説明

ロール製品輸送用コンテナ

【課題】 比較的重い複数のロール製品を内部に独立保持して収容し、製品の出し入れ作業が容易で、コンテナ内部での製品の荷崩れが少なく、しかも製品の損傷が少ないロール製品用コンテナを提供すること。
【解決手段】 支軸4が両端部から突出しているロール製品6を相互に略平行に向き合い且つ前記支軸と略平行となるように、パレット上に一対の側壁が装着される。パレットと側壁に端壁が着脱自在に連結し、各端壁が、上下方向に分割可能な下段パネル44と上段パネル42とを有し、これらの分割線上に、分割可能な支持孔46が形成してある。この支持孔に支軸の端部が挿入され、ロール製品がコンテナ内に独立保持できる。下段パネルおよび/または上段パネルには、支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限するストッパ部材50が具備してあり、ストッパ部材が、ストッパ位置と、非ストッパ位置とに切り替え移動可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばフィルム、シート、紙、織物などの帯状物を支軸の回りに巻回したロール製品を収容して輸送するためのコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム、シート、紙、織物などの帯状物を支軸(たとえば紙管)の回りに巻回したロール製品を輸送する場合には、ロール製品を1本づつ包装シートで包んで一次包装を行い、このようにして包装したロール製品を個別に、あるいは数本づつまとめて木箱または段ボール箱から成るコンテナに収容していた。
【0003】
しかしながら、従来のコンテナは、木箱または段ボール箱などで構成してあるため、多数本のロール製品をまとめて収容する場合に、ロール製品同士が擦れて損傷するおそれがあると言う課題を有している。したがって、木箱や段ボール箱に入れる前に、ロール製品を一つづつ一次包装する必要があり、その包装に要する労力と時間が多大であると共に、包装材料コストが嵩むという課題も有する。また、ロール製品の重量が大きい場合には、コンテナ内に複数のロール製品を積み重ねて収納した場合に、その上に積み重ねられたロール製品の荷重が、下にあるロール製品に作用し、製品を変形させるおそれがあるという課題も有する。
【0004】
さらに、従来の木箱や段ボールから成るコンテナでは、一度の輸送後に再利用して用いることが困難であり、使い捨てとなり、資源の有効理由の観点から好ましくないものであった。
【0005】
このような課題を解決するために、複数のロール製品を内部に相互に独立保持して輸送することが可能なコンテナが、開発されている(特許文献1参照)。このコンテナでは、端壁が分割可能なパネルで構成してあり、そのパネルの分割線にロール製品の支軸が挿入される支持孔が形成してある。そして、支軸の端部が軸方向に移動することを防止するために、パネルには、ストッパ部材が固定してある。
【0006】
ところが、この先に開発されたコンテナでは、ロール製品を持ち上げるために、ロール製品の支軸に形成してある軸孔の内部にリフト用ロッドを挿入する際に、ストッパ部材が邪魔になり、ロール製品を持ち上げる作業が困難であると言う課題を有している。
【特許文献1】特開平11−130062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、リフトを用いてコンテナからロール製品を出し入れする作業が容易であり、しかも、複数のロール製品を内部に独立保持して収容することが可能であり、比較的重いロール製品を収容した場合でも、コンテナ内部での製品の荷崩れが少なく、しかも製品の損傷が少ないロール製品用コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るロール製品輸送用コンテナは、
支軸が両端部から突出しているロール製品を収容して輸送するためのコンテナであって、
相互に略平行に向き合い且つ前記支軸と略平行となるように、パレット上に装着される一対の側壁と、
相互に略平行に向き合い且つ前記支軸と略直角となるように、前記パレットおよび前記側壁に着脱自在に連結されて、前記一対の側壁とともに内部にロール製品を収容するための空間を区画する一対の端壁とを有し、
前記各端壁が、上下方向に分割可能な下段パネルと上段パネルとを有し、これら下段パネルと上段パネルとの分割線上に、分割可能な支持孔が形成してあり、この支持孔に前記支軸の端部が挿入され、ロール製品がコンテナ内に独立保持可能になっており、
前記下段パネルおよび/または上段パネルには、前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限するストッパ部材が具備してあり、
前記ストッパ部材が、前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限する位置と、制限しない位置とに切り替え移動可能になっていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るロール製品輸送用コンテナにおいて、ロール製品を収容するには、まず、コンテナのパレット上の相互に向かい合う位置に、パネルを立てて側壁を形成する。次に、これら側壁の各端部を連結するように、端壁を構成する一対の下段パネルをパレット上に相互に向き合うように略平行に立設する。
【0010】
下段パネルの上端には、分割可能な支持孔の下半分が形成してある。この支持孔の下半分の上に、ロール製品の両端部から突出する支軸の両端部をそれぞれ載せる。その後、上段パネルを下段パネルの上端に分割線に沿って組み合わせれば、端壁が形成される。したがって、複数の支持孔に各ロール製品の支軸をそれぞれ保持させることで、各ロール製品は、側壁と端壁とで4方が囲まれるコンテナ空間内部に、他のロール製品または壁に接触することなく、独立保持状態で収容される。
【0011】
したがって、各ロール製品が接触して擦れ合うことが無くなり、ロール製品毎に個別の一次包装を省略することができ、一次包装のための資材と労力とを省略することができる。また、本発明では、下段パネルと上段パネルとを分割することにより、支持孔が分割されるので、ロール製品の支軸両端部を支持孔に保持させる作業および支持孔から取り出す作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0012】
特に、リフトを用いてロール製品をコンテナの内部に出し入れする際には、ストッパ部材を、パネルの支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限しない位置に移動させることで、ストッパ部材が邪魔になることが無く、その作業が容易である。
【0013】
また、本発明に係るコンテナは、パレットと各側壁および端壁を構成するパネルとが着脱自在であり、折り畳むことができるので、ロール製品を運送した後の空コンテナを、折り畳んで小さくして返送し再利用することができる。したがって、返送のための輸送効率が向上すると共に、廃棄処分となるゴミが発生せず、資源の再利用に寄与する。また、コンテナを使用しないときにも、小さく折り畳んで保管することもできるので、保管スペースの省スペース化も図れる。
【0014】
また、本発明では、支持孔の下半分にロール製品の支軸を載せた後には、ストッパ部材を移動させて、支軸の端部の軸方向移動を制限することができる。このため、ロール製品の端部とコンテナ壁との間に緩衝部材を介在させることなく、ロール製品の端部がコンテナ内壁に接触することを防止することができ、ロール製品の損傷を有効に防止することができる。また、ストッパ部材により支軸の軸方向移動が制限されることから、コンテナを搬送する乗物の加速度変化などによっても、ロール製品が軸方向に加速度移動することが制限され、壁を構成するパネルに作用する加速度衝撃力を最小限にできる。この点でも、パネルの撓み変形による製品の荷崩れを防止できる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を前記ストッパ部材が制限する位置で、前記下段パネルおよび/または上段パネルに対して前記ストッパ部材を解除可能に固定する固定具をさらに具備する。ストッパ部材をパネルに固定することで、支軸の端部の軸方向移動を制限することができる。
【0016】
好ましくは、前記端壁の外側には、外部端壁が位置し、前記パレットおよび前記側壁に着脱自在に連結してある。外部端壁を具備させることで、コンテナの端壁が二重になり、コンテナの強度が増すと共に、ロール製品の支軸の端部がコンテナ外部に露出することを防止することができる。
【0017】
好ましくは、前記側壁の両側端部の内側には、前記端壁を構成する各パネルがスライド式に挿入されるスライド溝が形成してある。スライド溝に対してパネルをスライド移動自在に挿入することで、側壁に対するパネルの着脱が容易になる。
【0018】
本発明に係るコンテナ内に収容されるロール製品は、特に限定されず、たとえばフィルム、シート紙、織物などの帯状物を支軸の回りに巻回したロール製品が例示される。支軸は、金属製で構成されることが強度の面から好ましいが、その断面形状としては、中空でも中実でも良いが、ロッド状のリフトを用いる場合には、中空の支軸が好ましい。支軸の回りにロール製品が直接巻回してあることが一般的であるが、中空の巻軸に帯状物を巻回し、その巻軸の軸孔に支軸を挿通したものでも良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リフトを用いてコンテナからロール製品を出し入れする作業が容易であり、しかも、複数のロール製品を内部に独立保持して収容することが可能であり、比較的重いロール製品を収容した場合でも、コンテナ内部での製品の荷崩れが少なく、しかも製品の損傷が少ないロール製品用コンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るロール製品輸送用コンテナの分解斜視図、
図2は側壁および外部端壁とパレットとの取付構造を示す分解斜視図、
図3(A)は図1に示す端壁を構成するパネルの正面図、図3(B)は本発明の他の実施形態に係る端壁を構成するパネルの正面図、
図4はストッパ部材と支軸との関係を示す要部概略断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るロール製品輸送用コンテナ2は、底部にパレット8を有する。本実施形態のパレット8には、フォークリフトの爪部が差し込まれるリフト用孔10が形成してある。パレット8は、たとえばステンレスなどの金属で構成してあることが好ましいが、プラスチックなどの金属以外の材質で構成することも可能である。
【0022】
パレット8の上には、合板などで構成してある底板12が載置される。また、このパレット8の四辺位置には、相互に略平行に向き合う一対の側壁14,14と、これら側壁14,14の両側端部を連結するように、しかも相互に略平行に向き合う一対の外部端壁16,16とが着脱自在に装着される。本実施形態では、側壁14,14は、パレット8の上で、ロール製品6の支軸4(図4参照)に対して略平行となるように立設される。また、外部端壁16,16は、パレット8の上で、ロール製品6の支軸4に対して略直角となるように立設される。
【0023】
パレット8の上で、側壁14,14および外部端壁16,16で囲まれた空間が、ロール製品6を収容するための内部空間18となる。これら側壁および外部端壁で囲まれた空間18を閉じるために、側壁14,14および外部端壁16,16の上端には、矩形の蓋20が上止め金具22により着脱自在に装着される。
【0024】
本実施形態では、各側壁14および外部端壁16は、それぞれ一枚のパネル15で構成してあり、後述するような構造を採用することにより、パレット8に対して折り畳み自在となっている。
【0025】
図1に示すように、側壁14の両側端近くの内側には、鉛直方向に沿ってスライド溝60が形成してある。各スライド溝60は、側壁14を構成するパネルの内側に取り付けた金具などで構成してある。スライド溝60には、内側の端壁40の両側端がスライド可能に挿入される。各端壁40は、図3(A)に示すように、分割線35の位置で分割可能な上段パネル42および下段パネル44で構成してある。
【0026】
なお、各パネル42,44は、特に限定されないが、木質合板で構成してあることが好ましい。木質合板は、比較的強度が高く、しかも収容されるロール製品に仮に接触したとしても製品へのダメージが少ないからである。
【0027】
本実施形態では、図1および図2に示すように、パレット8の上の四隅位置には、下金具24が立設してある。各下金具24の内側には、断面略L字形状の係止片26が固定してあり、上下方向に延びる垂直溝28と、その溝28の下端部に連続するように水平方向に延びる水平溝30とを形成するようになっている。
【0028】
一方、側壁14を構成するパネル15の両側端部には、高さ方向に沿って金属製の側端金枠32が装着してある。各側端金枠32は、パネル15を補強する作用を有する。また、各側端金枠32には、図1に示す外部端壁16を構成するパネルの両端部がそれぞれスライド式に差し込まれるためのスライド溝34が形成してある。また、この側端金枠32の下端部に、回動用突起38が具備してある。
【0029】
各回動用突起38は、図2に示すように、下金具24の垂直溝28に沿って挿入され、その溝28の下端部で、水平方向に移動させることで(図2中矢印A)、回動用突起38は係止片26により上方への抜け止めがなされる。したがって、各側壁14を構成するパネル15は、パレット8に対して上方への抜け止めがなされ、その状態で、パネル15は、コンテナ2の内側方向Bへの回動が許容される。パネル15のコンテナ外側への回動は、パネル15が、パレット8の上に固定された下金具24、係止片26および帯状金具36に当接することにより制限される。
【0030】
本実施形態では、上述した構造を採用することにより、側壁14および外部端壁16を構成するパネル15が、パレット8に対して折り畳み自在または着脱自在に装着される。
【0031】
本実施形態では、前述したように、外部端壁16の内側に取り付けられる各端壁40が、分割線35の位置で上下方向に分割および分離可能な二つのパネル42,44で構成してある。しかも図1に示すように、これらパネル42,44の両側端部は、側壁14を構成するパネルの内側に形成してあるスライド溝60にスライド式に差し込まれるようになっている。したがって、端壁40は、パレット8の上で、当該パレット8および側壁14に対して着脱自在に組み立て可能である。
【0032】
図3(A)に示すように、各端壁40を構成するパネル42,44の突き合わせ部である各分割線35上には、パネルの上下分割と共に上下分割可能な保持孔46が、水平方向に所定間隔離れて形成してある。本実施形態では、各分割線35毎に三つの支持孔46が形成してある。これら支持孔46の数や配置間隔は、コンテナ2の内部に収容されるロール製品6相互が干渉しないように決定される。各支持孔46には、図4に示すように、ロール製品6の両端から突出している支軸4の両端が挿入されて支持されることが可能になっている。なお、支持孔46の内径は、支軸4の外径と略同等であることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、端壁40を構成する各パネル42,44は、木製合板で構成してあるが、側壁14を構成するパネル15の厚みよりも厚いことが好ましい。たとえばパネル15の厚みを9mmとした場合には、パネル42,44の厚みは、18mm程度が好ましい。これらパネル42,44には、支軸4を介してロール製品6の重量が作用するからである。また、これらパネル42,44の縁部(分割線35の部分を含む)には、保護枠48が装着してあることが好ましい。保護枠48は、ポリエステル樹脂、ABS樹脂などの合成樹脂を塗布乾燥して形成することができる。また、支持孔46の周囲には、ゴム材などで構成してある保護枠49が装着してあることが好ましい。
【0034】
保護枠48を装着することが好ましいのは、端壁40を構成する各パネル42,44の端部は、分割線35に沿って相互に当接すると共に、図1に示すスライド溝60に沿ってスライド移動することが要求され、多数回の使用にも耐えられる滑り易さと耐久性が要求されるからである。また、支持孔46の縁部にも保護枠49を設けることで、支軸4を支持孔46により弾力保持するためでもある。
【0035】
図3(A)および図4に示すように、本実施形態では、分割線35の下方に位置するパネル44の外面には、ストッパ部材50が蝶番52により、矢印C方向に回動移動自在に装着してある。ストッパ部材50は、図4に示す断面形状に折り曲げられた金属板であり、図3(A)に示すように、パネル42,44の長手方向に沿って細長い形状を持つ。
【0036】
ストッパ部材50は、図4に示すように、支持孔46から外部に突出する支軸4の端部の軸方向移動を制限する位置(ストッパ位置)と、制限しない位置(非ストッパ位置)とに、矢印C方向に回動移動可能になっている。ストッパ位置では、ストッパ部材50の上端は、支軸4の先端に当接し、支軸4の軸孔4aの先端開口の少なくとも一部を塞ぐようになっている。
【0037】
また、ストッパ位置では、ストッパ部材50は、図3(A)に示すように、三つの支持孔46の少なくとも下端部を塞ぐ位置にある。ストッパ部材50の両側端部には、それぞれフランジ54が形成してあり、各フランジ54には、固定用孔56が形成してある。固定用孔56には、ストッパ位置で、下段パネル44の両側外面に装着してある固定用ピン(固定具)58が差し込まれ、ストッパ部材50の回動が制限され、下段パネル44に対してストッパ部材50が固定されるようになっている。
【0038】
本実施形態に係るロール製品輸送用コンテナ2において、ロール製品4を収容するには、まず、図1に示すように、コンテナ2のパレット8上に底板12を設置すると共に、パレット8上の相互に向かい合う位置に、一対のパネル15,15を立てて側壁14を形成する。これらパネル15,15をパレット8上に組み立てる方法は、前述した図2に示す方法を用いる。
【0039】
次に、図1に示すスライド溝60に沿って、下段パネル44を、側壁14の間に組み立てる。下段パネル44の上端には、分割可能な支持孔46の下半分が形成してある。その前後に、図3(A)に示す固定用ピン58とフランジ54との係合を解除し、図4の二点鎖線で示すように、ストッパ部材50を下側に回動させておき(非ストッパ位置)、ロール製品6の支軸4の各端部が、支持孔46の下半分の上に、載せ易くしておく。その後に、リフト用ロッド70が軸孔4aに挿入されたロール製品6の支軸4の端部を、各支持孔46の下半分の上に載せる。
【0040】
その後に、ロッド70を軸孔4aから取り出し、ストッパ部材50をストッパ位置に回動させ、固定用ピン58にてストッパ部材50の移動を制限して、支軸4が軸方向に移動することを防止する。その後に、上段パネル42を下段パネル44の上端に分割線35に沿って組み合わせれば、内側の端壁40が形成される。同時に、端壁40および側壁14で囲まれる空間の内部に、3つのロール製品6が収容される。
【0041】
その後に、これら側壁14,14の各端部を連結するように、外部端壁16を構成する一対のパネルをパレット8上に相互に向き合うように略平行に取り付ける。その取付は、前述したように、図2に示す手順で行われる。その後に、図1に示すように、側壁14,14および外部端壁16,16の上端には、矩形の蓋20が上止め金具22により着脱自在に装着される。
【0042】
コンテナ2の内部からロール製品6を取り出すには、上述の逆の動作を行えばよい。
【0043】
本実施形態に係るコンテナ2では、一方の端壁40当たり3つの支持孔46に各ロール製品6の支軸4をそれぞれ保持させることで、本実施形態では、3つのロール製品6を、側壁14と端壁40とで4方が囲まれるコンテナ空間18内部に、相互に接触することなく、しかも壁に接触することなく、独立保持状態で収容することができる。
【0044】
したがって、各ロール製品6が接触して擦れ合うことが無くなり、ロール製品6毎に個別の一次包装を省略することができ、一次包装のための資材と労力とを省略することができる。また、本実施形態では、各パネル42,44を分割することにより、支持孔46が分割されるので、ロール製品6の支軸両端部を支持孔46に保持させる作業および支持孔46から取り出す作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0045】
特に、リフト用ロッド70を用いてロール製品6をコンテナ2の内部に出し入れする際には、ストッパ部材50を、非ストッパ位置に移動させることで、ストッパ部材50が邪魔になることが無く、その作業が容易である。
【0046】
また、本実施形態に係るコンテナ2は、各側壁および端壁を構成するパネルとパレットとが着脱自在であり、折り畳むことができるので、ロール製品6を運送した後の空コンテナ2を、折り畳んで小さくして返送し再利用することができる。したがって、返送のための輸送効率が向上すると共に、廃棄処分となるゴミが発生せず、資源の再利用に寄与する。また、コンテナ2を使用しないときにも、小さく折り畳んで保管することもできるので、保管スペースの省スペース化も図れる。
【0047】
さらに、本実施形態では、下段パネル44に、支持孔46から外部に突出する支軸4の端部の軸方向移動を制限するストッパ部材50が具備してあることから、コンテナ2内部での支軸4の軸方向移動が有効に防止される。このため、ロール製品6の端部とコンテナ壁との間に緩衝部材を介在させることなく、ロール製品6の端部がコンテナ内壁に接触することを防止することができ、ロール製品6の損傷を有効に防止することができる。また、ストッパ部材50により支軸4の軸方向移動が制限されることから、コンテナ2を搬送する乗物の加速度変化などによっても、ロール製品6が軸方向に加速度移動することが制限され、壁を構成するパネルに作用する加速度衝撃力を最小限にできる。この点でも、パネル42,44の撓み変形による製品の荷崩れを防止できる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、各端壁40を構成するパネルの数は、上述した実施形態では、2つであるが、3以上であっても良い。また、各端壁の分割線35に沿って形成される保持孔46の数は、3つに限定されず、図3(B)に示すように、2つでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るロール製品輸送用コンテナの分解斜視図である。
【図2】図2は側壁および外部端壁とパレットとの取付構造を示す分解斜視図である。
【図3】図3(A)は図1に示す端壁を構成するパネルの正面図、図3(B)は本発明の他の実施形態に係る端壁を構成するパネルの正面図である。
【図4】図4はストッパ部材と支軸との関係を示す要部概略断面図である。
【符号の説明】
【0050】
2… コンテナ
4… 支軸
6… ロール製品
8… パレット
14… 側壁
15… パネル
16… 外部端壁
35… 分割線
40… 端壁
42… 上段パネル
44… 下段パネル
46… 支持孔
50… ストッパ部材
52… 蝶番
56… 固定用孔
58… 固定用ピン(固定具)
70… リフト用ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸が両端部から突出しているロール製品を収容して輸送するためのコンテナであって、
相互に略平行に向き合い且つ前記支軸と略平行となるように、パレット上に装着される一対の側壁と、
相互に略平行に向き合い且つ前記支軸と略直角となるように、前記パレットおよび前記側壁に着脱自在に連結されて、前記一対の側壁とともに内部にロール製品を収容するための空間を区画する一対の端壁とを有し、
前記各端壁が、上下方向に分割可能な下段パネルと上段パネルとを有し、これら下段パネルと上段パネルとの分割線上に、分割可能な支持孔が形成してあり、この支持孔に前記支軸の端部が挿入され、ロール製品がコンテナ内に独立保持可能になっており、
前記下段パネルおよび/または上段パネルには、前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限するストッパ部材が具備してあり、
前記ストッパ部材が、前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を制限する位置と、制限しない位置とに切り替え移動可能になっていることを特徴とするロール製品輸送用コンテナ。
【請求項2】
前記支持孔から外部に突出する支軸の端部の軸方向移動を前記ストッパ部材が制限する位置で、前記下段パネルおよび/または上段パネルに対して前記ストッパ部材を解除可能に固定する固定具をさらに具備する請求項1に記載のロール製品輸送用コンテナ。
【請求項3】
前記端壁の外側には、外部端壁が位置し、前記パレットおよび前記側壁に着脱自在に連結してある請求項1または2に記載のロール製品輸送用コンテナ。
【請求項4】
前記側壁の両側端部の内側には、前記端壁を構成する各パネルがスライド式に挿入されるスライド溝が形成してある請求項1〜3のいずれかに記載のロール製品輸送用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−1637(P2006−1637A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182959(P2004−182959)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】