説明

ワイヤーハーネス用外装シート及びその装着方法

【課題】 迅速かつ確実にワイヤーハーネスに装着可能とし、取付時間の短縮及びコスト低減を図る。
【解決手段】 ワイヤーハーネス用外装シート10は、シート本体11の片面における幅方向両端部近傍にそれぞれ、当該片面の一辺に沿って略平行に設けられた一対の粘着部12,13を備える。ワイヤーハーネス用外装シート10は、一方の粘着部12をワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定されるとともに、ワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体11の外側面に、他方の粘着部13を粘着固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスに装着されるワイヤーハーネス用外装シート及びその装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からワイヤーハーネス用外装シートは知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0003】
図12は、特許文献1で開示されているカバー部材を示す平面図であり、図13は、図12のカバー部材により電線を結束する際の状態を示す斜視図、図14(a)及び(b)はそれぞれ、図12のカバー部材により電線を結束した状態例を示す断面図、図15は、図12のカバー部材をワイヤーハーネスに装着した状態例を示す要部斜視図である。
【0004】
図12〜図15を参照すると、カバー部材100は、カバー素材101の片面における一端に、両面粘着テープ102を設けられている。
カバー部材100は、図14(a)に示すように、ワイヤーハーネスWの周囲に筒状に巻回されて重ね合わされた両端部を、両面粘着テープ102で接着されることにより、ワイヤーハーネスWに装着される。
また、他の装着方法として、カバー部材100は、図14(b)に示すように、ワイヤーハーネスWの周囲に筒状に巻回された状態で、ワイヤーハーネスWから放射方向に離れた位置で、両端部を両面粘着テープ102で接着されることにより、ワイヤーハーネスWに装着される。
【0005】
図16は、特許文献2で開示されているワイヤーハーネスの結束用シートを示す平面図であり、図17は、図16のワイヤーハーネスの結束用シートによるワイヤーハーネスの結束状態を示す断面図である。
【0006】
図16に示すように、ワイヤーハーネスの結束用シート110においては、粘着面を有する粘着テープ111が、長方形又は正方形のシート112の一辺に沿って貼付されており、シート112の一辺に対向する他辺には、粘着面が貼付される被粘着面113が設けられる。シート111は、図17に示すように、ワイヤーハーネスWの周囲に筒状に巻回され、重ね合わされた両端部を粘着テープ111で接着されることにより、ワイヤーハーネスWに装着される。
【0007】
図18は、特許文献3で開示されている配電線類束線チューブを示す斜視図である。
図18に示されるように、配電線類束線チューブ120において、シート基材121の表面における幅方向の一側縁には、ベルベット式ファスナ122の雄部材123が設けられるとともに、シート基材121の裏面における他側縁には、ベルベット式ファスナ122の雌部材124が設けられる。シート基材121は、ワイヤーハーネスWの周囲に筒状に巻回され、重ね合わされた両端部をベルベット式ファスナ122で接着されることにより、ワイヤーハーネスWに装着される。
【0008】
【特許文献1】実開昭58―81990号公報(第1頁、第1図及び第2図)
【特許文献2】実開平7―6166号公報(第1〜2頁、第1図及び第3図)
【特許文献3】実開平7―4368号公報(第1〜2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし上述した従来の図12に示すカバー部材100では、図14(a)及び(b)に示すいずれの装着方法によっても、カバー素材101がワイヤーハーネスWに直接固定されない。このため、装着作業時にワイヤーハーネスWに対してカバー素材101が位置ずれして作業性が良くない。また、ワイヤーハーネスWへのカバー部材100の装着後に、図15に示すように、カバー素材101の端部をワイヤーハーネスWの外周面に、ビニルテープ等103を用いて人手により固定する(図15中、符号Aで示す部位参照)必要がある。したがって、多くの加工時間及び加工コストを要するという問題があった。
【0010】
また、図16及び図17に示す従来のワイヤーハーネスの結束用シート110、及び図18に示す従来の配電線類束線チューブ120のいずれでも、上述した図12に示すカバー部材100と同様の問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、迅速かつ確実にワイヤーハーネスに装着することができ、これにより取付時間の短縮及びコスト低減を図ることができるワイヤーハーネス用外装シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、ワイヤーハーネスに装着されるワイヤーハーネス用外装シートであって、平板状に形成されたシート本体の一端部とそれ以外の部分の計2箇所に一対の粘着部を備えたことを特徴とする。
2)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記1)記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、前記粘着部が、シート本体の片面の両端部に当該片面の一辺に沿って平行に設けられていることを特徴とする。
【0013】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にされた状態で、一方の粘着部又は各粘着部の長手方向一端部を、ワイヤーハーネスの外周面に粘着固定される。そして、ワイヤーハーネス用外装シートは、ワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられた状態のシート本体の外側面に、他方の粘着部又は各粘着部の長手方向他端部を、粘着固定される。これにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0014】
3)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記2)記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、シート本体の片面における各粘着部の間隔が、外装対象であるワイヤーハーネスの外周1周分の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0015】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にされるとともに、各粘着部をそれぞれ外装対象であるワイヤーハーネスと略平行にされた状態で、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定される。そして、ワイヤーハーネス用外装シートは、シート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、他方の粘着部を粘着固定される。これにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0016】
4)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記1)〜3)のいずれかに記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、前記粘着部が装着された片面または反対面の少なくともいずれか一方の面に、前記ワイヤーハーネスに装着したとき一方側端部および他方側端部同士を係合させて位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着してシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたとき、一方側端部および他方側端部同士を係合する位置決め手段により位置決めされる。これにより、ワイヤーハーネスへの装着がずれることなく行なえる結果、確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0018】
5)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記4)記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、前記位置決め手段が、前記片面の一方側端部近傍の粘着部寄りに前記粘着部と平行に設けられた少なくとも1本の一方側突起部と、前記片面とは反対の面において他方側端部近傍の粘着部に沿って設けられた他方側突起部とで構成されていることを特徴とする。
【0019】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着してシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたとき、少なくとも1本の一方側突起部と、他方側突起部同士が係合され、位置決めされる。これにより、ワイヤーハーネスへの装着がずれることなく行なえる結果、確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0020】
6)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記5)記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、前記片面の少なくとも1本の突起部と、前記反対面の突起部とが互いに向き合う方向に傾斜していることを特徴とする。
【0021】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着してシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたとき、少なくとも1本の一方側突起部と、他方側突起部同士が係合され、位置決めされる。このとき、互いの突起部同士が向き合う方向に傾斜しているので、突起部同士が外れにくくなり、これにより、ワイヤーハーネスへの装着がずれることなく行なえる結果、確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0022】
7)本発明のワイヤーハーネス用外装シートは、前記1)〜3)のいずれかに記載のワイヤーハーネス用外装シートにおいて、前記粘着部の長手方向寸法が、前記ワイヤーハーネスの外周1周分の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0023】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートは、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にされるとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと略直交する状態とされ、各粘着部の長手方向一端部をそれぞれ、ワイヤーハーネスの外周面に粘着固定される。そして、ワイヤーハーネス用外装シートは、各粘着部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定されつつ、シート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付けられるとともに、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、各粘着部の長手方向他端部をそれぞれ粘着固定される。これにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートが得られる。
【0024】
8)本発明のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法は、前記3)記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと略平行にした状態で、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、他方の粘着部を粘着固定させることを特徴とする。
【0025】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法では、各粘着部をワイヤーハーネスと略平行にした状態で、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、他方の粘着部を粘着固定させることにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートの装着方法が得られる。
【0026】
9)本発明のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法は、前記3)記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと直交する状態にして、各粘着部の一端部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更に各粘着部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させつつ、シート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられた状態のシート本体の外側面に、各粘着部の他端部をそれぞれ粘着固定させることを特徴とする。
【0027】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法では、各粘着部をワイヤーハーネスと略直交する状態とし、各粘着部の一端部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更に各粘着部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させつつ、シート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられた状態のシート本体の外側面に、各粘着部の他端部をそれぞれ粘着固定させることにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートの装着方法が得られる。
【0028】
10)本発明のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法は、前記6)記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部および少なくとも1本の突起部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと平行にした状態で、前記反対面の突起部側の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面において、少なくとも1本の突起部と反対面の突起部とを係合させるとともに、シート本体の外側面に少なくとも1本の突起部側の粘着部を粘着固定させることを特徴とする。
【0029】
前記構成のワイヤーハーネス用外装シートの装着方法では、各粘着部をワイヤーハーネスと略平行にした状態で、反対面の突起部側の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後、ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、少なくとも1本の突起部と反対面の突起部とを係合させるとともに、両端部の粘着部を粘着固定させる。これにより、ワイヤーハーネスへの装着の迅速性及び確実性が確保され、ワイヤーハーネスへの装着性に優れたワイヤーハーネス用外装シートの装着方法が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のワイヤーハーネス用外装シートによれば、迅速かつ確実にワイヤーハーネスに装着することができ、これにより取付時間の短縮及びコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を図示実施形態により説明する。
図1は、本発明の第1実施形態であるワイヤーハーネス用外装シートを示す斜視図であり、図2は、図1のワイヤーハーネス用外装シートの側面図である。また、図3は、図1のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の一例を示す断面図であり、図4は、図1のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の他の例を示す斜視図である。
【0032】
本発明の第1実施形態であるワイヤーハーネス用外装シートを説明する。
図1〜図4を参照すると、第1実施形態のワイヤーハーネス用外装シート10は、平板状に形成されたシート本体11と、シート本体11の片面(図1中、上面)における幅方向両端部(図1中、左右両端部)近傍にそれぞれ、当該片面の一辺に沿って略平行に設けられた一対の粘着部12,13とを備えており、外装対象であるワイヤーハーネスWに装着される。
【0033】
なお、少なくともシート本体11の片面における各粘着部12,13の間隔が、ワイヤーハーネスWの外周1周分の長さよりも大きいか、または、シート本体11の各粘着部12,13の長手方向寸法が、ワイヤーハーネスWの外周1周分の長さよりも大きい。
【0034】
各粘着部12,13としては、シート本体11の表面に塗布された粘着剤、又はシート本体11の表面に貼付された両面粘着テープが挙げられる。
【0035】
このようなワイヤーハーネス用外装シート10をワイヤーハーネスWに装着する方法としては、例えば図3又は図4にそれぞれ示すものがある。以下、それぞれの装着方法について詳述する。
【0036】
すなわち、図3を参照すると、ワイヤーハーネス用外装シート10は、各粘着部12,13が設けられたシート本体11の片面を内側にされるとともに、各粘着部12,13をそれぞれワイヤーハーネスWと略平行にされる。この状態で、ワイヤーハーネス用外装シート10は、一方の粘着部12をワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定される(図3中、左図の状態)。
【0037】
次に、ワイヤーハーネス用外装シート10は、シート本体11をワイヤーハーネスWの外周に巻き付けられる(図3中、中央図の状態)。そして、ワイヤーハーネス用外装シート10は、ワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体11の外側面に、他方の粘着部13を粘着固定される(図3中、右図の状態)。
【0038】
また図4を参照すると、ワイヤーハーネス用外装シート10は、各粘着部12,13が設けられたシート本体11の片面を内側にされるとともに、各粘着部12,13を外装対象であるワイヤーハーネスWと略直交する状態とされる。この状態で、ワイヤーハーネス用外装シート10は、各粘着部12,13の長手方向一端部12a,13aをそれぞれ、ワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定される。
【0039】
次に、ワイヤーハーネス用外装シート10は、各粘着部12,13をそれぞれワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定されつつ、シート本体11をワイヤーハーネスWの外周に巻き付けられる。そして、ワイヤーハーネス用外装シート10は、ワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体11の外側面に、各粘着部12,13の長手方向他端部12b,13bをそれぞれ粘着固定される。
【0040】
以上のように上記第1実施形態によれば、ワイヤーハーネス用外装シート10は、一方の粘着部12(図3参照)、又は各粘着部12,13の長手方向一端部12a,13a(図4参照)を、ワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定されるとともに、ワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体11の外側面に、他方の粘着部13(図3参照)、又は各粘着部12,13の長手方向他端部12b,13b(図4参照)を、粘着固定される。
【0041】
したがって、ワイヤーハーネスWへのワイヤーハーネス用外装シート10の装着後において、ワイヤーハーネスWとワイヤーハーネス用外装シート10との位置ずれ等を防止することができ、ビニルテープ等で端部をワイヤーハーネスWの外周面に人手により固定する等の作業を不要とすることができる。これにより、迅速かつ確実にワイヤーハーネスWに装着することができ、取付時間の短縮及びコスト低減を図ることができる。
【0042】
また、各粘着部12,13は、シート本体11の一部にのみ設けられるので、ワイヤーハーネス用外装シート10の装着に伴ってワイヤーハーネスWの柔軟性を損なう等の不具合を回避することができる。
【0043】
次に、図5〜図8に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
図5は、第2実施形態であるワイヤーハーネス用外装シートを示す斜視図であり、図6は、図5のワイヤーハーネス用外装シートの側面図である。図7は、図5のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の一例を示す断面図であり、図8は、図7の両端部の拡大詳細図である。
【0044】
本実施形態のワイヤーハーネス用外装シート20は、ワイヤーハーネスWへ装着したとき位置決めを行なう位置決め手段24を備えたものである。そして、この位置決め手段24は、シート本体21の片面に設けられた突起部25と、反対面に設けられた突起部26とを設け、これら突起部25、突起部26により構成されている。ただし、使用部材等は、前記第1実施形態のワイヤーハーネス用外装シート10とまったく同じである。
【0045】
ワイヤーハーネス用外装シート20は、平板状に形成されたシート本体21と、シート本体21の片面(図5中、上面)における幅方向両端部(図5中、左右両端部)近傍にそれぞれ、当該片面の一辺に沿って略平行に設けられた前記一対の粘着部12,13を備えており、外装対象であるワイヤーハーネスWに装着される。
【0046】
シート本体21の片面において一方側の粘着部12側に寄った位置には、少なくとも1本、実施形態では2本の突起部25がシート本体21と一体に設けられている。これらの突起部25は、それぞれが平行となって、かつ一方側の粘着部12と略平行に設けられ、他方側端部の粘着材13側に向いてわずかに傾斜して形成されている。
【0047】
また、前述のようにシート本体21の反対面に設けられた突起部26は、他方側端部に近い位置に他方側の粘着材13と略平行に設けられている。この突起部26は、一方側の粘着部12側に向いてわずかに傾斜して形成されている。
したがって、片面に設けられた突起部25と、反対面に設けられた突起部26とは、互いに向き合う方向に傾斜していることになる。そして、ワイヤーハーネス用外装シート20を巻き付けたとき、両突起部25,26同士が係合し合い、これにより、位置決めがなされるようになっている。
【0048】
以上のワイヤーハーネス用外装シート20をワイヤーハーネスWに装着する方法としては、図7に示すように行なわれる。
【0049】
すなわち、図7を参照すると、ワイヤーハーネス用外装シート20は、各粘着部12,13が設けられたシート本体21の片面が内側にされるとともに、各粘着部12,13がそれぞれワイヤーハーネスWと略平行にされる。
この状態で、ワイヤーハーネス用外装シート20は、反対面の突起部26側の粘着部、すなわち、他方の粘着部13がワイヤーハーネスWの外周面に粘着固定される(図7中、左図の状態)。このとき、反対面の突起部26はワイヤーハーネスWの外周外側に突出した状態である。
【0050】
次に、ワイヤーハーネス用外装シート20は、シート本体21がワイヤーハーネスWの外周に巻き付けられる(図7中、中央図の状態)。そして、ワイヤーハーネス用外装シート20は、ワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けられる。
この際、ワイヤーハーネス用外装シート20の一方側の粘着部12が、反対面の突起部26を超えた時点で、粘着部12近傍の片面の突起部25を、反対面の突起部26に引掛けて係合させた後(図8の状態)、一方側の粘着部12をシート本体11の外側面に押付けて粘着固定させる(図7中、右図の状態)。
【0051】
以上のような本発明の第2実施形態によれば、前記第1実施形態の、迅速かつ確実にワイヤーハーネスWに装着することができ、取付時間の短縮及びコスト低減を図ることができる、という効果と、ワイヤーハーネス用外装シート10の装着に伴ってワイヤーハーネスWの柔軟性を損なう等の不具合を回避することができる、という効果を得ることができる他、次のような効果を得ることができる。
【0052】
すなわち、他方側の粘着部12の反対面に突起部26が設けられており、ワイヤーハーネス用外装シート20をワイヤーハーネスWの外周に1周を超えて巻き付けるとき、ワイヤーハーネス用外装シート20の一方側の粘着部12が、反対面の突起部26を超えた時点で、粘着部12近傍の突起部25を反対面の突起部26に引掛けて係合させることができる。したがって、一方側の粘着部12をシート本体21の外側面に押付けて粘着固定させることと相俟って、両突起部25,16同士の係合により、位置ずれを防止できるとともに、より確実にワイヤーハーネスWに装着することができる。
【0053】
なお、本発明に係るワイヤーハーネス用外装シートは、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0054】
例えば、前記第2実施形態では、ワイヤーハーネス用外装シート20の位置決め手段24として、シート本体11の片面に設けられた2本の突起部25と、反対面に設けられた1本の突起部26とで形成されていたが、これに限らず、図9(A)、(B)に示すような構成の位置決め手段34としてもよい。
【0055】
すなわち、図9(A)に示すように、ワイヤーハーネス用外装シート30のシート本体31の片面に、前記一方側粘着部12および他方側粘着部13が設けられており、反対面の他方側粘着部13寄りに、2本の突起部35が間隔をあけて設けられている。そして、これらの突起部35により、前記位置決め手段34が構成されている。
【0056】
このようなワイヤーハーネス用外装シート30をワイヤーハーネスWに装着する際は、図9(B)に示すように、一方側粘着部12および他方側粘着部13が設けられた片面を内側として、かつ他方側粘着部13をワイヤーハーネスWに粘着してから、外周に沿って巻き付けて行き、一方側端部を1つの突起部35に突き当てるとともに、一方側粘着部12を他方側端部の外周に押付け、粘着固定させて位置決めさせる。このようにしても、前記各実施形態の各効果と略同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、他の変形形態として、ワイヤーハーネス用外装シート40の位置決め手段44を、図10(A)、(B)に示すような構成のとしてもよい。
すなわち、図10(A)に示すように、ワイヤーハーネス用外装シート40のシート本体41の片面に設けられた前記他方側粘着部13側に、2段の段差部45が形成されており、これらの段差部45により、ワイヤーハーネス用外装シート45の前記位置決め手段44が構成されている。
【0058】
このようなワイヤーハーネス用外装シート40をワイヤーハーネスWに装着する際は、図10(B)に示すように、片面を内側として、かつ他方側粘着部13をワイヤーハーネスWに粘着してから、外周に沿って巻き付けて行き、一方側端部を1つの段差部45に突き当てるとともに、一方側粘着部12を段差部45の外周に押付け、粘着固定させて位置決めする。このようにしても、前記各実施形態の各効果と略同様の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、他の変形形態として、ワイヤーハーネス用外装シート50の位置決め手段54を、図11(A)、(B)に示すような構成としてもよい。
すなわち、図11(A)に示すように、ワイヤーハーネス用外装シート50のシート本体51の片面に、一方側粘着部12および他方側粘着部13が設けられており、一方側粘着部12寄りに、片面から反対面にわたって、一方側粘着部12と略平行となった凹み状溝55が設けられている。これに対して、反対面の他方側粘着部13側端部には、凹み状溝55に嵌り込む凸状部56が形成されている。そして、これらの凹み状溝55および凸状部56により、ワイヤーハーネス用外装シート50の前記位置決め手段54が構成されている。
【0060】
このようなワイヤーハーネス用外装シート50をワイヤーハーネスWに装着する際は、図11(B)に示すように、片面を内側として、かつ他方側粘着部13をワイヤーハーネスWに粘着してから、外周に沿って巻き付けて行き、一方側端部の凹み状溝55を凸状部56に嵌め込むとともに、一方側粘着部12を他方側端部の外周に押付け、粘着固定させて位置決めする。このようにしても、前記各実施形態の各効果と略同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、前記第2実施形態では、シート本体11の片面に2本の突起部25、反対面に1本の突起部26が形成されていたが、これに限らない。片面の突起部25を、1本、あるいは2本以上設け、反対面の突起部26を、例えば2本等、1本以上設けてもよい。
このようにすれば、ワイヤーハーネスWの大きさに対応した部位の突起部25,16同士を係合させることができるので、柔軟性に富んだ使用が可能となり、かつワイヤーハーネス用外装シートの大きさの異なる種類を増やさなくてもよい。
【0062】
本発明により得られるワイヤーハーネス用外装シート及びその装着方法は、迅速かつ確実に取り付けられるワイヤーハーネスの外装品として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態であるワイヤーハーネス用外装シートを示す斜視図である。
【図2】図1のワイヤーハーネス用外装シートの側面図である。
【図3】図1のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の一例を示す断面図である。
【図4】図1のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の他の例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態であるワイヤーハーネス用外装シートを示す斜視図である。
【図6】図5のワイヤーハーネス用外装シートの側面図である。
【図7】図5のワイヤーハーネス用外装シートのワイヤーハーネスへの装着方法の一例を示す断面図である。
【図8】図7の突起部同士の係合を示す拡大詳細図である。
【図9】本発明に係る変形形態のワイヤーハーネス用外装シートを示す側面図と係合部の拡大図である。
【図10】本発明に係る他の変形形態のワイヤーハーネス用外装シートを示す側面図と係合部の拡大図である。
【図11】本発明に係るさらに他の変形形態のワイヤーハーネス用外装シートを示す側面図と係合部の拡大図である。
【図12】特許文献1で開示されているカバー部材を示す平面図である。
【図13】図12のカバー部材により電線を結束する際の状態を示す斜視図である。
【図14】図12のカバー部材により電線を結束した状態例を示す断面図である。
【図15】図12のカバー部材をワイヤーハーネスに装着した状態例を示す要部斜視図である。
【図16】特許文献2で開示されているワイヤーハーネスの結束用シートを示す平面図である。
【図17】図16のワイヤーハーネスの結束用シートによるワイヤーハーネスの結束状態を示す断面図である。
【図18】特許文献3で開示されている配電線類束線チューブを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10,20 ワイヤーハーネス用外装シート
11,21 シート本体
12 一方の粘着部
12a 粘着部の長手方向一端部
12b 粘着部の長手方向他端部
13 他方の粘着部
13a 粘着部の長手方向一端部
13b 粘着部の長手方向他端部
24 位置決め手段
25 片面の突起部
26 反対面の突起部
W ワイヤーハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスに装着されるワイヤーハーネス用外装シートであって、
平板状に形成されたシート本体の片面の一端部とそれ以外の部分の計2箇所に一対の粘着部を備えていることを特徴とするワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項2】
前記粘着部が、シート本体の片面の両端部に当該片面の一辺に沿って平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項3】
前記粘着部の間隔が、前記ワイヤーハーネスの外周1周分の長さよりも大きいことを特徴とする請求項2記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項4】
前記粘着部が装着された片面または反対面の少なくともいずれか一方の面に、前記ワイヤーハーネスに装着したとき一方側端部および他方側端部同士を係合させて位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項5】
前記位置決め手段が、前記片面の一方側端部近傍の粘着部寄りに前記粘着部と平行に設けられた少なくとも1本の一方側突起部と、前記片面の反対面において他方側端部近傍の粘着部に沿って設けられた他方側突起部とで構成されていることを特徴とする請求項4記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項6】
前記一方側突起部と、前記他方側突起部とは互いに向き合う方向に傾斜していることを特徴とする請求項5記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項7】
前記粘着部の長手方向寸法が、前記ワイヤーハーネスの外周1周分の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤーハーネス用外装シート。
【請求項8】
請求項3記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと平行にした状態で、一方の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面に、他方の粘着部を粘着固定させることを特徴とするワイヤーハーネス用外装シートの装着方法。
【請求項9】
請求項3記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと直交する状態にして、各粘着部の一端部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更に各粘着部をそれぞれワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させつつ、シート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられた状態のシート本体の外側面に、各粘着部の他端部をそれぞれ粘着固定させることを特徴とするワイヤーハーネス用外装シートの装着方法。
【請求項10】
請求項6記載のワイヤーハーネス用外装シートを用い、各粘着部および少なくとも1本の突起部が設けられたシート本体の片面を内側にするとともに、各粘着部を外装対象であるワイヤーハーネスと平行にした状態で、前記反対面の突起部側の粘着部をワイヤーハーネスの外周面に粘着固定させ、更にシート本体をワイヤーハーネスの外周に巻き付け、その後ワイヤーハーネスの外周に1周を超えて巻き付けられたシート本体の外側面において、少なくとも1本の突起部と反対面の突起部とを係合させるとともに、シート本体の外側面に少なくとも1本の突起部側の粘着部を粘着固定させることを特徴とするワイヤーハーネス用外装シートの装着方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−327656(P2006−327656A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156168(P2005−156168)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】