説明

ワイヤハーネス検査ユニット及びワイヤハーネス検査方法

【課題】準備時間及び検査時間が短く、簡単に導通検査をすることができるワイヤハーネス検査ユニット及びワイヤハーネス検査方法を提供する。
【解決手段】検査対象品の配線情報に合わせて検査用コネクタ21を実体配線する検査用コネクタ配線基板11と、検査対象品の配線情報を実体配線する実体配線基板12とを備え、検査用コネクタ配線基板11に接続された検査対象品の配線情報と、実体配線基板12に配線された配線情報とを比較手段13による比較する。検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12にはブレッドボードを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの導通を検査するワイヤハーネス検査ユニット及びワイヤハーネス検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造装置をはじめとし、多くの生産設備において、装置の小型化が図られており、それに伴い、ワイヤハーネスの複合配線化が進められている。このようなワイヤハーネスでは、製造後に、設計通りに配線されているか否かについて検査が行われる。検査装置としては、例えば、装置本体に正規の配線情報をプログラムとして入力しておき、検査対象品をセットして、検査対象品の配線情報と予め入力された正規の配線情報とを比較し、判定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の検査装置としては、例えば、装置本体に正規品をセットし、その配線情報を読み取って記録したのち、正規品を取り外して検査対象品をセットし、検査対象品の配線情報と正規の配線情報とを比較して、判定するものもある。更に、他の検査装置としては、例えば、装置本体に正規品と検査対象品とをセットし、それらの配線情報を比較して判定するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−212249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このうち、正規品の配線情報をプログラムとして入力する検査装置では、検査対象品をセットするだけで検査することができ、検査に要する時間が短いという利点はあるものの、製品に合わせて、セット用治具又は中継用ケーブルの準備と、プログラムの選択をしなければならず、手間がかかり作業性が悪いという問題があった。また、この検査装置では、新モデルや一部変更時等、製品毎に配線情報のプログラムを作製すると共に、製品毎に検査対象品を接続するためのコネクタを準備して配線しなければならないので、準備に時間がかかり、新しい製品に直ぐ対応することができないという問題があった。特に、近年におけるワイヤハーネスの複合化、複雑化に伴い、ワイヤハーネスの試作及び短期製造の要求が高まっており、検査の準備期間を短くすることが求められている。
【0006】
また、正規品をセットして配線情報を読み取る検査装置、及び、正規品と検査対象品とをセットして配線情報を比較する検査装置では、製品に合わせたプログラムの作成が不要であり、簡便であるという利点はあるものの、正規品と検査対象品とをセットする必要があるので検査に時間がかかると共に、正規品を単品で試作しなければならないのに加えて、セット用治具を2組準備し配線する必要があるので、準備に時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、準備時間及び検査時間が短く、簡単に導通検査をすることができるワイヤハーネス検査ユニット及びワイヤハーネス検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワイヤハーネス検査ユニットは、ワイヤハーネスの導通を検査するものであって、検査対象品の配線情報に合わせて、検査対象品を接続する検査用コネクタを実体配線する検査用コネクタ配線基板と、検査対象品の配線情報を実体配線する実体配線基板と、検査用コネクタ配線基板及び実体配線基板に接続され、検査用コネクタ配線基板に接続された検査対象品の配線情報と、実体配線基板に配線された配線情報とを比較する比較手段と、比較手段の結果を表示する表示手段とを備えたものである。
【0009】
本発明のワイヤハーネス検査方法は、ワイヤハーネスの導通を検査するものであって、検査対象品の配線情報に合わせて、検査対象品を接続する検査用コネクタを検査用コネクタ配線基板に実体配線する工程と、検査対象品の配線情報を実体配線基板に実体配線する工程と、検査用コネクタに検査対象品を接続し、検査用コネクタ配線基板の配線情報と、実体配線基板に配線された配線情報とを比較する工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査対象品の配線情報に合わせて、検査用コネクタを検査用コネクタ配線基板に実体配線すると共に、検査対象品の配線情報を実体配線基板に実体配線して、検査用コネクタ配線基板の配線情報と、実体配線基板に配線された配線情報とを比較するようにしたので、検査対象品を検査用コネクタに接続するだけで、簡単に、かつ短時間で検査することができる。また、検査対象品に合わせて、プログラムの作成や、正規品サンプルを作製する必要がなく、かつ、検査用コネクタの配線も簡単に行うことができるので、特に新規に準備する際に必要となる時間を短くすることができ、迅速に検査することができる。
【0011】
また、検査用コネクタ配線基板及び実体配線基板にブレッドボードを用いるようにすれば、容易に短時間で配線することができ、また、一部配線の変更や改造等があっても、ジャンパー線等を差し替えるだけで簡単に対応することができる。
【0012】
更に、比較手段と表示手段とを分離するようにすれば、検査するワイヤハーネスの種類に応じて、比較手段を交換し、表示手段は共通して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るワイヤハーネス検査ユニットの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るワイヤハーネス検査ユニット10の構成を表すものである。このワイヤハーネス検査ユニット10は、ワイヤハーネスの導通、断線、誤配、又はショートなどの導通検査をするものであり、検査対象品のワイヤハーネスの配線情報に合わせて、検査対象品を接続する検査用コネクタ21を実体配線する検査用コネクタ配線基板11と、検査対象品の配線情報を実体配線する実体配線基板12とを備えている。これら検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12は、例えば、ブレッドボード等のターミナルにより構成されている。ブレッドボード等を用いることにより、検査対象品の配線情報に合わせて簡単に配線をすることができるからである。
【0016】
ワイヤハーネス検査ユニット10は、また、検査用コネクタ配線基板11に接続された検査対象品の配線情報と、実体配線基板12に配線された配線情報とを比較する比較手段13を備えている。比較手段13は、例えば、ICにより構成され、検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12と電気的に接続される接続端子と、比較回路とを有している。比較手段13は、リード線13Aにより、検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12と電気的に接続されている。なお、リード線13Aは、予め接続されていてもよいが、使用時に接続して用いるようにしてもよい。
【0017】
ワイヤハーネス検査ユニット10は、更に、比較手段13の結果を表示する表示手段14を備えている。表示手段14は、例えば、比較手段13の結果に基づき良否を判断するIC等よりなる判断部14Aと、その判断結果を表示する表示画面等の表示部14Bとを有している。表示手段14は、例えば、比較手段13とは分離して別体として設けられており、接続は4極以下で済む事で、USBケーブルやLANケーブル等により接続される。
【0018】
このワイヤハーネス検査ユニット10は、例えば、次のようにしてワイヤハーネスの導通検査を行う。まず、例えば、検査対象品のワイヤハーネスの全てのコネクタの端子に番号を付ける。次いで、例えば、検査対象品のワイヤハーネスの配線情報に合わせて、検査用コネクタ21を検査用コネクタ配線基板11に実体配線する。例えば、検査用コネクタ配線基板11にブレッドボードを用いる場合には、検査対象品のワイヤハーネスに付与した番号に合わせて、対応する検査用コネクタ21に接続されているリード線22を対応する穴11Aに挿入して配線する。
【0019】
また、検査対象品の配線情報を実体配線基板12に実体配線する。例えば、実体配線基板12にブレッドボードを用いる場合には、検査対象品のワイヤハーネスに付与した番号に対応させて配線情報に従い、ブレッドボードの何番と何番とを接続するかを決定し、ジャンパー線23等を対応する穴12Aに挿入して配線する。
【0020】
続いて、検査用コネクタ21に検査対象品を接続し、比較手段13により、検査用コネクタ配線基板11の配線情報、すなわち検査対象品の配線情報と、実体配線基板12に配線された配線情報とを比較する。比較手段13により比較された結果は、表示手段14に送られ、判断部14Aにより良否が判断され、表示部14Bにより表示される。
【0021】
このように本実施の形態によれば、検査対象品の配線情報に合わせて、検査用コネクタ21を検査用コネクタ配線基板11に実体配線すると共に、検査対象品の配線情報を実体配線基板12に実体配線して、検査用コネクタ配線基板11の配線情報と、実体配線基板12に配線された配線情報とを比較するようにしたので、検査対象品を検査用コネクタ21に接続するだけで、簡単に、かつ短時間で検査することができる。また、検査対象品に合わせて、プログラムの作成や、正規品サンプルを作製する必要がなく、かつ、検査用コネクタ21の配線も簡単に行うことができるので、特に新規に準備する際に必要となる時間を短くすることができ、迅速に検査することができる。
【0022】
また、検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12にブレッドボードを用いるようにすれば、容易に短時間で配線することができ、また、一部配線の変更や改造等があっても、ジャンパー線等を差し替えるだけで簡単に対応することができる。
【0023】
更に、比較手段13と表示手段14とを分離するようにすれば、検査するワイヤハーネスの種類に応じて、比較手段13を交換し、表示手段14は共通して用いることができる。
【0024】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、ブレッドボードの構造について一例を図示して説明したが、穴11A,12Aの数等、他の構造を有するものを用いてもよく、配線数が多い場合には、ブレッドボードを複数増設して用いるようにしてもよい。また、上記実施の形態では、検査用コネクタ配線基板11及び実体配線基板12に対する配線を具体的に図示して説明したが、配線構造は、検査対象品の配線情報により異なるものであっル。
【産業上の利用可能性】
【0025】
ワイヤハーネスの導通検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10…ワイヤハーネス検査ユニット、11…検査用コネクタ配線基板、12…実体配線基板、13…比較手段、13A…リード線、14…表示手段、14A…判断部、14B…表示部、21…検査用コネクタ、22…リード線、23…ジャンパー線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの導通を検査するワイヤハーネス検査ユニットであって、
検査対象品の配線情報に合わせて、検査対象品を接続する検査用コネクタを実体配線する検査用コネクタ配線基板と、
検査対象品の配線情報を実体配線する実体配線基板と、
前記検査用コネクタ配線基板及び前記実体配線基板に接続され、前記検査用コネクタ配線基板に接続された検査対象品の配線情報と、前記実体配線基板に配線された配線情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段の結果を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするワイヤハーネス検査ユニット。
【請求項2】
前記検査用コネクタ配線基板及び前記実体配線基板には、ブレッドボードを用いることを特徴とする請求項1記載のワイヤハーネス検査ユニット。
【請求項3】
前記比較手段と前記表示手段とを分離したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のワイヤハーネス検査ユニット。
【請求項4】
ワイヤハーネスの導通を検査するワイヤハーネス検査方法であって、
検査対象品の配線情報に合わせて、検査対象品を接続する検査用コネクタを検査用コネクタ配線基板に実体配線する工程と、
検査対象品の配線情報を実体配線基板に実体配線する工程と、
前記検査用コネクタに検査対象品を接続し、前記検査用コネクタ配線基板の配線情報と、前記実体配線基板に配線された配線情報とを比較する工程と
を含むことを特徴とするワイヤハーネス検査方法。
【請求項5】
前記検査用コネクタ配線基板及び前記実体配線基板には、ブレッドボードを用いることを特徴とする請求項4記載のワイヤハーネス検査方法。

【図1】
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