説明

一体型空気調和機

【課題】ファンリングを備えたエアガイダを樹脂化して内部ユニットの軽量化およびコストの低減をはかり基本剛性を確保できるようにした一体型空気調和機を提供する。
【解決手段】室内側熱交換室に室内熱交換器7と、シロッコファンとを備え、室外側熱交換室6に室外熱交換器9と、プロペラファン10と、ファンモータと、前記プロペラファン10に対応するファンリング11を備えたエアガイダ12と、圧縮機13とを備えた一体型空気調和機において、前記室外熱交換器9は、U字形状に折曲され前記仕切板4と対向して前記ベース3に下端が固定された側板14を両端部に備え、前記エアガイダ12は同側板14の内縁にそれぞれ固定され、同側板14同士と、同側板14および前記仕切板4の上端同士とが枠形状の支持部材15により連結される構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型空気調和機の内部ユニットに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一体型空気調和機は、図6に示すように、内部ユニット101が、ベース102上に立設されることで、ベース102上をU字形状に折曲した室外熱交換器103を有する室外側熱交換室104と、室内熱交換器105を有する室内側熱交換室106とに区画する仕切板107を備え、室外側熱交換室のベース102に立設されてプロペラファン108の風を案内するファンリング109を含むエアガイダ110を備えるとともに、仕切板107とエアガイダ110との間に連結桟111を橋渡し状に溶接したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
室外側熱交換室104と室内側熱交換室106とを区分する仕切板107と、プロペラファン108の風を案内するエアガイダ110とは板金からなる構成になっており、これら板金製による仕切板107およびエアガイダ110の間に、板金で形成された複数の連結桟111が橋渡し状に溶接されることで、内部ユニット101を補強できるようにしていた。
【0004】
しかしながら、例えば、内部ユニット101の軽量化およびコストの低減を図るため、ファンリング109を含むエアガイダ110を樹脂化した場合、この樹脂製のエアガイダ110に対し板金製の連結桟111を溶接することができないという問題点を有していた。また、樹脂製のエアガイダ110に板金製の連結桟111をねじ締め固定したとしても、樹脂製のエアガイダ110の剛性が不足することで、内部ユニット101の剛性を確保できないという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−196528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、室外側熱交換室のファンリングを備えたエアガイダを樹脂化して内部ユニットの軽量化およびコストの低減をはかり、且つ内部ユニットの剛性を確保できるようにした一体型空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0008】
ベース上に立設した仕切板により内部ユニットを室内側熱交換室と室外側熱交換室とに区画し、室内側熱交換室に室内熱交換器と、シロッコファンとを備え、室外側熱交換室に室外熱交換器と、プロペラファンと、同プロペラファンと前記シロッコファンとを駆動するファンモータと、前記プロペラファンに対応するファンリングを備えたエアガイダと、圧縮機とを備えた一体型空気調和機において、
前記室外熱交換器は、U字形状に折曲され前記仕切板と対向して前記ベースに下端が固定された側板を両端部に備え、前記エアガイダは同側板の内縁にそれぞれ固定され、同側板同士と、同側板および前記仕切板の上端同士とが枠形状の支持部材により連結されてなることを特徴としている。
【0009】
前記支持部材は、少なくとも前記側板の上端と、前記仕切板の上端との間を連結する二辺にフランジが一体形成されたことを特徴としている。
【0010】
前記エアガイダは、前記支持部材により上端部が位置決めされてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、室外側熱交換室のファンリングを備えたエアガイダを樹脂化して内部ユニットの軽量化およびコストの低減をはかり、且つ内部ユニットの剛性を確保できるようにした一体型空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による一体型空気調和機の外観斜視図である。
【図2】本発明による一体型空気調和機の要部斜視図である。
【図3】本発明による一体型空気調和機の要部分解斜視図である。
【図4】本発明による一体型空気調和機の要部拡大斜視図である。
【図5】図2に示すA−A断面図で、(A)はエアガイダの係合溝に支持部材を係合した図であり、(B)はエアガイダの係合溝および固定ねじを示す図である。
【図6】従来例による一体型空気調和機の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明による一体型空気調和機の外観斜視図であり、図2は外胴内に収納される本発明による一体型空気調和機の内部ユニットの斜視図であり、図3は外胴内に収納される本発明による一体型空気調和機の内部ユニットの要部分解斜視図であり、図4は外胴内に収納される本発明による一体型空気調和機の内部ユニットの要部拡大斜視図であり、図5は図2に示すA−A断面図で、(A)はエアガイダの係合溝に支持部材の第1辺を係合した図であり、(B)は仕切板側を開放したエアガイダの係合溝および固定ねじを示す図である。
【0015】
本発明による一体型空気調和機は、図2に示す内部ユニット1が、図1に示す室外側吸込口2aと、室外側吹出口2bとを備えた外胴2内に収納され,室内側吸込口2cと、図2に示す室内側吹出用の開口2dとを備えた前面パネル2eで前面が覆われた構成になっている。
【0016】
内部ユニット1は、図2および図3に示すように、ベース3上に立設した仕切板4により室内側熱交換室5と室外側熱交換室6とに区画され、室内側熱交換室5の一側寄りに、室内熱交換器7と図示しないシロッコファンとが設けられ、室内側熱交換室5の他側寄りに、室内熱交換器7の冷媒との間で熱交換された空気を室内に吹き出す室内側吹出口1aと、本発明による一体型空気調和機の運転操作をする操作部1bとが設けられている。
【0017】
室外側熱交換室6には、ベース3上に下端を固定した側板14,14を両端部に備えてU字形状に折り曲げられた室外熱交換器9と、図3に示すモータ取付台21に取り付けたファンモータ20と、ファンモータ20で駆動されるプロペラファン10と、プロペラファン10を囲むファンリング11を備えたエアガイダ12と、圧縮機13とが設けられている。
【0018】
室外側熱交換室6のファンリング11を備えたエアガイダ12は、合成樹脂製にすることで、板金製に較べて軽量化およびコストの低減をはかれるようにしている。
【0019】
ベース3上に固定された仕切板4は、ベース3上に図示しないねじで固定された室外熱交換器9の側板14,14に対向させた構成になっており、仕切板4および側板14,14が、ともに板金からなる構成になっている。そして、これら側板14,14同士の間と、仕切板4の上端部と側板14,14の上端部との間が、板金製の支持板からなる支持部材15によって連結されている。
【0020】
板金製の支持部材15は、図3に示すように、仕切板4と側板14,14とを連結することで内部ユニット1の剛性を補強できるように枠形状に形成されており、一方の対向する第1辺15aおよび第2辺15bからなる二辺と、他方の対向する第3辺15cおよび第4辺15dからなる二辺とで構成されている。
【0021】
枠形状の内周縁には、内周フランジ15eが一体形成(垂下)されており、第1辺15aの外縁には、内周フランジ15eと同じ高さでフランジ15fが一体形成されており、第3辺15cおよび第4辺15dの外縁には、内周フランジ15eおよびフランジ15fよりも高さ寸法が大きいフランジ15c1および15d1がそれぞれ一体形成されることで、支持部材15の強度を増強している。
【0022】
強度を増強した枠形状の支持部材15は、仕切板4と側板14,14とを連結することで内部ユニット1の剛性を補強する際、仕切板4の上端部と側板14,14の上端部とに対し、上方および側方からねじ締め固定されることによって強固に固定されるようになっている。
【0023】
支持部材15の上端部と、側板14,14の上端部とは、側板14,14の上面に設けられた図3に示すねじ孔14a,14aと、このねじ孔14a,14aに対応して支持部材15の第1辺15aに設けられた図3に示すねじ通し孔16,16とからなる第一固定部により、図2および図4に示すように上方から固定ねじ18,18でねじ締め固定される。また、側板14,14の側面に設けられた図3に示すねじ孔14a,14aと、このねじ孔14a,14aに対応して支持部材15のフランジ15c1および15d1に設けられた図3に示すねじ通し孔16,16とからなる第二固定部により、図2および図4に示すように側方から固定ねじ18,18でねじ締め固定される(側方の固定ねじ18は片側のみ図示)。
【0024】
支持部材15の上端部と、仕切板4の上端部とは、仕切板4,4の上面に設けられた図3に示すねじ孔4a,4aと、このねじ孔4a,4aに対応して支持部材15の第2辺15bに設けられた図3に示すねじ通し孔17,17とからなる第三固定部により、図2に示すように上方から固定ねじ18,18でねじ締め固定される。また、仕切板4,4の側面に設けられた図3に示すねじ孔4a,4aと、このねじ孔4a,4aに対応して支持部材15のフランジ15c1および15d1に設けられた図3に示すねじ通し孔17,17とからなる第四固定部により、図2に示すように側方から固定ねじ18,18でねじ締め固定される(側方の固定ねじ18は片側のみ図示)。
【0025】
図3に示す複数の固定ねじ18は、第1辺15aのねじ通し孔16,16と、第2辺15bのねじ通し孔16,16とにそれぞれ上方から通されて、側板14,14の上面に設けられたねじ孔14a,14aと、仕切板4,4の上面に設けられたねじ孔4a,4aとにそれぞれ螺着される。
【0026】
また、フランジ15c1および15d1に備えた側板14,14寄りのねじ通し孔17,17に通す複数の固定ねじ18,18は、側板14,14の側面に設けられたねじ孔14a,14aにそれぞれ螺着され、フランジ15c1および15d1に備えた仕切板4,4寄りのねじ通し孔17,17に通す複数の固定ねじ18,18は、仕切板4,4の側面に設けられたねじ孔4a,4aにそれぞれ螺着される。
【0027】
側板14,14の上端位置から仕切板4に橋渡しされた第3辺15cおよび第4辺15dは、例えば図6に示す背景技術のように、側板112,112よりも内側(ファン軸寄り)でエアガイダ110から仕切板107に連結桟111が橋渡しされ固定された構成に較べて、図2および図3に示す側板14,14の位置から仕切板4に橋渡しされ固定されることで、内部ユニット1の剛性をより効果的に補強できる。
【0028】
また、室内側熱交換室6に設けられた室内熱交換器7の上部と、折曲形成されている仕切板4の上端部には、図2に示すような板金製の天板19が、仕切板4の上端部に固定された支持部材15の上部からねじ締め固定されている。
【0029】
上述した構成により、外胴2内に収納された内部ユニット1は剛性が増強され、室外熱交換器9がU字形状に折曲形成されたことでフィンの枚数が増えて伝熱管(何れも図示せず)が長くなり、室外熱交換器9が大きくなったことで、伝熱管内を流通する冷媒とプロペラファン10により室外吸込口2aから吸い込まれた空気との間で、効率よく熱交換できるようになる。
【0030】
プロペラファン10は、U字形状の室外熱交換器9の内側に設置された構成にすることで、プロペラファン10と室外熱交換器9との間隔を大きくすることなく、内部ユニット1のコンパクト化に寄与できるようになる。
【0031】
支持部材15の第一固定部16,16および第二固定部17,17は、側板14,14および仕切板4に対し、ねじ孔14a,14aおよびねじ孔4a,4aに螺着される固定ねじ18,18で、上方および側方から強固にねじ締め固定されるようになる。
【0032】
その際、支持部材15が枠形状に形成され、また、内周フランジ15e、フランジ15c1,15d1および15fが一体形成されたことで、強度を高めた支持部材15によって内部ユニット1の剛性を効果的に補強できるようになる。
【0033】
支持部材15は、第1辺15aがエアガイダ12の上端部に沿うように側板14,14および仕切板4に固定されることで、エアガイダ12の上端部を、第1辺15aに沿わせて正確に位置決めできるようになる。
【0034】
また、室外熱交換器9は、U字形状の開放側上端部が支持部材15の第1辺15aによって閉じられる構成になることで強度が増強し、内部ユニット1の剛性を補強する構成として寄与できるようになる。
【0035】
エアガイダ12は、図5(B)に示すように、上端部に仕切板4側を開放した係合溝12aを備えており、図5(A)に示すように、係合溝12aの底面12dで支持部材15の第1辺15aを受けるように係合させることで、第1辺15aに対し正確に位置決めされるようになる。
【0036】
係合された支持部材15の第1辺15aには、図5(A)に示すようにねじ孔15gが設けられ、ねじ孔15gに対応して、エアガイダ12の上端部の係合溝12aには、図5(B)に示すように、固定ねじ18を通しねじ孔15gに螺着してねじ締め固定するためのねじ通し孔からなる固定部12bが設けられている。
【0037】
エアガイダ12は、上端部の係合溝12aに支持部材15の第1辺15aを係合させ、係合させた第1辺15aに固定されることで、合成樹脂製のため強度不足であっても板金製の支持部材15に固定されて補強されることになる。
【0038】
なお、エアガイダ12の係合溝12aには、支持部材15の第1辺15aを、底面12dで受けて係合した位置に位置決めする位置決め部12cが底面12dに突設されている。第1辺15aの内周フランジ15eが位置決め部12cに当接して、固定部12bに対しねじ孔15gが位置決めされることで、固定部12bに固定ねじ18を通しねじ孔15gに螺着してねじ締め固定する作業性が良好になる。
【0039】
そのため、ファンリング11を備えたエアガイダ12を合成樹脂製にして第1辺15aにねじ締め固定することで、内部ユニット1の軽量化およびコストの低減をはかれるようになり、これによって、内部ユニット1の剛性を損なうことはない。
【0040】
以上説明したように、本発明の構成によれば、U字形状に折曲されベース3上に固定した側板14,14を備えた室外熱交換器9が室外側熱交換室6に設置され、室内側熱交換室5と室外側熱交換室6とを区画して上部に天板19を固定した仕切板4がベース3上に固定され、側板14,14同士の間および仕切板4と側板14,14との間が枠形状の支持部材15により連結され、側板14,14の内縁に固定されたエアガイダ12が支持部材15で、ファンリング11を備えたエアガイダ12を樹脂化して軽量化およびコストの低減をはかり、且つ、内部ユニット1の剛性を確保できるようにした一体型空気調和機となる。
【符号の説明】
【0041】
1 内部ユニット
1a 室内側吹出口
1b 操作部
2 外胴
2a 室外側吸込口
2b 室外側吹出口
2c 室内側吸込口
2d 室内側吹出用の開口
2e 前面パネル
3 ベース
4 仕切板
4a ねじ孔
5 室内側熱交換室
6 室外側熱交換室
7 室内熱交換器
9 室外熱交換器
10 プロペラファン
11 ファンリング
12 エアガイダ
12a 係合溝
12b 固定部
12c 位置決め部
12d 底面
13 圧縮機
14 側板
14a ねじ孔
15 支持部材(支持板)
15a 第1辺
15b 第2辺
15c 第3辺
15c1 フランジ
15d 第4辺
15d1 フランジ
15e 内周フランジ
15f フランジ
15g ねじ孔
16 ねじ通し孔
17 ねじ通し孔
18 固定ねじ
19 天板
20 ファンモータ
21 モータ取付台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース上に立設した仕切板により内部ユニットを室内側熱交換室と室外側熱交換室とに区画し、室内側熱交換室に室内熱交換器と、シロッコファンとを備え、室外側熱交換室に室外熱交換器と、プロペラファンと、同プロペラファンと前記シロッコファンとを駆動するファンモータと、前記プロペラファンに対応するファンリングを備えたエアガイダと、圧縮機とを備えた一体型空気調和機において、
前記室外熱交換器は、U字形状に折曲され前記仕切板と対向して前記ベースに下端が固定された側板を両端部に備え、前記エアガイダは同側板の内縁にそれぞれ固定され、同側板同士と、同側板および前記仕切板の上端同士とが枠形状の支持部材により連結されてなることを特徴とする一体型空気調和機。
【請求項2】
前記支持部材は、少なくとも前記側板の上端と、前記仕切板の上端との間を連結する二辺にフランジが一体形成されたことを特徴とする請求項1に記載の一体型空気調和機。
【請求項3】
前記エアガイダは、前記支持部材により上端部が位置決めされてなることを特徴とする請求項1に記載の一体型空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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