一体化されたパターシステム
【課題】正しい持ち方を妨げず、正確に照準可能なパタークラブを提供する。
【解決手段】解剖学的に正しい形状であり、パター100の適切な握りを促すグリップ110と、第1端部及び第2端部を備え、前記グリップ110がシャフト102の第1端部に取付けられるシャフト102と、前記シャフト102の第2端部に取付けられるホーゼル108と、ホーゼル108に取付けられるとともに打撃面120を有するヘッド104と、前記シャフト102上にヘッドを精度よく組み立てることを保証するパター100の調整部を備える。
【解決手段】解剖学的に正しい形状であり、パター100の適切な握りを促すグリップ110と、第1端部及び第2端部を備え、前記グリップ110がシャフト102の第1端部に取付けられるシャフト102と、前記シャフト102の第2端部に取付けられるホーゼル108と、ホーゼル108に取付けられるとともに打撃面120を有するヘッド104と、前記シャフト102上にヘッドを精度よく組み立てることを保証するパター100の調整部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一体化されたパターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
初期において、ゴルフは世界中のエリートクラスのメンバにとって好まれるスポーツであった。しかしながら、1950年代後半のアーノルドパーマ以来、このスポーツの人気は急速に上昇し、たくさんのゴルフコースが建設され、労働者階級による増加する需要に応えるものとなってきた。このようにして、ゴルフが貴族階級のためのものであるという認識は消滅するものとなった。今日、ゴルフは、世界中のゴルフコースで、社会のあらゆる層の人々によって愛されるものとなっている。ゴルフに対する公衆の一般的興味は、ゴルフトーナメントのメディアへの露出やプロゴルファに与えられる突出したステータスによっても明らかである。
【0003】
愛称としてクラブ或いは「スティック」と称されるが、クラブはゲームの楽しみのために必要な道具のうち必要不可欠なものである。クラブは、理想的には様々な地形に適応し、様々な距離、個々のスタイル及び特定のショットにおける選択のために、様々な設計形態で利用可能である。クラブは大きく3つのカテゴリに分類されうる。即ち、ウッド(或いは、メタル)、アイアン及びパターである。メタルは通常ロングショットのために用いられ、ボールを300ヤード飛ばすことができ、熟練したゴルファによればそれ以上の飛距離を出すことも可能である。アイアンは長距離、中距離、短距離のために用いられる。
この場合、精度が最も重要であり、地面からボールを上昇させる大きなフェースアングルを有する場合もある。例えば、バンカからのショットや草が覆い茂る丘からのショットの場合である。メタル及びアイアンは数字で分類され、該数字はこれらの打撃面のフェースアングルやシャフトの長さによって定められる。パターは様々な短距離のショットやグリーン表面に近づけるために用いられる。パターで打たれたボールが滑り、それから地面を転がることが理想的であり、任意の所望の距離において空中に浮かないことが望ましい。
【0004】
パターはショートレンジのショットに用いられるけれども、非常に高い精度と感触をもたらすように設計されている。これは、可能限り小さなストロークでホール内にボールを転がすためである。これを達成するために、ゴルファは力及び方向を見定め、これらをパターに伝達させる。そして、ボールの経路の表面の凹凸の影響に抵抗することなしに、ボールは所望のスピードと方向で移動する。このことを一定不変に行うことは非常に複雑で困難なことである。もし、ボールを転がし、適切な経路に沿ってパターをスイングするときに、ゴルファが適切なグリップ、スタンス及び身体の回転を維持するならば、パットの成功の可能性は上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパターは30年から70年に構築された設計デザイン哲学を反映し、典型的には一定に繰り返し可能なストロークをゴルファがなせるようにいくつかの特徴を備えている。しばしば、パターの設計はクラブそれ自体の正しい持ち方を妨げるものとなっている。いくつかの場合において、パターはゴルファがより正確に照準可能なように、視認可能な線あるいは溝状の目印を有している。しかし、このような特徴は、しばしばゴルファを混乱させ、惑わせ、間違った照準に合わせさせるものとなっている。加えて、従来のパターは、多くの構成要素から形成されている。このことは、組立において低い精度をもたらしやすい。そして、パターでボールを打つときに、必然的に狙った部分からの誤差を生じせしめる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パターは、適切な握りを促す解剖学的に正しい形状を有するグリップと、第1端部と第2端部を備えるとともに第1端部にグリップが取付けられるシャフトからなる。ホーゼルはシャフトの第2端部に取付けられる。ヘッドはホーゼルに取り付けられる。該ヘッドは打撃面とパターの調整部を備えている。該調整部はシャフトへのヘッドの正確な組立を保証するためのものである。
【0007】
さらに、ゴルファのパットを補助するパターシステムは、ゴルファの手と解剖学的に適合するグリップを備え、該グリップは、握ったときに選択された方向へ選択的に方向付けるものである。グリップから延設するシャフトはシャフトの好適な回転方向を視覚的に示す表示を備えている。ヘッドはシャフトと一体に組み込まれ、ゴルファにヘッドの好適な方向を指し示す視覚的表示を備えている。また調整部は正確にヘッドをシャフトに対して配列させる。
【0008】
加えて、ゴルフクラブのグリップは一体部材からなり、その端部はゴルフクラブのシャフトにグリップを取り付け可能としている。一体部材は、一体部材の長さに沿ってグリップの適切な握りを促す解剖学的に正しい形状をしている。ゴルフクラブのシャフトは、ポリマ及び複合材料うち1つから形成される一体部材を備え、該一体部材はゴルフクラブのグリップに取付けるためのシャフト部分とゴルフクラブのヘッドに取付けられるためのホーゼル部分を備える。シャフト部分はヘッド方向部を備え、該ヘッド方向部はヘッドの方向を強調する。パターのヘッドは、本体部を備え、該本体部はポリマ及び複合材料のうち1つから形成される。本体部は打撃面及びボール照準部を有している。ボール照準部は、ヘッドとボールとの間の適切な関係を促す。
【0009】
パターの製造方法は、パターのグリップを成型する工程と、パターのシャフトを成型する工程とを有する。該シャフトはシャフト部分とホーゼル部分を有する。またパターのヘッドを成型する工程を有し、該ヘッドは打撃面を備える。さらにパターの調整部を形成する工程とヘッドをシャフトのホーゼル部分に取付ける工程を備える。調整部はヘッドとシャフトの正しい配列を保証するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一体化されたパターの一実施形態を示す外観図である。
【図2】図1の一体化されたパターを示す側面図である。
【図3】図1の一体化されたパターを示す正面図である。
【図4】図1の一体化されたパターを示す平面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】図2のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明に係る一体化されたパターのヘッド部分の外観図である。
【図9】図7のヘッド部分を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るヘッド重量システムを示す外観図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るハンドル重量システムを示す外観図である。
【図12】本発明に係るヘッド重量システムの他の実施形態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の説明および添付図面を参照することによって、さらに理解されるであろう。なお、以下の説明および添付図面においては、同種の構成要素は、同一の参照番号で指し示されている。
【0012】
本発明の実施形態は、その概念的要素から組立てを容易にすることまで、および正しい使用を合わせたパターを含む。例えば、ゴルファがパターを正しく握るのを助ける特徴を含む要素も含まれるし、スイング中の正しいスタンスおよび身体のアラインメントを促す要素も含まれ、また、パターのフェースおよびヘッドとボールとの位置調整を容易にする要素も含まれる。本発明の他の設計上の特徴は、パターの組立ておよび個々のプレイヤの好みや様々なプレー・コンディションに応じたパターのカスタマイズを容易にすることである。
【0013】
本発明のパターの全体が、図1乃至図4に記載されている。本発明の典型的な実施形態によれば、パター100は、パッティング・システムとして統合されるように設計されたグリップ110およびシャフト102、ホーゼル108、ヘッド104を含み、それぞれの構成要素が共に動作して使用者に望ましい利益を与える。これらの構成要素は別々に作製され組立工程において結合されるようにしてもよいが、以下に充分に説明される通り、それらの特徴は、同時に作用する。
【0014】
図面に示されている典型的な実施形態において、シャフト102およびホーゼル108は、一つの単一的な部品として、あるポリマから作製されるようにしてもよい。例えば、前記ポリマは、熱可塑性の材料あるいはどのような種類の公知のポリマもしくはポリマ複合材料であってもよい。シャフト102およびホーゼル108を形成する工程は、例えば、射出成型あるいは加圧成型、他の成型方法であってもよいし、押出し成型、フィラメントワインディング、シート・ラッピングなどであってもよい。ホーゼル108は、シャフト102とヘッド104を接続するように形づくられており、以下に記載される通り、シャフト102とヘッド104との間の適切な向きと位置関係を確実なものにする。グリップ10もまた、シャフト102やホーゼル108と同様の製造方法を用いてポリマから
作製することができる。グリップ110は、例えば、シャフト102上にグリップ110を成型することによって、シャフトに固定してもよい。このようにして、グリップ110とホーゼル108とは、長さを変えることのできるシャフト部の両反対端に位置することとなる。
【0015】
ホーゼル108は、ヘッド104の開口部118に挿し込まれ、パター100の組立を完成するようにしてもよい。図9に示されているように、ヘッド104は、平らな平面に形成された打撃面120を有する。一般的に、パターをスイングする前には、ゴルファは、ヘッド104をボールの近くに下ろし、ボールが転がってゆく望ましい方向と垂直になるように打撃面120を揃える。また、その際にゴルファは、ボールが打撃面120の中心に位置していることを確実にする。パターをスイングするときに、ゴルファは、ヘッドがボールの辿るべき方向と同じ方向へ動くように、上記と同じ方向にヘッド104でボールを打とうと試みる。パター100の各部については、以下に詳細に記載されている。
【0016】
グリップ110は、プレイヤがパターを握るのに、解剖学的に正しく快適な把持を提供できるよう設計されている。さらに、グリップ110は、適切な方向へ向けてパターを握るのを促し、ヘッドが自然と適切な方向へ向いてボールを正しく打つことができるようになっている。典型的な実施形態において、グリップ110は、図5に示されるようにカルジオイド(ハート形)に形成された断面を有する。カルジオイド形状は、図5において、第三端部135よりも小さい半径をもつ2つの端部131および133を有する三側面形状として示されており、側面130および132、134は、端部131および133、135の円弧間を滑らかに遷移するように略曲線あるいは円弧の形状を有している。当業者であれば、“三側面”という用語は必ずしもどの側面も平らあるいは平坦であるということ意味するものではない、ということを理解できるであろう。実際、現在の全米ゴルフ協会(USGA)の規則によれば、グリップの一側面の全体が平面であってもよいとされている。図面を見れば分かる通り、本発明の典型的な実施形態は、全く平坦な側面を有していない。パター100が正確に整列されているとき、大きい円弧135の反対にある側面134は、ヘッド104のボール打撃面120と実質的に垂直になっている。このグリップ110のカルジオイド形状は、プレイヤの両手が身体の前で合わされ棒状の構造のものを包むようにしたときに自然とつくる形状と調和する。結果として、両手や手首、前腕部に過度のストレスや緊張を引き起こすことなく、プレイヤの両手は、グリップ110の周囲に快適に適合する。
【0017】
図5に示されるとおり、グリップ110の断面形状は、断面形状に対して垂直である平面137について対称となっているので、グリップ110のカルジオイド形状はさらなる利点を提供する。典型的な実施形態におけるグリップ110は非テーパ形状になっているので、平面137は、グリップ110の全長に沿って端部135および面134を切ったものである。従って、グリップ110は、キャップ部112から遷移部114の始端まで同じ直径を有する。さらに、平面137は、パター・フェース120の平面と平行になっている。以下により詳細に記載される通り、パター・フェース120はわずかなロフト角を有していてもよいが、ヘッド104の上面194の平面と垂直なフェース120の中心
点A(図2参照)が位置する平面がある。平面137は、フェース120の中心点Aが位置するこの平面と平行である。
【0018】
グリップ110は、平面137について対称であるから、プレイヤの生理によって命令された方向に快適に握ることができる。これにより、パター100が正しい方向に向けて握られているかどうかを、プレイヤにすぐさま知らせることができる。なぜならば、間違った方向に向けて握られていると、グリップ110は不快に感じられ、ヘッド104およびフェース120は間違った方向に向いているからである。プレイヤは、自然とグリップ110が快適に感じられるまでパターを回すであろう。平面137はフェース120の平面と平行となっているので、このグリップの快適な握りは、パター100の適切な方向をも提供する。すなわち、フェース120は、パッティング・ストロークの間、ヘッド104の動きと平行となる。さらに、典型的な実施形態におけるグリップ110は非テーパ形状になっているので、プレイヤは、グリップ110の全長のどの箇所を握っても上述の特徴を利用することができる。例えば、背の高いプレイヤはよりキャップ112に近い側でグリップ110を握ってもよいし、一方、背の低いプレイヤは、より遷移部114に近い側でグリップ110を握ってもよい。いずれの場合においても、プレイヤの両手はグリップ110の周囲に快適に適合し、フェース120のアラインメントは、正しい状態にある。
【0019】
グリップ110のカルジオイド形状は、自動センタリング機能をも提供する。図5の断面図に示されている端部131および133、135と面130および132、134は、ゴルファがグリップ110を握ったときにゴルファの両手の手のひらと指によって形づくられる曲線と適合する。もし、パター100が理想的な方向から遠ざかる方向へわずかに回転すると、端部および面130乃至135を握るときにプレイヤの両手によって加えられる力が、パター100を適切な方向へ戻そうとする。グリップ110の形状は、グリップ100とシャフト102の長手方向の軸をプレイヤの両手のひらのつくる軸と整列した状態に配置している。これにより、プレイヤの両手にかかるストレスが除去され、より快適な把持が提供される。
【0020】
グリップ110のカルジオイド形状はまた、パター100をスイングする間、プレイヤの両手首の孤立を考慮に入れている。すなわち、プレイヤの手首は、パター100をスイングする間、感知できるほどにはその状態を変えない。パットをするときのプレイヤにとっての理想的な身体の姿勢は、パターを握る両手が二等辺三角形の第1の角を作るようにし、両腕のそれぞれが辺となり肩部まで上って残りの2つの角を作るようにした二等辺三角形を形成することである。最後の辺は、2つの肩を結ぶ胸部を横切る想像上の水平線である。プレイヤは、バックスイングからボールを打つためにパターを前方へ振り出し、ボールの位置を通過してストロークを終えるまで、このトライアングルを維持すべきである。グリップ110を握るときに両手首を孤立させることは、プレイヤがパッティングの全
体を通じてこのパッティング・トライアングルを維持することを可能にするのである。
【0021】
グリップ110は、異なったプレイヤの手にも適応するよう、いくつかの寸法に形成してもよい。例えば、図5に示される距離‘d’は、約1〜1 3/4インチとすることができる。パターのグリップについての現在の最大寸法は、全米ゴルフ協会の規則に定められている。パターについては、この許された寸法は、最大径1 3/4インチの最大寸法‘d’に相当する。典型的な実施形態において、最大寸法‘d’は、対称軸137と一致する。しかしながら、異なった形状のグリップとする場合には、対称軸ではない最大寸法‘d’を考慮してもよい。示された典型的な実施形態においては、どのような許されたグリップサイズ(‘d’)も同一のシャフト102およびホーゼル108にも接合できるように、グリップ110は、シャフト102およびホーゼル108とは別個に形成されている。このように、製造工程においては、例えば上述のグリップサイズのどれにも適応するように、ただ一つの型のシャフト102やホーゼル108を作製すればよい。望ましいグリップサイズは、例えば、シャフト102上にグリップ110を成型することによってシャフト102およびホーゼル108に接合されるようにしてもよい。
【0022】
グリップ110はポリマから作製することができるので、グリップの重量は全てのグリップサイズについて同じにすることができる。したがって、それぞれのグリップサイズについて再度パターのバランス調整をする必要がない。より小さいグリップ110のポリマには、より大きいグリップ110と同じ重さになるように、金属(例えば、アルミニウム、タングステンなど)あるいは他の材料を含浸させてもよい。当業者であれば、どのような寸法のグリップにも金属あるいは他の材料を含浸させられることを理解できるであろう。さらに、グリップ110は単一の部品として形成されかつシャフト102上に成型されているので、クラブの運動感覚は、直接的にプレイヤの両手に伝わる。パター100の他の部分からプレイヤの両手を絶縁するための追加のグリップ材料(例えば、シャフト上に
付加するラバー製のグリップなど)はいらない。
【0023】
グリップ110に関する上述の特徴は、例えばトラディショナル・グリップや逆オーバラッピング・グリップ、クロー・グリップなど、どのようなスタイルのパター100の握り方にも適用できる。さらに、グリップ110の特徴は、例えば長い指/小さい手のひらや短い指/大きい手のひらなど、指と手のひらの長さの比率に関係なくどのようなプレイヤでも享受できるものである。グリップの長手方向の長さは、異なったプレイヤの好みに応じてどのような寸法にしてもよい。
【0024】
図5に示される通り、グリップ110は、グリップ110内に内面壁によって形成されおよそグリップ110の外側と同じカルジオイド形状の空洞部136をも含むようにしてもよい。空洞部136は、例えば、円形や卵型など、他のどのような形状にしてもよい。以下により詳細に記載される通り、この空洞部136は、パター100の重量システムを含むようにしてもよい。着脱可能なキャップ112も、空洞部136を閉じるために含むことができる。グリップ110にはまた、プレイヤにより良い感覚を提供するため、浮き模様を施してもよい。
【0025】
遷移部114は、グリップ110とシャフト102が接合されるグリップ10の下部とシャフト102の上部との間に形成してもよい。グリップ110とシャフト102は、異なった断面形状を有していてもよく、遷移部114が、2つの部分の形状を滑らかに融合させて、突然の形状変化により引き起こされる応力集中を避けることができ、かつ満足な外観を得ることができる。本発明の典型的な実施形態においては、グリップ110は、遷移部114においてシャフト102上に成型してもよい。
【0026】
シャフト102の機能は、第一には構造的なものであり、パター100に適当な長さと剛性を与えることである。典型的な実施形態においては、シャフトの長さはおよそ18インチである。しかしながら、シャフト102は、異なったプレイヤの好みに応じて異なった長さに形成してもよい。シャフト102は、ショットを行う際に気が散らないように、またより満足な視覚的外観を有するように、グリップ110の断面よりも小さい断面を有するようにしてもよい。上述の通り、シャフト102は、ポリマ成型工程によりポリマで作製してもよい。それにより、シャフト102は、継ぎ目のない単一部品とすることができ、シャフト部に継ぎ目のあるパターよりも、構造的により完全なものとなる。シャフト102は、中実のポリマ部品としてもよいし、グリップ110に関して記載した空洞部136と同様に様々な形状の空洞部を有するようにしてもよい。
【0027】
シャフト102は、パター100全体の剛性を定める大きな要因となり、従ってスイングの際に望ましくない反りや捩れを防ぐために非常に堅くされるべきである。特に、USGA規則は、シャフト部分が試験重量の下で互いに直交する方向に同じ量だけ反らなければならないことを規定している。この要求は、例えば、シャフト102を、試験重量の下でどの直交方向においても全く反らないか極僅かだけ反る十分な堅さに作ることにより適合することができる。中実のシャフトは、シャフト内の望ましくない高調波を除去するので、空洞部を有するシャフトに比べてより高い剛性と、プレイヤに高められた感覚のフィードバックを付与することができる。
【0028】
ヘッドの方向部は、本発明による典型的な実施形態のシャフト102に組み込むことができる。ヘッドの方向部は、ゴルファに、視覚的にゴルファの手に対するヘッド104の方向を知らせるために設計される。例えば、ヘッドの方向部は、シャフト102の形作られた上面140を含む。形作られた面140は、凸面とすることができ、シャフト120の上面を形成することができる。この例では、シャフト102は、卵形又は楕円形の上部を形成する形作られた面140を備えた、略2軸に関して対称的な卵形又は楕円形として形作られた断面を有することができる。図6は、形作られた表面140と端部142を備えたシャフト102の断面図を示している。パター100の製造の際、卵形又は楕円の長軸がヘッド104の所望方向に配置されるように、シャフト102が組み立てられる。例えば、長軸はスイング中のヘッド移動の好ましい方向と平行とすることができる。この方法においては、ヘッドの方向部は、ゴルファがスイング前又はスイング中にヘッドを正確に配置することを助ける。
【0029】
ゴルファがシャフト102に沿って、パターのヘッドとゴルフボールを見る時、形作られた面140は、ヘッドが適切に、即ちパター100によりボールに与えられるべき動きの所望方向に垂直な打撃面120をもって配置されているかどうかについて直ぐにフィードバックを与える。この方向はまた、通常、スイング中のヘッドの意図された動き方向と平行である。もし、形作られた面140が凸面である場合、目が端部142に対して形作られた面140の頂点位置を認めることができるので、シャフト102の非常に小さい回転量を大きく見せるのに役立つ。ゴルファは、それからパターヘッド104の所望方向からのいかなるズレも修正することができる。形作られた面140はこのように、ゴルファがヘッドの方向部に集中することなく、直ちにゴルファにシャフト102とそれに連結されたヘッド104の適切な方向を知らせることができる。本発明のこの典型的な実施形態によるこのヘッド方向部は、パットを成功させるために必要な他の要素に集中することからゴルファの気をそらさせない。
【0030】
更に、シャフト102からの視覚的フィードバックはまた、プレイヤの身体の好ましい方向についても考慮する。図2に示すように、プレイヤがパッティングの前にボールをアドレスする時のように、ヘッド104の底部が地面に平行な時、シャフト102の中心線123(即ち、シャフト102の長軸)は、地面に対して傾斜した平面内にある。この角度は、シャフト102の中心線123とヘッド104の中心の交点での角度である。この角度は、シャフト102とホーゼル108の方向に基づく本発明によるパターの異なる実施形態については異なっている。もし、形作られた面が平らであれば、この平らな面は中心線123について述べられた平面に平行な平面内にある。しかしながら、典型的な実施形態が凸面として形作られた面140を示しているので、形作られた面140と垂直に交わり、中心線123について述べられた平面と平行である一連の平行な平面が存在する。パッティングについて好ましい方向は、同じ平面或いはこれらの平面と平行な平面内にプレイヤの身体がある。例えば、プレイヤがボールをアドレスする時、膝は膝と尻の間に平面を形成する脚と共に曲がらなければならない。この脚の平面は、中心線123について述べられた平面と平行でなければならない。もし、プレイヤが形作られた面140から配列が正確ではないという視覚的フィードバックを受け取ったならば、この膝の曲がりは、身体とパターを直線上に並べるために、プレイヤが修正する一つの要素であろう。
【0031】
更なる例においては、プレイヤがグリップ110を握ったとき、腕は手から肩領域を通る平面を形成する。シャフト102の設計が、プレイヤがパッティングの時に正確にこの面に向くことを保証する限り、グリップ110の設計は、腕がこの平面を形成することを保証する。プレイヤによる好ましい配列は、中心線123について述べられた平面と同じ或いは平行な平面にある、腕により形成される平面となる。再び、もしもプレイヤが形作られた面140から配列が正しくないという視覚的フィードバックを受け取ったならば、プレイヤは身体とパターを直線上に並べるために、腕と上体の配列の修正を考慮することができる。
【0032】
プレイヤがシャフト102からの視覚的目印を用いて好ましい配列を達成してボールを打った時、パターフェイス120の動きは、平行な各平面の直線上にある。例えば、図2に示すように、中心線123について述べられた平面は、ヘッド104上の点Aを通過する。もし、プレイヤの配列が、シャフト102の視覚的目印により示されたように修正されたならば、パッティングストローク中の点Aの動きは、中心線123について述べられた平面内に残ったままとなる。従って、シャフト102は、好ましい身体の配列と好ましいヘッド104の配列をもたらす。
【0033】
この典型的な実施形態は凸状に形作られた面140を説明したが、他の形状も適用可能である。例えば、丸みを帯びた三角形表面、或いは多面表面もまた、シャフトの回転角度における非常に小さい変化を認識するために必要な所望の視覚的コントラストを提供する。シャフト102について適用できる他の形状の例は、円形、円に近い形状(例えば、円に近い多面多角形)、全ての形状の卵形(例えば、長軸と短軸を変化させる)、長方形、正方形、星形などの断面を有する形状を含む。別の典型的な実施形態では、形作られた面140は、提供される視覚的コントラストを最大化するコーティング或いは浮き模様をもって仕上げることができる。例えば、異なる色又はシャフト処理(例えば、ローレット仕上げ)が、パター100が適切に配列されていないときにプレイヤが見る、視覚的コント
ラストを更に増加させるために使用されることができる。
【0034】
シャフト102は、テーパ状又は非テーパ状とすることができる。非テーパ状のシャフトは、シャフト102の全長に沿って同じ断面を有する。テーパ状のシャフトは、いずれかの方向のテーパとすることができる。即ち、ホーゼル108近傍よりグリップ110近傍の断面が大きいか若しくはグリップ110近傍よりホーゼル108近傍の断面が大きいかである。シャフト102のテーパは、シャフト102の剛性が保たれる限り、シャフト102に滑らかな外観を与える非常に小さい段階をもってテーパが増加される。第二の遷移領域116は、シャフト102とホーゼル108を連結している。遷移領域116は、示された典型的な実施形態では異なっている、シャフト102の形状からホーゼル108
の形状まで滑らかに変化させる目的を有している。第一遷移領域114の場合と同様に、第二遷移領域116は、応力集中を回避し、パターがより美的アピールを有するために、構成要素の形状が突然変わることを回避している。
【0035】
別の典型的な実施形態では、シャフト102は中実コアの周りがモールドされたポリマ材料(或いは他の複合材料)で作られてもよい。中実コアは、いかなる材料、例えば金属、ポリマ等でつくられてもよい。シャフト102と中実コアはいかなる形状でもよい。例えば、シャフト102は上述され図示されたような形状とすることができる。これに対して、中実コアは、同じ断面又は円形断面を有することができる。そのような中実コアシャフト(又は全ての中実シャフト)は、ボール打撃の音と感覚の伝達速度を増加させることができる。従って、プレイヤは、中空シャフトに比べてより迅速にフィードバックを受け取ることができる。当業者は、グリップ110が同じ方法、即ち中実コアの周りがモールドされたポリマ(又は他の複合材料)で形成され得ることを理解するであろう。
【0036】
別の典型的な実施形態では、シャフト102は、シャフト102を強化するための突出リブを有することができる。このリブは、シャフト102を強化する或いはプレイヤに視覚的コントラストを提供する、一連の平行な円形リブ、直線状の長さ方向リブ或いは他のいかなる形状の突出リブでもよい。リブの付加は、シャフト102について一定でない表面を形成する。これは、シャフト102の調整部について視覚的コントラストを付加する。当業者は、例えばハニカム形、長方形等の他の種類の突起もまた同じ特徴を提供することを理解するであろう。
【0037】
本発明の典型的な実施形態で示されたホーゼル108は、シャフト102にヘッド104を連結する他に幾つかの目的を有している。例えば、調整部118は、ホーゼル108とヘッド104の界面に含まれることができる。この調整部は、ヘッド104がパター100の構成要素が組み立てられた後、シャフト102に対して正しい方向にあることを保証する。上述の如く、シャフト102とグリップ110は、ゴルファがヘッド104を配列するのを助けるための様々な補助をする。上述したように、これらの補助は、解剖学的に形作られたグリップ110と形作られた表面140を含んでいる。従って、調整部118は、他の補助が効果的となるように、パター100が正確に組み立てられることを保証する。調整部118はまた、2つの構成要素を結び付けるための組み立て行程を容易にし、そのため完全なパター100は安価に組み立てることができ、製造において誤る機会が殆どない。この特徴はまた、どれかの部分或いはヘッド104が損傷した場合に、グリップ−シャフト−ホーゼル部分の容易な取り換えを許容する。
【0038】
一つの典型的な実施形態では、調整部118は、ヘッド104内に形成された対応して形作られている凹部と協同する、ホーゼル108の底部の一定方向の形状を含む。例えば、図7に示すように、ホーゼル部108の底部は卵形の断面を有し、ヘッド104の卵形開口部に適合する。他の形状もまた、示された卵形断面の代わりに利用することができる。一方向のみに組み立てが許容される全ての形状が、この目的のために適用可能である。更に、調整部は、ホーゼル108のヘッド104への挿入深さを限定又は調整する特徴を含んでいる。例えば、ヘッド104のある深さまで挿入できるが、ホーゼル108がヘッド104への更なる挿入には大き過ぎるためにそれ以上はできないホーゼル108上のテーパがあってもよい。この特徴はまた、パター100の組み立てを容易にする。ホーゼルの長さは、USGAにより規定された限度内で変えることができる。
【0039】
ホーゼル108はまた、更にゴルファがボールを打つために適切な方向でヘッド104を配列することを助ける。図4及び7に示された典型的な実施形態では、ホーゼル108は、断面の前部に沿う円弧中心点150を有する半径により形成された円弧を有している。ゴルファがシャフト102に沿ってボールを見るとき、円弧中心点150は、ボールが打たれるべきヘッド104の前部を示す側面152の間の直線として現われる。もし、パター100が正確に向いていれば、円弧中心点150の直線は両側面152の間の中心にあり、ボールに向いている。もし、パター100が正確に向いていなければ、円弧中心点150と側面152はヘッド104がボールを打つために適切に配列されていないことを示す対称像を形成しない。
【0040】
シャフト102のヘッド方向部が、形作られた面140と直線状の円弧中心点150の両方を含む実施形態では、特に効果的な配列方法が提供される。この形態では、形作られた面140の視認された頂点が円弧中心点150と並んだ時、ヘッドに向く連続的な直線が視覚的に現われ、ゴルファはヘッド104が適切に配列されていることを確信する。この配列は、適切に配列されたときにゴルファに照準効果を与える。この配列方法は非常に直感的に認識させ、パターをスイングするという主の仕事からゴルファの気を殆ど散らさせない。
【0041】
ホ−ゼル108及び第2遷移領域116は、オフセットを形成する。前記オフセットは、シャフト102とヘッド104の間に形成され、図2に示される。このオフセットによって、ホーゼル108がヘッド104に取り付けられ、前記ホーゼル108は、ヘッド104の縁付近に取り付けられる。図2の点Aで示すように、上記した調整部は、直接的に打撃面120の中央部に向かっている。図2で示すように、シャフト102の中心線123は、直接、点Aを通ち抜ける。円弧の中心点150及び湾曲表面140の頂点が理想的
な打撃表面の方向を向いていることが有益である。このことは、ボールに対してヘッドを調整することを容易にする。このホーゼル・オフセット(角度)を減らすことも増やすことも可能であり、或は、ホーゼル108は、オフセットを有しない又は1つのオンセットを有することもある(例えば、オフセットの角度と反対の角度)。
【0042】
さらに、ホーゼル108の長さと形状は多様である。例えば、ホーゼル108に適応する形状の他としては、様々な断面を例示できる。前記断面とは、円形、ほぼ円形(例えばほぼ円形の多面多角形)、あらゆる卵型(例えば長軸と短軸の長さが多様である)、長方形、正方形、星型等が挙げられる。第2遷移領域116もまた、シャフト102からホーゼル108にかけて図で示したものと異なった方法で変形される。例えば、遷移領域116はより急傾斜(即ち短い長さにおいてシャフト102がホーゼル108に変形する。)である可能性がある。他の実施例として、シャフト102とホーゼル108は、遷移領域116において方向付けされるオフセットを有さず、同じ断面の形状を持つ可能性がある。当業者は、本発明の特性を失うことなく、遷移領域116のための多くの可能な形状が存在すること理解できる。
【0043】
ホーゼル108は、好ましくは、ヘッドの中央部というよりむしろ、ヘッドのヒール部付近でヘッド104と接続される。これは、重量システム(下記に示す)が備わっていても或は備わっていない場合も、クラブの面のバランスをとることを可能にするためである。しかしながら、ホーゼル108の挿入点は、ヘッド104のヒール部からトゥー部までのどの場所であってもよい。ホーゼル108は、ホーゼル108がヘッド104の中へ挿入される場所に振動ダンパを備えている。前記振動ダンパは、シャフト102及びグリップ110へ放射状に広がる余計な振動を防ぐものである。前記振動ダンパは、例えば、それを取り囲む他の材料より高密度のポリマ或はマトリックス材であってもよい。振動ダンパは、クラブの感応性を高め、ボールがヘッド104で打たれる時、プレイヤがより正確な運動感覚性のフィードバック及び音的なフィードバックを捕らえることを可能とする。
【0044】
上記のごとく、ヘッド104はホーゼルと接続する。調整部118によって、常に、ヘッド104がパター100のホーゼル−シャフト−グリップ部分と接続されることになる。また、ヘッド104の方向は、グリップ110、シャフト102及びホーゼル108の様々な形態における方向と一致し、これは、プレイヤがヘッド104とボールの位置を調整するのに役立つ。それゆえ、部品が誤って組み立てられる可能性がないことから、パター100の組立ては、簡単である。そしてヘッド104とホーゼル−シャフト−グリップの並び具合を確認するための追加の処理は必要ない。
【0045】
パター100の他の部品に関して、ヘッド104はポリマ材で製造される。前記製造は、標準的な樹脂成型技術(例えば射出成型等)を用いて行われる。ヘッド104の打撃面120は、滑らか或は表面に模様が入っていてもよい。模様入りの打撃面120は、所望の柄であってもよい。ヘッド104の実施例は、トゥー部からヒール部の幅を備えている。前記幅は、USGA規定に従い、奥行き(前面からアフト)より長い。
【0046】
ヘッド104もまた、特性を有する。前記特性とは、プレイヤがボールと打撃面120を、正確に1列に並べる際、役立つ。図8、9で、本発明の実施例で示すように、ボールに対する照準部もまた、ヘッド104に備わっている。前記照準部は、ヘッドとボールの位置調整することを容易にし、ボールが正確に打撃面120によって打たれるようにする。示した実施例において、打撃面120は、平面であり、即ち、ヘッド104の幅「w」方向に広がる平らな表面である。プレイヤがゴルフボールを打つ時、理想とされるボールの運動方向に対する打撃面120の方向は、望ましい結果を生むためにも非常に重要である。地形特性の干渉を受けない限り、基本的な物理学によると、ボールは、打たれた後、打撃面120の平面に対して直角方向に速度を増す傾向がある。もし、ボールが打たれた時、打撃面120が理想とする運動方向と直角でない場合、そのボールは、おそらく望ましい方向を進まない、或は理想距離に届かない。事実、ボールが打たれるとき、運動が変換されることに加えて、ボールに回転を与えることを避けるためにも、ヘッド104の全体は、望ましい方向に向かって動く必要がある。
【0047】
ボールを打撃面120で、望ましい運動方向に対して直角に打つこと、及び、ヘッド104が望ましい運動方向で移動するようにすることを考慮して、ヘッド104は様々な形状とされる。前記形状により、プレイヤは、これらの操作が可能となる。例えば、図8に示すように、上方から見たヘッド104の外形は、直線からなる。前記直線は、直角を形成する。これらの直線は、全て平行であるか、打撃面120の平面に対して直角である。これは、打撃面120の方向を視覚的に決定することを容易にする。特に、側面190は、打撃面120に対して直角であり、背部表面192は、打撃面に対して平行である。プレイヤのフィールドにおいて、プレイヤが、他の角度から外形を見たとき、適切なヘッド104の位置決めに関して不確定にさせる。上部から見えるヘッド104の各縁は、それゆえ、打撃面120に対して直角或は平行のいずれかである。また、スイングの途中においては、ヘッド104の望ましい移動方向に対して直角或は平行のいずれかである。
【0048】
打撃面120は、上面及び底面194、196に対して直角であるか、或は、多少の角度がついている。前記角度は、ボールが打たれる時、ボールにロフトを与えるものである。例えば、打撃面120は、約1〜5°上向きで、即ち上面194に向かって角度がついている。このロフト角度は、ボールが打たれる際に、ボールをわずかに持ち上げることに役立つ。例えば、ボールが静止している時、ボールはグリーンの芝生の上表面の高さより低い位置に存在する。これは、ボールの重さ、そのボールの衝撃、或は以前に打たれたボールの衝撃、または、ボールが静止している場所がプレイヤによってへこまされることによって起こる。それゆえ、ボールは、最初の衝撃時に、前述のくぼみ部分から外にもたら
すため、わずかに持ち上げられる必要がある。しかしながら、その目標は、ボールの表面にヘッドが触れた直後に、ボールが、横滑りすることなく転がり始めることを可能にすることである。この特性は、ボールの距離と方向の操作を改善することに役立つ。本実施例において、低面196は、3つの面から形成される:上面194と平行している底面及び角度がついた2つの面。この方法において、前記底面196が小さい程、スイングの際に、地面に沿った接触点を減らすこととなる。特にパター100がグリーン以外の場所(例えばグリーン周辺部の草が生い茂った所等)で使用されるとき、プレイヤは、前記接触点の減少により、より操作しやすくなる。この特性は、図3において詳しく示される。
【0049】
本実施例のヘッド104は、さらに容積測定の視差照準システム(VPSS)200と呼ばれる視準装置を備える。プレイヤの適切なスタンスは、ボールがホールに落ちるために、ボールに照準を合わせる際、特に重要である。特に、プレイヤの目は、ボールの直上に向けられるか、或は、照準を合わせる際、ボールの望ましい移動を表す平面に向けられる。プレイヤの視界においては、ホールに向かうボール及びボールの目標進路はすべて1つの平面の中に存在する。前記平面は、地面とほぼ直角である。このスタンスが維持される時、プレイヤは、まっすぐターゲットラインをみることにより、ホールに照準を合わせることができる。前記ターゲットラインとは、ホールまでのボールと望ましいボールの移動進路を結ぶラインである。もし、プレイヤの目がボールの直上を向いていない時、プレイヤは、ラインに沿って照準を合わさなければならない。前記ラインとは、望ましいパターの進路を横断したラインである。この場合、ボールに照準を合わせることが非常に難しくなる。VPSS200は、パター100のスイングの前に即ちプレイヤがヘッド104とボールを一直線に並べる際、使用されることを意図されたものでる。
【0050】
本発明の本実施例に関して、図8及び9で示したとおり、VPSS200は長方形の凹部202を備える。前記凹部は、ヘッド104のほぼ中央部の位置する。本実施例において、凹部202は、2つの側壁204及び205、前方壁206を有している。前記凹部は、後部が開いた状態である。前記凹部が完全に囲まれた状態である即ち後方壁を有してもよい。凹部202の底面203は、ヘッド104の上面及び低面194、196に対して平行である。前記壁204〜206は、凹部の底面203に対して直角である可能性がある。凹部202は、更にヘッドとボールを一直線に並べることを可能とするため、打撃面120の領域即ちボールと接触する領域と隣接して取り付けられる。本実施例のVPS
S200が上方から見られ、さらにプレイヤの見方が適切な場合において、VPSS200は、ヘッド104の2次元形態として見える。例えば、凹部202の底面203は、ヘッド104の上面194と同じ平面状に存在するように見え、壁204〜206は単に線として見える。即ち、底面203と上面194とで形成された連続した平面として見える。
【0051】
プレイヤの視点が、正しくヘッド上即ちボール上にない場合、スイングの前にパターを置く際に、VPSS200は、ヘッドの三次元形態に見える。例えば、壁204〜206の1以上が単に線として見えず、深さを持つように見えるかである。底面203は、ヘッド104の上面194と異なった平面上に存在するように見える。それゆえ、VPSS200はプレイヤには三次元に見える。これにより、プレイヤは即座に、ヘッドが不適切に置かれていることに気づき、そしてスイングする前に、正だすことができる。図8で示した図は、1例である。前記例は、プレイヤの視点が誤って調整された場合に、どのようにVPSS200が映るかをしめしたものである。
【0052】
VPSS200は、プレイヤがスイングする前にヘッドの位置を確認するための方法を提供する。前記方法は、速く、直感的で、気を散らすことなく行われる方法である。壁204〜206は底面203から離れて、際立って目に見える。凹部202の色や模様はそれゆえ、最大限の差異をつくるように選ばれ、さらにプレイヤのための目印を単純にする。
【0053】
上記したように、パター100の各部品(即ちヘッド104、ホーゼル08、シャフト102及びグリップ110)は、ポリマ材で製造される。任意の含浸材を含むポリマの特性は、パター100に、必要な剛性及びねじり剛性とともに、望ましい重量、音、感触を与えるために選択される。ポリマの特性は、各部で様々であり、例えば、シャフト102は、グリップ110より、高密度で作られ、それゆえ、より高い剛性を持つ。ヘッド104の硬度もまた、適切なポリマを選択することにより調整される。前記調整は、ボールの硬度及び性質に対応するため、及び、引き出すためのものである。パターの硬さ、重量、変形/ねじれ及び強度は調整される。前記調整は、パター100に望ましい特性を与えるために、その密度及び様々な部分における断面を変化させることにより行われる。例えば、打撃の際のバックスイングから前方への移動時に、パターを非常に硬くすることにより、感知できる変形が存在しないことは望ましいことではあるが、一方で、ボールが打たれる際、パター100が、全く変形しないほど硬くするべきではない。ボールが打たれる時のパター100の曲げ或は変形によって、プレイヤはその打撃を感じることができ、ボールの回転をよりよく操作できる。しかしながら、パター100の変形は、パター100のねじれを有することなくボールの進路に対して直角であるべきである。
【0054】
ポリマ材で作られたパター100は、従来のパターより100%まで重い。これは、ボールに多少のはずみを与えることによって、より遅い、よりリズミカルなスイングを実現させるためのものである。それゆえ、遅いスイングの場合は、ボールの移動距離はより長く、しかし、遅いスイングによって、プレイヤは、ボールをより確実に操作できる。従来のパターにおいては、弾みをつけるために、重いヘッドをつくることが可能である。しかしながら、それは、パターのバランスを変えることとなり、それゆえ、プレイヤがクラブヘッドを操作することにより解決させる。本発明の実施例は、パター100のバランスを損なうことがない、より重いパターを示している。
【0055】
パターを含むゴルフクラブのバランスは、一般に、クラブの対数支点(logarithmic fulcrum)の観点から、決定される。クラブの対数支点は、クラブのトップからおよそ19 1/2インチのところに位置する。
例えば、図4より、対数支点は、シャフト102のどこかに位置するキャップ112のトップから19 1/2インチ下降したところに存する。完全にバランスのとれたクラブは、クラブは対数支点ポイント上でつりあうということを示す。 パター100の典型例において、対数支点からクラブのトップまでの距離は、対数支点からクラブの底面までの距離より長い。したがって、バランス調整を行う為、クラブの下部(つまり対数支点より下の部分)は、クラブの上部より重くなければならない。
ポリマ材料と含侵材料を変化させることによって、本発明によるパターは、完全にバランスのとれたクラブとして、製造され得る。
ここで、完全にバランスのとれたクラブとは、クラブの低部分により多くの重量感を備えたものとして、若しくは、クラブの上部分により多くの重量感を備えたものとして製造されるものをいう。
実際、ほとんどのプレイヤは、より良い打球およびスイングの感触が得られるよう、完全にバランスのとれたものより、クラブの低部にわずかにより多くの重量感を有するパターを好む。下に記述するように、パターも、またプレイヤが重量感およびパターの感触をカスタマイズするための重量システムを含む。
【0056】
本発明による、パターの典型例は、パターをカスタマイズするのに使用される、重量システムを含む。クラブの2つの部分間における重量配分の変更は、パターの回転の中心点を移動させることとなる。
パターの回転の中心点とは、パターをスイングする際、回転中心ポイントである。
ヘッド部分に重みを加えることは、ボールへ与えることができる、運動エネルギーの量に影響を与える。
ヘッドの運動量は、その速度と大きさに比例するので、与えられた速度において、ヘッドの質量が大きくなればなるほど、より大きな衝撃をボールに与えることが可能となる。
代わりに、同じ衝撃は、ヘッドエンド(クラブのより低い部分)がより大きな場合には、より遅い速度で、ボールを打つことによっても与えられる。
より遅い速度は、より遅くより良く制御されるスイング、よりよい距離コントロール及び、より滑らかな動作を可能とする。
【0057】
図10は、ヘッド104に使用される重量システムの典型例である。該実施例において、一連のトンネル302は、ヘッド104の分厚いセクションの中で、形成される。該分厚いセクションは、VPSS 200を囲む。トンネル302は、ヘッド104の中で縦に伸びて、ヘッド104のヒール部からトウ部まで、横方向に配置される。
錘300はトンネル302内に挿入可能である。そこで、それらは、従来の手法で適所に固定される。例えば、トンネル302の中をタップでねじ切り加工するなどである。
トンネル302内における、錘300の位置は、ヘッド104が、どのようにボールを打つかについて影響を与えることができるよう、より前方、若しくは、より重心に近い箇所に配される。
錘300は、個々のプレイヤの要望に応えることができるよう、様々な重さのものが提
供されている。複数種のチャンネル302が、ヘッド104の幅方向に沿って、設けられている。
様々な重さの錘は、ヒール部310若しくはトウ部312への、ヘッドの重心を移動させる為、チャンネル内に配される。この機能は、パター100の感触をカスタマイズする、若しくは、プレイヤの正しくないスイング技術を修正するのに有用である(例えば、該重量システムはゲートパターのスイング修正の為、使用されてもよい)。
【0058】
パター100のヘッド104は、それらの縦軸に関して対称でない錘306の使用により、さらにカスタマイズされる。例えば、錘306は半円断面を有している。チャンネル302内の錘306を回転させることにより、ヘッド104の重心は、錘306の固体部分が何処で回転するかにより、上下に移動する。この性質はヘッドの重心における垂直位置での制御を可能とする。
例えば、このことは、早いグリーンでプレーする場合、ヘッド104の重心の上昇を可能とし、遅いグリーンでプレーする場合、ヘッド104の重心の下降を可能とする。重心の変化は、しばしば、効果的なフェースアングルに関連して、パターの効果的なロフトアングルを変更し得る。
上述のように、パターのフェースアングルは、約1−5度である。しかしながら、重心が高くなればなるほど、効果的なフェースアングルは、低くなる。従って、重心を高くした、3度のフェースアングルパターは、3度以下の効果的なフェースアングルを有することとなる。
効果的なフェースアングルの低下は、クラブをデ-ロフト(de-lofts)させ、またそれがクラブによって打たれる場合、ボールに、より少ないロフト(あるいは上昇)を引き起こす。
【0059】
パターの重心を上げ下げする錘配置の別例には、台形状の錘といったような対称でない錘がある。そのような錘は中心軸について回転する。仮に、台形の大部分がトップまで回転すれば、より多くの錘がトップ上に存在することとなり、効果的に、重心を上げる。ところが、台形の大部分が、底まで回転すれば、重心は低下する。
これらの錘も、また、個々のプレイヤの特性に応じて、クラブのヒール部もしくはトウ部に向かうよう、回転される。
当業者は、ヘッド104に非対称的な同じ錘を加えることを遂行するために使用され得る、他の非台形状のものが存在することを理解する。
さらなる実施例において、錘は対称な形(例えば円、正方形など)であれば、形の半分が他方の半分より軽い材料であるといった、2種の金属材料から造ることができる。重い方の部分の、軸に対しての回転は、上述されるように、同じヘッド104の非対称的重量を加えることにより、遂行可能である。当業者は、両金属の重量に加えて、プレイヤの要望に応じて、ヘッドに重みを加えることを遂行するために、多種の金属(例えば3種の金属、4種の金属など)を使用することができるということを理解する。
【0060】
キャップ304は、チャンネル302の開口部308を固定する為、配される。キャップ304は、所定の箇所で、つなぎ合わされ、錘300、306がチャンネル302内に位置しても位置しなくても、使用されることとなる。ヘッド104の重量システムは、このようにして、3つの軸中のヘッド104重心の位置を調節すること、及び、ヘッド104の大きさを調節することにより、プレイヤがパター100の感触をカスタマイズすることを可能とする。
【0061】
一般に、ヘッドの質量の大半が、ヘッド104のヒール部及びトウ部310、312付近に集中していることが望ましい。このことによっても、ボールが打たれるときに、パター100のねじれを減少させることができる。
さらに、ヘッド104に安定性を付加する為、打撃面120から離れて後部方向に、錘を移動させることも望ましいことである。
ヘッドからトウ部までの重量配分は、本発明の典型例により、制御可能である。
この特徴は、パターの打撃面のバランス変更を可能とし、45度トウ部を下げる、若しくは45度トウ部を上げることにより、バランスを保つことができる。
この方法において、パター100は、いわゆるゲートパター、及びパターのようなものを介して前後に移動するもの等にも適応することができる。
【0062】
図12は、本発明による、ヘッド重量システムの変更例を示す。この例では、ヘッド104が、VPSS200の両サイドのそれぞれに、1つの空洞部341を含む。各空洞部は、ロック可能なドア342の使用を通して、塞がれる。ドア342は、それらが目立たないよう、若しくは目障りにならないよう、設計される。
空洞部341は、上述のチャンネル302と同じ方法が適応可能であり、錘の形やサイズを変更可能である。空洞部341の内にロック装置が存在し、錘は、空洞部341内部の異なる位置で固定され得る。
【0063】
さらなる典型例において、ヘッド104の重量システムは、ヘッド104に取付け可能な、分離可能な単独のプレートともなる。ヘッド104の錘を変化させる為、取付可能な一連の単独のプレートが存在する。当業者は、図10及び12で記載されている、重量システムは、唯の典型例で、ヘッド104に、錘を挿入するために使用される、多数の他の装置があることを理解する(例えば多数のチャンネルか空洞部、ヘッドのトップ部か底表面からの錘挿入、外部に重みを加えることなど)。
【0064】
別の典型例では、ヘッド104は単一の固体片(例えば図10で示されるのと同じ一般的形状で、錘の挿入用の空洞部308がない)である。ヘッド104の重さは、異なるポリマ材料、含侵方法あるいは他の複合材料を使用することによって、様々である。
例えば、中実のヘッド104は、ポリマにより囲まれた中実の金属コアを有することもある。この種の変更は、ヘッドの重量は、外部からの錘により変更可能である。若しくは、異なる重さを有するヘッド104と置き換えることでも変更可能である。
【0065】
図11は、グリップ110用の重量システムの典型例を示す。例えば、中空の空洞部136は、グリップ110内で、形成される。パター100の回転の中心のための一連の動作を与えるために、中空の空洞部136は、グリップ110に沿って伸びている。
1若しくはそれ以上の錘320、330は、中空の空洞部136に挿入され、グリップ110に沿って、所望の距離に配される。
たとえ、ヘッド104の質量に変更がなかったとしても、錘320、330が遠くに配されれば、それだけ、ヘッドの回転中心が低くなることが解る。
錘320は、パター100に所望の感触を与える為、及び、ヘッドの重さのバランスを保つ為、付け加えられ、配備される。
上述するように、ヘッドが重くなれば、パター100は、対数平衡(logarithmic balance)を保てない。例えば、上述した重量システムの使用による錘の付加を介して、ヘッド104の重さを変化させることは、グリップ110での重さを変化させることに等しい。グリップ110での重さを変化させることで、パターの対数平衡を保持することが可能となる。このことは、しばしば、バック・ウェイティングとして、参照され、ヘッド104及びグリップ110の両方に、錘が付加されるが、パター100は対数バランス(若しくは、プレイヤにより選択されたバランス)を保った状態に置かれる。
従って、パター100は、ヘッド104とグリップ110における錘の追加を通して、顕著に重くなるが、バランスが同じのままであるので、パターの感触は同じままとなる。
【0066】
錘320、330は、空洞部136の内部に、ありふれた方法で、配される。
例えば、錘320、330は、空洞部136の内部に、それらが所望の位置で固定されるよう、ネジ式に挿入される。キャップ112は、空洞部136を閉じ、さらなる錘320、330の移動を防ぐために利用され得る。
1の典型例では、重量システムが、1中心部材、若しくは、柱を含むこととなる。これらは、遷移領域114の内部に付けられるか、若しくは、遷移領域114内のボール及びソケット装置に固定されているものである。その後、中心部材は空洞部136内に挿入される。そして、錘320、330は、該中心部材に取付けられる。
この配置では、調節ねじは、キャップ112を介して、中心部材に取り付けられ、キャップ112を除去せず、空洞部136内部で、錘320、330を移動させることができる。同様に、錘自体は、それらが空洞部に挿入され、ボール及びソケット装置に固定されることができるように、形作られる。
【0067】
ヘッド104とグリップ110で使用される錘の材料は、典型的には、例えばタングステン、鋼、真鍮、密度の高いポリマなどがあげられる。典型例の錘は調整可能であるが、異なる実施例では、製造中に挿入される、固定化された錘を使用する場合もある。
【0068】
上述のように、記述されたゴルフクラブ(例えばグリップ110、シャフト102、ホーゼル108およびヘッド104)の構成要素の各々は、ポリマもしくは複合材料から形成される。例えば、複合材料は、金属あるいは他の材料を含有するポリマ、可変密度マトリックス合成物などがある。構成要素はさらに圧縮ラミネートか、多層なラミネートである場合がある。
【0069】
以上より、本発明について、特定の典型例を参照とし、説明した。
しかしながら、改良、変更は、本発明の請求項で説明される要旨を離れることなしに、容易に行うことが可能となる。
本明細書及び図面に記載されているものに、特に限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は一体化されたパターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
初期において、ゴルフは世界中のエリートクラスのメンバにとって好まれるスポーツであった。しかしながら、1950年代後半のアーノルドパーマ以来、このスポーツの人気は急速に上昇し、たくさんのゴルフコースが建設され、労働者階級による増加する需要に応えるものとなってきた。このようにして、ゴルフが貴族階級のためのものであるという認識は消滅するものとなった。今日、ゴルフは、世界中のゴルフコースで、社会のあらゆる層の人々によって愛されるものとなっている。ゴルフに対する公衆の一般的興味は、ゴルフトーナメントのメディアへの露出やプロゴルファに与えられる突出したステータスによっても明らかである。
【0003】
愛称としてクラブ或いは「スティック」と称されるが、クラブはゲームの楽しみのために必要な道具のうち必要不可欠なものである。クラブは、理想的には様々な地形に適応し、様々な距離、個々のスタイル及び特定のショットにおける選択のために、様々な設計形態で利用可能である。クラブは大きく3つのカテゴリに分類されうる。即ち、ウッド(或いは、メタル)、アイアン及びパターである。メタルは通常ロングショットのために用いられ、ボールを300ヤード飛ばすことができ、熟練したゴルファによればそれ以上の飛距離を出すことも可能である。アイアンは長距離、中距離、短距離のために用いられる。
この場合、精度が最も重要であり、地面からボールを上昇させる大きなフェースアングルを有する場合もある。例えば、バンカからのショットや草が覆い茂る丘からのショットの場合である。メタル及びアイアンは数字で分類され、該数字はこれらの打撃面のフェースアングルやシャフトの長さによって定められる。パターは様々な短距離のショットやグリーン表面に近づけるために用いられる。パターで打たれたボールが滑り、それから地面を転がることが理想的であり、任意の所望の距離において空中に浮かないことが望ましい。
【0004】
パターはショートレンジのショットに用いられるけれども、非常に高い精度と感触をもたらすように設計されている。これは、可能限り小さなストロークでホール内にボールを転がすためである。これを達成するために、ゴルファは力及び方向を見定め、これらをパターに伝達させる。そして、ボールの経路の表面の凹凸の影響に抵抗することなしに、ボールは所望のスピードと方向で移動する。このことを一定不変に行うことは非常に複雑で困難なことである。もし、ボールを転がし、適切な経路に沿ってパターをスイングするときに、ゴルファが適切なグリップ、スタンス及び身体の回転を維持するならば、パットの成功の可能性は上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパターは30年から70年に構築された設計デザイン哲学を反映し、典型的には一定に繰り返し可能なストロークをゴルファがなせるようにいくつかの特徴を備えている。しばしば、パターの設計はクラブそれ自体の正しい持ち方を妨げるものとなっている。いくつかの場合において、パターはゴルファがより正確に照準可能なように、視認可能な線あるいは溝状の目印を有している。しかし、このような特徴は、しばしばゴルファを混乱させ、惑わせ、間違った照準に合わせさせるものとなっている。加えて、従来のパターは、多くの構成要素から形成されている。このことは、組立において低い精度をもたらしやすい。そして、パターでボールを打つときに、必然的に狙った部分からの誤差を生じせしめる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パターは、適切な握りを促す解剖学的に正しい形状を有するグリップと、第1端部と第2端部を備えるとともに第1端部にグリップが取付けられるシャフトからなる。ホーゼルはシャフトの第2端部に取付けられる。ヘッドはホーゼルに取り付けられる。該ヘッドは打撃面とパターの調整部を備えている。該調整部はシャフトへのヘッドの正確な組立を保証するためのものである。
【0007】
さらに、ゴルファのパットを補助するパターシステムは、ゴルファの手と解剖学的に適合するグリップを備え、該グリップは、握ったときに選択された方向へ選択的に方向付けるものである。グリップから延設するシャフトはシャフトの好適な回転方向を視覚的に示す表示を備えている。ヘッドはシャフトと一体に組み込まれ、ゴルファにヘッドの好適な方向を指し示す視覚的表示を備えている。また調整部は正確にヘッドをシャフトに対して配列させる。
【0008】
加えて、ゴルフクラブのグリップは一体部材からなり、その端部はゴルフクラブのシャフトにグリップを取り付け可能としている。一体部材は、一体部材の長さに沿ってグリップの適切な握りを促す解剖学的に正しい形状をしている。ゴルフクラブのシャフトは、ポリマ及び複合材料うち1つから形成される一体部材を備え、該一体部材はゴルフクラブのグリップに取付けるためのシャフト部分とゴルフクラブのヘッドに取付けられるためのホーゼル部分を備える。シャフト部分はヘッド方向部を備え、該ヘッド方向部はヘッドの方向を強調する。パターのヘッドは、本体部を備え、該本体部はポリマ及び複合材料のうち1つから形成される。本体部は打撃面及びボール照準部を有している。ボール照準部は、ヘッドとボールとの間の適切な関係を促す。
【0009】
パターの製造方法は、パターのグリップを成型する工程と、パターのシャフトを成型する工程とを有する。該シャフトはシャフト部分とホーゼル部分を有する。またパターのヘッドを成型する工程を有し、該ヘッドは打撃面を備える。さらにパターの調整部を形成する工程とヘッドをシャフトのホーゼル部分に取付ける工程を備える。調整部はヘッドとシャフトの正しい配列を保証するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一体化されたパターの一実施形態を示す外観図である。
【図2】図1の一体化されたパターを示す側面図である。
【図3】図1の一体化されたパターを示す正面図である。
【図4】図1の一体化されたパターを示す平面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】図2のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明に係る一体化されたパターのヘッド部分の外観図である。
【図9】図7のヘッド部分を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るヘッド重量システムを示す外観図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るハンドル重量システムを示す外観図である。
【図12】本発明に係るヘッド重量システムの他の実施形態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の説明および添付図面を参照することによって、さらに理解されるであろう。なお、以下の説明および添付図面においては、同種の構成要素は、同一の参照番号で指し示されている。
【0012】
本発明の実施形態は、その概念的要素から組立てを容易にすることまで、および正しい使用を合わせたパターを含む。例えば、ゴルファがパターを正しく握るのを助ける特徴を含む要素も含まれるし、スイング中の正しいスタンスおよび身体のアラインメントを促す要素も含まれ、また、パターのフェースおよびヘッドとボールとの位置調整を容易にする要素も含まれる。本発明の他の設計上の特徴は、パターの組立ておよび個々のプレイヤの好みや様々なプレー・コンディションに応じたパターのカスタマイズを容易にすることである。
【0013】
本発明のパターの全体が、図1乃至図4に記載されている。本発明の典型的な実施形態によれば、パター100は、パッティング・システムとして統合されるように設計されたグリップ110およびシャフト102、ホーゼル108、ヘッド104を含み、それぞれの構成要素が共に動作して使用者に望ましい利益を与える。これらの構成要素は別々に作製され組立工程において結合されるようにしてもよいが、以下に充分に説明される通り、それらの特徴は、同時に作用する。
【0014】
図面に示されている典型的な実施形態において、シャフト102およびホーゼル108は、一つの単一的な部品として、あるポリマから作製されるようにしてもよい。例えば、前記ポリマは、熱可塑性の材料あるいはどのような種類の公知のポリマもしくはポリマ複合材料であってもよい。シャフト102およびホーゼル108を形成する工程は、例えば、射出成型あるいは加圧成型、他の成型方法であってもよいし、押出し成型、フィラメントワインディング、シート・ラッピングなどであってもよい。ホーゼル108は、シャフト102とヘッド104を接続するように形づくられており、以下に記載される通り、シャフト102とヘッド104との間の適切な向きと位置関係を確実なものにする。グリップ10もまた、シャフト102やホーゼル108と同様の製造方法を用いてポリマから
作製することができる。グリップ110は、例えば、シャフト102上にグリップ110を成型することによって、シャフトに固定してもよい。このようにして、グリップ110とホーゼル108とは、長さを変えることのできるシャフト部の両反対端に位置することとなる。
【0015】
ホーゼル108は、ヘッド104の開口部118に挿し込まれ、パター100の組立を完成するようにしてもよい。図9に示されているように、ヘッド104は、平らな平面に形成された打撃面120を有する。一般的に、パターをスイングする前には、ゴルファは、ヘッド104をボールの近くに下ろし、ボールが転がってゆく望ましい方向と垂直になるように打撃面120を揃える。また、その際にゴルファは、ボールが打撃面120の中心に位置していることを確実にする。パターをスイングするときに、ゴルファは、ヘッドがボールの辿るべき方向と同じ方向へ動くように、上記と同じ方向にヘッド104でボールを打とうと試みる。パター100の各部については、以下に詳細に記載されている。
【0016】
グリップ110は、プレイヤがパターを握るのに、解剖学的に正しく快適な把持を提供できるよう設計されている。さらに、グリップ110は、適切な方向へ向けてパターを握るのを促し、ヘッドが自然と適切な方向へ向いてボールを正しく打つことができるようになっている。典型的な実施形態において、グリップ110は、図5に示されるようにカルジオイド(ハート形)に形成された断面を有する。カルジオイド形状は、図5において、第三端部135よりも小さい半径をもつ2つの端部131および133を有する三側面形状として示されており、側面130および132、134は、端部131および133、135の円弧間を滑らかに遷移するように略曲線あるいは円弧の形状を有している。当業者であれば、“三側面”という用語は必ずしもどの側面も平らあるいは平坦であるということ意味するものではない、ということを理解できるであろう。実際、現在の全米ゴルフ協会(USGA)の規則によれば、グリップの一側面の全体が平面であってもよいとされている。図面を見れば分かる通り、本発明の典型的な実施形態は、全く平坦な側面を有していない。パター100が正確に整列されているとき、大きい円弧135の反対にある側面134は、ヘッド104のボール打撃面120と実質的に垂直になっている。このグリップ110のカルジオイド形状は、プレイヤの両手が身体の前で合わされ棒状の構造のものを包むようにしたときに自然とつくる形状と調和する。結果として、両手や手首、前腕部に過度のストレスや緊張を引き起こすことなく、プレイヤの両手は、グリップ110の周囲に快適に適合する。
【0017】
図5に示されるとおり、グリップ110の断面形状は、断面形状に対して垂直である平面137について対称となっているので、グリップ110のカルジオイド形状はさらなる利点を提供する。典型的な実施形態におけるグリップ110は非テーパ形状になっているので、平面137は、グリップ110の全長に沿って端部135および面134を切ったものである。従って、グリップ110は、キャップ部112から遷移部114の始端まで同じ直径を有する。さらに、平面137は、パター・フェース120の平面と平行になっている。以下により詳細に記載される通り、パター・フェース120はわずかなロフト角を有していてもよいが、ヘッド104の上面194の平面と垂直なフェース120の中心
点A(図2参照)が位置する平面がある。平面137は、フェース120の中心点Aが位置するこの平面と平行である。
【0018】
グリップ110は、平面137について対称であるから、プレイヤの生理によって命令された方向に快適に握ることができる。これにより、パター100が正しい方向に向けて握られているかどうかを、プレイヤにすぐさま知らせることができる。なぜならば、間違った方向に向けて握られていると、グリップ110は不快に感じられ、ヘッド104およびフェース120は間違った方向に向いているからである。プレイヤは、自然とグリップ110が快適に感じられるまでパターを回すであろう。平面137はフェース120の平面と平行となっているので、このグリップの快適な握りは、パター100の適切な方向をも提供する。すなわち、フェース120は、パッティング・ストロークの間、ヘッド104の動きと平行となる。さらに、典型的な実施形態におけるグリップ110は非テーパ形状になっているので、プレイヤは、グリップ110の全長のどの箇所を握っても上述の特徴を利用することができる。例えば、背の高いプレイヤはよりキャップ112に近い側でグリップ110を握ってもよいし、一方、背の低いプレイヤは、より遷移部114に近い側でグリップ110を握ってもよい。いずれの場合においても、プレイヤの両手はグリップ110の周囲に快適に適合し、フェース120のアラインメントは、正しい状態にある。
【0019】
グリップ110のカルジオイド形状は、自動センタリング機能をも提供する。図5の断面図に示されている端部131および133、135と面130および132、134は、ゴルファがグリップ110を握ったときにゴルファの両手の手のひらと指によって形づくられる曲線と適合する。もし、パター100が理想的な方向から遠ざかる方向へわずかに回転すると、端部および面130乃至135を握るときにプレイヤの両手によって加えられる力が、パター100を適切な方向へ戻そうとする。グリップ110の形状は、グリップ100とシャフト102の長手方向の軸をプレイヤの両手のひらのつくる軸と整列した状態に配置している。これにより、プレイヤの両手にかかるストレスが除去され、より快適な把持が提供される。
【0020】
グリップ110のカルジオイド形状はまた、パター100をスイングする間、プレイヤの両手首の孤立を考慮に入れている。すなわち、プレイヤの手首は、パター100をスイングする間、感知できるほどにはその状態を変えない。パットをするときのプレイヤにとっての理想的な身体の姿勢は、パターを握る両手が二等辺三角形の第1の角を作るようにし、両腕のそれぞれが辺となり肩部まで上って残りの2つの角を作るようにした二等辺三角形を形成することである。最後の辺は、2つの肩を結ぶ胸部を横切る想像上の水平線である。プレイヤは、バックスイングからボールを打つためにパターを前方へ振り出し、ボールの位置を通過してストロークを終えるまで、このトライアングルを維持すべきである。グリップ110を握るときに両手首を孤立させることは、プレイヤがパッティングの全
体を通じてこのパッティング・トライアングルを維持することを可能にするのである。
【0021】
グリップ110は、異なったプレイヤの手にも適応するよう、いくつかの寸法に形成してもよい。例えば、図5に示される距離‘d’は、約1〜1 3/4インチとすることができる。パターのグリップについての現在の最大寸法は、全米ゴルフ協会の規則に定められている。パターについては、この許された寸法は、最大径1 3/4インチの最大寸法‘d’に相当する。典型的な実施形態において、最大寸法‘d’は、対称軸137と一致する。しかしながら、異なった形状のグリップとする場合には、対称軸ではない最大寸法‘d’を考慮してもよい。示された典型的な実施形態においては、どのような許されたグリップサイズ(‘d’)も同一のシャフト102およびホーゼル108にも接合できるように、グリップ110は、シャフト102およびホーゼル108とは別個に形成されている。このように、製造工程においては、例えば上述のグリップサイズのどれにも適応するように、ただ一つの型のシャフト102やホーゼル108を作製すればよい。望ましいグリップサイズは、例えば、シャフト102上にグリップ110を成型することによってシャフト102およびホーゼル108に接合されるようにしてもよい。
【0022】
グリップ110はポリマから作製することができるので、グリップの重量は全てのグリップサイズについて同じにすることができる。したがって、それぞれのグリップサイズについて再度パターのバランス調整をする必要がない。より小さいグリップ110のポリマには、より大きいグリップ110と同じ重さになるように、金属(例えば、アルミニウム、タングステンなど)あるいは他の材料を含浸させてもよい。当業者であれば、どのような寸法のグリップにも金属あるいは他の材料を含浸させられることを理解できるであろう。さらに、グリップ110は単一の部品として形成されかつシャフト102上に成型されているので、クラブの運動感覚は、直接的にプレイヤの両手に伝わる。パター100の他の部分からプレイヤの両手を絶縁するための追加のグリップ材料(例えば、シャフト上に
付加するラバー製のグリップなど)はいらない。
【0023】
グリップ110に関する上述の特徴は、例えばトラディショナル・グリップや逆オーバラッピング・グリップ、クロー・グリップなど、どのようなスタイルのパター100の握り方にも適用できる。さらに、グリップ110の特徴は、例えば長い指/小さい手のひらや短い指/大きい手のひらなど、指と手のひらの長さの比率に関係なくどのようなプレイヤでも享受できるものである。グリップの長手方向の長さは、異なったプレイヤの好みに応じてどのような寸法にしてもよい。
【0024】
図5に示される通り、グリップ110は、グリップ110内に内面壁によって形成されおよそグリップ110の外側と同じカルジオイド形状の空洞部136をも含むようにしてもよい。空洞部136は、例えば、円形や卵型など、他のどのような形状にしてもよい。以下により詳細に記載される通り、この空洞部136は、パター100の重量システムを含むようにしてもよい。着脱可能なキャップ112も、空洞部136を閉じるために含むことができる。グリップ110にはまた、プレイヤにより良い感覚を提供するため、浮き模様を施してもよい。
【0025】
遷移部114は、グリップ110とシャフト102が接合されるグリップ10の下部とシャフト102の上部との間に形成してもよい。グリップ110とシャフト102は、異なった断面形状を有していてもよく、遷移部114が、2つの部分の形状を滑らかに融合させて、突然の形状変化により引き起こされる応力集中を避けることができ、かつ満足な外観を得ることができる。本発明の典型的な実施形態においては、グリップ110は、遷移部114においてシャフト102上に成型してもよい。
【0026】
シャフト102の機能は、第一には構造的なものであり、パター100に適当な長さと剛性を与えることである。典型的な実施形態においては、シャフトの長さはおよそ18インチである。しかしながら、シャフト102は、異なったプレイヤの好みに応じて異なった長さに形成してもよい。シャフト102は、ショットを行う際に気が散らないように、またより満足な視覚的外観を有するように、グリップ110の断面よりも小さい断面を有するようにしてもよい。上述の通り、シャフト102は、ポリマ成型工程によりポリマで作製してもよい。それにより、シャフト102は、継ぎ目のない単一部品とすることができ、シャフト部に継ぎ目のあるパターよりも、構造的により完全なものとなる。シャフト102は、中実のポリマ部品としてもよいし、グリップ110に関して記載した空洞部136と同様に様々な形状の空洞部を有するようにしてもよい。
【0027】
シャフト102は、パター100全体の剛性を定める大きな要因となり、従ってスイングの際に望ましくない反りや捩れを防ぐために非常に堅くされるべきである。特に、USGA規則は、シャフト部分が試験重量の下で互いに直交する方向に同じ量だけ反らなければならないことを規定している。この要求は、例えば、シャフト102を、試験重量の下でどの直交方向においても全く反らないか極僅かだけ反る十分な堅さに作ることにより適合することができる。中実のシャフトは、シャフト内の望ましくない高調波を除去するので、空洞部を有するシャフトに比べてより高い剛性と、プレイヤに高められた感覚のフィードバックを付与することができる。
【0028】
ヘッドの方向部は、本発明による典型的な実施形態のシャフト102に組み込むことができる。ヘッドの方向部は、ゴルファに、視覚的にゴルファの手に対するヘッド104の方向を知らせるために設計される。例えば、ヘッドの方向部は、シャフト102の形作られた上面140を含む。形作られた面140は、凸面とすることができ、シャフト120の上面を形成することができる。この例では、シャフト102は、卵形又は楕円形の上部を形成する形作られた面140を備えた、略2軸に関して対称的な卵形又は楕円形として形作られた断面を有することができる。図6は、形作られた表面140と端部142を備えたシャフト102の断面図を示している。パター100の製造の際、卵形又は楕円の長軸がヘッド104の所望方向に配置されるように、シャフト102が組み立てられる。例えば、長軸はスイング中のヘッド移動の好ましい方向と平行とすることができる。この方法においては、ヘッドの方向部は、ゴルファがスイング前又はスイング中にヘッドを正確に配置することを助ける。
【0029】
ゴルファがシャフト102に沿って、パターのヘッドとゴルフボールを見る時、形作られた面140は、ヘッドが適切に、即ちパター100によりボールに与えられるべき動きの所望方向に垂直な打撃面120をもって配置されているかどうかについて直ぐにフィードバックを与える。この方向はまた、通常、スイング中のヘッドの意図された動き方向と平行である。もし、形作られた面140が凸面である場合、目が端部142に対して形作られた面140の頂点位置を認めることができるので、シャフト102の非常に小さい回転量を大きく見せるのに役立つ。ゴルファは、それからパターヘッド104の所望方向からのいかなるズレも修正することができる。形作られた面140はこのように、ゴルファがヘッドの方向部に集中することなく、直ちにゴルファにシャフト102とそれに連結されたヘッド104の適切な方向を知らせることができる。本発明のこの典型的な実施形態によるこのヘッド方向部は、パットを成功させるために必要な他の要素に集中することからゴルファの気をそらさせない。
【0030】
更に、シャフト102からの視覚的フィードバックはまた、プレイヤの身体の好ましい方向についても考慮する。図2に示すように、プレイヤがパッティングの前にボールをアドレスする時のように、ヘッド104の底部が地面に平行な時、シャフト102の中心線123(即ち、シャフト102の長軸)は、地面に対して傾斜した平面内にある。この角度は、シャフト102の中心線123とヘッド104の中心の交点での角度である。この角度は、シャフト102とホーゼル108の方向に基づく本発明によるパターの異なる実施形態については異なっている。もし、形作られた面が平らであれば、この平らな面は中心線123について述べられた平面に平行な平面内にある。しかしながら、典型的な実施形態が凸面として形作られた面140を示しているので、形作られた面140と垂直に交わり、中心線123について述べられた平面と平行である一連の平行な平面が存在する。パッティングについて好ましい方向は、同じ平面或いはこれらの平面と平行な平面内にプレイヤの身体がある。例えば、プレイヤがボールをアドレスする時、膝は膝と尻の間に平面を形成する脚と共に曲がらなければならない。この脚の平面は、中心線123について述べられた平面と平行でなければならない。もし、プレイヤが形作られた面140から配列が正確ではないという視覚的フィードバックを受け取ったならば、この膝の曲がりは、身体とパターを直線上に並べるために、プレイヤが修正する一つの要素であろう。
【0031】
更なる例においては、プレイヤがグリップ110を握ったとき、腕は手から肩領域を通る平面を形成する。シャフト102の設計が、プレイヤがパッティングの時に正確にこの面に向くことを保証する限り、グリップ110の設計は、腕がこの平面を形成することを保証する。プレイヤによる好ましい配列は、中心線123について述べられた平面と同じ或いは平行な平面にある、腕により形成される平面となる。再び、もしもプレイヤが形作られた面140から配列が正しくないという視覚的フィードバックを受け取ったならば、プレイヤは身体とパターを直線上に並べるために、腕と上体の配列の修正を考慮することができる。
【0032】
プレイヤがシャフト102からの視覚的目印を用いて好ましい配列を達成してボールを打った時、パターフェイス120の動きは、平行な各平面の直線上にある。例えば、図2に示すように、中心線123について述べられた平面は、ヘッド104上の点Aを通過する。もし、プレイヤの配列が、シャフト102の視覚的目印により示されたように修正されたならば、パッティングストローク中の点Aの動きは、中心線123について述べられた平面内に残ったままとなる。従って、シャフト102は、好ましい身体の配列と好ましいヘッド104の配列をもたらす。
【0033】
この典型的な実施形態は凸状に形作られた面140を説明したが、他の形状も適用可能である。例えば、丸みを帯びた三角形表面、或いは多面表面もまた、シャフトの回転角度における非常に小さい変化を認識するために必要な所望の視覚的コントラストを提供する。シャフト102について適用できる他の形状の例は、円形、円に近い形状(例えば、円に近い多面多角形)、全ての形状の卵形(例えば、長軸と短軸を変化させる)、長方形、正方形、星形などの断面を有する形状を含む。別の典型的な実施形態では、形作られた面140は、提供される視覚的コントラストを最大化するコーティング或いは浮き模様をもって仕上げることができる。例えば、異なる色又はシャフト処理(例えば、ローレット仕上げ)が、パター100が適切に配列されていないときにプレイヤが見る、視覚的コント
ラストを更に増加させるために使用されることができる。
【0034】
シャフト102は、テーパ状又は非テーパ状とすることができる。非テーパ状のシャフトは、シャフト102の全長に沿って同じ断面を有する。テーパ状のシャフトは、いずれかの方向のテーパとすることができる。即ち、ホーゼル108近傍よりグリップ110近傍の断面が大きいか若しくはグリップ110近傍よりホーゼル108近傍の断面が大きいかである。シャフト102のテーパは、シャフト102の剛性が保たれる限り、シャフト102に滑らかな外観を与える非常に小さい段階をもってテーパが増加される。第二の遷移領域116は、シャフト102とホーゼル108を連結している。遷移領域116は、示された典型的な実施形態では異なっている、シャフト102の形状からホーゼル108
の形状まで滑らかに変化させる目的を有している。第一遷移領域114の場合と同様に、第二遷移領域116は、応力集中を回避し、パターがより美的アピールを有するために、構成要素の形状が突然変わることを回避している。
【0035】
別の典型的な実施形態では、シャフト102は中実コアの周りがモールドされたポリマ材料(或いは他の複合材料)で作られてもよい。中実コアは、いかなる材料、例えば金属、ポリマ等でつくられてもよい。シャフト102と中実コアはいかなる形状でもよい。例えば、シャフト102は上述され図示されたような形状とすることができる。これに対して、中実コアは、同じ断面又は円形断面を有することができる。そのような中実コアシャフト(又は全ての中実シャフト)は、ボール打撃の音と感覚の伝達速度を増加させることができる。従って、プレイヤは、中空シャフトに比べてより迅速にフィードバックを受け取ることができる。当業者は、グリップ110が同じ方法、即ち中実コアの周りがモールドされたポリマ(又は他の複合材料)で形成され得ることを理解するであろう。
【0036】
別の典型的な実施形態では、シャフト102は、シャフト102を強化するための突出リブを有することができる。このリブは、シャフト102を強化する或いはプレイヤに視覚的コントラストを提供する、一連の平行な円形リブ、直線状の長さ方向リブ或いは他のいかなる形状の突出リブでもよい。リブの付加は、シャフト102について一定でない表面を形成する。これは、シャフト102の調整部について視覚的コントラストを付加する。当業者は、例えばハニカム形、長方形等の他の種類の突起もまた同じ特徴を提供することを理解するであろう。
【0037】
本発明の典型的な実施形態で示されたホーゼル108は、シャフト102にヘッド104を連結する他に幾つかの目的を有している。例えば、調整部118は、ホーゼル108とヘッド104の界面に含まれることができる。この調整部は、ヘッド104がパター100の構成要素が組み立てられた後、シャフト102に対して正しい方向にあることを保証する。上述の如く、シャフト102とグリップ110は、ゴルファがヘッド104を配列するのを助けるための様々な補助をする。上述したように、これらの補助は、解剖学的に形作られたグリップ110と形作られた表面140を含んでいる。従って、調整部118は、他の補助が効果的となるように、パター100が正確に組み立てられることを保証する。調整部118はまた、2つの構成要素を結び付けるための組み立て行程を容易にし、そのため完全なパター100は安価に組み立てることができ、製造において誤る機会が殆どない。この特徴はまた、どれかの部分或いはヘッド104が損傷した場合に、グリップ−シャフト−ホーゼル部分の容易な取り換えを許容する。
【0038】
一つの典型的な実施形態では、調整部118は、ヘッド104内に形成された対応して形作られている凹部と協同する、ホーゼル108の底部の一定方向の形状を含む。例えば、図7に示すように、ホーゼル部108の底部は卵形の断面を有し、ヘッド104の卵形開口部に適合する。他の形状もまた、示された卵形断面の代わりに利用することができる。一方向のみに組み立てが許容される全ての形状が、この目的のために適用可能である。更に、調整部は、ホーゼル108のヘッド104への挿入深さを限定又は調整する特徴を含んでいる。例えば、ヘッド104のある深さまで挿入できるが、ホーゼル108がヘッド104への更なる挿入には大き過ぎるためにそれ以上はできないホーゼル108上のテーパがあってもよい。この特徴はまた、パター100の組み立てを容易にする。ホーゼルの長さは、USGAにより規定された限度内で変えることができる。
【0039】
ホーゼル108はまた、更にゴルファがボールを打つために適切な方向でヘッド104を配列することを助ける。図4及び7に示された典型的な実施形態では、ホーゼル108は、断面の前部に沿う円弧中心点150を有する半径により形成された円弧を有している。ゴルファがシャフト102に沿ってボールを見るとき、円弧中心点150は、ボールが打たれるべきヘッド104の前部を示す側面152の間の直線として現われる。もし、パター100が正確に向いていれば、円弧中心点150の直線は両側面152の間の中心にあり、ボールに向いている。もし、パター100が正確に向いていなければ、円弧中心点150と側面152はヘッド104がボールを打つために適切に配列されていないことを示す対称像を形成しない。
【0040】
シャフト102のヘッド方向部が、形作られた面140と直線状の円弧中心点150の両方を含む実施形態では、特に効果的な配列方法が提供される。この形態では、形作られた面140の視認された頂点が円弧中心点150と並んだ時、ヘッドに向く連続的な直線が視覚的に現われ、ゴルファはヘッド104が適切に配列されていることを確信する。この配列は、適切に配列されたときにゴルファに照準効果を与える。この配列方法は非常に直感的に認識させ、パターをスイングするという主の仕事からゴルファの気を殆ど散らさせない。
【0041】
ホ−ゼル108及び第2遷移領域116は、オフセットを形成する。前記オフセットは、シャフト102とヘッド104の間に形成され、図2に示される。このオフセットによって、ホーゼル108がヘッド104に取り付けられ、前記ホーゼル108は、ヘッド104の縁付近に取り付けられる。図2の点Aで示すように、上記した調整部は、直接的に打撃面120の中央部に向かっている。図2で示すように、シャフト102の中心線123は、直接、点Aを通ち抜ける。円弧の中心点150及び湾曲表面140の頂点が理想的
な打撃表面の方向を向いていることが有益である。このことは、ボールに対してヘッドを調整することを容易にする。このホーゼル・オフセット(角度)を減らすことも増やすことも可能であり、或は、ホーゼル108は、オフセットを有しない又は1つのオンセットを有することもある(例えば、オフセットの角度と反対の角度)。
【0042】
さらに、ホーゼル108の長さと形状は多様である。例えば、ホーゼル108に適応する形状の他としては、様々な断面を例示できる。前記断面とは、円形、ほぼ円形(例えばほぼ円形の多面多角形)、あらゆる卵型(例えば長軸と短軸の長さが多様である)、長方形、正方形、星型等が挙げられる。第2遷移領域116もまた、シャフト102からホーゼル108にかけて図で示したものと異なった方法で変形される。例えば、遷移領域116はより急傾斜(即ち短い長さにおいてシャフト102がホーゼル108に変形する。)である可能性がある。他の実施例として、シャフト102とホーゼル108は、遷移領域116において方向付けされるオフセットを有さず、同じ断面の形状を持つ可能性がある。当業者は、本発明の特性を失うことなく、遷移領域116のための多くの可能な形状が存在すること理解できる。
【0043】
ホーゼル108は、好ましくは、ヘッドの中央部というよりむしろ、ヘッドのヒール部付近でヘッド104と接続される。これは、重量システム(下記に示す)が備わっていても或は備わっていない場合も、クラブの面のバランスをとることを可能にするためである。しかしながら、ホーゼル108の挿入点は、ヘッド104のヒール部からトゥー部までのどの場所であってもよい。ホーゼル108は、ホーゼル108がヘッド104の中へ挿入される場所に振動ダンパを備えている。前記振動ダンパは、シャフト102及びグリップ110へ放射状に広がる余計な振動を防ぐものである。前記振動ダンパは、例えば、それを取り囲む他の材料より高密度のポリマ或はマトリックス材であってもよい。振動ダンパは、クラブの感応性を高め、ボールがヘッド104で打たれる時、プレイヤがより正確な運動感覚性のフィードバック及び音的なフィードバックを捕らえることを可能とする。
【0044】
上記のごとく、ヘッド104はホーゼルと接続する。調整部118によって、常に、ヘッド104がパター100のホーゼル−シャフト−グリップ部分と接続されることになる。また、ヘッド104の方向は、グリップ110、シャフト102及びホーゼル108の様々な形態における方向と一致し、これは、プレイヤがヘッド104とボールの位置を調整するのに役立つ。それゆえ、部品が誤って組み立てられる可能性がないことから、パター100の組立ては、簡単である。そしてヘッド104とホーゼル−シャフト−グリップの並び具合を確認するための追加の処理は必要ない。
【0045】
パター100の他の部品に関して、ヘッド104はポリマ材で製造される。前記製造は、標準的な樹脂成型技術(例えば射出成型等)を用いて行われる。ヘッド104の打撃面120は、滑らか或は表面に模様が入っていてもよい。模様入りの打撃面120は、所望の柄であってもよい。ヘッド104の実施例は、トゥー部からヒール部の幅を備えている。前記幅は、USGA規定に従い、奥行き(前面からアフト)より長い。
【0046】
ヘッド104もまた、特性を有する。前記特性とは、プレイヤがボールと打撃面120を、正確に1列に並べる際、役立つ。図8、9で、本発明の実施例で示すように、ボールに対する照準部もまた、ヘッド104に備わっている。前記照準部は、ヘッドとボールの位置調整することを容易にし、ボールが正確に打撃面120によって打たれるようにする。示した実施例において、打撃面120は、平面であり、即ち、ヘッド104の幅「w」方向に広がる平らな表面である。プレイヤがゴルフボールを打つ時、理想とされるボールの運動方向に対する打撃面120の方向は、望ましい結果を生むためにも非常に重要である。地形特性の干渉を受けない限り、基本的な物理学によると、ボールは、打たれた後、打撃面120の平面に対して直角方向に速度を増す傾向がある。もし、ボールが打たれた時、打撃面120が理想とする運動方向と直角でない場合、そのボールは、おそらく望ましい方向を進まない、或は理想距離に届かない。事実、ボールが打たれるとき、運動が変換されることに加えて、ボールに回転を与えることを避けるためにも、ヘッド104の全体は、望ましい方向に向かって動く必要がある。
【0047】
ボールを打撃面120で、望ましい運動方向に対して直角に打つこと、及び、ヘッド104が望ましい運動方向で移動するようにすることを考慮して、ヘッド104は様々な形状とされる。前記形状により、プレイヤは、これらの操作が可能となる。例えば、図8に示すように、上方から見たヘッド104の外形は、直線からなる。前記直線は、直角を形成する。これらの直線は、全て平行であるか、打撃面120の平面に対して直角である。これは、打撃面120の方向を視覚的に決定することを容易にする。特に、側面190は、打撃面120に対して直角であり、背部表面192は、打撃面に対して平行である。プレイヤのフィールドにおいて、プレイヤが、他の角度から外形を見たとき、適切なヘッド104の位置決めに関して不確定にさせる。上部から見えるヘッド104の各縁は、それゆえ、打撃面120に対して直角或は平行のいずれかである。また、スイングの途中においては、ヘッド104の望ましい移動方向に対して直角或は平行のいずれかである。
【0048】
打撃面120は、上面及び底面194、196に対して直角であるか、或は、多少の角度がついている。前記角度は、ボールが打たれる時、ボールにロフトを与えるものである。例えば、打撃面120は、約1〜5°上向きで、即ち上面194に向かって角度がついている。このロフト角度は、ボールが打たれる際に、ボールをわずかに持ち上げることに役立つ。例えば、ボールが静止している時、ボールはグリーンの芝生の上表面の高さより低い位置に存在する。これは、ボールの重さ、そのボールの衝撃、或は以前に打たれたボールの衝撃、または、ボールが静止している場所がプレイヤによってへこまされることによって起こる。それゆえ、ボールは、最初の衝撃時に、前述のくぼみ部分から外にもたら
すため、わずかに持ち上げられる必要がある。しかしながら、その目標は、ボールの表面にヘッドが触れた直後に、ボールが、横滑りすることなく転がり始めることを可能にすることである。この特性は、ボールの距離と方向の操作を改善することに役立つ。本実施例において、低面196は、3つの面から形成される:上面194と平行している底面及び角度がついた2つの面。この方法において、前記底面196が小さい程、スイングの際に、地面に沿った接触点を減らすこととなる。特にパター100がグリーン以外の場所(例えばグリーン周辺部の草が生い茂った所等)で使用されるとき、プレイヤは、前記接触点の減少により、より操作しやすくなる。この特性は、図3において詳しく示される。
【0049】
本実施例のヘッド104は、さらに容積測定の視差照準システム(VPSS)200と呼ばれる視準装置を備える。プレイヤの適切なスタンスは、ボールがホールに落ちるために、ボールに照準を合わせる際、特に重要である。特に、プレイヤの目は、ボールの直上に向けられるか、或は、照準を合わせる際、ボールの望ましい移動を表す平面に向けられる。プレイヤの視界においては、ホールに向かうボール及びボールの目標進路はすべて1つの平面の中に存在する。前記平面は、地面とほぼ直角である。このスタンスが維持される時、プレイヤは、まっすぐターゲットラインをみることにより、ホールに照準を合わせることができる。前記ターゲットラインとは、ホールまでのボールと望ましいボールの移動進路を結ぶラインである。もし、プレイヤの目がボールの直上を向いていない時、プレイヤは、ラインに沿って照準を合わさなければならない。前記ラインとは、望ましいパターの進路を横断したラインである。この場合、ボールに照準を合わせることが非常に難しくなる。VPSS200は、パター100のスイングの前に即ちプレイヤがヘッド104とボールを一直線に並べる際、使用されることを意図されたものでる。
【0050】
本発明の本実施例に関して、図8及び9で示したとおり、VPSS200は長方形の凹部202を備える。前記凹部は、ヘッド104のほぼ中央部の位置する。本実施例において、凹部202は、2つの側壁204及び205、前方壁206を有している。前記凹部は、後部が開いた状態である。前記凹部が完全に囲まれた状態である即ち後方壁を有してもよい。凹部202の底面203は、ヘッド104の上面及び低面194、196に対して平行である。前記壁204〜206は、凹部の底面203に対して直角である可能性がある。凹部202は、更にヘッドとボールを一直線に並べることを可能とするため、打撃面120の領域即ちボールと接触する領域と隣接して取り付けられる。本実施例のVPS
S200が上方から見られ、さらにプレイヤの見方が適切な場合において、VPSS200は、ヘッド104の2次元形態として見える。例えば、凹部202の底面203は、ヘッド104の上面194と同じ平面状に存在するように見え、壁204〜206は単に線として見える。即ち、底面203と上面194とで形成された連続した平面として見える。
【0051】
プレイヤの視点が、正しくヘッド上即ちボール上にない場合、スイングの前にパターを置く際に、VPSS200は、ヘッドの三次元形態に見える。例えば、壁204〜206の1以上が単に線として見えず、深さを持つように見えるかである。底面203は、ヘッド104の上面194と異なった平面上に存在するように見える。それゆえ、VPSS200はプレイヤには三次元に見える。これにより、プレイヤは即座に、ヘッドが不適切に置かれていることに気づき、そしてスイングする前に、正だすことができる。図8で示した図は、1例である。前記例は、プレイヤの視点が誤って調整された場合に、どのようにVPSS200が映るかをしめしたものである。
【0052】
VPSS200は、プレイヤがスイングする前にヘッドの位置を確認するための方法を提供する。前記方法は、速く、直感的で、気を散らすことなく行われる方法である。壁204〜206は底面203から離れて、際立って目に見える。凹部202の色や模様はそれゆえ、最大限の差異をつくるように選ばれ、さらにプレイヤのための目印を単純にする。
【0053】
上記したように、パター100の各部品(即ちヘッド104、ホーゼル08、シャフト102及びグリップ110)は、ポリマ材で製造される。任意の含浸材を含むポリマの特性は、パター100に、必要な剛性及びねじり剛性とともに、望ましい重量、音、感触を与えるために選択される。ポリマの特性は、各部で様々であり、例えば、シャフト102は、グリップ110より、高密度で作られ、それゆえ、より高い剛性を持つ。ヘッド104の硬度もまた、適切なポリマを選択することにより調整される。前記調整は、ボールの硬度及び性質に対応するため、及び、引き出すためのものである。パターの硬さ、重量、変形/ねじれ及び強度は調整される。前記調整は、パター100に望ましい特性を与えるために、その密度及び様々な部分における断面を変化させることにより行われる。例えば、打撃の際のバックスイングから前方への移動時に、パターを非常に硬くすることにより、感知できる変形が存在しないことは望ましいことではあるが、一方で、ボールが打たれる際、パター100が、全く変形しないほど硬くするべきではない。ボールが打たれる時のパター100の曲げ或は変形によって、プレイヤはその打撃を感じることができ、ボールの回転をよりよく操作できる。しかしながら、パター100の変形は、パター100のねじれを有することなくボールの進路に対して直角であるべきである。
【0054】
ポリマ材で作られたパター100は、従来のパターより100%まで重い。これは、ボールに多少のはずみを与えることによって、より遅い、よりリズミカルなスイングを実現させるためのものである。それゆえ、遅いスイングの場合は、ボールの移動距離はより長く、しかし、遅いスイングによって、プレイヤは、ボールをより確実に操作できる。従来のパターにおいては、弾みをつけるために、重いヘッドをつくることが可能である。しかしながら、それは、パターのバランスを変えることとなり、それゆえ、プレイヤがクラブヘッドを操作することにより解決させる。本発明の実施例は、パター100のバランスを損なうことがない、より重いパターを示している。
【0055】
パターを含むゴルフクラブのバランスは、一般に、クラブの対数支点(logarithmic fulcrum)の観点から、決定される。クラブの対数支点は、クラブのトップからおよそ19 1/2インチのところに位置する。
例えば、図4より、対数支点は、シャフト102のどこかに位置するキャップ112のトップから19 1/2インチ下降したところに存する。完全にバランスのとれたクラブは、クラブは対数支点ポイント上でつりあうということを示す。 パター100の典型例において、対数支点からクラブのトップまでの距離は、対数支点からクラブの底面までの距離より長い。したがって、バランス調整を行う為、クラブの下部(つまり対数支点より下の部分)は、クラブの上部より重くなければならない。
ポリマ材料と含侵材料を変化させることによって、本発明によるパターは、完全にバランスのとれたクラブとして、製造され得る。
ここで、完全にバランスのとれたクラブとは、クラブの低部分により多くの重量感を備えたものとして、若しくは、クラブの上部分により多くの重量感を備えたものとして製造されるものをいう。
実際、ほとんどのプレイヤは、より良い打球およびスイングの感触が得られるよう、完全にバランスのとれたものより、クラブの低部にわずかにより多くの重量感を有するパターを好む。下に記述するように、パターも、またプレイヤが重量感およびパターの感触をカスタマイズするための重量システムを含む。
【0056】
本発明による、パターの典型例は、パターをカスタマイズするのに使用される、重量システムを含む。クラブの2つの部分間における重量配分の変更は、パターの回転の中心点を移動させることとなる。
パターの回転の中心点とは、パターをスイングする際、回転中心ポイントである。
ヘッド部分に重みを加えることは、ボールへ与えることができる、運動エネルギーの量に影響を与える。
ヘッドの運動量は、その速度と大きさに比例するので、与えられた速度において、ヘッドの質量が大きくなればなるほど、より大きな衝撃をボールに与えることが可能となる。
代わりに、同じ衝撃は、ヘッドエンド(クラブのより低い部分)がより大きな場合には、より遅い速度で、ボールを打つことによっても与えられる。
より遅い速度は、より遅くより良く制御されるスイング、よりよい距離コントロール及び、より滑らかな動作を可能とする。
【0057】
図10は、ヘッド104に使用される重量システムの典型例である。該実施例において、一連のトンネル302は、ヘッド104の分厚いセクションの中で、形成される。該分厚いセクションは、VPSS 200を囲む。トンネル302は、ヘッド104の中で縦に伸びて、ヘッド104のヒール部からトウ部まで、横方向に配置される。
錘300はトンネル302内に挿入可能である。そこで、それらは、従来の手法で適所に固定される。例えば、トンネル302の中をタップでねじ切り加工するなどである。
トンネル302内における、錘300の位置は、ヘッド104が、どのようにボールを打つかについて影響を与えることができるよう、より前方、若しくは、より重心に近い箇所に配される。
錘300は、個々のプレイヤの要望に応えることができるよう、様々な重さのものが提
供されている。複数種のチャンネル302が、ヘッド104の幅方向に沿って、設けられている。
様々な重さの錘は、ヒール部310若しくはトウ部312への、ヘッドの重心を移動させる為、チャンネル内に配される。この機能は、パター100の感触をカスタマイズする、若しくは、プレイヤの正しくないスイング技術を修正するのに有用である(例えば、該重量システムはゲートパターのスイング修正の為、使用されてもよい)。
【0058】
パター100のヘッド104は、それらの縦軸に関して対称でない錘306の使用により、さらにカスタマイズされる。例えば、錘306は半円断面を有している。チャンネル302内の錘306を回転させることにより、ヘッド104の重心は、錘306の固体部分が何処で回転するかにより、上下に移動する。この性質はヘッドの重心における垂直位置での制御を可能とする。
例えば、このことは、早いグリーンでプレーする場合、ヘッド104の重心の上昇を可能とし、遅いグリーンでプレーする場合、ヘッド104の重心の下降を可能とする。重心の変化は、しばしば、効果的なフェースアングルに関連して、パターの効果的なロフトアングルを変更し得る。
上述のように、パターのフェースアングルは、約1−5度である。しかしながら、重心が高くなればなるほど、効果的なフェースアングルは、低くなる。従って、重心を高くした、3度のフェースアングルパターは、3度以下の効果的なフェースアングルを有することとなる。
効果的なフェースアングルの低下は、クラブをデ-ロフト(de-lofts)させ、またそれがクラブによって打たれる場合、ボールに、より少ないロフト(あるいは上昇)を引き起こす。
【0059】
パターの重心を上げ下げする錘配置の別例には、台形状の錘といったような対称でない錘がある。そのような錘は中心軸について回転する。仮に、台形の大部分がトップまで回転すれば、より多くの錘がトップ上に存在することとなり、効果的に、重心を上げる。ところが、台形の大部分が、底まで回転すれば、重心は低下する。
これらの錘も、また、個々のプレイヤの特性に応じて、クラブのヒール部もしくはトウ部に向かうよう、回転される。
当業者は、ヘッド104に非対称的な同じ錘を加えることを遂行するために使用され得る、他の非台形状のものが存在することを理解する。
さらなる実施例において、錘は対称な形(例えば円、正方形など)であれば、形の半分が他方の半分より軽い材料であるといった、2種の金属材料から造ることができる。重い方の部分の、軸に対しての回転は、上述されるように、同じヘッド104の非対称的重量を加えることにより、遂行可能である。当業者は、両金属の重量に加えて、プレイヤの要望に応じて、ヘッドに重みを加えることを遂行するために、多種の金属(例えば3種の金属、4種の金属など)を使用することができるということを理解する。
【0060】
キャップ304は、チャンネル302の開口部308を固定する為、配される。キャップ304は、所定の箇所で、つなぎ合わされ、錘300、306がチャンネル302内に位置しても位置しなくても、使用されることとなる。ヘッド104の重量システムは、このようにして、3つの軸中のヘッド104重心の位置を調節すること、及び、ヘッド104の大きさを調節することにより、プレイヤがパター100の感触をカスタマイズすることを可能とする。
【0061】
一般に、ヘッドの質量の大半が、ヘッド104のヒール部及びトウ部310、312付近に集中していることが望ましい。このことによっても、ボールが打たれるときに、パター100のねじれを減少させることができる。
さらに、ヘッド104に安定性を付加する為、打撃面120から離れて後部方向に、錘を移動させることも望ましいことである。
ヘッドからトウ部までの重量配分は、本発明の典型例により、制御可能である。
この特徴は、パターの打撃面のバランス変更を可能とし、45度トウ部を下げる、若しくは45度トウ部を上げることにより、バランスを保つことができる。
この方法において、パター100は、いわゆるゲートパター、及びパターのようなものを介して前後に移動するもの等にも適応することができる。
【0062】
図12は、本発明による、ヘッド重量システムの変更例を示す。この例では、ヘッド104が、VPSS200の両サイドのそれぞれに、1つの空洞部341を含む。各空洞部は、ロック可能なドア342の使用を通して、塞がれる。ドア342は、それらが目立たないよう、若しくは目障りにならないよう、設計される。
空洞部341は、上述のチャンネル302と同じ方法が適応可能であり、錘の形やサイズを変更可能である。空洞部341の内にロック装置が存在し、錘は、空洞部341内部の異なる位置で固定され得る。
【0063】
さらなる典型例において、ヘッド104の重量システムは、ヘッド104に取付け可能な、分離可能な単独のプレートともなる。ヘッド104の錘を変化させる為、取付可能な一連の単独のプレートが存在する。当業者は、図10及び12で記載されている、重量システムは、唯の典型例で、ヘッド104に、錘を挿入するために使用される、多数の他の装置があることを理解する(例えば多数のチャンネルか空洞部、ヘッドのトップ部か底表面からの錘挿入、外部に重みを加えることなど)。
【0064】
別の典型例では、ヘッド104は単一の固体片(例えば図10で示されるのと同じ一般的形状で、錘の挿入用の空洞部308がない)である。ヘッド104の重さは、異なるポリマ材料、含侵方法あるいは他の複合材料を使用することによって、様々である。
例えば、中実のヘッド104は、ポリマにより囲まれた中実の金属コアを有することもある。この種の変更は、ヘッドの重量は、外部からの錘により変更可能である。若しくは、異なる重さを有するヘッド104と置き換えることでも変更可能である。
【0065】
図11は、グリップ110用の重量システムの典型例を示す。例えば、中空の空洞部136は、グリップ110内で、形成される。パター100の回転の中心のための一連の動作を与えるために、中空の空洞部136は、グリップ110に沿って伸びている。
1若しくはそれ以上の錘320、330は、中空の空洞部136に挿入され、グリップ110に沿って、所望の距離に配される。
たとえ、ヘッド104の質量に変更がなかったとしても、錘320、330が遠くに配されれば、それだけ、ヘッドの回転中心が低くなることが解る。
錘320は、パター100に所望の感触を与える為、及び、ヘッドの重さのバランスを保つ為、付け加えられ、配備される。
上述するように、ヘッドが重くなれば、パター100は、対数平衡(logarithmic balance)を保てない。例えば、上述した重量システムの使用による錘の付加を介して、ヘッド104の重さを変化させることは、グリップ110での重さを変化させることに等しい。グリップ110での重さを変化させることで、パターの対数平衡を保持することが可能となる。このことは、しばしば、バック・ウェイティングとして、参照され、ヘッド104及びグリップ110の両方に、錘が付加されるが、パター100は対数バランス(若しくは、プレイヤにより選択されたバランス)を保った状態に置かれる。
従って、パター100は、ヘッド104とグリップ110における錘の追加を通して、顕著に重くなるが、バランスが同じのままであるので、パターの感触は同じままとなる。
【0066】
錘320、330は、空洞部136の内部に、ありふれた方法で、配される。
例えば、錘320、330は、空洞部136の内部に、それらが所望の位置で固定されるよう、ネジ式に挿入される。キャップ112は、空洞部136を閉じ、さらなる錘320、330の移動を防ぐために利用され得る。
1の典型例では、重量システムが、1中心部材、若しくは、柱を含むこととなる。これらは、遷移領域114の内部に付けられるか、若しくは、遷移領域114内のボール及びソケット装置に固定されているものである。その後、中心部材は空洞部136内に挿入される。そして、錘320、330は、該中心部材に取付けられる。
この配置では、調節ねじは、キャップ112を介して、中心部材に取り付けられ、キャップ112を除去せず、空洞部136内部で、錘320、330を移動させることができる。同様に、錘自体は、それらが空洞部に挿入され、ボール及びソケット装置に固定されることができるように、形作られる。
【0067】
ヘッド104とグリップ110で使用される錘の材料は、典型的には、例えばタングステン、鋼、真鍮、密度の高いポリマなどがあげられる。典型例の錘は調整可能であるが、異なる実施例では、製造中に挿入される、固定化された錘を使用する場合もある。
【0068】
上述のように、記述されたゴルフクラブ(例えばグリップ110、シャフト102、ホーゼル108およびヘッド104)の構成要素の各々は、ポリマもしくは複合材料から形成される。例えば、複合材料は、金属あるいは他の材料を含有するポリマ、可変密度マトリックス合成物などがある。構成要素はさらに圧縮ラミネートか、多層なラミネートである場合がある。
【0069】
以上より、本発明について、特定の典型例を参照とし、説明した。
しかしながら、改良、変更は、本発明の請求項で説明される要旨を離れることなしに、容易に行うことが可能となる。
本明細書及び図面に記載されているものに、特に限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターの正しい握り方を促す形状を有するグリップと、
第1端部及び第2端部を備えるとともに、前記グリップが前記第1端部に配設されるシャフトと、
前記シャフトの第2端部に取付けられるホーゼルと、
前記ホーゼルに取付けられるとともに、打撃面を有するヘッドを備え、
前記グリップの横断面形状は、第1の半径を有する第1の円弧状の形状を1カ所に備え
、第2の半径を有する第2の円弧状の形状を2カ所に備え、
前記第1の半径が前記第2の半径より大きく、
前記第1の円弧状と、第2の円弧状が滑らかな側面でつながって3側面を形成し、
前記第1及び第2の円弧状の形状は、グリップを握った時に両手の手のひらと指によって形作られる曲線と適合し、
前記シャフトの中心線と前記ヘッドの前記打撃面が共通の少なくとも1つの点を有し、
前記グリップにおける前記第1の円弧状の面に対し接線方向である平面が前記ヘッドの前記打撃面に対し略垂直であることを特徴とするパター。
【請求項2】
前記打撃面が、1−5°のロフトアングルを備えることを特徴とする請求項1に記載のパター。
【請求項3】
前記ヘッドの3つの寸法のうち少なくとも1つを調整可能な前記ヘッドの重量システムを更に備え、
第1の調整可能な寸法は、前記打撃面から前記ヘッドの背面への寸法であり、
第2の調整可能な寸法は、前記ヘッドの上面から前記ヘッドの底面への寸法であり、
第3の調整可能な寸法は、前記ヘッドの第1側面から前記ヘッドの第2側面への寸法であることを特徴とする請求項1記載のパター。
【請求項1】
パターの正しい握り方を促す形状を有するグリップと、
第1端部及び第2端部を備えるとともに、前記グリップが前記第1端部に配設されるシャフトと、
前記シャフトの第2端部に取付けられるホーゼルと、
前記ホーゼルに取付けられるとともに、打撃面を有するヘッドを備え、
前記グリップの横断面形状は、第1の半径を有する第1の円弧状の形状を1カ所に備え
、第2の半径を有する第2の円弧状の形状を2カ所に備え、
前記第1の半径が前記第2の半径より大きく、
前記第1の円弧状と、第2の円弧状が滑らかな側面でつながって3側面を形成し、
前記第1及び第2の円弧状の形状は、グリップを握った時に両手の手のひらと指によって形作られる曲線と適合し、
前記シャフトの中心線と前記ヘッドの前記打撃面が共通の少なくとも1つの点を有し、
前記グリップにおける前記第1の円弧状の面に対し接線方向である平面が前記ヘッドの前記打撃面に対し略垂直であることを特徴とするパター。
【請求項2】
前記打撃面が、1−5°のロフトアングルを備えることを特徴とする請求項1に記載のパター。
【請求項3】
前記ヘッドの3つの寸法のうち少なくとも1つを調整可能な前記ヘッドの重量システムを更に備え、
第1の調整可能な寸法は、前記打撃面から前記ヘッドの背面への寸法であり、
第2の調整可能な寸法は、前記ヘッドの上面から前記ヘッドの底面への寸法であり、
第3の調整可能な寸法は、前記ヘッドの第1側面から前記ヘッドの第2側面への寸法であることを特徴とする請求項1記載のパター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−120958(P2011−120958A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33736(P2011−33736)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2003−572643(P2003−572643)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(504328831)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2003−572643(P2003−572643)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(504328831)
【Fターム(参考)】
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