説明

ワイヤレスマウス用の発電装置

【課題】必要十分な発電電力を発電する。
【解決手段】発電機Gと、蓄電部材としてのコンデンサCとをマウスのケース11に組み込み、発電機Gは、増速機構22を介し、手動の駆動手段としての回転ホイール21によりケース11の外部から回転駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンピュータの入力機器として使用されるワイヤレスマウス用の発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ用のワイヤレスマウス(ボール式の他、発光ダイオードによる光学式、レーザダイオードによるレーザ式を含む、以下同じ)は、電源用の電池を内蔵するのが普通であるが、発電機能を内蔵させることにより、電池交換の煩を避けることができる(たとえば特許文献1)。
【0003】
従来のワイヤレスマウス用の発電装置は、コンピュータの画面スクロール用のホイールと同等の発電用のホイールをマウスのケースに組み込み、発電用のホイールを手指で回転操作することにより、発電用のコイルを回転させて発電するものである。発電用のホイールは、画面スクロール用のホイールと別体であるから、マウスの使用中に回転させたとしても、誤操作を生じたり、画面スクロールの操作性を害したりするおそれがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−346152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、発電用のホイールは、発電用のコイルに直結され、マウスの使用中に手指で回転駆動するだけであるから、発電電力を十分に大きくすることができず、実用性に乏しいという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、腕力を利用する駆動手段を介して回転駆動する発電機と蓄電部材とを組み合わせることによって、十分実用可能なワイヤレスマウス用の発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、発電機と、発電機の発電電力によって充電する蓄電部材とをマウスのケースに組み込んでなり、発電機は、ケース内の増速機構を介し、腕力を利用する手動の駆動手段によりケースの外部から回転駆動することをその要旨とする。
【0008】
なお、駆動手段は、平坦面に外周を押し付けて摩擦駆動する回転ホイールとすることができ、回転ホイールは、タイヤを外周に付設することができ、ケースの平面部分に設ける開口部を介して外周の一部を外部に露出させることができる。
【0009】
また、駆動手段は、ケースに付設する折畳み可能な回転ハンドルとしてもよく、回転ハンドルは、ケースと一体に折り畳む退避位置と、ケースの外側に開いて回転させる使用位置とをとってもよく、使用位置において回転ハンドルの回転中心軸と平行なノブを設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
かかる発明の構成によるときは、発電機は、使用者の腕力を利用して駆動する駆動手段によりマウスのケースの外部から増速機構を介して回転駆動するから、手指によって回転させるだけの従来の発電装置に比して、格段に大きな必要十分な発電電力を実現することができる。なお、駆動手段は、マウスの使用中に回転操作しないものとし、したがって、発電機の発電電力は、コンデンサまたは充電可能な電池などの蓄電部材に充電し、マウスの電子回路に給電するものとする。また、増速機構は、駆動手段の回転を増速して発電機に伝達し、発電機を高速回転させて発電機の発電効率を向上させる。なお、増速機構は、ギヤ機構の他、チェーンやベルトなどの回転伝導機構が利用可能である。ただし、この発明において、マウスのケースには、発電機、蓄電部材以外の任意の必要部材を併せて組み込んでもよい。
【0011】
駆動手段は、平坦面に外周を押し付けて摩擦駆動する回転ホイールとすることにより、腕力による直線運動を繰り返して回転ホイールを回転させることができ、回転操作が極めて簡単である。なお、ここでいう平坦面とは、たとえば机やテーブルの天板面などの任意の平坦面であり、マウスの全体を片手で保持して回転ホイールの外周を平坦面に押し付けながらマウスを回転ホイールの回転方向に直線移動させると、平坦面との摩擦によって回転ホイールが回転し、発電機を回転駆動することができる。
【0012】
外周にタイヤを付設する回転ホイールは、平坦面上で滑り難く、回転操作し易いという利点がある。なお、タイヤは、たとえば適度の弾性のゴム材などのように、滑り摩擦係数が大きい耐摩耗性の材料であることが好ましい。
【0013】
回転ホイールは、ケースの平面部分に設ける開口部を介して外部に外周の一部を露出させると、平面部分が平坦面と略平行となるようにしてマウスを保持して回転ホイールの外周を平坦面に押し付け、そのまま回転ホイールの回転方向にマウスを直線移動させてケース内の発電機を回転駆動することができる。なお、このような平面部分は、マウスの底面を除くマウスのケースの任意の位置に形成することができ、特にマウスの前端部または後端部に形成すると、片手でマウスを適切な姿勢に容易に保持することができる。
【0014】
回転ハンドルの駆動手段は、片手でマウス全体を保持し、他方の手の腕力を利用して回転ハンドルを回転させて発電機を回転駆動する。回転ハンドルは、マウスのケースの外部に装備すればよいから、全体構造を簡単にすることができる。
【0015】
回転ハンドルは、ケースと一体に折り畳む退避位置をとることにより、マウスの使用中に邪魔になったりするおそれがない。また、回転ハンドルは、使用位置において回転中心軸と平行となるノブを設けることにより、回転操作時の操作性を一層向上させることができる。ただし、ノブは、回転ハンドルに対し、回転中心軸と平行な固定軸を介して相対回転自在に取り付けるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】要部構成模式図
【図2】平面模式図
【図3】使用状態説明図
【図4】電気系統図
【図5】他の実施の形態を示す斜視説明図
【図6】平面動作図
【図7】要部分解斜視図
【図8】他の実施の形態を示す側面動作図
【図9】底面図
【図10】平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0018】
ワイヤレスマウス用の発電装置は、発電機Gと、蓄電部材としてのコンデンサCとをマウスのケース11に組み込んでなる(図1、図2)。
【0019】
発電機Gは,手動の駆動手段としての回転ホイール21に連結されている。回転ホイール21は、ハブ21aの外周にタイヤ21bを付設して構成されている。また、回転ホイール21と発電機Gとの間には、大小のギヤ22a、22b…を順に組み合わせる増速機構22が介装されている。回転ホイール21、増速機構22、発電機Gは、ケース11内の共通の支持板23に組み付けられている(図2、図3)。なお、回転ホイール21は、ケース11の後端部の斜めの平面部分11aに形成する図示しない開口部を介して外周の一部がケース11の外部に露出している。
【0020】
発電機Gの出力側は、基板30上の整流回路31、定電圧回路32を介し、図示しないマウスの電子回路に接続されている(図1、図4)。ただし、コンデンサCは、整流回路31と定電圧回路32との間に分岐接続されている。
【0021】
発電機Gは、回転ホイール21を回転させることによって回転駆動する。すなわち、マウスのケース11を片手で保持し、ケース11の平面部分11aを適当な平坦面Fと略平行にした上(図3)、回転ホイール21を平坦面Fに押し付けながらマウスの全体を回転ホイール21の回転方向に直線移動させると(同図の矢印方向)、腕力を利用して回転ホイール21を回転させ、増速機構22を介して発電機Gを回転駆動することができる。このとき、発電機Gの発電電力は、整流回路31を介してコンデンサCに蓄えられ(図4)、定電圧回路32を介し、直流電源電圧Pとしてマウス内の電子回路に給電されて消費される。なお、回転ホイール21による発電操作は、連続して複数回繰り返してもよい。
【0022】
以上の説明において、ケース11上には、コンデンサCの充電状態を表示する表示器を設けることが好ましい。発電機Gによる充電の要否を適確に判断することができる。また、コンデンサCは、充電可能な電池としてもよい。さらに、回転ホイール21は、図示の円板形に代えて、球形や半球形などとしてもよい。
【他の実施の形態】
【0023】
発電機Gを回転駆動する駆動手段は、ケース11の側面に付設する折畳み可能な回転ハンドル25とすることができる(図5)。ただし、図5(A)、(B)は、それぞれ回転ハンドル25の退避位置、使用位置を示す斜視図である。
【0024】
回転ハンドル25は、増速機構22の初段のギヤ22aの軸に対し、ブラケット26を介して連結されている(図6、図7)。なお、回転ハンドル25は、ケース11の側面の外形と同形に湾曲しており、ブラケット26上のヒンジピン26aを介し、ケース11に対して揺動自在に装着されている。そこで、回転ハンドル25は、ケース11の側面に一体に折り畳む退避位置(図5(A)、図6の実線)と、ケース11の外側に開く使用位置(図5(B)、図6の一点鎖線)とをとることができる。
【0025】
回転ハンドル25の先端部には、内向きのノブ25aが設けられ、回転ハンドル25の内面側には、補強リブ25bが形成されている。ノブ25aは、回転ハンドル25の内側に向けて立設する固定軸に対して相対回転自在に装着されている。ノブ25aは、回転ハンドル25の退避位置においてケース11内に収納され、回転ハンドル25の使用位置において、回転ハンドル25の回転中心軸25cと平行に、すなわちケース11の側面に対して垂直に位置決めされる(図6)。なお、ブラケット26には、回転ハンドル25の使用位置の開き角度を定める斜面26bが形成されており(図7)、ケース11の側面には、退避位置の回転ハンドル25を体裁よく収納するスリット11c付きのガイド部材11bが設けられている(図5)。また、ケース11の前部上面には、画面スクロール用のホイール12が装着されている。
【0026】
回転ハンドル25を使用位置に開き(図6の一点鎖線)、片手でマウスのケース11を保持し、他方の手の腕力によりノブ25aを介して回転ハンドル25を回転中心軸25cのまわりに回転させると、増速機構22を介して発電機Gを回転駆動し、発電することができる。また、回転ハンドル25は、退避位置に折り畳むことにより、マウスの使用に支障を生じることがない。
【0027】
折畳み可能な回転ハンドル25は、ケース11の底面に設けてもよい(図8、図9)。
【0028】
ケース11の底面には、光学式マウスの光源部、読取部用の透過窓13、電源スイッチ14の他、マウスの移動時の摩擦抵抗を小さくするためのスライドシート15、15…が配置されている。また、ケース11の底面には、退避位置の回転ハンドル25、ノブ25aを収納するためのガイド穴11e付きの溝11dが形成されている。
【0029】
回転ハンドル25の基部は、ヒンジピン26a付きのブラケット26を介して増速機構22の初段のギヤ22aの軸端に連結されている(図8、図10)。ただし、図8の実線、一点鎖線は、それぞれ退避位置、使用位置の回転ハンドル25を示し、図9、図10には、それぞれ使用位置、退避位置の回転ハンドル25が図示されている。
【0030】
回転ハンドル25は、使用位置に開くと(図8の一点鎖線)、回転中心軸25cのまわりに回転させることにより、増速機構22を介して発電機Gを回転駆動して発電することができる。なお、使用位置の回転ハンドル25は、片手でケース11を保持しながら、他方の手でノブ25aを介して腕力により回転させればよく、このときのノブ25aは、回転中心軸25cと平行であり、したがって、ケース11の底面に垂直である。
【0031】
以上の説明において、増速機構22は、大小のギヤ22a、22bを1組だけ組み合わせてもよく、2段以上の複数段に連結してもよい。また、増速機構22は、大小のギヤ22a、22b以外のギヤを使用する任意の形式のギヤ機構としてもよく、チェーンやベルトなどを使用する回転伝導機構としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、ケーブルを使用することなくコンピュータとの間に必要なデータ通信を実行する任意の形式のワイヤレスマウスに対し、広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
G…発電機
C…コンデンサ
F…平坦面
11…ケース
11a…平面部分
21…回転ホイール
21b…タイヤ
22…増速機構
25…回転ハンドル
25a…ノブ
25c…回転中心軸

特許出願人 株式会社 リニア・サーキット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、該発電機の発電電力によって充電する蓄電部材とをマウスのケースに組み込んでなり、前記発電機は、前記ケース内の増速機構を介し、腕力を利用する手動の駆動手段により前記ケースの外部から回転駆動することを特徴とするワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、平坦面に外周を押し付けて摩擦駆動する回転ホイールとすることを特徴とする請求項1記載のワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項3】
前記回転ホイールは、タイヤを外周に付設することを特徴とする請求項2記載のワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項4】
前記回転ホイールは、前記ケースの平面部分に設ける開口部を介して外周の一部を外部に露出させることを特徴とする請求項2または請求項3記載のワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記ケースに付設する折畳み可能な回転ハンドルとすることを特徴とする請求項1記載のワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項6】
前記回転ハンドルは、前記ケースと一体に折り畳む退避位置と、前記ケースの外側に開いて回転させる使用位置とをとることを特徴とする請求項5記載のワイヤレスマウス用の発電装置。
【請求項7】
前記回転ハンドルは、使用位置において前記回転ハンドルの回転中心軸と平行なノブを設けることを特徴とする請求項6記載のワイヤレスマウス用の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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