説明

ロール紙ホルダ

【課題】異なる内径のロール紙の保持作業とロール紙の保持調整を同一方向で行う。
【解決手段】ロール紙を支持するフランジ部材100と、ロール紙の内径に対してフランジ部材100を可変させる切換手段200と、フランジ部材100の終端からロール紙の内壁に加圧する調整手段300とを有し、フランジ部材100は、ロール紙が装着される支持部120と、ロール紙の内径に対して可変する可変支持部130が設けられ、切換手段200は、ロール紙の内径に対して可変支持部130を可変させる操作部210とが設けられ、調整手段300は、調整部と、調整部の作用を伝達する調整軸と、調整軸に伝達された作用を変換する変換部と、変換部を介して作用をロール紙の管内外方に押圧させる作用板とが設けられ、支持部120は、ロール紙を中心として放射状に三つ以上配置され、可変支持部130は、支持部120間に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を保持するロール紙ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を保持するホルダとして特許文献1、2、3のようなものがある。特許文献1は、ロール紙Rの端面に当接されるロール紙Rよりも大径な鍔状の本体2と、ロール紙Rの紙管Cに挿脱自在に嵌挿される円筒状の保持部3とからなる。
【0003】
さらに、保持部3は、スラスト方向のスロット6を設けて周方向に複数の弾性片7を形成し、各弾性片7の先端にロール紙Rの紙管内径よりも大径な先細の拡径段部8を設けた拡縮変形可能な弾性変形体で形成したものからなる。
【0004】
この構成により、特許文献1は、挿嵌状態で保持部が紙管内面に弾接され、紙管内径にバラツキがあっても、ロール紙が確実に保持されるものである。
【0005】
また、特許文献2は、操作部の操作により爪部102aを挿入部から斜めに突出しロール紙管の巻芯に食い込ませて、ロール紙管に対して適正な位置に確実に固定させ、操作部の逆操作により爪部102aが挿入部内に引っ込み、ロール紙管から引き抜き可能としたものである。
【0006】
さらに、特許文献3は、フランジ本体22に収容されて支持円筒部15の外周面から突出する爪部材17、爪部材17を加圧するためのスプリング23、このスプリング23の一端を受け、ロック/解除レバーを備えたロック部材24から構成されている。
【0007】
さらに、フランジ部14の内部平面には、滑らかに高さを変える断面L字で円弧状の係合ガイド25が2個所設けられており、断面L字で形成されるガイド溝にロック部材24の外周に設けられた係合突片26が係合するようになっている。
【0008】
これらの構成部品は直列に連結され、ロック部材24の回転動作が係合ガイド25の高さに変換され、ロック部材24の押し込み量が変化し、この押込み量により、ロール紙の保持がなされる。
【0009】
しかし、特許文献1〜3に記載された構成は、一つのロール紙しか対応できないものであった。このため、特許文献4、5に記載された構成されたものがある。
【0010】
特許文献4は、保持部材46に複数の取付部46b,46cを一体的に設け、これら複数の取付部46b、46cのうちのいずれかを小径ロール紙又は大径ロール紙に対応して適宜選択して用いるものである。
【0011】
特許文献5は、紙管の内径が小さいロール体をロール体保持装置15により保持する場合、アダプタ2を装着せずに保持装置本体1の突出部5を紙管内に挿入し、第1の弾性片6を紙管内面に圧接させ、さらに、紙管の内径が大きいロール体を保持する場合、鞘部8を突出部5に被せ爪部9を長溝7に挿入した後、アダプタ2を回転させて爪部9を長溝7に係合させ、第1の弾性片6を嵌合凹部11に嵌合させて、アダプタ2を保持装置本体1に離脱不能かつ回転不能に装着する。そして、鞘部8を紙管内に挿入し、第2の弾性片10を紙管の内面に圧接させる。
【特許文献1】特開平7−223759号公報
【特許文献2】特開平9−240094号公報
【特許文献3】特開2006−76796号公報
【特許文献4】特開平11−322142号公報
【特許文献5】特開2007−90707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献4、5の構成は、ロール紙の径が変わるごとに、その径に対応した保持部材を取り付ける必要があり作業が煩雑になる問題がある。また、特許文献4の基板46a、特許文献5のフランジ部4の基端から自由端に向かってロール紙の保持力は、作用しなくなり、ロール紙の保持力を十分に満たすことができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1の発明においては、ロール紙を支持するフランジ部材と、該ロール紙の内径に対して該フランジ部材を可変させる切換手段と、該フランジ部材の終端から該ロール紙の内壁に加圧する調整手段とを有し、フランジ部材は、ロール紙が装着される支持部と、ロール紙の内径に対して可変する可変支持部が設けられ、切換手段は、ロール紙を支持可能なように、ロール紙の内径に対して可変支持部を可変させる操作部とが設けられ、調整手段は、調整部と、該調整部の作用を伝達する調整軸と、該調整軸に伝達された作用を変換する変換部と、該変換部を介して該作用をロール紙の管内外方に押圧させると作用板とが設けられ、支持部は、ロール紙を中心として放射状に三つ以上配置され、可変支持部は、支持部間に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明においては、変換部を作用板に取り付けられた軸とし、さらに、操作部と可変部とは、ねじが噛み合って接し、操作部を操作することにより、作用板を操作部側に移動させることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明においては、作用板を、変換部が取り付けられたキャップと、キャップが操作部側に移動したときに生じる力を受ける受部材と、各可変支持部で形成された内周面に当接し、受部材からの作用を内周面の外側に押圧する爪部材とから構成することを特徴する。
【0016】
請求項4の発明においては、フランジ部材に、切換手段を収容する収容部が設けられていることを特徴とし、さらに、請求項5の発明においては、フランジ部材の外周面に、装着したロール紙を回転させる駆動源の駆動力を伝達するギアを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
ロール紙を支持するフランジ部材に、ロール紙を装着する保持部と、異なる内径に対応して可変する可変支持部とを設けることにより、異なる内径のロール紙の保持作業を、ロール紙を装着して行うことができる。
【0018】
また、調整手段を設けることにより、フランジ部材の終端からロール紙の内壁に加圧することが可能となり、ガタが生じることなくロール紙を保持することができる。さらに、フランジ部材に切換手段を収容する収容部を設けることにより、ロール紙が保持させる反対側から操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のロール紙ホルダを適用する装置の概略図。
【図2】本発明のロール紙ホルダの分解斜視図。
【図3】図2の組図。
【図4】図3の矢視Aから見た図。
【図5】フランジ部材の主要部の斜視図。
【図6】図4のB_B断面図。
【図7】切換手段の主要部を示す図。
【図8】スライド溝の詳細を示す図。
【図9】ロック手段の主要部の斜視図。
【図10】図9の上面図。
【図11】図9の側面図。
【図12】3インチのロール紙の装着時に受部材の位置合わせを行う図。
【図13】3インチのロール紙を装着した断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1に、本発明のロール紙ホルダを適用した装置の概略図を示す。この装置は、画像形成部aと読取部bと操作部cと搬送部dとからなる。
【0021】
画像形成部aは、本発明のロール紙ホルダに保持されたロール紙Pに、外部からのデータを入力して像を形成するものである。図示されていないが、具体的には画像形成部は、感光体の周囲に除電、帯電、露光、現像、転写、清掃、定着のプロセスを行う電子写真装置である。
【0022】
読取部bは、画像形成部aに先に述べたデータを入力するものである。操作部cは、装置Sの設定等を入力するものである。以上の構成のもと、画像形成部aで形成された像を、ロール紙Pに出力(転写)し、この後、定着を行い、ロール紙Pは外部に排出される。なお、この間、ロール紙Pは所定の長さにカットされる。
【0023】
次に、本発明のロール紙ホルダについて説明する。図2に本発明のロール紙ホルダの分解斜視図を、図3に図2の組図をそれぞれ示す。図2に示すように、ロール紙ホルダは、フランジ部材100と切換手段200と調整手段300とからなる。
【0024】
フランジ部材100は、ロール紙Pを支持するものであり、本体部110と支持部120と可変支持部130とからなる。本体部110は、円筒状に形成された合成樹脂からなり、後に述べる切換手段200を収容する収容部111と、この収容された切換手段200から調整手段300を貫装する中央孔112と、支持部120を取り付ける取付部113とからなる。
【0025】
取付部113は、図4に示すように、中央孔112の周囲に等間隔に配置されている。取付部113はネジ等を挿通させる孔であり、保持するロール紙Pの中心を基準として放射状に各可変支持部130がスライドするように設けられている。
【0026】
さらに、外周面は、図示しない駆動源の駆動力をロール紙Pに伝達するギア114が設けられている。この駆動力によりフランジ部材100に装着されたロール紙Pが回転する。
【0027】
支持部120は、図5に示すように、ロール紙Pを保持する前に、ロール紙Pの紙管に装着するものである。支持部120は、合成樹脂等の材料からなる支柱であり、ロール紙Pが挿入しやすいように外周が円弧状をなし、さらに、ロール紙Pの内壁と向かい合う面は、支持部120自身の強度を高めるためにリブが形成されている。
【0028】
また、支持部120の一端は、ネジ等により取り付けられている。さらに、支持部120の他端は、後に述べる第二取付部500に取り付けられるようになっている。なお、この実施の形態において、支持部120の取り付けはネジ等でとめた構成であるが、これに限定されることはなく、例えば、本体部110に支持部120を一体形成にした構成であっても良い。
【0029】
可変支持部130は、ロール紙Pの内径に対して可変させるものであり支柱の部材からなる。図4に示すように、可変支持部130は、各可変支持部130により形成される円の中心が、各支持部120により形成される円の中心と略同じとなるように、各支持部120間に配置されている。
【0030】
可変支持部130の一端側にはピン131が設けられている(図4を参照)。ピン131は、本体部110の取付部113を介して、後に述べる切換手段200に取り付けられ、可変支持部130の他端側は後に述べる調整手段300が配置されている。
【0031】
図6に示すように、可変支持部130の他端側には、テーパ部132とスライド部133とストッパ部134とが設けられている。テーパ部132は、可変支持部130と可変支持部130とにより円が形成される端面に設けられている。さらにテーパ部132は、取付部113側に向かって径が小さくなっている。
【0032】
スライド部133は、切換手段200を操作した時に、可変支持部130が所定の方向にスライドさせるものである。この実施の形態において、スライド部133は保持するロール紙Pの中心を基準として延びた長溝である。可変支持部130の移動はストッパ部134により規制されている。
【0033】
さらに、可変支持部130の外周縁は、可変支持部130が最小限に移動したとき、すなわち、フランジ部材100にロール紙Pを挿入するときには、ロール紙Pの導入方向から見て、支持部120により形成される円の円弧となるように形成されている。この構成により、ロール紙Pをフランジ部材100にスムーズに挿入することができる。
【0034】
また、可変支持部130の厚さは、一端側から他端側に向かって僅かに薄くなるように形成されている。この形成の具体例として、ロール紙Pの内壁と対向する可変支持部130の周面に所定の間隔で突起135を設ける。この突起135は、一端側から他端側に向かって徐々に突出量が小さくなっている。
【0035】
なお、この実施の形態において、可変支持部130の厚さの厚薄の形成として突起を用いたが、これに限定されるものではなく、可変支持部130自体を一端側から他端側に向かって僅かに薄くしてもよい。
【0036】
図2、7に示すように、切換手段200は、ロール紙Pの紙管の内径に対してフランジ部材100を可変させるものであり、操作部210を備える。操作部210は、第一操作盤220と第二操作盤230とからなる。第一操作盤220は、貫通孔240と、レバー250と、規制部260と、ガイド溝270と、スライド溝280からなる。
【0037】
貫通孔240は調整手段300を貫通させるものであり、フランジ部材100の本体部110に設けられた受部に嵌合される。レバー250は、ロール紙Pの紙管の内径に対応して可変支持部130材を縮小・拡大の操作をするものである。
【0038】
規制部260は、所定の範囲でガイド溝270の移動を規制するものであり、レバー250が設けられた側に配置されている。この実施の形態において、所定の範囲の移動とは、可変支持部130材が縮小から拡大までの移動の範囲を指す。
【0039】
スライド溝280は、図4、8に示すように内周側から外周側に向かう四つ巴状に形成されている。各スライド溝280は、これらに対応した取付部113と連通している。
【0040】
この連通した部分にピン131を通し、さらに、第一操作盤220側に突出したピン131を、第一操作盤220に設けられた受部221に取り付けることにより、可変支持部130と切換手段200との取付構造が形成される。
【0041】
この取付構造により、レバー250を操作して、第一操作盤220を旋回させ、ガイド溝270に沿って各ピン131の移動が同期し且つ取付部113に沿ってロール紙Pの中心を基準として放射状に可変支持部130を移動させ、ロール紙Pの内径に合わせ所定圧で均一に保持することができる。
【0042】
第二操作盤230は、第一操作盤220を覆う蓋であり、後に述べる調整手段300が収容される収容孔231を備え、本体部110の収容部111に収容されるように形成されている。第二操作盤230は、操作溝400と第二取付部500とロック手段600とからなる。
【0043】
操作溝400は、レバー250の操作を規制するものであり、その始点から終点は、取付部113の上限から下限にシフトするものである。この構成により、可変支持部130が所定位置にシフトし、ロール紙Pの紙管の内径に対応して所定圧で保持することができる。
【0044】
図2、図6、図12に示すように、第二取付部500は、支持部120の他端を取り付けるものであり、放射状に接触部520が設けられている。具体的には、十字状の形状を成している。
【0045】
任意の対向する接触部520には、支持部120を取り付けるねじ孔450が設けられている。また、他方の対向する接触部520には、エンボス機構521(図2に図示)により嵌合されている。
【0046】
さらに、受部材342と対向し、かつねじ孔450が設けられていない第二取付部500の接触部520には、後に述べる調整手段300を所定位置に固定する第一位置決部510が設けられている。
【0047】
この第一位置決部510は、第二取付部500に設けられた第一位置決部510と受部材342に設けられた凹状受部346に嵌め込まれることにより、エンボス構造が形成される。
【0048】
さらに、第二取付部500内には、所定方向(図12矢印A方向)に移動可能なように、後に述べるアダプタ部材800が、嵌めこまれた状態で取り付けられている。
【0049】
アダプタ部材800は、紙管の径が大きいロール紙Pを保持するときに、支持部間に配置された可変支持部がガタつかないように、可変支持部の自由端を固定するものである。
【0050】
図2、図12に示すように、アダプタ部材800は、接触部520間に嵌合するように第二接触部810が設けられている。調整手段300側と向かい合う第二接触部810部位には、後に述べる調整手段300を所定位置に固定する第二位置決部820が設けられている。
【0051】
図9、10、11に示すように、ロック手段600は、後に述べる調整手段300の動きをロックするものであり、第二操作部230内に設けられ、一端が後に述べる調整手段300に係止し、他端が調整手段300に対して係止および係止の解除ができるように構成されている。
【0052】
ロック手段600は、係止部610と解除部620と付勢手段630とからなる。係止部610は、一端側に爪状に形成され、その先端が収容孔231から突出して調整手段300に係止するものである。付勢手段630は、係止部610を調整手段300側に付勢するものであり、具体的には、スプリン等の弾性体である。この付勢力により、係止部610の先端が収容孔231から突出する。
【0053】
解除部620は、付勢手段630の付勢力を係止部610に作用させるまたは解除するものであり、上部621と谷部622と下部623とを有し、コ字状に形成されている。解除部620は、第二操作盤230に設けた挿入孔232に挟んだ状態で取り付けられている。
【0054】
解除部620の上部に対向する挿入孔232部位には解除部620の上部先端が引っ掛かるように段部624が設けられている。また、解除部620の上部621は、段部624に引っ掛かりやすいように、先端が下方に曲がっている。
【0055】
図6に示5ように、調整手段300は、フランジ部材100の終端から該ロール紙Pの内壁に加圧するものであり、調整部310と調整軸320と変換部330と作用板340と爪部材350とからなる。
【0056】
調整部310は、ロール紙Pの内壁に加圧する操作を行うものであり、円筒状の部材からなる。調整部310の上部周縁には、ユーザが操作しやすいように、所定間隔に凹部312が設けられている。さらに、調整部310の下部周縁には、ロック手段600の一端が係止する歯車311が設けられている。
【0057】
調整軸320は、調整部310の作用を伝達するものであり、調整部310の中心に取り付けられている。調整軸320を第一操作盤220の貫通孔240および支持部120と可変支持部130とにより形成された挿通孔700に通して、調整部310が第二操作盤230の収容孔231に収容される。この構成により、ロール紙Pの紙管の径の切換と、ロール紙Pを保持したときの微調整の操作を、同一の方向で行うことができる。
【0058】
変換部330は、調整部310の操作量に対応して、作用板340を本体部110側に移動させるものである。具体的には、一端が調整軸320に螺合し、他端が後に述べる作用板340に取り付けられた移動軸からなる。
【0059】
作用板340は、後に述べる変換部330を介して該作用をロール紙Pの管内外方に押圧させるものである。作用板340は、キャップ341と、受部材342とからなる。受部材342は、キャップ341が操作部210側に移動したときに生じる力を受けるものであり、キャップ341を通す軸孔344が設けられている。
【0060】
爪部材350は、可変支持部130の他端を支持、および受部材342からの作用を各可変支持部130のテーパ部132で押圧するものであり、第一爪部351と第二爪部352とからなる。第一爪部351は、凹部312の端面に設けられている。
【0061】
さらに、第一爪部351は、凹部312の端面を基端としてフランジ部材100側に向かって径が小さくようにテーパ状になっている。この構成により、所定方向に調整部310を回して、操作部210側にキャップ341をシフトさせたときに、第一爪部351がテーパ部132に食い込ませ、ロール紙Pの内壁に可変支持部130に押圧する。
【0062】
第二爪部352は、可変支持部130の移動が最大となったときに、テーパ部132に食い込ませて、ロール紙Pの内壁に可変支持部130に押圧するものであり、図2に示すように、アダプタ部材800に設けられている。
【0063】
さらに、図6に示すように、第二爪部352は、可変支持部130のスライド部133に当接する平面部346aと、可変支持部130のテーパ部132に食い込ませるテーパ状に形成された段部346bと、テーパ部132への食い込みを規制するストッパ受部346cとからなる。
【0064】
以上の構成のもと、本発明のロール紙ホルダの動作を説明する。先ず、保持するロール紙Pを、紙管の内径が2インチと3インチに対応するものとする。
【0065】
初めに、図7に示すように、2インチが表示されたC方向にレバー250を回し、ロール紙Pを装着する。レバー250を回すことにより、図6の矢印D方向にスライド溝280も移動する。
【0066】
この時、第二取付部500に設けられた第一位置決部510は、受部材342に設けられた凹状受部346に嵌り、受部材342がアダプタ部材800の所定位置に固定される。
【0067】
次いで、図4に示すように、この移動に伴い各ピン131も各々に対応したスライド溝280に沿って矢印E方向に移動しようとするが、ガイド溝270により、各ピン131は、同期して矢印F方向に移動する。
【0068】
この結果、各可変支持部130は、紙管の内径が2インチとなる方向に縮径し、可変保持部および保持部がロール紙Pの紙管に所定圧で均一に保持される。この状態において、支持部120および可変支持部130、特に可変支持部130は、片持ち支持であるため、先端(他端)側に向かうに従い押圧力が弱くなり、可変支持部130にガタが生じるおそれがある。
【0069】
このため、可変支持部130の厚さを、一端側から他端側に向かって僅かに厚くなるように形成し、さらに以下のように調整手段300を操作して、可変支持部130にガタを防止して、紙管の内壁への押圧力を確保する。以下に、その説明をする。
【0070】
先ず、図6に示すように、調整部310を介して、所定の方向に、調整軸320を回転させると、調整軸320に螺合した移動軸が本体部110側にシフト(矢印方向G)する。この矢印G方向の移動により、キャップ341を介して、同方向に、受部材342も本体部110側にシフトする。
【0071】
このシフトにより、第一爪部351が可変支持部130のテーパ部132に進入して、可変支持部130の他端内部から押圧し、先に述べた可変支持部130の片持ち支持による不足した押圧力が補われる。
【0072】
次いで、ロック手段600により調整手段300の動きをロックして、ロール紙Pの保持が完了する。なお、ロール紙Pの解除は、調整軸320を逆回転させて、ロール紙Pの内壁に作用している押圧の作用を解くことによりなされる。
【0073】
次に、3インチのロール紙Pの装着について説明する。図7に示すように、2インチが表示された逆方向にレバー250を回す。レバー250を回すことにより、図4の矢印Eの逆方向にスライド溝280も移動する。
【0074】
この移動に伴い各ピン131も各々に対応したスライド溝280に沿って矢印Eの逆方向に移動しようとするが、ガイド溝270により、各ピン131は、同期してこの方向に移動する。
【0075】
これと同時に、図6に示すように、第二爪部352の平面部346aに接しながら可変支持部130のスライド部133もスライド溝280と矢印H方向に移動する。
【0076】
次いで、図に示すように、受部材342を回転させ、受部材342に設けられた凹状受部346をアダプタ部材800の第二位置決部820に嵌合させる。これにより、支持部120と、放射状に延びた可変支持部130との間のガタツキをなくすことができる。
【0077】
さらに、図13に示すように、2インチの時と同様に、調整部310を介して、所定の方向に、調整軸320を回転させると、調整軸320に螺合した移動軸が本体部110側にシフト(矢印G方向)する。矢印方向の移動により、キャップ341を介して、同方向に、受部材342も本体部110側にシフトする。
【0078】
このシフトにより、第二爪部352が可変支持部130のテーパ部132に進入して、可変支持部130の他端内部から均一に押圧し、先に述べた可変支持部130の片持ち支持による不足した押圧力が補われる。この押圧は、ストッパ受部346cが可変支持部130の他方の端面に突き当たるまで行うことができる。
【0079】
以上のように、ロール紙Pを支持するフランジ部材100に、ロール紙Pを装着する保持部と、異なる内径に対応して可変する可変支持部130とを設けることにより、異なる内径のロール紙Pの保持作業を、ロール紙Pを装着して行うことができる。
【0080】
また、調整手段300を設けることにより、フランジ部材100の終端からロール紙Pの内壁に加圧することが可能となり、ガタが生じることなくロール紙Pを保持することができる。さらに、フランジ部材100に切換手段200を収容する収容部111を設けることにより、ロール紙Pが保持させる反対側から操作することができる。
【符号の説明】
【0081】
100 フランジ部材
110 本体部
120 支持部
130 可変支持部
200 切換手段
210 操作部
300 調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を支持するフランジ部材と、該ロール紙の内径に対して該フランジ部材を可変させる切換手段と、該フランジ部の終端から該ロール紙の内壁に加圧する調整部材とを有し、
前記フランジ部材は、前記ロール紙が装着される支持部と、ロール紙の内径に対して可変する可変支持部とが設けられ、
前記切換手段は、前記ロール紙を支持可能なように、前記ロール紙の内径に対して前記可変支持部を可変させる操作部が設けられ、
前記調整部材は、調整部と、該調整部の作用を伝達する調整軸と、該調整軸に伝達された作用を変換する変換部と、該変換部を介して該作用を前記ロール紙の管内外方に押圧させると作用板とが設けられ、
前記支持部は、前記ロール紙の中心を基準として放射状に三つ以上配置され、
前記可変支持部は、前記支持部間に配置されることを特徴とするロール紙ホルダ。
【請求項2】
前記変換部は、前記作用板に取り付けられた軸であり、
前記操作部と前記可変部とはねじが噛み合って接し、前記操作部を操作することにより、前記作用板を前記操作部側に移動させることを特徴とする請求項1記載のロール紙ホルダ。
【請求項3】
前記作用板は、前記変換部が取り付けられたキャップと、該キャップが前記操作部側に移動したときに生じる力を受ける受部材と、各前記可変支持部で形成された内周面に当接し、該受部材からの作用を該内周面の外側に押圧する爪部材とからなることを特徴する請求項1または2記載のロール紙ホルダ。
【請求項4】
前記フランジ部材は、前記切換手段を収容する収容部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のロール紙ホルダ。
【請求項5】
前記フランジ部材の外周面には、装着したロール紙を回転させる駆動源の駆動力を伝達するギアが設けられていることを特徴とする請求項1、4また5いずれか記載のロール紙ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−18596(P2013−18596A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152323(P2011−152323)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】