説明

ワーク整列搬送装置

【課題】ブリッジの生成位置を特定し、かつ、生成したブリッジを周期的に完全に解消して、定常的な整列搬送を可能とするコンパクトで安価なワーク整列搬送装置1を提供する。
【解決手段】第1ベルトコンベア3には、上流側に拡大し、下流側に縮小する1対のテーパ状の絞込ガイド7を備え、絞込ガイド7の一方側のテーパ壁部の所定の位置に、内側に回転移動する回転レバー15を有するブリッジ防止手段14を設け、かつ、絞込ガイド7の一方側もしくは他方側のテーパ壁部の所定の位置に、内側に突出する突起部19を設け、突起部19はワーク2のブリッジ生成位置を特定し、さらに、第2ベルトコンベア4には、絞込ガイド7の縮小部8と同幅を有する整列ガイド9を備え、整列ガイド9はワーク2が所定の列数に整列する所定のガイド間隔Eを形成されて、絞込ガイド7の下流側の特定の位置のブリッジの生成を防ぎながら、ワーク2を整列して搬送する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの詰まり(ブリッジ)の生成を防ぎながら、ワークを搬送方向に整列させて供給する整列搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
〔従来の技術〕
従来から、種々のワークの整列、または分離のために、それぞれ目的に適った搬送装置が適用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される分離整列搬送装置は、縦横に並んだ状態でストック(貯留)されるワークを、1個ずつ縦に並んだ状態で搬送することができる分離整列搬送装置であり、複数のベルトコンベアを縦横に、しかも、搬送方向にワーク間の間隔を空けて配置され、ベルトコンベアの回転とともに前進移動して整列搬送されるものである。
【0003】
この従来の分離整列搬送装置では、ベルトコンベア上に少量のワークしか乗せることができず、沢山乗せると、流れなくなり、よって、所定の間隔を空けて配置する必要があり、従って、ベルトコンベアが長くなり搬送の生産性が低下するとともに装置が大型化する問題があった。
【0004】
上記の問題を解消し、搬送の生産性を向上するために、沢山のワークを密に置いて、密に置いたワークがベルトコンベア上を移動するのに、一気に1列に整列するようにテーパ状の絞込ガイドを設けた整列搬送装置が採用されている(図3参照)。この整列搬送装置101は、例えば、円筒体状の玉軸受(ボールベアリング)をワークWとして、複数のワークWを貯留するホッパー102と、1個ずつ順序良く搬送するために整列ガイド103を備える整列コンベア104と、1列に整列するためにテーパ状に絞り込んだ絞込ガイド105を備えるストックコンベア106とを搬送方向に一直線状に連結し、各コンベア104、106を同方向に回転移動することによって、ワークWが、傾斜するホッパー102から自在に絞込ガイド105内に落下して、ストックコンベア106上を整列ガイド103に向かって移動するように構成されている。
【0005】
しかし、ワークWは所定の横幅を有するホッパー102から複数個同時に落下する場合もあり、このホッパー102からの数列に広がるワークWの搬送を、1列に絞り込んで整列する整列構成では、ストックコンベア106の上流側および下流側のコンベア速度を変化させ、上流側での時間当りの搬入個数と下流側での時間当りの搬出個数が略等しくなる(連続式が成立する)ように可変速構成が採用されない場合は、下流側を絞り込むことによってワークWの詰まり現象を起しやすい。
【0006】
このワークWの詰まり現象は、所謂ブリッジにより形成され、ブリッジとは、ワークWがボールベアリングのような球体形や円筒体形のように滑らかな形状であっても弾性や変形能に乏しい場合には、互いのワークWやワークWとテーパ壁面との接触摩擦力によって連結し、丁度テーパ状のテーパ間隔と同じとなると、アーチ状に架橋(ブリッジ)して滞留するもので、このブリッジ現象は強固であり、上流側からの押し付けでは容易に解消することなく、コンベアの回転によるワークWの前進移動を中断させ、定常的な整列搬送の障害となるものである。
【0007】
〔従来技術の不具合〕
このブリッジは、上記するように互いのワークWやワークWとテーパ壁面との接触摩擦力が大きくなってアーチ状に連結する現象であり、テーパ間隔の比較的狭い絞込ガイド105の絞込部に生じやすく、例えば、2個のワークWが連結する2連ブリッジ、3個のワークWが連結する3連ブリッジ、および4個のワークWが連結する4連ブリッジなどが生じる(例えば、図4参照)。通常、このブリッジは、2連、3連、および4連ブリッジの順に強固な連結度合いは弱まり、4連ブリッジ以上は、4個以上のワークWが連結する確率は低く、連結できても中央部のワークW同士の結合は弱く、不安定(滑りやすい)であり、従って、ブリッジが生成されても直ぐに解消されることが多い。
【0008】
よって、実際には、絞込ガイド105の絞込部に、2連または3連ブリッジが生成しないよう、絞込ガイド105側に振動を加え、テーパ壁面との摩擦係数を低下させてブリッジの生成を抑制したり、また、ブリッジが生成し始めたらブリッジの生成を解消(破壊)するようブリッジ防止手段107を配設して、防止レバー108の回転作動により特定のブリッジのみを破壊してワークWを整列搬送する整列搬送装置101が採用されている。
【0009】
しかし、図4に示すように、ブリッジ防止手段107を配設しても、2連および3連ブリッジの生成位置が異なるため、単純レバー形状では、この生成位置の異なるブリッジを完全に解消することが難しく、レバー形状を非常に長くせざるを得ず、あるいは、2連および3連ブリッジ毎に防止レバー108を配置せざるを得ず、いずれも構成が大規模となって装置が大型化するとともに工程が複雑となってコストアップとなる懸念がある。
【特許文献1】特開平8−81045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、テーパ状の絞込部の所定の位置に突起部を設け、ブリッジが生成するならば、常に、この所定の位置にて生成するように特定し、かつ、特定したブリッジ生成位置に、防止レバーを回転可能に配設して、防止レバーを所定の角度だけ回転し、周期的に揺動作動することにより3連ブリッジもしくは2連ブリッジを、そして、さらに、特定したブリッジ生成位置に近接して生成する可能性のある2連または3連ブリッジをも内側から押し戻し、同時に、かつ、完全に破壊して解消する構成となし、整列搬送が中断されることなく定常的に搬送可能とするコンパクトで安価な整列搬送装置を提供することが重要な課題となる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ブリッジの生成位置を特定し、かつ、生成したブリッジを周期的に完全に解消して、定常的な整列搬送を可能とするコンパクトで安価な整列搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、ワークの搬送方向の上流側にワークを搬送可能に移動させる第1ベルトコンベアと、第1ベルトコンベアから搬送されるワークを引き続き搬送する第2ベルトコンベアと、第1ベルトコンベアおよび第2ベルトコンベアをそれぞれ付勢する第1および第2駆動源と、第1ベルトコンベアに複数個のワークを一時的に貯留するホッパーとを備えるワーク整列搬送装置において、第1ベルトコンベアには、上流側に拡大し、下流側に縮小する1対のテーパ状の絞込ガイドを備え、絞込ガイドの一方側のテーパ壁部の所定の位置に、一方側のテーパ壁部から内側に回転移動する回転レバーを有するブリッジ防止手段を設け、かつ、絞込ガイドの一方側もしくは他方側のテーパ壁部の所定の位置に、一方側もしくは他方側のテーパ壁部から内側に突出する突起部を設け、突起部はワークのブリッジ生成位置を特定し、さらに、第2ベルトコンベアには、絞込ガイドの縮小部と同幅を有する整列ガイドを備え、整列ガイドはワークが所定の列数に整列する所定のガイド間隔を形成されて、絞込ガイドの下流側の特定の位置のブリッジの生成を防ぎながら、ワークを整列して搬送する構成としたことを特徴としている。
【0013】
これにより、ブリッジの生成が特定された位置より発生し、生成したブリッジは特定された位置に配設された回転レバーの回転作動によって破壊され、ブリッジの生成を解消しながら搬送方向にワークを整列させて、定常的に供給することが可能となる。
【0014】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、回転レバーは、周期的に繰返し揺動作動することによって、ブリッジの生成を解消することを特徴としている。
【0015】
これにより、ブリッジのいかなるタイミングの生成であっても完全に解消しながら、定常的にワークを整列させて、搬送方向に供給することが可能となる。
【0016】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、突起部は、ワークが互いに3個連結して繋がる3連ブリッジ、もしくは、ワークが互いに2個連結して繋がる2連ブリッジのいずれかのブリッジの生成を特定した位置に配設されることを特徴としている。
【0017】
これにより、ブリッジの生成位置が特定でき、この特定位置に配設された回転レバーの回転作動によって、ブリッジの生成が完全に解消できる。
【0018】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段によれば、回転レバーは、3連ブリッジが生成する位置と、3連ブリッジの下流側の2連ブリッジが生成する位置との間の距離と略同等の寸法長さを有し、1回の揺動作動によって、2連ブリッジおよび3連ブリッジを同時に解消するように構成されたことを特徴としている。
【0019】
これにより、回転レバーのレバー長さを長くすることなく短いままで、2連および3連ブリッジを同時に解消できるので、コンパクトな整列搬送装置が実現可能となる。
【0020】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段によれば、絞込ガイドは、所定のテーパ角度をなすように上流側に拡大し、下流側に縮小して配置されたことを特徴としている。
【0021】
これにより、比較的大きなテーパ角度の設定が可能となり、よって、絞込ガイドの全長が短くでき、さらに、3連および2連ブリッジの生成位置を互いに近接させて、回転レバーのレバー長さを長くすることなく短いままで、2連および3連ブリッジを同時に解消できるコンパクトな整列搬送装置が実現可能となる。
【0022】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段によれば、回転レバーは、3連ブリッジの中央ワークを押し戻す当接突起を回転方向の当接側に設けたことを特徴としている。
【0023】
これにより、3連ブリッジの最も連結力の弱い中央ワークを内側から特定して押し戻すことが可能となるため、ブリッジの生成を完全に解消することができる。
【0024】
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段によれば、回転レバーは、所定の回転角だけ揺動するとき、回転レバーの他端部側は、少なくとも1個のワークが通過する間隔を、回転レバーが配設される絞込ガイドの対向側のテーパ壁部との間に形成するように構成されたことを特徴としている。
【0025】
これにより、回転レバーの揺動作動により3連ブリッジの生成が解消されたとき、個々に分離した絞込ガイドの対向側に位置するワークはそのままテーパ壁部と回転レバーの他端部側との間隔を通過して、ワークの定常的な整列、供給が可能となる。また、回転レバーが揺動作動しても3連ブリッジの生成がなく解消作用が生じないときでも、ワークは回転レバーの揺動位置に邪魔されることなく、回転レバーの他端部側との間隔を通過して、ワークの定常的な整列、供給が可能となる。
【0026】
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段によれば、回転レバーは、所定の回転角だけ揺動するとき、回転レバーの他端部側は、一方側のテーパ壁部とラップする幅広形状に構成されたことを特徴としている。
【0027】
これにより、回転レバーの他端部側を通過するワークは滞留したり、搬送方向に対し逆戻りすることなく、ワークの定常的な整列、供給が可能となる。
【0028】
〔請求項9の手段〕
請求項9の手段によれば、ワークは、ホッパー内および第1ベルトコンベアの上流側では3列以上で搬送され、第2ベルトコンベアの下流側では1列に搬送されることを特徴としている。
【0029】
これにより、沢山のワークを密に置いて、一気に1列に整列する生産性の高い整列搬送を可能とするコンパクトで安価な整列搬送装置が提供できる。
【0030】
〔請求項10の手段〕
請求項10の手段によれば、第1ベルトコンベアおよび第2ベルトコンベアは共に同一速度で回転駆動されることを特徴としている。
【0031】
これにより、第1および第2ベルトコンベアが共に同一速度であるので、ブリッジは生成されやすくなる。しかし、ブリッジの生成位置を特定し、回転レバーの周期的な揺動作動によるブリッジ防止手段を採用しているので、ブリッジの生成が促進しても回転レバーの揺動周期の調整によってタイミングのよいブリッジの破壊が可能であり、生成したブリッジは完全に解消でき、請求項1の手段と同様の作用効果が得られる。
【0032】
〔請求項11の手段〕
請求項11の手段によれば、ワークの搬送方向の上流側および下流側とも等速駆動される1式のベルトコンベアによって、ワークを1列に整列して搬送することを特徴としている。
【0033】
これにより、請求項10の手段と同様な作用効果が得られるが、1式のベルトコンベアにすることで、さらにコンパクトで安価な整列搬送装置が提供できる。
【0034】
〔請求項12の手段〕
請求項12の手段によれば、1式のベルトコンベアは、上流側の駆動速度より下流側の駆動速度が高速に駆動される可変速型であって、ワークを1列に整列して搬送することを特徴としている。
【0035】
これにより、1式のベルトコンベアの上流側および下流側の回転速度が可変速型であるので、ブリッジの生成は抑制されやすくなる。そして、ブリッジの生成が抑制されても、回転レバーの周期的な揺動作動によるブリッジ防止手段の揺動周期の調整によってタイミングのよいブリッジの破壊が可能であり、生成したブリッジを完全に解消できるので、さらにコンパクトで安価な整列搬送装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。実施例1に適用するワークは円筒体状のボールベアリングを対象とし、このワークを整列して搬送する整列搬送装置について説明する。
【実施例1】
【0037】
〔実施例1の構成〕
図1および図2は、本発明の実施例1を示したもので、図1はワーク整列搬送装置の全体の構成を示し、(a)は、模式平面図であり、(b)は模式立面図である。図2はワーク整列搬送装置の要部の拡大作動説明図であり、(a)はブリッジ生成時を、(b)はブリッジ解消時を示す。
【0038】
図1(a)において、本実施例で適用されるワーク整列搬送装置1は、基本的には搬送方向(図示左方向)に沿ってワーク2を搬送可能に移動させる第1ベルトコンベア3と、第1ベルトコンベア3の搬送方向の延長上に第2ベルトコンベア4とを備え、それぞれ所定の回転速度を有する第1および第2駆動源5、6によって搬送方向に回転駆動させられる。
【0039】
ここで、本実施例では、複数個のワーク2からなる数列を最終的に1列に整列する整列搬送装置であるので、第1ベルトコンベア3の回転速度よりも第2ベルトコンベア4の回転速度を大きくして、1列に整列する整列搬送スピードを速めて生産性を高めるとともに、第1ベルトコンベア3上のワーク2の詰まりを抑えるように構成しているが、これに限ることなく、第1ベルトコンベア3の回転速度と第2ベルトコンベア4の回転速度とは等速であってもよく、等速である場合には、第1ベルトコンベア3および第2ベルトコンベア4に分けることなく1式の長いベルトコンベアのみで構成されていてもよい。
【0040】
そして、搬送方向の上流側に位置する第1ベルトコンベア3の上方に、上流側に拡大し、下流側に縮小する1対のテーパ状の絞込ガイド7が備えられ、また、搬送方向の下流側に位置する第2ベルトコンベア4の上方に、絞込ガイド7の下流側の縮小部8と同幅を有する整列ガイド9が備えられている。この整列ガイド9は、ワーク2が所定の列数に整列する所定のガイド間隔Eを形成して配置され、本実施例では、1列に整列搬送する場合に適用するので、所定のガイド間隔Eは円筒体状のワーク2の外径Dより僅かに大きく設定される。
【0041】
また、第1ベルトコンベア3の上流側には、ワーク2を貯留するとともに、所定の傾斜を有して配設され、この傾斜に沿ってワーク2が自由落下することで第1ベルトコンベア3の上に定常的に供給するホッパー10が備えられている。そして、ホッパー10には搬送方向のワーク2が自由落下する開放端側に、落下するワーク2の個数と姿勢を調整する開閉シャッター11が備えられている。
【0042】
また、ホッパー10の搬送方向の開放端側の開放幅(横幅)Bは、絞込ガイド7の上流側の拡大部12の横幅と同等であり、ワーク2がホッパー10から落下して第1ベルトコンベア3の上流側に搬入するこの位置においては、ワーク2同士が詰まって滞留することは生じないようになっている。
【0043】
そして、この横幅Bを有するホッパー10には、ワーク2を縦横に整列して貯留したとき、横方向には少なくとも3列以上の列数を構成する横幅寸法を有しており、好ましくは、6ないし7列以下の密なる列数を構成するように、絞込ガイド7のテーパ角度αを大きくしている。これにより、より密なる列数を一気に1列に整列するのに搬送方向の絞込ガイド長さLを短くしてコンパクトに整列させることが可能となる。また、絞込ガイド7のテーパ角度αを大きくすることは、後記する2連および3連ブリッジが生成されたときに、それぞれのブリッジの生成位置が搬送方向に近接することとなり、従って、後記するブリッジ防止手段14の構成をコンパクトに納めることが容易となる。
【0044】
絞込ガイド7のテーパ角度αを大きくし、より密なる列数を一気に1列に整列するのに、上記するような効果が期待できるが、反面、絞込ガイド7の縮小部8の近傍でブリッジが発生しやすくなる。ブリッジが生成されると、その生成位置より下流側にはワーク2が流れず、整列が中断、停止して工程に不具合が生じることは既に述べた。従って、このブリッジの生成を解消する機構の採用が必要で、本実施例では、ブリッジ防止手段14が絞込ガイド7の縮小部8近傍の所定の位置に配設されている。
【0045】
ブリッジ防止手段14は、図2(a)に示すように、絞込ガイド7の上面で水平方向に揺動作動する回転レバー15、回転レバー15を所定の回転角θだけ周期的に揺動させるアクチュエータ16、アクチュエータ16の作動を伝達するリンク部17、およびブリッジの生成位置を特定する突起部19から構成されている。
【0046】
アクチュエータ16は、本実施例では、エアシリンダとエアシリンダ内に収容されるピストン(図示せず)とからなる周知のエアアクチュエータであり、高圧縮エアの供給を切り替えすることでピストンの往復ストロークを発生させ、このストロークをリンク部17によって回転作動に変換し、回転レバー15を絞込ガイド7の内側に揺動作動させるものである。なお、回転レバー15の周期的な揺動作動の周期は、後記するブリッジの生成頻度(つまり、ワーク搬送スピード)に対応して、速くしたり、ゆっくりしたり調整ができるようになっている。
【0047】
また、回転レバー15は、略矩形状の平板構造を有し、その一端部には回転作動のためのピンに軸支する軸穴を有し、回転レバー15の反軸穴方向の他端部側は幅方向に広がった幅広形状を有するとともに、幅広形状の内側の回転方向側には当接突起18が形成され、後記するブリッジを生成するワーク2の外径に確実に当接するように構成されている。
【0048】
また、回転レバー15の軸穴中心と反軸穴方向の他端部側との距離Aは、所定の寸法値を有しており、回転レバー15が絞込ガイド7の内側に所定の回転角θだけ回転したとき、回転レバー15の反軸穴方向の他端部側と絞込ガイド7のテーパ壁部との間隔Cが所定の寸法値となるよう決められている。
【0049】
これにより、図2(b)に示すように、少なくとも回転レバー15が絞込ガイド7の内側に所定の回転角θだけ回転してブリッジの生成を解消したときでも1個のワーク2は回転レバー15と干渉することなく素通りすることができ、また、ブリッジの生成がなくて回転レバー15のみが所定の回転角θだけ回転して揺動作動するときにも1個のワーク2は回転レバー15と干渉することなく素通りすることができるようになっている。
【0050】
また、回転レバー15が絞込ガイド7の内側に所定の回転角θだけ回転してブリッジの生成を解消する、または、しないに拘わらず、回転レバー15の他端部側が絞込ガイド7のテーパ壁部とラップする幅広形状に形成されるので、素通りするワーク2は、この幅広形状にガイドされ、滞留もしくは搬送方向に対して逆戻りすることなく定常的に搬送されるようになっている。
【0051】
さらに、上記したブリッジ防止手段14の特徴として、図2(a)に示すように、ブリッジ防止手段14が配設される絞込ガイド7の一方側のテーパ壁部の所定の位置に突起部19を設けている。この突起部19は、ワーク2がテーパ壁部に沿って移動するとき、ワーク2とテーパ壁部との接触摩擦力を格段に大きくして、ブリッジの生成が始まるならば必ずこの位置から発生するように特定したものであり、本実施例では3連ブリッジ(図示実線表示ワーク参照)の生成が可能なようにブリッジ間隔と同じテーパ間隔を有した位置に設けている。
【0052】
ここで、本実施例では、このブリッジ生成特定位置を3連ブリッジの生成が可能な位置を特定したが、これに限ることなく、2連ブリッジの生成が可能な位置を特定してもよい。2連ブリッジのブリッジ間隔は3連ブリッジよりも狭いので、テーパ間隔のより狭い下流側で3連ブリッジの生成位置より後流側(下流側)に位置することとなる。そして、2連ブリッジの生成を特定した場合にも、その特定した位置に回転レバー15を含むブリッジ防止手段14が配設されることとなる。
【0053】
また、本実施例では3連ブリッジの生成位置を特定したが、2連ブリッジ(図示2点鎖線表示ワーク参照)の生成が、3連ブリッジの後流側に生成することもある。しかし、2連ブリッジの生成は、2連ブリッジの生成位置に突起等を設けて特定していないので、必ずしもブリッジが生成するものではない。一般的に、テーパ角度αを大きくすることで、ワーク2の搬送方向と直交する横方向のテーパ間隔も広がるため、ワーク2同士の連結も起こり難くなり、また、下流側近傍での第2ベルトコンベア4の搬送速度が大きくなっていれば、このことよりワーク2同士の摩擦力による連結が破壊されやすく、さらに、3連ブリッジが特定位置に生成して後は、その後流側に2連ブリッジは生成し難くなると考えられる。
【0054】
つまり、本実施例にて採用する突起部19により特定される位置では、生成するのは3連ブリッジであり、2連ブリッジは生成し難い。2連ブリッジが生成するのは、回転レバー15の揺動作動の復路において、特定された位置に生成する3連ブリッジが再度生成する以前か、あるいは略同時(同じタイミング)に生成するもので、特定される位置に生成する3連ブリッジの下流側に生成するものである。
【0055】
そして、絞込ガイド7のテーパ角度αを大きくすればするほど2連ブリッジの生成位置を3連ブリッジの特定された位置に近接させることが可能で、例えば、互いの特定位置間隔をワーク2の外径D程度に近接させることは実用上可能であって、仮に、2連ブリッジおよび3連ブリッジが同時(同じタイミング)に生成しても、同一寸法の回転レバー15によって、同時に各ブリッジの生成を解消させることは可能である。つまり、回転レバー15を大型化しなくてもコンパクトのまま2連および3連ブリッジを共に解消でき、さらに、2連ブリッジのみが下流側に生成したときにおいても2連ブリッジ単独の解消が可能となる。
【0056】
なお、本実施例では、突起部19は3連ブリッジの生成を特定する位置に配設して3連ブリッジと3連ブリッジの下流側に生成する可能性のある2連ブリッジの解消を同一寸法の回転レバー15によって可能となすことを説明したが、突起部19を2連ブリッジの生成を特定する位置に配設して2連ブリッジの生成を解消する場合は、上流側に生成する可能性のある3連ブリッジの解消を同一寸法の回転レバー15によって共に解消できることは説明するまでもない。
【0057】
また、本実施例では、突起部19はブリッジ防止手段14が配設される同じテーパ壁部に配設したが、これに限ることなく、ブリッジ防止手段14が配設される対向側のテーパ壁部に配設されてもよく、また、双方に対称に配設されてもよい。また、アクチュエータ16は、往復動式のエアアクチュエータとリンク機構を採用したが、これに限ることなく、回転レバー15を揺動作動する機械的アクチュエータもしくは電気的アクチュエータであってもよく、揺動直動式アクチュエータであってもよい。
【0058】
〔実施例1の作用〕
次に、上記構成になる本実施例のワーク整列搬送装置1の作用を、図1および図2に基づいて以下に説明する。ワーク整列搬送装置1を起動すると、第1ベルトコンベア3および第2ベルトコンベア4が回転駆動される。第1ベルトコンベア3の上には、傾斜したホッパー10の開閉シャッター11が所定の開度だけ開き、貯留されたワーク2が複数個傾斜面に沿って落下し、ランダムに配列して供給される。ランダムに供給されたワーク2は、回転駆動される第1ベルトコンベア3の上を搬送方向に送られるが、幾つかのワーク2は搬送方向に真直ぐに流れ、他のワーク2は、テーパ状の絞込ガイド7のテーパ壁部と接触して、テーパ角度αに依存する横方向の移動を伴いながら、互いに接近して密となって下流側に流れる。
【0059】
このとき、本実施例では、ワーク2は円筒体のボールベアリングであり、外径を形成する外輪は滑らかな円形であり、内輪に対して玉軸受による回転が自在となって、テーパ壁部をすべり接触することなく、ころがり接触しながら下流側へ流れるので接触摩擦力は小さく、ブリッジの発生はし難い。同様に、ワーク2同士間の連結も、外径が回転を伴うために、ブリッジの生成には至らない。
【0060】
しかし、互いに接近して密となって下流側に流れるワーク2が、テーパ壁部に沿って突起部19が配置される特定位置まで移動すると、突起部19によって接触摩擦力が格段に大きくなり、ワーク2の移動が停止して、停止したワーク2に近接する別のワーク2が接触し、さらに、第3のワーク2がその隣のワーク2とタイミングよく3連ブリッジのブリッジ間隔を形成したときに、ここに3連ブリッジが生成され、タイミングが一致しなければ突起部19によって一時停止したワーク2も、第1ベルトコンベア3の回転駆動に対応して突起部19を乗り越えて下流側へと移動するものである。つまり、このとき、ブリッジは生成しない。
【0061】
一方、ブリッジの生成特定位置に配置されるブリッジ防止手段14は、上記した第1、および第2ベルトコンベア3、4の回転駆動とともに起動され、アクチュエータ16によって回転レバー15が周期的に所定の回転角θの揺動作動をする。従って、回転レバー15の往路では、図2(b)に示すように、3連ブリッジの生成されたタイミングでは、3連ブリッジの中央ワーク2の内側を当接突起18で押し戻すため、3連ブリッジは簡単に破壊され、解消される。また、3連ブリッジが生成されないタイミングでは、3連ブリッジは破壊されることはないが、回転レバー15の他端部側とテーパ壁部との間の間隔Cをブリッジの生成に関与しないワーク2が、回転レバー15と干渉することなく、しかも、回転レバー15の幅広形状によってワーク2が滞留もしくは搬送方向に対して逆戻りすることなく定常的に搬送される。
【0062】
また、図2(a)に示すように、2連ブリッジ(図示2点鎖線表示ワーク参照)が3連ブリッジの下流側に、同じタイミングに、または個別に生成されても、同様に、回転レバー15の揺動作動によって、2連ブリッジは、3連ブリッジと近接していることから内側から押し戻されて解消され、解消されたワーク2が、それぞれ順序よく整列ガイド9に送られて整列搬送される。
【0063】
〔実施例1の効果〕
本実施例では、第1ベルトコンベア3には、上流側に拡大し、下流側に縮小する1対のテーパ状の絞込ガイド7を備え、絞込ガイド7の一方側のテーパ壁部の所定の位置に、一方側のテーパ壁部から内側に回転移動する回転レバー15を有するブリッジ防止手段14を設け、かつ、絞込ガイド7の一方側もしくは他方側のテーパ壁部の所定の位置に、一方側もしくは他方側のテーパ壁部から内側に突出する突起部19を設け、突起部19はワーク2のブリッジ生成位置を特定し、さらに、第2ベルトコンベア4には、絞込ガイド7の縮小部8と同幅を有する整列ガイド9を備え、整列ガイド9はワーク2が所定の列数に整列する所定のガイド間隔Eを形成されて、絞込ガイド7の下流側の特定の位置のブリッジの生成を防ぎながら、ワーク2を整列して搬送する構成とした。
【0064】
これにより、ブリッジの生成が特定された位置より発生し、生成したブリッジは回転レバー15の周期的な揺動作動によって完全に破壊され、ブリッジの生成を解消しながら搬送方向にワーク2を整列させて、定常的に供給することが可能となる。
【0065】
また、テーパ角度αを比較的大きく設定することにより、特定される3連もしくは2連ブリッジと、その2連もしくは3連ブリッジに隣り合って生成するブリッジとの互いの生成位置間隔を近接させることが容易となって、同一形状の回転レバー15の揺動作動によって、同時に、かつ、完全にブリッジの生成の解消が可能となって、コンパクトで安価な整列搬送装置が提供できる。
【0066】
また、回転レバー15の有効長さを上記するように隣り合うブリッジの生成位置間隔と略同等の寸法値となし、また、回転レバー15の他端部側を幅広形状として所定の間隔Cを確保したので、周期的な回転レバー15の揺動作動によって、ブリッジが生成して破壊するときも、ブリッジが生成しないときも、常に、定常的な整列搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ワーク整列搬送装置の全体の構成を示し、(a)は模式平面図であり、(b)は模式立面図である(実施例1)。
【図2】ワーク整列搬送装置の要部の拡大作動説明図であり、(a)はブリッジ生成時を、(b)はブリッジ解消時を示す(実施例1)。
【図3】ワーク整列搬送装置の全体の構成を示し、(a)は模式平面図であり、(b)は模式立面図である(従来例)。
【図4】ワーク整列搬送装置の要部の拡大説明図であり、ブリッジ生成時を示す(従来例)。
【符号の説明】
【0068】
1 ワーク整列搬送装置
2 ワーク
3 第1ベルトコンベア
4 第2ベルトコンベア
5 第1駆動源
6 第2駆動源
7 絞込ガイド
8 縮小部
9 整列ガイド
10 ホッパー
14 ブリッジ防止手段
15 回転レバー
19 突起部
E ガイド間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの搬送方向の上流側にワークを搬送可能に移動させる第1ベルトコンベアと、該第1ベルトコンベアから搬送される前記ワークを引き続き搬送する第2ベルトコンベアと、前記第1ベルトコンベアおよび前記第2ベルトコンベアをそれぞれ付勢する第1および第2駆動源と、前記第1ベルトコンベアに複数個の前記ワークを一時的に貯留するホッパーと、を備えるワーク整列搬送装置において、
前記第1ベルトコンベアには、上流側に拡大し、下流側に縮小する1対のテーパ状の絞込ガイドを備え、
該絞込ガイドの一方側のテーパ壁部の所定の位置に、前記一方側のテーパ壁部から内側に回転移動する回転レバーを有するブリッジ防止手段を設け、
かつ、前記絞込ガイドの一方側もしくは他方側のテーパ壁部の所定の位置に、前記一方側もしくは他方側のテーパ壁部から内側に突出する突起部を設け、
該突起部は前記ワークのブリッジ生成位置を特定し、
さらに、前記第2ベルトコンベアには、前記絞込ガイドの縮小部と同幅を有する整列ガイドを備え、
該整列ガイドは前記ワークが所定の列数に整列する所定のガイド間隔を形成されて、
前記絞込ガイドの下流側の特定の位置のブリッジの生成を防ぎながら、前記ワークを整列して搬送する構成としたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク整列搬送装置において、
前記回転レバーは、周期的に繰返し揺動作動することによって、前記ブリッジの生成を解消することを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワーク整列搬送装置において、
前記突起部は、前記ワークが互いに3個連結して繋がる3連ブリッジ、もしくは、前記ワークが互いに2個連結して繋がる2連ブリッジのいずれかのブリッジの生成を特定した位置に配設されることを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記回転レバーは、前記3連ブリッジが生成する位置と、前記3連ブリッジの下流側の前記2連ブリッジが生成する位置との間の距離と略同等の寸法長さを有し、1回の揺動作動によって、前記2連ブリッジおよび前記3連ブリッジを同時に解消するように構成されたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記絞込ガイドは、所定のテーパ角度をなすように上流側に拡大し、下流側に縮小して配置されたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記回転レバーは、前記3連ブリッジの中央ワークを押し戻す当接突起を回転方向の当接側に設けたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記回転レバーは、所定の回転角だけ揺動するとき、前記回転レバーの他端部側は、少なくとも1個のワークが通過する間隔を、前記回転レバーが配設される前記絞込ガイドの対向側の前記テーパ壁部との間に形成するように構成されたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記回転レバーは、所定の回転角だけ揺動するとき、前記回転レバーの他端部側は、前記一方側のテーパ壁部とラップする幅広形状に構成されたことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク整列搬送装置において、
前記ワークは、前記ホッパー内および前記第1ベルトコンベアの上流側では3列以上で搬送され、前記第2ベルトコンベアの下流側では1列に搬送されることを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項10】
請求項1に記載のワーク整列搬送装置において、
前記第1ベルトコンベアおよび前記第2ベルトコンベアは共に同一速度で回転駆動されることを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載のワーク整列搬送装置において、
前記ワークの搬送方向の上流側および下流側とも等速駆動される1式のベルトコンベアによって、前記ワークを1列に整列して搬送することを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載のワーク整列搬送装置において、
前記1式のベルトコンベアは、前記上流側の駆動速度より前記下流側の駆動速度が高速に駆動される可変速型であって、前記ワークを1列に整列して搬送することを特徴とするワーク整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−1128(P2010−1128A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161192(P2008−161192)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】