説明

一体型注射器具が備わっている医療用画像化システム

本発明の様々な実施形態は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)を有するとともに、MRI検査の間に少なくとも1種類の液を注射するための注射器ヘッド(4)を備える注射器具(3)を有するMRIシステム(1)に関するものである。本発明の様々な実施形態によれば、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に取り付けられるかあるいは取り外し可能に取り付けることのできる注射器具(3)についての対策がなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、核磁気共鳴画像化スキャナーと注射器具とが備わっているMRIシステムであって、その注射器具が、MRI検査の間に少なくとも1種類の液を注射するための注射器ヘッドを含むMRIシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、核磁気共鳴画像化(MRI)走査の分野では、MRI装置が患者の内部器官および血管を診断する目的のために使用することのできる走査を生じさせることが可能であるように造影剤を注射するために用いられる注射器具が使用されている。公知の注射器具は一般に、MR室における核磁気共鳴画像化スキャナーからいくらかの距離をおいて配置されている。一方では、この狙いは、注射器具の操作が画質、すなわちMRIシステムの走査特性に悪影響を及ぼさないことを保証しようとするためである。他方では、これらの注射器には通常、核磁気共鳴画像化スキャナーの操作の間に使用される磁性材料が包含されているため、これらの注射器は、安全上の理由により、その核磁気共鳴画像化スキャナーから引き離されている。しかしながら、注射器具と核磁気共鳴画像化スキャナーとの間の距離によって、その注射器具のヘッドから患者までの間に比較的長い液管が同時に必要になり、また、このことに対応して、患者ごとに注射しなければならない大量の液体が必要になる。さらにまた、注射器具から核磁気共鳴画像化スキャナーまで延びている比較的長い管によって、MRI検査の間にMR室にいる医療関係者の作業が妨げられることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術における公知のシステムに関連して生じる前記欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の様々な実施形態によれば、前記目的は、注射器具を医療用画像化スキャナーに取り付け、および/または、取り外し可能に取り付けることによって、医療用画像化システム(例えばMRIシステムのような)の事例において達成されることになる。本発明の様々な実施形態によれば、注射器具が核磁気共鳴画像化スキャナーの直近に配置されており、および/または、そこに取り付けられているMRIシステムが初めて提供されている。これによって、注射器具と核磁気共鳴画像化スキャナーとの間にしっかりした結合関係がもたらされることになる。このことによって、多数の顕著な利点もまたもたらされることになる。第1に、核磁気共鳴画像化スキャナーの直近にある注射器具への取り付け、従って注射器具の構成は、注射器具がMR室における医療関係者の作業を制限するであろうMR室のどのような床面積も専有しない、ということを意味している。さらにまた、核磁気共鳴画像化スキャナーに取り付けられた注射器具のために必要である空間は、どのような場合でも、核磁気共鳴画像化スキャナーそれ自体のために必要である空間よりもほんのわずか大きいだけである。加えて、注射器具と核磁気共鳴画像化スキャナーとの物理的近接性によって、注射器ヘッドから患者までの供給管の長さは比較的短く、その結果、患者ごとの注射液の必要量が著しく減少する、ということが保証されている。さらにまた、驚くべきことに、核磁気共鳴画像化スキャナーへの注射器具の直接取付が注射器操作の間における画質すなわち走査特性に必ずしも悪影響を及ぼさない、ということがわかった。加えて、核磁気共鳴画像化スキャナーへの注射器具のこのような取り付けは、同スキャナーによって生じた磁界により注射器具の一部が影響を受けおよび/または「引かれる」おそれが減少している、ということを意味している。このことは、磁性材料が遮蔽されているかあるいは注射器具に磁性材料が使用されていないかのいずれかの場合に、特に当てはまる。
【0005】
注射器ヘッドから患者までの供給管をできるだけ短く維持するためには、注射器ヘッドが核磁気共鳴画像化スキャナーの端部区域に設けられていとともに、位置調整されるかそのトンネル区域に位置調整されることができ、あるいは、同スキャナーの直近にある、核磁気共鳴画像化スキャナーの該トンネル区域の延長部に設けられるように、注射器具を核磁気共鳴画像化スキャナーへ取り付けるか、あるいは、それを核磁気共鳴画像化スキャナーに配置することが特に有利である。
【0006】
場合によっては、MRI検査の間に患者がMRIトンネルの中へまたトンネルから外へ繰り返し動かなければならないため、注射器ヘッドを、それが旋回できるように、とりわけ同ヘッドが核磁気共鳴画像化スキャナーに対して旋回することができるような方式で、設計することは可能である。これによって、注射器ヘッドが必要であるときに注射器ヘッドが患者のごく近くで動くことができ、また、液注射の必要性がないときにはいつも、注射器ヘッドはトンネル区域に近接して外へ旋回することができる、ということが保証されることになる。この状況では、注射器ヘッドを少なくとも実質的に水平に延びている第1旋回軸の周りで好ましくは0〜360度の角度範囲で正確に旋回させることができることはとりわけ有利である。核磁気共鳴画像化スキャナーのトンネル長手軸に対して少なくとも実質的に平行に延びている第1旋回軸の周りで旋回する特性によれば、このシステムにおけるあらゆる空気を外へ出すために、注射器ヘッドがノズルとともに患者へ向けてだけでなく上方へも向けてそこに設けられる、ということを保証することができる。
【0007】
第1旋回軸の周りで旋回する代わりに、しかし、好ましくは第1旋回軸の周りで旋回する特性とともに、注射器ヘッドは、少なくとも実質的に垂直に、正確にはとりわけ90度を超える角度範囲で延びている第2旋回軸の周りで、好ましくは0〜180度の角度範囲で旋回することが可能である。第2旋回軸の周りで旋回する特性によれば、注射器ヘッドが1つの位置において患者へ向かって旋回することができるとともに、他の制限位置で患者から離れるように枢動することができ、また、同スキャナーの端部区域から外側へ旋回することができ、その結果、注射器は、患者台へ載ったり患者台から降りたりする、また、トンネルの中へ移動する患者の邪魔にならない。
【0008】
詳しく説明すると、この注射器具は、本明細書においていっそう詳しく説明されるように、様々な構成要素および組立体を収容することができる注射器ハウジングを備えている。この注射器ハウジングには、旋回することができるように、MRIに取り付けられるか、あるいは取り外し可能に取り付けることのできる部分が備わっており、この部分には注射器ヘッドが搭載されている。この場合には、注射器ハウジングの取り外し可能な取付具によれば、必要なときに、例えば修理あるいは保守の目的のために、核磁気共鳴画像化スキャナーに悪影響を及ぼすことなく、注射器具全体を取り外しかつ取り去ることができる、という利点がもたらされる。さらにまた、この取り外し可能な取付具によれば、注射器具を現存する核磁気共鳴画像化スキャナーに後付けすることができる、という利点がもたらされる。
【0009】
基本的には、注射器具を核磁気共鳴画像化スキャナーに接続するための種々の適切な方法がある。一般に、前記取付具は核磁気共鳴画像化スキャナーの前記ハウジングにどのような損傷も引き起こさないので、いくつかの実施形態では、注射器ハウジングを核磁気共鳴画像化スキャナーに直接あるいは間接的に接着接合するのが好ましいであろう。注射器ハウジングと核磁気共鳴画像化スキャナーとの間に取り外し可能な取付具を実現するために、核磁気共鳴画像化スキャナーに取り付けられ、注射器ハウジングに設けられたさらに別の取付具と相互作用する、好ましくは接着接合される少なくとも1つの取付部品のための、および、取り外し可能な取り付けの目的のための1つの好ましい実施形態がもたらされている。詳しく説明すると、その接続はその後、プラスチック製ブロックあるいはいくつかの他の非磁性材料から構成されて機械加工することのできるブロックが取付部品として使用されるような形態にあり、そのブロックの面の1つは、核磁気共鳴画像化スキャナーにぴったり接することができるように、かつ、そこへ接着接合することができるように、機械加工されている。反対側の側面はその後、少なくとも実質的に垂直に整合されることになる。注射器ハウジングにおけるさらに別の取付部品が備わった取付手段は当該取付部品のこの外面に配置されている。例示として、このことによって、とりわけ取付部品と注射器ハウジングとの間で取り外し可能であるプラグ接続あるいはラッチ接続を実現することが可能となる。さらにまた、注射器ハウジングの外面を核磁気共鳴画像化スキャナーの形状に合致させることができ、それによって、注射器ハウジングを当該スキャナーに直接、接着接合することが可能となる、ということを理解すべきである。
【0010】
MRI検査の間に注射器具が医療関係者の移動区域にできるだけ支障を来たさないことを保証するために、いくつかの実施形態によって、ハウジング部分(MRIハウジングの側面区域において垂直に延びている)とハウジングアーム(核磁気共鳴画像化スキャナーの端部区域の中へ傾斜しているとともに、そこに取り付けられた注射器ヘッドを有する)とを含む注射器ハウジングがもたらされている。この注射器ハウジングを側面に配置することで、MRI検査に先立って、および/または、MRI検査の間に、大量の作業および移動が生じる核磁気共鳴画像化スキャナーの端面との干渉が減少することになる。具体的に言えば、いくつかの実施形態では、注射器ヘッドだけがこの区域の中に置かれているが、しかしながら、さらに本明細書において記載されたように、前記区域の範囲外へ旋回可能であることが好ましい。この状況では、垂直に延びている前記ハウジング部分と前記ハウジングアームとの間に水平に延びているハウジング部分が設けられるのが特に有利であると思われ、それによって、垂直に延びている前記ハウジング部分は、核磁気共鳴画像化スキャナーの前方端面からさらに離して配置することが可能となる。
【0011】
様々な実施形態において、垂直に延びている前記ハウジング部分の長さは、変動することが可能である。このハウジング部分は、核磁気共鳴画像化スキャナーの中心区域の中へ延びていてもよいが、基本的には、核磁気共鳴画像化スキャナーの上方区域の中へ延びていてもよく、それによって、水平に延びている前記ハウジング部分は、前記側面においてあるいは上方から、核磁気共鳴画像化スキャナーの前方端面を越えて動けるようになっている。どのような場合にも、水平に延びている前記ハウジング部分と前記ハウジングアームとの構成については、ある継手(前記第1旋回軸の周りで回転することができる)が注射器ヘッドと該ハウジングアームとの間に設けられていてもよく、また、この継手(前記第2旋回軸の周りでもまた回転することができる)が水平に延びている前記ハウジング部分と前記ハウジングアームとの間にも設けられていてもよい。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、注射のための駆動装置が前記注射器ハウジングの中に設けられている。このような実施形態では、その駆動装置を包含している注射器ハウジングの一部は、その駆動装置から生じる画像すなわち走査特性に対する影響と核磁気共鳴画像化スキャナーの操作の間における磁気的吸引のおそれとを最小限にしおよび/または減少させるために、核磁気共鳴画像化スキャナーの側面区域に配置することが可能である。それゆえ、核磁気共鳴画像化スキャナーのこの区域における前記駆動装置の配置は有利であるが、その理由は、磁石によって作られた磁界がこの区域において最も低いからである。この配置によって、磁気的吸引のおそれが著しく減少するとともに、前記駆動装置によって作られた磁界には、どのような場合にも、核磁気共鳴画像化スキャナーの画質に軽微な影響があるだけである。このことは、前記駆動装置が油圧式駆動装置である場合に特に当てはまり、その場合には、電気駆動部品は核磁気共鳴画像化スキャナーの前記側面区域に配置することもでき、また、注射器ヘッドに設けられるノズルは、油圧流体による適切な圧力の付加によって操作することが可能であり、すなわち、その端部には、注射器ヘッドの前記区域にどのような電気駆動手段も設けられていない。このことは別にして、油圧駆動装置の代わりに空気圧駆動装置を設けることもできる、ということは自明である。
【0013】
前記ハウジングの中に設けられた前記駆動装置によって引き起こされた力およびモーメントが核磁気共鳴画像化スキャナーにできるだけ少ない影響を有する、ということを保証するために、前記注射器ハウジングの前記下方区域に設けられる前記駆動装置については、一方では対策がなされている。これに対して、前記注射器ハウジングについては、取付状態にあるときに地面に立っていることはよい考えであり、それによって、前記駆動装置からの重力が床へ直接導かれることになる。
【0014】
液管、データ管および/または供給管が注射器具の前記区域の周りに垂れ下がるのを防止するために、本発明の1つの特定改良点によれば、これらの管が注射器ハウジングの中に収容され、また、好ましくは、注射器ヘッドのハウジングの中にも収容され、特に正確に言うと、それらの管が外側から見えないようにして収容されている。
【0015】
しかしながら、本発明の場合には、この注射器ハウジングによって、前記駆動装置を注射器ハウジングの中に収容することができるという利点がもたらされるだけでなく、少なくとも1つの収容区域もまた、注射される液および/またはノズルのために設けることができる。もちろん他の目的物もまたその中に置くことができるその収容区域は、好ましくは蓋あるいはカバーによって閉鎖することが可能である。
【0016】
最後に、本発明による注射装置とともに、注射器ヘッドのハウジングおよび/または注射器ハウジングを非磁性材料から構成することが可能である。すべての構成要素を含むこの注射装置の全体は、安全上の要件を満たし、どのような遮蔽も回避し、かつ、画質に悪影響を及ぼすことを回避するために、非磁性材料あるいは磁化することのできない材料から構成されているのが好ましい。
【0017】
本発明の様々な実施形態がこれまで一般的用語で説明されてきたが、これから、必ずしも一定縮尺で描かれているわけではない添付図面ヘの言及を行うことにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、これ以降は、本発明のいくつかの実施形態における添付図面であって、本発明のすべての実施形態が示されているわけではない添付図面を参照して、十分に説明する。実際、これらの発明は、多くの相異なる形態に具体化することができ、また、本明細書において記載された諸実施形態に限定されるように解釈すべきではなく、どちらかと言えば、これらの実施形態はこの開示が適用される法的要件を満たすために設けられている。全体にわたって、同様の符号は同様の要素を意味している。
【0019】
図1〜図3は、MRIシステム1をそれぞれ示しており、このシステムは、核磁気共鳴画像化スキャナー2と、MRI検査あるいは他の医療処置の間に少なくとも1種類の液を注射するための注射器具3とを有している。この注射器具3は、この目的のために注射器ヘッド4を備えていてもよい。図示された実施形態では、核磁気共鳴画像化スキャナー2はそれぞれ、患者台6が備わったトンネル5を有している。図1に示された実施形態の場合には、患者7が患者台6の上に載置されている。患者台6は、いくつかの実施形態では、トンネル5の内外へ移動することが可能となっている。
【0020】
本発明の様々な実施形態は、図示された「閉鎖型」MRI器械に制限されない、ということを理解すべきである。開放形態のMRI器械(すなわち、例えば「開放型MRI」)もまた、本発明の様々な実施形態の適用を受けている。一般に、本発明は、閉鎖形態あるいは開放形態にあって、水平な磁界位置調整および垂直な磁界位置調整とともに、垂直な磁界と水平な磁界との間の位置調整が備わった超伝導型、恒久型あるいは抵抗型のすべてのMRI磁石システムに適用されるものである。このことは別にして、核磁気共鳴画像化スキャナー2が、MRI操作のために必要である他の装置とともに、それ自体公知の方法で、磁石およびコイルを有している、ということは自明である。
【0021】
本発明の様々な実施形態は、MRIシステムのためだけでなく、CTシステムのために同様のやり方で使用することが可能である、ということをさらに理解すべきである。そのような実施形態では、本明細書において述べられたすべての特徴は核磁気共鳴画像化スキャナーよりもむしろコンピュータ断層撮影用スキャナーに関係がある、ことを理解すべきである。
【0022】
本明細書の中に示された様々な個別図面からわかるように、注射器ヘッド4は、出口側に2つのノズル8,9を備えており、これらのノズルを介して、一方における造影剤および他方における食塩水のうちの少なくとも1種類を患者へ供給することが可能となっている。この目的のために、ノズル8,9は、Y字状取付具10および/または様々な中間の可撓性チューブ11を介してカテーテル12に接続することができ、このカテーテルを通して、MRI検査の間に前記造影剤および/または食塩水を注射することが可能となっている。
【0023】
本明細書において示されたように、注射器具3は、操作可能に、かつ、取り外しできないようにあるいは取り外しできるように、核磁気共鳴画像化スキャナー2に係合されている。本明細書において説明された様々な実施形態は、注射器ヘッド4が、核磁気共鳴画像化スキャナー2の前方端面13に隣接して設けられ、かつ、前記トンネル開口の方向に、すなわち核磁気共鳴画像化スキャナーの前記トンネル開口に対して半径方向に、側面から位置調整されるような方式であるいは位置調整することができるような方式でその取り付けおよび配置がもたらされるように、設計されている。図1は注射位置を示しており、図2および図3は注射器ヘッドが使用されていないときの位置を示している。図2では注射器ヘッド4は通気のために上方へ旋回されているが、図3ではその注射器ヘッドは下方へ旋回されている。
【0024】
注射器ヘッド4が旋回できるようにするために(図1〜図3の比較から明らかなように)、実質的に水平な第1旋回軸Xが継手の中に設けられているが、これは詳しくは図示されていない。この旋回軸Xは具体的には図5に見ることができる。第1旋回軸Xのための継手は、この場合には、注射器ヘッド4が0度から360度までの角度範囲において連続的に変化して旋回できるように設計されている。より小さい角度範囲もまた、基本的には可能である。さらにまた、図2および図3に(図6および図7にもまた)示された注射器具3には第2旋回軸Yがあり、この旋回軸は第1旋回軸Xに対して実質的に直角に延びている。様々な図示の実施形態では、第2旋回軸YはMR室の床に対して実質的に垂直に延びている。このことは詳しくは図示されていないが、注射器ヘッド4は、第2旋回軸Yの周りに0度から180度までの角度範囲で連続的に変化して旋回することが可能となっている。基本的には、注射器具4を核磁気共鳴画像化スキャナー2の側面区域へ旋回させるために、第2旋回軸Yの周りに270度まで連続的に変化して旋回させることさえ可能である。
【0025】
旋回できる注射器ヘッド4に加えて、注射器具3は、核磁気共鳴画像化スキャナー2に取り付けられあるいは取り外し可能に取り付けられた注射器ハウジング14を備えており、このハウジングには、注射器ヘッド4が旋回することができるように搭載されている。核磁気共鳴画像化スキャナー2の外面あるいはハウジングへの損傷を回避するために、注射器ハウジング14は核磁気共鳴画像化スキャナー2へ接着接合することが可能となっている。図1に全体として示されたこのような実施形態では、注射器ハウジング14が核磁気共鳴画像化スキャナー2に直接、接着接合されている。このような実施形態では、注射器ハウジング14は、核磁気共鳴画像化スキャナー2に対向している側面におけるスキャナー2の形状に実質的に合致している形状で設けられていてもよい。これに対して、図2および図3に全体として示された実施形態では、図8および図9により詳しく示された少なくとも1つの取付部品15を核磁気共鳴画像化スキャナー2に設けられていてもよい。より詳しく説明すると、いくつかの実施形態では、取付部品15は核磁気共鳴画像化スキャナー2のハウジング16に接着接合することが可能である。いくつかの実施形態では、取付部品15は、限定はされないがプラスチック製ブロックからなっていてもよく、そのブロックの後方面17は、核磁気共鳴画像化スキャナー2のハウジング16にぴったり接するように、従って、同ハウジングに接着接合することができるように、(必要であれば)機械加工することが可能である。この後方面17は、前方面18が基本的に垂直に位置調整されるようなやり方で核磁気共鳴画像化スキャナー2のハウジング16に実質的に合致すべく、構成されていてもよい。この規定の配置および位置調整によって、取付部品15と注射器ハウジング14との間に、ここではラッチ機構あるいはプラグ機構に対応している取り外し可能なラッチ接続部あるいはプラグ接続部を設けることができ、これらの接続部は、詳しくは図示されていないが、取付部品15に、および、注射器ハウジング14の対応部分に設けることが可能である。さらにまた、取付部品15の数および配置は、より大きい実施形態はもとより核磁気共鳴画像化スキャナー2と注射器具3の重量との間におけるそれぞれの関係に左右される、ということを理解すべきである。
【0026】
本明細書において提示された様々な図面に示されたように、注射器ハウジング14は、核磁気共鳴画像化スキャナー2の側面区域19に実質的に垂直に延びているハウジング部分20を備えていてもよい。さらにまた、注射器ハウジング14にはハウジングアーム21がさらに設けられていてもよく、そのアームは、核磁気共鳴画像化スキャナー2の前方端部区域13の中へ傾斜しており、また、それとともに操作可能に係合された注射器ヘッド4を有している。基本的には、ハウジングアーム21については、垂直なハウジング部分20から直接突出することができるが(ハウジングアーム21の端部に設けられていてもよい)、いくつかの実施形態では、水平に延びているハウジング部分22が垂直に延びているハウジング部分20に隣接している。従って、本明細書において提示された図面に示されたように、ハウジングアーム21は水平に延びているハウジング部分22に操作可能に係合することが可能である。図1、図4および図5に示された注射器具3の実施形態では、水平に延びているハウジング部分22が比較的短い形態で示されているのに対し、図2、図3、図6および図7に全体が示されたように、水平ハウジング部分22は比較的長い形態で設けることも可能である。様々な実施形態では、水平ハウジング部分22は垂直に延びているハウジング部分20の長さに実質的に対応する長さに設けられている。このような実施形態では、前記第1旋回軸Xは注射器ヘッド4とハウジングアーム21との間に設けられており、一方、前記第2旋回軸Yと、この第2旋回軸Yの周りに回転することのできる継手とは、水平に延びているハウジング部分22とハウジングアーム21との間に設けられている。
【0027】
図10および図11にはそれぞれMRIシステム1が示されており、このシステムでは、核磁気共鳴画像化スキャナー2と注射器具3とがMR室23の中に配置されている。制御室24の中にはシステム制御装置25が置かれている。両方の事例において、注射器具3は、注射のための関連駆動装置26を備えている。図10に示された実施形態と図11に示された実施形態との相違点は、導光管27を介してシステム制御によって駆動される駆動装置26が、図10に示された実施形態ではMR室23の中に置かれているのに対し、図11に示された実施形態では制御室24の中に置かれている、ことである。しかしながら、システム制御装置25および駆動装置26は必ずしも導波管27を介して接続されている必要がない、ということを理解すべきである。基本的には、システム制御装置25と駆動装置26との間に通信を確立するために任意の型の導線を設けることが可能である。
【0028】
両方の実施形態(すなわち、図10および図11に示された実施形態)において、駆動装置26は油圧式駆動装置26からなっていてもよく、注射器ヘッドと該駆動装置の中に設けられた機構とは、1つ以上の油圧管28を介して油圧で駆動されるようになっている。図10に示されたように、駆動装置26は、核磁気共鳴画像化スキャナー2の側面区域19に、また、垂直に延びているハウジング部分20と平行に配置することが可能である。しかしながら、いくつかの代わりの実施形態では、駆動装置26は、垂直に延びているハウジング部分20の中に、また、とりわけその下方部分の中に配置することも可能である。図10に全体として示された構成の特定の技術的利点は、図11に示された実施形態と比べて、油圧管28の長さを著しく減少させることができる、というものである。
【0029】
他の実施形態では、交流(AC)供給管29を駆動装置26の入力側面へ接続することが可能であり、また、システム制御装置25を本明細書において述べられた導光管27によってその入力側面へ接続することができる。信号送信のための導光管30、油圧管28および電力供給管31(例えば直流(DC))を出力側面に設けることも可能である。
【0030】
図10および図11から一般にわかるように、複数の管が注射器ハウジング14を通っているが、とりわけ図1〜図7から明らかなように、これらの管は、外側から見ることのできるものでなくてもよいが、注射器ハウジング14の中に隠れた形態で収容されている。この場合には、図7は注射器ハウジング14の中に複数の収容区域32,33が設けられている、ということを表わしている。収容区域32,33のそれぞれは、蓋34,35によって開放することができる。この場合には、図7に示された実施形態において、駆動装置26は電気的駆動装置とともに収容区域32に置くことが可能であり、収容区域33はノズル、食塩水および/または造影剤を収容するために使用することが可能である。さらにまた、いくつかの実施形態では、本明細書においてすでに述べられた様々なAC供給管29、信号送信のための導光管30、油圧管28および/または電力供給管31もまた、収容区域33を通り抜けることが可能である。
【0031】
さらにまた、とりわけ、駆動装置26が注射器ハウジング14の中に設けられている実施形態の場合には、注射器ハウジング14の重量が適切に吸収されるように注射器ハウジング14が床あるいは他の水平台の上に立っていることは、(垂直に延びているハウジング部分20を備えている)注射器ハウジング14のために重要である。
【0032】
本明細書において記載された本発明の多くの変形例および他の実施形態は、これらの発明が先の説明において提示された教示および関連図面の恩典を有することに関係がある当業者が思い浮かべるであろう。それゆえ、本発明は開示された特定の実施形態に限定されることがないこと、また、変形例および他の実施形態は添付の特許請求範囲の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。特定の用語が本明細書において採用されているが、これらの用語は、一般的かつ記述的な意味でだけ使用されており、限定の目的のためには使用されていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による、核磁気共鳴画像化スキャナーとこのスキャナーに取り付けられた注射器具とが備わっているMRIシステムを示す正面側斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるMRIシステムの代わりの実施形態における、図1に対応した斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるMRIシステムのさらに代わりの実施形態における、図2に対応した図である。
【図4】本発明の一実施形態による注射器具を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の矢印Vの方向から見た、図4の注射器具を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による注射器具の異なる実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による注射器具の代わりの実施形態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による取付部品を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による核磁気共鳴画像化スキャナーに取り付けられた取付部品を示す模式図である。
【図10】MR室および制御室にある、本発明の一実施形態によるMRIシステムを示す模式図である。
【図11】本発明の一実施形態によるMRIシステムの代わりの実施形態における、図10に対応した模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 MRIシステム
2 核磁気共鳴画像化スキャナー
3 注射器具
4 注射器ヘッド
5 トンネル
6 患者台
7 患者
8 ノズル
9 ノズル
10 Y字状取付具
11 中間の可撓性チューブ
12 カテーテル
13 端面
14 注射器ハウジング
15 取付部品
16 ハウジング
17 後方面
18 前方面
19 側面区域
20 垂直ハウジング部分
21 ハウジングアーム
22 水平なハウジング部分
23 MR室
24 制御室
25 システム制御装置
26 駆動装置
27 導光管
28 油圧管
29 電力供給管
30 導光管
31 電力供給管
32 収容区域
33 収容区域
34 蓋
35 蓋
X 第1旋回軸
Y 第2旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核磁気共鳴画像化スキャナー(2)を有するとともに、MRI検査の間に少なくとも1種類の液を注射するための注射器ヘッド(4)を備える注射器具(3)を有し、注射器具(3)は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に取り付けられているかあるいは取り外し可能に取り付けられている、医療用画像化システム(1)。
【請求項2】
注射器具(3)は、注射器ヘッド(4)が、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)の端部に設けられるように、かつ、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に画定されたトンネル開口に関して少なくとも実質的に半径方向に位置調整されているかあるいは位置調整することができるように、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に取り付けられて配置されている、請求項1に記載の医療用画像化システム。
【請求項3】
注射器ヘッド(4)は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に対して旋回することが可能となっている、請求項1または2に記載の医療用画像化システム。
【請求項4】
注射器ヘッド(4)は、少なくとも実質的に水平に延びている第1旋回軸(X)の周りに、および/または、少なくとも実質的に垂直に延びている第2旋回軸(Y)の周りに旋回することが可能となっている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項5】
注射器ヘッド(4)は、第1旋回軸(X)の周りに0度〜360度の角度範囲で、および/または、第2旋回軸(Y)の周りに90度を超える角度範囲で、特に0度〜180度の角度範囲で旋回することが可能となっている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項6】
注射器具(3)は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に取り付けられ、あるいは取り外し可能に取り付けられた注射器ハウジング(14)を備えている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項7】
注射器具(3)は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に接着接合されている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項8】
少なくとも1つの取付部品(15)が、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)に取り付けられており、好ましくは接着接合されており、かつ、取り外し可能な取付の目的のために、注射器ハウジング(14)に設けられたさらに別の取付部品と相互作用するようになっている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項9】
取付部品(15)およびさらに別の取付部品は、プラグ接続および/またはラッチ接続を形成するために協働している、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項10】
取付部品(15)が、MRIの端部で機械加工することができるプラスチック製ブロックおよび/または非磁性材料から構成されたブロックからなっている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項11】
注射器ハウジング(14)は、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)の側面区域(19)において垂直に延びているハウジング部分(20)と、核磁気共鳴画像化スキャナー(2)の端面(13)の区域の中へ傾斜しているハウジングアーム(21)とを備え、注射器ヘッド(4)は、ハウジングアーム(21)に操作可能に係合している、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項12】
垂直に延びているハウジング部分(20)とハウジングアーム(21)との間には、水平に延びているハウジング部分(22)が設けられている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項13】
注射器ヘッド(4)とハウジングアーム(21)との間に配置されて第1旋回軸(X)の周りに旋回するために構成された第1継手、および/または、水平に延びているハウジング部分(22)とハウジングアーム(21)との間に配置されて第2旋回軸(Y)の周りに旋回するための第2継手をさらに備えている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項14】
注射のための駆動装置(26)が注射器ハウジング(14)の中に収容されているとともに、該駆動装置(26)を収容する注射器ハウジング(14)の一部が核磁気共鳴画像化スキャナー(2)の側面区域に配置されている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項15】
駆動装置(26)は、油圧駆動装置および空気圧駆動装置のうちの少なくとも1つからなっている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項16】
駆動装置(26)は、注射器ハウジング(14)の下方区域に配置されているとともに、注射器ハウジング(14)は好ましくは、取付状態にあるときに床の上に立っている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項17】
複数の液管および/または供給管が、実質的に注射器ハウジング(14)の内部に、および/または、実質的に注射器ヘッド(4)のハウジングの内部に配置されている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項18】
注射される液および/またはノズルのための少なくとも1つの収容区域(32,33)が注射器ハウジング(14)の中に設けられている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項19】
収容区域(32,33)は、閉鎖可能な蓋(34,35)を備えている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項20】
注射器ヘッド(4)のハウジングおよび注射器ハウジング(14)は、非磁性材料から構成されている、先行する請求項の一項に記載の医療用画像化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−526623(P2009−526623A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555458(P2008−555458)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/062062
【国際公開番号】WO2007/095534
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500165186)アシスト・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】