回転速度の測定の精度を向上することが可能となる。
【0016】
また、本願請求項1に係るロール回転速度検出装置又は本願請求項6に係るロールの回転速度検出方法では、永久磁石の磁束を磁束伝達手段を介して検出センサにより検出する構成を採用する。したがって、本願請求項1に係るロール回転速度検出装置又は本願請求項6に係るロールの回転速度検出方法によれば、永久磁石と検出センサとを離間して配置した場合でも、検出センサによる永久磁石の磁束の検出感度を向上させることができ、回転速度の測定の精度を向上することが可能となる。
【0017】
また、本願請求項2に係るロール回転速度検出装置では、請求項1記載のロール回転速度検出装置において、永久磁石がロールの周方向において4個以上配設されている構成を採用する。したがって、本願請求項2に係るロール回転速度検出装置によれば、ロールが1回転する間におけるロールの回転速度の変化についても精度良く検出することが可能となる。
また、本願請求項3に係るロール回転速度検出装置では、請求項1又は2記載のロール回転速度検出装置において、磁束伝達手段が磁性体により形成されている構成を採用する。したがって、本願請求項3に係るロール回転速度検出装置によれば、検出センサによる永久磁石の磁束の検出感度をさらに向上させることができ、回転速度の測定の精度をさらに向上することが可能となる。
【0018】
また、本願請求項4に係るロール回転速度検出装置では、請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置において、磁束伝達手段が、棒状に形成され、永久磁石と検出センサとの間に直線状に又は湾曲して配設されている構成を採用する。したがって、本願請求項4に係るロール回転速度検出装置によれば、検出センサの配置の自由度をさらに向上させることが可能となる。
【0019】
また、本願請求項5に係るロール回転速度検出装置では、請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置において、ロールが、溶融めっき用の金属浴に浸漬され、検出センサが、金属浴の浴外に配設されている構成を採用する。したがって、本願請求項5に係るロール回転速度検出装置によれば、検出センサを金属浴内に配設する必要がなくなり、検出センサの製品寿命を延ばすことが可能となる。
【0020】
また、本願請求項7に係る浴中ロールの回転速度制御装置又は本願請求項8に係る浴中ロールの回転速度制御方法では、浴中ロールに配設された永久磁石の磁束を磁束伝達手段を介して金属浴の浴外に配設された検出センサにより検出し、検出された磁束に基づき浴中ロールの回転速度を算出し、算出された回転速度と予め設定された鋼帯の搬送速度とに基づいて浴中ロールの鋼帯に対する押し込み量を調整する構成を採用する。したがって、本願請求項7に係る浴中ロールの回転速度制御装置又は本願請求項8に係る浴中ロールの回転速度制御方法によれば、浴中ロールと鋼帯との間に生じるスリップを防止することが可能となるとともに、加工されるめっき鋼帯の品質を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第一の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置を図面を参照して説明する。
図1は、連続溶融亜鉛めっきラインの概略構成図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置の正面図である。図3は、図2に示す浴中ロール回転速度制御装置の側面図である。図4は、図2に示す浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁石リングの側面図である。図5は、図4に示す磁石リングに備えられる各種永久磁石の特性を示し、(a)は磁力と使用温度との関係を示し、(b)は熱減磁特性を示す。図6は、図2に示す浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサの構成図である。
【0022】
本発明の第一の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置1は、長尺状に形成された鋼帯Sを連続的に搬送し、搬送される鋼帯Sにめっき処理を行う連続溶融金属めっきラインに備えられる。本実施形態では、浴中ロール回転速度制御装置1を、鋼帯Sの表面に亜鉛によるめっき処理を行う連続溶融亜鉛めっきライン2に適用した場合を例にして説明する。
【0023】
図1に示す連続溶融亜鉛めっきライン2は、冷間圧延工程、洗浄工程及び焼鈍工程を経た鋼帯Sについて亜鉛めっき処理を行うものである。連続溶融亜鉛めっきライン2は、亜鉛浴3と、亜鉛浴3内に配設されたシンクロール4及び2組のガイドロール5とを備えている。
亜鉛浴3は、加熱溶融した溶融亜鉛Zを貯留している。そして、鋼帯Sは、亜鉛浴3に貯留された溶融亜鉛Z内を通過することにより、表面に溶融亜鉛Zによるめっき処理が施される。
シンクロール4は、軸受(図示せず)により回動可能に支持された状態で、亜鉛浴3内の底部に配設されている。シンクロール4は、亜鉛浴3の外側から亜鉛浴3の内側の底部に向かって搬送されてきた鋼帯Sを、亜鉛浴3の出口側に向かって方向転換させる。なお、シンクロール4は、非駆動型に構成されている。
【0024】
各ガイドロール5は、図1及び図2に示すように、支持手段7により回動可能に支持された状態で、亜鉛浴3内のシンクロール4の上方に配設されている。両ガイドロール5の軸の延びる方向は、シンクロール4の軸の延びる方向と並行となっている。両ガイドロール5は、搬送される鋼帯Sの表面側と裏面側とにそれぞれ設置され、シンクロール4により亜鉛浴3の出口側に向かって方向転換が行われた鋼帯Sの各表面をそれぞれ支持する。なお、両ガイドロール5は、非駆動型に構成されている。
【0025】
各支持手段7は、図2に示すように、一対の腕部7aと、各腕部7aにそれぞれ配設された一対の軸受部7bとを備えている。各腕部7aは、一端部が亜鉛浴3の内側に向かって延び、他端部が亜鉛浴3の外側に向かって延びている。各軸受部7bは、各腕部7aの一端部に配設されている。そして、支持手段7は、両軸受部7bがガイドロール5の軸部5aの各端部をそれぞれ支持することにより、ガイドロール5を回動可能に支持する。
【0026】
浴中ロール回転速度制御装置1は、連続溶融亜鉛めっきライン2に備えられ、図2及び図3に示すように、ロール回転速度検出装置10と、スリップ判定装置20と、警報装置30と、ロール押し込み量調整装置40とを備えている。
ロール回転速度検出装置10は、図2及び図3に示すように、ガイドロール5に取り付けられる磁石リング11と、亜鉛浴3の浴外に配設された磁気センサ(検出センサ)12と、磁石リング11と磁気センサ12との間に配設された磁束伝達棒(磁束伝達手段)13とを備えている。また、ロール回転速度検出装置10は、磁気センサ12から出力される信号を増幅する増幅器14と、増幅器14が増幅した信号に基づいてガイドロール5の回転速度を算出する回転速度算出手段15とを備えている。
【0027】
磁石リング11は、図4に示すように、リング状に形成されている。磁石リング11の軸芯部には、ガイドロール5の軸部5aが挿入される挿入孔11aが設けられている。磁石リング11の挿入孔11aの周囲には、4つの永久磁石11bが配設されている。そして、磁石リング11は、挿入孔11aにガイドロール5の軸部5aの端部が挿入されることにより、ガイドロール5の端部に固定される。そして、ガイドロール5に固定された磁石リング11は、ガイドロール5と一緒に回転する。
【0028】
4つの永久磁石11bは、ガイドロール5の周方向に等間隔で配設されている。また、4つの永久磁石11bは、着磁方向が磁石リング11の直径の延びる方向に一致するようにそれぞれ配設されている。各永久磁石11bとしては、アルニコ磁石、サマコバ磁石、ネオジウム磁石、フェライト磁石等を使用することができるが、図5に示すように、磁力は弱いが熱減磁率が低いアルニコ磁石を使用することが好ましい。
【0029】
なお、本実施の形態では、ガイドロール5への永久磁石11bの配設を、磁石リング11を介して行っている。しかしながら、ガイドロール5への永久磁石11bの設置は、ガイドロール5の軸部5aの長手方向端部に永久磁石11bを直接固定する構成としても構わない。また、ガイドロール5に配設される永久磁石11bの数は、1個以上において適宜設定可能である。この場合、ガイドロール5が1回転する間におけるガイドロール5の回転速度の変化についても精度良く検出するべく、ガイドロール5の周方向に永久磁石11bを複数個、好ましくは4個以上配設することが好ましい。すなわち、ガイドロール5の周方向に永久磁石11bを複数配設することにより、隣り合う永久磁石11bの間毎のガイドロール5の回転速度を算出することが可能となり、ガイドロール5が1回転する間における回転速度の変化を算出することが可能となる。なお、永久磁石11bは、両ガイドロール5のそれぞれに配設する構成としても構わず、シンクロール4に配設する構成としても構わない。
【0030】
磁気センサ12は、亜鉛浴3の浴外において、各永久磁石11bの磁束Hを検出可能に配設されている。このように、磁気センサ12を亜鉛浴3の浴外に配設することにより、磁気センサ12の製品寿命を延ばすことが可能となる。磁気センサ12は、図6に示すように、2本の高透磁率コア12aと、各高透磁率コア12aにそれぞれ巻かれた一対の励磁コイル12b及び一対の検出コイル12cと、励磁コイル12bに交流電流を印加する発信機12dとを備えたフラックスゲート方式で構成されている。
【0031】
ロール回転速度検出装置10によりガイドロール5の回転速度を測定する際には、発信機12dから励磁コイル12bに交流電流を印加して交流磁束を発生させ、励磁コイル12bを磁気飽和状態にする。そして、磁気飽和状態の励磁コイル12bの高透磁率コア12aに永久磁石11bの磁束Hが外部磁束として加わると、高透磁率コア12aの磁気特性により、検出コイル12cに誘起電圧が生じることとなる。ここで、高透磁率コア12aが検出する磁束には、永久磁石11bの磁束Hに地磁気B0が加わった状態となっている。したがって、検出コイル12cが出力する誘起電圧は、地磁気B0に基づく誘起電圧と永久磁石11bの磁束Hに基づく誘起電圧との和となっている。そこで、両高透磁率コア12aを一定の間隔で配置し、両検出コイル12cの誘起電圧信号の差電圧信号を算出することにより、地磁気B0に基づく誘起電圧は消去され、永久磁石11bの磁束Hに基づく誘起電圧信号のみを測定することが可能となる。
【0032】
磁束伝達棒13は、図2及び図3に示すように、棒状に形成され、磁石リング11と磁気センサ12との間に直線状に配設されている。ここで、磁束伝達棒13は、強磁性体(鉄等)、軟磁性体(電磁鋼板等)等の磁性体により形成することが好ましい。これにより、磁気センサ12による永久磁石11bの磁束Hの検出感度をさらに向上させることができ、回転速度の測定の精度をさらに向上することが可能となる。なお、本実施の形態では、磁束伝達棒13は、磁束の伝達性を高めるため、複数枚の電磁鋼板を重ねることにより形成されている。
【0033】
ロール回転速度検出装置10によりガイドロール5の回転速度を測定する際には、ガイドロール5が回転することにより、磁石リング11に配設された4つの永久磁石11bが、順次、磁気伝達棒13の下方に位置する。この際、各永久磁石11bの磁束Hが、磁束伝達棒13の内部を通過することにより、外乱の影響が少ない状態で磁束伝達棒13の上方に伝達される。そして、磁束伝達棒13の上方に伝達された磁束Hが、磁束伝達棒13の上方に配設された磁気センサ12により検出される。
増幅器14は、磁気センサ12の各検出コイル12cが出力した誘起電圧信号を入力し、入力した誘起電圧信号を増幅して増幅誘起電圧信号を生成する。そして、増幅器14は、生成した増幅誘起電圧信号を回転速度算出手段15に出力する。
【0034】
回転速度算出手段15は、増幅器14から入力された増幅誘起電圧信号に基づき、ガイドロール5の回転速度を算出する。回転速度算出手段15がガイドロール5の回転速度を算出する際には、まず、両検出コイル12cに基づく増幅誘起電圧信号の差電圧信号を算出する。この場合、算出される差電圧信号は、上述したように、永久磁石11bの磁束Hのみに基づく信号である。また、差電圧信号は、4つの永久磁石11bがガイドロール5の周方向において等間隔に設置されているため、パルス状の信号として算出される。そして、回転速度算出手段15は、算出された差電圧信号に基づいて、ガイドロール5の回転速度を算出する。さらに、回転速度算出手段15は、算出したガイドロール5の回転速度をスリップ判定装置20に出力する。
【0035】
スリップ判定装置20は、回転速度算出手段15から入力されたガイドロール5の回転速度と、予め設定され入力された鋼帯Sの搬送速度とを比較して、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かを判定する。この場合、スリップ判定装置20は、ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度とを比較し、鋼帯Sの搬送速度に対してガイドロール5の回転速度が所定値以上遅い場合に、スリップが生じているものと判定する。そして、スリップ判定装置11は、スリップが生じているものと判定した場合、警報装置30に対して警報発動指令を出力する。
【0036】
警報装置30は、パソコンのディスプレー等により構成される。警報装置30は、スリップ判定装置20から警報発動指令が入力された場合、スリップ発生警報をディスプレーに表示する。この場合、警報装置30は、スリップ発生警報とともに、ガイドロール5の回転速度等を表示する構成としても構わない。
ロール押し込み量調整装置40は、電動ジャッキにより構成され、磁石リング11が取り付けられているガイドロール5に配設されている。ロール押し込み量調整装置40は、伸縮可能な伸縮部40aを有している。伸縮部40aの先端部は、支持手段7の両腕部7aの他端部に接続されている。これにより、ロール押し込み量調整装置40は、伸縮部40aを伸縮させることにより、伸縮部40aに接続された支持部7を介して、ガイドロール5を押し込み方向(図3における左右方向)に揺動させることができ、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を調整することが可能となっている。
【0037】
次に、浴中ロール回転速度制御装置1により、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に生じるスリップを防止する場合の作用について説明する。
冷間圧延工程、洗浄工程及び焼鈍工程を経て連続溶融亜鉛めっきライン2へと搬送されてきた鋼帯Sは、亜鉛浴3内へと搬送され、亜鉛浴3内で溶融亜鉛Zによるめっき処理が行われる。
亜鉛浴3内へ搬送された鋼帯Sは、シンクロール4により亜鉛浴3の出口側に向かって方向転換が行われ、両ガイドロール5により支持されて亜鉛浴3の浴外へと搬送される。
ここで、シンクロール4は、亜鉛浴3内で鋼帯Sの表面に直接接触するものであるため、シンクロール4と鋼帯Sとの間にスリップが生じると、鋼帯Sの表面にスリップ疵が転写され、鋼帯Sの品質の低下を招くこととなる。
【0038】
一方、シンクロール4が非駆動型に構成されている場合、シンクロール4は、シンクロール4の外周面と鋼帯Sの表面との摩擦力により鋼帯Sの搬送に伴って回転する。
したがって、シンクロール4と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かは、シンクロール4の回転速度と鋼帯Sの搬送速度とを比較することにより判定することが可能となる。また、ンクロール4と鋼帯Sとの間に生じているスリップは、シンクロール4の外周面と鋼帯Sの表面との摩擦力を調整することにより解消することが可能となる。
【0039】
そこで、浴中ロール回転速度制御装置1では、鋼帯Sの搬送中において常時、ガイドロール5の回転速度を監視することにより、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かの判定を行っている。
すわなち、鋼帯Sの搬送が開始されると、鋼帯Sに接触して配設されているガイドロール5は、鋼帯Sの表面とガイドロール5の外周面との間に生じる摩擦力により、回転を開始する。
【0040】
そして、ガイドロール5が回転を開始すると、ガイドロール5の周方向に等間隔に配設された各永久磁石11bが発する磁束Hを、磁気センサ12が順次検出する。この際、磁気センサ12は、各永久磁石11bが発する磁束Hを、磁束伝達棒13を介して検出する。すなわち、各永久磁石11bの磁束Hは、永久磁石11bと磁気センサ12との間に配設された磁束伝達棒13の内部を通過することにより、外乱の影響が少ない状態で磁束伝達棒13の上方に伝達される。そして、磁束伝達棒13の上方に伝達された磁束Hが、磁気センサ12により検出される。
そして、各永久磁石11bが発する磁束Hを検出した磁気センサ12は、各検出コイル12cから誘起電圧信号を出力し、出力した各誘起電圧信号を増幅器14に入力する。
各検出コイル12cに基づく誘起電圧信号が入力された増幅器14は、各誘起電圧信号を増幅した増幅誘起電圧信号を生成し、生成した増幅誘起電圧信号を回転速度算出手段15に入力する。
【0041】
各検出コイル12cに基づく増幅誘起電圧信号が入力された回転速度算出手段15は、両増幅誘起電圧信号の差電圧信号を生成し、生成された差電圧信号に基づいてガイドロール5の回転速度を算出する。このように、回転速度算出手段15は、パルス状の信号として生成された差電圧信号に基づいてガイドロール5の回転速度を算出することにより、ガイドロール5の回転速度を正確に測定することが可能となる。そして、回転速度算出手段15は、算出したガイドロール5の回転速度をスリップ判定装置20に入力する。
【0042】
次に、ガイドロール5の回転速度を入力されたスリップ判定装置20は、入力されたガイドロール5の回転速度と、予め設定され入力された鋼帯Sの搬送速度とを比較して、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かを判定する。なお、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かの判定は、算出されたガイドロール5の回転速度が、予め設定、入力された鋼帯Sの搬送速度に対して所定値以上遅い状態となっている場合に、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているものと判定する。そして、スリップ判定装置20は、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているものと判定した場合、警報発動指令を警報装置30に入力する。
【0043】
さらに、警報発動指令を入力された警報装置30は、スリップ発生警報及びガイドロール5の回転速度を表示してオベレータに通報する。
スリップ発生警報の通報を受けたオペレータは、鋼帯Sの形状及び警報装置30に表示されるガイドロール5の回転速度を参照しつつ、ロール押し込み量調整装置40を操作して、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を調整する。
ここで、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を調整することによって、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に生じているスリップを防止する方法としては、以下に示す方法が考えられる。
【0044】
まず、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量が不足していることに起因してガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じている場合には、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を増加させる。この場合、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を増加させることにより、鋼帯Sの張力が増加し、鋼帯Sの表面とガイドロール5の外周面との間に生じる摩擦力が増加する。そして、鋼帯Sの表面とガイドロール5の外周面との間に生じる摩擦力が増加することにより、ガイドロール5の回転が復帰し、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に生じているスリップを防止することが可能となる。
【0045】
また、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に亜鉛浴3内で発生したドロス(鉄(Fe)と亜鉛(Zn)との反応生成物)が付着していることにより起因してガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じている場合には、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を減少させる。この場合、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を減少させることにより、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に付着しているドロスを落下させることで、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に生じているスリップを防止することが可能となる。
【0046】
以上のように、浴中ロール回転速度制御装置1によれば、ガイドロール5と鋼帯Sとのスリップを防止することが可能となるとともに、加工されるめっき鋼板の品質を向上することが可能となる。
また、ロール回転速度検出装置10によれば、ガイドロール5に配設された永久磁石11bの磁束Hを磁気センサ12により検出する構成により、永久磁石11bと磁気センサ12とを離間して配置することができ、磁気センサ12の配置の自由度を向上させることが可能となる。また、ロール回転速度検出装置10によれば、永久磁石11bをガイドロール5に配設する構成により、回転速度の測定の精度を向上することが可能となる。
また、ロール回転速度検出装置10によれば、永久磁石11bの磁束Hを磁束伝達棒13を介して磁気センサ12により検出する構成により、永久磁石11bと磁気センサ12とを離間して配置した場合でも、磁気センサ12による永久磁石11bの磁束Hの検出感度を向上させることができ、回転速度の測定の精度を向上することが可能となる。
【0047】
次に、本発明の第二の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置を図面を参照して説明する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置の正面図である。
本発明の第二の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置70の基本構成は、浴中ロール回転速度制御装置1と同様であるため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
浴中ロール回転速度制御装置70は、図7に示すように、浴中ロール回転速度制御装置1において、スリップ判定装置20の代わりに押し込み量制御手段71を備えている。
【0048】
押し込み量制御手段71は、回転速度算出手段15が算出したガイドロール5の回転速度を入力し、入力されたガイドロール5の回転速度と、予め設定、入力された鋼帯Sの搬送速度とを比較して、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かを判定する。この場合、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているか否かの判定は、算出されたガイドロール5の回転速度が、予め設定、入力された鋼帯Sの搬送速度に対して所定値以上遅い状態となっている場合に、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているものと判定する。
【0049】
ここで、押し込み量制御手段71には、予め求められたスリップ量(ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度との差)とガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量との関係を示すデータが入力されている。また、初期状態の浴中ロール回転速度制御装置70では、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量は、予め定められた初期の値に設定されている。
そして、押し込み量制御手段71は、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているものと判定した場合、スリップ量と押し込み量との関係を示す前記データに基づいて、ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度との差を上記所定値以内とすることができるガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を算出する。そして、押し込み量制御手段71は、ロール押し込み量調整装置40を作動させて、算出された押し込み量に基づいて、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を調整する。
【0050】
また、押し込み量制御手段71は、算出された押し込み量に基づいてガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を調整した後、ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度との差が上記所定値以内となっているか否かの判定を行う。
そして、押し込み量制御手段71は、ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度との差が上記所定値以内となっていると判定した場合には、ロール押し込み量調整装置40によるガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量の調整を完了する。
【0051】
一方、押し込み量制御手段71は、ガイドロール5の回転速度と鋼帯Sの搬送速度との差が上記所定値以内となっていないと判定した場合には、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を減少させる。そして、押し込み量制御手段71は、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を所定時間だけ減少させた後、ガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量を元の値(初期の値)に戻して、ロール押し込み量調整装置40によるガイドロール5の鋼帯Sに対する押し込み量の調整を完了する。これにより、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に付着しているドロスを落下させることで、ガイドロール5と鋼帯Sとの間に生じているスリップを防止することが可能となる。
【0052】
また、押し込み量制御手段71は、ガイドロール5と鋼帯Sとの間にスリップが生じているものと判定した場合、警報発動指令を警報装置30に入力する。
このように、本実施の形態に係る浴中ロール回転速度制御装置70によれば、より簡易に、ガイドロール5と鋼帯Sとのスリップを防止することが可能となるとともに、加工されるめっき鋼板の品質を向上することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では、磁束伝達棒13は、棒状に形成され、磁石リング11と磁気センサ12との間に直線状に配設されている。しかしながら、磁束伝達棒13は、棒状に形成され、磁石リング11と磁気センサ12との間に湾曲して配設される構成でも構わない。これにより、磁気センサ12の配置の自由度をさらに向上させることが可能となる。
【実施例】
【0053】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図8は、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁束伝達棒及び磁気センサの配置を示す側面図である。図9は、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサの配置を示す側面図である。図10は、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形と、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形とを比較した図である。
【0054】
本実施例では、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサ12によりガイドロールに配設された永久磁石11bの磁束を検出した場合と、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサ12によりガイドロールに配設された永久磁石11bの磁束を検出した場合とを比較した。
【0055】
本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置では、図8(a)に示すように、ガイドロールに配設された永久磁石11bと磁気センサ12との間に直線状の磁束伝達棒13が配設されている。この場合、永久磁石11bと磁気センサ12との間隔は、1800mmに設定した。また、磁束伝達棒13の一端部と永久磁石11bとの間隔は、1〜4mmに設定した。また、磁束伝達棒13の他端部と磁気センサ12との間隔は、100〜140mmに設定した。磁束伝達棒13は、幅10mm、厚さ0.mmの電磁鋼板を20枚重ねて形成した。
【0056】
比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置は、図9に示すように、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置において、磁束棒13が配設されていない構成となっている。
本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形を図10(a)に示す。また、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形を図10(b)に示す。
【0057】
本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形と比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形とを比較すると、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置が検出した誘起電圧信号の波形は、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置が検出した誘起電圧信号の波形と比較して、回転周期が明瞭となり、振幅が大きくなっていることがわかる。
また、本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁束伝達棒13を、図8(b)に示すようにガイドロールに配設された永久磁石11bと磁気センサ12との間に湾曲させて配設した場合でも、図8(a)に示すように直線状に配設した場合と同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】連続溶融亜鉛めっきラインの概略構成図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置の正面図である。
【図3】図2に示す浴中ロール回転速度制御装置の側面図である。
【図4】図2に示す浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁石リングの側面図である。
【図5】図4に示す磁石リングに備えられる各種永久磁石の特性を示し、(a)は磁力と使用温度との関係を示し、(b)は熱減磁特性を示す。
【図6】図2に示す浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサの構成図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る浴中ロール回転速度制御装置の正面図である。
【図8】本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁束伝達棒及び磁気センサの配置を示す側面図である。
【図9】比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサの配置を示す側面図である。
【図10】本発明例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形と、比較例に係る浴中ロール回転速度制御装置に備えられるロール回転速度検出装置の磁気センサが検出した誘起電圧信号の波形とを比較した図である。
【図11】従来の溶融めっき用浴中ロールの駆動構造の正面図である。
【図12】従来のタイヤ回転検知装置の斜視図ある。
【符号の説明】
【0059】
1 浴中ロール回転速度制御装置
S 鋼帯
2 連続溶融亜鉛めっきライン
3 亜鉛浴
4 シンクロール
5 ガイドロール
5a 軸部
Z 溶融亜鉛
7 支持手段
7a 腕部
7b 軸受部
10 ロール回転速度検出装置
11 磁石リング
11a 挿入孔
11b 永久磁石
H 磁束
12 磁気センサ(検出センサ)
12a 高透磁率コア
12b 励磁コイル
12c 検出コイル
12d 発信機
13 磁束伝達棒(磁束伝達手段)
14 増幅器
15 回転速度算出手段
20 スリップ判定装置
30 警報装置
40 ロール押し込み量調整装置
40a 伸縮部
70 浴中ロール回転速度制御装置
71 押し込み量制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非駆動型のロールの回転速度を検出するロール回転速度検出装置であって、
前記ロールに配設された永久磁石と、
前記永久磁石と離間して配設され、前記永久磁石の磁束を検出する検出センサと、
前記永久磁石と前記検出センサとの間に配設され、前記永久磁石の磁束を伝達する磁束伝達手段と、を備えてなることを特徴とするロール回転速度検出装置。
【請求項2】
前記永久磁石が、前記ロールの周方向において4個以上配設されていることを特徴とする請求項1記載のロール回転速度検出装置。
【請求項3】
前記磁束伝達手段が、磁性体により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のロール回転速度検出装置。
【請求項4】
前記磁束伝達手段が、棒状に形成され、前記永久磁石と前記検出センサとの間に直線状に又は湾曲して配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置。
【請求項5】
前記ロールが、溶融めっき用の金属浴に浸漬され、
前記検出センサが、前記金属浴の浴外に配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のロール回転速度検出装置。
【請求項6】
非駆動型のロールの回転速度を検出するロール回転速度検出方法であって、
前記ロールに配設された永久磁石の磁束を、磁束伝達手段を介して、前記永久磁石と離間して配設された検出センサにより検出する工程と、
検出された前記磁束に基づき、前記ロールの回転速度を算出する工程と、を含むことを特徴とするロールの回転速度検出方法。
【請求項7】
溶融めっき用の金属浴に浸漬され、鋼帯を支持する非駆動型の浴中ロールの回転速度を制御する浴中ロールの回転速度制御装置であって、
前記浴中ロールに配設された永久磁石と、
前記金属浴の浴外に配設され、前記永久磁石の磁束を検出する検出センサと、
前記永久磁石と前記検出センサとの間に配設され、前記永久磁石の磁束を伝達する磁束伝達手段と、
前記検出手段により検出された前記磁束に基づき、前記浴中ロールの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記回転速度算出手段により算出された前記回転速度と、予め設定された前記鋼帯の搬送速度とに基づいて、前記浴中ロールの前記鋼帯に対する押し込み量を調整する押し込み量制御手段と、を備えてなることを特徴とする浴中ロールの回転速度制御装置。
【請求項8】
溶融めっき用の金属浴に浸漬され、鋼帯を支持する非駆動型の浴中ロールの回転速度を制御する浴中ロールの回転速度制御方法であって、
前記浴中ロールに配設された永久磁石の磁束を、磁束伝達手段を介して、前記金属浴の浴外に配設された検出センサにより検出する工程と、
検出された前記磁束に基づき、前記浴中ロールの回転速度を算出する工程と、
算出された前記回転速度と、予め設定された前記鋼帯の搬送速度とに基づいて、前記浴中ロールの前記鋼帯に対する押し込み量を調整する工程と、を含むことを特徴とする浴中ロールの回転速度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−97019(P2009−97019A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266470(P2007−266470)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】