説明

ワックス塗布用スポンジ

【課題】固形または半練りタイプのワックスをよりきめ細かく、かつ均一に伸ばして車体等に塗布できると共に、1回のワックス付着量でより広範囲な面積に塗布できるワックス塗布用スポンジの提供を目的とする。
【解決手段】塗布側発泡体11の片面に把持側発泡体21が積層されたワックス塗布用スポンジ10であって、塗布側発泡体11を、50〜100個/25mmのセル数を有し、かつ除膜処理によってセル膜が除去され、厚みが5〜30mmとされた三次元網目構造のポリエステル系ポリウレタン発泡体で構成し、把持側発泡体21を独立気泡構造の樹脂発泡体、例えばポリエチレン発泡体で構成し、塗布側発泡体11と把持側発泡体を接着により一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体等にワックスを塗布する際に用いるワックス塗布用スポンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワックス塗布用スポンジとして、単一のポリウレタン発泡体からなるものや、ポリウレタン発泡体の片面に把持部を積層したものなどがある。さらに、塗布面に凹部を形成して塗布面の凹部にワックスを保持するようにしたワックス塗布用スポンジも提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第3099004号公報
【特許文献2】特開2005−287531号公報
【0003】
ワックス塗布用スポンジを用いるワックス塗布は、ワックスをスポンジ表面に付着させ、ワックスが付着したスポンジ表面を車体等のワックス塗布対象面に押し当てながらスポンジを動かすことにより行う。
【0004】
しかし、従来のワックス塗布用スポンジは、ワックス塗布をより美麗に行うため、ワックスをよりきめ細かく、かつ均一に伸ばして塗布できることが求められ、また、スポンジへのワックス付着作業回数を減少させて塗布作業効率を向上させるため、スポンジ表面への1回のワックス付着量でより広範囲な面積に塗布できることが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ワックスをよりきめ細かく、かつ均一に伸ばして塗布できると共に、スポンジ表面への1回のワックス付着量でより広範囲な面積に塗布できるワックス塗布用スポンジの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、塗布側発泡体の片面に把持側発泡体が積層されたワックス塗布用スポンジにおいて、前記塗布側発泡体は、50〜100個/25mmのセル数を有し、セル膜が除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなり、前記把持側発泡体は独立気泡構造を有する樹脂発泡体からなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記塗布側発泡体の厚みが5〜30mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗布側発泡体が、50〜100個/25mmのセル数を有し、セル膜の除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなるため、塗布側発泡体に付着させたワックスを、よりきめ細かく、かつ均一に伸ばして車体等の塗布対象面に塗布することができる。さらに、本発明によれば、塗布側発泡体の片面に積層された把持側発泡体が独立気泡構造を有する樹脂発泡体からなるため、塗布側発泡体に付着させたワックスが把持側発泡体へ浸透するのを阻止することができ、塗布側発泡体へのワックスの1回の付着量で、より広範囲な面積に塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るワックス塗布用スポンジの斜視図である。図1に示すワックス塗布用スポンジ10は、固形ワックスあるいは半練りワックスの塗布に対して好適なものであり、塗布側発泡体11と前記塗布側発泡体11の片面に積層された把持側発泡体21とよりなる。
【0010】
前記塗布側発泡体11は、ワックス塗布時にワックスを付着保持した状態で車体等の塗布対象面に押し付けられて擦られる部分である。前記塗布側発泡体11は、50〜100個/25mmのセル数を有し、セル膜が除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなる。セル数はJIS K 6400−1に準じて測定された値である。前記塗布側発泡体11のセル数が50個/25mm未満の場合には、前記塗布側発泡体11の表面における個々の気孔が大きくなりすぎて、ワックス塗布時にきめ細かく塗布できなくなると共に、ワックス塗布時の塗布側発泡体11の圧縮によって、塗布側発泡体11内からワックスが塗布側発泡体11の表面に押し出され易くなり過ぎて、ワックスの伸びが劣ったり、塗布側発泡体11へのワックスの1回の付着量で塗布可能な面積が少なくなったりする。一方、前記塗布側発泡体11のセル数が100個/25mmを超える場合には、ワックスをきめ細かく塗布できるが、前記塗布側発泡体11の個々の気孔が小さくなりすぎて、塗布側発泡体11にワックスを十分保持することができなくなり、塗布側発泡体11へのワックスの1回の付着量で塗布可能な面積が少なくなる。前記塗布側発泡体11を構成するセル膜が除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体のより好ましいセル数は、60〜85個/25mmである。
【0011】
前記セル膜の除去は、ポリウレタン発泡体に対する公知の除膜去処理、例えばアルカリ等の薬液による溶解法や、爆発法や、ポリウレタン発泡体の配合等によって行われる。除膜処理によりセル膜の除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体は、三次元網目構造となっている。セル膜の除去により、前記塗布側発泡体11は良好な連通構造となり、塗布時に車体等に押し付けられて圧縮されることにより、塗布側発泡体11の内奥に保持されていたワックスまで十分に塗布側発泡体11の表面に押し出して使用することができるようになり、これによっても塗布可能な面積を大にできる。
【0012】
前記ポリエステル系ポリウレタン発泡体は、ポリエーテル系ポリウレタン発泡体と比べて耐油性に優れる特徴があるため、ワックスが付着する塗布側発泡体11の材質として好適なものである。
【0013】
前記塗布側発泡体11を構成するセル膜の除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体は、セル膜除去後の密度(JIS K 7222準拠)が25〜100kg/mのものが好ましく、さらに好ましくは30〜80kg/mのものである。密度が25kg/m未満の場合は、ワックス塗布時に前記塗布側発泡体11の形状保持性が不足して塗布が難くなると共に、軽量化によって前記の好ましいセル数を得るのが難しくなる。一方、密度が100kg/mを超える場合は、重量増による原料コスト増大の問題がある。
【0014】
また、前記塗布側発泡体11を構成するセル膜の除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体は、セル膜除去後の硬さ(JIS K 6400−2 D法準拠)が80〜300Nのものが好ましく、さらに好ましくは150〜200Nのものである。硬さが80N未満の場合は、ワックス塗布時に前記塗布側発泡体11が容易に圧縮されて潰されるため、前記塗布側発泡体11に保持されていたワックスが塗布側発泡体11の表面に大量に押し出されて短時間で使われ、安定したワックス塗布を行い難くなる。一方、硬さが300Nを超える場合は、前記塗布側発泡体11が硬くなりすぎて、車体等の塗布対象面に前記塗布側発泡体11の表面が追従し難くなり、均一なワックス塗布を行えなくなる。
【0015】
前記塗布側発泡体11の厚みは5〜30mmが好ましく、より好ましくは5〜20mmである。厚みが5mm未満の場合は、前記塗布側発泡体11が薄くなり過ぎて、ワックスの保持量が少なくなり、1回のワックス付着量で塗布可能な面積が少なくなる。一方、厚みが30mmを超える場合は、車体等の塗布対象面に前記塗布側発泡体11を押し付けてワックスの塗布を行う際に、前記塗布側発泡体11を十分に圧縮することができなくなって、前記塗布側発泡体11の内に保持されているワックスを表面に押し出すことができなくなり、ワックスが前記塗布側発泡体11内に溜まって無駄になったりする。
【0016】
前記把持側発泡体21は、ワックス塗布時に作業者が把持する部分であって、前記塗布側発泡体11のバックアップ体として作用し、前記塗布側発泡体11を車体等の塗布対象面に効率よく押し付けできるようにするものである。前記把持側発泡体21は、独立気泡構造を有する樹脂発泡体からなる。前記把持側発泡体21が独立気泡構造からなるため、前記塗布側発泡体11に付着保持したワックスが前記把持側発泡体21に浸透するのを阻止することができ、前記塗布側発泡体11に付着保持されたワックスを車体等の塗布対象面に効率よく塗布することができる。特に前記塗布側発泡体11が除膜された発泡体からなるため、車体等への前記塗布側発泡体11の押圧、圧縮によってワックスが前記塗布側発泡体11を通って前記把持側発泡体21側へ移行し易い構造であることから、前記把持側発泡体21を独立気泡構造としなければ、ワックスが前記把持側発泡体21へ浸透するのを防ぐのが難しくなり、ワックスの無駄が多くなる。
【0017】
前記把持側発泡体21は、除膜されたポリエーテル系ポリウレタン発泡体からなる前記塗布側発泡体11のみでは得難いワックス塗布時の把持し易さ、塗布対象面への前記塗布側発泡体による有効な面圧の加え易さ、及び塗布対象面の曲面に有る程度追従することが可能な柔軟性が必要とされ、さらに塗布作業性の観点から軽量であることも要求される。それらの要求を満たすためにも、本発明では前記把持側発泡体21が、独立気泡構造の樹脂発泡体で構成されている。前記独立気泡構造の樹脂発泡体としては、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等からなるポリオレフィン発泡体や、ゴムスポンジ等が挙げられるが、それらの中でも、軽量且つグリップ性の良さの理由からポリエチレン発泡体が好ましい。さらに、前記把持側発泡体21に要求される上記の特性、すなわち把持のし易さ、面圧の加え易さ、塗布対象面の曲面に有る程度追従可能な柔軟性及び軽量性等をより確実に実現するため、前記把持側発泡体21における独立気泡構造を有する樹脂発泡体は、密度(JIS K 6767準拠)が24〜100kg/m、25%圧縮硬さ(JIS K 6767準拠)が0.040〜0.150MPa、好ましくは0.050〜0.100MPaのものが好ましい。
【0018】
前記塗布側発泡体11と前記把持側発泡体21とは接着により一体化されている。前記塗布側発泡体11と前記把持側発泡体21の接着方法は、特に限定されず、ウレタン系の接着剤による接着、熱融着による接着、ホットメルトによる接着等の何れでもよい。特に前記把持側発泡体21が独立気泡構造からなるポリエチレン発泡体の場合には、ポリエチレン発泡体が熱可塑性であることを利用し、熱融着により前記塗布側発泡体11と前記把持側発泡体21を接着するのが強度的に好ましい。
【実施例】
【0019】
表1に示す構成からなる実施例1〜7のワックス塗布用スポンジと、表2に示す比較例1〜7のワックス塗布用スポンジをそれぞれ形成した。なお、塗布側発泡体と把持側発泡体の直径はそれぞれ9cmである。表1及び表2における塗布側発泡体の種類A〜H、把持側発泡体の種類K〜Mは以下の通りである。なお、ポリウレタン発泡体からなる塗布側発泡体A〜H及び把持側発泡体Mの硬さはJIS K 6400−2 D法に準じて測定した値であり、一方、ポリエチレン発泡体からなる把持側発泡体K及びLにおける25%圧縮硬さは、JIS K 6767に準じて測定した値である。また、実施例1〜7及び比較例1〜7における塗布側発泡体と把持側発泡体の接着は、加熱ロールに把持側発泡体の接着面を接触させて加熱し溶融し、その後、両発泡体を圧着することにより行った。
【0020】
A:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度80kg/m、硬さ230N、セル数82個/25mm、品番;MF−80A、株式会社イノアックコーポレーション製
B:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度56kg/m、硬さ180N、セル数58個/25mm、品番;MF−55、株式会社イノアックコーポレーション製
C:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度30kg/m、硬さ95N、セル数50個/25mm、品番;MF−50、株式会社イノアックコーポレーション製
D:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理無し、密度30kg/m、硬さ180N、セル数37個/25mm、品番;SC、株式会社イノアックコーポレーション製
E:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理無し、密度57kg/m、硬さ190N、セル数55個/25mm、品番;SM−55、株式会社イノアックコーポレーション製
F:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度30kg/m、硬さ105N、セル数40個/25mm、品番;MF−40、株式会社イノアックコーポレーション製
G:ポリエステル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度30kg/m、硬さ100N、セル数30個/25mm、品番;MF−30、株式会社イノアックコーポレーション製
H:ポリエーテル系ポリウレタン発泡体、除膜処理有り、密度72kg/m、硬さ300N以上、セル数70個/25mm、品番;CFS、株式会社イノアックコーポレーション製
K:独立気泡構造のポリエチレン発泡体、密度24kg/m、25%圧縮硬さ0.050MPa、品番;B−4、株式会社イノアックコーポレーション製
L:独立気泡構造のポリエチレン発泡体、密度64kg/m、25%圧縮硬さ0.090MPa、品番;A−8、株式会社イノアックコーポレーション製
M:連続気泡構造のポリウレタン発泡体、除膜処理無し、密度50kg/m、硬さ:300N以上、セル数:45個/25mm、品番;EMO、株式会社イノアックコーポレーション製
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
実施例1〜4は、塗布側発泡体の厚みを変化させた例、実施例5は把持側発泡体の密度及び硬さを実施例2とは異ならせた例、実施例6と7は塗布側発泡体の密度、硬さ、セル数を実施例2とは異ならせた例である。一方、比較例1は塗布側発泡体が除膜処理されてなく、セル数37個/25mmのポリエステル系ポリウレタン発泡体からなる従来の一般的なワックス塗布用スポンジの例、比較例2は塗布側発泡体の厚みを比較例1とは異ならせた例、比較例3は塗布側発泡体の密度、硬さ、セル数、厚みを比較例1とは異ならせた例、比較例4及び比較例5は塗布側発泡体が除膜処理されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなると共にセル数が本発明の範囲より少ない例、比較例6は塗布側発泡体が除膜処理されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなると共に把持側発泡体が連続気泡構造のポリウレタン発泡体からなる例、比較例7は塗布側発泡体が除膜処理されたポリエーテル系ポリウレタン発泡体からなる例である。
【0024】
各実施例及び各比較例のワックス塗布用スポンジに対し、ワックス加工性として、ワックスきめ細かさ、ワックス伸び、ワックス塗布面積の各項目について各10回の平均で評価した。使用したワックスは、缶に収容された固形タイプのワックスであり、評価方法は次に示すとおりである。評価結果は表1及び表2に示すとおりである。
【0025】
・ワックスきめ細かさ
5gのワックスをへらですくって塗布側発泡体の表面に擦りつけ、右手で把持側発泡体を把持して塗布側発泡体を自動車のボンネット表面に当接させ、その状態でワックス塗布用スポンジを直線状に一方向に移動させてワックスをボンネット表面に塗布し、塗布後の塗布面の状態を目視で観察した。塗布面に線状の凹凸と筋(すじ)状の塗布跡が明らかに確認された場合は「×」、凹凸は顕著に確認されなかったが、筋状の塗布跡が確認された場合は「△」、凹凸と筋状の塗布跡の何れも確認されなかった場合において、さらに塗布面の状態を斜めから見た際に塗布状態の均一性が極めて高い場合は「◎」とし、他の場合は「○」とした。
【0026】
・ワックス伸び
5gのワックスをへらですくって塗布側発泡体の表面に擦りつけ、右手で把持側発泡体を把持して塗布側発泡体を自動車のボンネット表面に当接させ、その状態でワックス塗布用スポンジを直線状に一方向に移動させてワックスをボンネット表面に塗布し、塗布後の塗布面において塗布開始位置からワックスの途切れ(非塗布状態)が発生するまでの塗布距離を測定した。汎用的な素材で構成されている比較例1及び比較例2の場合の塗布距離を基準とし、比較例1及び比較例2の場合よりも塗布距離が短い場合には「×」、同じ場合は「△」、比較例1及び比較例2よりも長い場合であって、比較例1及び比較例2の塗布距離を超える長さが特に長い場合は「◎」とし、他の場合は「○」とした。
【0027】
・ワックス塗布面積
5gのワックスをへらですくって塗布側発泡体の表面に擦りつけ、右手で把持側発泡体を把持して塗布側発泡体を自動車のボンネット表面に当接させ、その状態でワックス塗布用スポンジを移動させてボンネット表面にワックスを塗布し、ワックスが付着している塗布面積(塗布されている範囲)を目視で確認した。汎用的な素材で構成されている比較例1及び比較例2の場合の塗布面積を基準とし、比較例1及び比較例2の場合よりも塗布面積が小の場合には「×」、塗布面積が同じ場合は「△」、塗布面積が大であって比較例1及び比較例2の塗布面積を超える程度が特に大の場合は「◎」、他の場合は「○」とした。
【0028】
表1の結果より、実施例1〜実施例7のワックス塗布用スポンジは、ワックスきめ細かさ、ワックス伸び、ワックス塗布面積のいずれも良好であった。特に、塗布側発泡体の硬さが150〜250N、厚みが5〜20mmの実施例1〜実施例3及び実施例5のワックス塗布用スポンジは、ワックスきめ細かさ、ワックス伸び、ワックス塗布面積の評価がいずれも極めて良好「◎」であった。
【0029】
それに対して実施例4は、塗布側発泡体の厚みが30mmであって実施例1〜3及び実施例5の塗布側発泡体よりも厚みが大であるため、塗布側発泡体内に保持されたワックスが塗布時の圧縮によって塗布側発泡体の表面まで十分に押し出されず、ワックス伸び評価及びワックス塗布面積の評価が、実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価が若干劣る良好「○」となった。
【0030】
また、実施例6は、塗布側発泡体のセル数が60個/25mm未満であって、実施例1〜3及び実施例5の塗布側発泡体よりもセル数が少ない(個々の気孔が大きい、粗い)ため、ワックスきめ細かさの評価が、実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価が若干劣る良好「○」となり、また、実施例1〜3及び実施例5よりも塗布側発泡体内からワックスが塗布側発泡体の表面に押し出され易くなることから、ワックスの消費量が多くなり、ワックス伸びの評価及びワックス塗布面積の評価が、実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価が若干劣る良好「○」となった。
【0031】
実施例7は、塗布側発泡体の硬さが95Nと実施例1〜3及び実施例5と比べて柔らかく、かつ塗布側発泡体のセル数が50個/25mm未満であって、実施例1〜3及び実施例5の塗布側発泡体よりもセル数が少ないため、ワックスきめ細かさの評価が実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価が若干劣る良好「○」となり、ワックス伸びの評価が実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価がかなり劣る「△」となり、ワックス塗布面積の評価が実施例1〜実施例3及び実施例5の「◎」よりも評価が若干劣る「○」となった。
【0032】
一方、塗布側発泡体が除膜処理されてなく、セル数が本発明の範囲より少ないポリエステル系ポリウレタン発泡体からなる従来の一般的な比較例1及び比較例2は、ワックスきめ細かさの評価及びワックス塗布面積の評価において全ての実施例よりも劣っており、またワックス伸び評価については実施例1〜6よりも劣り、実施例7とは同程度であった。
【0033】
比較例3は、比較例1及び比較例2よりも塗布側発泡体のセル数が多い(気孔が小さい)ため、ワックスきめ細かさの評価については良「○」となったが、他の評価項目については比較例1及び比較例2の同等の「△」であった。
【0034】
比較例4は、塗布側発泡体が除膜処理されたものであって比較例1〜3よりも塗布側発泡体の硬さが低く、本発明のセル数範囲よりもセル数の少ないものであるため、ワックスきめ細かさの評価及びワックス伸びの評価が比較例1及び比較例2と同等以下の「△〜×」となり、またワックス塗布面積の評価が比較例1及び比較例2より劣る「×」となった。
【0035】
比較例5は、除膜処理された塗布側発泡体のセル数が比較例4よりもさらに少ないものであるため、ワックスきめ細かさの評価、ワックス伸びの評価及びワックス塗布面積の評価が、何れも比較例1及び比較例2より劣る「×」となった。
【0036】
比較例6は、塗布側発泡体が実施例2と同一のものからなると共に把持側発泡体が連続気泡構造のポリウレタン発泡体からなるものであるため、ワックスきめ細かさの評価のみ「◎」となり、ワックス伸びの評価及びワックス塗布面積の評価は何れも比較例1及び比較例2と同等の「△」となった。
【0037】
比較例7は塗布側発泡体が除膜処理されたポリエーテル系ポリウレタン発泡体からなるため、ワックスきめ細かさの評価、ワックス伸びの評価及びワックス塗布面積の評価の何れも比較例1及び比較例2と同等の「△」となった。
【0038】
このように実施例のワックス塗布用スポンジは、ワックスをよりきめ細かく、かつ均一に伸ばして車体等の塗布対象面に塗布することができ、塗布側発泡体への1回のワックス付着量で、より広範囲な面積に塗布することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例に係るワックス塗布用スポンジの断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ワックス塗布用スポンジ
11 塗布側発泡体
21 把持側発泡体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布側発泡体の片面に把持側発泡体が積層されたワックス塗布用スポンジにおいて、
前記塗布側発泡体は、50〜100個/25mmのセル数を有し、セル膜が除去されたポリエステル系ポリウレタン発泡体からなり、
前記把持側発泡体は独立気泡構造を有する樹脂発泡体からなることを特徴とするワックス塗布用スポンジ。
【請求項2】
前記塗布側発泡体の厚みが5〜30mmであることを特徴とする請求項1に記載のワックス塗布用スポンジ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−6294(P2010−6294A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169943(P2008−169943)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(501318556)株式会社イノアックリビング (10)
【Fターム(参考)】