説明

三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその製法

【課題】 本発明の課題は、簡便な方法によって、高純度三塩化ホウ素の製造にとって有用なメタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、メタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とするによって解決される。本発明の課題は、又、ホウ酸を含浸させた活性炭を脱水装置に充填し、下部温度を550℃以上800℃になるように加熱しつつ、下部から不活性ガスを流通させて上部から水蒸気を同伴させて抜き出すことを特徴とする、メタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭の製法によっても解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその製法に関する。三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来、三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭の製法としては、例えば、80℃に加温した水1100mlに、ホウ酸222gを溶解させ、これに粒状の活性炭1Lを5分間浸漬した後、濾別して空気雰囲気下に160℃で20時間乾燥させて、ホウ酸担持活性炭を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、工業的規模で大量生産する場合における、生産性、活性炭の機械的強度、破損や劣化等のトラブルの回避については、具体的には何ら開示されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭58-57368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、高純度三塩化ホウ素の製造にとって有用なメタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、メタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭によって解決される。
【0006】
本発明の課題は、ホウ酸を含浸させた活性炭を脱水装置に充填し、下部温度を550℃以上800℃になるように加熱しつつ、下部から不活性ガスを流通させて上部から水蒸気を同伴させて抜き出すことを特徴とする、メタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素の製造三酸化二ホウ素担持活性炭の製法によっても解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、簡便な方法によって、高純度三塩化ホウ素の製造にとって有用なメタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその方法を提供することができる。三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のメタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭は、ホウ酸を含浸させた活性炭を脱水装置に充填し、下部温度を550℃以上800℃になるように加熱しつつ、下部から不活性ガスを流通させて上部から水蒸気を同伴させて抜き出すことによって製造される。なお、下部の温度は、実質的に脱水処理が完了した時の温度であり、抜き出す配管は、ホウ酸結晶が詰まるのを防ぐために、例えば、180℃程度に加熱しておくことが望ましい。
【0009】
本発明で使用するホウ酸を含侵させた活性炭としては、通常の方法によりホウ酸を担持させた活性炭を使用することができるが、好ましくはホウ酸の担持割合が20〜25%である活性炭が使用される。
【0010】
前記ホウ酸を含侵させた活性炭を、ガス導入口及びガス導出口を備えた脱水装置に充填した後、下部から不活性ガスを流通させて、上部から水蒸気を同伴させて抜き出すことにより、メタホウ酸を実質的に含まない三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭に製造することができる。その際の脱水装置の下部温度は、好ましくは550〜800℃である。
【実施例】
【0011】
次に、本発明について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0012】
参考例1(三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の合成)
グラスライニングの容器に水1125Lを加えて80℃まで加熱した後、ホウ酸375kgを加えて完全に溶解させて25質量%のホウ酸水溶液を得た。次いで、当該ホウ酸水溶液に活性炭(クラレケミカル社製;4GS)920kgを加え、活性炭にホウ酸を担持させた後、200℃で水を除去して乾燥させ、ホウ酸の担持割合が28%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭1277gを得た。
【0013】
実施例1(三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭の合成)
実施例1と同様にして合成したホウ酸の担持割合が25〜34%である活性炭をガス導入口及びガス導出口を備えた脱水装置に充填し、下部温度を500〜800℃に加熱した。次いで、下部から不活性ガス(窒素)を流通させながら、上部から水蒸気を同伴させて抜き出し、メタホウ酸を実質的に含まない三塩化ホウ素の製造三酸化二ホウ素担持活性炭を得た。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭及びその製法に関する。三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ酸を含浸させた活性炭を脱水装置に充填し、下部温度を550℃以上800℃になるように加熱しつつ、下部から不活性ガスを流通させて上部から水蒸気を同伴させて抜き出すことを特徴とする、メタホウ酸を実質的に含まないことを特徴とする三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭の製法。
【請求項2】
ホウ酸を含浸させた活性炭が、活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜25%である請求項1記載の三塩化ホウ素製造用三酸化二ホウ素担持活性炭の製法。

【公開番号】特開2012−121808(P2012−121808A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−70518(P2012−70518)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2007−123089(P2007−123089)の分割
【原出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】