説明

一体化された動脈フィルタを有する酸素付加器

【課題】単一構造において、熱交換器と、ガス交換器と、動脈フィルタと、フィルタフレームとを組み合わせる酸素付加器を提供すること。
【解決手段】このような酸素付加器は、流体接続の数を減らすことができるようにし、したがって、体外血液回路を単純化することができ、体外血液回路は人工心肺装置と貯血槽とを含み、酸素付加器をその内部で使用する。いくつかの実施形態では、酸素付加器は、血液を濾過する前と後の両方で泡をパージするための複数のパージポートを含むように構成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、血液潅流システムで使用される動脈フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]血液潅流は、血液が体の血管を通るように促進することを必然的に伴う。このような目的で、血液潅流システムは、典型的には、患者の血管系と相互接続される体外循環回路において1つまたは複数のポンプを使用することを必然的に伴う。心肺バイバス術は、典型的には、心臓および肺の機能の代わりに使用することによって静止した手術野(still operating field)を作るために心臓の一時的な停止を実現する灌流システムを必要とする。このような隔離は、血管狭窄症、弁膜症、および先天性心臓欠損の外科的修正を可能とする。心肺バイバス術に使用される灌流システムでは、心臓および肺の機能の代わりに使用するために少なくとも1つのポンプと酸素付加デバイスとを含む体外血液回路が確立される。
【0003】
[0003]より詳細には、心肺バイパス手技では、酸素の少ない血液すなわち静脈血は、心臓に入る大静脈または体内の他の静脈(たとえば、大腿静脈)から重力排水(gravity−drain)または真空吸引され、体外循環回路の脱血回路を介して移動される。静脈血は、血液への酸素移動を実現する酸素付加器にポンプ圧送される。酸素は、膜を介した移動によって、またはそれほど頻繁ではないが、血液の中に酸素の泡を流すことによって、血液に導入されることができる。同時に、二酸化炭素が膜を介して除去される。酸素を豊富に含んだ血液は濾過され、次いで送血回路を介して大動脈、大腿動脈、または他の動脈に戻される。
【0004】
[0004]多くの場合、動脈フィルタは、固体またはガスの塞栓物を遮り、このような塞栓物が患者の大動脈に入るのを防ぐように、酸素付加器の後に、患者の前の最後の障壁として体外循環回路に追加される。最近、酸素付加器に一体化された動脈フィルタが開発され、循環回路のプライミングボリュームの減少および患者の全体的な血液希釈の減少を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明の一実施形態によれば、血液処理装置は、血液入口と血液出口とを有する装置筐体を含む。この装置筐体の内部には、血液入口が延びることができる。熱交換器は、血液入口と流体連通し、血液入口のまわりに配される。熱交換器のまわりには、ガス交換器が配され、したがってガス交換器の内側表面は、熱交換器の外側表面を出る血液を受けるように位置決めされる。ガス交換器の外側表面と装置筐体の内部表面の間に環状空隙が画定され、したがって、この環状空隙に、ガス交換器の外側表面を出る血液が集まることができる。装置筐体のまわりには、環状のフィルタ筐体が同心状に配置される。この環状のフィルタ筐体内には、フィルタが配置され、円筒状フィルタと装置筐体の間に第1の環状チャンバ、および円筒状フィルタと環状のフィルタ筐体の間に第2の環状チャンバを形成する。環状のフィルタ筐体内には、細長い開口が形成されることによって、環状空隙に集まる血液が第1の環状チャンバ内へ入ることができる。第1のパージポートは第1の環状チャンバと連通し、第2のパージポートは第2の環状チャンバと連通する。
【0006】
[0006]本発明の別の実施形態によれば、一体化された血液処理装置は、血液入口と血液出口とを有する筐体を含み、この筐体の内部に血液入口が延びる。この血液入口のまわりには、熱交換器が配され、血液入口と流体連通する。熱交換器のまわりには、酸素付加器が配され、熱交換器と流体連通する。内部体積を画定するフィルタ筐体は、筐体に固定される。フィルタ筐体内には、フィルタが配され、内部体積を、酸素付加器と流体連通する第1のチャンバと、血液出口と流体連通する第2のチャンバに分割する。第1のパージポートは第1のチャンバと流体連通し、第2のパージポートは第2のチャンバと流体連通する。
【0007】
[0007]本発明の別の実施形態によれば、酸素付加器は、血液入口と血液出口とを有する酸素付加器筐体を含む。この酸素付加器筐体は、酸素付加器体積を画定する。酸素付加器筐体のまわりには、内部フィルタ体積を画定する環状のフィルタ筐体が配される。この環状のフィルタ筐体内には、フィルタが配され、内部フィルタ体積を、酸素付加器体積と流体連通する第1のチャンバと、血液出口と流体連通する第2のチャンバに分割する。第1のパージポートは、環状のフィルタ筐体を形成する壁内に配され、第1のチャンバと流体連通する。第2のパージポートは、環状のフィルタ筐体を形成する壁内に配され、第2のチャンバと流体連通する。
【0008】
[0008]本発明の別の実施形態によれば、血液処理装置は、血液入口と血液出口とを有する装置筐体を含み、この装置筐体の内部に血液入口が延びる。熱交換器が血液入口のまわりに配され、これと流体連通する。ガス交換器が熱交換器のまわりに配され、これと流体連通する。装置筐体のまわりにフィルタ筐体が結合され、フィルタ体積を装置筐体とフィルタ筐体の間に画定し、このフィルタ体積は、ガス交換器を出る血液がフィルタ体積内へ入ることができるように装置筐体内に形成された1つまたは複数の開口を介してガス交換器と流体連通する。このフィルタ筐体内に、フィルタ組立体が配される。このフィルタ組立体は、1つまたは複数のリブを有するフィルタフレームと、このフィルタフレーム上に配されたフィルタネットとを含む。1つまたは複数のリブは、フィルタネットの少なくとも一部分を通過する血液速度を低下させるように、1つまたは複数の開口の少なくとも一部分と整列する。
【0009】
[0009]本発明の別の実施形態によれば、血液処理装置は、血液入口と血液出口とを有する装置筐体を含み、この装置筐体の内部に血液入口が延びる。装置筐体内では、熱交換器のコアが同軸方向に延び、軸方向に血液入口と整列される。熱交換器のコアのまわりに熱交換器の中空糸が配され、したがって、熱交換器の流体は、熱交換器の中空糸を通過して流れることができ、血液入口から入る血液は、熱交換器の中空糸を横断して流れることができる。円筒状の外殻は、熱交換器のコアのまわりを同軸方向に延びる。この円筒状の外殻は、血液入口近くの端部に対向する円筒状の外殻の端部の近くに配された環状の外殻アパーチャを含む。この環状の外殻アパーチャは、血液が円筒状の外殻の外部へ通過することができるように構成される。ガス交換器の中空糸は、円筒状の外殻のまわりに配され、したがって、ガスはガス交換器の中空糸を通過して流れることができ、環状の外殻アパーチャから入る血液はガス交換器の中空糸を横断して流れることができる。フィルタ筐体は装置筐体のまわりに結合され、装置筐体とフィルタ筐体の間にフィルタ体積を画定する。このフィルタ体積は、円弧状経路に沿って装置筐体内に形成された1つまたは複数の開口を介してガス交換器と流体連通し、したがって、ガス交換器を出る血液はフィルタ体積内へ入ることができる。フィルタ筐体内にフィルタ組立体が配され、フィルタ体積を、フィルタ組立体と装置筐体の間の第1のチャンバと、フィルタ組立体とフィルタ筐体の間の第2のチャンバに分割する。このフィルタ組立体は、1つまたは複数の円弧状リブを有するフィルタフレームと、このフィルタフレーム上に配されたフィルタネットとを含む。1つまたは複数の円弧状リブは、フィルタネットを通過する血液速度を減速させるために、円弧状経路に沿って1つまたは複数の開口と整列される。血液処理装置は、第1のチャンバと流体連通する第1のパージポートと、第2のチャンバと流体連通する第2のパージポートとを含む。
【0010】
[0010]本発明の別の実施形態によれば、血液処理装置は、血液入口と血液出口とを有する装置筐体を含み、この装置筐体の内部に血液入口が延びる。熱交換器が血液入口のまわりに配され、これと流体連通する。ガス交換器が熱交換器のまわりに配され、これと流体連通する。装置筐体のまわりにフィルタ筐体が結合され、フィルタ体積を装置筐体とフィルタ筐体の間に画定し、このフィルタ体積は、ガス交換器を出る血液がフィルタ体積内へ入ることができるように装置筐体内に形成された1つまたは複数の開口を介してガス交換器と流体連通する。このフィルタ筐体内に、フィルタ組立体が配される。このフィルタ組立体は、フィルタ体積を、フィルタ組立体と装置筐体の間の第1のチャンバと、フィルタ組立体とフィルタ筐体の間の第2のチャンバに分割する。第1のパージポートは第1のチャンバと流体連通し、第2のパージポートは第2のチャンバと流体連通する。
【0011】
[0011]複数の実施形態が開示されるが、本発明の例示的実施形態を図示し説明する、以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的に過ぎず、限定的であると見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]本発明の一実施形態による一体化された動脈フィルタを含む血液処理装置の概略図である。
【図2】[0013]図1の血液処理装置の断面図である。
【図3】[0014]図1の血液処理装置内に展開されたフィルタの説明図である。
【図4】[0015]図1の血液処理装置内に展開された別のフィルタの説明図である。
【図5】[0016]本発明の一実施形態による一体化された動脈フィルタを含む血液処理装置の概略図である。
【図6】[0017]図5の血液処理装置の概略断面図である。
【図7】[0018]図5の血液処理装置内に展開されたフィルタの説明図である。
【図8】[0019]本発明の一実施形態による一体化された動脈フィルタを含む血液処理装置の概略図である。
【図9】[0020]本発明の一実施形態による一体化された動脈フィルタを含む血液処理装置の斜視図である。
【図10】[0021]図9の血液処理装置の断面図である。
【図11】[0022]図9の血液処理装置の一部分の斜視図である。
【図12】[0023]図9の血液処理装置の一部分の斜視図である。
【図13】[0024]図9の血液処理装置において血流速度がどのように低下するかを示す血流の概略図である。
【図14】[0024]図9の血液処理装置において血流速度がどのように低下するかを示す血流の概略図である。
【図15】[0025]図9の血液処理装置において逆流がどのように減少するかを示すグラフである。
【図16】[0025]図9の血液処理装置において逆流がどのように減少するかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0026]本開示は、熱交換器と、ガス交換器または酸素付加器と、動脈フィルタとを単一構造に組み合わせる血液処理装置に関する。いくつかの実施形態では、酸素付加器という用語は、デバイスにおいて、熱交換器と、ガス交換器と、動脈フィルタとを単体のデバイスに組み合わせる構造を指すために使用されることができる。いくつかの実施形態では、酸素付加器は体外血液回路で使用されることができる。バイパス手技でなど使用可能な体外血液回路は、人工心肺装置、貯血槽、酸素付加器などのいくつかの異なる要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、動脈フィルタを酸素付加器に組み込むことによって、体外血液回路を作るために使用される配管セット(tubing set)は、複雑さまたは部品の数に関して減少されることができ、したがって、体外血液回路を単純化することができる。いくつかの実施形態では、このことが、体外血液回路のプライミングボリュームを減少させる。
【0014】
[0027]図1は、血液処理装置または酸素付加器10の概略図である。この図では内部構成要素は示されていないが、酸素付加器10は熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタのそれぞれは、酸素付加器筐体を形成する単一構造に一体化される。酸素付加器10は、デバイス区画またはデバイス筐体12と、動脈フィルタ区画または動脈フィルタ筐体14とを含む。いくつかの実施形態では、動脈フィルタ筐体14は、デバイス筐体12と一体的に成形されてもよいし、あるいはこれと構造的に一体化されてもよい。場合によっては、動脈フィルタ筐体14は、独立して形成され、次いでデバイス筐体12に固定されてもよいし、あるいはこれに結合されてもよい。種々の実施形態によれば、熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタ筐体14は、全体的に円形または平行四辺形(たとえば、正方形または矩形)として作られた形状の断面を有することができる。熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタ筐体14のそれぞれは、全体的に同じ断面形状を有してもよいし、またはそれぞれが異なる断面形状を有してもよい。
【0015】
[0028]いくつかの実施形態では、血液入口16は、動脈フィルタ筐体14を通過してデバイス筐体12内に延びる。血液出口18は、動脈フィルタ筐体14を出る。記載のとおり、いくつかの実施形態では、酸素付加器10はガス交換器を含み、したがってガス入口20とガス出口22とを含むことができる。いくつかの実施形態では、酸素付加器10は熱交換器を含み、したがって加熱流体入口24と加熱流体出口26とを含むことができる。後で図2を参照してより詳細に説明するように、酸素付加器10は、第1のパージポート28と第2のパージポート30とを含む。他の配置および構成が企図されているように、入口、出口、およびパージポートの位置は例示的なものに過ぎない。パージポートは、弁またはねじ付き蓋を含んでもよい。パージポートは、血液を出るガス(たとえば、気泡)が酸素付加器から排出または吸い込まれて除去されることができるように動作する。
【0016】
[0029]図2は、酸素付加器10の断面図であり、内部構成要素および酸素付加器10を通過する例示的な血流を示す。酸素付加器10は、熱交換器32とガス交換器34とを含む。いくつかの実施形態では、熱交換器32はいくつかの中空糸を含み、この中空糸を通過して水などの加熱流体が流れることができる。血液は、中空糸のまわりを流れて通り過ぎ、したがって適切に加熱されることができる。いくつかの実施形態では、中空糸はポリマーであってよい。場合によっては、熱交換器32で金属製の糸が使用されてもよい。他の実施形態によれば、熱交換器32は、血液との熱伝達を促進するため金属製ベローズまたはかなりの表面積を備える他の構造(たとえば、フィン)を含む。
【0017】
[0030]いくつかの実施形態では、ガス交換器34はいくつかの微小孔性中空糸を含むことができ、この中空糸を通過して酸素などのガスが流れることができる。血液は、中空糸のまわりを流れて通り過ぎることができる。濃度勾配により、酸素は中空糸を通過して血液中に拡散することができ、二酸化炭素は中空糸中に拡散して血液から出ることができる。
【0018】
[0031]いくつかの実施形態によれば、酸素付加器10は環状空隙36を含み、血液は、ガス交換器34を出るときに、環状空隙36に流れ込むことができる。図示のように、環状空隙36は動脈フィルタ筐体14内に延びることができる。例示的な実施形態によれば、環状空隙36は、全体的に円形であってもよいし、全体的に矩形であってもよい。動脈フィルタ筐体14はフィルタ38を含む。いくつかの実施形態では、フィルタ38は、環状フレーム40と、この環状フレーム40上に広がるネットまたはメッシュ42とを含む。いくつかの実施形態では、フィルタ38は、動脈フィルタ筐体14内の体積を、第1のチャンバ44と第2のチャンバ46に分割すると見なされることができる。種々の実施形態では、環状フレーム40とネットまたはメッシュ42はフィルタ筐体14に対して同心状に配される。他の実施形態では、環状フレーム40とメッシュ42は筐体14のまわりに同心でないように配される。例示的な実施形態によれば、動脈フィルタ筐体14の内部体積(すなわち、プライミングボリューム)は、約30〜約150mLまたは約80〜約110mLである。他の実施形態によれば、プライミングボリュームは、約30〜150mLまたは約90〜約100mLである。
【0019】
[0032]いくつかの実施形態では、環状空隙36は、第1のチャンバ44に開口していてもよいし、あるいは第1のチャンバ44と流体連通してもよい。血液が第1のチャンバ44内にあるとき、血液内に存在する気泡は、第2のパージポート30を介して排出されることができる。血液は、フィルタ38を通過して第2のチャンバ46内に入ることができる。血液中に残っている泡、またはフィルタ38の通過により生じた泡は、第1のパージポート28を介して排出されることができる。次いで、血液は、血液出口18を介して酸素付加器10を出ることができる。種々の実施形態によれば、第2のチャンバ46に第1のパージポート28があり、かつ第1のチャンバ44に第2のパージポート30があることによって、血液中に存在する泡がパージポートを介して出る第1の機会および第2の機会の両方を有するので、プライミング速度が改善する。さらに、これらの実施形態では、この場合も血液中に残っている泡がパージポートを介して出る第1の機会および第2の機会の両方を有するので、泡またはガスの除去の有効性が改善される。
【0020】
[0033]図3は、フィルタ38の図であり、フレーム40およびネットまたはメッシュ42を示す。図4は、遮蔽板100を含むフィルタ38の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、遮蔽板100は、酸素付加器10の低い部分上での優先的な血流を制限するようなサイズおよび形状であってよく、および血液出口18近くに位置決めされてよい。種々の実施形態によれば、フィルタ38は、円形、矩形、または他の任意の形状である断面形状を有することができる。
【0021】
[0034]いくつかの実施形態では、ネットまたはメッシュ42は、約20〜約200ミクロンの範囲であるメッシュサイズを有することができる。場合によっては、ネットまたはメッシュ42は、約120ミクロンのメッシュサイズを有することができる。いくつかの例では、ネットまたはメッシュ42は、約38〜40ミクロンのメッシュサイズを有することができ、ポリエステルまたはポリプロピレンなどのポリマー材料から形成されることができる。場合によっては、ネット42は、生体適合性材料で被覆されてよい。遮蔽板100は、任意の適切な材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、遮蔽板100は、フレーム40と一体的に形成されてよい。種々の例示的な実施形態によれば、ネットまたはメッシュ42は、約70〜約90平方センチメートルの表面積を有する。他の例示的な実施形態によれば、ネットまたはメッシュ42は、約75〜約80平方センチメートルの表面積を有する。
【0022】
[0035]図5は、血液処理装置または酸素付加器110の概略図である。この図では内部構成要素は示されていないが、酸素付加器110は熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタのうち1つまたは複数を含むことができる。酸素付加器110は、デバイス筐体112と、動脈フィルタ筐体114とを含む。いくつかの実施形態では、動脈フィルタ筐体114は、デバイス筐体112と一体的に成形されてもよいし、あるいはこれと共に形成されてもよい。場合によっては、動脈フィルタ筐体114は、独立して形成され、次いでデバイス筐体112に固定されてもよい。
【0023】
[0036]いくつかの実施形態では、血液入口116は、動脈フィルタ筐体114を通過してデバイス筐体112内に延びる。血液出口118は、動脈フィルタ筐体114を出る。記載のとおり、いくつかの実施形態では、酸素付加器110はガス交換器を含み、したがってガス入口120とガス出口122とを含むことができる。いくつかの実施形態では、酸素付加器110は熱交換器を含み、したがって加熱流体入口124と加熱流体出口126とを含むことができる。後で図6を参照してより詳細に説明するように、酸素付加器110は、第1のパージポート128と第2のパージポート130とを含む。他の配置および構成が企図されているように、入口、出口、およびパージポートの位置は例示的なものに過ぎない。
【0024】
[0037]図6は、酸素付加器110の断面図であり、酸素付加器110の内部構成要素を示す。酸素付加器110は、熱交換器132とガス交換器134とを含む。いくつかの実施形態では、熱交換器132はポリマーまたは金属製のいくつかの中空糸を含み、この中空糸を通過して水などの加熱流体が流れることができる。血液は、中空糸のまわりを流れて通り過ぎ、したがって適切に加熱されることができる。いくつかの実施形態では、ガス交換器134はいくつかの中空糸を含むことができ、この中空糸を通過して酸素などのガスが流れることができる。血液は、中空糸のまわりを流れて通り過ぎることができる。濃度勾配により、酸素は中空糸を通過して血液中に拡散することができ、二酸化炭素は中空糸中に拡散して血液から出ることができる。
【0025】
[0038]図6に示されるように、ガス交換器は、血液がガス交換器134を横断して径方向に流れるように構成される。これらの実施形態では、酸素付加器110は環状空隙136を含み、血液は、ガス交換器134を出るときに、環状空隙136に流れ込むことができる。種々の実施形態によれば、環状空隙136は開口していてもよいし、または環状空隙136は部分的もしくは完全に中空糸で満たされていてもよい。図示のように、動脈フィルタ筐体114は、環状空隙136の一部分の上に延びることができる。他の実施形態によれば、ガス交換器134、熱交換器132、またはこれらの両方は、血液が長手方向の流路に向けられるように構成されることができる。ガス交換器134が、血液が長手方向の経路を流れるように構成される種々の例示的な実施形態では、環状空隙136は省略される。これらの実施形態では、血液は、端部の近くでガス交換器134から流れ出て、動脈フィルタ筐体114に直接流れ込む。いくつかの実施形態では、ガス交換器134と動脈フィルタ筐体114の間の開口は、動脈フィルタ筐体114の血液出口118に対応する半径方向の場所で遮断されるかまたは塞がれ、ガス交換器134から血液出口118内への直接的な流れを最小限にするかまたはこれを防ぐ。
【0026】
[0039]フィルタ138は、動脈フィルタ筐体114内に配されることができる。いくつかの例では、図示のように、フィルタ138は、環状のフィルタ筐体114内の空隙を、第1のチャンバ144と第2のチャンバ146に分割する。約360度まで周方向に延びることができる開口148は、環状空隙136と第1のチャンバ144の間の流体連通を可能にする。血液が第1のチャンバ144内にあるとき、血液内に存在する気泡は、第1のパージポート128を介して排出されることができる。血液は、フィルタ138を通過して第2のチャンバ146内に入ることができる。血液中に残っている泡、またはフィルタ138の通過により生じた泡は、第2のパージポート130を介して排出されることができる。次いで、血液は、血液出口118を介して酸素付加器110を出ることができる。
【0027】
[0040]図7は、フィルタ138の図である。いくつかの実施形態では、フィルタ138は、1つまたは複数の補強材140と円筒状のネットまたはメッシュ142とを含む円筒状フィルタである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の補強材140は、円筒状のネットまたはメッシュ142に成形されることができる。場合によっては、1つまたは複数の補強材140は、円筒状のネットまたはメッシュ142に接着して固定されることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の補強材140は、フィルタ138のまわりを円筒状に延びることができる。いくつかの例では、1つまたは複数の補強材140は、フィルタ138を横断する(run across)ことができる。
【0028】
[0041]いくつかの実施形態では、ネットまたはメッシュ142は、約20〜約200ミクロンの範囲であるメッシュサイズを有することができる。場合によっては、ネットまたはメッシュ142は、約120ミクロンのメッシュサイズを有することができる。いくつかの例では、ネットまたはメッシュ142は、約40ミクロンのメッシュサイズを有することができ、ポリエステルまたはポリプロピレンなどのポリマー材料から形成されることができる。場合によっては、ネット142は、生体適合性材料で被覆されてよい。
【0029】
[0042]いくつかの実施形態では、ネットまたはメッシュ142は遮蔽領域または遮蔽板200を含むことができ、遮蔽領域または遮蔽板200は、酸素付加器110の低い部分上での優先的な血流を制限するようなサイズおよび形状であり、血液出口118の近くに位置決めされる。遮蔽板200は、任意の適切な材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、遮蔽板200は、ネットまたはメッシュ142に成形されてもよいし、あるいはネットまたはメッシュ142内に形成されてもよい。
【0030】
[0043]図8は、血液処理装置または酸素付加器310の概略図である。この図では内部構成要素は示されていないが、酸素付加器310は熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタのうち1つまたは複数を含むことができる。酸素付加器は、デバイス筐体312と、動脈フィルタ筐体314とを含む。図示の実施形態では、動脈フィルタ筐体314は、デバイス筐体312の端部または側面に一体化され、デバイス筐体312を出る血液が動脈フィルタ筐体314に入るように構成される。デバイス筐体312は血液入口316を含み、動脈フィルタ筐体314は血液出口318を含む。
【0031】
[0044]いくつかの実施形態では、図示のように、動脈フィルタ筐体314は、ネットフィルタ320と、第1のパージポート322と、第2のパージポート324とを含む。第1のパージポート322は、ネットフィルタ320の上流の位置で動脈フィルタ筐体314の内部と流体連通することができ、第2のパージポート324は、ネットフィルタ320の下流の位置で動脈フィルタ筐体314の内部と流体連通することができる。より詳細に前述したように、この構成は、改善およびプライミング速度および有効性を可能にするが、全体的なプライミングボリュームも減少させる。
【0032】
[0045]図9は、血液処理装置410の概略図である。この図では内部構成要素は示されていないが、血液処理装置410は熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタのうち1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、熱交換器、ガス交換器、および動脈フィルタのそれぞれは、単一構造に一体化される。血液処理装置410は、装置筐体412と、フィルタ筐体414とを含む。いくつかの実施形態では、フィルタ筐体414は、装置筐体412と一体的に成形されてもよいし、あるいはこれと構造的に一体化されてもよい。場合によっては、フィルタ筐体414は、独立して形成され、次いで装置筐体412に固定されてもよいし、あるいはこれに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、図示のように、フィルタ筐体414は、テーパ状または円錐台形の形状を有すると見なされることができる。
【0033】
[0046]いくつかの実施形態では、血液入口416は、フィルタ筐体414を通過して装置筐体412内に延びる。血液出口418は、フィルタ筐体414を出る。記載のとおり、いくつかの実施形態では、血液処理装置410はガス交換器を含み、したがってガス入口420とガス出口422とを含むことができる。いくつかの実施形態では、血液処理装置410は熱交換器を含み、したがって加熱流体入口424と加熱流体出口426とを含むことができる。いくつかの実施形態では、血液処理装置410は、第1のパージポート428と、第2のパージポート430とを含むことができる。他の配置および構成が企図されているように、入口、出口、およびパージポートの位置は例示的なものに過ぎない。パージポートは、弁またはねじ付き蓋を含んでもよい。パージポートは、血液を出るガス(たとえば、気泡)が血液処理装置410から排出または吸い込まれて除去されることができるように動作する。
【0034】
[0047]図10、図11、および図12は、血液処理装置410の一部分をさらに示す。図10は血液処理装置410の断面図であり、図11および図12は、下にある構造を示すためにいくつかの要素または機構が取り外された斜視図である。
【0035】
[0048]血液処理装置410は、熱交換器432とガス交換器434とを含む。いくつかの実施形態では、熱交換器432は熱交換器のコア440を含み、熱交換器のコア440は、加熱流体(たとえば、水)が流れることができる中空糸444を通り過ぎるように、血液入口416を出る血液の流れを向けるように構成された血液分流器の端部442を含む。血液は、中空糸444のまわりを流れて通り過ぎ、したがって適切に加熱(または冷却)されることができる。いくつかの実施形態では、中空糸444はポリマーであってよい。場合によっては、熱交換器432内で金属製の糸が使用されてもよい。他の実施形態によれば、熱交換器432は、血液との熱伝達を促進するため金属製ベローズまたはかなりの表面積を備える他の構造(たとえば、フィン)を含む。いくつかの実施形態では、中空糸444は、約0.2〜1.0ミリメートル、またはより具体的には、約0.25〜0.5ミリメートルの外径を有する、ポリウレタン製中空糸である。中空糸は、幅が約80〜約200ミリメートルの範囲とすることができるマットに織られてもよい。いくつかの実施形態では、このマットは十文字形の形態である。
【0036】
[0049]いくつかの実施形態では、円筒状の外殻446は、熱交換器432とガス交換器434の間に配されることができる。いくつかの実施形態では、円筒状の外殻446は、熱交換器432とガス交換器434の境界を示すかまたはこれを画定すると見なされることができる。いくつかの実施形態では、円筒状の外殻446は、血液が所望の場所以外で熱交換器432とガス交換器434の間を移るのを防ぐ。熱交換器432を出る血液がガス交換器434に入ることができるようにするために、いくつかの実施形態では、円筒状の外殻446は、1つまたは複数の外殻アパーチャ448を含む。
【0037】
[0050]図示の実施形態では、1つまたは複数の外殻アパーチャ448は、血液入口416の端部に対向する端部の近くに配される。その結果、血液入口416から熱交換器432に入る血液は、血液が熱交換器432を出て、1つまたは複数の外殻アパーチャ448を通過し、ガス交換器434内に入ることができる前に、熱交換器432の少なくともかなりの部分を通過する。
【0038】
[0051]いくつかの実施形態では、ガス交換器434はいくつかの微小孔性中空糸450を含むことができ、この中空糸を通過して酸素などのガスが流れることができる。血液は、中空糸450のまわりを流れて通り過ぎることができる。濃度勾配により、酸素は微小孔性中空糸450を通過して血液中に拡散することができ、二酸化炭素は中空糸中に拡散して血液から出ることができる。いくつかの実施形態では、中空糸450はポリプロピレンから作製され、約0.38ミリメートルの外径を有する。他の実施形態によれば、微小孔性中空糸は、約0.2〜1.0ミリメートル、またはより具体的には、約0.25〜0.5ミリメートルの直径を有する。中空糸450は、幅が約80〜約200ミリメートルの範囲とすることができるマットに織られてもよい。いくつかの実施形態では、このマットは十文字形の形態である。
【0039】
[0052]いくつかの実施形態では、図示のように、フィルタ筐体414は、フィルタ筐体414と装置筐体412の間のフィルタ体積452を画定する。フィルタ組立体454は、フィルタフレーム456とフィルタネット458とを含み、フィルタ体積452を、少なくとも一部はフィルタ組立体454と装置筐体412の間に画定された第1のチャンバ460と、少なくとも一部はフィルタ組立体454とフィルタ筐体414の間に画定された第2のチャンバ462に分割する。フィルタフレーム456は、ポリマーなどの任意の所望の材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタネット458は、ポリエステル製ネットまたはポリプロピレン製ネットである。いくつかの実施形態では、フィルタ組立体454の少なくとも一部分は、生体適合性材料で被覆されることができる。いくつかの実施形態では、第1のパージポート428は第1のチャンバ460と流体連通し、第2のパージポート430は第2のチャンバ462と流体連通する。
【0040】
[0053]いくつかの実施形態では、ガス交換器434を通過する血液は、1つまたは複数の開口464を通過してフィルタ体積452の第1のチャンバ460内に入る。血液中に気泡がある場合、少なくともそのいくつかは第1のパージポート428を介してパージされることができる。血液は次に、フィルタネット458を通過してフィルタ体積452の第2のチャンバ462内に入ることができる。血液中に気泡がまだある場合、血液が血液出口418を介して血液処理ユニット410を出る前に、気泡が第2のパージポート430を介してパージされることができる。
【0041】
[0054]1つまたは複数の開口464は、図11で最もよくわかる。いくつかの実施形態では、図示のように、1つまたは複数の開口464は円弧状経路に沿って配される。図11では、この円弧状経路は、血液入口416がある血液処理装置410の端部に対して凹状に示されているが、いくつかの実施形態では、その代わりに、開口464は、血液処理装置410の端部と凸状の関係となるように湾曲することができる。いくつかの実施形態では、その代わりに、円弧状経路は正弦波形状をとることができる。1つまたは複数の開口464は、所望の体積の血液が血液処理装置410を通過して流れるようなサイズであり、そのように位置決めされる。
【0042】
[0055]フィルタ組立体454は、図12で最もよくわかる。いくつかの実施形態では、フィルタフレーム456は、第1の直径を有する第1の環状フレームリング500と、第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の環状フレームリング502とを含む。いくつかの実施形態では、たとえば図10でわかるように、フィルタ筐体414およびフィルタ組立体454は両方ともテーパを付けられることができるが、反対方向にテーパを付けることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ組立体454にテーパを付けることによって、フィルタネット458を通過する血流を減速させることができ、血液からの気泡の除去に関して利点をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、フィルタ筐体414において反対方向のテーパを付けると、泡の除去にさらに役立つことができる。
【0043】
[0056]図12に示すように、フィルタフレーム456は、第1の環状フレームリング500と第2の環状フレームリング502の間に延びる1つまたは複数のブリッジ要素504を含む。フィルタフレーム456は、1つまたは複数の円弧状リブ506も含む。図11と図12を比較することによって、1つまたは複数の円弧状リブ506が、円弧状経路464に沿って装置筐体412内に配された1つまたは複数の開口と整列するように構成されることがわかる。その結果、後で図13および図14を参照して説明するように、この整列はフィルタ体積452を通過する血流速度を偏向させ、あるいはこれに影響を及ぼす(たとえば、低下させる)ことができる。いくつかの実施形態では、経路464が図示された形状と異なる形状に形成される場合、1つまたは複数のリブ506は同様の形状にされてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタフレーム456は板部分508も含み、板部分508は、血液出口418近くの区域における優先的な流れを制限するように血液出口418の近くに配置される。
【0044】
[0057]いくつかの実施形態では、フィルタフレーム456は、フィルタ組立体454を通過する血流速度を調整するように構成される。図13はフィルタフレーム456のないフィルタを通過する血流速度のグラフであり、図14は、フィルタ組立体454を通過する血流速度のグラフを示す。いずれの場合も、血液の体積流量(volumetric blood flow)はほとんど同様であり、1分あたり約1.61〜約1.63リットルの範囲である。これらのコンピュータ処理されたモデリング結果から、フィルタフレーム456が、血液の体積流量に悪影響を及ぼすことなく、フィルタを通過する最大血流速度を65パーセントも低下させることが明らかになる。
【0045】
[0058]いくつかの実施形態では、逆流、すなわちフィルタ組立体を通過して逆に流れる血液が問題となる可能性がある。図15および図16は相対度数密度(relative frequency density)のグラフであり、フィルタフレーム組立体454を使用すると逆流が減少することを示す。これらのグラフでは、逆流の相対量は、負の速度の相対度数を正の速度の相対度数と比較することによってわかる。負の速度は、フィルタネット458を通過して逆に流れる血液を表し、正の速度は、フィルタネット458を通過して前方すなわち望ましい方向に流れる血液を表す。
【0046】
[0059]図15では、本発明のフィルタフレーム組立体454がない場合の血流を表し、図13に示される速度プロファイルに対応し、逆流の総量は全血流の約51パーセントである。図16では、本発明のフィルタフレーム組立体454がある場合の血流を表し、図14に示される速度プロファイルに対応し、逆流の総量は約16パーセントに過ぎない。
【0047】
[0060]本発明の範囲から逸脱することなく、説明された例示的な実施形態に種々の変更および追加を行うことができる。たとえば、上述した実施形態は特定の特徴を指すが、本発明の範囲は、特徴のさまざまな組合せを有する実施形態および上述の特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含む。
【符号の説明】
【0048】
10 血液処理装置、酸素付加器
12 デバイス区画、デバイス筐体
14 動脈フィルタ区画、動脈フィルタ筐体
16 血液入口
18 血液出口
20 ガス入口
22 ガス出口
24 加熱流体入口
26 加熱流体出口
28 第1のパージポート
30 第2のパージポート
32 熱交換器
34 ガス交換器
36 環状空隙
38 フィルタ
40 環状フレーム
42 メッシュ、ネット
44 第1のチャンバ
46 第2のチャンバ
100 遮蔽板
110 血液処理装置、酸素付加器
112 デバイス筐体
114 動脈フィルタ筐体
116 血液入口
118 血液出口
120 ガス入口
122 ガス出口
124 加熱流体入口
126 加熱流体出口
128 第1のパージポート
130 第2のパージポート
132 熱交換器
134 ガス交換器
136 環状空隙
138 フィルタ
140 補強材
142 メッシュ、ネット
144 第1のチャンバ
146 第2のチャンバ
148 開口
200 遮蔽領域、遮蔽板
310 血液処理装置、酸素付加器
312 デバイス筐体
314 動脈フィルタ筐体
316 血液入口
318 血液出口
320 ネットフィルタ
322 第1のパージポート
324 第2のパージポート
410 血液処理装置、血液処理ユニット
412 装置筐体
414 フィルタ筐体
416 血液入口
418 血液出口
420 ガス入口
422 ガス出口
424 加熱流体入口
426 加熱流体出口
428 第1のパージポート
430 第2のパージポート
432 熱交換器
434 ガス交換器
440 熱交換器のコア
442 血液分流器の端部
444 中空糸
446 外殻
448 外殻アパーチャ
450 微小孔性中空糸
452 フィルタ体積
454 フィルタ組立体、フィルタフレーム組立体
456 フィルタフレーム
458 フィルタネット
460 第1のチャンバ
462 第2のチャンバ
464 開口、円弧状経路
500 第1の環状フレームリング
502 第2の環状フレームリング
504 ブリッジ要素
506 円弧状リブ
508 板部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液入口と血液出口とを有する装置筐体であって、その内部に前記血液入口が延びる装置筐体と、
前記血液入口のまわりに配置され、前記血液入口と流体連通する熱交換器と、
前記熱交換器のまわりに配置され、前記熱交換器と流体連通するガス交換器と、
前記装置筐体のまわりに結合されるフィルタ筐体であって、フィルタ体積を前記装置筐体と前記フィルタ筐体の間に画定し、前記フィルタ体積が、前記ガス交換器を出る血液が前記フィルタ体積内へ入ることができるように前記装置筐体内に形成された1つまたは複数の開口を介して前記ガス交換器と流体連通する、フィルタ筐体と、
前記フィルタ筐体内に配置されるフィルタ組立体であって、前記フィルタ体積を、前記フィルタ組立体と前記装置筐体の間の第1のチャンバと、前記フィルタ組立体と前記フィルタ筐体の間の第2のチャンバに分割する、フィルタ組立体と、
前記第1のチャンバと流体連通する第1のパージポートと、前記第2のチャンバと流体連通する第2のパージポートとを備える血液処理装置。
【請求項2】
前記フィルタ組立体が、1つまたは複数のリブを有するフィルタフレームと前記フィルタフレーム上に配置されたフィルタネットとを含み、前記フィルタネットの少なくとも一部分を通過する血液速度を低下させるように、前記1つまたは複数のリブが前記1つまたは複数の開口の少なくとも一部分と整列される、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数の開口が、円弧状の経路に沿って配置された複数の開口を含み、前記1つまたは複数のリブが、前記円弧状の経路に整列された円弧状のリブを含む、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項4】
前記フィルタフレームが、第1の直径を有する第1の環状フレームリングと、前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の環状フレームリングと、前記第1の環状フレームリングと前記第2の環状フレームリングの間に延びる1つまたは複数のブリッジ要素とを有する、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項5】
前記1つまたは複数のリブが、前記第1の環状フレームリングと前記第2の環状フレームリングの間に配置される、請求項3に記載の血液処理装置。
【請求項6】
前記フィルタフレームが、前記血液出口の近くで前記フィルタ組立体を通過する優先的な血流を制限するように前記血液出口の近くに配置された板部分を含む、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項7】
前記フィルタ筐体が、一端部における小直径と前記一端部に対向する端部における大直径とを有する円錐台形形態を有し、前記第1のパージポートが前記フィルタ筐体の前記小直径端部の近くにあり、前記第2のパージポートが前記フィルタ筐体の前記大直径端部の近くにある、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項8】
前記フィルタ組立体が、前記フィルタネット上に生体適合性コーティングを含む、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項9】
前記フィルタネットが、ポリエステル製フィルタネットまたはポリプロピレン製フィルタネットを含む、請求項1に記載の血液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−229917(P2011−229917A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−96704(P2011−96704)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(506161186)ソリン・グループ・イタリア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (6)
【出願人】(501193001)ポリテクニコ ディ ミラノ (18)
【氏名又は名称原語表記】POLITECNICO DI MILANO
【住所又は居所原語表記】Piazza Leonardo da Vinci,3220133 MILANO−Italy
【Fターム(参考)】