説明

一液型ウレタン系湿気硬化性組成物

【課題】 少量の配合で極性の大きな樹脂や有機溶剤、可塑剤など或いは触媒を使用しても長期間極めて安定した揺変性を付与することができ、結果として顧客のニーズに応じた多様な組成を組むことができる、硬化物の諸物性に優れた硬化性組成物並びにシーリング材組成物及び接着剤組成物を提供する。また、触媒を使用することができるため硬化速度を大きくすることができる、硬化性組成物並びにシーリング材組成物及び接着剤組成物を提供する。
【解決手段】 イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、微粉状シリカと、有機イソシアネート化合物と水酸基に結合した窒素原子を有する化合物とを反応させて得られる揺変性付与助剤とからなる、硬化性組成物並びにシーリング材組成物及び接着剤組成物である。この揺変性付与助剤は、実質的にイソシアネート基或いは水酸基を含有しない化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡防止性や耐水接着物性の良い一液型ウレタン系湿気硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、常温で大気中の水分等により反応硬化し、その硬化物の優れたゴム弾性物性、接着性等の諸特性により、建築分野や土木分野などにおいて一液型湿気硬化性組成物として広く使用されている。この一液型湿気硬化性組成物は、具体的にはシーリング材、接着剤、防水材、床材、コーティング剤、塗料などであるが、イソシアネート基が水分と反応する際に炭酸ガスを発生するため、この炭酸ガスによる気泡が材料中に生じることがあり、所謂発泡が材料の外観や物性を損なうという問題がある。
そこで、特許文献1では、このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの硬化に伴う炭酸ガスの発生による発泡を防止するため、オキサゾリジン化合物を用いることが提案されている。オキサゾリジン化合物は、加水分解によりオキサゾリジン環が開裂し、イソシアネート基と反応性を有する第2級アミノ基と水酸基を再生し、この第2級アミノ基や水酸基がイソシアネート基と反応することによって硬化の際の炭酸ガスの発生を防止するものである。しかし、オキサゾリジン化合物の加水分解反応が不十分であったり、又は加水分解反応が遅かったりして、発泡防止効果が不十分であった。更には、硬化後のゴム物性において耐水接着物性が悪化するという問題もあった。これらの問題を解決するため、特許文献2、3では、オキサゾリジン化合物の加水分解促進触媒や、イソシアネート基の硬化促進触媒を配合することが提案されている。
しかしながら、これらの技術においてもまだ、硬化後のゴム物性において耐水接着物性が悪化するという問題が残こっている。
【特許文献1】特開平2−55715号公報
【特許文献2】特開平11−310622号公報
【特許文献3】特開2000−72839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、硬化性、発泡防止性に優れ、硬化後のゴム物性において耐水接着物性の良い一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、オキサゾリジン環を有する化合物と、硬化促進剤(c1)と、該(c1)以外の硬化促進剤(c2)とを含有する一液型ウレタン系湿気硬化性組成物が、硬化性、発泡防止性に優れ、硬化後のゴム物性において耐水接着物性の良いことを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)に示されるものである。
【0005】
(1) イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキサゾリジン環を有する化合物(B)と、硬化促進剤(c1)と、該(c1)以外の硬化促進剤(c2)とを含有すること、を特徴とする一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(2) 前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)が、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物である、前記(1)の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(3) 前記硬化促進剤(c1)が、金属キレート化合物である、前記(1)又は(2)の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(4) 前記(c1)以外の硬化促進剤(c2)が、安息香酸無水物である、前記(1)又は(2)のいずれかの一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(5) 前記金属キレート化合物が、鉄キレート化合物である、前記(3)の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(6) 前記鉄キレート化合物が、鉄アセチルアセトナートである、前記(5)の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
(7) 更に添加剤を配合する、前記(1)〜(6)のいずれかの一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明により初めて、大気中の水分などにより発泡することなく硬化して、硬化後に耐水接着物性の良いゴム状弾性体となり、シーリング材、接着剤、防水材、床材、コーティング剤などとして好適な、更にシーリング材又は接着剤として好適な、特に接着剤として好適な一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を提供することが可能となった。
すなわち本発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン環を有する化合物(B)とからなる系に、硬化促進剤(c1)と、該(c1)以外の硬化促進剤(c2)を配合することにより、硬化性が良く、発泡防止性に優れ、更に湿気硬化後の硬化物の耐水接着物性の良い一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を実現したものである。
なお、ここでいう「硬化物の耐水接着物性の良い」とは、本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物が大気中の水分等により反応硬化して形成されるゴム弾性を有する硬化物が、JIS A1439 4.21項に規定する引張接着性試験の耐水接着性において、最大引張応力(Tmax)が低下することなく、大きな値を示し、更にモジュラスの低下が小さいことを意味する。
前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、加水分解して第2級アミノ基と水酸基を生成するものであり、これらの活性水素基とイソシアネート基が反応することで発泡が防止され且又ゴム弾性を有する硬化物をあたえるものである。しかしながら、この反応機構が進行するためには、前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解並びに加水分解により生成する活性水素基とイソシアネート基の反応が、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が大気中の水分などと反応するよりも早く進むことが必要であり、硬化促進剤(c1)と、この(c1)以外の硬化促進剤(c2)を配合することが、この反応機構を進めているものと考えられる。加水分解して生成する第2級アミノ基と水酸基がイソシアネート基と反応してはじめてウレタンポリマー鎖が架橋し硬化物を形成し、硬化物が低モジュラスで高伸度なゴム状弾性を示すのである。前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解反応が不十分であったり、加水分解して生成する第2級アミノ基及び水酸基とイソシアネート基の反応が不十分であると、硬化物中に気泡が生じて(発泡)引張応力や接着強度が低下したり、硬化物表面に凹凸が生じ意匠上に悪影響を及ぼす。また更に、硬化物をJIS A1439 4.21項に規定する引張接着性試験等で評価すると、硬化促進剤(c1)と、この(c1)以外の硬化促進剤(c2)とを配合した系に比べて、前記硬化促進剤(c1)や、この(c1)以外の硬化促進剤(c2)を含まない系においては、養生後のモジュラス、最大引張応力等の値が小さくなり、特に水浸漬、温水浸漬などの耐水性試験でモジュラス、最大引張応力等の値が大きく低下する。シーリング材、接着剤、防水材、床材、コーティング剤、塗料などに多くの用途を持つ一液型ウレタン系湿気硬化性組成物にとって、耐水接着性試験で値が大きく低下することは、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物が、接している被着体から剥離したり、当該組成物の硬化物のゴム弾性物性低下による自身の破断が生じたり、使用部位の外観にシワ、変色、膨れなどの悪影響が出たりして、耐久接着性にとって望ましいことではない。本発明の最大の特徴は、耐水接着性に特に優れた硬化物を与える一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を提供できる点にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基が湿気(水分)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と、有機イソシアネートとを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。
具体的には、活性水素化合物と有機イソシアネートとを、原料合計のイソシアネート基/活性水素(基)の当量比が1.3〜10/1.0、更には1.5〜5.0/1.0となる範囲で同時或いは逐次に反応させて、好適に製造することができる。当量比が1.3/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマーの架橋点が少なくなりすぎ、硬化性組成物の硬化後の伸びや引張強度などが低下し、ゴム弾性物性や接着性が乏しいものとなり、当量比が10/1.0を超えると、発泡を防止するためにオキサゾリジン環を有する化合物(B)の配合量が多くなり経済的に好ましくなく、また硬化後のゴム弾性物性が硬いものとなり好ましくない。
【0008】
前記活性水素化合物としては、アルコール、アミノアルコール、ポリアミンなどが挙げられる。
アルコールとしては、ポリオキシアルキレン系アルコール、ポリエステルアルコール、ポリエステルアミドアルコール、ポリエーテル・エステルアルコール、ポリカーボネートアルコール、ポリ(メタ)アクリルアルコール、炭化水素系アルコール等の数平均分子量500以上の高分子アルコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系アルコールとしては、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、活性水素を1個以上含有する化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
開始剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の低分子アルコール類、ソルビトール、シュークロース、グルコース、ラクトース、ソルビタン等の糖類系低分子アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子フェノール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類、アジピン酸、テレフタル酸等の低分子ポリカルボン酸類、これらの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる低分子量のポリオキシアルキレンアルコールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
すなわち、ポリオキシアルキレン系アルコールは、具体的には、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシプロピレンアルコール、ポリテトラメチレンエーテルアルコール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合アルコール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合アルコールなどを挙げることができ、また、これらの各種アルコールと有機ポリイソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系アルコールは、良好な作業性などの理由で、数平均分子量が500〜100,000、更に1,000〜30,000、特に1,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均のアルコール性水酸基の個数は1個以上、更に1〜4個、特に1〜3個が好ましい。
更に、ポリオキシアルキレン系アルコールは、複合金属シアン化錯体などの触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系アルコールとは、分子1モルの水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエーテル、ウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、本発明においては、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るアルコールが最も好ましい。
ポリエステルアルコール、ポリエステルアミドアルコールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、前記のポリオキシアルキレン系アルコールの合成に開始剤として使用される活性水素を2個以上含有する化合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルアルコール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルアルコールとしては、例えば、前記ポリオキシアルキレン系アルコールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートアルコールとしては、例えば、前記のポリオキシアルキレン系アルコールの製造に使用される低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルアルコールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。
炭化水素系アルコールとしては、ポリブタジエンアルコールや水素添加ポリブタジエンアルコール、ポリイソプレンアルコール、水素添加ポリイソプレンアルコール、塩素化ポリエチレンアルコール、塩素化ポリプロピレンアルコールなどが挙げられる。
アルコールとしては更に、前記ポリオキシアルキレン系アルコールの製造原料として挙げた数平均分子量500未満の低分子アルコールが挙げられる。
アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等が挙げられる。
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系アルコールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。
ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
また、一般にポリウレタン工業において公知の活性水素基を含有する、数平均分子量500以上の、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等も挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度が低く、硬化後の物性が良好なため、これから得られる硬化性組成物の粘度が低く作業性が良好な点と、硬化後のゴム弾性物性や接着性が高い点で、高分子のモノオールとトリオールとの混合物が好ましく、更に高分子のポリオキシアルキレン系モノオールとポリオキシアルキレン系トリオールとの混合物が好ましく、特に高分子のポリオキシプロピレンモノオールとポリオキシプロピレントリオールとの混合物が好ましい。
【0009】
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機ポリイソシアネート、有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートとの混合物が挙げられるが、有機ポリイソシアネートが好ましい。
【0010】
有機モノイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を1個含有すればよく、イソシアネート基以外の有機基としては、湿気などの水分硬化性の官能基を含有していない疎水性の有機基が好ましい。具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート、n−クロロエチルモノイソシアネートなどの脂肪族モノイソシアネート、クロロフェニルモノイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルモノイソシアネート、p−フルオロフェニルモノイソシアネート、2,4−ジフルオロフェニルモノイソシアネート、o−トリフルオロメチルフェニルモノイソシアネート、p−ニトロフェニルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、2,6−ジイソプロピルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートなどの芳香族モノイソシアネート、その他に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
【0011】
有機ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上含有する化合物であり、具体的には例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート類、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート類、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート類などの芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。更に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートも使用できる。
また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1個以上含有する変性イソシアネート化合物も使用できる。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0012】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成の際には、オクチル酸錫、オクチル酸ジルコニウムなどの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、EXCESTAR C−501(旭硝子社製)等の有機金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩などの有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒を用いることができる。これらのうち有機金属化合物、更にオクチル酸錫が好ましい。
また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
【0013】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、発泡を防止するためにオキサゾリジン環を有する化合物(B)の配合量が多くなり経済的に好ましくなく、また硬化後のゴム弾性物性が硬いものとなり好ましくない。
【0014】
本発明におけるオキサゾリジン環を有する化合物(B)は、分子中にオキサゾリジン環を少なくとも1つ有する化合物であり潜在硬化剤である。前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に配合することにより、イソシアネート基を水分との反応速度の遅いものにしても、水分と反応して生成する活性水素基をイソシアネート基との反応速度の速いものにし、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の硬化速度を早くすることができ、更に発泡を防止することができる。また更には、オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、また、分子中に少なくとも1つのウレタン基を更に有する化合物であることが好ましく、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の貯蔵安定性が優れている点で好適である。
オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、第1級アミノ基や第2級アミノ基を有するアミノアルコールとアルデヒドとの脱水反応で得られる水酸基とオキサゾリジン環を有する化合物に、後述する有機イソシアネートを反応させることにより得ることができる。このようにすることで、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と共存させておいても水分の無い状態では反応しない、貯蔵安定性に優れた一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を製造することができる。この場合、使用する有機イソシアネートとしては、得られるオキサゾリジン環を有する化合物(B)の粘度が低い点で、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。
アルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンタナール、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒドなどが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
オキサゾリジン環を有する化合物(B)の製造方法は公知の方法を適用できるが、例えば、ジエタノールアミンとイソブチルアルデヒドからオキサゾリジン環を有する化合物を製造する方法は、反応温度60〜150℃で、溶媒としてキシレン、トルエン等のイソシアネート基に対して不活性である有機溶媒の存在下で、イソブチルアルデヒドを滴下して反応させる。滴下終了後、反応混合物を5〜10時間還流させ、生成する水を系外へ除去する。次に、反応生成物であるN−ヒドロキシエチルオキサゾリジンに有機イソシアネートを加えて混合し、60〜90℃で5〜10時間反応させて製造することができる。
オキサゾリジン環を有する化合物(B)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0.1〜100質量部、特に1〜50質量部、或いは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基に対して、湿気により加水分解して生成する活性水素基の当量比(活性水素基/イソシアネート基)を、0.05〜1.1/1.0、特に0.3〜1.0/1.0とする範囲が好ましい。前記当量比が0.05/1.0未満では一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の発泡を防止することが難しく、1.1/1.0を超えると硬化物の耐水接着物性が悪化する。
【0015】
硬化促進剤(c1)は、オキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解の結果生成する第2級アミノ基、水酸基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させるために配合するものである。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキサゾリジン環を有する化合物(B)と、(c1)以外の硬化促進剤(c2)とを含有する系に、硬化促進剤(c1)を配合することにより、硬化性、発泡防止性に優れ、湿気硬化後の硬化物の耐水接着物性の良い一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を実現することができる。具体的には、ジルコニウム、ビスマス、鉄、コバルト、ニッケルなどの各種金属のキレート化合物などが好適に挙げられる。例示すれば、ジルコニウムアセチルアセトナート、アセチルアセトンビスマス、鉄アセチルアセトナート、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンニッケルなどが挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の硬化性、発泡防止性が優れ、更に硬化物の耐水接着物性が優れている点で、鉄キレート化合物が好ましく、特に鉄アセチルアセトナートが好ましい。
硬化促進剤(c1)の使用量は、オキサゾリジン環を有する化合物(B)100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましい。0.001質量部未満ではオキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解の結果生じる活性水素基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進する効果がなく、10質量部を超えると一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0016】
(c1)以外の硬化促進剤(c2)は、前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解を促進させるために配合するものであり、ひいてはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の硬化を促進させるためのものであり、オキサゾリジン環の開環触媒である。具体的には、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸、有機亜リン酸や、これらのエステル又は酸無水物、有機スルホニルイソシアネート、有機スルホン酸アミドなどが挙げられる。例示すれば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸などやこれらの酸無水物が挙げられ、また、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸無水物、JP−508(城北化学社製)、p−トルエンスルホニルイソシアネート、p−トルエンスルホン酸アミドなども挙げられる。これらのうち、安息香酸無水物が好ましい。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
(c1)以外の硬化促進剤(c2)の使用量は、オキサゾリジン環を有する化合物(B)100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。0.001質量部未満でオキサゾリジン環を有する化合物(B)の加水分解を促進する効果が少なく、5質量部を超えると一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の硬化性や貯蔵安定性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0017】
本発明における添加剤としては、耐候安定剤、充填剤、接着性付与剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、可塑剤、着色剤、意匠性付与剤、硬化促進触媒、有機溶剤などが挙げられる。
【0018】
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の硬化後の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用する。耐候安定剤としては具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0019】
酸化防止剤としては具体的には、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤を挙げることができ、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。また、三共社製の商品名サノールLS−292などの他、旭電化工業社製の商品名アデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87などの分子量1,000未満の低分子量ヒンダードアミン系酸化防止剤、同じくLA−63P、LA−68LD或いはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名CHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LDなどの分子量1,000以上の高分子量ヒンダードアミン系酸化防止剤なども挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
【0020】
紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0021】
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0〜30質量部、特に0.1〜10質量部配合するのが好ましい。
【0022】
充填剤、接着性付与剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、可塑剤、着色剤、意匠性付与剤などは、それぞれ補強や増量、接着性向上、揺変性向上、貯蔵安定性向上、着色、硬化物の表面の艶消しや凹凸付与(ざらつき感付与)等の意匠性付与などのために使用することができる。
【0023】
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機粉末状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状充填剤などの無機系充填剤、或いはこれらの表面を脂肪酸等の有機物で処理した充填剤、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、更にポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂の粉末などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。
【0024】
接着性付与剤としては、カップリング剤のほか、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、アルキルチタネート類等が挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。これらのうちシラン系カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が接着性に優れている点で好ましい。
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシランなどの炭化水素基結合アルコキシシラン類、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシランなどの炭化水素基結合イソプロペノキシシラン類、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類やイソプロペノキシシラン類などの分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物及び/又はこれらシランカップリング剤の1種又は2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物が挙げられる。
【0025】
揺変性付与剤としては、微粉状シリカ、脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウム等の無機系揺変剤や、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機系揺変剤が挙げられる。
【0026】
貯蔵安定性改良剤としては、硬化性組成物中に存在する水分と反応する、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、塩素化パラフィン等のハロゲン化脂肪族化合物などの分子量500未満の低分子量可塑剤が挙げられ、分子量500以上の高分子量タイプの可塑剤としては、例えば、ジカルボン酸類とグリコール類とからのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのエーテル化或いはエステル化誘導体、シュークロース等の糖類多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキシドを付加重合し、更にエーテル化或いはエステル化した糖類系ポリエーテル類等のポリエーテル類、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類、低粘度の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などが挙げられる。これらのうち、硬化物表面に移行(ブリード)し難い点で、分子量500以上の高分子量タイプの可塑剤が好ましい。
【0028】
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0029】
意匠性付与剤は、硬化性組成物に配合することにより硬化物表面の艶を消す補助をしたり、表面の艶を消すと共に凹凸を付与し天然のざらついた岩石を模した外観を付与したりして意匠性を付与する効果を発揮させるものであり、具体的に、艶消しを付与するものとしては、蜜ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類や、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ステアリルアミン等の融点30℃以上の高級脂肪族アミン、或いはこのアミンをアセトン、メチルエチルケトン、イソブチルアルデヒド等のカルボニル化合物と反応脱水して得られるケチミン化合物やアルジミン化合物などが挙げられる。
表面の艶を消すとともに凹凸を付与するものとしては、粒状物やバルーンなどが挙げられ、粒状物としては前記充填剤として挙げたものと同様のもので、粒径が50μm以上の大きなものが挙げられる。
バルーンは中空の物質であり、その形状は球状だけでなく、立方状、直方状、金平糖状など各種あり、また硬化性組成物に対する凹凸付与効果を消失させない程度にバルーンを少し破壊したものも挙げられるが、硬化性組成物の作業性の良さから球状が好ましい。具体的に、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン、フェノール樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、ポリスチレンバルーン、ポリエチレンバルーン、サランバルーン等の有機系バルーン、或いは無機系化合物と有機系化合物を混合したり積層したりした複合化バルーンなどが挙げられる。
また、これらのバルーンをコーティングしたり表面処理したりしたものも使用でき、無機系バルーンを前記シランカップリング剤などで表面処理したもの、有機系バルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたものなども挙げられる。
これらのうち、意匠性付与効果の大きさの点から、粒状物及び/又はバルーンが好ましく、更に粒状無機系充填剤及び/又は無機系バルーンが好ましく、特に粗粒重質炭酸カルシウム及び/又はセラミックバルーンが好ましい。
粒状物及び/又はバルーンの粒径は、意匠性付与効果の大きさの点から50μm以上、更には100〜1,000μmが好ましい。
【0030】
充填剤、接着性付与剤、揺変性付与剤、貯蔵安定改良剤(脱水剤)、可塑剤、着色剤及び意匠性付与剤の合計の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0〜500質量部、特に0〜300質量部が好ましい。
【0031】
硬化促進触媒は、イソシアネート基と水との反応を促進するため、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができるが、使用しないのが好ましい。
硬化促進触媒としては具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられ、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の有機錫化合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物、オクチル酸鉛等の有機酸鉛塩、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート等のチタン酸エステル類、オクチル酸ビスマス、ビスマスバーサテート等の有機ビスマス化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、或いはこれらのアミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
硬化促進触媒の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0〜10質量部が好ましい。
【0032】
本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物は粘度が低いため、有機溶剤は使用しなくてもよいか、使用しても極めて少ない量で済み、環境負荷物質を放出しないので安全性が高い。
有機溶剤としては、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤など従来公知の有機溶剤が挙げられ、これらは組成物の各成分に反応しないものであればどのようなものでも使用することができる。有機溶剤は安全性の点で、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物中に10質量%未満、更に5質量%未満、特に1質量%未満となるように使用するのが好ましく、最も好ましいのは0質量%と使用しないことである。
【0033】
本発明において、前記各添加剤成分はそれぞれ単独で或いは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
なお、本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物は、用途に応じ一液型としても、また本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を主剤とし、水やアミン化合物等を硬化剤とする二液型としても用いることができるが、主剤と硬化剤を混合する手間がなく、また混合不良などの不具合もなく作業性に優れているため、一液型として用いることが好ましい。
また、本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物が施工の対象とする材料としては、モルタルやコンクリート等の無機系材料、大理石等の天然石材料、窯業系サイディングや金属系サイディング等のサイディング、ALC板、タイル等の窯業系材料、ポリエチレンや塩化ビニル等の各種合成樹脂製のシート状や板状の材料、木材や合板等の木質系材料、アルミニウムや亜鉛鋼板等の金属系材料などが、接着性などが良好なため好適なものとして挙げられる。特に本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物をシーリング材として使用する場合、本発明の特徴を活用できる点で、近年使用物件が増加している、サイディングやALC板で形成された外壁目地に対して使用するのが好ましい。
また、本発明の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を接着剤組成物として使用する場合、本発明の特徴である揺変性に優れていることによる作業性がよくクシ目立て性が良いため、コンクリートや木質等の下地への床樹脂タイル、床樹脂シート、木質フローリング材等の接着、建築物の床根太と床下張り材の接着などの木材や合板等の木質系材料の接着、タイルをコンクリートやサイディング板などの外壁下地へ接着する際に好適に使用できる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明について実施例などにより更に詳細に説明する。
ここにおいて、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物の例を示したが、これらに限定されるものではない。
【0036】
〔イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成〕
合成例1
撹拌機、温度計、窒素シール管及び加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製、エクセノール−5030、数平均分子量5,040)を143.2g(OH当量:0.0852)とポリオキシプロピレンモノオール(旭硝子社製、PML−1003、数平均分子量3,080)を238.7g(OH当量:0.0775)仕込み、撹拌しながらイソホロンジイソシアネート(テグサジャパン社製、IPDI、分子量222)を41.9g(NCO当量:0.3775)(R値(NCO当量/OH当量)=2.3)仕込み、さらに反応触媒としてオクチル酸錫(日東化成社製)0.1gを加え、70〜80℃で4時間撹拌し、滴定によるイソシアネート基含有量が理論値2.1質量%以下になった時点で反応を終了し(実測値2.0質量%)、冷却して、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1を合成した。
【0037】
〔オキサゾリジン環を有する化合物の合成〕
合成例2
攪拌機、温度計、窒素シール管及び加温・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435.0g入れた後、トルエンを183.3g加えた。この中に攪拌しながら更にイソブチルアルデヒド(分子量72.1)328.3gを加えたのち、加温して110〜150℃で3時間脱水反応を続けて、エステル管により水74.5gを系外に除いた。次いで加熱減圧して、未反応のイソブチルアルデヒド及びトルエンを除去して、水酸基とオキサゾリジン環を有する化合物を得た。この水酸基とオキサゾリジン環を有する化合物658.9g中にヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)341.0gを加え、80℃で8時間加熱し、NCO濃度が0.01質量%以下となった時点をウレタン化反応の終点(実測NCO濃度0.0質量%)として、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を合成した。得られたウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1は常温で透明な液体であった。
【0038】
実施例1
加熱、冷却装置及び窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1 100g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、I−245)0.9g及び合成例2で得たウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1 3.5gを仕込み、20〜30℃で撹拌、混合し、次いでこの中に安息香酸無水物(和光純薬工業社製)0.1g及び鉄(III)アセチルアセトナート(和光純薬工業社製)0.01gを添加し、さらに30分間混合した後、30〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填密封して、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0039】
実施例2
実施例1において、鉄(III)アセチルアセトナートを0.01g使用する代りに0.05g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0040】
実施例3
実施例1において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0041】
実施例4
実施例1において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用し、鉄(III)アセチルアセトナートを0.01g使用する代りに0.05g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0042】
実施例5
加熱、冷却装置及び窒素シール管付混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1 100g、予め90〜100℃の乾燥器中で乾燥し含有水分0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム25.5g、予め乾燥器中で乾燥した酸化チタン13.7g及び予め乾燥器中で乾燥した表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、CCR−S)81.0gを仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合した。次に、ヒンダードアミン系酸化防止剤(三共社製、サノールLS−292)1.2g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、I−245)0.9g及び合成例2で得たウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1 5.8gを仕込み、20〜30℃で撹拌、混合し、次いで安息香酸無水物0.1g、鉄(III)アセチルアセトナート0.1gを添加し、さらに30分間混合した後、30〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填密封して、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0043】
実施例6
加熱、冷却装置及び窒素シール管付混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1 100g、予め90〜100℃の乾燥器中で乾燥し含有水分0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム25.5g、予め乾燥器中で乾燥した酸化チタン13.7g及び予め乾燥器中で乾燥した表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、CCR−S)81.0gを仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合した。次に、ヒンダードアミン系酸化防止剤(三共社製、サノールLS−292)1.2g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、I−245)0.9g及び合成例2で得たウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1 3.5gを仕込み、20〜30℃で撹拌、混合し、次いで安息香酸無水物0.1g、鉄(III)アセチルアセトナート0.01gを添加し、さらに30分間混合した後、30〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填密封して、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0044】
実施例7
実施例6において、鉄(III)アセチルアセトナートを0.01g使用する代りに0.05g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
実施例8
実施例6において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0045】
実施例9
実施例6において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用し、鉄(III)アセチルアセトナートを0.01g使用する代りに0.05g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0046】
比較例1
実施例1において、鉄(III)アセチルアセトナートを使用しない以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0047】
比較例2
実施例1において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用し、鉄(III)アセチルアセトナートを使用しない以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0048】
比較例3
実施例5において、鉄(III)アセチルアセトナート0.1gを使用する代りにオクチル酸ビスマス(日東化成社製、ネオスタンU−600)を0.1g使用した以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0049】
比較例4
実施例6において、鉄(III)アセチルアセトナートを使用しない以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0050】
比較例5
実施例6において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用し、鉄(III)アセチルアセトナートを使用しない以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0051】
比較例6
実施例6において、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物O−1を3.5g使用する代りに5.8g使用し、安息香酸無水物を使用しない以外は同様にして、一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を調製した。
【0052】
性能試験
〔タックフリー時間〕
JIS A1439:(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」、4.19タックフリー試験により23℃、50%相対湿度のJIS標準状態のタックフリー時間を測定した。
〔スランプ〕
JIS A1439:(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」、4.1スランプ試験により、試験温度23℃でスランプ(縦)を測定した。
〔発泡性I〕
210×340mmの離型紙の四辺を約10mmの高さに折り上げて、箱状容器を作製した。これに一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を入れ、23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させた。次に、カッターを使用して硬化物の幅の中心付近を長さ方向に縦に切り、硬化物内部の発泡の有無を目視により観察した。
発泡が認められないか、または極めて少ないものを○、発泡が多数認められるものを×と評価した。
〔発泡性II〕
厚さ3mmのラワン合板の表面に一液型ウレタン系湿気硬化性組成物をおおよそ幅20mm×頂点の高さ10mm×長さ100mmのビード状に塗布し、23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させた。次に、カッターを使用して硬化物の幅の中心付近を長さ方向に縦に切り、硬化物内部の発泡の有無を目視により観察した。
発泡が認められないか、または極めて少ないものを○、発泡が多数認められるものを×と評価した。
〔接着性I〕
50×50×8mmスレート板の50×50mm面四辺に幅10mm×厚さ5mmの角バッカーを貼って箱状とした。箱状内にプライマーOP−2531(オート化学工業社製)を刷毛塗りし、20分程のオープンタイム後に一液型ウレタン系湿気硬化性組成物を充填した。
23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させた後、23℃の水中に7日間浸漬した。浸漬終了後硬化物の端部にカッターで切り込みをいれ、切り込みをいれた硬化物端部を手でつかみ、切り込みをいれた方向とは逆方向に手で折り返して引っ張り(180度剥離)、次にこの操作を数回繰り返し、硬化物の接着性を試験した。
硬化物を手で引っ張ったときスレート板から容易には剥離しない場合を○、硬化物を手で引っ張ったときスレート板から容易に剥離、または硬化物が破断する場合を×と評価した。
〔接着性II〕
50×50×8mmスレート板の50×50mm面にプライマーOP−2531を刷毛塗りし、20分程のオープンタイム後一液型ウレタン系湿気硬化性組成物をビード状に打設した。23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させた後、23℃の水中に7日間浸漬した。浸漬終了後硬化物の端部にカッターで切り込みをいれ、切り込みをいれた硬化物端部を手でつかみ、切り込みをいれた方向とは逆方向に手で折り返して引っ張り(180度剥離)、次にこの操作を数回繰り返し、硬化物の接着性を試験した。
硬化物を手で引っ張ったときスレート板から容易には剥離しない場合を○、硬化物を手で引っ張ったときスレート板から容易に剥離、または硬化物が破断する場合を×と評価した。
〔引張接着性I〕
JIS A1439:(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」、4.21 引張接着性試験に準拠し、試験体の養生を50℃、80%相対湿度で3日間(強制養生)行なった以外は4.21.4 b)養生後の引張試験、d)水浸漬後の引張試験と同様にして評価した。なお、プライマーOP−2531(オート化学工業社製)、被着体にモルタルを使用した。
b)養生後の引張試験におけるTmaxに対するd)水浸漬後の引張試験におけるTmaxの値をTmax保持率として算出し、Tmax保持率が0.50以上を○、Tmax保持率が0.50未満を×と評価した。
【数1】

〔引張接着性II〕
JIS A1439:(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」、4.21 引張接着性試験に準拠し、4.21.4 b)養生後の引張試験、d)水浸漬後の引張試験及び50℃温水に14日間浸漬した後の引張試験を実施し評価した。なお、プライマーOP−2531(オート化学工業社製)、被着体にモルタルを使用した。
b)養生後の引張試験におけるTmaxに対するd)水浸漬後又は50℃温水浸漬後の引張試験におけるTmaxの値をTmax保持率として算出し、Tmax保持率が0.50以上を○、Tmax保持率が0.50未満を×と評価した。
【数2】

実施例1〜9及び比較例1〜6の原料組成及びその性能などをまとめて表1〜3に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキサゾリジン環を有する化合物(B)と、硬化促進剤(c1)と、該(c1)以外の硬化促進剤(c2)とを含有すること、を特徴とする一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項2】
前記オキサゾリジン環を有する化合物(B)が、ウレタン基とオキサゾリジン環を有する化合物である、請求項1に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化促進剤(c1)が、金属キレート化合物である、請求項1又は2に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項4】
前記(c1)以外の硬化促進剤(c2)が、安息香酸無水物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項5】
前記金属キレート化合物が、鉄キレート化合物である、請求項3に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項6】
前記鉄キレート化合物が、鉄アセチルアセトナートである、請求項5に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。
【請求項7】
更に添加剤を配合する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一液型ウレタン系湿気硬化性組成物。


【公開番号】特開2007−291223(P2007−291223A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120182(P2006−120182)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】