説明

ワイヤソー制御システムおよびワイヤソー

【課題】ワイヤソーを動作させるためのワイヤソー制御システムを提供する。
【解決手段】インゴット302、304、306、308に対してワイヤ230を選択可能なワイヤ速度で移動させることによってウエハへとスライシングするワイヤソー100のワイヤソー制御システム1は、ワイヤ230を検査するためのカメラ20と、ワイヤ速度に従ってカメラ20を動作させるためのカメラ制御ユニット25とを含む。さらに、このワイヤソー制御システム1を含むワイヤソー2およびワイヤソー2のワイヤ230を検査する方法は、ワイヤ230を可変のワイヤ速度で移動させるステップと、ワイヤ速度に従ってワイヤ230を検査し、それによって検査結果を得るステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ワイヤソー制御システム、具体的にはワイヤソーのワイヤを検査するためのワイヤソー制御システム、ワイヤソー、ワイヤソーのワイヤを検査する方法およびワイヤソーを動作させる方法に関する。本発明に基づくワイヤソー制御システムを組み込むことによって既存のワイヤソーを改良することができる。より具体的には、本発明は、ワイヤソーのワイヤの欠陥、摩耗または破断を検出するためのワイヤソー制御システムに関する。本発明は特にマルチワイヤソー(multi−wire saw)に関する。本発明のワイヤソーは特に、シリコンブロック、石英ブロックなどの硬い材料を切削またはソーイング(sawing)するように、例えばシリコンウエハを切削するように適合されており、また、スクエアラ(squarer)、クロッパ(cropper)などに対して適合されている。
【背景技術】
【0002】
ワイヤソーは、シリコンなどの硬い材料の材料片からブロックもしくはブリック(brick)または薄いスライス、例えば半導体ウエハを切削するのに使用されている。このような装置では、スプール(spool)からワイヤが供給され、このワイヤは、ワイヤガイドシリンダによって案内され、ぴんと張られる。ソーイングに使用するワイヤは一般に研磨材を有する。1つの選択肢として、この研磨材をスラリとして供給することができる。スラリは、切削する材料にワイヤが触れる直前に供給することができる。それにより、研磨材は、材料の切削に使用するワイヤによって切削位置へ運ばれる。他の選択肢として、コーティングを有するワイヤの表面に研磨材を貼り付けて、例えばダイヤモンドワイヤとして使用することもできる。例えば、コーティングを有する金属ワイヤの表面にダイヤモンド粒子を貼り付けることができ、このとき、ダイヤモンド粒子はワイヤのコーティング内に埋め込まれる。それにより、研磨材はワイヤにしっかりと結合する。
【0003】
ワイヤは、ワイヤガイドによって案内され、かつ/またはワイヤガイドによってぴんと張られた状態に維持される。それらのワイヤガイドは全体が合成樹脂の層で覆われており、ワイヤガイドには、非常に正確な形状寸法およびサイズを有する溝が刻まれている。それらのワイヤガイドにワイヤが巻き付けられ、ワイヤはウエブまたはワイヤウエブを形成する。ソーイングプロセスの間、ワイヤは、かなりの速度で移動する。ウエブは、サポートビーム、すなわちソーイングする材料片を保持する支持体、の進行方向とは反対向きの力を生み出す。ソーイング時には、ソーイングする材料片を移動させてワイヤウエブに通す。この移動の速度が、切削速度および/または所与の時間の間にソーイングすることができる有効切削面積を決定する。
【0004】
切削の厚さを薄くし、それによって無駄になる材料を減らすため、概して、より細いワイヤを使用する傾向がある。ダイヤモンドワイヤを使用することも望まれている。このより細いワイヤおよびダイヤモンドワイヤは一般に損傷をより受けやすく、高歪み下で、これらのワイヤはより簡単に破断することがある。さらに、ワイヤソーのスループットを向上させるために、切削速度を増大させることが望まれている。ウエブに通すために材料片を移動させる最高速度および所与の時間内の最大有効切削面積は、ワイヤ速度、切削する材料の硬さ、妨害物の影響、所望の精度などを含むいくつかの因子によって制限される。一般に、速度が増大するとワイヤの歪みも増大する。したがって、ソーイング速度が大きいほど、ワイヤの損傷、過度の摩耗または破断を防ぐという前述の課題はよりいっそう重要になる。
【0005】
達成可能なソーイング速度がより高いことなどのダイヤモンドワイヤの利点には同時に、破断に対する抵抗力がより低い、長さ当たりの価格がより高いなどの側面もある。ダイヤモンドワイヤを使用するときには、破断しやすいことがダウンタイムによる生産の損失につながらないことを保証するための方策をとることができる。
【0006】
ソーイングプロセス中にワイヤが破断した場合には、破断が生じた後にその破断をできるだけ早く検出し、ワイヤの移動を直ちに停止させることが決定的に重要である。同時に、ソーイングプロセス中にワイヤの長さに沿った1つまたは複数の位置においてワイヤが過度に摩耗しているかどうか、または破断しそうであるかどうかを検出することが望ましい。最悪のケースでは、破断が生じた場合に、好ましくない結果が生じる可能性がある。ワイヤの切れた側の端が、制御できない形で機械内をさまざまに移動することがあり、それによってワイヤガイドシステムまたは機械の他の部分が傷つく可能性がある。さらに、ワイヤが破断し、移動し続けた場合、ソーイングする物体からワイヤが引き離される。
【0007】
さらに、以下のトレードオフを考慮することによってワイヤの使用を最適化することが望まれている。ウエハなどのさらなる物体を効率的かつ安全にソーイングするのにワイヤの状態が依然として良好であると思われるときに、使用済みワイヤ用のスプールにワイヤを巻き取る場合、ワイヤの使用は最適とは言えないものとなり、費用上の損害が生じる。他方、もはやそれ以上のソーイングプロセスには適していないにもかかわらずワイヤを使用し続けた場合には、ワイヤは破断し、または不満足なソーイング結果をもたらす可能性がある。したがって、この選択肢も経済的に受け入れられない。
【発明の概要】
【0008】
以上のことを考慮して、ワイヤソーを動作させるためのワイヤソー制御システムが提供される。このワイヤソーは、ウエハに対してワイヤを選択可能なワイヤ速度で移動させることによってウエハを切削するように適合されている。このワイヤソー制御システムは、ワイヤを検査するためのカメラと、ワイヤ速度に従ってカメラを動作させるためのカメラ制御ユニットとを含む。
【0009】
一態様によれば、本明細書に記載されたワイヤソー制御システムを含むワイヤソーが提供される。このワイヤソーは特にマルチワイヤソーとすることができる。
【0010】
他の態様によれば、本明細書に記載されたワイヤソー制御システムを組み込むことによって既存のワイヤソーを改良することができる。本明細書に記載されたワイヤソー制御システムをワイヤソーに組み込むことを含むワイヤソーを改良する方法が開示される。
【0011】
他の態様によれば、ワイヤソーのワイヤを検査する方法が提供される。このワイヤソーは、ワイヤとウエハの相対移動によってウエハを切削するように適合されている。この方法は、ワイヤを可変のワイヤ速度で移動させるステップと、ワイヤ速度に従ってワイヤを検査し、それによって検査結果を得るステップとを含む。
【0012】
他の態様によれば、ワイヤソーを動作させる方法が提供される。ワイヤソーを動作させるこの方法は、本明細書に記載されたワイヤを検査する前記方法を含む。
【0013】
その他の利点、特徴、態様および詳細は、従属請求項、本明細書の説明および添付図面から明白である。
【0014】
実施形態は、開示された方法を実行する装置をも対象とし、記載されたそれぞれの方法ステップを実行する装置部分を含む。それらの方法ステップは、ハードウェアコンポーネントによって、もしくは適当なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータによって、またはこれらの2つの組合せによって、あるいは他の方式で実行することができる。さらに、本発明に基づく実施形態は、記載された装置がそれによって動作する方法をも対象とする。この方法は、装置のあらゆる機能を実行する方法ステップを含む。
【0015】
上に挙げた本発明の諸特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上に概要を示した発明をより具体的に説明する。添付図面は本発明の実施形態に関するものであり、以下に添付図面の説明を記す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本明細書に記載された実施形態に基づくワイヤソー制御システムおよびワイヤソーの略側面図である。
【図2】本明細書に記載された実施形態に基づくワイヤソー制御システムおよびワイヤソーの略上面図である。
【図3】本明細書に記載された実施形態に基づくワイヤソー制御システムおよびワイヤソーの一部分の略正面図である。
【図4】本明細書に記載された実施形態に基づくワイヤソー制御システムおよびワイヤソーの略正面図である。
【図5】本明細書に記載された実施形態に基づくワイヤソー制御システムおよびワイヤソーの略側面図である。
【図6】ワイヤソーのワイヤを検査する一実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明のさまざまな実施形態を詳細に参照する。それらの実施形態の1つまたは複数の例が図に示されている。以下の図面の説明では、同じ参照符号が同じ構成要素を指す。全体を通して、個々の実施形態に関する相違点だけを説明する。それぞれの例は、本発明の説明として示すものであり、本発明を限定することを意図したものではない。さらに、1つの実施形態の部分として図示または記載した特徴を他の実施形態に対して使用して、または他の実施形態とともに使用して、それらとは別の実施形態を生み出すことができる。以下の説明は、このような変更および変形を含むことが意図されている。
【0018】
さらに、以下の説明では、「ワイヤソー制御システム」または単に「制御システム」を、ワイヤソーの一部または全部の機能を制御するシステムと理解することができる。本明細書で解釈されるワイヤソーは一般に、クロッパ、スクエアラまたはウエハ切削ワイヤソーである。典型的には、機械動作およびソーイングプロセスのパラメータを監視するため、制御システムはセンサに接続される。ワイヤソー制御システムはカメラおよびカメラ制御ユニットを含む。カメラ制御ユニットは、例えば1つまたは複数の画像をカメラによって撮影するときにカメラを始動させることで、カメラを制御するように適合されている。典型的には、カメラまたはカメラ制御ユニットは、画像認識アルゴリズムを実行して、撮影した画像を評価するように適合されている。ワイヤソー制御システムをさらに、ワイヤを移動させる電気モータを操作するアクチュエータおよび装置に接続することができる。コマンドを受け取り、ソーイングプロセスの状況を報告するために、ワイヤソー制御システムは一般に、人間と対話する装置を含むことができる。人間またはコンピュータなどの自動化されたシステムによって直接に制御されまたは遠隔制御されるように、本明細書で記載される制御ユニットをさらに、コンピュータネットワークに接続することができる。
【0019】
本明細書に記載の実施形態によれば、ワイヤソーを動作させる方法は、コンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータソフトウェア製品および相互に関係付けられたコントローラによって実行することができ、このコントローラは、典型的にはCPU、記憶装置、ユーザインターフェースおよび入出力手段を有することができ、これらはワイヤソーの対応する構成要素と通信する。それらの構成要素は、後により詳細に説明するモータ、ワイヤ破断検出ユニット、ワイヤ追跡装置などの構成要素のうちの1つまたは複数の構成要素であることがある。
【0020】
典型的には、ワイヤソーは、ワイヤが移動する方向へワイヤを運び、案内するワイヤガイドを含む。ワイヤソー制御システムはワイヤの張力の制御を提供することができる。供給されたワイヤは、ワイヤソーの切削領域にワイヤウエブを形成する。それにより、用語「ワイヤウエブ」は通常、ワイヤガイディングシリンダを繰り返し取り巻くワイヤによって形成されるウエブに関する。ワイヤウエブは2つ以上の作業領域を含むことができることを理解すべきである。作業領域は、ソーイングプロセスが実行される領域と定義される。したがって、本明細書に記載されたいくつかの実施形態によれば、ワイヤウエブは、ワイヤによって形成された複数の作業領域を有することができる。
【0021】
クロッパ、スクエアラまたはワイヤソーのような最新のワイヤソーに関しては、シリコンなどの半導体材料、石英等の硬い材料を高速で切削することが望まれる。最高ワイヤ速度、すなわちワイヤソー内でワイヤが移動する最高速度は例えば10m/秒以上とすることができる。典型的には、最高ワイヤ速度を10から15m/秒とすることができる。しかしながら、20m/秒、25m/秒、30m/秒など、より高いワイヤ速度が望ましいこともある。実施形態では、ワイヤソーのワイヤの移動がワイヤの前進/後退を含む。本明細書で解釈される用語「前進/後退」は、少なくとも1回のワイヤの移動方向の変更を含む。典型的には、ワイヤの移動方向は選択可能な時間間隔で繰り返し変更される。
【0022】
所望のワイヤ速度でワイヤを繰り出すために、未使用のワイヤの供給スプールは、毎分最大数千回転の回転速度で回転する。例えば、ワイヤを繰り出すために1000から2000rpmを提供することができる。
【0023】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、ワイヤが、装置のタイプによって異なる直径を有することができる。スクエアラに関連する一実施形態では、ワイヤの直径を約250μmから約450μm、例えば300μmから350μmとすることができる。ウエハ切削ワイヤソーに関連する一実施形態では、ワイヤの直径が80μmから180μm、より典型的には120μmから140μmとすることができる。上記の全ての実施形態に関して、ワイヤのねじれは、ワイヤが破断する危険性またはコーティングを傷つける危険性を増大させることがあり、そのため、ねじれを生じない動作が有利である。
【0024】
ダイヤモンドワイヤを使用することにより、従来の鋼ワイヤに比べてスループットを2倍以上に高めることができる。移動しているワイヤに対してソーイングする材料を移動させる速度を材料供給レートと呼ぶことがある。本明細書に記載された実施形態における材料供給レートは、ウエハ切削ワイヤソーに関しては2μm/秒から15μm/秒、典型的には約6μm/秒から10μm/秒とすることができ、スクエアラに関連する実施形態に関しては20μm/秒から40μm/秒、典型的には28μm/秒から36μm/秒とすることができる。
【0025】
典型的な実施形態によれば、マルチワイヤソーが使用される。マルチワイヤソーは、半導体産業用および光電池産業用のシリコンウエハの高生産性で高品質のスライシングを可能にする。典型的には、マルチワイヤソーは、一方向に(すなわち前進方向にだけ)または双方向に(すなわち前後に)移動して切削作動を実行することができる高張力鋼ワイヤを含む。このワイヤは、表面にダイヤモンドを有することができる。
【0026】
このワイヤを、本明細書ではガイディングシリンダとも呼ぶワイヤガイドに巻き付けて、平行なワイヤからなる水平ネットすなわちワイヤウエブを形成することができる。ワイヤガイドには通常、一定のピッチで溝が刻まれている。このワイヤガイドを駆動装置によって回転させる。この駆動装置は、ワイヤウエブ全体を例えば5から20m/秒の比較的に速い速度で移動させる。希望する場合には、いくつかの大流量ノズルによって、移動しているワイヤにスラリを供給することができる。本明細書で解釈されるスラリは、懸濁した研磨粒子(例えば炭化シリコンの粒子)を含む液体キャリアを指す。切削作動の間、インゴット(ingot)を押してワイヤウエブに通すことができる。あるいは、インゴットを動かないようにしておき、その間に、ワイヤウエブを押してインゴットを横切るようにすることもできる。本明細書に記載された特定の実施形態に限定されることなく、一般に、「ウエハを切削する」という句は特に、「インゴットを切削してウエハにする」ことを含む。ワイヤ供給スプールは必要な新しいワイヤを供給し、ワイヤ巻取りスプールは使用済みのワイヤを収容する。
【0027】
ワイヤソー全体を一巡した後、ワイヤは通常、ソーイングプロセス前のワイヤの最初の直径に比べて細い直径でワイヤソーの動作領域を出る。ワイヤの摩耗はプロセスに依存する。具体的には、切削レートが高いほどワイヤの摩耗は大きくなる。また、ワイヤ使用量(所与の用途に対して使用されるワイヤの長さ)が大きいほど、摩耗は小さくなる。一方では、ワイヤの摩耗が、ワイヤが破断する確率を高め、他方では、ワイヤの使用量が、ウエハを製造する費用を増大させるため、本開示は、最適化されたプロセスを最小の全体費用で達成するため、ワイヤの使用量を制御することを目指している。
【0028】
したがって、本開示の根底にある発想はワイヤ使用量の最適化である。本開示は特に、マルチワイヤソー、すなわち一度に複数のソーイングプロセスが実行されるプロセスに関する。それでも、下記の図の議論からより明らかになるように、典型的には、一度に複数ソーイングプロセスを実行するのに使用されるワイヤは1本だけである。
【0029】
スプール、特に未使用のワイヤを提供するワイヤ供給スプールを交換する回数を減らすことによって、およびワイヤ破断によるダウンタイムを回避することによって、全体のスループット、供給レートなどのワイヤソーの生産性を最適化することが望まれる。同時に、過度に摩耗したワイヤによる不満足なソーイング結果を回避すること、およびワイヤ破断に対する安全域(safety margin)を維持することが望まれる。
【0030】
より高速なスライシングは、より多くのワイヤの摩耗を引き起こし、ワイヤの摩耗はワイヤが破断する確率を高めるため、最適な1つまたは複数の動作パラメータを見つけることが望まれる。本開示によれば、最適な1つまたは複数の動作パラメータを、ソーイングプロセス中に元の位置で見つける。典型的には、最適な1つまたは複数の動作パラメータは、実際に測定されたワイヤの状態に従って頻繁に、例えば所定の時間間隔で更新される。
【0031】
実施形態によれば、ワイヤはソーイング動作中に検査される。例えば、実際のワイヤの摩耗を測定することができる。測定およびおそらくは後続の解析は、1つまたは複数の動作パラメータを変更するなど、プロセスを最適化するための反応を直ちに実施することを可能にする。例えば、ワイヤ速度を増大させ、かつ/またはテーブル速度を低減させることが可能である。このようにして摩耗が低減され、摩耗が低減されるとワイヤが破断する確率も低下する。ワイヤの測定および/または解析の結果が、ある供給レートでのさらなる使用および/またはさらなるソーイングに対してワイヤの状態が適当であると考えられるような結果となることもありうる。
【0032】
図1は、ワイヤソー制御システム1を含むワイヤソー100の略側面図を示し、図2は、ワイヤソー制御システム1を含むワイヤソー100の略上面図を示す。ワイヤソー制御システム1は、ワイヤの少なくとも1つの画像を取得する少なくとも1つのカメラ20を含むことができる。それにより、隣接するいくつかのワイヤの画像をカメラが同時に撮影することが可能である。典型的には、カメラ20は、ケーブル接続または無線接続15を介してカメラ制御ユニット25に接続される。制御ユニット25は、ソーイングプロセスを制御するワイヤソー制御システムの一部とすることができ、またはソーイングプロセスを制御するワイヤソー制御システムとして作動することができる。
【0033】
ワイヤソー100は、4つのワイヤガイドシリンダ112、114、116、118を含むワイヤガイド装置を有する。典型的には、ワイヤガイドシリンダ112、114、116、118は合成樹脂の層で覆われており、これらのワイヤガイドシリンダには、非常に正確な形状寸法およびサイズを有する溝が刻まれている。溝と溝の間の距離、すなわち溝のピッチは、ワイヤ230の隣接する2本のストリング(string)またはライン(line)間の距離D1を決定する。距離D1からワイヤの直径を差し引いた値は、ワイヤソーによって切削されるスライスの厚さの上限を設定する。
【0034】
例えば、スラリなどの第3の媒質を使用する場合には、スライスの厚さが、距離D1とワイヤの直径の差よりも約10μmから40μm薄くなることがある。典型的には、ワイヤの太さは120μmから140μmの間であり、距離D1は230μmから450μm、典型的には330μmから370μmである。一例として、溝のピッチないし距離は300μm未満とすることができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、この溝のピッチないし距離の結果、隣接するワイヤ間の間隔は、約110μmから350μm、典型的には190μmから250μmになる。以上のことを考慮すると、本明細書に記載された実施形態は、大きな切削面積および高い切削レートを提供することができる。
【0035】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさまざまな実施形態によれば、ピッチ、すなわち溝と溝の間の距離を330μmから370μm、例えば350μm以下とすることができ、隣接するワイヤ間の距離を110μmから350μm、例えば190μmから250μmもしくは220μm以下とすることができ、かつ/またはその結果としてのウエハの厚さを120μmから250μm、例えば180μmから220μmもしくは200μm以下とすることができる。それにより、溝のピッチおよび溝の形状寸法は、典型的にはワイヤの太さおよびワイヤのタイプに対して適合され、ウエハの厚さに対して適合されることに留意すべきである。
【0036】
さらに、それぞれのワイヤガイドシリンダ112、114、116、118をモータまたは駆動装置122、124、126、128(図1では破線で示されている)に接続することができる。それぞれのモータを、ワイヤの前進/後退を実行するように適合させることができる。図には、ワイヤの前進/後退が参照符号215、225で示されている。図1および2に示した実施形態などの実施形態では、ワイヤガイドシリンダ112、114、116、118がモータ122、124、126、128によって直接に駆動される。図2に示すように、ワイヤガイドシリンダ112、114はそれぞれ、対応するモータ122、124のモータシャフト123、125に直接に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、それらのモータのうちの1つまたは複数のモータが水冷される。典型的には、その1つまたは複数のモータはワイヤソー制御システムによって制御される。モータの速度に関する情報は、カメラ制御ユニットによって、カメラを動作させるために使用される。
【0037】
切削作動中に、インゴットをスライシングするため、1つまたは複数のインゴット302、304、306、308を押してワイヤウエブに通すことができる。これは、インゴット302と304の間およびインゴット306と308の間に挟まれた矢印によって示されている。典型的には、この1つまたは複数のインゴットはテーブル(図示せず)によって支持され、このテーブルは、本明細書では「テーブル速度」と呼ぶ速度で移動することができる。このテーブル速度を供給レートと呼ぶこともある。本明細書に記載された特定の実施形態に限定されることなく、一般に、テーブル速度をワイヤ速度と同期させることができる。具体的には、ワイヤの移動方向を変更するためにワイヤを停止させたときに、その瞬間の間、テーブルの速度もゼロまたはゼロ近くまで低減させることが可能である。
【0038】
あるいは、インゴット302、304、306、308を動かないようにしておき、その間に、ワイヤウエブを押してインゴットを横切るようにすることもできる。実施形態によれば、その1つまたは複数のインゴットを、多数の、例えば少なくとも500枚以上のウエハにスライシングする。インゴットの典型的な長さは、特に多結晶シリコンの場合に最長250mmであり、特に単結晶シリコンの場合に最長500mmである。
【0039】
典型的な実施形態によれば、ワイヤ供給スプール134はワイヤ230のリザーバを備える。典型的には、まだ未使用の場合、ワイヤ供給スプール134は数百キロメートルのワイヤを保持する。ワイヤ230は、ワイヤ供給スプール134から、ガイドシリンダ112、114、116、118へ供給される。使用済みのワイヤ230を再び巻き付けるワイヤ巻取りスプール138を使用することができる。図1に示した実施形態では、ワイヤ供給スプール134および巻取りスプール138の回転軸が、ワイヤガイドシリンダ112、114、116、118の回転軸に対して平行である。したがって、典型的には、ワイヤガイド110にワイヤを供給するのに偏向プーリまたは同種の装置が不要である。ワイヤの角度がゼロになるため、ワイヤが破断する危険性を低減させることができる。典型的には、低慣性プーリ(図示せず)、ワイヤの張力を調節するテンションアーム(図示せず)などの追加の装置を使用することができ、テンションアーム上には任意選択でディジタルコーダを配置することができる。
【0040】
動作中、例えばソーイングプロセス中に、モータ122、124、126、128は、ワイヤガイドシリンダ112、114、116、118がその縦軸を軸に回転するように、ワイヤガイドシリンダを駆動することができる。典型的な実施形態によれば、ソーイングを実行するために、ワイヤを前後に移動させる。それにより、典型的には、第1の時間間隔の間または第1の距離にわたってワイヤを前進させ、それよりも短い第2の時間間隔の間または第2の距離にわたってワイヤを後退させる。それにより、ワイヤは、交互に前進/後退するにもかかわらず、ワイヤ供給スプール134からワイヤ巻取りスプール138へゆっくりと運ばれる。
【0041】
ワイヤ230は、ワイヤガイドシリンダ112、114の周りに螺旋状に巻き付けられ、2つのワイヤガイドシリンダ間に平行なワイヤの層を形成する。典型的には、この層はワイヤウエブ200と呼ばれる。図示された実施形態によれば、4つのワイヤウエブが形成される。ソーイングは、少なくとも1つのワイヤウエブを使用して、典型的には(図1に示すように)2つのワイヤウエブを同時に使用して実行される。典型的には、平行なワイヤ部分の数がスライシングプロセスの数に対応する。例えば、その結果形成されるワイヤウエブが、平行に配列された100個のワイヤ部分を含むような方式で、ワイヤを巻き付けることができる。押されて、100個のワイヤ部分からなるこのウエブに通されたウエハは、101個の材料片にスライシングされる。
【0042】
ワイヤの輸送速度は例えば最高20m/秒または25m/秒である。典型的には、短時間で停止し加速するために、ワイヤを駆動するモータが、小さな運動量を有するモータである。このことは、前進/後退を提供する本開示の実施形態において特に有用である。ワイヤの移動方向は例えば、少なくとも10秒ごとに、または少なくとも30秒ごとに、または少なくとも1分ごとに変更される。
【0043】
実施形態によれば、1つのインゴットをソーイングする(またはいくつかのインゴットを並行してソーイングする)間に、ワイヤの移動方向を少なくとも10回、典型的には少なくとも100回または少なくとも500回変化させる。インゴットのソーイング中にワイヤの移動方向を変化させると、その結果得られるウエハの全体的なテーパリングが低減する。インゴットを横切る際にインゴット全体にわたってワイヤが同じ方向に移動する場合には、その結果得られるウエハが台形の形状を有する可能性がある。これは、インゴットの入口側のワイヤの方がインゴットの出口側のワイヤよりも多くのスラリを担持するためである。しかしながら、インゴットを横切る際のワイヤの移動方向を時折に変化させる場合には、この効果を補償することができる。
【0044】
一実施形態では、1つのモータ、例えばモータ122がマスタモータとして機能し、残りのモータ124、126、128がスレーブモータとして機能する。言い換えると、マスタモータ122は、スレーブモータ124、126、128がマスタモータ122に従うように、スレーブモータ124、126、128の動作を制御することができる。したがって、モータ122、124、126、128の動作の同期性(synchronicity)が向上し、ソーイングプロセスの間、モータ122、124、126、128の動作の同期性を維持することができる。さらに、それらのいくつかのモータまたはマスタモータの動作状況に関する情報、すなわちそれらのいくつかのモータまたはマスタモータの実際の速度に関する情報を、モータ速度をカメラの動作と同期させるために、カメラ制御ユニット25へ送信することができる。
【0045】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのワイヤウエブを形成するために2つ以上のスプールが提供される。例えば、ワイヤを供給するために2つ、3つまたは4つのスプールを使用することができる。それにより、さまざまな実施形態によれば、より薄いウエハ、例えば厚さ100μmから170μmのウエハをソーイングする方法を提供することができる。典型的には、このより薄いウエハを、2μm/秒から12μm/秒、典型的には約5μm/秒から7μm/秒の材料供給レートなどのより速い速度でソーイングすることもできる。
【0046】
2つ以上のスプール、したがって2本以上のワイヤを使用することによって、それぞれのワイヤにかかる荷重を、ワイヤが1本のシステムに比べて低減させることができる。一般に、単一ワイヤウエブでは、ワイヤの表面積に対するウエハの表面積が増大するため、この荷重が、2重ワイヤウエブに比べて増大する。この荷重が増大すると切削速度が低下することがある。したがって、2本以上のワイヤを使用すると、例えば12m/時以上の有効切削面積ないし切削レートを提供することができるような態様で、切削速度を増大させることができる。
【0047】
図3は、ワイヤソー用のワイヤソー制御システム1の一実施形態の正面図を示す。図3には、例示のため、装置の正面のワイヤ部分が(点線で)示されている。典型的には、カメラ制御ユニット25は、カメラが撮影した画像を解析することによって、ワイヤ230の少なくとも1つの物理的状態の変化を検出するように適合されている。ワイヤ230が破断した場合、またはワイヤが許容できないほどに細くなった場合に、制御ユニットはその変化を検出し、典型的には反応を開始する。この実施形態に限定されることなく、このような反応は一般に、ワイヤ速度の増大、テーブル速度の低減、および/または、後退部分に対する前進部分の長さが検出前の動作に比べて長くなるような方式でのワイヤ移動の制御とすることができる。
【0048】
例えば、カメラによって撮影した画像に従って決定した摩耗、ワイヤ直径、ワイヤ均質性(wire homogeneity)、ダイヤモンド密度(diamond concentration)および/またはダイヤモンド分布(diamond repartition)などのワイヤの物理的状態が、第1のしきい値を超えることがある。したがって、そのような場合には、少なくとも10%など選択可能な値だけワイヤ速度を増大させ、(破断の確率を低減させるために)少なくとも10%など選択可能な値だけワイヤの張力を増大させ、少なくとも20%など選択可能な値だけワイヤの後退を増大させるように、ワイヤソー制御システムをプログラムすることができる。それに加えてまたはその代わりに、少なくとも10%など選択可能な値だけテーブル速度を低減させるように、ワイヤソー制御システムをプログラムすることもできる。それにより、そのワイヤは、より少ない回数のソーイングプロセスに対して使用される。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、ワイヤの少なくとも1つの物理的状態を連続的に調べる。この点に関して「物理的状態」は主に、ワイヤが大きな摩耗を示しているかどうか、もしくはワイヤが均質かどうか、または、ワイヤが、何らかのタイプの欠陥、小さなひび割れ、断裂、金属組織学的構造(例えば結晶粒度など)の変化、高い使用度(例えば大幅な細線化)などを有しているかどうかという疑問に関連する。この文脈で理解される用語「連続的に」は、「選択可能な時間間隔で繰り返すこと」を意味すると理解される。典型的には、この時間間隔は、一方向のワイヤ移動の持続時間と同一である。実施形態によれば、反対方向にワイヤを移動させるためにワイヤを停止させたときにワイヤを検査する。ワイヤの物理的状態がしきい値を超えている場合には、そのことに対する反応として動作モードを変更する。検査対象の対応するそれぞれのパラメータまたは全てのパラメータが再び許容可能な範囲内に戻ったら、動作モードを通常動作にリセットすることが可能である。
【0050】
典型的には、本明細書で解釈されるカメラは、可視放射を処理する能力を含む。他の実施形態によれば、赤外線、紫外放射、X線、α粒子放射、電子粒子放射および/またはγ線などの光学範囲外の放射を処理するようにカメラを適合させることが可能である。典型的な実施形態によれば、上に挙げた種類の放射のうちの1種または数種の放射を発する放射源が装置の部分である。例えば、光学範囲(400〜800nm)の放射を処理するように適合されたカメラの場合には、環境光またはLEDの使用が、対応するそれぞれの光源の働きをすることができる。光センサまたはCCDセンサ(電荷結合デバイス)の形態のカメラを使用することができる。
【0051】
典型的には、カメラは、監視または管理する対象であるワイヤの一部分に隣接して配置される。前述のワイヤウエブを使用するワイヤソーでは、図2に示されているように互いに対して平行に突き出たワイヤの部分に隣接してカメラを配置することができる。一実施形態では、カメラ20が、支持面、典型的にはボード、固体またはハウジングの表面に取り付けられ、この支持面は、プラスチック、金属または他の適当な材料から形成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、多数のカメラが使用される。このことは特に、2本以上のワイヤを含むワイヤソーについて言える。そのような場合、典型的には、ワイヤ1本につき少なくとも1つのカメラが使用される。動作時、それぞれのワイヤは、少なくとも1つのカメラによって検査される。同じカメラ制御ユニットによって2つ以上のカメラを、対応するそれぞれのワイヤ速度に従って動作させることができ、または、それぞれのカメラが、カメラを動作させるカメラ制御ユニットを有することもできる。いずれの方式でも、対応するそれぞれのカメラが受け持っているワイヤの速度に従って、多数のそれぞれのカメラを動作させる。
【0053】
さらに、他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、より細いワイヤ、例えば太さが最大120μmまたは最大80μmであるワイヤを使用することができる。それにより切削面積が増大する。典型的には、スラリによって支援されたソーイングの場合、ワイヤの使用中にワイヤの太さは低減する。したがって、より大きな切削面積に対して単一のワイヤを使用する場合には、ワイヤが非常に速く細くなり、ついにはワイヤが破断する危険性がある。それに応じて2本のワイヤを使用して1つのワイヤウエブ、例えば連続したワイヤウエブを構築すると、一方では、ワイヤにかかる荷重が低減し、それによって切削速度をより高くすることが可能になり、他方では、ワイヤをより細くすることが可能になり、それによってワイヤ距離をより小さくすることが可能になり、それによって切削面積が増大する。
【0054】
どの実施形態にも限定されることなく、それぞれのカメラは一般に、少なくとも1つのワイヤ部分を検査するように適合される。典型的には、2つ、3つまたはそれ以上など多数のカメラが実質的に1列に配置される。半導体処理用の一部のワイヤソーでは一般的なケースである平行なワイヤ部分間の距離が小さい場合には、それぞれのカメラが、多数のワイヤ部分、典型的には4つから100個の平行ワイヤ部分、より典型的には20から50個のワイヤ部分をカバーすることができる。図4は、4つの多数のカメラが配置された実施形態を概略的に示す。この実施形態は、上で論じたとおり1本のワイヤだけの使用を示しているが、図示した実施形態において2本または4本のワイヤを使用し、検査することも可能であろう。
【0055】
本明細書に記載された実施形態では、ワイヤ間の距離が110μmから310μmである。カメラ20とワイヤ230の部分との間の距離は、例えば使用するカメラのタイプ、カメラおよびワイヤの技術的な仕様、ワイヤのタイプおよび厚さなど、複数の因子に依存する。典型的にはこの距離は1cmから20cmであり、より典型的には、10cm±2.5cmなど5cmから15cmの間である。実施形態によれば、ウエブのうち最大10mm、具体的には1mmから5mmの間の範囲がカメラの視界に入る。典型的には、このことは、最高30本のワイヤ、より典型的には5から20本の間のワイヤを同時に画像化することに対応する。
【0056】
この1つまたは複数のカメラ20の信号は、接続ワイヤ15を介して制御ユニット25へ送られる。上で論じたとおり、典型的には、このカメラ制御ユニットはワイヤソーのコントローラであるが、カメラ制御ユニットを別個の装置とすることも可能である。このコントローラは、ワイヤソーの動作中にこの1つまたは複数のカメラの信号を検査し解析するように適合されている。上で論じたとおり、ワイヤが、正常でないと定義された物理的状態を示している場合、制御ユニットはその変化を検出し、反応を開始させる。
【0057】
一実施形態では、ワイヤの欠陥が検出された場合に、前述の欠陥を有するワイヤを用いた別の動作によって起こる可能性がある望ましくない結末を防ぐため、カメラ制御ユニットがワイヤソーの動作を直ちに停止させる。さらに、カメラ制御ユニットが追加的に警報を発することも可能である。典型的には、この警報信号は、例えばビーパ(beeper)、ホーン(horn)またはスピーカ(loudspeaker)によって音響的に発せられ、発光デバイスによって光学的に発することもできる。カメラ制御ユニットはさらに、コンピュータネットワークなどを介してオペレータの画面または外部装置に信号を送ることができる。複数のワイヤ部分を含むワイヤウエブの図表現によって、正常でないワイヤ部分の位置を視覚的に表示することができる。
【0058】
一実施形態では、カメラ制御ユニットが、欠陥、摩耗、磨滅、不均質性などのワイヤの劣化の程度の違いを区別することができる。このことは、ワイヤの少なくとも1つの特性の小さな変化、例えば限界値を超えたワイヤの直径の低減によって生じたカメラ信号のわずかな変化を識別することができることを意味する。次いで、このカメラ信号のわずかな変化を異常として報告することができる。実施形態では、そのワイヤ特性の変化の帰結としてワイヤソーの1つまたは複数の動作パラメータを変更すべきか否かを判定するように、装置の制御ユニットが適合されている。1つまたは複数の動作パラメータの変更は、以下の作動のうちの1つまたは複数の作動を含むことができる。
【0059】
実施形態によれば、反応として、ワイヤ速度を増大させることができる。典型的な実施形態によれば、ワイヤ速度を増大させるのと同時にテーブル速度を低減させる。あるいは、同時にワイヤ速度を変更することはせず、テーブル速度だけを低減させる。
【0060】
本開示の理解に基づいてワイヤ速度を増大させる選択肢はいくつかある。1つの選択肢は、ワイヤの最低速度を例えば少なくとも10%または少なくとも20%だけ増大させることである。ワイヤ速度の増大を表す同じ百分率でテーブル速度を低減させることが可能である。例えば、ワイヤを、例えば少なくとも15m/秒の速度で移動させている場合、ワイヤ速度を少なくとも18m/秒まで増大させることができる(これはワイヤ速度の20%の増大に対応する)。
【0061】
前述の選択肢と組み合わせることができる他の選択肢は、方向を変更した後のワイヤの加速度を低減させることである。加速度の低減は、ひび割れなどが感知された場合に特に有用である。
【0062】
実施形態によれば、他の反応は、前進させるワイヤの長さを長くし、かつ/または後退させるワイヤの長さを短くすることである。
【0063】
記載された実施形態に限定されることなく、一般に、ワイヤを第1のワイヤ長だけ前進させ、続いて第2のワイヤ長だけ後退させることができる。典型的にはワイヤの通常動作を指すいくつかの実施形態によれば、第1のワイヤ長が第2のワイヤ長よりもわずかに長い。この文脈で理解される「わずかに」は、具体的には、最大10%の差、より典型的には最大5%の差または1%だけの差を指す。他の実施形態によれば、第1のワイヤ長は、例えば5mから50mの間の長さだけ、典型的には5mから20mの間の長さだけ、例えば5mから10mの間の長さだけ、第2のワイヤ長よりも長い。それにより、1回の前進/後退の後、第1のワイヤ長と第2のワイヤ長の差と定義される長さだけワイヤは前進している。典型的には、この差に相当する長さが巻取りスプールに巻き取られる。この部分は通常、それ以上の使用には適さないことが考えられるためである。
【0064】
特別な反応として、動作を停止させることができる。すなわち、この実施形態では、検査結果が、ワイヤソーを停止させるような結果である。ワイヤソーの停止をオペレータに知らせるため、警報信号を発するようにすることができる。ワイヤの停止は例えば、ワイヤの直径が停止しきい値よりも小さくなった場合に実行される。動作の停止が回避されることは本発明の全般的な効果である。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、巻取りスプールに隣接してカメラが配置される。本明細書で解釈される用語「隣接する」は、ソーイング後のワイヤの位置にカメラが配置されることと理解される。したがって、カメラを通過した後、ワイヤは、1つまたは複数のガイディングロールなどを超えて進み、その後、巻取りスプールに巻き取られる。このような実施形態が図5に例示的に示されている。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、ワイヤが前進と後退を交互に繰り返すようにワイヤソーが制御される。上で論じたとおり、典型的には、前進するワイヤの長さは、例えば0.5%から5%の間の長さだけ、より典型的には0.5%から3%の間の長さだけ、後退するワイヤの長さよりも長い。典型的には、それぞれの移動方向(すなわち前進および後退)を、10秒から5分の間の時間間隔の間、より典型的には10秒から1分の間の時間間隔の間継続する。上で論じたとおり、前進の時間間隔を、例えば少なくとも0.5%または1%だけ後退の時間間隔よりも長くすることが可能である。
【0067】
本発明のいくつかの態様によれば、カメラの動作とワイヤの動作とを同期させる。それにより、得られる画質が最大になるときにワイヤを検査することが可能になる。例えば、いくつかの実施形態によれば、ワイヤの速度がゼロまたは実質的にゼロであるときに常に画像を撮影するように、カメラを始動させる。用語「実質的にゼロ」は、最高±1m/秒の速度を含むことができる。典型的には、ワイヤの移動方向が例えば前進から後退へまたは後退から前進へ変更されるときに、カメラの動作を開始させる。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、カメラは、カメラの動作が開始されたときに1つの画像を撮影し、他の実施形態によれば、カメラは、カメラの動作が開始されたときに少なくとも2つ、3つまたはそれ以上の画像を撮影し、他の実施形態によれば、1秒当たり少なくとも30または50の画像を撮影するなど、画像を頻繁に撮影するようにカメラが適合されている(例えばカメラがビデオカメラである)。一般に、ワイヤを検査するために、撮影した全ての画像を解析することが可能であり、あるいは、他の解析に対して、一組の画像のうちの1つの画像だけ、特にコントラストなどの画質の点で他の画像よりも優れた1つの画像だけを使用することが可能である。あるいはまたはそれに加えて、本明細書に記載されたワイヤソー制御システムが、少なくとも1つの第2のカメラを含むことも可能であり、この第2のカメラを、第1のカメラと同時にワイヤの画像を撮影するように適合させることができる。第1のカメラによって撮影された画像および第2のカメラによって撮影された画像を検査の解析に使用することが可能であり、または1つの画像だけ、特にコントラストなどの画質の点で少なくとも1つの別の画像よりも優れた1つの画像だけを使用することが可能である。
【0069】
典型的には、ワイヤ速度に従ってカメラを動作させる特徴は、カメラが画像を頻繁に撮影することができることを排除しない。例えば、カメラをビデオカメラとすることができる。しかしながら、この場合、典型的には、ワイヤ速度が適当な結果品質を可能にする速度であるときに撮影した画像だけを解析する。言い換えると、実施形態によれば、速度が高いときに撮影した画像は無視することができ、ワイヤの速度が低いときまたはゼロであるときに撮影した画像(1つまたは複数)を解析する。
【0070】
典型的には、ワイヤ速度に従ってカメラを動作させる特徴は、カメラが画像を頻繁に撮影することができること、および全ての画像を解析することができることを排除しない。しかしながら、実施形態によれば、ワイヤの速度が低いときまたはゼロであるときに撮影した画像の解析結果だけが、ワイヤソーの少なくとも1つの動作パラメータの変更を引き起こすことができる。
【0071】
本明細書で解釈されるワイヤの検査は特に、ワイヤ直径および/またはワイヤ均質性すなわちワイヤ直径の変動などのワイヤパラメータの解析を含む。データストレージユニットに格納することができるしきい値を定義することが可能であり、データストレージユニットは、ワイヤソー制御システムの部分とし、またはワイヤソー制御システムに関連付けることができる。例えば、図示のカメラ制御ユニット25はこのようなデータストレージ(図示せず)を備えることができる。ワイヤパラメータの測定値と格納されたしきい値とを比較するようにワイヤソー制御システムを適合させることができる。結果に従って作動を開始させることができる。
【0072】
例えば、例えば第1のしきい値および第2のしきい値を含む一組のしきい値を定義することができる。それらのしきい値はワイヤの直径を指すことができ、したがってワイヤの摩耗を示すことができる。
【0073】
第2のしきい値は、その直径を下回るとワイヤソーの動作が第2の動作モードに切り替わる直径を定義することができる。典型的には、この第2の動作モードは通常動作中よりも高いワイヤ速度を含む。用語「通常動作」は、しきい値を下回ることによる影響を受けない意図された速度でワイヤソーが動作する動作モードを指す。例えば、第2の動作モードの速度を、通常動作に比べて少なくとも5%または少なくとも10%増大させることができる。
【0074】
第1のしきい値は、その直径を下回るとワイヤソーの動作が第1の動作モードに切り替わる直径を定義することができる。典型的には、この第1の動作モードは通常動作中よりも高いワイヤ速度を含む。第1の動作モードはそれでも、第2の動作モード中の速度よりも低いワイヤ速度を含むことができる。例えば、第1の動作モードの速度を、通常動作に比べて少なくとも3%または少なくとも6%増大させることができる。あるいはまたはそれに加えて、第1および第2の動作モードは、通常動作に比べれば大きい、ワイヤの前進と後退の比を含むことができる。
【0075】
この実施形態は離散的なしきい値に関するが、一般に、ワイヤ速度などのワイヤソーの動作パラメータを、ワイヤ直径などの1つまたは複数の測定されたワイヤパラメータに関係付ける関数を定義することも可能である。例えば、dを、測定されたワイヤの直径、vを、ワイヤソーを動作させる速度とすると、ワイヤソーを、ワイヤの直径の関数である速度で、すなわちv=f(d)に従って動作させる。典型的には、関数f(d)は定常的に低下する関数であり、例えばvがdに反比例するようにすることができる。典型的には、それらの例示的な関係が、ワイヤソーを通常動作させることができる最低速度よりも速度が高い状況に関係することは明らかである。
【0076】
「ワイヤ速度に従ってカメラを動作させる」という句は特に、ワイヤ速度とカメラの動作との同期を含む。本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、カメラの動作をワイヤの前進/後退と同期させる。しかしながら、本明細書で解釈される同期調整は、ワイヤの移動方向の変更を必ずしも必要としない。その代わりに、特定の時間間隔の間、ワイヤを前進方向など一方向にだけ移動させることができ、それにもかかわらず、その移動中にワイヤを検査することが求められることがある。カメラの動作を開始させるためにワイヤの速度を特定の時間間隔で低減させ、そのようにして高品質の画像結果を得ることを可能にすることができる。
【0077】
例えば、ワイヤを第1の速度で移動させる。この第1の速度をワイヤソーの最高速度とすることができる。選択可能な時間間隔の後、ワイヤの速度をより低い速度値まで低減させて、ワイヤの画像を撮影する。このより低い速度は、ゼロ(ゼロを含む)から最高速度(最高速度を含まない)までの間の速度とすることができる。例えば、最高速度を15から25m/秒までの間の速度、画像を撮影するより低い速度を、0から10m/秒までの間の速度、典型的には0から5m/秒までの間の速度とすることができる。画像を撮影した直後に、ワイヤの速度を再び、典型的には最高速度まで増大させる。この動作方式を、選択可能な時間間隔で繰り返すことができる。
【0078】
さらに、おそらくはこれらの数回の選択可能な時間間隔の後(例えば5回または10回の後)に、ワイヤの移動方向を変更することが可能である。ワイヤの移動方向が変更されるとき、および後続のワイヤの移動中に、別の選択可能な時間間隔でカメラの動作を始動させることができる。この別の時間間隔は、典型的には、この段落の前段に記載した選択可能な時間間隔と同一である。
【0079】
実施形態によれば、本開示は、ソーイングのプロセス中にワイヤの画像、典型的にはダイヤモンドワイヤまたは鋼ワイヤの画像を撮影する画像解析システムを対象としている。本明細書で対象とする画像のスケールは顕微鏡的なスケールである。例示したいくつかの実施形態によれば、ワイヤを最高20m/秒の速度で前進/後退させ、典型的には、(少なくともワイヤが完全に使用されない限り、またはプロセスが別の理由で変更されるまで)それぞれの前進の後に後退が実行される。
【0080】
実施形態では、方向の変更(すなわち後退から前進への変更または前進から後退への変更)時、ワイヤの速度は0m/秒である。本開示は、ワイヤの画像を撮影し、撮影した1つまたは複数の画像の解析を実行するために、ワイヤ速度をカメラの動作と同期させることを提案している。この解析から、測定位置(1つまたは複数)におけるワイヤの特性に関する情報、例えばワイヤの摩耗、品質、均質性、ダイヤモンド密度およびダイヤモンド分布に関する情報を得ることが可能である。鋼ワイヤの場合、典型的には、摩耗は主として、結果としてのワイヤの直径に関係している。
【0081】
ワイヤ速度が低いかまたはゼロであるときにワイヤを検査することにより、撮影された画像の結果は、通常(最高速度)動作中に検査を実行する技法に比べて大幅に向上する。したがって高い精度での解析が可能であり、それによって、以前に論じた特性などの1つまたは複数のワイヤ特性に関する正確な情報を得ることができる。これにより、この情報を使用して、ワイヤソーの後続の動作を、最適化された方法で制御することが可能になる。
【0082】
それにより、いくつかの実施形態によれば、ワイヤがソーイングプロセスを終えた位置にカメラを配置することが特に有益であることが判明した。言い換えると、巻取りスプールの近くにカメラを配置することが特に有益である。この位置は、ワイヤソー全体を一巡した後のワイヤの状況に関する完全な情報を得ることを可能にし、本明細書に記載された同期は高精度の解析を可能にする。取得し解析した情報を使用して、ワイヤ速度を制御するなどワイヤソーの動作をさらに制御することができる。
【0083】
したがって、本開示は、進行中のソーイングプロセスによって生じた実際のワイヤの摩耗の測定を提供する。この摩耗の測定は一般に、摩耗を低減させるための作動に直ちに着手することを可能にする。記載したとおり、ワイヤがワイヤウエブを出た後にカメラを配置することができる。典型的には、高速画像取得システムをカメラとして使用する。このシステムは、スライシング室を出たワイヤの実際の直径をリアルタイムで監視することができる。次いで、一定の摩耗を維持し、そうすることによって最適化されたワイヤ消費および低いワイヤ破断発生率をもたらすために、この情報を使用して、動作パラメータを維持し、切削レートおよび/もしくはワイヤ速度を低減または増大させることができる。専用のソフトウェアがワイヤの直径を表示し、自動的に機械を調節する手段を提供することが可能である。
【0084】
さらに、一般に、未使用のワイヤを供給するスプールに隣接してカメラを配置することも可能である。したがって、さらに、ワイヤ直径の新たな測定、特に公差状況をチェックし、仕様の範囲外のワイヤを選り分けるワイヤ直径の新たな測定に対して、本開示を使用することができる。本開示を使用して、プロセス制御および品質証明用の統計レポートを印刷することもできる。ワイヤソーの動作中、ワイヤの張力を一定に保つこと、例えば10〜30Nに保つことができる。しかしながら、本開示の実施形態によれば、未使用のワイヤの検査結果に対する反応として、ワイヤ張力を一時的に変化させることが可能である。例えば、未使用のワイヤがひび割れなどを示している場合には、対応するそれぞれのワイヤ部分がワイヤスプールに再び巻き取られるまで、張力を低減させることが可能である場合がある。
【0085】
実施形態によれば、図6を例として参照して以下に論じる諸特徴のうちの1つまたは複数の特徴をカメラが備える。レーザシャドーイング(laser shadowing)装置を使用することができ、特定の実施形態によれば、レーザシャドーイング装置はワイヤソーに配置されまたはワイヤソー内に配置される。例えばスラリの飛び散りなどに起因する損傷または動作不良を防ぐため、レーザシャドーイング装置は保護を含むことができる。
【0086】
図6の例をより詳細に参照すると、レーザシャドーイング装置680を使用することができる。レーザシャドーイング装置は一般に、ワイヤ230を検査することができるように配置される。このケースでは、装置の凹み690にワイヤ230が収容されている。ワイヤシャドーイング装置は回転可能なミラー600を含む。回転可能なミラーは円形の断面を有しているように見えるが、小さなスケールでは、このミラーが、隣り合った位置に配置された平らな複数の板からなる。それにより、ミラーが回転するとミラーの反射方向は頻繁に入れ替わる。
【0087】
レーザ光のビーム650を生み出すため、レーザダイオード640などの光源が使用される。レーザ光のビームは回転可能なミラー600へ導かれる。ミラー600は、ビーム650をミラー610および611へ交互に反射する。図6に示した例では、ビーム650がミラー610に向かって反射されている。これらのミラーは、図示されたレンズ630および631ならびにレンズ670および671などの任意選択の追加の光学装置を通してビームを反射する。それにより、ワイヤ230は、両側からの測定レーザビームによって交互に包囲される。レーザビームはカメラ621および622に記録される。カメラ621および622は、本明細書に記載されたカメラとすることができ、特にフォトダイオードとすることができる。カメラ621および622は、測定結果を共通に評価するように適合されたビデオ信号処理ユニット660に接続されている。本明細書に記載されたカメラ制御ユニットは、ビデオ信号処理ユニットとして作動することができる。
【0088】
以上の説明は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態および追加の実施形態を考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0089】
1 ワイヤソー制御システム
15 ケーブル接続または無線接続
20 カメラ
25 カメラ制御ユニット
100 ワイヤソー
112 ワイヤガイドシリンダ
114 ワイヤガイドシリンダ
116 ワイヤガイドシリンダ
118 ワイヤガイドシリンダ
122 モータ
123 モータシャフト
124 モータ
125 モータシャフト
126 モータ
128 モータ
134 ワイヤ供給スプール
138 ワイヤ巻取りスプール
200 ワイヤウエブ
215 ワイヤの前進/後退
225 ワイヤの前進/後退
230 ワイヤ
302 インゴット
304 インゴット
306 インゴット
308 インゴット
600 回転可能なミラー
610 ミラー
611 ミラー
621 カメラ
622 カメラ
630 レンズ
631 レンズ
640 レーザダイオード
650 レーザ光のビーム
660 ビデオ信号処理ユニット
670 レンズ
671 レンズ
680 レーザシャドーイング装置
690 凹み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能なワイヤ速度でワイヤ(230)をウエハ(304、304、306、308)に対して移動させることによって前記ウエハを切削するように適合されたワイヤソー(100)を動作させるためのワイヤソー制御システム(1)であって、
a)前記ワイヤを検査するためのカメラ(20)と、
b)前記ワイヤ速度に従って前記カメラを動作させるためのカメラ制御ユニット(25)と
を備えるワイヤソー制御システム(1)。
【請求項2】
前記検査の結果に従って前記ワイヤソー(100)の少なくとも1つの動作パラメータを変更するように適合されており、前記少なくとも1つの動作パラメータが、以下の群、すなわちワイヤ速度の増大、テーブル速度の低減、および前進と後退の比の増大のうちの1つまたは複数として任意に選択される、請求項1に記載のワイヤソー制御システム。
【請求項3】
前記ワイヤを検査することが、以下の特性、すなわちワイヤ摩耗、ワイヤ直径、ワイヤ均質性、前記ワイヤのダイヤモンド密度、および前記ワイヤのダイヤモンド分布のうちの1つまたは複数の特性を検査することを含む、請求項1または2に記載のワイヤソー制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイヤソー制御システム(1)を備えるワイヤソー(100)。
【請求項5】
巻取りスプール(138)をさらに備え、前記カメラ(20)が前記巻取りスプール(138)に隣接して配置されている、請求項4に記載のワイヤソー。
【請求項6】
前記ワイヤを駆動する少なくとも1つの駆動装置(122、124、126、128)をさらに備え、前記駆動装置が、前進/後退(215、225)を実行するように適合されている、請求項4または5に記載のワイヤソー。
【請求項7】
前記ワイヤ(230)がダイヤモンドワイヤである、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のワイヤソー。
【請求項8】
ワイヤソーのワイヤを検査する方法であって、前記ワイヤソーが前記ワイヤとウエハの相対移動によって前記ウエハを切削するように適合されており、
a)前記ワイヤを可変のワイヤ速度で移動させるステップと、
b)前記ワイヤ速度に従って前記ワイヤを検査し、それによって検査結果を得るステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記ワイヤを検査する前記ステップが、前記ワイヤの少なくとも1つの画像をカメラで撮影するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイヤを検査する前記ステップが、以下の特性、すなわちワイヤ摩耗、ワイヤ品質、ワイヤ直径、ワイヤ均質性、前記ワイヤのダイヤモンド密度、および前記ワイヤのダイヤモンド分布のうちの1つまたは複数の特性を検査するステップを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ワイヤソーを動作させる方法であって、請求項8乃至10のいずれか一項に記載のワイヤソーのワイヤを検査する方法を含む方法。
【請求項12】
前記ワイヤを、第1の時間間隔の間、第1の方向に移動させ、第2の時間間隔の間、第2の方向に移動させ、前記第1の方向と前記第2の方向が互いに反対である、請求項11に記載のワイヤソーを動作させる方法。
【請求項13】
前記第2の時間間隔が前記第1の時間間隔よりも短い、請求項11または12に記載のワイヤソーを動作させる方法。
【請求項14】
ワイヤ速度が実質的にゼロであるときに前記ワイヤを検査する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のワイヤソーを動作させる方法。
【請求項15】
検査結果に従って前記ワイヤソーの少なくとも1つの動作パラメータを変更するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの動作パラメータが、以下の群、すなわちワイヤ速度の増大、テーブル速度の低減、および前進と後退の比の増大のうちの1つまたは複数として任意に選択される、請求項11乃至14のいずれか一項に記載のワイヤソーを動作させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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