説明

ワイパアーム

【課題】ワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまうことを抑制することができるワイパアームを得る。
【解決手段】円弧凸部34が円弧凹部56に収容され、該円弧凸部34の先端に設けられた外周面34Aと該円弧凹部56に設けられた内周面56Aとが接触及び摺動することにより、アームヘッド12とアーム本体14とが回動可能となるように構成した。これにより、アームヘッド12とアーム本体14との連結部付近の材料の肉厚を削減することができワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまうことを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロックバックが可能なワイパアームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームヘッドとアーム本体との連結部を回動中心として、アーム本体が払拭面に対して接近及び離間する方向に回動するワイパアームが知られている。例えば、下記特許文献1には、アーム本体の側壁に支持された円柱状の軸がアームヘッドに設けられた溝に係止されることにより、アームヘッドとアーム本体とが連結され、該連結部を回動中心として、アーム本体が払拭面と接近及び離間する方向に回動するワイパアームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−202730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のワイパアームでは、アーム本体を払拭面方向に付勢するスプリングの付勢力を受けて、アーム本体の側壁と円柱状の軸との接合部には、せん断応力が生じる。従って、該せん断応力に応じた部品強度を確保するために、軸の径を太くしたり、アーム本体の側壁の肉厚を厚くしたりする等の対応が必要であった。これに伴い、ワイパアームが太くなってしまい、ワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまう。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまうことを抑制することができるワイパアームを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係るワイパアームは、一方の端部がピボット軸に固定されたアームヘッドと、一方の端部が前記アームヘッドの他方の端部に連結され、かつ他方の端部には払拭面を払拭するワイパブレードが連結されたアーム本体と、前記アームヘッドと前記アーム本体との間に掛け渡され、前記アーム本体を前記払拭面方向へ付勢するスプリングと、前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか一方から突出されかつ先端が円弧状の外周面とされた円弧凸部と、前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか他方に設けられ前記円弧凸部を収容すると共に前記スプリングの付勢力によって前記外周面に圧接されかつ前記外周面上を摺動する内周面を備え前記アーム本体を前記アームヘッドに対して回動可能に連結する円弧凹部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の本発明では、円弧凸部の先端に設けられた外周面が円弧凹部に設けられた円弧状の内周面に接触することにより、スプリングの付勢力を受け止めている。即ち、外周面及び内周面には該スプリングの付勢力を受けることによる垂直応力が作用するが、上記の従来のワイパアームのようなせん断応力は作用しない。従って、せん断強度を確保するために、アームヘッドとアーム本体との連結部付近の材料の肉厚を厚くするという対応が不要である。換言すると、アームヘッドとアーム本体との連結部付近の材料の肉厚を削減することができる。その結果、該連結部付近が太くなることを抑制できることに伴い、ワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまうことを抑制できる。
【0008】
請求項2記載の本発明に係るワイパアームは、請求項1記載のワイパアームにおいて、前記円弧凸部は、前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか一方から延出された脚部に支持されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の本発明では、前記円弧凸部が脚部の先端に設けられている。そのため、延出形成された脚部の角度を調節することにより、アームヘッドに対するアーム本体の回動軸線(円弧凸部の外周面と円弧凹部の内周面による回動中心軸線)位置を変更できる。その結果、付勢スプリングによるアーム本体への付勢方向が切り換る角度位置(節度位置)を変更することができる。
【0010】
請求項3記載の本発明に係るワイパアームは、請求項1又は請求項2記載のワイパアームにおいて、前記円弧凸部は払拭方向に対向して配置された第1接触面及び第2接触面を備え、かつ前記円弧凹部は払拭方向に対向して配置され前記第1接触面上を摺接する第3接触面及び前記第2接触面上を摺接する第4接触面を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明では、上記構成の接触部を備えている。従って、一の方向へアームヘッドが回動することによる該方向へのガタツキが、第1接触面と第3接触面とが接触することによって規制される。反対に、他の方向へアームヘッドが回動することによる該方向へのガタツキが、第2接触面と第4接触面とが接触することによって規制される。その結果、アームヘッドに対するアーム本体の払拭方向(ピボット軸の回動方向)への姿勢が維持され、アームヘッドとアーム本体との連結部が払拭方向へガタツクことを抑制することができる。
【0012】
請求項4記載の本発明に係るワイパアームは、請求項2記載のワイパアームにおいて、前記アーム本体は該アーム本体のロックバック方向への回動を制限するストッパ部を備え、かつ前記ストッパ部が前記脚部に当接することにより前記アーム本体のロックバック状態を維持することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の本発明では、上記ストッパ部を備えているため、アーム本体をロックバック位置へ回動させると、ストッパ部が脚部に当接する。換言すると、ストッパ部が脚部に当接することによりアーム本体の起立姿勢を所定の角度位置で維持することができる。
【0014】
請求項5記載の本発明に係るワイパアームは、請求項3において請求項2を引用するワイパアームにおいて、前記円弧凸部の一方の側面と前記脚部の一方の側面とが面一に接続されかつ前記円弧凸部の一方の側面から前記脚部の一方の側面にかけて前記第1接触面が設けられると共に、前記円弧凸部の他方の側面と前記脚部の他方の側面とが面一に接続されかつ前記円弧凸部の他方の側面から前記脚部の他方の側面にかけて前記第2接触面が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の本発明では、第1接触面及び第2接触面が円弧凸部の側面から脚部の側面に掛けて面一に接続されている。そのため、アームヘッドとアーム本体との連結部が払拭方向へガタツクことをより一層抑制することができると共に、アームヘッドに対するアーム本体の払拭方向への支持強度をさらに向上させることができる。
【0016】
請求項6記載の本発明に係るワイパアームは、請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のワイパアームにおいて、同一軸線方向に並列して設けられた複数の前記円弧凸部及び各円弧凸部をそれぞれ収容する複数の前記円弧凹部を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の本発明では、複数の円弧凸部が並列に設けられ、またこの円弧凸部を収容する複数の円弧凹部が設けられているため、1つの円弧凸部が支持する荷重を比較的小さくすることができる。従って、アームヘッドとアーム本体との連結部の払拭方向への支持強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ワイパアームを示す側面図である。
【図2】(A)はアームヘッドを示す斜視図であり、(B)はアームヘッドの側面図であり、(C)はアームヘッドの平面図である。
【図3】アーム本体(リテーナ)の基端部を示す拡大斜視図である。
【図4】(A)はアームヘッドとアーム本体との連結部を示す側面視の断面図であり、(B)はアームヘッドとアーム本体との連結部を示す正面視の断面図である。
【図5】(A)はワイパ本体が払拭面に付勢された状態における、アームヘッドとアーム本体との連結部を示す側面視の断面図であり、(B)はアーム本体がロックバックされた状態における、アームヘッドとアーム本体との連結部を示す側面視の断面図である。
【図6】(A)はアームヘッドを示す斜視図であり、(B)はアームヘッドの側面図であり、(C)はアームヘッドの平面図である。
【図7】アーム本体(リテーナ)の基端部を示す拡大斜視図である。
【図8】(A)はアームヘッドを示す斜視図であり、(B)はアームヘッドの側面図であり、(C)はアームヘッドの平面図である。
【図9】アーム本体(リテーナ)の基端部を示す拡大斜視図である。
【図10】アームヘッドとアーム本体との連結部を示す正面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図5を用いて、本発明の実施形態に係るワイパアームについて説明する。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態のワイパアーム10は、一方の端部(基端側)がピボット軸に固定されたアームヘッド12と、一方の端部(基端側)がアームヘッド12の他方の端部(先端側)に連結され、かつ他方の端部(先端側)には払拭面を払拭するワイパブレード66が連結されたアーム本体14と、備えている。また、図4(A)に示されるように、ワイパアーム10は、アームヘッド12とアーム本体14との間に掛け渡され、アーム本体14を払拭面方向へ付勢するスプリング16を備えている。以下、ワイパアーム10を構成する各々の要素について説明する。
【0021】
(アームヘッド)
図2(A)に示されるように、アームヘッド12は、一体に形成されたアルミダイキャスト部品である。具体的には、図2(B)に示されるように、アームヘッド12は、側面視で左右方向に延在する基部18を備えている。基部18の側面視右側の端部(基端側)には、ワイパアームの回動軸であるピボット軸(図示省略)が挿通される貫通孔20が形成されている。また、基部18の側面視左側の端部(先端側)には、後述するスプリング16が係止される係止孔22が形成されており、係止孔22の側面視左側の壁面は湾曲面22Aとされている。さらに、アームヘッド12は、基部18の側面視左側の端部から、斜め左上方向に延在する脚部24を備えている。図2(A)に示されるように、脚部24の基部18側の端部は、二股に分岐された第1脚部26及び第2脚部28とされており、該第1脚部26及び第2脚部28と基部18とで囲まれた部分は、後述するスプリング16の端部が逃げるスプリング逃げ孔30とされている。また、脚部24の先端側は、二股に分岐された第1脚部26と第2脚部28とが合流して角柱状に形成された第3脚部32とされており、さらに第3脚部32の先端には、該第3脚部32が延在する方向と直交する方向(払拭方向)を軸線方向とする円柱体の円弧凸部34が設けられている。この円柱体の円弧凸部34の側壁面は円弧状の外周面34Aとされており、また図2(C)に示されるように、平面視で該円弧凸部34の左右それぞれに配置された面は円形の側面34B及び側面34Cとされている。即ち、外周面34Aは払拭方向と略平行な後述する回動軸線Yを中心とする円周面の一部として配置され、側面34B及び側面34Cは払拭方向に対向して配置されている。さらに、側面34Bは後述する円弧凹部56の第3接触面58と当接する第1接触面36とされており、また側面34Cは後述する円弧凹部56の第4接触面60と当接する第2接触面38とされている。また、第3脚部32の上面は、後述するリテーナ48のストッパ部62と当接する当接部32Aとされている。さらに、アームヘッド12には、リブ40,42が第3脚部32と円弧凸部34との接合部44に隣接して設けられている。なお、図1に示されるように、アームヘッド12には、該アームヘッド12をカバーするカバー部材46が取付けられる。
【0022】
(アーム本体)
アーム本体14は、意匠面52が穏やかに湾曲して形成された長尺状の樹脂成型部品であり、その先端には後述するワイパブレード66が取付けられる取付部54が形成されている。さらに、図3に示されるように、アーム本体14の基端部Aには、上記アームヘッド12に設けられた円弧凸部34を収容すると共に、アームヘッド12とアーム本体14とを回動可能に連結するための円弧凹部56が形成されている。円弧凹部56は、側面視で略扇形の凹溝が形成されることにより構成され、その凹溝の開口方向に面を臨む円弧状の内周面56A及び該内周面56Aの両端部からそれぞれ該凹溝の開口方向に延在する側壁56B及び側壁56Cを備えている。また、この円弧凹部56は上記アームヘッド12に設けられた円弧凸部34に対応した形状とされている。従って、内周面56Aは円弧凸部34の外周面34Aと略同一の曲率とされ、また、一方の側壁56Bが円弧凸部34の側面34B(第1接触面36)と当接する第3接触面58とされており、他方の側壁56Cが円弧凸部34の側面34C(第2接触面38)と当接する第4接触面60とされている。また、アーム本体14の基端部Aには、上記円弧凹部56の開口端から延出形成されたストッパ部62を備えている。このストッパ部62がアームヘッド12の当接部32Aに当接することによりアーム本体14のロックバック位置が規制される構成である。さらに、図4に示されるように、アーム本体14の基端部には、後述するスプリング16が係止される係止部64が形成されている。
【0023】
以上説明した円弧凸部34が円弧凹部56に収容され、該円弧凸部34の先端に設けられた外周面34Aと該円弧凹部56に設けられた内周面56Aとが摺動することにより、アームヘッド12に対してアーム本体14が円弧凸部34回りに回動可能となる構成である。
【0024】
(スプリング)
図4(A)に示されるように、スプリング16は所謂引張りコイルスプリングとされており、スプリング16の両端部にはそれぞれU字状に湾曲した係止部16A及び係止部16Bが形成されている。このうち係止部16Aが上記アームヘッド12の係止孔22に係止され、また係止部16Bがアーム本体14の係止部64に係止されることにより、該スプリング16には圧縮方向への付勢力が生じる。この付勢力を受けて、アーム本体14が払拭面方向に付勢されると共に、上記円弧凸部34の外周面34Aが円弧凹部56の内周面56Aに付勢力で押付けられる構成である。
【0025】
また、図5に示されるように、アームヘッド12とアーム本体14との回動軸線Yとアームヘッドのスプリング係止点P1とを結ぶ直線Lよりも起立方向(矢印B方向)にアーム本体14のスプリング係止点P2が位置するようにアーム本体14を回動させると、スプリング16の付勢力は、アーム本体14を払拭面から離間する方向への付勢方向に切り換り、アーム本体14の払拭面から離間する方向への回動力として作用する。その結果、ストッパ部62が当接部32Aに当接する。即ち、スプリングの付勢力によって、ストッパ部62が当接部32Aに付勢されることにより、アーム本体14が所定の起立姿勢位置、所謂ロックバック位置に規制される構成である。
【0026】
次に、ワイパアーム10の先端に取付けられ、払拭面を払拭するワイパブレード66について説明する。
【0027】
(ワイパブレード)
図1に示されるように、ワイパブレード66は、払拭面に接触して払拭するブレードラバー68と、このブレードラバー68を保持する複数の保持レバーとによって構成されている。複数の保持レバーのうち、プライマリレバー70は、一対の側壁及び上壁によって断面コ字状に形成されており、このコ字状の開口側が払拭面側へ向けて配置されている。また、プライマリレバー70の長手方向中央部には、上壁が開口しており連結軸67が一対の側壁に掛け渡されている。この連結軸67にアーム本体14の先端に形成された取付部54が連結されることにより、プライマリレバー70がアーム本体14に回動可能に保持される構成である。また、プライマリレバー70の両端部には、セカンダリレバー74がそれぞれ回転可能に支持されており、ブレードラバー68が該セカンダリレバー74の両端部に設けられた保持爪によって保持される構成である。
【0028】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0029】
ワイパモータを作動させると、ピボットシャフトの回動に伴って、ワイパアーム10が往復回動する。これにより、ワイパアーム10の先端に設けられたワイパブレード66がウィンドシールドガラスに付着した水滴等を払拭する。
【0030】
ここで、本実施形態のワイパアーム10では、アームヘッド12とアーム本体14との連結部において、上記円弧凸部34の先端に設けられた外周面34Aが円弧凹部56に設けられた内周面56Aに接触することにより、スプリング16の付勢力を受け止めている。即ち、外周面34A及び内周面56Aには該スプリング16の付勢力を受けることによる垂直応力が作用するが、せん断応力は作用しない。ここで、材料の圧縮(引張)強度とせん断強度とを比較すると、一般的に圧縮(引張)強度の方が高い。即ち、本実施形態では、上記の位置にせん断応力が生じていないため、アームヘッド12とアーム本体14との連結強度を向上させることが可能となる。その結果、アームヘッドとアーム本体との連結部付近の材料の肉厚を削減することができる。換言すると、該連結部付近が太くなることを抑制できることに伴い、ワイパアームのスリム感及びワイパアームのデザイン性が損なわれてしまうことを抑制でき、スリムかつデザイン性に優れたワイパアーム10を得ることができる。
【0031】
また、本実施形態のワイパアーム10では、上記第1接触面36乃至第4接触面60を備えている。従って、図4(B)に示された矢印C及び矢印D方向へアームヘッドが回動することによる該方向へのガタツキが、第1接触面36と第3接触面58及び第2接触面38と第4接触面60とが当接することによって規制される。その結果、アームヘッド12に対するアーム本体14の払拭方向(矢印C及び矢印D方向)への姿勢が維持され、払拭方向へのガタツキを抑制することができる。
【0032】
さらに、本実施形態のワイパアーム10では、上記当接部32A及びストッパ部62を備えているため、アーム本体14をロックバック位置へ回動させると、ストッパ部62が当接部32Aに当接する。換言すると、ストッパ部62が当接部32Aに当接することによりロックバック時のアーム本体の起立姿勢を所定の角度位置で維持することができる。
【0033】
また、本実施形態のアームヘッド12には、リブ40,42が第3脚部32と円弧凸部34との接合部44に隣接して設けられているため、ワイパアーム10が払拭方向へ回動することに伴い、該接合部44に生じる局所的な応力集中を避けることができる。
【0034】
<第1変形例>
次に、図6〜図7を用いて、アームヘッド及びアーム本体の第1変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図6に示されるように、本変形例に係るアームヘッド12は、アームヘッド12の円弧凸部34の側面34B及び側面34Cが第3脚部32の側面32B及び側面32Cと同一平面上に配置(側面34B及び側面34Cが第3脚部32の側面32B及び側面32Cと面一に連続して接続)されていることに特徴がある。また、円弧凸部34の側面34B及び第3脚部32の側面32Bは第1接触面36とされており、円弧凸部34の側面34C及び第3脚部32の側面32Cは第2接触面38とされている。換言すると、円弧凸部34の外周面34Aから第3脚部32の側面32Bに掛けて第1接触面36が設けられ、さらに外周面34Aから第3脚部32の側面32Cに掛けて第2接触面38が設けられている構成である。
【0036】
また、図7に示されるように、アーム本体14を構成するリテーナ48の基端部Aには、上記アームヘッド12の円弧凸部34及び第3脚部32の形状に対応するように円弧凹部56が形成されている。具体的には、上記円弧凸部34の側面34B及び第3脚部32の側面32Bと対向するように側壁56Bが設けられ、円弧凸部34の側面34C及び第3脚部32の側面32Cと対向するように側壁56Cが設けられている。また、側壁56Bは上記第1接触面36と当接する第3接触面58とされており、側壁56Cは上記第2接触面38と当接する第4接触面60とされている。
【0037】
以上説明した円弧凸部34及び第3脚部32が円弧凹部56に収容され、該円弧凸部34の先端に設けられた外周面34Aと該円弧凹部56に設けられた内周面56Aとが接触及び摺動することにより、アームヘッド12とアーム本体14とが回動可能となる構成である。
【0038】
(本変形例の作用並びに効果)
次に、本変形例の作用並びに効果について説明する。
【0039】
本変形例では、上記構成の円弧凸部34及び円弧凹部56を備えているため、上記実施形態のワイパアーム10で得られた効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0040】
本変形例のアームヘッド12及びアーム本体14を備えたワイパアームでは、円弧凸部34の外周面34Aの両端部34D,34Eから第3脚部32の側面32B,32Cに掛けて第1接触面36及び第2接触面38が設けられているため、アーム本体14が払拭方向に回動した際に、第1接触面36及び第2接触面38が第3接触面58及び第4接触面60から受ける荷重をより広い面積で受け止めることができる。換言すると、アームヘッドに対するアーム本体の払拭方向(ピボット軸の回動方向)への支持強度を向上させることができる。
【0041】
また、第1接触面36及び第2接触面38が第3脚部32の側面32B及び側面32Cに掛けて設けられているため、アームヘッド12はアーム本体14をより長手の面で支持することができる。即ち、アームヘッド12に対するアーム本体14の払拭方向への倒れをより抑制することができる。
【0042】
さらに本変形例では、円弧凸部34の外周面34Aの両端部34D,34Eから第3脚部32の側面32B,32Cに掛けて第1接触面36及び第2接触面38が設けられているため、アームヘッド12とアーム本体14とを連結する軸構造をよりスリム化できる。その結果、よりワイパアーム全体のデザインを基端部から先端部にかけてスリムにデザインすることができる。
【0043】
<第2変形例>
次に、図8〜図10を用いて、アームヘッド及びアーム本体の第2変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一の部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図8及び図9に示されるように、本変形例では、2つの円弧凸部80,82がアームヘッド12に設けられ、またこの2つの円弧凸部80,82を収容する円弧凹部84,86がアーム本体14の基端部Aに設けられている点に特徴がある。
【0045】
図8(A)及び(B)に示されるように、アームヘッド12は、基部18の側面視左側(先端側)の端部から、斜め左上方向に延在する第1脚部88及び第2脚部90を供えており、第1脚部88及び第2脚部90は回動軸線Y方向に互いに離間して平行に対向配置されている。また、アームヘッド12は、第1脚部88と第2脚部90とを繋ぐ連結部92を備えている。この連結部92、第1脚部88、第2脚部90及び基部18により囲まれた部分は、スプリング16が逃げるスプリング逃げ孔94とされている。また、第1脚部88及び第2脚部90の先端側は角柱状に形成されており、さらに第1脚部88及び第2脚部90の先端には、それぞれ第1脚部88及び第2脚部90が延在する方向と直交する方向を同一の軸線方向とする円柱体の円弧凸部80及び円弧凸部82が並列に設けられている。この円柱体の円弧凸部80の側壁面は円弧状の外周面80Aとされており、また図8(C)に示されるように、平面視で該円弧凸部80の左右それぞれに配置された面は円形の側面80B及び側面80Cとされている。また、円弧凸部80と同様に、円柱体の円弧凸部82の側壁面は円弧状の外周面82Aとされており、また平面視で該円弧凸部82の左右それぞれに配置された面は円形の側面82B及び側面82Cとされている。さらに、円弧凸部80の側面80B及び側面80Cはそれぞれ第1脚部88の側面88A及び側面88Bと同一平面上に配置(側面80B及び側面80Cはそれぞれ第1脚部88の側面88A及び側面88Bと面一に連続して接続)されており、円弧凸部82の側面82B及び側面82Cはそれぞれ第2脚部90の側面90A及び側面90Bと同一平面上に配置(側面82B及び側面82Cはそれぞれ第2脚部90の側面90A及び側面90Bと面一に連続して接続)されている。さらに、円弧凸部80の側面80B及び第1脚部88の側面88Aは、後述する円弧凹部84の第3接触面100と当接する第1接触面96とされており、円弧凸部80の側面80C及び第1脚部88の側面88Bは、後述する円弧凹部84の第4接触面102と当接する第2接触面98とされている。また、円弧凸部82の側面82B及び第2脚部90の側面90Aは、後述する円弧凹部86の第7接触面108と当接する第5接触面104とされており、円弧凸部82の側面82C及び第2脚部90の側面90Bは、後述する円弧凹部86の第8接触面110と当接する第6接触面106とされている。
【0046】
図9に示されるように、アーム本体14の基端部Aには、上記アームヘッド12の円弧凸部80及び円弧凸部82を収容すると共に、アームヘッド12とアーム本体14とを回動可能に連結するための円弧凹部84及び円弧凹部86が形成されている。
【0047】
円弧凹部84は、略扇形の凹溝が形成されることに構成され、その凹溝の開口方向に面を臨む円弧状の内周面84A及び該内周面84Aの両端部からそれぞれ該凹溝の開口方向に延在する側壁84B及び側壁84Cを備えている。また、この円弧凹部84は上記アームヘッド12に設けられた円弧凸部80に対応した形状とされている。従って、内周面84Aは円弧凸部80の外周面80Aと略同一の曲率とされ、また、一方の側壁84Bが円弧凸部80の側面80B及び第1脚部88の側面88A(第1接触面96)と当接する第3接触面100とされており、他方の側壁84Cが円弧凸部80の側面80C及び第1脚部88の側面88B(第2接触面98)と当接する第4接触面102とされている。
【0048】
また、円弧凹部84と同様に、円弧凹部86は、略扇形の凹溝が形成されることに構成され、その凹溝の開口方向に面を臨む円弧状の内周面86A及び該内周面86Aの両端部からそれぞれ該凹溝の開口方向に延在する側壁86B及び側壁86Cを備えている。また、この円弧凹部86は上記アームヘッド12に設けられた円弧凸部82に対応した形状とされている。従って、内周面86Aは円弧凸部82の外周面82Aと略同一の曲率とされ、また、一方の側壁86Bが円弧凸部82の側面82B及び第2脚部90の側面90A(第5接触面104)と当接する第7接触面108とされており、他方の側壁86Cが円弧凸部82の側面82C及び第2脚部90の側面90B(第6接触面106)と当接する第8接触面110とされている。
【0049】
以上説明した円弧凸部80及び円弧凸部82がそれぞれ円弧凹部84及び円弧凹部86に収容され、円弧凸部80及び円弧凸部82の先端に設けられた外周面80A及び外周面82Aと円弧凹部84及び円弧凹部86に設けられた内周面84A及び内周面86Aとが摺動することにより、アームヘッド12に対してアーム本体14が円弧凹部84及び円弧凹部86回りに回動可能となる構成である。
【0050】
(本変形例の作用並びに効果)
次に、本変形例形態の作用並びに効果について説明する。
【0051】
本変形例のアームヘッド12及びアーム本体14を備えたワイパアームでは、上記実施形態のワイパアーム10で得られた効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0052】
本変形例では、2つの円弧凸部80及び円弧凸部82が並列に設けられ、またこの円弧凸部を収容する2つの円弧凹部84及び円弧凹部886が設けられているため、1つの円弧凸部が支持する荷重を比較的小さくすることができる。具体的には、ワイパアームが作動している状態において、アームヘッド12とアーム本体48との連結部に生じる荷重を、上記2つの円弧凸部80及び円弧凸部82に分担して受け止めることができる。従って、アームヘッドとアーム本体との連結部の払拭方向への支持強度を向上させることができる。
【0053】
また、本変形例では、上記第1接触面乃至第8接触面を備えている。従って、図10に示された矢印C及び矢印D方向へアームヘッドが回動することによる該方向へのガタツキが、第1接触面96と第3接触面100、第5接触面104と第7接触面108、第2接触面98と前記第4接触面102、第6接触面106と第8接触面110とが接触することによって規制される。その結果、アームヘッド12に対するアーム本体14の払拭方向(矢印C及び矢印D方向)への姿勢が維持され、払拭方向へのガタツキをより一層抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、アームヘッドの基部と円弧凸部との間に脚部を設けた例について説明してきたが、例えば、基部の端部から円弧凸部が直接突出形成された構造にしても良い。
【0055】
また、本実施形態では、アームヘッドに設けられた円弧凸部とアーム本体に設けられた円弧凹部とにより、アームヘッドとアーム本体とを回動可能に連結した例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アームヘッドに円弧凹部を設け、またアーム本体に円弧凸部を設けることにより、アームヘッドとアーム本体とを回動可能に連結した構成としても良い。
【0056】
さらに、本実施形態では、アーム本体の材料として樹脂材料を用い、アームヘッドの材料としてアルミニウム合金を用いた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アーム本体及びアームヘッドの材料としていずれも樹脂材料又は金属材料を用いても良い。このように、材料の選択は部品強度や重量等を考慮して適宜設定すればよい。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
10 ワイパアーム
12 アームヘッド
14 アーム本体
16 スプリング
32 第3脚部(脚部)
32A 当接部
32B 側面
32C 側面
34 円弧凸部
34A 外周面
34B 側面
34C 側面
36 第1接触面
38 第2接触面
56 円弧凹部
56A 内周面
58 第3接触面
60 第4接触面
66 ワイパブレード
80 円弧凸部
80A 外周面
82 円弧凸部
82A 外周面
84 円弧凹部
84A 内周面
86 円弧凹部
86A 内周面
96 第1接触面
98 第2接触面
100 第3接触面
102 第4接触面
104 第5接触面
106 第6接触面
108 第7接触面
110 第8接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部がピボット軸に固定されたアームヘッドと、
一方の端部が前記アームヘッドの他方の端部に連結され、かつ他方の端部には払拭面を払拭するワイパブレードが連結されたアーム本体と、
前記アームヘッドと前記アーム本体との間に掛け渡され、前記アーム本体を前記払拭面方向へ付勢するスプリングと、
前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか一方から突出されかつ先端が円弧状の外周面とされた円弧凸部と、
前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか他方に設けられ前記円弧凸部を収容すると共に前記スプリングの付勢力によって前記外周面に圧接されかつ前記外周面上を摺動する内周面を備え前記アーム本体を前記アームヘッドに対して回動可能に連結する円弧凹部と、
を備えたワイパアーム。
【請求項2】
前記円弧凸部は、前記アームヘッドの他方の端部及び前記アーム本体の一方の端部のいずれか一方から延出された脚部に支持されている請求項1記載のワイパアーム。
【請求項3】
前記円弧凸部は払拭方向に対向して配置された第1接触面及び第2接触面を備え、かつ前記円弧凹部は払拭方向に対向して配置され前記第1接触面上を摺接する第3接触面及び前記第2接触面上を摺接する第4接触面を備えた請求項1又は請求項2記載のワイパアーム。
【請求項4】
前記アーム本体は該アーム本体のロックバック方向への回動を制限するストッパ部を備え、かつ前記ストッパ部が前記脚部に当接することにより前記アーム本体のロックバック状態を維持する請求項2記載のワイパアーム。
【請求項5】
前記円弧凸部の一方の側面と前記脚部の一方の側面とが面一に接続されかつ前記円弧凸部の一方の側面から前記脚部の一方の側面にかけて前記第1接触面が設けられると共に、前記円弧凸部の他方の側面と前記脚部の他方の側面とが面一に接続されかつ前記円弧凸部の他方の側面から前記脚部の他方の側面にかけて前記第2接触面が設けられている請求項3において請求項2を引用するワイパアーム。
【請求項6】
同一軸線方向に並列して設けられた複数の前記円弧凸部及び各円弧凸部をそれぞれ収容する複数の前記円弧凹部を備えた請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のワイパアーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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