一酸化炭素ガス計測装置及び警報器
【課題】電気化学式ガスセンサの直列内部抵抗成分のバラツキを補正する。
【解決手段】電源33から電気化学式ガスセンサ1への充電電流への供給を開始すると、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧と抵抗の抵抗値に基づいて、電気化学式ガスセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を直列内部抵抗成分算出手段10a1によって算出する。そして、その等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値と電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報は感度情報記憶手段10bに記憶される。そして、直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した抵抗値と感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1の感度を感度算出手段10a2によって算出し、補正手段10a3によって当該感度に基づいて電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する。
【解決手段】電源33から電気化学式ガスセンサ1への充電電流への供給を開始すると、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧と抵抗の抵抗値に基づいて、電気化学式ガスセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を直列内部抵抗成分算出手段10a1によって算出する。そして、その等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値と電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報は感度情報記憶手段10bに記憶される。そして、直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した抵抗値と感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1の感度を感度算出手段10a2によって算出し、補正手段10a3によって当該感度に基づいて電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象ガスの電気化学反応によって対象ガス濃度を検出する電気化学式ガスセンサの感度を補正する一酸化炭素ガス計測装置及び警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼機器の不完全燃焼等によるCOガスを検出し警報するCO警報器のように、周辺雰囲気中のCO濃度を測定する装置として、従来から、電気化学式COセンサ(=ガスセンサ)を内蔵したものが知られている。
【0003】
図11に断面図で示すように、この電気化学式COセンサ1は、内部に水5が収容された金属缶2(=水容器)の上部開口4にプロトン導電体膜3を設置して、その対極32を金属缶2内に露出させると共に、反対側の検知極31にガス吸着フィルタ8cを内蔵した金属キャップ8を重ねて金属缶2の上部開口4にかしめ固定して構成されている。
【0004】
上述した構成の電気化学式のCOセンサ1では、周辺雰囲気中のCO(=対象ガス)が、金属キャップ8の導入孔8aから内部に導入されて、活性炭やシリカゲル、ゼオライト等からなるガス吸着フィルタ8cや導出孔8b、そして、金属キャップ8とプロトン導電体膜3との間に介設した金属製の拡散制御板7の拡散制御孔7aを通過して検知極31に到達し、ここで、対極32側からプロトン導電体膜3に供給される金属缶2内の水5の水分を利用した酸化反応を起こして、検知極31にプロトン(2H+)と電子(2e-)を発生させる。
【0005】
検知極31に発生した電子(2e-)はプロトン導電体膜3の内部を通過できないので検知極31に滞留し、一方、プロトン(2H+)は、プロトン導電体膜3の内部を通過して対極32に移動し、ここで、金属缶2内の酸素と還元反応を起こして、対極32に水(H2O)を生成する。
【0006】
したがって、検知極31と拡散制御板7を介して電気的に接続されてそのターミナルとして機能する金属キャップ8と、対極32とワッシャー9を介して電気的に接続されてそのターミナルとして機能する金属缶2との間に電流/電圧変換回路(図示せず)を接続すると、検知極31に滞留した電子(2e-)の対極32に向かう流れが電流/電圧変換回路の入力抵抗に生じ、これにより対極32から上記入力抵抗を経て検知極31に向かう電流の流れが生じるので、この電流を電流/電圧変換回路が、電流/電圧変換することで、周辺雰囲気中のCO濃度に応じた電圧値のCO濃度信号が得られる(例えば特許文献1,2)。
【0007】
また、上記同様に水容器からの水蒸気と対象ガスとの反応を利用するガスセンサとして、2つの電極間にイオン伝導固体電解膜を備えるとともに、イオン伝導固体電解膜に一定の相対湿度を維持するように水を充填した水容器を備えたガスセンサがある(例えば特許文献3)。
【0008】
前記COセンサ1は、それ自身では、周囲雰囲気中のCO濃度に応じた電圧値のCO濃度信号を生成するために外部からの電力供給を必要としないことから、電池によって長期間駆動する必要のあるCO警報器での利用に適している。
【0009】
ところで、上述したCO警報器は、従来より、金属缶2中の水が減少する「水なし」、「断線」、「短絡」といった故障を検出する自己診断を行っている(例えば特許文献3)。COセンサ1の自己診断は、このCOセンサ1を一種のコンデンサとみなし、その放電時の電流波形が「水なし」、「断線」、「短絡」といった故障によって正常時とは異なることを利用して行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−170101号公報
【特許文献2】特開2004−279293号公報
【特許文献3】特開2000−146908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電気化学式ガスセンサを用いた従来の警報器は、警報器の作り込みの際に、電気化学式ガスセンサの感度調整を行っていたが、その後ガスセンサの感度が低下する可能性があることが分かった。上述したようにガスセンサは大きなコンデンサと考えられていたが、警報器の振動、衝撃などにより、導電性疎水膜と電解質との間に積層ズレが生じると、その積層ズレにより直列抵抗が生成されることが分かった。そして、ガスセンサの直流抵抗の大きさによってはガスセンサの感度低下に繋がってしまうため、早急な対応が求められていた。また、従来の感度調整はガスセンサ個々の直列抵抗のバラツキを含んだ調整となっていたため、その直列抵抗の大きさによってはガスセンサの感度低下に繋がる可能性があった。
【0012】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、電気化学式ガスセンサの直列内部抵抗成分のバラツキを補正することができる一酸化炭素ガス計測装置及び警報器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、固体又は液体の電解質と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流を発生する電気化学式ガスセンサ1と、前記電気化学式ガスセンサ1に流れる前記電流を電圧に変換する電流/電圧変換回路40と、前記電気化学式ガスセンサ1に充電電流を供給して前記電気化学式ガスセンサ1を充電する電源33と、前記電源33から前記電気化学式ガスセンサ1への供給路と前記電流/電圧変換回路40の入力端との間に設けられ且つ前記電気化学式ガスセンサ1の充電開始時の等価回路が有する直列内部抵抗成分Rsの抵抗値の変化に応じて前記電源33から流れ込む電流が変化する抵抗値に設定された抵抗R1と、前記電気化学式ガスセンサ1の充電開始時における前記電流/電圧変換回路40からの出力電圧と前記抵抗R1の抵抗値に基づいて前記直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を算出する直列内部抵抗成分算出手段10a1と、を有する一酸化炭素ガス計測装置において、前記直列内部抵抗成分Rsと前記電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報を記憶する感度情報記憶手段10bと、前記直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した抵抗値と前記感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、前記電気化学式ガスセンサ1の感度を算出する感度算出手段10a2と、前記感度算出手段10a2が算出した感度に基づいて前記電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する補正手段10a3と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、電源33から電気化学式ガスセンサ1への充電電流への供給を開始すると、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧と抵抗の抵抗値に基づいて、電気化学式ガスセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を直列内部抵抗成分算出手段10a1によって算出する。そして、その等価回路における直列内部抵抗成分Rsと電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報は感度情報記憶手段10bに記憶される。そして、直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した直列内部抵抗成分Rsの抵抗値と感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1の感度が感度算出手段10a2によって算出し、補正手段10a3によって当該感度に基づいて電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、前記一酸化炭素ガス計測装置によって計測された対象ガス濃度の異常を警報する警報手段50と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2の本発明によれば、一酸化炭素ガス計測装置20によって計測された対象ガス濃度の異常を検出すると、警報手段によって警報を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、電源から電気化学式ガスセンサへの充電電流への供給の開始に応じて、電流/電圧変換回路が出力した出力電圧に基づいて電気化学式ガスセンサの等価回路における直列内部抵抗成分の抵抗値を算出し、当該抵抗値と感度情報とに基づいて感度を算出して対象ガス濃度を補正するようにしたことから、調整・出荷後に振動、衝撃などで電気化学式ガスセンサの積層ズレ、経年変化、等が生じても、その感度に応じて補正することができるため、精度低下の防止に貢献することができる。また、定期的に充電開始に応じて電流/電圧変換回路が出力した出力電圧から補正を行うことができるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。従って、電気化学式ガスセンサが正確な対象ガス濃度を計測することができるため、電気化学式ガスセンサの精度向上に貢献することができる。
【0018】
以上説明したように請求項2に記載した本発明によれば、一酸化炭素ガス計測装置が補正により正常に動作している状態で計測した対象ガス濃度を判定し、その異常を警報するようにしたことから、電気化学式ガスセンサに故障が生じたままの状態で使用され続けることを防止できる。従って、一酸化炭素ガス計測装置の計測精度の低下を防止できるため、安全性の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一酸化炭素ガス計測装置及び警報器の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る警報器としてのガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。
【図3】図2に示すガス警報器中の電気化学式ガスセンサの等価回路図である。
【図4】図3に示す電気化学式ガスセンサの充電した瞬間の等価回路図である。
【図5】電気化学式ガスセンサに電圧値と時間との関係を示すグラフである。
【図6】CO感度の測定結果を示すグラフである。
【図7】センサ感度と追加抵抗との特性を示すグラフである。
【図8】センサ感度比率と直列抵抗Rsとの関係を示すグラフである。
【図9】図2のCPUが実行する自己診断処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図2のCPUが実行するCO検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る電気化学式COセンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一酸化炭素ガス計測装置を有する警報器の一例を、図1〜図10の図面を参照して以下に説明する。なお、従来の技術のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0021】
図2において、ガス警報器100は、電気化学式ガスセンサ(以下、COセンサという)1と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)10と、自己診断回路30と、電流/電圧変換回路40と、抵抗R1と、音声警報出力部50と、当該ガス警報器の各部に電力を供給する電池60と、を有して構成している。
【0022】
COセンサ1は、例えば前掲の図11に示す電気化学式COセンサ1となっている。COセンサ1は、水を収容する水容器からの水蒸気または大気中の水蒸気と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流Iを発生し、該電流Iを電流/電圧変換回路40に出力する。COセンサ1の検知極31と、演算増幅器41の−入力端との間には、抵抗R1が設けられている。
【0023】
電流/電圧変換回路40は、抵抗R1を介してCOセンサ1の検知極31及び第1スイッチSW1が−入力端に、対極32及び電流源33が+入力端にそれぞれ接続された演算増幅器41と、演算増幅器41の−入力端及び出力端間に設けられた帰還抵抗R2とから構成されていて、電流Iに応じた電圧信号をマイコン10に出力する。
【0024】
マイコン10は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU10aと、CPU10aが行う処理のプログラムなどを格納したROM10bと、CPU10aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有するRAM10c、所定のレジスタに設定された時間の計測あるいは日時、時刻等を計測するためのタイマ10d等で構成されており、これらの各要素はバスラインによって接続されている。そして、マイコン10は、所定のサンプリング周期により、電流/電圧変換回路40から出力される電圧信号をサンプリングしてCOのガス濃度を計測し、そのガス濃度が警報設定点以上となった時に音声警報出力部50から警報を発し、警報解除設定点以下になった時に警報を停止する。
【0025】
なお、COは、燃焼器具を正常な状態で使用しても発生することが知られており、特に、鍋、やかん等の調理器具を用いて、お湯を沸かす場合に、冷たい調理器具が暖まるまでの間にCOが発生するので、CO濃度(ガス濃度)が警報設定点を超えてもすぐには警報の発生を行わず、予め定めた遅延時間経過後も警報設定点を越えている状態が継続した場合に、警報を発生するようにしてもよい。
【0026】
自己診断回路30は、マイコン10からの指示によりCOセンサ1の自己診断を実行する回路である。自己診断回路30は、COセンサ1に充電電流を供給してCOセンサ1を充電するための請求項中の電源としての電流源33と、電流源33−COセンサ1間に設けられてCOセンサ1の充電及び放電を切り替える第1スイッチSW1と、を有している。
【0027】
COセンサ1は、電流源33から充電されると、図3に示す等価回路となる。COセンサ1の等価回路は、電流源33と抵抗R1と電気的に接続された直列抵抗(直列内部抵抗成分に相当)Rsと、該直列抵抗Rsに直列接続された抵抗Rpと、抵抗Rpに並列接続されたコンデンサCと、を有して構成している。そして、直列抵抗Rsと抵抗Rpとの関係は、抵抗Rp>>直列抵抗Rsとなっている。なお、抵抗R1の抵抗値は1kΩ、帰還抵抗R2の抵抗値は100kΩとする。
【0028】
図5はCOセンサ1の電圧値と時間の関係を、充電及び放電に対応させて示している。なお、図5において、縦軸は電圧値、横軸は時間をそれぞれ示している。そして、そのCOセンサ1の充電開始時STは、過渡的にCOセンサ1の容量成分は無視でき、インピーダンスは0Ωと見なすことができる。すると、COセンサ1は、図4に示す等価回路と考えることができる。
【0029】
図4における充電電流Iは、COセンサ1の直列抵抗Rsに流れる電流Iaと抵抗R1に流れる電流Ibとに分流される。よって、直列抵抗Rsの抵抗値が大きくなればなるほど、1kΩの抵抗R1側に流れる電流は大きくなる。その電流Ibが電流/電圧変換回路40で電圧出力に変換されるので、その電圧値に基づいて、COセンサ1の直流抵抗Rsの抵抗値を算出することができる。
【0030】
例えば、上述した構成において、直流抵抗Rsが500Ω、充電電流Iが1μAとする。このとき、直流抵抗Rsと抵抗R1に流れる電流比は、500Ω:1kΩ=1:2から、直列抵抗Rs側の電流:抵抗R1側の電流=2:1となる。そして、抵抗R1に流れる電流値をXとして出力電圧を求める場合、1:2=X:(1μA−X)となり、X=1/3μAとなる。
【0031】
よって、電流/電圧変換回路40の出力電圧は、1/3μA*100kΩ=100/3mV≒33.3mVとなる。即ち、上述した逆の計算を行うことで、直列抵抗Rsの抵抗値を求めることができる。
【0032】
例えば、電流/電圧変換回路40の出力電圧が25mVとすると、25mV/100kΩ=0.25μAとなり、0.25μA:(1−0.25)μA=1:3となる。よって、1:3=直列抵抗Rs:1kΩから、直列抵抗Rs=1000/3Ω=333.3Ωと求めることができる。
【0033】
このように電流/電圧変換回路40の出力電圧に基づいて直列抵抗Rsを算出し、その直列抵抗Rsの大きさにより、使用上問題のない範囲、閾値、等を積層ズレ判定条件としてROM10b等に予め記憶しておくことで、COセンサ1の積層ズレを検出することができる。よって、本発明では、COセンサ1の充電時に、一種のコンデンサと見なすのではなく、その等価回路の直列抵抗Rsに着目することで、COセンサ1における積層ズレを検出できるようにしたものである。
【0034】
抵抗R1は、電流/電圧変換回路40の入力抵抗となっている。抵抗R1は、その一旦が電流源33(電源)からCOセンサ1への供給路、且つ、他端が上述した演算増幅器41の−入力端にそれぞれ電気的に接続されている。抵抗R1は、上述したCOセンサ1の等価回路における直列抵抗Rsの抵抗値の増加(変化)に応じて電流源33から流れ込む電流Ibが増加(変化)する抵抗値に設定されている。
【0035】
次に、COセンサ1の感度補正について、図6〜図8の図面等を参照して以下に説明する。
【0036】
まず、図6のグラフは、あるCOセンサ1に0.2kΩ、0.4kΩ、0.6kΩ、0.8kΩの何れか1つの追加抵抗を順次追加して、CO濃度に対する感度を測定した結果を示している。なお、図6において、縦軸は出力電流Iout[μA]、横軸はCO濃度[conc./ppm]をそれぞれ示している。
【0037】
図6に示すように、上記4つの追加抵抗の何れに対しても低濃度ではそれほどの差が出ていないが、高濃度になるにつれて感度の傾きが寝てくることが分かった。詳細には、追加抵抗が0.8kΩのように抵抗値が大きいほど、感度の傾きが寝てきている。そして、図7のグラフは、COセンサ1の感度と追加抵抗の関係を示したグラフとなっている。なお、図7において、縦軸はセンサ感度[nA/ppm]、横軸は追加抵抗[kΩ]をそれぞれ示している。この図7のグラフに示すように、COセンサ1の感度が低下していることが分かる。
【0038】
図8のグラフは、直列抵抗Rsが0Ωでの感度を1(基準)とし、上記4つの追加抵抗の各抵抗値での感度の比率を算出した結果を示すグラフとなっている。そして、図8中に示す線形近似式はy=−0.0974x+1.0075となっている。そして、その線形近似式を直列抵抗Rsを含んだ式に変換すると、式1で表される。
y=−0.0974*(Rs/1000)+1.0075 ・・・ 式1
【0039】
仮に、上記回路において、直列抵抗Rs=500Ω、検知濃度1500ppmとなった場合、y=−0.0974*(500/1000)+1.0075=0.9588となる。よって、(1−0.9588)*100=4.12%となり、4.12%の感度が低下していることになる。
【0040】
従って、COセンサ1の検知濃度は実際、1500ppmの4.12%増しの濃度となっているため、1500ppm*1.0412=1561.8ppmが正確な検知濃度となる。よって、そのように補正するために、上述した線形近似式(式1)等を直列抵抗RsとCOセンサ1の出力との感度を示す感度情報として、ROM10b、メモリ(図示せず)等に記憶しておくことで、直列抵抗Rsの抵抗値からその感度を特定できるようになっている。なお、感度情報としては、直列抵抗Rsの抵抗値から感度が特定できれば、変換テーブル、変換プログラムなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0041】
音声警報出力部50は、請求項中の通知手段に相当し、マイコン10と電気的に接続されている。音声警報出力部50は、CPU10aからの要求に応じて例えば音声、表示、等による各種出力が可能な構成となっている。なお、本実施形態では、音声警報出力部50が音声出力回路によって音声による通知、警報を行う場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、表示のみで通知するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0042】
次に、ガス警報器100のCPU10aが実行する本発明に係る自己診断処理の一例を、図9に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0043】
CPU10aによってROM10bに記憶している自己診断処理プログラムが実行されると、ステップS11において、予め定められた診断タイミング(例えば、24時間毎、1週間毎、等)であるか否かが判定される。診断タイミングではないと判定された場合(S11でN)、この判定処理を繰り返すことで、診断タイミングを待つ。一方、診断タイミングであると判定された場合(S11でY)、ステップS12に進む。
【0044】
ステップS12において、第1スイッチSW1がオンされ、ステップS13において、演算増幅器41から電圧信号が取り込まれ、その電圧値がRAM10cに記憶され、ステップS14において、上述したように電圧値に基づいてCOセンサ1の直列抵抗Rsの抵抗値が算出されてRAM10cに記憶され、ステップS15において、第1スイッチSW1がオフされ、その後ステップS16に進む。
【0045】
ステップS16において、RAM10cの抵抗値とROM10b(感度情報記憶手段に相当)に記憶している感度情報とに基づいて感度が算出されてRAM10cに記憶され、該感度に基づいて抵抗値が正常であるか否かが判定される。抵抗値が正常であると判定された場合(S16でN)、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、抵抗値が正常ではないと判定された場合(S16でY)、ステップS17に進む。
【0046】
ステップS17において、COセンサ1の故障を通知するためのセンサ故障通知情報が生成され、該センサ故障通知情報が音声警報出力回路50に出力されることで、COセンサ1の故障が通知され、その後処理を終了する。
【0047】
以上の説明からも明らかなように、CPU10aが自己診断処理プログラムを実行することで、図1に示す請求項中の直列内部抵抗成分算出手段10a1、感度算出手段10a2として機能する。
【0048】
次に、ガス警報器100のCPU10aが実行する本発明に係るCO検出処理の一例を、図10に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0049】
CPU10aによってROM10bに記憶しているCO検出処理プログラムが実行されると、ステップS31において、予め定められたCO検出タイミング(例えば、所定のサンプリング周期等)であるか否かが判定される。CO検出タイミングではないと判定された場合(S31でN)、この判定処理を繰り返すことで、CO検出タイミングを待つ。一方、CO検出タイミングであると判定された場合(S31でY)、ステップS32に進む。
【0050】
ステップS32において、演算増幅器41から電圧信号が取り込まれ、その電圧値がRAM10cに記憶され、ステップS33において、CO演算プログラムが実行されることで、RAM10cの電圧値に基づいてガス濃度が算出され、RAM10cの上記感度に対応した補正値に基づいて当該ガス濃度が補正されてRAM10cに記憶され、ステップS34に進む。
【0051】
ステップS34において、RAM10cのガス濃度と前記警報設定点との判定結果に基づいて、CO警報判定濃度であるか否かが判定される。CO警報判定濃度ではないと判定された場合(S34でN)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、CO警報判定濃度であると判定された場合(S34でY)、音声警報出力部50に警報が要求されることで、音声警報出力部50から警報が発せられ、警報解除設定点以下になった時に警報の停止が音声警報出力部50に要求され、処理を終了する。
【0052】
以上の説明からも明らかなように、CPU10aがCO検出処理プログラムを実行することで、図1に示す請求項中の補正手段10a3として機能する。
【0053】
次に、上述したガス警報器100の本発明に係る自己診断時における動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0054】
ガス警報器100は、診断タイミングになると、第1スイッチSW1をオンさせて、電流源33から充電電流をCOセンサ1に供給することで、COセンサ1を充電する。また、その電流源33から分流された電流は抵抗R1を介して電流/電圧変換回路40に入力され、電流/電圧変換回路40で電圧に変換して出力する。
【0055】
ガス警報器100は、その電流/電圧変換回路40からの電圧値と抵抗R1とに基づいて、COセンサ1に充電を開始した瞬間の直列抵抗Rsの抵抗値を算出する。そして、その直列抵抗Rsの抵抗値と感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する補正値がRAM10c等に記憶される。
【0056】
ガス警報器100のCPU10aは、所定のサンプリング周期により、電流/電圧変換回路40から出力される電圧信号をサンプリングしてCOセンサ1のガス濃度を計測すると、RAM10c等の補正値に基づいてガス濃度を補正する。そして、ガス警報器100はその補正後のガス濃度が警報設定点以上となった時に音声警報出力部50から警報を発し、警報解除設定点以下になった時に警報を停止する。
【0057】
以上説明したガス警報器100によれば、電源33からCOセンサ(電気化学式ガスセンサ)1への充電電流への供給の開始に応じて、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧に基づいてCOセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を算出し、当該抵抗値と感度情報とに基づいて感度を算出して対象ガス濃度を補正するようにしたことから、調整・出荷後に振動、衝撃などでCOセンサの積層ズレ、経年変化、等が生じても、その感度に応じて補正することができるため、精度低下の防止に貢献することができる。また、定期的に充電開始に応じて電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧から補正を行うことができるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。従って、COセンサ1が正確な対象ガス濃度を計測することができるため、COセンサの精度向上に貢献することができる。
【0058】
また、ガス警報器100によれば、上述した補正により正常に動作している状態で計測した対象ガス濃度を判定し、その異常を警報するようにしたことから、COセンサ1に故障が生じたままの状態で使用され続けることを防止できる。従って、ガス警報器100の計測精度の低下を防止できるため、安全性の向上に貢献することができる。
【0059】
なお、上述した本実施形態では、COセンサ1のガス濃度を単に補正する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、上述したようにCOセンサ1の感度の傾きが寝てくる高濃度の場合に補正するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、本発明の一酸化炭素ガス計測装置を警報器100に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、一酸化炭素ガス計測装置を燃焼器具、火災警報器、等の各種機器に組み込む、一酸化炭素ガス計測装置を単独の計測器具として用いるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0061】
さらに、上述した自己診断の方式は、水を収容する水容器からの水蒸気または大気中の水蒸気を電解質とし、該水蒸気と対象ガスとの反応によって前記対象ガス濃度に応じた電流をCOセンサ1が発生する場合について説明した。これに代えて、電解質に硫酸を用いた2極ないし3極で構成される電気化学式センサなどにも適用することができる。例えば、固体又は液体の電解質に接触する一対の電極を備え、検知対象ガスが反応する検知極ともう一方の電極との間に流れる電流又は当該電流に対応する電圧に基づいて、前記検知対象ガスの濃度を検知する電気化学式ガスセンサに適用することもできる。
【0062】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電気化学式ガスセンサ(COセンサ)
2 金属缶(水容器)
10a1 直列内部抵抗成分算出手段(CPU)
10a2 感度算出手段(CPU)
10a3 補正手段(CPU)
10b 感度情報記憶手段(ROM)
31 検知極
32 対極
33 電源(電流源)
40 電流/電圧変換回路
50 警報手段(音声警報出力部)
R1 抵抗
Rs 直列抵抗(直列内部抵抗成分)
SW1 第1スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象ガスの電気化学反応によって対象ガス濃度を検出する電気化学式ガスセンサの感度を補正する一酸化炭素ガス計測装置及び警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼機器の不完全燃焼等によるCOガスを検出し警報するCO警報器のように、周辺雰囲気中のCO濃度を測定する装置として、従来から、電気化学式COセンサ(=ガスセンサ)を内蔵したものが知られている。
【0003】
図11に断面図で示すように、この電気化学式COセンサ1は、内部に水5が収容された金属缶2(=水容器)の上部開口4にプロトン導電体膜3を設置して、その対極32を金属缶2内に露出させると共に、反対側の検知極31にガス吸着フィルタ8cを内蔵した金属キャップ8を重ねて金属缶2の上部開口4にかしめ固定して構成されている。
【0004】
上述した構成の電気化学式のCOセンサ1では、周辺雰囲気中のCO(=対象ガス)が、金属キャップ8の導入孔8aから内部に導入されて、活性炭やシリカゲル、ゼオライト等からなるガス吸着フィルタ8cや導出孔8b、そして、金属キャップ8とプロトン導電体膜3との間に介設した金属製の拡散制御板7の拡散制御孔7aを通過して検知極31に到達し、ここで、対極32側からプロトン導電体膜3に供給される金属缶2内の水5の水分を利用した酸化反応を起こして、検知極31にプロトン(2H+)と電子(2e-)を発生させる。
【0005】
検知極31に発生した電子(2e-)はプロトン導電体膜3の内部を通過できないので検知極31に滞留し、一方、プロトン(2H+)は、プロトン導電体膜3の内部を通過して対極32に移動し、ここで、金属缶2内の酸素と還元反応を起こして、対極32に水(H2O)を生成する。
【0006】
したがって、検知極31と拡散制御板7を介して電気的に接続されてそのターミナルとして機能する金属キャップ8と、対極32とワッシャー9を介して電気的に接続されてそのターミナルとして機能する金属缶2との間に電流/電圧変換回路(図示せず)を接続すると、検知極31に滞留した電子(2e-)の対極32に向かう流れが電流/電圧変換回路の入力抵抗に生じ、これにより対極32から上記入力抵抗を経て検知極31に向かう電流の流れが生じるので、この電流を電流/電圧変換回路が、電流/電圧変換することで、周辺雰囲気中のCO濃度に応じた電圧値のCO濃度信号が得られる(例えば特許文献1,2)。
【0007】
また、上記同様に水容器からの水蒸気と対象ガスとの反応を利用するガスセンサとして、2つの電極間にイオン伝導固体電解膜を備えるとともに、イオン伝導固体電解膜に一定の相対湿度を維持するように水を充填した水容器を備えたガスセンサがある(例えば特許文献3)。
【0008】
前記COセンサ1は、それ自身では、周囲雰囲気中のCO濃度に応じた電圧値のCO濃度信号を生成するために外部からの電力供給を必要としないことから、電池によって長期間駆動する必要のあるCO警報器での利用に適している。
【0009】
ところで、上述したCO警報器は、従来より、金属缶2中の水が減少する「水なし」、「断線」、「短絡」といった故障を検出する自己診断を行っている(例えば特許文献3)。COセンサ1の自己診断は、このCOセンサ1を一種のコンデンサとみなし、その放電時の電流波形が「水なし」、「断線」、「短絡」といった故障によって正常時とは異なることを利用して行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−170101号公報
【特許文献2】特開2004−279293号公報
【特許文献3】特開2000−146908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電気化学式ガスセンサを用いた従来の警報器は、警報器の作り込みの際に、電気化学式ガスセンサの感度調整を行っていたが、その後ガスセンサの感度が低下する可能性があることが分かった。上述したようにガスセンサは大きなコンデンサと考えられていたが、警報器の振動、衝撃などにより、導電性疎水膜と電解質との間に積層ズレが生じると、その積層ズレにより直列抵抗が生成されることが分かった。そして、ガスセンサの直流抵抗の大きさによってはガスセンサの感度低下に繋がってしまうため、早急な対応が求められていた。また、従来の感度調整はガスセンサ個々の直列抵抗のバラツキを含んだ調整となっていたため、その直列抵抗の大きさによってはガスセンサの感度低下に繋がる可能性があった。
【0012】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、電気化学式ガスセンサの直列内部抵抗成分のバラツキを補正することができる一酸化炭素ガス計測装置及び警報器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、固体又は液体の電解質と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流を発生する電気化学式ガスセンサ1と、前記電気化学式ガスセンサ1に流れる前記電流を電圧に変換する電流/電圧変換回路40と、前記電気化学式ガスセンサ1に充電電流を供給して前記電気化学式ガスセンサ1を充電する電源33と、前記電源33から前記電気化学式ガスセンサ1への供給路と前記電流/電圧変換回路40の入力端との間に設けられ且つ前記電気化学式ガスセンサ1の充電開始時の等価回路が有する直列内部抵抗成分Rsの抵抗値の変化に応じて前記電源33から流れ込む電流が変化する抵抗値に設定された抵抗R1と、前記電気化学式ガスセンサ1の充電開始時における前記電流/電圧変換回路40からの出力電圧と前記抵抗R1の抵抗値に基づいて前記直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を算出する直列内部抵抗成分算出手段10a1と、を有する一酸化炭素ガス計測装置において、前記直列内部抵抗成分Rsと前記電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報を記憶する感度情報記憶手段10bと、前記直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した抵抗値と前記感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、前記電気化学式ガスセンサ1の感度を算出する感度算出手段10a2と、前記感度算出手段10a2が算出した感度に基づいて前記電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する補正手段10a3と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、電源33から電気化学式ガスセンサ1への充電電流への供給を開始すると、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧と抵抗の抵抗値に基づいて、電気化学式ガスセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を直列内部抵抗成分算出手段10a1によって算出する。そして、その等価回路における直列内部抵抗成分Rsと電気化学式ガスセンサ1の出力との感度を示す感度情報は感度情報記憶手段10bに記憶される。そして、直列内部抵抗成分算出手段10a1が算出した直列内部抵抗成分Rsの抵抗値と感度情報記憶手段10bが記憶している感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1の感度が感度算出手段10a2によって算出し、補正手段10a3によって当該感度に基づいて電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、前記一酸化炭素ガス計測装置によって計測された対象ガス濃度の異常を警報する警報手段50と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2の本発明によれば、一酸化炭素ガス計測装置20によって計測された対象ガス濃度の異常を検出すると、警報手段によって警報を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、電源から電気化学式ガスセンサへの充電電流への供給の開始に応じて、電流/電圧変換回路が出力した出力電圧に基づいて電気化学式ガスセンサの等価回路における直列内部抵抗成分の抵抗値を算出し、当該抵抗値と感度情報とに基づいて感度を算出して対象ガス濃度を補正するようにしたことから、調整・出荷後に振動、衝撃などで電気化学式ガスセンサの積層ズレ、経年変化、等が生じても、その感度に応じて補正することができるため、精度低下の防止に貢献することができる。また、定期的に充電開始に応じて電流/電圧変換回路が出力した出力電圧から補正を行うことができるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。従って、電気化学式ガスセンサが正確な対象ガス濃度を計測することができるため、電気化学式ガスセンサの精度向上に貢献することができる。
【0018】
以上説明したように請求項2に記載した本発明によれば、一酸化炭素ガス計測装置が補正により正常に動作している状態で計測した対象ガス濃度を判定し、その異常を警報するようにしたことから、電気化学式ガスセンサに故障が生じたままの状態で使用され続けることを防止できる。従って、一酸化炭素ガス計測装置の計測精度の低下を防止できるため、安全性の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一酸化炭素ガス計測装置及び警報器の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る警報器としてのガス警報器の一実施の形態を示す回路図である。
【図3】図2に示すガス警報器中の電気化学式ガスセンサの等価回路図である。
【図4】図3に示す電気化学式ガスセンサの充電した瞬間の等価回路図である。
【図5】電気化学式ガスセンサに電圧値と時間との関係を示すグラフである。
【図6】CO感度の測定結果を示すグラフである。
【図7】センサ感度と追加抵抗との特性を示すグラフである。
【図8】センサ感度比率と直列抵抗Rsとの関係を示すグラフである。
【図9】図2のCPUが実行する自己診断処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図2のCPUが実行するCO検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る電気化学式COセンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一酸化炭素ガス計測装置を有する警報器の一例を、図1〜図10の図面を参照して以下に説明する。なお、従来の技術のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0021】
図2において、ガス警報器100は、電気化学式ガスセンサ(以下、COセンサという)1と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)10と、自己診断回路30と、電流/電圧変換回路40と、抵抗R1と、音声警報出力部50と、当該ガス警報器の各部に電力を供給する電池60と、を有して構成している。
【0022】
COセンサ1は、例えば前掲の図11に示す電気化学式COセンサ1となっている。COセンサ1は、水を収容する水容器からの水蒸気または大気中の水蒸気と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流Iを発生し、該電流Iを電流/電圧変換回路40に出力する。COセンサ1の検知極31と、演算増幅器41の−入力端との間には、抵抗R1が設けられている。
【0023】
電流/電圧変換回路40は、抵抗R1を介してCOセンサ1の検知極31及び第1スイッチSW1が−入力端に、対極32及び電流源33が+入力端にそれぞれ接続された演算増幅器41と、演算増幅器41の−入力端及び出力端間に設けられた帰還抵抗R2とから構成されていて、電流Iに応じた電圧信号をマイコン10に出力する。
【0024】
マイコン10は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU10aと、CPU10aが行う処理のプログラムなどを格納したROM10bと、CPU10aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有するRAM10c、所定のレジスタに設定された時間の計測あるいは日時、時刻等を計測するためのタイマ10d等で構成されており、これらの各要素はバスラインによって接続されている。そして、マイコン10は、所定のサンプリング周期により、電流/電圧変換回路40から出力される電圧信号をサンプリングしてCOのガス濃度を計測し、そのガス濃度が警報設定点以上となった時に音声警報出力部50から警報を発し、警報解除設定点以下になった時に警報を停止する。
【0025】
なお、COは、燃焼器具を正常な状態で使用しても発生することが知られており、特に、鍋、やかん等の調理器具を用いて、お湯を沸かす場合に、冷たい調理器具が暖まるまでの間にCOが発生するので、CO濃度(ガス濃度)が警報設定点を超えてもすぐには警報の発生を行わず、予め定めた遅延時間経過後も警報設定点を越えている状態が継続した場合に、警報を発生するようにしてもよい。
【0026】
自己診断回路30は、マイコン10からの指示によりCOセンサ1の自己診断を実行する回路である。自己診断回路30は、COセンサ1に充電電流を供給してCOセンサ1を充電するための請求項中の電源としての電流源33と、電流源33−COセンサ1間に設けられてCOセンサ1の充電及び放電を切り替える第1スイッチSW1と、を有している。
【0027】
COセンサ1は、電流源33から充電されると、図3に示す等価回路となる。COセンサ1の等価回路は、電流源33と抵抗R1と電気的に接続された直列抵抗(直列内部抵抗成分に相当)Rsと、該直列抵抗Rsに直列接続された抵抗Rpと、抵抗Rpに並列接続されたコンデンサCと、を有して構成している。そして、直列抵抗Rsと抵抗Rpとの関係は、抵抗Rp>>直列抵抗Rsとなっている。なお、抵抗R1の抵抗値は1kΩ、帰還抵抗R2の抵抗値は100kΩとする。
【0028】
図5はCOセンサ1の電圧値と時間の関係を、充電及び放電に対応させて示している。なお、図5において、縦軸は電圧値、横軸は時間をそれぞれ示している。そして、そのCOセンサ1の充電開始時STは、過渡的にCOセンサ1の容量成分は無視でき、インピーダンスは0Ωと見なすことができる。すると、COセンサ1は、図4に示す等価回路と考えることができる。
【0029】
図4における充電電流Iは、COセンサ1の直列抵抗Rsに流れる電流Iaと抵抗R1に流れる電流Ibとに分流される。よって、直列抵抗Rsの抵抗値が大きくなればなるほど、1kΩの抵抗R1側に流れる電流は大きくなる。その電流Ibが電流/電圧変換回路40で電圧出力に変換されるので、その電圧値に基づいて、COセンサ1の直流抵抗Rsの抵抗値を算出することができる。
【0030】
例えば、上述した構成において、直流抵抗Rsが500Ω、充電電流Iが1μAとする。このとき、直流抵抗Rsと抵抗R1に流れる電流比は、500Ω:1kΩ=1:2から、直列抵抗Rs側の電流:抵抗R1側の電流=2:1となる。そして、抵抗R1に流れる電流値をXとして出力電圧を求める場合、1:2=X:(1μA−X)となり、X=1/3μAとなる。
【0031】
よって、電流/電圧変換回路40の出力電圧は、1/3μA*100kΩ=100/3mV≒33.3mVとなる。即ち、上述した逆の計算を行うことで、直列抵抗Rsの抵抗値を求めることができる。
【0032】
例えば、電流/電圧変換回路40の出力電圧が25mVとすると、25mV/100kΩ=0.25μAとなり、0.25μA:(1−0.25)μA=1:3となる。よって、1:3=直列抵抗Rs:1kΩから、直列抵抗Rs=1000/3Ω=333.3Ωと求めることができる。
【0033】
このように電流/電圧変換回路40の出力電圧に基づいて直列抵抗Rsを算出し、その直列抵抗Rsの大きさにより、使用上問題のない範囲、閾値、等を積層ズレ判定条件としてROM10b等に予め記憶しておくことで、COセンサ1の積層ズレを検出することができる。よって、本発明では、COセンサ1の充電時に、一種のコンデンサと見なすのではなく、その等価回路の直列抵抗Rsに着目することで、COセンサ1における積層ズレを検出できるようにしたものである。
【0034】
抵抗R1は、電流/電圧変換回路40の入力抵抗となっている。抵抗R1は、その一旦が電流源33(電源)からCOセンサ1への供給路、且つ、他端が上述した演算増幅器41の−入力端にそれぞれ電気的に接続されている。抵抗R1は、上述したCOセンサ1の等価回路における直列抵抗Rsの抵抗値の増加(変化)に応じて電流源33から流れ込む電流Ibが増加(変化)する抵抗値に設定されている。
【0035】
次に、COセンサ1の感度補正について、図6〜図8の図面等を参照して以下に説明する。
【0036】
まず、図6のグラフは、あるCOセンサ1に0.2kΩ、0.4kΩ、0.6kΩ、0.8kΩの何れか1つの追加抵抗を順次追加して、CO濃度に対する感度を測定した結果を示している。なお、図6において、縦軸は出力電流Iout[μA]、横軸はCO濃度[conc./ppm]をそれぞれ示している。
【0037】
図6に示すように、上記4つの追加抵抗の何れに対しても低濃度ではそれほどの差が出ていないが、高濃度になるにつれて感度の傾きが寝てくることが分かった。詳細には、追加抵抗が0.8kΩのように抵抗値が大きいほど、感度の傾きが寝てきている。そして、図7のグラフは、COセンサ1の感度と追加抵抗の関係を示したグラフとなっている。なお、図7において、縦軸はセンサ感度[nA/ppm]、横軸は追加抵抗[kΩ]をそれぞれ示している。この図7のグラフに示すように、COセンサ1の感度が低下していることが分かる。
【0038】
図8のグラフは、直列抵抗Rsが0Ωでの感度を1(基準)とし、上記4つの追加抵抗の各抵抗値での感度の比率を算出した結果を示すグラフとなっている。そして、図8中に示す線形近似式はy=−0.0974x+1.0075となっている。そして、その線形近似式を直列抵抗Rsを含んだ式に変換すると、式1で表される。
y=−0.0974*(Rs/1000)+1.0075 ・・・ 式1
【0039】
仮に、上記回路において、直列抵抗Rs=500Ω、検知濃度1500ppmとなった場合、y=−0.0974*(500/1000)+1.0075=0.9588となる。よって、(1−0.9588)*100=4.12%となり、4.12%の感度が低下していることになる。
【0040】
従って、COセンサ1の検知濃度は実際、1500ppmの4.12%増しの濃度となっているため、1500ppm*1.0412=1561.8ppmが正確な検知濃度となる。よって、そのように補正するために、上述した線形近似式(式1)等を直列抵抗RsとCOセンサ1の出力との感度を示す感度情報として、ROM10b、メモリ(図示せず)等に記憶しておくことで、直列抵抗Rsの抵抗値からその感度を特定できるようになっている。なお、感度情報としては、直列抵抗Rsの抵抗値から感度が特定できれば、変換テーブル、変換プログラムなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0041】
音声警報出力部50は、請求項中の通知手段に相当し、マイコン10と電気的に接続されている。音声警報出力部50は、CPU10aからの要求に応じて例えば音声、表示、等による各種出力が可能な構成となっている。なお、本実施形態では、音声警報出力部50が音声出力回路によって音声による通知、警報を行う場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、表示のみで通知するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0042】
次に、ガス警報器100のCPU10aが実行する本発明に係る自己診断処理の一例を、図9に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0043】
CPU10aによってROM10bに記憶している自己診断処理プログラムが実行されると、ステップS11において、予め定められた診断タイミング(例えば、24時間毎、1週間毎、等)であるか否かが判定される。診断タイミングではないと判定された場合(S11でN)、この判定処理を繰り返すことで、診断タイミングを待つ。一方、診断タイミングであると判定された場合(S11でY)、ステップS12に進む。
【0044】
ステップS12において、第1スイッチSW1がオンされ、ステップS13において、演算増幅器41から電圧信号が取り込まれ、その電圧値がRAM10cに記憶され、ステップS14において、上述したように電圧値に基づいてCOセンサ1の直列抵抗Rsの抵抗値が算出されてRAM10cに記憶され、ステップS15において、第1スイッチSW1がオフされ、その後ステップS16に進む。
【0045】
ステップS16において、RAM10cの抵抗値とROM10b(感度情報記憶手段に相当)に記憶している感度情報とに基づいて感度が算出されてRAM10cに記憶され、該感度に基づいて抵抗値が正常であるか否かが判定される。抵抗値が正常であると判定された場合(S16でN)、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、抵抗値が正常ではないと判定された場合(S16でY)、ステップS17に進む。
【0046】
ステップS17において、COセンサ1の故障を通知するためのセンサ故障通知情報が生成され、該センサ故障通知情報が音声警報出力回路50に出力されることで、COセンサ1の故障が通知され、その後処理を終了する。
【0047】
以上の説明からも明らかなように、CPU10aが自己診断処理プログラムを実行することで、図1に示す請求項中の直列内部抵抗成分算出手段10a1、感度算出手段10a2として機能する。
【0048】
次に、ガス警報器100のCPU10aが実行する本発明に係るCO検出処理の一例を、図10に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0049】
CPU10aによってROM10bに記憶しているCO検出処理プログラムが実行されると、ステップS31において、予め定められたCO検出タイミング(例えば、所定のサンプリング周期等)であるか否かが判定される。CO検出タイミングではないと判定された場合(S31でN)、この判定処理を繰り返すことで、CO検出タイミングを待つ。一方、CO検出タイミングであると判定された場合(S31でY)、ステップS32に進む。
【0050】
ステップS32において、演算増幅器41から電圧信号が取り込まれ、その電圧値がRAM10cに記憶され、ステップS33において、CO演算プログラムが実行されることで、RAM10cの電圧値に基づいてガス濃度が算出され、RAM10cの上記感度に対応した補正値に基づいて当該ガス濃度が補正されてRAM10cに記憶され、ステップS34に進む。
【0051】
ステップS34において、RAM10cのガス濃度と前記警報設定点との判定結果に基づいて、CO警報判定濃度であるか否かが判定される。CO警報判定濃度ではないと判定された場合(S34でN)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、CO警報判定濃度であると判定された場合(S34でY)、音声警報出力部50に警報が要求されることで、音声警報出力部50から警報が発せられ、警報解除設定点以下になった時に警報の停止が音声警報出力部50に要求され、処理を終了する。
【0052】
以上の説明からも明らかなように、CPU10aがCO検出処理プログラムを実行することで、図1に示す請求項中の補正手段10a3として機能する。
【0053】
次に、上述したガス警報器100の本発明に係る自己診断時における動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0054】
ガス警報器100は、診断タイミングになると、第1スイッチSW1をオンさせて、電流源33から充電電流をCOセンサ1に供給することで、COセンサ1を充電する。また、その電流源33から分流された電流は抵抗R1を介して電流/電圧変換回路40に入力され、電流/電圧変換回路40で電圧に変換して出力する。
【0055】
ガス警報器100は、その電流/電圧変換回路40からの電圧値と抵抗R1とに基づいて、COセンサ1に充電を開始した瞬間の直列抵抗Rsの抵抗値を算出する。そして、その直列抵抗Rsの抵抗値と感度情報とに基づいて、電気化学式ガスセンサ1で発生した対象ガス濃度を補正する補正値がRAM10c等に記憶される。
【0056】
ガス警報器100のCPU10aは、所定のサンプリング周期により、電流/電圧変換回路40から出力される電圧信号をサンプリングしてCOセンサ1のガス濃度を計測すると、RAM10c等の補正値に基づいてガス濃度を補正する。そして、ガス警報器100はその補正後のガス濃度が警報設定点以上となった時に音声警報出力部50から警報を発し、警報解除設定点以下になった時に警報を停止する。
【0057】
以上説明したガス警報器100によれば、電源33からCOセンサ(電気化学式ガスセンサ)1への充電電流への供給の開始に応じて、電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧に基づいてCOセンサ1の等価回路における直列内部抵抗成分Rsの抵抗値を算出し、当該抵抗値と感度情報とに基づいて感度を算出して対象ガス濃度を補正するようにしたことから、調整・出荷後に振動、衝撃などでCOセンサの積層ズレ、経年変化、等が生じても、その感度に応じて補正することができるため、精度低下の防止に貢献することができる。また、定期的に充電開始に応じて電流/電圧変換回路40が出力した出力電圧から補正を行うことができるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。従って、COセンサ1が正確な対象ガス濃度を計測することができるため、COセンサの精度向上に貢献することができる。
【0058】
また、ガス警報器100によれば、上述した補正により正常に動作している状態で計測した対象ガス濃度を判定し、その異常を警報するようにしたことから、COセンサ1に故障が生じたままの状態で使用され続けることを防止できる。従って、ガス警報器100の計測精度の低下を防止できるため、安全性の向上に貢献することができる。
【0059】
なお、上述した本実施形態では、COセンサ1のガス濃度を単に補正する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、上述したようにCOセンサ1の感度の傾きが寝てくる高濃度の場合に補正するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、本発明の一酸化炭素ガス計測装置を警報器100に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、一酸化炭素ガス計測装置を燃焼器具、火災警報器、等の各種機器に組み込む、一酸化炭素ガス計測装置を単独の計測器具として用いるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0061】
さらに、上述した自己診断の方式は、水を収容する水容器からの水蒸気または大気中の水蒸気を電解質とし、該水蒸気と対象ガスとの反応によって前記対象ガス濃度に応じた電流をCOセンサ1が発生する場合について説明した。これに代えて、電解質に硫酸を用いた2極ないし3極で構成される電気化学式センサなどにも適用することができる。例えば、固体又は液体の電解質に接触する一対の電極を備え、検知対象ガスが反応する検知極ともう一方の電極との間に流れる電流又は当該電流に対応する電圧に基づいて、前記検知対象ガスの濃度を検知する電気化学式ガスセンサに適用することもできる。
【0062】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電気化学式ガスセンサ(COセンサ)
2 金属缶(水容器)
10a1 直列内部抵抗成分算出手段(CPU)
10a2 感度算出手段(CPU)
10a3 補正手段(CPU)
10b 感度情報記憶手段(ROM)
31 検知極
32 対極
33 電源(電流源)
40 電流/電圧変換回路
50 警報手段(音声警報出力部)
R1 抵抗
Rs 直列抵抗(直列内部抵抗成分)
SW1 第1スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体又は液体の電解質と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流を発生する電気化学式ガスセンサと、前記電気化学式ガスセンサに流れる前記電流を電圧に変換する電流/電圧変換回路と、前記電気化学式ガスセンサに充電電流を供給して前記電気化学式ガスセンサを充電する電源と、前記電源から前記電気化学式ガスセンサへの供給路と前記電流/電圧変換回路の入力端との間に設けられ且つ前記電気化学式ガスセンサの充電開始時の等価回路が有する直列内部抵抗成分の抵抗値の変化に応じて前記電源から流れ込む電流が変化する抵抗値に設定された抵抗と、前記電気化学式ガスセンサの充電開始時における前記電流/電圧変換回路からの出力電圧と前記抵抗の抵抗値に基づいて前記直列内部抵抗成分の抵抗値を算出する直列内部抵抗成分算出手段と、を有する一酸化炭素ガス計測装置において、
前記直列内部抵抗成分と前記電気化学式ガスセンサの出力との感度を示す感度情報を記憶する感度情報記憶手段と、
前記直列内部抵抗成分算出手段が算出した抵抗値と前記感度情報記憶手段が記憶している感度情報とに基づいて、前記電気化学式ガスセンサの感度を算出する感度算出手段と、
前記感度算出手段が算出した感度に基づいて前記電気化学式ガスセンサで発生した対象ガス濃度を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする一酸化炭素ガス計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の一酸化炭素ガス計測装置と、
前記一酸化炭素ガス計測装置によって計測された対象ガス濃度の異常を警報する警報手段と、
を有することを特徴とする警報器。
【請求項1】
固体又は液体の電解質と対象ガスとの反応によって対象ガス濃度に応じた電流を発生する電気化学式ガスセンサと、前記電気化学式ガスセンサに流れる前記電流を電圧に変換する電流/電圧変換回路と、前記電気化学式ガスセンサに充電電流を供給して前記電気化学式ガスセンサを充電する電源と、前記電源から前記電気化学式ガスセンサへの供給路と前記電流/電圧変換回路の入力端との間に設けられ且つ前記電気化学式ガスセンサの充電開始時の等価回路が有する直列内部抵抗成分の抵抗値の変化に応じて前記電源から流れ込む電流が変化する抵抗値に設定された抵抗と、前記電気化学式ガスセンサの充電開始時における前記電流/電圧変換回路からの出力電圧と前記抵抗の抵抗値に基づいて前記直列内部抵抗成分の抵抗値を算出する直列内部抵抗成分算出手段と、を有する一酸化炭素ガス計測装置において、
前記直列内部抵抗成分と前記電気化学式ガスセンサの出力との感度を示す感度情報を記憶する感度情報記憶手段と、
前記直列内部抵抗成分算出手段が算出した抵抗値と前記感度情報記憶手段が記憶している感度情報とに基づいて、前記電気化学式ガスセンサの感度を算出する感度算出手段と、
前記感度算出手段が算出した感度に基づいて前記電気化学式ガスセンサで発生した対象ガス濃度を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする一酸化炭素ガス計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の一酸化炭素ガス計測装置と、
前記一酸化炭素ガス計測装置によって計測された対象ガス濃度の異常を警報する警報手段と、
を有することを特徴とする警報器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−266356(P2010−266356A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118494(P2009−118494)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000112439)フィガロ技研株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000112439)フィガロ技研株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]